説明

電気音響変換器およびその製造方法

【課題】振動板の外周のエッジ部から余分の接着剤が振動板の振動動作部分にはみ出すことがなく、振動板のスティフネスをばらつきなく目論見通りに設定することができる電気音響変換器およびその製造方法を得る。
【解決手段】振動板20の外周のエッジ部205が接着によってフレーム10に固着されている。フレーム10は、振動板20の外周のエッジ部205を接着する接着傾斜面103を備え、振動板20のエッジ部205は、フレーム10の接着傾斜面103の傾斜角度よりも小さな傾斜角度になっていて、振動板20のエッジ部205とフレーム10の接着傾斜面103との間に生じている隙間104が接着剤30で埋められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンやスピーカなどの電気音響変換器およびその製造方法に関するもので、特に、振動板のスティフネスのばらつきを少なくして音響特性を均一化することを可能にしたものである。
【背景技術】
【0002】
音波を受けて電気信号に変換するマイクロホンや、逆に、電気信号を音波に変換するスピーカなどの電気音響変換器では、一般的に振動板が用いられている。マイクロホンにおいては、音波を受けて振動する振動板の振動を電気信号に変換し、スピーカにおいては、電気信号によって振動板を振動させて音波を発するようになっている。
【0003】
ダイナミック型の電気音響変換器の場合、振動板にボイスコイルが一体的に固着され、振動板の周縁部はフレームなどに固着され、ボイスコイルは、永久磁石とヨーク、ポールピースなどで構成された磁気回路中の磁気ギャップ内に配置されている。マイクロホンの場合、振動板が音波を受けてボイスコイルとともに振動すると、ボイスコイルが磁気ギャップ内の磁束を横切ることにより、音波に対応した音声信号を出力する。スピーカの場合は、音声信号をボイスコイルに入力することにより、この電流と上記磁束との電磁力によりボイスコイルおよび振動板が振動し、音声信号に対応した音波を発する。
【0004】
ダイナミック型の電気音響変換器に限らず、例えば、コンデンサ型の電気音響変換器も振動板を有している。電気音響変換器の振動板は、周縁部がフレームなどに接着などによって固定されているが、振動板の周縁部の固着条件によって、低域共振周波数などの音響特性に影響を受ける。特に、マイクロホンやヘッドホン用の小型のスピーカユニットに用いられる振動板は、薄いフィルムの成形品であり、制御方式が質量制御方式であることから、収音あるいは再生することができる低域限界は低域の共振周波数によって決定される。振動板の質量成分の主なものは、ボイスコイル、振動板自体、振動板と一緒に動く空気の付加質量である。これらの質量成分は設計によって決まり、ばらつきはほとんどない。
【0005】
これに対して振動板のスティフネスは、振動板の成形条件、振動板の周縁部をフレームに固着するときの接着状態などによってばらつきが発生する。以下、これらについて、より具体的に説明する。マイクロホンやヘッドホン用の小型のスピーカユニットに用いられる振動板は一般に加熱加圧成形によって作製されるが、素材の熱履歴、成形時の各種条件などで、個々の振動板のスティフネスにばらつきが生じる。また、振動板の周縁部は上記のようにユニットフレームに接着によって固着されるが、接着剤の濡れ性の程度、接着剤の乾燥時の収縮、接着時にかかった応力など、さまざまな要因によって個々の振動板のスティフネスにばらつきが生じる。スティフネスがばらつくと、上記のように低域共振周波数がばらつく。
【0006】
特に、ノイズキャンセルヘッドホンのように、目的外の環境騒音を能動的にキャンセルしようとする場合には、マイクロホンで検出された環境騒音信号の位相を反転させたキャンセル信号を生成し、このキャンセル信号の位相および振幅を適切に調整する必要があるが、マイクロホンの低域共振周波数がばらつくと、ノイズキャンセル性能を低下させる大きな要因となる。なぜなら、低域共振周波数を境としてその上側(プラス側)と下側(マイナス側)とでは位相が逆になるため、低域共振周波数が大きくばらつくと、設計上予定しなかった音声周波数領域まで検出されることになり、その領域では位相が逆になりノイズキャンセル効果がなくなるからである。また、左右の環境騒音検出用マイクロホン相互間で低域共振周波数が大きくばらつくと、左右のスピーカ(ヘッドホンドライバ)から出る音が異なり、使用者に違和感を与える要因になる。
【0007】
ここで、従来の電気音響変換器の例を挙げて具体的について説明する。図2は、ヘッドホンドライバとして構成された電気音響変換器の例を示す。図2において、ヘッドホンドライバはユニットフレーム1をベースとして組み立てられている。ユニットフレーム1は外形が円形の金属製の部材で、一面側の外周縁部に突堤11が全周にわたって形成されている。この突堤11の形成面側には、突堤11よりも内周側において、かつ、突堤11に近接して、突堤11の高さよりも低い突堤12が全周にわたり形成されている。ユニットフレーム1には、その外周と同心の円に沿って円筒部13が上記突堤11,12の形成側とは反対側の面から突出して形成されている。
【0008】
ユニットフレーム1の上記円筒部13の内周には、扁平な有底円筒形のヨーク2が、その開放端を上記突堤11形成側に向けて嵌合され、接着あるいは圧入などによってユニットフレーム1に一体に結合されている。ヨーク2の内底面には円板状の永久磁石3がその外周面とヨーク2の周壁内面との間に適宜の間隔をおいて固着されている。永久磁石3にはさらに円板状のポールピース4が重ねて固着されている。ポールピース4の外周面とヨーク2の周壁内面との間には適宜の円筒形の間隙が形成されている。ヨーク2、永久磁石3、ポールピース4で磁気回路が形成され、ポールピース4とヨーク2の間に形成されている上記間隙は、ポールピース4とヨーク2の一方から他方に向かって磁束が通る磁気ギャップになっている。
【0009】
上記磁気ギャップには、細い導線が円筒形状に巻き回されてなるボイスコイル7が、ヨーク2にもポールピース4にも接触することなく配置されている。ボイスコイル7の一端は振動板5に固着されている。振動板5は薄いフィルムの成形品からなり、球面の一部を切り取った形のメインドーム51と、このメインドーム51の周囲に一体に形成された断面が部分円弧状のサブドーム52を有し、サブドーム52の外周側は、平坦面をなすエッジ部となっている。このエッジ部は前記ユニットフレーム1の突堤12の上に載せられ、上記エッジ部には振動板5を保護するためのプロテクタ6が載せられている。より具体的には、プロテクタ6の外周に平坦面をなしてエッジ部62が形成されていて、このエッジ部62が上記振動板5のエッジ部に載せられている。ユニットフレーム1の突堤12と振動板5のエッジ部、このエッジ部とプロテクタ6のエッジ部62は、相互に接着されることにより、振動板5は上記エッジ部を支点として振動することができるようになっている。ボイスコイル7の一端は、振動板5のメインドーム51とサブドーム52の境界の稜線に沿って固着されている。
【0010】
プロテクタ6は、振動板5のメインドーム51、サブドーム52の形状に合わせて形成されると共に、これらメインドーム51、サブドーム52との間に一定の空間が生じるように、外周壁に続いて上記エッジ部62が形成されている。プロテクタ6には、振動板5が振動することによって発せられる音波を外部に放出するための複数の孔61が形成されている。振動板5の振動に対して抵抗とならないように、振動板5の背面側の空間を外部に連通させるための孔14がユニットフレーム1に形成されている。孔14は複数形成されていて、適宜の孔14には音響抵抗材8が付加されて、ヘッドホンドライバの音響特性が調整されている。
【0011】
以上、ヘッドホンドライバの例で説明したが、ダイナミック型マイクロホンにおける振動板も上記振動板5と同様に、平坦面をなす外周のエッジ部がユニットフレームの平坦面に接着によって固着されている。
電気音響変換器の特性を安定化させるためには、振動板の上記エッジ部がユニットフレームに確実にかつ強固に固着されていることが必要である。しかしながら、上記エッジ部を接着によって固着すると、図2に符号9で示すように、余った接着材が振動板5を伝わってはみ出し、はみ出した接着材が硬化することによって振動板5が固くなる。振動板5は固くなると振動しにくくなり、特に低音域の応答性が悪くなる。マイクロホンの場合は低音域が電気信号に変換されにくくなり、スピーカの場合は低音が再生されにくくなる。これに加えて、上記接着剤のはみ出し量はまちまちであるため、個々の電気音響変換器において特性がばらつくという問題もある。
【0012】
図2に示すような、振動板の外周の平坦なエッジ部をフレームの平坦面に接着によって固着してなる電気音響変換器とほぼ同様に構成された電気音響変換器の従来例として特許文献1記載の発明がある。特許文献1に記載されている電気音響変換器は、振動板の固定構造が図2に示す固定構造とほぼ同じ構造になっているため、上に述べたような課題と同様の技術課題を持っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004-64158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記従来の電気音響変換器の問題点を解消すること、すなわち、振動板の外周のエッジ部を接着によって固着するにもかかわらず、余分の接着剤が振動板の振動動作部分にはみ出すことがなく、振動板のスティフネスを、ばらつきがなく目論見通りに設定することができる電気音響変換器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、振動板の外周のエッジ部が接着によってフレームに固着されてなる電気音響変換器であって、上記フレームは、振動板の外周のエッジ部を接着するための接着傾斜面を備え、上記振動板のエッジ部は、上記フレームの接着傾斜面の傾斜角度よりも小さな傾斜角度になっていて、上記振動板のエッジ部と上記フレームの接着傾斜面との間に生じている隙間が接着剤で埋められていることを最も主要な特徴とする。
【0016】
本発明はまた、振動板の外周のエッジ部を接着によってフレームに固着する電気音響変換器の製造方法であって、上記フレームには、上記振動板のエッジ部を接着するための接着傾斜面を設け、上記振動板のエッジ部を押圧冶具によって上記フレームの接着傾斜面に向かって押圧し、上記振動板のエッジ部に所定の応力をかけた状態で上記振動板のエッジ部と上記フレームの接着傾斜面との間に生じている隙間を接着剤で埋めて硬化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る電気音響変換器によれば、振動板のエッジ部に、上記フレームの接着傾斜面の傾斜角度よりも小さな傾斜角度を持たせ、上記振動板のエッジ部と上記フレームの接着傾斜面との間に生じている隙間を接着剤で埋めているため、接着材は上記隙間内にとどまり、振動板の振動動作する部分にまではみ出すことはない。よって、はみ出した接着材によって振動板のスティフネスが目論見よりも大きく(固く)なることはなく、特に低音域の特性の劣化のない安定した音響特性を得ることができる。
【0018】
本発明に係る電気音響変換器の製造方法によれば、振動板のエッジ部を押圧冶具によってフレームの接着傾斜面に向かって押圧し、上記振動板のエッジ部に所定の応力をかけた状態で上記振動板のエッジ部と上記フレームの接着傾斜面との間に生じている隙間を接着剤で埋めて硬化させるようにしたため、上記振動板のエッジ部に加わる応力を所定の応力に安定して設定することができ、所定の音響特性をばらつきなく得ることができる。
【0019】
上記接着剤を、紫外線硬化型接着剤のような、硬化の過程で体積の変化のない、あるいは体積変化の少ない接着剤を用いれば、振動板のスティフネスを目論見通りに設定することが容易であり、また、スティフネスのばらつきも少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る電気音響変換器およびその製造方法の実施例の要部を示す拡大縦断面図である。
【図2】従来の電気音響変換器の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る電気音響変換器およびその製造方法の実施例を、図1を参照しながら説明する。
【実施例】
【0022】
図1において、符号10は、電気音響変換器のフレームを示している。フレーム10は、図1に示す従来例のユニットフレーム1と同様に、外周が円形で、この外周と同心円の円筒部を一体に有している。この円筒部には、図2に示す従来例と同様に、有底円筒形のヨークが嵌合されて固着され、このヨークには永久磁石が、この永久磁石にはポールピースが固着されて、図2に示す従来例と同様の磁気回路が構成されている。上記ポールピースとヨークとの間には円筒形状の磁気ギャップが形成され、この磁気ギャップ内には細い導線が円筒形状に巻き回されてなりかつ一端が振動板20に固着されたボイスコイル(図示されず)が位置している。
【0023】
振動板20は、図2に示す従来例と同様に、薄いフィルムの成形品からなり、球面の一部を切り取った形のメインドームと、このメインドームの周囲に一体に形成された断面が部分円弧状のサブドームを有し、サブドームの外周側はエッジ部205になっている。振動板の上記メインドームとサブドームの境界に沿って上記ボイスコイルの一端が固着されている。振動板のエッジ部205は、もともとは平坦面になっている。このもともとの平坦面をなすエッジ部を、図1では符号205Aで示している。
【0024】
フレーム10は外周縁部の一面側に円筒形状の突堤101が一体に形成されていて、この突堤101の内周側に隣接して突堤101よりも低い突堤102が形成されている。この突堤102の図1における上面は、フレーム10の縦断面において、フレーム10の内径側から外径側に向かって連続的に高さが低くなる傾斜面になっている。この傾斜面に振動板20のエッジ部205を接着剤30で接着するようになっているので、上記傾斜面を接着傾斜面103という。この接着傾斜面103はフレーム10の周方向に連続して形成されているので円錐面をなしている。
【0025】
上記のように、振動板のエッジ部205は、もともとは平坦面なエッジ部205Aになっている。したがって、この平坦なエッジ部205をフレーム10の突堤102に載せると、上記エッジ部205の基端部と、フレーム10の接着傾斜面103の一端部すなわち接着傾斜面103の最上端でありかつ突堤102の上端とが接触する接点40となる。正確には、接点40はフレーム10と振動板20の周方向に連続しているので、円形の接線になる。この接点40よりも、振動板20のエッジ部205およびフレーム10の接着傾斜面103の外周側に隙間104が生じる。この隙間104が接着剤30によって埋められ、接着剤30が硬化することによって振動板20のエッジ部205がフレーム10の接着傾斜面103に固着されている。
【0026】
ただし、上記隙間104を接着剤30によって埋める前に、図1に示すように円筒形状の押圧冶具35によって振動板20の平坦なエッジ部205Aをフレーム10の接着傾斜面103に向かって押圧し、振動板20のエッジ部205に所定の応力をかけ、振動板20のサブドームのスティフネスが所定の値まで高まるように調整する。サブドームのスティフネスが所定の値に達したか否かの確認は、例えば、所定の周波数の音波を振動板20に当て、あるいは所定の周波数の音声信号をボイスコイルに入力して、振動板20を上記所定の周波数で振動させ、これにストロボ光を照射して観察する方法によって行うことができる。ストロボ光の発光周波数を上記所定の周波数に設定しておけば、振動板20が停止して見えるときが所定の周波数で振動しているときであり、このときサブドームのスティフネスが所定の値になっている。この状態で、後述のように振動板20のエッジ部205を接着する。ストロボ光の発光周波数を徐々に変化させれば、振動板20の前側と後ろ側への最大移動位置を観察することもできるから、振動板20の振幅も観察することができる。図1において点線で表わしているのは、押圧冶具35が振動板20のエッジ部205を押圧している状態であり、この状態では、振動板20のエッジ部205が上記接点40を支点にして撓み、フレーム10の接着傾斜面103に近づいている。
【0027】
振動板20のエッジ部205は、上記接点40を支点にして全周が同じ角度で撓むことにより円錐面を形成している。振動板20のエッジ部205の傾斜角度はフレーム10の接着傾斜面103の傾斜角度よりも小さな傾斜角度になっていて、振動板20のエッジ部205に所定の応力がかかっている。この状態で、振動板20のエッジ部205とフレーム10の接着傾斜面103との間に生じている隙間104に接着材30を塗布して上記隙間104を埋め、接着材30を硬化させて振動板20のエッジ部205をフレーム10の接着傾斜面103に接着する。
【0028】
接着材30は、硬化過程で体積の収縮がなく、あるいは、なるべく体積の収縮が少ないものがよい。例えば、紫外線硬化型の接着剤、あるいはシーラントとして用いられているRTVゴムなどを用いるとよい。特に紫外線硬化型の接着剤は体積の収縮がほとんどないから、振動板20のエッジ部205に所定の応力をかけた状態で接着したとき、接着剤の硬化によって上記応力が変動するという不具合は生じない。また、紫外線硬化型の接着剤は、紫外線を照射することによって硬化するので、硬化工程を任意にコントロールできる利点もある。
【0029】
紫外線硬化型の接着剤を用いる場合、振動板20は、接着剤30を硬化させるための紫外線を透過させることができるように、透明な、例えば、プラスチックのフィルムなどで作製される。上記のようにして振動板20をフレーム10に固着した後、押圧冶具35を除去し、振動板20との間に所定の間隔をおきかつ振動板20を覆ってプロテクタを配置してこれをフレーム10に固着する。
【0030】
振動板20のエッジ部205とフレーム10の接着傾斜面103との間に生じている隙間104に塗布される接着剤は、表面張力によって上記隙間104に保持され、振動板20の振動部分などに流れ出すことはほとんどない。したがって、振動板20のエッジ部205に所定の応力をかけて、振動板20のスティフネスを所定の値に設定した後、接着材によってスティフネスが変動するという不具合が生じることもない。特に、接着剤が振動板の振動部分にはみ出して振動板のスティフネスが目論見以上に大きくなり、低音域の応答性が低下する、という不具合の発生を回避することができる。また、音響特性がばらつくこともない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る電気音響変換器およびその製造方法は、マイクロホンユニットおよびその製造方法としても、あるいはスピーカユニットおよびその製造方法としても適用可能である。
接着傾斜面103は、図示の実施例のように連続した傾斜面でなくてもよく、例えば、高さが段階的に変化する傾斜面であってもよい。
【0032】
本発明に係る電気音響変換器は、ノイズキャンセルヘッドホンにおける環境騒音検出用のマイクロホンとして適している。すなわち、低域共振周波数のばらつきが少ないため、低域共振周波数のばらつきが大きいことを要因とする前述のノイズキャンセルに対して逆効果となること、また、左右のノイズキャンセル効果が大きくばらつくことによる違和感の発生などを回避することができるからである。
【符号の説明】
【0033】
10 フレーム
20 振動板
30 接着剤
35 押圧冶具
40 接点
103 接着傾斜面
104 隙間
205 エッジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板の外周のエッジ部が接着によってフレームに固着されてなる電気音響変換器であって、
上記フレームは、振動板の外周のエッジ部を接着するための接着傾斜面を備え、
上記振動板のエッジ部は、上記フレームの接着傾斜面の傾斜角度よりも小さな傾斜角度になっていて、
上記振動板のエッジ部と上記フレームの接着傾斜面との間に生じている隙間が接着剤で埋められている電気音響変換器。
【請求項2】
振動板のエッジ部とフレームの接着傾斜面は、ともに円錐面である請求項1記載の電気音響変換器。
【請求項3】
接着剤は紫外線硬化型接着剤である請求項1または2記載の電気音響変換器。
【請求項4】
振動板のエッジ部の基端部とフレームの接着傾斜面の一端部が接点となっていて、この接点よりも上記振動板のエッジ部および上記フレームの接着傾斜面の外周側に隙間があって、この隙間が接着剤で埋められている請求項1、2または3記載の電気音響変換器。
【請求項5】
振動板のエッジ部がフレームの接着傾斜面に向かって押されることにより上記振動板に所定の応力が加えられている状態で、上記振動板の上記エッジ部と上記フレームの接着傾斜面との間に生じている隙間が接着剤で埋められている請求項1乃至4のいずれかに記載の電気音響変換器。
【請求項6】
振動板の外周のエッジ部を接着によってフレームに固着する電気音響変換器の製造方法であって、
上記フレームには、上記振動板のエッジ部を接着するための接着傾斜面を設け、
上記振動板のエッジ部を押圧冶具によって上記フレームの接着傾斜面に向かって押圧し、
上記振動板のエッジ部に所定の応力をかけた状態で上記振動板のエッジ部と上記フレームの接着傾斜面との間に生じている隙間を接着剤で埋めて硬化させる電気音響変換器の製造方法。
【請求項7】
振動板のエッジ部とフレームの接着傾斜面を、ともに円錐面とした請求項6記載の電気音響変換器の製造方法。
【請求項8】
接着剤として紫外線硬化型接着剤を用いる請求項6または7記載の電気音響変換器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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