説明

電源アダプタおよび電源システム

【課題】DC電源と放送信号を一本のケーブルでテレビ受像機に供給することのできる電源アダプタを提供する。
【解決手段】電源アダプタ内のAC−DCコンバータ回路で商用AC電源から生成されたDC電源に、屋外アンテナで受信された放送信号を混合器で重畳し、一本のDC供給ケーブルを使ってテレビ受像機に供給する。また、電源アダプタ内で衛星放送受信アンテナを駆動するDC電源を生成し、同軸ケーブルを通じて衛星放送受信アンテナに供給することによって、テレビ受像機から衛星放送受信アンテナへのDC電源の供給路を不要にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ受像機などの放送受信機器に電源を供給する電源アダプタおよび電源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビ受像機などの放送受信機では、主に小型のものでは電源アダプタからケーブルを通じて供給されるDC電源を受けて駆動され、放送信号については、屋外アンテナから同軸ケーブルを通じて供給されるものを受けるように構成されたものが一般的である。このような一般的な放送受信機には、電源アダプタからケーブルを通じて供給される電源を受けるための接続部であるインレットの他、屋外アンテナから同軸ケーブルを通じて供給される放送信号を受けるための接続部であるコネクタを配置するために確保された空間が、小型化の妨げとなるなど、デザイン的な制約をもたらしていた。また、放送受信機の周辺において、電源ケーブルとアンテナ用同軸ケーブルなどの複数のケーブルが引き回されることは、視覚的な煩雑感は勿論、設置場所の選択上の制約が生じ、安全上も芳しくない。
【0003】
ところで、電源の供給と放送信号の伝送を一本のケーブルを使って行う技術は既に公知であり、例えば、次のような技術がある。これは、テレビ受像機などの放送受信機から、電源供給が必要な、衛星放送アンテナへのDC電源の供給と、衛星放送アンテナから放送受信機への放送信号の入力とを一本の同軸ケーブルを用いて行うものである。すなわち、放送受信機は衛星放送アンテナに伝送ケーブルを通じてDC電源を供給する一方で、衛星放送アンテナは放送受信機にその伝送ケーブルを通じて放送信号を供給する(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記の公知技術では、放送受信機とアンテナとの接続において、放送受信機からアンテナへのDC電源の供給とアンテナから放送受信機への放送信号の供給を1つの伝送ケーブルで行うものであり、放送受信機からのDC電源の供給を要するアンテナを用いた場合のみ有効といえるものである。
【特許文献1】特開平07−128426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テレビ受像機などの放送受信機には、電源アダプタからケーブルを通じて供給される電源を受けるための接続部であるインレットの他、屋外アンテナから同軸ケーブルを通じて供給される放送信号を受けるための接続部であるコネクタを配置するために確保された空間が、小型化の妨げとなるなど、デザイン的な制約をもたらしていた。また、放送受信機の設置環境において、電源ケーブルとアンテナ用同軸ケーブルの2本が這うことは、視覚的な煩雑感は勿論、安全上も芳しくない、という課題があった。
【0006】
本発明はこのような事情を鑑み、DC電源と放送信号を一本のケーブルで放送受信機に供給することのできる電源アダプタおよび電源システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の電源アダプタは、放送信号を処理する放送受信機にDC電源を供給する電源アダプタであって、AC電源からDC電源を生成する変換器と、放送信号を入力する放送信号入力部と、前記放送信号入力部より入力された放送信号を前記変換器の出力に混合する混合器と、前記混合器の出力を前記放送受信機に供給する供給部とを具備する。
【0008】
この発明によれば、変換器によってAC電源から生成されたDC電源に、放送信号入力部より入力された放送信号を混合して放送受信機に供給することによって、一本のケーブルで外部機器にDC電源と放送信号を供給することができる。このため、放送受信機のアンテナ用の接続部またはDC電源用の接続部が不要になり、放送受信機の製品デザイン上の制約が削減されるとともに、接続されるケーブルの数を減らせることによって、放送受信機の設置環境において視覚的な煩雑感が緩和され、かつ放送受信機の設置場所の選択上の制約も緩和される。
【0009】
また、本発明の電源アダプタは、前記放送信号入力部より入力された放送信号を増幅する増幅回路をさらに有し、前記混合器は、前記増幅回路の出力と前記変換器の出力とを混合することとしてもよい。これにより、屋外アンテナによる放送信号の受信状況の劣化時に、電源アダプタ内で放送信号のレベルを上げて、放送受信機に送信することができる。
【0010】
また、本発明の電源アダプタにおいて、前記放送信号入力部が、異なる複数の放送形態の放送信号を入力することが可能とされ、前記混合器は、前記放送信号入力部により入力された前記複数の放送形態の放送信号と前記変換器の出力とを混合することとしてもよい。
【0011】
さらに、本発明の電源アダプタにおいて、前記放送信号入力部は、外部のアンテナからケーブルを通じて放送信号を入力するものであって、前記アンテナに駆動用のDC電源を、前記放送信号入力部と前記アンテナとの間に接続された前記ケーブルを通じて供給するアンテナ用DC電源供給部をさらに具備することとしてもよい。これにより、DC電源の供給が必要なアンテナへのDC電源の供給を電源アダプタから行うことができ、放送受信機からアンテナへのDC電源の供給路が不要になって、放送受信機の接続部をさらに削減できる。
【0012】
本発明の別の観点に基づく電源システムは、放送信号を処理する放送受信機と、この機器にDC電源を供給する電源アダプタとを有する電源システムであって、前記電源アダプタは、AC電源からDC電源を生成する変換器と、放送信号を入力する放送信号入力部と、前記放送信号入力部より入力された放送信号を前記変換器の出力に混合する混合器と、前記混合器の出力を前記放送受信機に供給する供給部とを具備し、前記放送受信機は、前記電源アダプタの出力から前記DC電源と前記放送信号を分離する分波部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、DC電源と放送信号を一本のケーブルで放送受信機に供給することができる。これにより、放送受信機のアンテナ用の接続部またはDC電源用の接続部が不要になり、放送受信機の製品デザイン上の制約が削減されるとともに、接続されるケーブルの数を減らせることによって、放送受信機の設置環境において視覚的な煩雑感が緩和され、かつ放送受信機の設置場所の選択上の制約も緩和される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施する場合の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態である電源システムの構成を示す図である。
【0016】
同図に示すように、この電源システム100は、商用AC電源からテレビ受像機20を動作させるために必要なDC電源を生成すると同時に、屋外アンテナにて受信された地上波放送信号、衛星放送信号などの放送信号(RF(Radio Frequency)信号、IF(Intermediate Frequency)信号)をDC(直流)電源に重畳してテレビ受像機20に供給する電源アダプタ10と、電源アダプタ10より重畳して供給されたDC電源と放送信号とを分離して使用するテレビ受像機20とで構成される。
【0017】
次に、電源アダプタ10の構成を説明する。
電源アダプタ10は、AC(交流)電源ケーブル31、AC−DCコンバータ回路11、同軸ケーブルコネクタ12、入力フィルタ13、増幅回路14、混合器15、スイッチ回路16、スイッチ操作部17、DC供給ケーブル32などで構成される。
【0018】
AC電源ケーブル31は、一端に設けられた電源プラグを通じて商用AC電源を電源アダプタ10内のAC−DCコンバータ回路11の入力端とを接続するケーブルである。
【0019】
AC−DCコンバータ回路11は、AC電源ケーブル31を通じて接続された商用AC電源から所定のDC電源を生成する回路である。AC−DCコンバータ回路11の基本的な構成は一般的な電源アダプタに内蔵されたものと同様であるが、AC−DCコンバータ回路11からは、テレビ受像機20駆動用のDC電源とは別に、電源アダプタ10内の増幅回路14を駆動するために必要なDC電源を出力として取り出すようにしている。AC−DCコンバータ回路11のテレビ受像機20駆動用のDC電源の出力は混合器15の2つの入力端のうちの一方と接続されている。
【0020】
同軸ケーブルコネクタ12は、地上波放送、衛星放送などの放送信号を受信する屋外アンテナに一端が接続された同軸ケーブル33の他端に設けられたコネクタの着脱が自在なコネクタである。同軸ケーブルコネクタ12の内部端子は入力フィルタ13の入力端と接続されている。
【0021】
入力フィルタ13は、同軸ケーブルコネクタ12を通じて入力された放送信号から不要な帯域成分を除去するBPF(Band−pass filter)などである。入力フィルタ13の出力端は増幅回路14の入力端と接続されている。
【0022】
増幅回路14は、入力フィルタ13を通過した放送信号を増幅する回路である。増幅回路14の出力端は混合器15の2つの入力端のうち、AC−DCコンバータ回路11の出力端と接続されていない側の入力端と接続されている。増幅回路14には、出力のレベルを最適化するように、例えばAGC(Automatic Gain Control)付きの増幅回路などを用いてもよい。
【0023】
スイッチ回路16は、増幅回路14のオン/オフを切り替える回路である。スイッチ回路16のオン/オフ状態の切り替えは、例えば、電源アダプタ10の筐体外装に露出して設けたスイッチ操作部17のマニュアル操作などによって行われる。
【0024】
混合器15は、AC−DCコンバータ回路11より入力されたDC電源に増幅回路14より入力された放送信号を重畳させる回路である。混合器15の出力端は、テレビ受像機20にDC電源を供給するためのDC供給ケーブル32の一端と接続されている。
【0025】
DC供給ケーブル32は、放送信号が重畳されたDC電源をテレビ受像機20に供給するケーブルである。このDC供給ケーブル32には、外部からのノイズを受けにくくするように、また逆にDC電源に重畳された放送信号による外部への不要な電界放射を抑制できるように、電源線がシールドされたシールド線や同軸線などが用いられている。
【0026】
図2は入力フィルタ13、スイッチ回路16、増幅回路14及び混合器15の具体的な回路構成の例を示す図である。
【0027】
同図に示すように、入力フィルタ13は、例えば、インダクタとコンデンサを直列および並列に組み合わせた共振回路などで構成することが可能である。この例では、ある周波数帯域を通過させ、それより低い周波数帯域と高い周波数帯域を減衰させるBPFの構成となっている。スイッチ回路16は、増幅回路14をバイパスする線路と、このバイパス線路の接続のオン/オフおよび増幅回路14へのDC電源の投入のオン/オフを切り替えるスイッチ素子とで構成される。スイッチ素子は、図1に示したスイッチ操作部17のマニュアル操作などに連動して切り替えられる。バイパス線路の接続オンの時には増幅回路14へのDC電源投入はオフになり、放送信号の増幅出力はオフとなる。また、バイパス線路の接続オフ時には増幅回路14へのDC電源投入はオンになり、放送信号の増幅出力がオンになる。混合器15は、例えば、インダクタとコンデンサを用いて構成される。重畳されたDC電源と放送信号の出力端に対して、AC−DCコンバータ回路11の出力端はインダクタを介して接続され、増幅回路14の出力端はコンデンサを介して接続される。これにより、不要なAC成分によるAC−DCコンバータ回路11の動作への影響、及び不要なDC成分による増幅回路14の動作への影響が回避されるようになっている。
【0028】
次に、図1に戻って、テレビ受像機20の分波部の構成を説明する。
【0029】
テレビ受像機20には、DCインレット21と分波器22が設けられている。
【0030】
DCインレット21は、電源アダプタ10のDC供給ケーブル32のコネクタが着脱自在に接続される部分であり、これそのものは一般的なテレビ受像機に設けられたものと同様であるが、DCインレット21の出力端は分波器22の入力端と接続されている。
【0031】
分波器22は、放送信号が重畳されたDC電源からDC電源と放送信号とを分離する回路である。分波器22により分離されたDC電源は、テレビ受像機20内の、DC電源によって動作する回路や表示器などの各モジュールにDC分配部24を通じて供給され、分離された放送信号はテレビ受像機20内のチューナ部23に供給される。
【0032】
図3は分波器22の具体的な回路構成の例を示す図である。同図に示すように、分波器22は、例えば、インダクタとコンデンサを用いて構成される。重畳されたDC電源と放送信号の入力端に対して、放送信号処理回路であるチューナ部23はコンデンサを介して接続され、DC電源によって動作する回路や表示器などの各モジュールにDC電源を分配するDC分配部24はインダクタを介して接続されている。これにより、不要なAC成分による各モジュールの動作への影響、及び不要なDC成分によるチューナ部23の動作への影響が回避されるようになっている。
【0033】
次に、この電源システム100の動作を説明する。
【0034】
既に、電源アダプタ10は、AC電源ケーブル31を通じて商用AC電源と接続されているとともに、DC供給ケーブル32を通じてテレビ受像機20と接続され、さらに、電源アダプタ10の同軸ケーブルコネクタ12には、屋外アンテナと接続された同軸ケーブル33のコネクタが接続されていることとする。
【0035】
この状態で、電源アダプタ10では、AC−DCコンバータ回路11によって、AC電源ケーブル31を通じて供給された商用AC電源から所定のDC電源の生成が行われる。このとき、AC−DCコンバータ回路11では、テレビ受像機20駆動用のDC電源とともに、増幅回路14駆動用のDC電源が同時に生成される。生成されたテレビ受像機20駆動用のDC電源は混合器15の一方の入力端に印加され、生成された増幅回路14駆動用のDC電源は増幅回路14の動作のオン/オフを制御するスイッチ回路16に印加される。
【0036】
また、電源アダプタ10では、同軸ケーブルコネクタ12より、屋外アンテナで受信された放送信号が取り込まれる。同軸ケーブルコネクタ12より取り込まれた放送信号は、入力フィルタ13に入力され、ここで不要な帯域成分が除去された後、増幅回路14に入力される。放送信号は増幅回路14にて増幅された後、一方の入力端にDC電源が印加された混合器15の他方の入力端に印加される。この結果、混合器15から、放送信号が重畳されたDC電源が得られ、DC供給ケーブル32を通じてテレビ受像機20へ供給される。
【0037】
なお、ここでの説明は、スイッチ回路16によって増幅回路14の動作がオンに設定されている場合を想定している。屋外アンテナでの電波の受信状況が悪く、テレビ受像機20に表示される画像の質が劣化したときなどには、増幅回路14の動作をオンにするようにスイッチ操作部17のマニュアル操作などによってスイッチ回路16を切り替えればよい。屋外アンテナでの電波の受信状況が良好な場合には、増幅回路14の動作をオフにするようにスイッチ回路16を切り替えることによって、増幅回路やチューナの性能を超える強電界入力を避けられ、また、無駄な電力消費を避けることができる。
【0038】
テレビ受像機20では、DC供給ケーブル32を通じて供給された、放送信号が重畳されたDC電源が分波器22にてDC電源と放送信号とに分離され、分離されたDC電源はテレビ受像機20内の、DC電源によって動作する回路や表示器などの各モジュール(チューナ部23を含む。)に供給され、分離された放送信号はチューナ部23に供給される。チューナ部23は、ユーザによって選局されたチャンネルに対応する放送信号の検波、復調などの処理を行い、後段の信号処理回路(図示せず)へ出力する。後段の信号処理回路では、映像/音声の分離、復号、D/A変換などの処理が行われ、表示器への映像の表示、スピーカからの音声の出力が行われる
【0039】
以上説明したように、この実施形態の電源システム100によれば、電源アダプタ10内でDC電源に屋外アンテナで受信された放送信号を重畳し、一本のDC供給ケーブル32を使ってテレビ受像機20に供給することができる。このため、テレビ受像機20の外部アンテナ端子が不要になり、製品デザイン上の制約が削減される。さらに、これまでテレビ受像機20には電源ケーブルと放送信号用同軸ケーブルの2本が接続されていたため機器周辺の見た目も煩雑になりやすかったが、この電源システム100によってテレビ受像機20に接続されるケーブルは電源ケーブル(DC供給ケーブル32)のみとなり、見た目の煩雑さが解消される。
【0040】
なお、DC電源に重畳してテレビ受像機20に供給する放送信号としては、地上波放送信号に限定されず、衛星放送信号、地上デジタルラジオ放送信号、CATVデジタル放送信号放送信号であってもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態としての電源システムを説明する。
図4は本発明の第2の実施形態である電源システム200の構成を示す図である。
【0042】
この実施形態は、複数の放送形態の放送信号を受信可能なテレビ受像機20Aを用いた場合に好適な電源システム100Aおよび電源アダプタ10Aである。
【0043】
同図に示すように、この電源システム200は、商用AC電源からテレビ受像機20Aを動作させるために必要なDC電源を生成すると同時に、この生成されたDC電源に、異なる複数の放送形態それぞれに対応する複数の屋外アンテナ41,42によって受信されたそれぞれの放送信号(RF(Radio Frequency)信号、IF(Intermediate Frequency)信号)をDC電源に重畳してテレビ受像機20Aに供給する電源アダプタ10Aと、電源アダプタ10Aより重畳して入力されたDC電源と放送形態毎の放送信号とをそれぞれ分離して使用するテレビ受像機20Aとで構成される。
【0044】
次に、電源アダプタ10Aの構成を説明する。
なお、この例では、電源アダプタ10AにおいてDC電源に重畳される複数の放送形態の放送信号が地上波放送信号と衛星放送信号であるとする。
【0045】
電源アダプタ10Aは、AC電源ケーブル31、AC−DCコンバータ回路11、地上波放送同軸ケーブルコネクタ12A、地上波放送入力フィルタ13A、地上波放送増幅回路14A、地上波放送スイッチ回路16A、地上波放送スイッチ操作部17A、衛星放送同軸ケーブルコネクタ12B、衛星放送入力フィルタ13B、衛星放送増幅回路14B、衛星放送スイッチ回路16B、衛星放送スイッチ操作部17B、放送信号混合器18、混合器15、衛星アンテナ用DC電源供給回路19、混合器/分波器9、DC供給ケーブル32などで構成される。
【0046】
AC電源ケーブル31は、一端に設けられた電源プラグを通じて商用AC電源を電源アダプタ10A内のAC−DCコンバータ回路11の入力端とを接続するケーブルである。
【0047】
AC−DCコンバータ回路11は、AC電源ケーブル31を通じて接続された商用AC電源から所定のDC電源を生成する回路である。AC−DCコンバータ回路11の構成は一般的な電源アダプタに内蔵されたものと同様であるが、AC−DCコンバータ回路11からはテレビ受像機20駆動用のDC電源とは別に、電源アダプタ10A内の地上波放送増幅回路14Aを駆動するために必要なDC電源、衛星放送増幅回路14Bを駆動するために必要なDC電源、そして衛星放送信号を受信する衛星放送受信アンテナ42を駆動するために必要なDC電源を出力としてそれぞれ取り出すようにしている。AC−DCコンバータ回路11のテレビ受像機20駆動用のDC電源の出力端は混合器15の2つの入力端のうちの一方と接続されている。
【0048】
地上波放送同軸ケーブルコネクタ12Aは、地上波放送信号を受信する地上波放送受信アンテナ41に一端が接続された同軸ケーブル33Aの他端に設けられたコネクタの着脱が自在なコネクタである。地上波放送同軸ケーブルコネクタ12Aの内部端子は地上波放送入力フィルタ13Aの入力端と接続されている。
【0049】
地上波放送入力フィルタ13Aは、地上波放送同軸ケーブルコネクタ12Aを通じて入力された地上波放送信号から不要な帯域成分を除去するBPFフィルタなどである。地上波放送入力フィルタ13Aの出力端は地上波放送増幅回路14Aの入力端と接続されている。
【0050】
地上波放送増幅回路14Aは、地上波放送入力フィルタ13Aの出力を増幅する回路である。地上波放送増幅回路14Aの出力端は放送信号混合器18の2つの入力端のうちの一方と接続されている。地上波放送増幅回路14Aには、出力のレベルを最適化するように、例えばAGC(Automatic Gain Control)付きの増幅回路などを用いてもよい。
【0051】
地上波放送スイッチ回路16Aは、地上波放送増幅回路14Aのオン/オフを切り替える回路である。地上波放送スイッチ回路16Aのオン/オフ状態の切り替えは、例えば、電源アダプタ10Aの筐体外装に露出して設けた地上波放送スイッチ操作部17Aのマニュアル操作などによって行われる。
【0052】
衛星放送同軸ケーブルコネクタ12Bは、衛星放送信号を受信する衛星放送受信アンテナ42に一端が接続された同軸ケーブル33Bの他端に設けられたコネクタの着脱が自在なコネクタである。衛星放送同軸ケーブルコネクタ12Bの内部端子は混合器/分波器9の入力端と接続されている。
【0053】
混合器/分波器9は、衛星アンテナ用DC電源供給回路19より供給されたDC電源を衛星放送同軸ケーブルコネクタ12Bおよび同軸ケーブル33Bを通じて衛星放送受信アンテナ42に供給し、かつ衛星放送受信アンテナ42から同軸ケーブル33Bおよび衛星放送同軸ケーブルコネクタ12Bを通じて入力された衛星放送信号をDC電源から分離して衛星放送入力フィルタ13Bの入力端に供給する回路である。
【0054】
衛星放送入力フィルタ13Bは、混合器/分波器9を通じて入力された衛星放送信号から不要な帯域成分を除去するBPFフィルタなどである。衛星放送入力フィルタ13Bの出力端は衛星放送増幅回路14Bの入力端と接続されている。
【0055】
衛星放送増幅回路14Bは、衛星放送入力フィルタ13Bの出力を増幅する回路である。衛星放送増幅回路14Bの出力端は、一方の入力端に地上波放送増幅回路14Aの出力端が接続された放送信号混合器18の他方の入力端と接続されている。衛星放送増幅回路14Bには、出力のレベルを最適化するように、例えばAGC(Automatic Gain Control)付きの増幅回路などを用いてもよい。
【0056】
衛星放送スイッチ回路16Bは、衛星放送増幅回路14Bのオン/オフを切り替える回路である。衛星放送スイッチ回路16Bのオン/オフ状態の切り替えは、例えば、電源アダプタ10Aの筐体外装に露出して設けた衛星放送スイッチ操作部17Bのマニュアル操作などによって行われる。
【0057】
放送信号混合器18は、2つの入力端より入力された地上波放送信号と衛星放送信号とを混合して出力する。放送信号混合器18の出力端は混合器15の一方の入力端と接続されている。
【0058】
混合器15は、AC−DCコンバータ回路11より出力されたDC電源に、放送信号混合器18より出力された地上波放送信号と衛星放送信号との混合放送信号を重畳させる回路である。混合器15の出力端は、テレビ受像機20AにDC電源を供給するためのDC供給ケーブル32の一端と接続されている。
【0059】
DC供給ケーブル32は、地上波放送信号と衛星放送信号との混合放送信号が重畳されたDC電源をテレビ受像機20Aに供給するケーブルである。このDC供給ケーブル32には、外部からのノイズを受けにくくするように、また逆にDC電源に重畳された放送信号による外部への不要な電界放射を抑制できるように、電源線がシールドされたシールド線や同軸線などが用いられている。
【0060】
次に、テレビ受像機20Aの分波部の構成を説明する。
【0061】
テレビ受像機20Aには、DCインレット21、DC/放送信号分波器22A、放送信号分波器22Bが設けられている。
【0062】
DCインレット21は、電源アダプタ10AのDC供給ケーブル32のコネクタが着脱自在に接続される部分であり、これそのものは一般的なテレビ受像機に設けられたものと同様であるが、DCインレット21はDC/放送信号分波器22Aの入力端と接続されている。
【0063】
DC/放送信号分波器22Aは、地上波放送信号と衛星放送信号との混合放送信号が重畳されたDC電源からDC電源と混合放送信号とを分離する。DC/放送信号分波器22Aにより分離されたDC電源は、テレビ受像機20A内の、DC電源によって動作する回路や表示器などの各モジュールにDC分配部24を通じて供給され、分離された混合放送信号は放送信号分波器22Bに出力される。
【0064】
放送信号分波器22Bは、DC/放送信号分波器22Aにより分離された混合放送信号から地上波放送信号と衛星放送信号とをそれぞれ分離し、地上波放送信号を、テレビ受像機20A内の地上波放送用チューナ部23Aに供給し、衛星放送信号を衛星放送用チューナ部23Bに供給する。
【0065】
次に、この電源システム200の動作を説明する。
【0066】
既に、電源アダプタ10Aは、AC電源ケーブル31を通じて商用AC電源と接続されているとともに、DC供給ケーブル32を通じてテレビ受像機20Aと接続されていることとする。また、電源アダプタ10Aの地上波放送同軸ケーブルコネクタ12Aには、地上波放送受信アンテナ41からの同軸ケーブル33Aが接続され、衛星放送同軸ケーブルコネクタ12Bには衛星放送受信アンテナ42からの同軸ケーブル33Bが接続されていることとする。
【0067】
この状態から、電源アダプタ10Aでは、AC−DCコンバータ回路11によって、AC電源ケーブル31を通じて供給された商用AC電源から所定のDC電源の生成が行われる。このとき、AC−DCコンバータ回路11は、テレビ受像機20A駆動用のDC電源を生成して混合器15の一方の入力端に印加とともに、地上波放送増幅回路14Aおよび衛星放送増幅回路14Bをそれぞれ駆動するためのDC電源を生成して地上波放送増幅回路14Aおよび衛星放送増幅回路14Bの電源入力端にそれぞれ印加する。さらに、AC−DCコンバータ回路11は、衛星放送受信アンテナ42を駆動するために必要なDC電源を生成して衛星アンテナ用DC電源供給回路19に印加する。
【0068】
衛星アンテナ用DC電源供給回路19は、AC−DCコンバータ回路11より供給されたDC電源を混合器/分波器9、衛星放送同軸ケーブルコネクタ12B、同軸ケーブル33Bを通じて衛星放送受信アンテナ42に供給する。これにより、衛星放送受信アンテナ42が駆動されて衛星放送信号の受信が可能になる。衛星放送受信アンテナ42で受信された衛星放送信号は、同軸ケーブル33B、衛星放送同軸ケーブルコネクタ12B、混合器/分波器9に入力される。ここで、衛星放送信号はDC電源から分離され、衛星放送入力フィルタ13Bに入力され、ここで、不要な帯域成分が除去される。衛星放送入力フィルタ13Bを通過した衛星放送信号は、衛星放送増幅回路14Bにて増幅された後、放送信号混合器18の一方の入力端に印加される。
【0069】
また、電源アダプタ10Aでは、地上波放送同軸ケーブルコネクタ12Aより、地上波放送受信アンテナ41で受信された地上波放送信号が入力される。入力された地上波放送信号は、地上波放送入力フィルタ13Aによって不要な帯域成分が除去された後、地上波放送増幅回路14Aに入力され、ここで増幅された後、一方の入力端に衛星放送信号が印加された放送信号混合器18の他方の入力端に印加される。
【0070】
放送信号混合器18は、2つの入力端より入力された地上波放送信号と衛星放送信号とを混合して、一方の入力端にDC電源が印加された混合器15の他方の入力端に印加する。この結果、混合器15からは、地上波放送信号と衛星放送信号との混合放送信号が重畳されたDC電源が得られ、この混合放送信号が重畳されたDC電源はDC供給ケーブル32を通じてテレビ受像機20Aの側へ供給される。
【0071】
なお、ここでは、地上波放送スイッチ回路16Aによって地上波放送増幅回路14Aの動作がオンに設定され、衛星放送スイッチ回路16Bによっても衛星放送増幅回路14Bの動作がオンに設定されている場合を想定している。すなわち、地上波放送受信アンテナ41、衛星放送受信アンテナ42での電波の受信状況が悪く、テレビ受像機20Aに表示される画像の質が劣化したときなどには、地上波放送増幅回路14Aおよび衛星放送増幅回路14Bのそれぞれの動作がオンになるよう地上波放送スイッチ操作部17Aおよび衛星放送スイッチ操作部17Bのマニュアル操作などによって地上波放送増幅回路14A、衛星放送増幅回路14Bの動作をオフにするように地上波放送スイッチ回路16A、衛星放送スイッチ回路16Bを、それぞれ個別に切り替えることによって、増幅回路やチューナの性能を超える強電界入力を避けられ、また、無駄な電力消費を避けることができる。
【0072】
テレビ受像機20Aでは、DCインレット21に接続されたDC供給ケーブル32を通じて、地上波放送信号と衛星放送信号との混合放送信号が重畳されたDC電源の供給を受ける。テレビ受像機20Aでは、まず、DC/放送信号分波器22Aにて、DC電源と放送信号とが分離される。分離されたDC電源はテレビ受像機20A内の、DC電源によって動作する回路や表示器などの各モジュール(地上波放送用チューナ部23A、衛星放送用チューナ部23B)にDC分配部24を介して供給される。一方、DC/放送信号分波器22Aにて分離された放送信号は放送信号分波器22Bに供給され、地上波放送信号と衛星放送信号とに分離され、地上波放送信号は地上波放送用チューナ部23Aに、衛星放送信号は衛星放送用チューナ部23Bにそれぞれ供給される。
【0073】
地上波放送用チューナ部23Aおよび衛星放送用チューナ部23Bでは、ユーザによって選局されたチャンネルに対応する放送信号の検波、復調などの処理を行い、後段の信号処理回路(図示せず)へ出力する。後段の信号処理回路では、映像/音声の分離、復号、D/A変換などの処理が行われ、表示器への映像の表示、スピーカからの音声の出力が行われる
【0074】
以上説明したように、この実施形態の電源システム200によれば、電源アダプタ10A内でDC電源に、地上波放送受信アンテナ41で受信された地上波放送信号と、衛星放送受信アンテナ42で受信された衛星放送信号を重畳して、一本のDC供給ケーブル32を使ってテレビ受像機20Aに供給することができる。このため、テレビ受像機20Aの地上波放送用と衛星放送用のそれぞれの外部アンテナ端子が不要になり、製品デザイン上の制約が削減される。さらに、これまでテレビ受像機20Aには電源ケーブルとアンテナ用同軸ケーブル数本が接続されていたため機器周辺の見た目も煩雑になりやすかったが、この電源システム200によってテレビ受像機20Aに接続されるケーブルは電源ケーブル(DC供給ケーブル32)のみとなり、見た目の煩雑さが解消される。
【0075】
また、この実施形態の電源システム200では、電源アダプタ10A内で衛星放送受信アンテナ42を駆動するDC電源を生成し、衛星アンテナ用DC電源供給回路19により、混合器/分波器9、衛星放送同軸ケーブルコネクタ12B、同軸ケーブル33Bを通じて衛星放送受信アンテナ42に供給するようにしたので、テレビ受像機20Aから衛星放送受信アンテナ42へのDC電源の供給路が不要になって、テレビ受像機20Aの接続部をさらに削減できる。
【0076】
なお、DC電源に重畳してテレビ受像機20に供給する放送信号としては、地上波放送信号と衛星放送信号に限定されず、地上デジタルラジオ放送信号、CATVデジタル放送信号であってもよい。
【0077】
放送受信機は、チューナを内蔵した機器であれば何でもよく、テレビ受像機のほか、ラジオ受信機、チューナ内蔵型の録画再生機、チューナ機能をインストールしたPCも、本発明に係る放送受信機の範疇である。
【0078】
本発明は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々更新を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施形態である電源システムの構成を示す図である。
【図2】図1の電源アダプタ内の入力フィルタ、スイッチ回路、増幅回路及び混合器の具体的な回路構成の例を示す図である。
【図3】図1のテレビ受像機内の分波器の具体的な回路構成の例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態である電源システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
9 混合器/分波器
10 電源アダプタ
10A 電源アダプタ
11 AC−DCコンバータ回路
14 増幅回路
14A 地上波放送増幅回路
14B 衛星放送増幅回路
15 混合器
18 放送信号混合器
19 衛星アンテナ用DC電源供給回路
20 テレビ受像機
20A テレビ受像機
22 分波器
22A DC/放送信号分波器
22B 放送信号分波器
23 チューナ部
23A 地上波放送用チューナ部
23B 衛星放送用チューナ部
31 AC電源ケーブル
32 DC供給ケーブル
41 屋外アンテナ
41 地上波放送受信アンテナ
42 衛星放送受信アンテナ
100 電源システム
200 電源システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送信号を処理する放送受信機にDC電源を供給する電源アダプタであって、
AC電源からDC電源を生成する変換器と、
放送信号を入力する放送信号入力部と、
前記放送信号入力部より入力された放送信号を前記変換器の出力に混合する混合器と、
前記混合器の出力を前記放送受信機に供給する供給部と
を具備することを特徴とする電源アダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載の電源アダプタであって、
前記放送信号入力部より入力された放送信号を増幅する増幅回路をさらに有し、
前記混合器は、前記増幅回路の出力と前記変換器の出力とを混合することを特徴とする電源アダプタ。
【請求項3】
請求項1に記載の電源アダプタであって、
前記放送信号入力部が、異なる複数の放送形態の放送信号を入力することが可能とされ、
前記混合器は、前記放送信号入力部により入力された前記複数の放送形態の放送信号と前記変換器の出力とを混合することを特徴とする電源アダプタ。
【請求項4】
請求項1に記載の電源アダプタであって、
前記放送信号入力部は、外部のアンテナからケーブルを通じて放送信号を入力するものであって、
前記アンテナに駆動用のDC電源を、前記放送信号入力部と前記アンテナとの間に接続された前記ケーブルを通じて供給するアンテナ用DC電源供給部をさらに具備することを特徴とする電源アダプタ。
【請求項5】
放送信号を処理する放送受信機と、この機器にDC電源を供給する電源アダプタとを有する電源システムであって、
前記電源アダプタは、
AC電源からDC電源を生成する変換器と、
放送信号を入力する放送信号入力部と、
前記放送信号入力部より入力された放送信号を前記変換器の出力に混合する混合器と、
前記混合器の出力を前記放送受信機に供給する供給部と
を具備し、
前記放送受信機は、
前記電源アダプタの出力から前記DC電源と前記放送信号を分離する分波部を具備することを特徴とする電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−164879(P2009−164879A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500(P2008−500)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】