電流センサ
【課題】被測定電流を検出したアナログ電圧値をパルス幅情報に変換してデジタル的に伝送することで、電流測定情報が受けるノイズの影響を極力少なくして高精度の電流測定結果を得る。
【解決手段】被測定電流が流れる検出抵抗器1と、その両端に発生する検出電圧又は前記検出電圧に正比例した電圧が一方の入力端に印加され、かつ傾斜が直線状の三角波又はノコギリ波が他方の入力端に印加される比較器4と、前記検出電圧によってパルス幅が変化する比較器4のPWM出力信号を、電気的に絶縁して伝達する磁気カプラ5とを備えている。
【解決手段】被測定電流が流れる検出抵抗器1と、その両端に発生する検出電圧又は前記検出電圧に正比例した電圧が一方の入力端に印加され、かつ傾斜が直線状の三角波又はノコギリ波が他方の入力端に印加される比較器4と、前記検出電圧によってパルス幅が変化する比較器4のPWM出力信号を、電気的に絶縁して伝達する磁気カプラ5とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械や、ハイブリッドカー、EV車(電気自動車)等に使用される「電流値測定用の電流センサ」に係り、特に「被測定電流が流れる検出抵抗」と「測定結果の処理回路部」とを「磁気カプラ」により、電気的に絶縁した電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電流値の測定方法として、被測定電流が流れる電路に検出抵抗器を挿入し、その両端の電圧を測定し、検出抵抗器の既知の抵抗値からオームの法則により被測定電流を測定するのが一般的であるが、
(1)例えば、ノイズ環境が非常に悪い工場等(例:ロボットが車を組み立てるライン等)においては、検出抵抗器の抵抗値を100μΩとし、被測定電流が200A時、両端電圧は20mVの微小電圧しか発生せず、小電流では数mVの信号しか発生しないため、外部からのノイズの影響で「測定結果の処理回路部」にもノイズが混入し、S/N比が悪化し、測定結果の誤差が大きくなるため、被測定電流側と「測定結果の処理回路部」とを電気的に絶縁し、ノイズの影響を極力取り除いて測定誤差を小さくする必要がある。
(2)例えば、ハイブリッドカーやEV車においては、モーター駆動に大電力を要するため、なるべく小電流にして電線の熱損失を減少させる目的で、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池の動作電圧をHV(High-Voltage;200V〜400V程度の高電圧)にして使用するが、ECU側(マイクロプロセッサ、A−Dコンバータやその他のロジック系ICで構成される)は5V系のLV(Low-Voltage;低電圧)を使用するため、部品の破壊防止と感電防止の理由により、前記HVブロックとLVブロックは、必ず絶縁する必要がある。
【0003】
上記(1),(2)の例に示すように、「被測定電流が流れる検出抵抗器」と「測定結果の処理回路部」とを電気的に絶縁した構造の電流センサが求められている。
【0004】
従来技術としては、下記特許文献1の「電気量検出センサ」がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−196020号公報 この特許文献1では、絶縁すべき1次側ブロックを、検出抵抗器と、この両端間に接続されたフォトトランジスタ及びトランス1次巻線の直列回路とで構成し、2次側ブロックの発光ダイオードを発振回路出力で断続的に点滅させ、1次側のフォトトランジスタをオン/オフさせて、1次側の検出抵抗器に発生した電圧をトランス2次側巻線に電磁誘導させ、前記発振回路出力を基準として同期検波して出力を得ている。
【0006】
前記特許文献1の問題点として下記の点が挙げられる。
(1)測定電流値、即ち検出抵抗器両端に発生するアナログ電圧をトランス(絶縁手段)を介して伝送し、巻き数比だけにより発生したノイズを含んだ状態の微小電圧の振幅をアナログ値として伝送するため、S/N比が悪化し、測定誤差が大きくなってしまう。
(2)断続手段として、フォトトランジスタを使用しているため、応答性が10μs程度であり、断続周波数が数百kHz程度にしか上がらず、応答が遅い。
【0007】
具体的には、例えば電力損失を2Wにするには、被測定電流が200Aで、検出抵抗器の抵抗値が100μΩ、発生電圧が20mV(200Aフルスケール時)となる。従って、例えば被測定電流50A時、発生電圧5mVという微小電圧となり、ノイズによるS/N比が悪い状態でアナログ電圧値を伝送するため、誤差が大きくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の点に鑑み、被測定電流を検出したアナログ電圧値をパルス幅情報に変換してデジタル的に伝送することで、電流測定情報が受けるノイズの影響を極力少なくして高精度の電流測定結果が得られる電流センサを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、高圧側と低圧側とを電気的に絶縁するために高速応答性の磁気カプラを用い、被測定電流を検出したアナログ電圧値をパルス幅情報として前記磁気カプラを介して伝送することで、応答性良く電流測定結果を得ることのできる電流センサを提供することをもう一つの目的とする。
【0010】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のある態様の電流センサは、被測定電流が流れる検出抵抗と、その両端に発生する検出電圧又は前記検出電圧に正比例した電圧が一方の入力端に印加され、かつ傾斜が直線状の三角波又はノコギリ波が他方の入力端に印加される第1の比較器と、前記検出電圧によってパルス幅が変化する第1の比較器の第1のPWM出力信号を、電気的に絶縁して伝達する磁気カプラとを備えたことを特徴としている。
【0012】
前記電流センサにおいて、前記磁気カプラの出力信号が一方の入力端に印加され、かつ他方の入力端に基準電圧が印加される第2の比較器をさらに備えていてもよく、この場合、前記第2の比較器はロジックレベルの第2のPWM出力信号を出力することができる。
【0013】
前記電流センサにおいて、前記第2のPWM出力信号はマイクロプロセッサに入力され、前記マイクロプロセッサで前記第2のPWM出力信号のデューティー比を演算してセンサ出力としてもよい。
【0014】
前記電流センサにおいて、前記第2のPWM出力信号を平均値に変換してセンサ出力としてもよい。
【0015】
前記電流センサにおいて、前記磁気カプラは、相互に磁気的に結合されるが電気的に絶縁された送信コイル及び受信コイルを有し、前記送信コイルに前記第1のPWM出力信号を供給する構成としてもよい。
【0016】
あるいは、前記磁気カプラは、絶縁体の片側にインダクタを設け、もう片側に磁気感応素子を設けて互いに電気的に絶縁された構造とし、前記インダクタに前記第1のPWM出力信号を供給し、前記インダクタが発生する交流磁界を前記磁気感応素子に印加し、非接触で前記第1のPWM出力信号のパルス幅情報を伝達する構成であってもよい。
【0017】
あるいは、前記磁気カプラは、コイルが巻かれた強磁性体のコアの一部にギャップを設け、前記コアに対し電気的に絶縁して磁気感応素子を前記ギャップに配置した構造とし、前記コイルに前記第1のPWM出力信号を供給し、前記コイルによる交流磁界を前記磁気感応素子に印加し、非接触で前記第1のPWM出力信号のパルス幅情報を伝達する構成であってもよい。
【0018】
さらに、前記磁気感応素子は磁気抵抗素子であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電流センサによれば、被測定電流の測定情報をアナログ電圧値で伝送するのではなく、信号振幅に依存しないパルス幅情報として伝送することにより、電圧の振幅変化による影響は全く無くなり、外部ノイズの影響を極力低減可能であり、従来例(特許文献1)で採用せざるを得なかった「同期検波回路」(従来例では測定電圧が数mVの微小値に対してノイズのレベルが高く、S/N比が悪いため「発振回路」と発生電圧の同期を取って検波していた)を不要にできる。被測定電流の測定情報が受けるノイズの影響を極力少なくできるため、電磁ノイズ環境の悪い車載用としてあるいは工場で使用しても電流値測定結果を高精度にすることが可能である。測定誤差に関しては、従来例のフルスケールでの測定誤差±3%程度に対し、本発明では±1%程度にまで改善できる。
【0020】
また、高圧側と低圧側とを電気的に絶縁するために、発光ダイオードとフォトトランジスタの組からなるフォトカプラを使用せずに、磁気カプラを使用することで、応答性を改善することが可能であり、特に磁気カプラ内の磁気感応素子として磁気抵抗素子(ここでは巨大磁気抵抗素子(以下、GMR素子)やスピンバルブ巨大磁気抵抗素子(以下、SV−GMR素子)をも含む概念とする)を用いることで、応答性を数GHz程度まで高速化可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、電流センサの実施の形態を図面に従って説明する。
【0022】
図1は本発明に係る電流センサの実施の形態1を示し、高電圧バッテリーB1から負荷RLに被測定電流Isが流れる経路に挿入された検出抵抗器1と、その両端に発生する検出電圧VAを増幅する増幅器2と、三角波信号を発生する三角波発生器3と、増幅器2の出力電圧VB及び三角波信号を受ける比較器(コンパレータ)4と、比較器4によるPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)出力信号を電気的に絶縁して伝送する磁気カプラ5と、磁気カプラ5の出力信号を波形整形する比較器6(波形整形器)と、波形整形後のPWM出力信号を受け、当該PWM出力信号から被測定電流値を計測する処理回路部7とを備えている。比較器4によるPWM出力信号発生については後述する。
【0023】
ここで、検出抵抗器1、増幅器2、三角波発生器3、及び比較器4はHVブロックで、比較器6及び処理回路部7はLVブロックであり、磁気カプラ5は両者を電気的に絶縁してPWM出力信号の信号伝送を行うものである。増幅器2、三角波発生器3及び比較器4はHVブロックに属するが、動作電圧は低電圧であるため、LVブロックから電気的に絶縁された低電圧電源を用意している。なお、HVブロックのアース記号とLVブロックのアース記号とはフローティングとなっている(相互に絶縁されている。)。
【0024】
検出抵抗器1は本例では100μΩであり、被測定電流Is=±200Aフルスケールで発生電圧±20mVに設定している。図2は被測定電流Isと検出抵抗器1両端の検出電圧VAとの関係を示す。
【0025】
増幅器2は非反転増幅器であり、演算増幅器OP1と抵抗R1,R2とを有しており、検出抵抗器1の一端が演算増幅器OP1の非反転入力端に接続され、演算増幅器OP1の反転入力端は抵抗R2を介して検出抵抗器1の他端とともにHVブロックのグランドに接続されている。検出抵抗器1の両端に発生する検出電圧VAと増幅器2の出力電圧VBとはリニアな関係にあり、従って、被測定電流Isと増幅器2の出力電圧VBとは図3のようにリニアな関係となる。被測定電流Is=0Aのとき、出力電圧VB=0Vとなり、被測定電流Isが負のときは出力電圧VBは負電圧となり、被測定電流Isが正のときは出力電圧も正電圧となる。図3の場合、増幅器2の増幅度=100とした。
【0026】
なお、検出抵抗器1の抵抗値を大きくした場合は、増幅器2は省略できる。
【0027】
三角波発生器3は、図4(A1),(A2),(A3)に示す三角波信号VCを発生するものであり、その三角波信号は、2等辺三角形の2等辺を成す波形であり、直線性の良好な波形を発生可能なものとする。
【0028】
三角波発生器3からの三角波信号VCは比較器4の一方の入力端(非反転入力端)に印加され、比較器4の他方の入力端(反転入力端)には増幅器2の出力信号(出力電圧VB)が供給される。
【0029】
図4で比較器4の動作を説明すると、被測定電流Is=+200Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは+2Vとなり、図4(A1)における三角波信号VCが+2Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B1)のようにハイレベルとなる。ここでは、デューティー比(Duty ratio)=10%となるように予め三角波信号を設定する。
【0030】
被測定電流Is=0Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは0Vとなり、図4(A2)における三角波信号VCが0Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B2)のようにハイレベルとなり、デューティー比=50%となる。
【0031】
被測定電流Is=−200Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは−2Vとなり、図4(A3)における三角波信号VCが−2Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B3)のようにハイレベルとなり、デューティー比=90%となる。
【0032】
図5は被測定電流Isと比較器4の出力電圧VDのデューティー比との関係を示す。三角波信号VCの傾きは直線的であるから、被測定電流Is=+200Aから−200Aに至るまで直線的にデューティー比が増加するようにパルス幅変調された第1のPWM出力信号を比較器4が出力することがわかる。
【0033】
図6は磁気カプラ5の1例であり、相互に磁気的に結合されるが電気的に絶縁された送信コイル11及び受信コイル12を有する。例えば、送信コイル11は絶縁体シート(基板も含む)10の一面に固着され、受信コイル12は送信コイル11と磁気結合するように絶縁体シート10の他の面に固着される。送信コイル11及び受信コイル12はフェライト等の磁気コアに巻線を施したものでよいが、高い周波数で動作させる場合には磁気コアを省略した空心コイルとしてもよい。
【0034】
図1のように、送信コイル11には比較器4の前記第1のPWM出力信号が供給され、受信コイル12に誘起した電圧が比較器(コンパレータ)6の一方の入力端(非反転入力端)に印加される。なお、比較器6の他方の入力端(反転入力端)は受信コイル12のグランド側端とともにLVブロックのグランドに接続されている。
【0035】
比較器6は波形整形器として機能するものであり、比較器6の出力として、図7のようにローレベル(L)とハイレベル(H)とを繰り返すデジタル的なロジックレベル(ロジックICの入力信号としてそのまま使用できる信号レベル)のパルス幅変調された第2のPWM出力信号VE(比較器4の出力と同じパルス幅情報を持つ)が得られる。
【0036】
そして、比較器6は、被測定電流Is=+200Aのとき、図4(B1)に示したデューティー比10%の第1のPWM出力信号VDに対応した図7(A)の第2のPWM出力信号VEをロジックレベルで処理回路部7へ出力する。第1のPWM出力信号VDと第2のPWM出力信号VEのデューティー比は一致し、この場合、第2のPWM出力信号VEのデューティー比は10%となる。
【0037】
比較器6は、被測定電流Is=0Aのとき、図4(B2)に示したデューティー比50%の第1のPWM出力信号VDに対応した図7(B)の第2のPWM出力信号VE(デューティー比50%)をロジックレベルで出力する。
【0038】
比較器6は、被測定電流Is=+200Aのとき、図4(B3)に示したデューティー比90%の第1のPWM出力信号VDに対応した図7(C)の第2のPWM出力信号VE(デューティー比90%)をロジックレベルで出力する。
【0039】
前記第2のPWM出力信号VEから被測定電流値を計測する処理回路部7としては、いわゆる1チップマイコンとして市販されているマイクロプロセッサを使用できる。1チップマイコンとしては、1つのICチップ内にCPU、プログラムメモリ、データメモリ、入出力ポート、タイマ等を集積したものであり、第2のPWM出力信号VEは、図7の1周期TにおけるL/Hの比率情報(例:オン−デューティー)を有するから、マイクロプロセッサのタイマ・カウンターポートで読み取ることができる。つまり、「ローレベル」「ハイレベル」の期間を一定時間カウント(計数)して「ローレベル」と「ハイレベル」との比率に基づいて被測定電流値が最終的に計算され、センサ出力が得られる。被測定電流値の分解能は、マイクロプロセッサのクロック周波数と内蔵カウンタの分解能の関数となる。
【0040】
この実施の形態1によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0041】
(1) 本実施の形態に係る電流センサによれば、被測定電流Isの測定情報をアナログ電圧値で伝送するのではなく、信号振幅に依存しないパルス幅情報としてデジタル的に伝送することにより、外部ノイズの影響を極力低減可能であり、従来例(特許文献1)で採用せざるを得なかった「同期検波回路」(従来例では測定電圧が数mVの微小値に対してノイズのレベルが高く、S/N比が悪いため「発振回路」と発生電圧の同期を取って検波していた)を不要にできる。
【0042】
(2) 高圧側(HVブロック)と低圧側(LVブロック)とを電気的に絶縁するために、発光ダイオードとフォトトランジスタの組からなるフォトカプラを使用せずに、磁気カプラ5を使用することで、応答性を改善することが可能であり、使用周波数を高く設定することで、磁気カプラ5の送信コイル11及び受信コイル12の組は十分小型化(あるいは薄型化できる)。
【0043】
(3) 外部ノイズの影響を受けにくく、測定精度を高めることができる。例えば、従来例のフルスケールでの測定誤差±3%程度に対し、本実施の形態では±1%程度に改善できる。
【0044】
(4) 車載用の場合、磁気カプラ5、比較器6及び処理回路部7はECU内に収納されるため、高圧側(HVブロック)の比較器4と磁気カプラ5とを接続する配線が長くなるが、比較器4出力はPWM出力であって、電圧振幅の変動の影響を受けないので、外部ノイズの影響を受けにくい。
【0045】
(5) 処理回路部7として1チップマイコンとして市販されているマイクロプロセッサを使用でき、そのタイマ・カウンターポートに第2のPWM出力信号VEを入力することで、第2のPWM出力信号VEの「ローレベル」と「ハイレベル」との比率に基づいて被測定電流値を計測でき、パルス幅変調された波形の読み取りを簡素な回路構成で実現でき、しかも高速応答可能となる。
【0046】
図8は本発明の実施の形態2を示す。この場合、磁気カプラ及びその後段の比較器の構成が異なっている。磁気カプラ15は、相互に磁気的に結合されるが電気的に絶縁された送信コイル11及び磁気感応素子としてのSV−GMR素子16を有する。送信コイル11は、例えば図9のようにフェライト等の強磁性体ドラムコア21に巻線22を巻回したチップインダクタ20であり、絶縁体シート(基板も含む)23の一面に設けられて固定され、SV−GMR素子16は絶縁体シート23の他の面に設けられて固定され、絶縁体シート23にて互いに電気的に絶縁した構造としている。そして、巻線22に比較器4の第1のPWM出力信号VDを供給し、チップインダクタ20が発生する交流磁界(第1のPWM出力信号のパルス幅と一致して磁界が変化する)をSV−GMR素子16を貫通するように印加し、非接触でパルス幅情報を伝達する。
【0047】
動作原理上は、磁気カプラ15に用いる磁気感応素子は磁気変化量を電気量の変化として取り出すことが可能なものであればよいが、高速応答性で高感度であることを考慮すると、磁気抵抗素子の中でもGMR素子、とくにSV−GMR素子が好ましい。
【0048】
SV−GMR素子は、磁化方向が一方向に固定された強磁性体のピン層と、電流が主として流れる非磁性体を介して前記ピン層に積層された強磁性体のフリー層とからなる磁気抵抗効果膜を有し、ピン層は外部磁界(外部磁束)によって磁化方向は変化せず、フリー層の磁化方向は外部磁界(外部磁束)の方向に変化する。ここで、磁気抵抗効果膜におけるピン層の磁化方向とフリー層の磁化方向(つまり外部磁界の方向)とが平行であるが向きが逆のとき、つまり反平行のとき、抵抗変化率はプラスとなり、高抵抗状態となる。また、ピン層の磁化方向とフリー層の磁化方向(つまり外部磁界の方向)とが平行でかつ向きが同じとき、つまり順平行のとき、抵抗変化率はマイナスとなり、低抵抗状態となる。
【0049】
本例では、比較器4の第1のPWM出力信号がチップインダクタ20の巻線22に流れることに起因する磁束がSV−GMR素子16のピン層磁化方向に平行に加わるように配置することが好ましい。
【0050】
図8のように、磁気カプラ15内のSV−GMR素子16の直流バイアス回路は、一定電圧(例えば直流5V)の直流電源VccにSV−GMR素子16と直列抵抗R3とを接続して、直流バイアスを付与している。そして、SV−GMR素子16と直列抵抗R3との接続点から、SV−GMR素子16の周期的な抵抗変化(前記磁束の変化に対応)に応じた図10の電圧信号VFが比較器6に出力される。図10のように、電圧信号VFは直流バイアスを中心として交流波形(比較器4の出力と同じパルス幅情報を持つ)が重畳している。
【0051】
波形整形機能を有する比較器6は、その反転入力端に基準電圧Vref(例:2.5V)が印加され、非反転入力端には磁気カプラ15の電圧信号VFが供給される。基準電圧Vrefは、図10の電圧信号VFの最大値と最小値の中間値(前記直流バイアスに略一致する値)に設定され、これにより、比較器6の出力として図7のロジックレベルのパルス幅変調された第2のPWM出力信号VE(比較器4の出力と同じパルス幅情報を持つ)が得られる。
【0052】
なお、実施の形態2のその他の回路構成は、図1の実施の形態1と同様であり、同一又は相当部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
この実施の形態2によれば、フォトトランジスタを使用せずに、高速応答性の磁気抵抗素子(具体的にはSV−GMR素子16)を磁気感応素子として用いた磁気カプラ15を使用することで、高速応答が可能であり、数GHz程度まで高速化可能である。また、SV−GMR素子16は超小型であり、送信コイルと受信コイルの組を用いる場合よりもさらに小型化できる。
【0054】
図11(A),(B)は上記実施の形態2で使用できる磁気カプラ15の他の例であり、少なくとも1つのスパイラル状コイル30が巻かれた強磁性体(パーマロイ等)の磁気コア31の一部にギャップGを設け、コア31に対し電気的に絶縁して磁気感応素子としてのSV−GMR素子16をギャップGに配置した構造としている。これにより、比較器4の第1のPWM出力信号VDのパルス幅と一致して磁界が変化する交流磁界をSV−GMR素子16に印加し、非接触でパルス幅情報を伝達する。なお、スパイラル状コイル30とコア31間は非絶縁でもかまわない。
【0055】
図12(A),(B)は上記実施の形態2で使用できる磁気カプラ15の他の例であり、少なくとも1つのソレノイド状コイル40が巻かれた強磁性体(パーマロイ等)のコア41の一部にギャップGを設け、コア41に対し電気的に絶縁して磁気感応素子としてのSV−GMR素子16をギャップGに配置した構造としている。この場合も比較器4の第1のPWM出力信号VDのパルス幅と一致して磁界が変化する交流磁界をSV−GMR素子16に印加し、非接触でパルス幅情報を伝達できる。
【0056】
上記実施の形態1,2では処理回路部7としてマイクロプロセッサを用いた場合で説明したが、処理回路部7として図13の平均値化回路50を用いることもできる。平均値化回路50は抵抗R4とコンデンサC1とからなる積分回路であり、第2のPWM出力信号VEを平均化して直流のセンサ出力Voutを得ることができる。
【0057】
図14は平均値化回路50を用いたときの入出力特性の1例であり、被測定電流Isとセンサ出力Voutとの関係を示す。被測定電流Is=+200Aでセンサ出力Vout=0.5V、被測定電流Is=0Aでセンサ出力Vout=2.5V、被測定電流Is=−200Aでセンサ出力Vout=4.5Vとなる。
【0058】
図15は実施の形態1,2の三角波発生器の代わりにノコギリ波発生器(図示せず)を用いた場合のパルス幅変調動作を示す。ノコギリ波発生器は、図15(A1),(A2),(A3)に示すノコギリ波信号VGを発生するものであり、そのノコギリ波信号は、傾斜が直線的で、単調増加期間の直線性が良好な波形となっている。
【0059】
ノコギリ波発生器からのノコギリ波信号VGは実施の形態1,2における比較器4の一方の入力端(非反転入力端)に印加され、比較器4の他方の入力端(反転入力端)には増幅器2の出力信号(出力電圧VB)が供給される。
【0060】
図15で比較器4の動作を説明すると、被測定電流Is=+200Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは+2Vとなり、図15(A1)におけるノコギリ波信号VGが+2Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B1)のようにハイレベルとなる。ここでは、デューティー比=10%となるように予めノコギリ波信号を設定する。
【0061】
被測定電流Is=0Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは0Vとなり、図15(A2)におけるノコギリ波信号VGが0Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B2)のようにハイレベルとなり、デューティー比=50%となる。
【0062】
被測定電流Is=−200Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは−2Vとなり、図15(A3)におけるノコギリ波信号VGが−2Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B3)のようにハイレベルとなり、デューティー比=90%となる。
【0063】
なお、その他の動作は前述の実施の形態1,2と同様である。
【0064】
上述の実施の形態1,2において、比較器4の反転入力端に三角波又はノコギリ波を印加し、増幅器2の出力電圧VBを非反転入力端に供給する構成でもよい。この場合、被測定電流Is−デューティー比特性が逆になる(被測定電流Is増加でデューティー比が直線的に増加する)。
【0065】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る電流センサの実施の形態1であって全体構成のブロック図である。
【図2】実施の形態における被測定電流Isと検出抵抗器両端の検出電圧VAとの関係を示すグラフである。
【図3】被測定電流Isと増幅器の出力電圧VBとの関係を示すグラフである。
【図4】三角波信号及び増幅器の出力電圧VBと、第1の比較器の出力である第1のPWM出力信号との関係を示す波形図である。
【図5】被測定電流Isと第1のPWM出力信号のデューティー比との関係を示すグラフである。
【図6】実施の形態1における磁気カプラの1例を示す正断面図である。
【図7】LVブロック側の第2の比較器の出力である第2のPWM出力信号の波形図である。
【図8】本発明に係る電流センサの実施の形態2であって全体構成のブロック図である。
【図9】実施の形態2における磁気カプラの1例を示す正断面図である。
【図10】磁気カプラの出力電圧信号VFの波形図である。
【図11】磁気カプラの他の例であって、(A)は斜視図、(B)は平断面図である。
【図12】磁気カプラの他の例であって、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図13】実施の形態1,2で使用できる処理回路部の他の例を示す回路図である。
【図14】図13の処理回路部を用いたときの被測定電流Isとセンサ出力電圧Voutとの関係を示す出力特性図である。
【図15】三角波の代わりにノコギリ波を用いた場合の動作説明用の波形図である。
【符号の説明】
【0067】
1 検出抵抗器
2 増幅器
3 三角波発生器
4,6 比較器
5,15 磁気カプラ
7 処理回路部
10 絶縁体シート
11 送信コイル
12 受信コイル
16 SV−GMR素子
20 チップインダクタ
30 スパイラル状コイル
31,41 コア
40 ソレノイド状コイル
50 平均値化回路
C1 コンデンサ
G ギャップ
OP1 演算増幅器
R1〜R4 抵抗
Vref 基準電圧
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械や、ハイブリッドカー、EV車(電気自動車)等に使用される「電流値測定用の電流センサ」に係り、特に「被測定電流が流れる検出抵抗」と「測定結果の処理回路部」とを「磁気カプラ」により、電気的に絶縁した電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電流値の測定方法として、被測定電流が流れる電路に検出抵抗器を挿入し、その両端の電圧を測定し、検出抵抗器の既知の抵抗値からオームの法則により被測定電流を測定するのが一般的であるが、
(1)例えば、ノイズ環境が非常に悪い工場等(例:ロボットが車を組み立てるライン等)においては、検出抵抗器の抵抗値を100μΩとし、被測定電流が200A時、両端電圧は20mVの微小電圧しか発生せず、小電流では数mVの信号しか発生しないため、外部からのノイズの影響で「測定結果の処理回路部」にもノイズが混入し、S/N比が悪化し、測定結果の誤差が大きくなるため、被測定電流側と「測定結果の処理回路部」とを電気的に絶縁し、ノイズの影響を極力取り除いて測定誤差を小さくする必要がある。
(2)例えば、ハイブリッドカーやEV車においては、モーター駆動に大電力を要するため、なるべく小電流にして電線の熱損失を減少させる目的で、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池の動作電圧をHV(High-Voltage;200V〜400V程度の高電圧)にして使用するが、ECU側(マイクロプロセッサ、A−Dコンバータやその他のロジック系ICで構成される)は5V系のLV(Low-Voltage;低電圧)を使用するため、部品の破壊防止と感電防止の理由により、前記HVブロックとLVブロックは、必ず絶縁する必要がある。
【0003】
上記(1),(2)の例に示すように、「被測定電流が流れる検出抵抗器」と「測定結果の処理回路部」とを電気的に絶縁した構造の電流センサが求められている。
【0004】
従来技術としては、下記特許文献1の「電気量検出センサ」がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−196020号公報 この特許文献1では、絶縁すべき1次側ブロックを、検出抵抗器と、この両端間に接続されたフォトトランジスタ及びトランス1次巻線の直列回路とで構成し、2次側ブロックの発光ダイオードを発振回路出力で断続的に点滅させ、1次側のフォトトランジスタをオン/オフさせて、1次側の検出抵抗器に発生した電圧をトランス2次側巻線に電磁誘導させ、前記発振回路出力を基準として同期検波して出力を得ている。
【0006】
前記特許文献1の問題点として下記の点が挙げられる。
(1)測定電流値、即ち検出抵抗器両端に発生するアナログ電圧をトランス(絶縁手段)を介して伝送し、巻き数比だけにより発生したノイズを含んだ状態の微小電圧の振幅をアナログ値として伝送するため、S/N比が悪化し、測定誤差が大きくなってしまう。
(2)断続手段として、フォトトランジスタを使用しているため、応答性が10μs程度であり、断続周波数が数百kHz程度にしか上がらず、応答が遅い。
【0007】
具体的には、例えば電力損失を2Wにするには、被測定電流が200Aで、検出抵抗器の抵抗値が100μΩ、発生電圧が20mV(200Aフルスケール時)となる。従って、例えば被測定電流50A時、発生電圧5mVという微小電圧となり、ノイズによるS/N比が悪い状態でアナログ電圧値を伝送するため、誤差が大きくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の点に鑑み、被測定電流を検出したアナログ電圧値をパルス幅情報に変換してデジタル的に伝送することで、電流測定情報が受けるノイズの影響を極力少なくして高精度の電流測定結果が得られる電流センサを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、高圧側と低圧側とを電気的に絶縁するために高速応答性の磁気カプラを用い、被測定電流を検出したアナログ電圧値をパルス幅情報として前記磁気カプラを介して伝送することで、応答性良く電流測定結果を得ることのできる電流センサを提供することをもう一つの目的とする。
【0010】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のある態様の電流センサは、被測定電流が流れる検出抵抗と、その両端に発生する検出電圧又は前記検出電圧に正比例した電圧が一方の入力端に印加され、かつ傾斜が直線状の三角波又はノコギリ波が他方の入力端に印加される第1の比較器と、前記検出電圧によってパルス幅が変化する第1の比較器の第1のPWM出力信号を、電気的に絶縁して伝達する磁気カプラとを備えたことを特徴としている。
【0012】
前記電流センサにおいて、前記磁気カプラの出力信号が一方の入力端に印加され、かつ他方の入力端に基準電圧が印加される第2の比較器をさらに備えていてもよく、この場合、前記第2の比較器はロジックレベルの第2のPWM出力信号を出力することができる。
【0013】
前記電流センサにおいて、前記第2のPWM出力信号はマイクロプロセッサに入力され、前記マイクロプロセッサで前記第2のPWM出力信号のデューティー比を演算してセンサ出力としてもよい。
【0014】
前記電流センサにおいて、前記第2のPWM出力信号を平均値に変換してセンサ出力としてもよい。
【0015】
前記電流センサにおいて、前記磁気カプラは、相互に磁気的に結合されるが電気的に絶縁された送信コイル及び受信コイルを有し、前記送信コイルに前記第1のPWM出力信号を供給する構成としてもよい。
【0016】
あるいは、前記磁気カプラは、絶縁体の片側にインダクタを設け、もう片側に磁気感応素子を設けて互いに電気的に絶縁された構造とし、前記インダクタに前記第1のPWM出力信号を供給し、前記インダクタが発生する交流磁界を前記磁気感応素子に印加し、非接触で前記第1のPWM出力信号のパルス幅情報を伝達する構成であってもよい。
【0017】
あるいは、前記磁気カプラは、コイルが巻かれた強磁性体のコアの一部にギャップを設け、前記コアに対し電気的に絶縁して磁気感応素子を前記ギャップに配置した構造とし、前記コイルに前記第1のPWM出力信号を供給し、前記コイルによる交流磁界を前記磁気感応素子に印加し、非接触で前記第1のPWM出力信号のパルス幅情報を伝達する構成であってもよい。
【0018】
さらに、前記磁気感応素子は磁気抵抗素子であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電流センサによれば、被測定電流の測定情報をアナログ電圧値で伝送するのではなく、信号振幅に依存しないパルス幅情報として伝送することにより、電圧の振幅変化による影響は全く無くなり、外部ノイズの影響を極力低減可能であり、従来例(特許文献1)で採用せざるを得なかった「同期検波回路」(従来例では測定電圧が数mVの微小値に対してノイズのレベルが高く、S/N比が悪いため「発振回路」と発生電圧の同期を取って検波していた)を不要にできる。被測定電流の測定情報が受けるノイズの影響を極力少なくできるため、電磁ノイズ環境の悪い車載用としてあるいは工場で使用しても電流値測定結果を高精度にすることが可能である。測定誤差に関しては、従来例のフルスケールでの測定誤差±3%程度に対し、本発明では±1%程度にまで改善できる。
【0020】
また、高圧側と低圧側とを電気的に絶縁するために、発光ダイオードとフォトトランジスタの組からなるフォトカプラを使用せずに、磁気カプラを使用することで、応答性を改善することが可能であり、特に磁気カプラ内の磁気感応素子として磁気抵抗素子(ここでは巨大磁気抵抗素子(以下、GMR素子)やスピンバルブ巨大磁気抵抗素子(以下、SV−GMR素子)をも含む概念とする)を用いることで、応答性を数GHz程度まで高速化可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、電流センサの実施の形態を図面に従って説明する。
【0022】
図1は本発明に係る電流センサの実施の形態1を示し、高電圧バッテリーB1から負荷RLに被測定電流Isが流れる経路に挿入された検出抵抗器1と、その両端に発生する検出電圧VAを増幅する増幅器2と、三角波信号を発生する三角波発生器3と、増幅器2の出力電圧VB及び三角波信号を受ける比較器(コンパレータ)4と、比較器4によるPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)出力信号を電気的に絶縁して伝送する磁気カプラ5と、磁気カプラ5の出力信号を波形整形する比較器6(波形整形器)と、波形整形後のPWM出力信号を受け、当該PWM出力信号から被測定電流値を計測する処理回路部7とを備えている。比較器4によるPWM出力信号発生については後述する。
【0023】
ここで、検出抵抗器1、増幅器2、三角波発生器3、及び比較器4はHVブロックで、比較器6及び処理回路部7はLVブロックであり、磁気カプラ5は両者を電気的に絶縁してPWM出力信号の信号伝送を行うものである。増幅器2、三角波発生器3及び比較器4はHVブロックに属するが、動作電圧は低電圧であるため、LVブロックから電気的に絶縁された低電圧電源を用意している。なお、HVブロックのアース記号とLVブロックのアース記号とはフローティングとなっている(相互に絶縁されている。)。
【0024】
検出抵抗器1は本例では100μΩであり、被測定電流Is=±200Aフルスケールで発生電圧±20mVに設定している。図2は被測定電流Isと検出抵抗器1両端の検出電圧VAとの関係を示す。
【0025】
増幅器2は非反転増幅器であり、演算増幅器OP1と抵抗R1,R2とを有しており、検出抵抗器1の一端が演算増幅器OP1の非反転入力端に接続され、演算増幅器OP1の反転入力端は抵抗R2を介して検出抵抗器1の他端とともにHVブロックのグランドに接続されている。検出抵抗器1の両端に発生する検出電圧VAと増幅器2の出力電圧VBとはリニアな関係にあり、従って、被測定電流Isと増幅器2の出力電圧VBとは図3のようにリニアな関係となる。被測定電流Is=0Aのとき、出力電圧VB=0Vとなり、被測定電流Isが負のときは出力電圧VBは負電圧となり、被測定電流Isが正のときは出力電圧も正電圧となる。図3の場合、増幅器2の増幅度=100とした。
【0026】
なお、検出抵抗器1の抵抗値を大きくした場合は、増幅器2は省略できる。
【0027】
三角波発生器3は、図4(A1),(A2),(A3)に示す三角波信号VCを発生するものであり、その三角波信号は、2等辺三角形の2等辺を成す波形であり、直線性の良好な波形を発生可能なものとする。
【0028】
三角波発生器3からの三角波信号VCは比較器4の一方の入力端(非反転入力端)に印加され、比較器4の他方の入力端(反転入力端)には増幅器2の出力信号(出力電圧VB)が供給される。
【0029】
図4で比較器4の動作を説明すると、被測定電流Is=+200Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは+2Vとなり、図4(A1)における三角波信号VCが+2Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B1)のようにハイレベルとなる。ここでは、デューティー比(Duty ratio)=10%となるように予め三角波信号を設定する。
【0030】
被測定電流Is=0Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは0Vとなり、図4(A2)における三角波信号VCが0Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B2)のようにハイレベルとなり、デューティー比=50%となる。
【0031】
被測定電流Is=−200Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは−2Vとなり、図4(A3)における三角波信号VCが−2Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B3)のようにハイレベルとなり、デューティー比=90%となる。
【0032】
図5は被測定電流Isと比較器4の出力電圧VDのデューティー比との関係を示す。三角波信号VCの傾きは直線的であるから、被測定電流Is=+200Aから−200Aに至るまで直線的にデューティー比が増加するようにパルス幅変調された第1のPWM出力信号を比較器4が出力することがわかる。
【0033】
図6は磁気カプラ5の1例であり、相互に磁気的に結合されるが電気的に絶縁された送信コイル11及び受信コイル12を有する。例えば、送信コイル11は絶縁体シート(基板も含む)10の一面に固着され、受信コイル12は送信コイル11と磁気結合するように絶縁体シート10の他の面に固着される。送信コイル11及び受信コイル12はフェライト等の磁気コアに巻線を施したものでよいが、高い周波数で動作させる場合には磁気コアを省略した空心コイルとしてもよい。
【0034】
図1のように、送信コイル11には比較器4の前記第1のPWM出力信号が供給され、受信コイル12に誘起した電圧が比較器(コンパレータ)6の一方の入力端(非反転入力端)に印加される。なお、比較器6の他方の入力端(反転入力端)は受信コイル12のグランド側端とともにLVブロックのグランドに接続されている。
【0035】
比較器6は波形整形器として機能するものであり、比較器6の出力として、図7のようにローレベル(L)とハイレベル(H)とを繰り返すデジタル的なロジックレベル(ロジックICの入力信号としてそのまま使用できる信号レベル)のパルス幅変調された第2のPWM出力信号VE(比較器4の出力と同じパルス幅情報を持つ)が得られる。
【0036】
そして、比較器6は、被測定電流Is=+200Aのとき、図4(B1)に示したデューティー比10%の第1のPWM出力信号VDに対応した図7(A)の第2のPWM出力信号VEをロジックレベルで処理回路部7へ出力する。第1のPWM出力信号VDと第2のPWM出力信号VEのデューティー比は一致し、この場合、第2のPWM出力信号VEのデューティー比は10%となる。
【0037】
比較器6は、被測定電流Is=0Aのとき、図4(B2)に示したデューティー比50%の第1のPWM出力信号VDに対応した図7(B)の第2のPWM出力信号VE(デューティー比50%)をロジックレベルで出力する。
【0038】
比較器6は、被測定電流Is=+200Aのとき、図4(B3)に示したデューティー比90%の第1のPWM出力信号VDに対応した図7(C)の第2のPWM出力信号VE(デューティー比90%)をロジックレベルで出力する。
【0039】
前記第2のPWM出力信号VEから被測定電流値を計測する処理回路部7としては、いわゆる1チップマイコンとして市販されているマイクロプロセッサを使用できる。1チップマイコンとしては、1つのICチップ内にCPU、プログラムメモリ、データメモリ、入出力ポート、タイマ等を集積したものであり、第2のPWM出力信号VEは、図7の1周期TにおけるL/Hの比率情報(例:オン−デューティー)を有するから、マイクロプロセッサのタイマ・カウンターポートで読み取ることができる。つまり、「ローレベル」「ハイレベル」の期間を一定時間カウント(計数)して「ローレベル」と「ハイレベル」との比率に基づいて被測定電流値が最終的に計算され、センサ出力が得られる。被測定電流値の分解能は、マイクロプロセッサのクロック周波数と内蔵カウンタの分解能の関数となる。
【0040】
この実施の形態1によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0041】
(1) 本実施の形態に係る電流センサによれば、被測定電流Isの測定情報をアナログ電圧値で伝送するのではなく、信号振幅に依存しないパルス幅情報としてデジタル的に伝送することにより、外部ノイズの影響を極力低減可能であり、従来例(特許文献1)で採用せざるを得なかった「同期検波回路」(従来例では測定電圧が数mVの微小値に対してノイズのレベルが高く、S/N比が悪いため「発振回路」と発生電圧の同期を取って検波していた)を不要にできる。
【0042】
(2) 高圧側(HVブロック)と低圧側(LVブロック)とを電気的に絶縁するために、発光ダイオードとフォトトランジスタの組からなるフォトカプラを使用せずに、磁気カプラ5を使用することで、応答性を改善することが可能であり、使用周波数を高く設定することで、磁気カプラ5の送信コイル11及び受信コイル12の組は十分小型化(あるいは薄型化できる)。
【0043】
(3) 外部ノイズの影響を受けにくく、測定精度を高めることができる。例えば、従来例のフルスケールでの測定誤差±3%程度に対し、本実施の形態では±1%程度に改善できる。
【0044】
(4) 車載用の場合、磁気カプラ5、比較器6及び処理回路部7はECU内に収納されるため、高圧側(HVブロック)の比較器4と磁気カプラ5とを接続する配線が長くなるが、比較器4出力はPWM出力であって、電圧振幅の変動の影響を受けないので、外部ノイズの影響を受けにくい。
【0045】
(5) 処理回路部7として1チップマイコンとして市販されているマイクロプロセッサを使用でき、そのタイマ・カウンターポートに第2のPWM出力信号VEを入力することで、第2のPWM出力信号VEの「ローレベル」と「ハイレベル」との比率に基づいて被測定電流値を計測でき、パルス幅変調された波形の読み取りを簡素な回路構成で実現でき、しかも高速応答可能となる。
【0046】
図8は本発明の実施の形態2を示す。この場合、磁気カプラ及びその後段の比較器の構成が異なっている。磁気カプラ15は、相互に磁気的に結合されるが電気的に絶縁された送信コイル11及び磁気感応素子としてのSV−GMR素子16を有する。送信コイル11は、例えば図9のようにフェライト等の強磁性体ドラムコア21に巻線22を巻回したチップインダクタ20であり、絶縁体シート(基板も含む)23の一面に設けられて固定され、SV−GMR素子16は絶縁体シート23の他の面に設けられて固定され、絶縁体シート23にて互いに電気的に絶縁した構造としている。そして、巻線22に比較器4の第1のPWM出力信号VDを供給し、チップインダクタ20が発生する交流磁界(第1のPWM出力信号のパルス幅と一致して磁界が変化する)をSV−GMR素子16を貫通するように印加し、非接触でパルス幅情報を伝達する。
【0047】
動作原理上は、磁気カプラ15に用いる磁気感応素子は磁気変化量を電気量の変化として取り出すことが可能なものであればよいが、高速応答性で高感度であることを考慮すると、磁気抵抗素子の中でもGMR素子、とくにSV−GMR素子が好ましい。
【0048】
SV−GMR素子は、磁化方向が一方向に固定された強磁性体のピン層と、電流が主として流れる非磁性体を介して前記ピン層に積層された強磁性体のフリー層とからなる磁気抵抗効果膜を有し、ピン層は外部磁界(外部磁束)によって磁化方向は変化せず、フリー層の磁化方向は外部磁界(外部磁束)の方向に変化する。ここで、磁気抵抗効果膜におけるピン層の磁化方向とフリー層の磁化方向(つまり外部磁界の方向)とが平行であるが向きが逆のとき、つまり反平行のとき、抵抗変化率はプラスとなり、高抵抗状態となる。また、ピン層の磁化方向とフリー層の磁化方向(つまり外部磁界の方向)とが平行でかつ向きが同じとき、つまり順平行のとき、抵抗変化率はマイナスとなり、低抵抗状態となる。
【0049】
本例では、比較器4の第1のPWM出力信号がチップインダクタ20の巻線22に流れることに起因する磁束がSV−GMR素子16のピン層磁化方向に平行に加わるように配置することが好ましい。
【0050】
図8のように、磁気カプラ15内のSV−GMR素子16の直流バイアス回路は、一定電圧(例えば直流5V)の直流電源VccにSV−GMR素子16と直列抵抗R3とを接続して、直流バイアスを付与している。そして、SV−GMR素子16と直列抵抗R3との接続点から、SV−GMR素子16の周期的な抵抗変化(前記磁束の変化に対応)に応じた図10の電圧信号VFが比較器6に出力される。図10のように、電圧信号VFは直流バイアスを中心として交流波形(比較器4の出力と同じパルス幅情報を持つ)が重畳している。
【0051】
波形整形機能を有する比較器6は、その反転入力端に基準電圧Vref(例:2.5V)が印加され、非反転入力端には磁気カプラ15の電圧信号VFが供給される。基準電圧Vrefは、図10の電圧信号VFの最大値と最小値の中間値(前記直流バイアスに略一致する値)に設定され、これにより、比較器6の出力として図7のロジックレベルのパルス幅変調された第2のPWM出力信号VE(比較器4の出力と同じパルス幅情報を持つ)が得られる。
【0052】
なお、実施の形態2のその他の回路構成は、図1の実施の形態1と同様であり、同一又は相当部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
この実施の形態2によれば、フォトトランジスタを使用せずに、高速応答性の磁気抵抗素子(具体的にはSV−GMR素子16)を磁気感応素子として用いた磁気カプラ15を使用することで、高速応答が可能であり、数GHz程度まで高速化可能である。また、SV−GMR素子16は超小型であり、送信コイルと受信コイルの組を用いる場合よりもさらに小型化できる。
【0054】
図11(A),(B)は上記実施の形態2で使用できる磁気カプラ15の他の例であり、少なくとも1つのスパイラル状コイル30が巻かれた強磁性体(パーマロイ等)の磁気コア31の一部にギャップGを設け、コア31に対し電気的に絶縁して磁気感応素子としてのSV−GMR素子16をギャップGに配置した構造としている。これにより、比較器4の第1のPWM出力信号VDのパルス幅と一致して磁界が変化する交流磁界をSV−GMR素子16に印加し、非接触でパルス幅情報を伝達する。なお、スパイラル状コイル30とコア31間は非絶縁でもかまわない。
【0055】
図12(A),(B)は上記実施の形態2で使用できる磁気カプラ15の他の例であり、少なくとも1つのソレノイド状コイル40が巻かれた強磁性体(パーマロイ等)のコア41の一部にギャップGを設け、コア41に対し電気的に絶縁して磁気感応素子としてのSV−GMR素子16をギャップGに配置した構造としている。この場合も比較器4の第1のPWM出力信号VDのパルス幅と一致して磁界が変化する交流磁界をSV−GMR素子16に印加し、非接触でパルス幅情報を伝達できる。
【0056】
上記実施の形態1,2では処理回路部7としてマイクロプロセッサを用いた場合で説明したが、処理回路部7として図13の平均値化回路50を用いることもできる。平均値化回路50は抵抗R4とコンデンサC1とからなる積分回路であり、第2のPWM出力信号VEを平均化して直流のセンサ出力Voutを得ることができる。
【0057】
図14は平均値化回路50を用いたときの入出力特性の1例であり、被測定電流Isとセンサ出力Voutとの関係を示す。被測定電流Is=+200Aでセンサ出力Vout=0.5V、被測定電流Is=0Aでセンサ出力Vout=2.5V、被測定電流Is=−200Aでセンサ出力Vout=4.5Vとなる。
【0058】
図15は実施の形態1,2の三角波発生器の代わりにノコギリ波発生器(図示せず)を用いた場合のパルス幅変調動作を示す。ノコギリ波発生器は、図15(A1),(A2),(A3)に示すノコギリ波信号VGを発生するものであり、そのノコギリ波信号は、傾斜が直線的で、単調増加期間の直線性が良好な波形となっている。
【0059】
ノコギリ波発生器からのノコギリ波信号VGは実施の形態1,2における比較器4の一方の入力端(非反転入力端)に印加され、比較器4の他方の入力端(反転入力端)には増幅器2の出力信号(出力電圧VB)が供給される。
【0060】
図15で比較器4の動作を説明すると、被測定電流Is=+200Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは+2Vとなり、図15(A1)におけるノコギリ波信号VGが+2Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B1)のようにハイレベルとなる。ここでは、デューティー比=10%となるように予めノコギリ波信号を設定する。
【0061】
被測定電流Is=0Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは0Vとなり、図15(A2)におけるノコギリ波信号VGが0Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B2)のようにハイレベルとなり、デューティー比=50%となる。
【0062】
被測定電流Is=−200Aのとき、図3から増幅器2の出力電圧VBは−2Vとなり、図15(A3)におけるノコギリ波信号VGが−2Vよりも高い電圧となる範囲で比較器4の出力電圧VDは同図(B3)のようにハイレベルとなり、デューティー比=90%となる。
【0063】
なお、その他の動作は前述の実施の形態1,2と同様である。
【0064】
上述の実施の形態1,2において、比較器4の反転入力端に三角波又はノコギリ波を印加し、増幅器2の出力電圧VBを非反転入力端に供給する構成でもよい。この場合、被測定電流Is−デューティー比特性が逆になる(被測定電流Is増加でデューティー比が直線的に増加する)。
【0065】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る電流センサの実施の形態1であって全体構成のブロック図である。
【図2】実施の形態における被測定電流Isと検出抵抗器両端の検出電圧VAとの関係を示すグラフである。
【図3】被測定電流Isと増幅器の出力電圧VBとの関係を示すグラフである。
【図4】三角波信号及び増幅器の出力電圧VBと、第1の比較器の出力である第1のPWM出力信号との関係を示す波形図である。
【図5】被測定電流Isと第1のPWM出力信号のデューティー比との関係を示すグラフである。
【図6】実施の形態1における磁気カプラの1例を示す正断面図である。
【図7】LVブロック側の第2の比較器の出力である第2のPWM出力信号の波形図である。
【図8】本発明に係る電流センサの実施の形態2であって全体構成のブロック図である。
【図9】実施の形態2における磁気カプラの1例を示す正断面図である。
【図10】磁気カプラの出力電圧信号VFの波形図である。
【図11】磁気カプラの他の例であって、(A)は斜視図、(B)は平断面図である。
【図12】磁気カプラの他の例であって、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図13】実施の形態1,2で使用できる処理回路部の他の例を示す回路図である。
【図14】図13の処理回路部を用いたときの被測定電流Isとセンサ出力電圧Voutとの関係を示す出力特性図である。
【図15】三角波の代わりにノコギリ波を用いた場合の動作説明用の波形図である。
【符号の説明】
【0067】
1 検出抵抗器
2 増幅器
3 三角波発生器
4,6 比較器
5,15 磁気カプラ
7 処理回路部
10 絶縁体シート
11 送信コイル
12 受信コイル
16 SV−GMR素子
20 チップインダクタ
30 スパイラル状コイル
31,41 コア
40 ソレノイド状コイル
50 平均値化回路
C1 コンデンサ
G ギャップ
OP1 演算増幅器
R1〜R4 抵抗
Vref 基準電圧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定電流が流れる検出抵抗と、
その両端に発生する検出電圧又は前記検出電圧に正比例した電圧が一方の入力端に印加され、かつ傾斜が直線状の三角波又はノコギリ波が他方の入力端に印加される第1の比較器と、
前記検出電圧によってパルス幅が変化する第1の比較器の第1のPWM出力信号を、電気的に絶縁して伝達する磁気カプラとを備えたことを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
前記磁気カプラの出力信号が一方の入力端に印加され、かつ他方の入力端に基準電圧が印加される第2の比較器をさらに備え、前記第2の比較器はロジックレベルの第2のPWM出力信号を出力することを特徴とする請求項1記載の電流センサ。
【請求項3】
前記第2のPWM出力信号はマイクロプロセッサに入力され、前記マイクロプロセッサで前記第2のPWM出力信号のデューティー比を演算してセンサ出力とすることを特徴とする請求項2記載の電流センサ。
【請求項4】
前記第2のPWM出力信号を平均値に変換してセンサ出力とすることを特徴とする請求項2記載の電流センサ。
【請求項5】
前記磁気カプラは、相互に磁気的に結合されるが電気的に絶縁された送信コイル及び受信コイルを有し、前記送信コイルに前記第1のPWM出力信号を供給することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の電流センサ。
【請求項6】
前記磁気カプラは、絶縁体の片側にインダクタを設け、もう片側に磁気感応素子を設けて互いに電気的に絶縁された構造とし、前記インダクタに前記第1のPWM出力信号を供給し、前記インダクタが発生する交流磁界を前記磁気感応素子に印加し、非接触で前記第1のPWM出力信号のパルス幅情報を伝達することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の電流センサ。
【請求項7】
前記磁気カプラは、コイルが巻かれた強磁性体のコアの一部にギャップを設け、前記コアに対し電気的に絶縁して磁気感応素子を前記ギャップに配置した構造とし、前記コイルに前記第1のPWM出力信号を供給し、前記コイルによる交流磁界を前記磁気感応素子に印加し、非接触で前記第1のPWM出力信号のパルス幅情報を伝達することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の電流センサ。
【請求項8】
前記磁気感応素子が磁気抵抗素子であることを特徴とする請求項6又は7記載の電流センサ。
【請求項1】
被測定電流が流れる検出抵抗と、
その両端に発生する検出電圧又は前記検出電圧に正比例した電圧が一方の入力端に印加され、かつ傾斜が直線状の三角波又はノコギリ波が他方の入力端に印加される第1の比較器と、
前記検出電圧によってパルス幅が変化する第1の比較器の第1のPWM出力信号を、電気的に絶縁して伝達する磁気カプラとを備えたことを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
前記磁気カプラの出力信号が一方の入力端に印加され、かつ他方の入力端に基準電圧が印加される第2の比較器をさらに備え、前記第2の比較器はロジックレベルの第2のPWM出力信号を出力することを特徴とする請求項1記載の電流センサ。
【請求項3】
前記第2のPWM出力信号はマイクロプロセッサに入力され、前記マイクロプロセッサで前記第2のPWM出力信号のデューティー比を演算してセンサ出力とすることを特徴とする請求項2記載の電流センサ。
【請求項4】
前記第2のPWM出力信号を平均値に変換してセンサ出力とすることを特徴とする請求項2記載の電流センサ。
【請求項5】
前記磁気カプラは、相互に磁気的に結合されるが電気的に絶縁された送信コイル及び受信コイルを有し、前記送信コイルに前記第1のPWM出力信号を供給することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の電流センサ。
【請求項6】
前記磁気カプラは、絶縁体の片側にインダクタを設け、もう片側に磁気感応素子を設けて互いに電気的に絶縁された構造とし、前記インダクタに前記第1のPWM出力信号を供給し、前記インダクタが発生する交流磁界を前記磁気感応素子に印加し、非接触で前記第1のPWM出力信号のパルス幅情報を伝達することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の電流センサ。
【請求項7】
前記磁気カプラは、コイルが巻かれた強磁性体のコアの一部にギャップを設け、前記コアに対し電気的に絶縁して磁気感応素子を前記ギャップに配置した構造とし、前記コイルに前記第1のPWM出力信号を供給し、前記コイルによる交流磁界を前記磁気感応素子に印加し、非接触で前記第1のPWM出力信号のパルス幅情報を伝達することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の電流センサ。
【請求項8】
前記磁気感応素子が磁気抵抗素子であることを特徴とする請求項6又は7記載の電流センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−164449(P2008−164449A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354547(P2006−354547)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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