説明

電池配線モジュール

【課題】本発明は、単電池群との組み付け作業の効率が向上された電池配線モジュールを提供する。
【解決手段】電池配線モジュール14は、単電池12の電極端子11間を接続する複数のバスバー17と、複数のバスバー17が保持される合成樹脂製の樹脂プロテクタ61と、を備え、樹脂プロテクタ61は、単電池12の並び方向と交差する方向について設定された撓み許容量の範囲内で撓み変形可能になっており、樹脂プロテクタ61には、単電池12の並び方向と交差する方向のうち少なくとも一の方向についての樹脂プロテクタ61の撓み変形を規制する撓み規制部75が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の単電池が並べられた単電池群に取り付けられる電池配線モジュールとして、特許文献1に記載のものが知られている。この電池配線モジュールは、単電池の電極端子同士を接続する複数のバスバーが合成樹脂製の基板部に保持されている。単電池群に電池配線モジュールが取り付けられてなる電池モジュールは、例えば、電気自動車、又はハイブリッド車等の車両に搭載されて、車両の駆動原として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3707595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成によると、合成樹脂製の基板部は比較的に剛直なので、電池配線モジュールが単電池群に取り付けられた状態で、複数の単電池の並び方向と交差する方向について撓みにくい構造になっている。このため、例えば電極端子とバスバーとの接続作業を、バスバー毎に行うことができず、電池配線モジュール全体を同時に単電池群に組み付ける必要がある。換言すると、複数の電極端子のピッチが1箇所でもずれていると、電池配線モジュールを単電池群に取り付けることができないおそれがある。
【0005】
上記の問題を解決するため、基板部を撓み可能な構成にすることにより、電池配線モジュールを全体として撓み可能な構成にすることが考えられる。これにより、電極端子とバスバーとの接続作業を、バスバー毎に行うことが期待された。これにより、単電池群と電池配線モジュールとの接続作業の効率を向上させることが期待された。
【0006】
しかしながら、電池配線モジュールを撓み可能な構成にすると、作業者が電池配線モジュールを所定の載置場所から持ち上げて、単電池群との組み付け場所へと持ち運ぶ際に、電池配線モジュールに対して慣性力や遠心力が加えられ、電池配線モジュールが作業者の意図しない方向に撓んでしまうことが懸念される。すると、電池配線モジュールが異物と衝突することが懸念される。
【0007】
上記の問題を回避するために、電池配線モジュールの持ち運び作業時に、ゆっくりと慎重に電池配線モジュールを取り扱うと、単電池群と電池配線モジュールとの接続作業の効率が低下することが懸念される。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、単電池群との組み付け作業の効率が向上された電池配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池が並べられた単電池群に取り付けられて前記電極端子間を接続する電池配線モジュールであって、前記電極端子間を接続する複数のバスバーと、前記複数のバスバーが保持される合成樹脂製の樹脂プロテクタと、を備え、前記樹脂プロテクタは、前記単電池の並び方向と交差する方向について設定された撓み許容量の範囲内で撓み変形可能になっており、前記樹脂プロテクタには、前記単電池の並び方向と交差する方向のうち少なくとも一の方向についての前記樹脂プロテクタの撓み変形を規制する撓み規制部が形成されている。
【0010】
本発明によれば、電池配線モジュールを所定の載置場所から持ち上げ、単電池群との接続作業を行う場所へと持ち運ぶ際に、撓み規制部によって撓み方向が規制された方向に慣性力や遠心力が作用するようにすることにより、電池配線モジュールが比較的に撓まないようにすることができる。これにより、作業者の意図しない方向に電池配線モジュールが撓み変形することを抑制できる。この結果、作業者は電池配線モジュールを比較的に剛直な物体として取り扱うことができるので、電池配線モジュールの持ち運び作業の効率を向上させることができる。これにより、単電池群への電池配線モジュールの取り付け作業の効率を向上させることができる。
【0011】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0012】
前記撓み規制部は、前記単電池の並び方向と交差する方向についての前記樹脂プロテクタの撓み許容量が最少となる最小撓み方向についての前記樹脂プロテクタの撓み変形を規制する最小撓み規制部と、前記単電池の並び方向と交差する方向についての前記樹脂プロテクタの撓み許容量が最大となる最大撓み方向についての前記樹脂プロテクタの撓み変形を規制する最大撓み規制部と、を備える。
【0013】
上記の態様によれば、電池配線モジュールを所定の載置場所から持ち上げ、単電池群との接続作業を行う場所へと持ち運ぶ際に、樹脂プロテクタの最小撓み方向に慣性力や遠心力が作用するようにすることにより、電池配線モジュールが比較的に撓まないようにすることができる。これにより、作業者の意図しない方向に電池配線モジュールが撓み変形することを抑制できる。この結果、作業者は電池配線モジュールを比較的に剛直な物体として取り扱うことができるので、電池配線モジュールの持ち運び作業の効率を向上させることができる。
【0014】
また、本態様によれば、単電池群と電池配線モジュールとの接続作業においては、最大撓み方向について樹脂プロテクタを撓ませることにより、電極端子間のピッチのずれをバスバー毎に個別に調節しながら単電池群に電池配線モジュールを取り付けることができる。これにより、電池配線モジュールと単電池群との接続作業の効率を向上させることができる。
【0015】
このように、本態様によれば、電池配線モジュールの持ち運び作業の効率を向上させると共に、電池配線モジュールと単電池群との接続作業の効率を向上させることにより、単電池群への電池配線モジュールの取り付け作業の効率を全体として向上させることができる。
【0016】
前記単電池は前記電極端子が形成された電極面を有し、前記電極面に前記樹脂プロテクタが取り付けられた状態において、前記最小撓み方向は前記樹脂プロテクタから前記電極面に向かう方向に設定されており、前記最大撓み方向は前記最小撓み方向と反対方向とされていることが好ましい。
【0017】
上記の態様によれば、樹脂プロテクタから電極面に向かう方向は最小撓み方向とされているので、樹脂プロテクタが電極面に向かって撓むことが規制される。これにより、単電池群に電池配線モジュールを取り付ける際に、樹脂プロテクタが電極面側に撓んで、樹脂プロテクタと電極端子とが衝突することが抑制される。これにより、樹脂プロテクタと電極端子とが衝突することを避けるために、作業者が過剰に配慮しなくてもよいので、単電池群への電池配線モジュールの取り付け作業の効率を向上させることができる。
【0018】
また、本態様によれば、最大撓み方向は、最小撓み方向と反対方向とされている。つまり、最大撓み方向は、電極面から離間する方向に設定されている。これにより、単電池群に電池配線モジュールを取り付ける際に、樹脂プロテクタを最大撓み方向に撓ませることにより、樹脂プロテクタは電極面から離間する方向に撓む。この結果、容易に、電極端子に対してバスバーを個別に取り付けることができるので、単電池群への電池配線モジュールの取り付け作業の効率を向上させることができる。
【0019】
前記樹脂プロテクタは合成樹脂からなる複数の連結ユニットが連結されており、前記樹脂プロテクタは、前記複数の連結ユニットのうち一の連結ユニットと、前記一の連結ユニットの隣に連結された他の連結ユニットとが連結された部分において、屈曲可能になっていることが好ましい。
【0020】
上記の態様によれば、樹脂プロテクタは、一の連結ユニットと、一の連結ユニットの隣に連結された他の連結ユニットとの連結部分において屈曲されることにより、容易に撓み変形することができる。
【0021】
前記樹脂プロテクタは、前記複数の連結ユニットのうち一の連結ユニットと、前記一の連結ユニットの隣に連結された他の連結ユニットとが、前記バスバーによって連結されてなることが好ましい。
【0022】
上記の態様によれば、複数の連結ユニット同士をバスバーによって連結することができる。
【0023】
前記バスバーは前記連結ユニットの連結方向に細長い形状をなしており、前記連結ユニットには、前記バスバーのうち前記連結ユニットの連結方向についての一方の端部を、前記バスバーの表裏両面から挟んで保持する第1保持部と、前記第1保持部に保持された前記バスバーの端部と異なる位置を前記バスバーの表裏両面から挟んで保持する第2保持部と、を備えることが好ましい。
【0024】
上記の態様によれば、第1保持部と、第2保持部とに保持されることにより、バスバーは連結ユニットに保持される。
【0025】
前記第1保持部は、前記バスバーの裏面側に位置する裏側第1保持部と、前記バスバーの表面側に位置する表側第1保持部と、を備え、前記第2保持部は、前記バスバーの裏面側に位置する裏側第2保持部と、前記バスバーの表面側に位置する表面側第2保持部と、を備え、前記裏側第1保持部の前記バスバーの裏面に対向する面と、前記裏側第2保持部の前記バスバーの裏面と対向する面と、は、同一の仮想的な平面上に形成されていることが好ましい。
【0026】
上記の態様によれば、バスバーの裏面を、裏側第1保持部と裏側第2保持部に当接させることにより、この仮想的な平面に対してバスバーの裏面を位置合わせすることができる。
【0027】
前記表側第1保持部のうち前記バスバーの表面と対向する面と、前記裏側第1保持部のうち前記バスバーの裏面と対向する面との間に形成された第1隙間は、前記バスバーの板厚寸法よりも僅かに大きく設定されており、前記表面側第2保持部のうち前記バスバーの表面と対向する面と、前記裏側第2保持部のうち前記バスバーの裏面と対向する面との間に形成された第2隙間は、前記第1隙間よりも広く形成されており、前記最小撓み規制部は、前記表側第1保持部と前記裏側第2保持部とからなり、前記最大撓み規制部は、前記裏側第1保持部と、前記表面側第2保持部とからなることが好ましい。
【0028】
上記の態様によれば、バスバーは裏側第1保持部と表側第1保持部との間に挟まれている。裏側第1保持部と表側第1保持部との間に形成された第1隙間は、バスバーの板厚寸法よりも僅かに大きく設定されている。この結果、バスバーは、裏側第1保持部と表側第1保持部との間に挟まれたバスバーの端部の近傍を支点としてバスバーの板面と交差する方向に回転可能になっている。このバスバーは、裏側第2保持部と表面側第2保持部との間に挟まれることによって、バスバーの板面と交差する方向への回転が規制されている。詳細には、表側第1保持部と裏側第2保持部とがバスバーに当接することによりバスバーの裏面側への回転量が規制されており、裏側第1保持部と表面側第2保持部とがバスバーに当接することによりバスバーの表面側への回転量が規制されている。
【0029】
そして、裏側第1保持部のうちバスバーの裏面と当接する面と、裏側第2保持部のうちバスバーの裏面と当接する面とは、仮想的な同一平面上に形成されているので、表側第1保持部と裏側第2保持部とがバスバーに当接することによりバスバーの裏面側への回転量は比較的に小さいものとなる。これにより、連結ユニットがバスバーを介して連結された状態において、樹脂プロテクタが、バスバーの裏面側への撓み変形する際の撓み許容量を比較的に小さくすることができる。
【0030】
第2隙間は第1隙間よりも広く形成されているので、裏側第1保持部と表面側第2保持部とがバスバーに当接することによりバスバーの表面側への回転量は比較的に大きいものとなる。これにより、連結ユニットがバスバーを介して連結された状態において、樹脂プロテクタが、バスバーの表面側への撓み変形する際の撓み許容量を比較的に大きくすることができる。
【0031】
前記裏側第1保持部と前記表側第1保持部とは前記バスバーの板面と交差する方向についてオフセットして形成されており、前記裏側第2保持部と前記表面側第2保持部とは前記バスバーの板面と交差する方向についてオフセットして形成されていることが好ましい。
【0032】
上記の態様によれば、合成樹脂からなる連結ユニットを射出成形する際に、バスバーの板面と交差する方向に型開きする一対の金型内に溶融された合成樹脂を注入し、固化することにより、第1保持部、及び第2保持部を形成することができる。これにより、比較的に高価なスライド型を用いなくてもよいので、電池配線モジュールの製造コストを低減できる。
【0033】
前記連結ユニットの側壁には前記バスバーが挿入されるバスバー挿入孔が前記連結ユニットの側壁を貫通して形成されており、前記バスバー挿入孔の孔縁部が前記第2保持部とされることが好ましい。
【0034】
上記の態様によれば、バスバー挿入孔の孔縁部を第2保持部とすることができるので、第2保持部を別途形成する場合に比べて、連結ユニットを小型化できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、電池配線モジュールと単電池群との組み付け作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池配線モジュールを、単電池群に取り付けてなる電池モジュールを示す斜視図
【図2】電池モジュールを示す平面図
【図3】連結ユニットを示す斜視図
【図4】連結ユニットを示す平面図
【図5】連結ユニットを示す側面図
【図6】連結ユニットを示す背面図
【図7】連結ユニットとバスバーとの係合構造を示す平面図
【図8】図7におけるB−B線断面図
【図9】連結ユニットとバスバーとの係合構造を示す正面図
【図10】図9におけるC−C線断面図
【図11】電池配線モジュールの組み付け工程を示す斜視図
【図12】図11における一部拡大斜視図
【図13】電池配線モジュールの組み付け工程を示す斜視図
【図14】電池配線モジュールの組み付け工程を示す斜視図
【図15】図7におけるA−A線断面図
【図16】電池配線モジュールを示す正面図
【図17】バスバーが最小撓み規制部と当接している状態を示す断面図
【図18】電池配線モジュールが最小撓み方向に撓んだ状態を示す正面図
【図19】バスバーが最大撓み規制部と当接している状態を示す断面図
【図20】電池配線モジュールが最大撓み方向に撓んだ状態を示す正面図
【図21】単電池群に電池配線モジュールが取り付けられた状態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0037】
<実施形態>
本発明を電池モジュール10に適用した一実施形態を、図1ないし図21を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電池モジュール10は、電気自動車又はハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、車両を駆動するための電源として使用される。電池モジュール10は、電極端子11を備えた複数の単電池12が並べて配された単電池群13を有する。複数の電極端子11間は、電池配線モジュール14によって電気的に接続されている。
【0038】
なお、以下の説明では、図1における矢線OXのX側を右方とし、O側を左方とする。また、図1における矢線OYのY側を後方とし、O側を前方とする。また、図1における矢線OZのZ側を上方とし、O側を下方とする。
【0039】
また、以下の説明において、複数の同一部材については、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
【0040】
(単電池12)
単電池12は扁平な略直方体形状をなしている。単電池12の内部には図示しない発電要素が収容されている。単電池12の上面には、前後方向の両端部寄りの位置に、一対の電極端子11,11が上方に突出して形成されている。単電池12の上面は電極面60とされる。電極端子11の一方は正極端子であり、他方は負極端子である。正極端子を構成する電極端子11と、負極端子を構成する電極端子11とは同形、同大である。電極端子11は、金属製の端子台(図示せず)と、端子台から上方に突出する電極ポスト51とを備える。電極ポスト51の外面にはねじ山が形成されている。単電池12は、隣り合う電極端子11が異なる極性となるように配置されている。複数の単電池12は左右方向に並べられて単電池群13を構成している。
【0041】
(電池配線モジュール14)
単電池群13の上面には、単電池群13の後ろ側に配列された複数の電極端子11に接続された電池配線モジュール14と、単電池群13の前側に配列された複数の電極端子11に接続された電池配線モジュール14と、が取り付けられている。複数の電極端子11間は、電池配線モジュール14によって電気的に接続されている。
【0042】
電池配線モジュール14は、一の単電池12に形成された電極端子11と、この一の単電池12の隣に位置する他の単電池12に形成された電極端子11と、を接続する金属製の複数のバスバー17と、この複数のバスバー17が保持される合成樹脂製の樹脂プロテクタ61と、を備える。
【0043】
(バスバー17)
図7に示すように、バスバー17は、銅、銅合金、SUS、アルミニウム等からなる金属板材が所定の形状にプレス加工されてなる。バスバー17は上方から見て左右方向に細長く延びた形状をなしている。バスバー17の表面には、スズ、ニッケル等の金属がメッキされていてもよい。バスバー17には、電極端子11の電極ポスト51が挿通される一対の端子貫通孔18,18が、バスバー17を貫通して形成されている。本実施形態においては、端子貫通孔18の双方は上方から見て円形状をなしている。なお、端子貫通孔18の形状は、一方が上方から見て円形状をなすと共に他方がバスバー17の長手方向に細長い長円形状をなしていてもよく、また、端子貫通孔18の双方がバスバー17の長手方向に細長い長円形状をなしていてもよい。
【0044】
電極ポスト51がバスバー17の端子貫通孔18内に貫通された状態でナット21が螺合されて、ナット21と端子台との間にバスバー17が挟まれることにより、電極端子11とバスバー17とが電気的に接続される。
【0045】
(樹脂プロテクタ61)
図2に示すように、樹脂プロテクタ61は、単電池12の並び方向(左右方向)に細長い形状をなしている。樹脂プロテクタ61は、単電池12の並び方向(左右方向)に連結された複数の連結ユニット16を備える。連結ユニット16の並び方向は単電池群13における単電池12の並び方向と一致している。
【0046】
複数のバスバー17のうち、一のバスバー17と、この一のバスバー17の隣に位置する他のバスバー17とは、連結ユニット16によって連結されている。換言すると、複数の連結ユニット16は、バスバー17を介して互いに連結されている。
【0047】
(連結ユニット16)
図3及び図4に示すように、連結ユニット16は、上方及び下方に開口すると共にバスバー17が収容される2つのバスバー収容部20を備える。2つのバスバー収容部20は、左右方向(図3及び図4における矢線OXで示す方向)に並んで形成されると共に、前後方向(図3及び図4において矢線OYで示す方向)に延びる絶縁壁22によって互いに仕切られている。
【0048】
図7に示すように、各バスバー収容部20は、概ねバスバー17の略半分が収容される大きさに形成されている。バスバー収容部20は、上述した絶縁壁22と、上下方向に立ち上がって形成された側壁62とによって囲まれた形状に形成されている。バスバー17は、バスバー17の板面を上下方向に向けた姿勢でバスバー収容部20内に収容される。
【0049】
図3及び図4に示すように、絶縁壁22の下端部寄りの位置には、絶縁壁22の左右両側に形成されたバスバー収容部20の内方にそれぞれ突出すると共に、バスバー17の端部を保持する複数の第1保持部63が形成されている。
【0050】
図7及び図8に示すように、第1保持部63は、バスバー17の裏面(下面)側に位置する裏側第1保持部63Bと、バスバー17の表面(上面)側に位置する表側第1保持部63Aと、を備える。これら裏側第1保持部63Bと、表側第1保持部63Aとによって、バスバー17のうち連結ユニット16の連結方向についての一方の端部が、バスバー17の表裏両面から挟んで保持されるようになっている。
【0051】
図4に示すように、表側第1保持部63Aは、絶縁壁22の前端部寄りの位置と、後端部寄りの位置にそれぞれ形成されており、裏側第1保持部63Bは、絶縁壁22の前後方向について略中央付近に形成されている。詳細には、表側第1保持部63Aと、裏側第1保持部63Bとは、バスバー17の板面と交差する方向(上下方向)についてオフセットされた位置に形成されている。
【0052】
図5及び図6に示すように、バスバー収容部20の側壁62には、バスバー17をバスバー収容部20内に挿入するためのバスバー挿入孔64が、側壁62を貫通して形成されている。バスバー挿入孔64の孔縁部の、上下方向の間隔は、バスバー17の板厚寸法よりも広く形成されている。
【0053】
図15に示すように、バスバー挿入孔64の孔縁部は、バスバー17を表裏両面から挟んで保持する第2保持部65とされる。詳細には、バスバー挿入孔64の下縁部は、バスバー17の裏面(下面)側に位置する裏側第2保持部65Bとされており、バスバー挿入孔64の上縁部は、バスバー17の表面(上面)側に位置する表側第2保持部65Aとされている。これら裏側第2保持部65Bと、表側第2保持部65Aとによって、バスバー17のうち第1保持部63に保持された端部とは異なる部分が、バスバー17の表裏両面から挟んで保持されるようになっている。
【0054】
図4、図8、及び図15に示すように、裏側第2保持部65Bは、表側第2保持部65Aよりもバスバー収容部20の内方に片寄って形成されている。換言すると、裏側第2保持部65Bと表側第2保持部65Aとは、バスバー17の板面の交差する方向(上下方向)についてオフセットされた位置に形成されている。
【0055】
図15に示すように、裏側第1保持部63Bの上面と、裏側第2保持部65Bの上面は、それぞれ、バスバー17の裏面と対向するようになっている。また、裏側第1保持部63Bの上面と、裏側第2保持部65Bの上面とは、同一の仮想的な平面66の上に形成されている。
【0056】
図15に示すように、裏側第1保持部63Bの上面と、表側第1保持部63Aの下面との間に形成された第1隙間67は、バスバー17の板厚寸法よりも僅かに大きく設定されている。また、裏側第2保持部65Bの上面と、表側第2保持部65Aの下面との間に形成された第2隙間68は、上記した第1隙間67よりも広く形成されている。
【0057】
(バスバー17の係合構造)
図7に示すように、バスバー17の後端縁には、左右方向の両端部寄りの位置に、上方に突出する抜け止め部69が叩き出しによって形成されている。抜け止め部69は、上方から見て三角形状に形成されている。
【0058】
図8に示すように、バスバー17がバスバー収容部20内に収容された状態で、抜け止め部69は、バスバー収容部20の側壁62に前方から当接することにより、バスバー17が後方へ移動することを規制するようになっている。また、バスバー17の前端部が、バスバー収容部20の側壁62に後方から当接することにより、バスバー17が前方へ移動することが規制されるようになっている。
【0059】
図10に示すように、バスバー17の前端縁には、左右方向の略中央位置に、係合凹部71が形成されている。また、バスバー収容部20には、バスバー17がバスバー収容部20内に収容された状態で、バスバー17の係合凹部71内に進入して係合凹部71の内壁面と当接する係合凸部72が形成されている。
【0060】
図10に示すように、バスバー17の左右方向の側縁と、絶縁壁22とが左右方向から当接すると共に、係合凸部72が係合凹部71の内壁面と左右方向から当接することにより、バスバー17の、連結ユニット16からの、左右方向への抜け止めが図られるようになっている。絶縁壁22と係合凸部72との間隔は、バスバー17の端部と係合凹部71の内壁面との間隔よりも大きく設定されており、換言すれば、バスバー17は、左右方向について相対的に移動可能な状態でバスバー収容部20内に収容されている。
【0061】
(電圧検知端子73)
連結ユニット16に形成された2つのバスバー収容部20のうち、1つのバスバー収容部20内には、バスバー17の上に重ねられて、単電池12の電圧を検知するための電圧検知端子73が配されている。本実施形態においては、電圧検知端子73は、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。電圧検知端子73の表面は、スズ、ニッケル等の金属によってメッキされていてもよい。
【0062】
電圧検知端子73には、電極ポスト51が挿通される端子貫通孔(図示せず)が、電圧検知端子73を貫通して形成されている。電圧検知端子73は、ナット21とバスバー17の間に挟まれることにより、電極端子11に電気的に接続されている。電圧検知端子73のバレル部74には電線23の一方の端部が圧着されている。電線23の他方の端部は図示しないECUに接続されている。
【0063】
連結ユニット16には、電線23が収容されて左右方向に配索される合成樹脂製の電線配索部24が形成されている。電線配索部24は左右方向から見て概ね溝状をなしており、複数の電圧検知線23が収容可能になっている。電線配索部24にはカバー25が一体に形成されている。このカバー25は、電線配索部24内に電線23が収容された状態で電線配索部24の上方の位置に保持されるようになっている。これにより、電線23が電線配索部24から外れることが抑制されるようになっている。
【0064】
(撓み規制構造)
続いて、樹脂プロテクタ61の撓み規制構造について説明する。図15に示すように、バスバー17は、図15における右端部が裏側第1保持部63B及び表側第1保持部63Aによって表裏両側から挟まれて保持されている。また、バスバー17は、第1保持部63によって保持された端部と異なる位置であって、長手方向(図15における左右方向)について端部よりも内方の位置において、裏側第2保持部65B及び表側第2保持部65Aによって表裏両面から挟まれて保持されている。
【0065】
裏側第1保持部63Bの上面と、裏側第2保持部65Bの上面とは、仮想的な平面66上に形成されているので、バスバー17は、裏側第1保持部63Bの上面、及び裏側第2保持部65Bの上面に載置された状態においては、上記の仮想的な平面66に対して平行な姿勢で保持される。図16には、バスバー17が仮想的な平面66に対して平行な姿勢で保持された状態で、各連結ユニット16同士がバスバー17を介して連結された状態を示す。
【0066】
裏側第1保持部63Bの上面と表側第1保持部63Aの下面との間に形成された第1隙間67は、バスバー17の板厚寸法よりも僅かに大きく設定されているので、バスバー17の端部は裏側第1保持部63Bと表側第1保持部63Aとの間で上下方向に僅かに移動可能になっている。
【0067】
また、裏側第2保持部65Bの上面と表側第2保持部65Aの下面との間に形成された第2隙間68は、第1隙間67よりも大きく設定されているので、バスバー17は、裏側第2保持部65Bと表側第2保持部65Aとの間で、第1隙間67におけるバスバー17の移動量よりも上下方向について大きく移動する。
【0068】
図17には、バスバー17の端部が上方に移動して表側第1保持部63Aの下面に下方から当接すると共に、バスバー17の裏面が裏側第2保持部65Bの上面に上方から当接している状態を示す。これにより、バスバー17は、仮想的な平面66に対して傾いた姿勢となっている。詳細には、バスバー17は、図17における右端部が上方に配され、図17における左端部が下方に配された姿勢となっている。
【0069】
図18には、各バスバー17と各連結ユニット16とが上記の姿勢で連結された状態を示す。電池配線モジュール14は、図18の右端部に配された連結ユニット16における仮想的な平面66に対して、図18における左端部が下方に撓んだ形状になっている。
【0070】
このように、電池配線モジュール14(樹脂プロテクタ61)は、複数の連結ユニット16のうち一の連結ユニット16と、一の連結ユニット16の隣にバスバー17を介して連結された他の連結ユニット16とが連結された部分において、上下方向に屈曲可能になっている。これにより、電池配線モジュール14(樹脂プロテクタ61)は、全体として、上下方向に撓み可能になっている。
【0071】
また、図19には、バスバー17の端部が下方に移動して裏側第1保持部63Bの上面に上方から当接すると共に、バスバー17の表面が表側第2保持部65Aの下面に下方から当接している状態を示す。これにより、バスバー17は、図19における右端部が下方に配され、図19における左端部が上方に配された姿勢となっている。図20には、各バスバー17と各連結ユニット16とが上記の姿勢で連結された状態を示す。電池配線モジュール14は、図20の右端部に配された連結ユニット16における仮想的な平面66に対して、図20における左端部が上方に撓んだ形状になっている。
【0072】
樹脂プロテクタ61は、単電池群13に電池配線モジュール14が取り付けられた状態における単電池12の並び方向と交差する方向について設定された所定の撓み許容量の範囲内で、撓み可能になっている。換言すると、樹脂プロテクタ61は、所定の撓み許容量の範囲内で撓み可能となるように撓み変形量が規制されている。
【0073】
図18に示すように、樹脂プロテクタ61は、連結ユニット16が連結された方向と交差する方向について、上に凸となる撓み変形における撓み許容量が最少となるように規制されている。また、図20に示すように、樹脂プロテクタ61は、連結ユニット16が連結された方向と交差する方向について、下に凸となる撓み変形における撓み許容量が最大となるように規制されている。
【0074】
図17に示すように、表側第1保持部63Aと、裏側第2保持部65Bとが、樹脂プロテクタ61の撓み許容量を最小とする最小撓み規制部(撓み規制部に相当)75とされる。本実施形態においては、樹脂プロテクタ61の撓み許容量が最少となる最小撓み方向は、下方となっている。
【0075】
また、図19に示すように、裏側第1保持部63Bと、表側第2保持部65Aとが、樹脂プロテクタ61の撓み許容量を最大とする最大撓み規制部(撓み規制部に相当)76とされる。本実施形態においては、樹脂プロテクタ61の撓み許容量が最大となる最大撓み方向は上方となっている。
【0076】
図21に示すように、電池配線モジュール14は、単電池12の電極面60(上面)に載置される。これにより、樹脂プロテクタ61の下面は、単電池12の電極面60と上方から当接するようになっている。樹脂プロテクタ61は、単電池群13に取り付けられた状態で複数の単電池12の並ぶ方向(図21における左右方向)について交差する方向に撓み可能に形成されている。上述のように樹脂プロテクタ61の最小撓み方向は下方とされており、樹脂プロテクタ61が単電池群13に取り付けられた状態で樹脂プロテクタ61から単電池12の電極面60に向かう方向に設定されている。また、樹脂プロテクタ61の最大撓み方向は上方とされており、最小撓み方向と反対方向に設定されている。
【0077】
(電池配線モジュール14の組み付け工程)
続いて、本実施形態に係る電池配線モジュール14の組み付け工程の一例について説明する。電池配線モジュール14の組み付け工程については、本実施例の記載の限定されるものではない。
【0078】
まず、金属板材をプレス加工することにより、キャリア77によって複数のバスバー17が左右方向に並んだ状態で一体に連結された部材を形成する。一方、合成樹脂を金型(図示せず)によって射出成型することによって、複数の連結ユニット16がランナー78によって左右方向に並んだ状態で一体に連結された部材を形成する。
【0079】
次いで、図11に示すように、ランナー78によって連結さえた複数の連結ユニット16に形成された各バスバー挿入孔64内に、キャリア77によって一体に連結された各バスバー17を、矢線Pで示す方向から挿入する。
【0080】
図12に、バスバー17をバスバー挿入孔64内に挿入する状態を拡大して示す。各バスバー17は、バスバー挿入孔64内に矢線Qで示す方向から挿入される。
【0081】
図13には、全てのバスバー17が連結ユニット16のバスバー挿入孔64内に挿入された状態を示す。バスバー17の抜け止め部69がバスバー収容部20の側壁62と前方から当接することにより、バスバー17の後方への抜け止めがなされる。詳細には、バスバー収容部20の側壁62に形成されたバスバー挿入孔64の上縁部から垂下された抜け止めリブ70に対して、前方から当接している。また、バスバー17の係合凹部71と、連結ユニット16の係合凸部72とが左右方向から当接することにより、バスバー17の左右方向への抜け止めがなされる。
【0082】
続いて、各バスバー17をキャリア77から切断すると共に、各連結ユニット16をランナー78から切断する。バスバー17とキャリア77とを切断する工程と、連結ユニット16とランナー78とを切断する工程とは、同一工程で実行してもよく、また、別工程で実行してもよい。バスバー17とキャリア77とを切断する工程と、連結ユニット16とランナー78とを切断する工程とを別工程で実行する場合には、いずれの工程を先に実行してもよい。
【0083】
図14には、各バスバー17とキャリア77とが切断され、且つ、各連結ユニット16とランナー78とが切断された状態を示す。この状態では、各連結ユニット16は、バスバー17によって連結されている。
【0084】
続いて、電線23の端部に電圧検知端子73のバレル部74をかしめ付け、電圧検知端子73をバスバー収容部20内に収容する。また、電線23を電線配索部24内に配索する。これにより、電池配線モジュール14が完成する。
【0085】
(実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、電池配線モジュール14を所定の載置場所から持ち上げ、単電池群13との接続作業を行う場所へと持ち運ぶ際に、樹脂プロテクタ61の最小撓み方向に慣性力や遠心力が作用するようにすることにより、電池配線モジュール14が比較的に撓まないようにすることができる。これにより、作業者の意図しない方向に電池配線モジュール14が撓み変形することを抑制できる。この結果、作業者は電池配線モジュール14を比較的に剛直な物体として取り扱うことができるので、電池配線モジュール14の持ち運び作業の効率を向上させることができる。本実施形態のように複数の連結ユニット16を連結させてなる樹脂プロテクタ61を形成する場合、樹脂プロテクタ61は連結ユニット16の連結方向について細長く延びる形態になる。このような長尺物を持ち運ぶ際には、上記の構成は特に有効である。
【0086】
本実施形態においては、図18に示すように、図18における下方が最小撓み方向とされており、電池配線モジュール14(樹脂プロテクタ61)は図18における上方について凸形状に撓みにくくなっている。そこで、作業者は、電池配線モジュール14のうち図18における左右方向の中央近傍の位置を把持して、電池配線モジュール14を持ち上げると、電池配線モジュール14を比較的に剛直な長尺物として取り扱うことができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、単電池群13と電池配線モジュール14との接続作業においては、最大撓み方向について樹脂プロテクタ61を撓ませることにより、電極端子11間のピッチのずれをバスバー17毎に個別に調節しながら単電池群13に電池配線モジュール14を取り付けることができる。これにより、電池配線モジュール14と単電池群13との接続作業の効率を向上させることができる。
【0088】
このように、本実施形態によれば、電池配線モジュール14の持ち運び作業の効率を向上させると共に、電池配線モジュール14と単電池群13との接続作業の効率を向上させることにより、単電池群13への電池配線モジュール14の取り付け作業の効率を全体として向上させることができる。
【0089】
また、単電池12は電極端子11が形成された電極面60を有し、電極面60に樹脂プロテクタ61が取り付けられた状態において、最小撓み方向は樹脂プロテクタ61から電極面60に向かう方向とされており、最大撓み方向は最小撓み方向と反対方向とされている。上記の構成により、樹脂プロテクタ61から電極面60に向かう方向は最小撓み方向とされているので、樹脂プロテクタ61が電極面60に向かって撓むことが規制される。これにより、単電池群13に電池配線モジュール14を取り付ける際に、樹脂プロテクタ61が電極面60側に撓んで、樹脂プロテクタ61と電極端子11とが衝突することが抑制される。これにより、樹脂プロテクタ61と電極端子11とが衝突することを避けるために、作業者が過剰に配慮しなくてもよいので、単電池群13への電池配線モジュール14の取り付け作業の効率を向上させることができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、最大撓み方向は、最小撓み方向と反対方向とされている。つまり、最大撓み方向は、電極面60から離間する方向に設定されている。これにより、単電池群13に電池配線モジュール14を取り付ける際に、樹脂プロテクタ61を最大撓み方向に撓ませることにより、樹脂プロテクタ61は電極面60から離間する方向に撓む。この結果、容易に、電極端子11に対してバスバー17を個別に取り付けることができるので、単電池群13への電池配線モジュール14の取り付け作業の効率を向上させることができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、樹脂プロテクタ61は、一の連結ユニット16と、一の連結ユニット16の隣に連結された他の連結ユニット16との連結部分において屈曲されることにより、容易に撓み変形することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、樹脂プロテクタ61は、複数の連結ユニット16のうち一の連結ユニット16と、一の連結ユニット16の隣に連結された他の連結ユニット16とが、バスバー17によって連結されてなる。これにより、複数の連結ユニット16同士をバスバー17によって連結することができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、バスバー17は連結ユニット16の連結方向に細長い形状をなしており、連結ユニット16には、バスバー17のうち連結ユニット16の連結方向についての一方の端部を、バスバー17の表裏両面から挟んで保持する第1保持部63と、第1保持部63に保持されたバスバー17の端部と異なる位置をバスバー17の表裏両面から挟んで保持する第2保持部65と、を備える。これにより、第1保持部63と、第2保持部65とに保持されることにより、バスバー17は連結ユニット16に保持される。
【0094】
また、本実施形態によれば、第1保持部63は、バスバー17の裏面側に位置する裏側第1保持部63Bと、バスバー17の表面側に位置する表側第1保持部63Aと、を備え、第2保持部65は、バスバー17の裏面側に位置する裏側第2保持部65Bと、バスバー17の表面側に位置する表側第2保持部65Aと、を備え、裏側第1保持部63Bのバスバー17の裏面に対向する面と、裏側第2保持部65Bのバスバー17の裏面と対向する面と、は、同一の仮想的な平面66上に形成されている。これによりバスバー17の裏面を、裏側第1保持部63Bと裏側第2保持部65Bに当接させることにより、この仮想的な平面66に対してバスバー17の裏面を位置合わせすることができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、表側第1保持部63Aのうちバスバー17の表面と対向する面と、裏側第1保持部63Bのうちバスバー17の裏面と対向する面との間に形成された第1隙間67は、バスバー17の板厚寸法よりも僅かに大きく設定されており、表側第2保持部65Aのうちバスバー17の表面と対向する面と、裏側第2保持部65Bのうちバスバー17の裏面と対向する面との間に形成された第2隙間68は、第1隙間67よりも広く形成されており、最小撓み規制部75は、表側第1保持部63Aと裏側第2保持部65Bとからなり、最大撓み規制部76は、裏側第1保持部63Bと、表側第2保持部65Aとからなる。上記の構成によれば、バスバー17の端部は裏側第1保持部63Bと表側第1保持部63Aとの間に挟まれている。裏側第1保持部63Bと表側第1保持部63Aとの間に形成された第1隙間67は、バスバー17の板厚寸法よりも僅かに大きく設定されている。この結果、バスバー17は、裏側第1保持部63Bと表側第1保持部63Aとの間に挟まれたバスバー17の端部の近傍を支点としてバスバー17の板面と交差する方向に回転可能になっている。このバスバー17は、裏側第2保持部65Bと表側第2保持部65Aとの間に挟まれることによって、バスバー17の板面と交差する方向への回転が規制されている。詳細には、表側第1保持部63Aと裏側第2保持部65Bとがバスバー17に当接することによりバスバー17の裏面側への回転量が規制されており、裏側第1保持部63Bと表側第2保持部65Aとがバスバー17に当接することによりバスバー17の表面側への回転量が規制されている。
【0096】
そして、裏側第1保持部63Bのうちバスバー17の裏面と当接する面と、裏側第2保持部65Bのうちバスバー17の裏面と当接する面とは、仮想的な同一平面上に形成されているので、表側第1保持部63Aと裏側第2保持部65Bとがバスバー17に当接することによりバスバー17の裏面側への回転量は比較的に小さいものとなる。これにより、連結ユニット16がバスバー17を介して連結された状態において、樹脂プロテクタ61が、バスバー17の裏面側への撓み変形する際の撓み許容量を比較的に小さくすることができる。
【0097】
第2隙間68は第1隙間67よりも広く形成されているので、裏側第1保持部63Bと表側第2保持部65Aとがバスバー17に当接することによりバスバー17の表面側への回転量は比較的に大きいものとなる。これにより、連結ユニット16がバスバー17を介して連結された状態において、樹脂プロテクタ61が、バスバー17の表面側への撓み変形する際の撓み許容量を比較的に大きくすることができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、裏側第1保持部63Bと表側第1保持部63Aとはバスバー17の板面と交差する方向についてオフセットして形成されており、裏側第2保持部65Bと表側第2保持部65Aとはバスバー17の板面と交差する方向についてオフセットして形成されている。これにより、合成樹脂からなる連結ユニット16を射出成形する際に、バスバー17の板面と交差する方向に型開きする一対の金型内に溶融された合成樹脂を注入し、固化することにより、第1保持部63、及び第2保持部65を形成することができる。これにより、比較的に高価なスライド型を用いなくてもよいので、電池配線モジュール14の製造コストを低減できる。
【0099】
また、本実施形態によれば、連結ユニット16の側壁62にはバスバー17が挿入されるバスバー挿入孔64が連結ユニット16の側壁62を貫通して形成されており、バスバー挿入孔64の孔縁部が第2保持部65とされる。これにより、バスバー挿入孔64の孔縁部を第2保持部65とすることができるので、第2保持部65を別途形成する場合に比べて、連結ユニット16を小型化できる。
【0100】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)樹脂プロテクタ61は、合成樹脂からなる1つの樹脂プレートに複数のバスバー17が保持される構成としてもよい。
(2)複数の連結ユニット16のうち一の連結ユニット16から、一の連結ユニット16の隣に位置する他の連結ユニット16に向けて突出する係合部が、他の連結ユニット16に設けられた係合受け部と係合することにより、複数の連結ユニット16同士が連結される構成としてもよい。係合部と係合受け部とは、例えば公知の球関節構造によって係合してもよい。また、係合部が弾性撓み可能な板状部材の先端に係止爪を有し、この係止爪が係合受け部と係止する構成としてもよい。上記に例示したように連結ユニット16同士の連結構造は必要に応じて任意の構成を採用することができる。
(3)最小撓み規制部75及び最大撓み規制部76は、一の連結ユニット16から、一の連結ユニット16の隣に位置する他の連結ユニット16に向けて撓み規制突部を設け、他の連結ユニット16には撓み規制突部と撓み規制方向から当接する撓み規制受け部と設け、撓み規制突部と撓み規制受け部との係合代を調節することにより、形成してもよい。例えば、最小撓み規制部75については上記の係合代を比較的に大きく形成し、最大撓み規制部76については、係合代を比較的に小さく形成するようにしてもよい。
(4)樹脂プロテクタ61は、樹脂プロテクタ61から単電池12の電極面60に向かう方向が最大撓み方向とされ、電極面60から離間する方向が最小撓み方向とされる構成としてもよい。この場合、作業者は、電池配線モジュール14(樹脂プロテクタ61)の両端部寄りの位置を把持して電池配線モジュール14を持ち上げることにより、電池配線モジュール14を比較的に剛直な長尺物として取り扱うことができる。
(5)本実施形態にいては、表側第1保持部63Aと裏側第1保持部63Bとはオフセットして形成されていたが、第1保持部63は、表側第1保持部63Aと裏側第1保持部63Bとが対向することにより溝状に形成されてもよい。また、表側第2保持部65Aと裏側第2保持部65Bとはオフセットして形成されていたが、第2保持部65は、表側第2保持部65Aと裏側第2保持部65Bとが対向することにより溝状に形成されてもよい。
(6)本実施形態においては、第2保持部65はバスバー挿入孔64の孔縁部によって形成される構成としたが、これに限られず、第2保持部65は、バスバー収容部20の側壁62から内方に突出されてバスバー17を表裏両側から挟む突部として形成されてもよく、必要に応じて任意の形状としうる。
(7)バスバー17は、バスバー収容部20の上方からバスバー収容部20内に収容される構成としてもよい。
(8)本実施形態においては、複数の単電池12は直列に接続される構成としたが、これに限られず、複数の単電池群13は並列に接続される構成としてもよい。
(9)本実施形態においては、電極端子11は端子台と電極ポスト51とを備える構成としたが、これに限られず、電極端子11は、端子台にねじ孔が形成される構成としてもよい。この場合、端子台に重ねられたバスバー17に形成された貫通孔内にボルトを挿通してねじ孔に螺合することにより、ボルトの頭部と端子台との間にバスバー17を挟み、電極端子11とバスバー17とを電気的に接続する構成としてもよい。
(10)最小撓み方向における樹脂プロテクタ61の撓み許容量は0に設定されていてもよい。
(11)樹脂プロテクタ61は、撓み規制部によって、単電池12の並ぶ方向と交差する方向のうち1つの方向についてのみ撓み許容量が規制される構成としてもよい。また、単電池12の並ぶ方向と交差する方向のうち複数の方向について撓み許容量が規制される構成としてもよい。複数の方向について撓み許容量が規制される場合、全ての撓み許容量が同じ値に設定されていてもよく、また、それぞれの撓み許容量が異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0101】
11…電極端子
12…単電池
13…単電池群
14…電池配線モジュール
16…連結ユニット
17…バスバー
60…電極面
61…樹脂プロテクタ
62…側壁
63…第1保持部
63A…表側第1保持部
63B…裏側第1保持部
64…バスバー挿入孔
65…第2保持部
65A…表側第2保持部
65B…裏側第2保持部
67…第1隙間
68…第2隙間
75…最小撓み規制部(撓み規制部)
76…最大撓み規制部(撓み規制部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池が並べられた単電池群に取り付けられて前記電極端子間を接続する電池配線モジュールであって、
前記電極端子間を接続する複数のバスバーと、前記複数のバスバーが保持される合成樹脂製の樹脂プロテクタと、を備え、
前記樹脂プロテクタは、前記単電池の並び方向と交差する方向について設定された撓み許容量の範囲内で撓み変形可能になっており、
前記樹脂プロテクタには、前記単電池の並び方向と交差する方向のうち少なくとも一の方向についての前記樹脂プロテクタの撓み変形を規制する撓み規制部が形成されている電池配線モジュール。
【請求項2】
前記撓み規制部は、前記単電池の並び方向と交差する方向についての前記樹脂プロテクタの撓み許容量が最少となる最小撓み方向についての前記樹脂プロテクタの撓み変形を規制する最小撓み規制部と、前記単電池の並び方向と交差する方向についての前記樹脂プロテクタの撓み許容量が最大となる最大撓み方向についての前記樹脂プロテクタの撓み変形を規制する最大撓み規制部と、を備えた請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記単電池は前記電極端子が形成された電極面を有し、
前記電極面に前記樹脂プロテクタが取り付けられた状態において、前記最小撓み方向は前記樹脂プロテクタから前記電極面に向かう方向とされており、前記最大撓み方向は前記最小撓み方向と反対方向に設定されている請求項2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記樹脂プロテクタは合成樹脂からなる複数の連結ユニットが連結されており、
前記樹脂プロテクタは、前記複数の連結ユニットのうち一の連結ユニットと、前記一の連結ユニットの隣に連結された他の連結ユニットとが連結された部分において、屈曲可能になっている請求項2または請求項3に記載の電池配線モジュール。
【請求項5】
前記樹脂プロテクタは、前記複数の連結ユニットのうち一の連結ユニットと、前記一の連結ユニットの隣に連結された他の連結ユニットとが、前記バスバーによって連結されてなる請求項4に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記バスバーは前記連結ユニットの連結方向に細長い形状をなしており、
前記連結ユニットには、前記バスバーのうち前記連結ユニットの連結方向についての一方の端部を、前記バスバーの表裏両面から挟んで保持する第1保持部と、前記第1保持部に保持された前記バスバーの端部と異なる位置を前記バスバーの表裏両面から挟んで保持する第2保持部と、を備える請求項5に記載の電池配線モジュール。
【請求項7】
前記第1保持部は、前記バスバーの裏面側に位置する裏側第1保持部と、前記バスバーの表面側に位置する表側第1保持部と、を備え、
前記第2保持部は、前記バスバーの裏面側に位置する裏側第2保持部と、前記バスバーの表面側に位置する表面側第2保持部と、を備え、
前記裏側第1保持部の前記バスバーの裏面に対向する面と、前記裏側第2保持部の前記バスバーの裏面と対向する面と、は、同一の仮想的な平面上に形成されている請求項6に記載の電池配線モジュール。
【請求項8】
前記表側第1保持部のうち前記バスバーの表面と対向する面と、前記裏側第1保持部のうち前記バスバーの裏面と対向する面との間に形成された第1隙間は、前記バスバーの板厚寸法よりも僅かに大きく設定されており、
前記表面側第2保持部のうち前記バスバーの表面と対向する面と、前記裏側第2保持部のうち前記バスバーの裏面と対向する面との間に形成された第2隙間は、前記第1隙間よりも広く形成されており、
前記最小撓み規制部は、前記表側第1保持部と前記裏側第2保持部とからなり、前記最大撓み規制部は、前記裏側第1保持部と、前記表面側第2保持部とからなる請求項7に記載の電池配線モジュール。
【請求項9】
前記裏側第1保持部と前記表側第1保持部とは前記バスバーの板面と交差する方向についてオフセットして形成されており、
前記裏側第2保持部と前記表面側第2保持部とは前記バスバーの板面と交差する方向についてオフセットして形成されている請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項10】
前記連結ユニットの側壁には前記バスバーが挿入されるバスバー挿入孔が前記連結ユニットの側壁を貫通して形成されており、前記バスバー挿入孔の孔縁部が前記第2保持部とされる請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−243649(P2012−243649A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114031(P2011−114031)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】