説明

電源制御回路、電源制御装置、および、電源制御システム

【課題】低電圧で起動させることが可能な電源制御回路を提供する。
【解決手段】電源制御回路100は、交流電源(交流発電機)200の起動時に出力電圧が低い(例えば、2〜3V程度)場合、第2の抵抗R2を介してバイポーラトランジスタTrにベース電流を供給してバイポーラトランジスタTrを動作させ、その後、第2のトランスT2が動作することにより第4の巻線T2bを介してバイポーラトランジスタTrにベース電流が供給される。
そして、交流発電機200の出力電圧が定常状態(例えば、10〜20V程度)になると、第1のトランスT1が起動し第2の巻線T1b、第1の抵抗R1を介して、バイポーラトランジスタTrにベース電流が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源から出力された電源電圧を変換して出力する電源制御回路、電源制御装置、および、電源制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源から出力された電源電圧を変換して出力する電源制御回路には、チョッパ方式のスイッチングレギュレータ300がある。
【0003】
このチョッパ方式のスイッチングレギュレータは、コイルに接続したスイッチ素子をオン/オフすることにより電気エネルギーを充放電させ、その放電出力を平滑して所望の電圧に変換する。
【0004】
ここで、図2は、従来のチョッパ方式の昇圧型スイッチングレギュレータの構成の一例を示す図である。
【0005】
図2に示すように、従来のチョッパ方式の昇圧型スイッチングレギュレータ300には、コイル301と、NPN型バイポーラトランジスタ302と、整流素子303と、ベース抵抗304と、制御回路305と、平滑コンデンサ306と、を備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
このチョッパ方式の昇圧型スイッチングレギュレータ300の入力端子は、電池500のプラス端子と接続され、昇圧型スイッチングレギュレータ300の出力端子は、出力負荷400のプラス端子と接続されている。
【0007】
この昇圧型スイッチングレギュレータ300は、電池500の電圧を昇圧して、出力負荷400へ供給する。
【0008】
例えば、NPN型バイポーラトランジスタ302がオン状態では、電池500からコイル301に電流が流れる。
【0009】
そして、NPN型バイポーラトランジスタ302がオフすると急激に電流が減るため誘起起電力が発生し、コイル301の電圧が上昇する。
【0010】
その電圧を整流素子303で整流し、平滑コンデンサ306により平滑することにより、出力電圧が昇圧される。
【0011】
また、NPN型バイポーラトランジスタ302は、制御回路305から出力される駆動パルスをベースに入力することにより、オン/オフが制御される。このNPN型バイポーラトランジスタ302のベース電流は、ベース抵抗304により制限される。
【0012】
また、制御回路305は、出力電圧を検出して、出力電圧が所定の電圧になるように該制御パルスのデューティを制御し、NPN型バイポーラトランジスタ302のオン/オフを制御する。
【0013】
これにより、所定の電圧の昇圧出力が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−209162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、既述の特許文献1に記載の従来技術では、昇圧型スイッチングレギュレータ300の制御回路305は、例えば、所定の電圧(例えば、10V程度)以上で動作するため、電源500の電源電圧が低い場合には、所定の動作をすることができない問題があった。
【0016】
さらに、スイッチングに用いられるNPN型バイポーラトランジスタ302のベース電流は大きく、このベース電流がすべてベース抵抗304に流れるため、ベース抵抗304の消費電流が増加する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様に係る実施例に従った電源制御回路は、
交流電源の出力をRCC(Ringing Choke Converter)方式により制御して直流出力する電源制御回路であって、
直流出力のための第1の出力端子に第1の端子が接続された第1のダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第1のトランスを構成する第1の巻線と、
直流出力のための第2の出力端子に一端が接続され、前記第1のトランスを構成する第2の巻線と、
前記第2の巻線の他端に一端が接続された第1の抵抗と、
前記第1の抵抗の他端に第2の端子が接続された第1の駆動用ダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第2のトランスを構成する第3の巻線と、
前記第2の出力端子に一端が接続され、前記第2のトランスを構成する第4の巻線と、
前記第4の巻線の他端に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子に第1の端子が接続された第2の駆動用ダイオードと、
前記第3の巻線の他端に第1の端子が接続され、前記第2の出力端子に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子にベースが接続されたバイポーラトランジスタと、
前記第1の巻線の他端と前記バイポーラトランジスタの前記ベースとの間に接続された第2の抵抗と、
前記第1の巻線の他端と前記第2の巻線の一端との間に接続され、前記交流電源の出力を整流して出力する整流回路と、を備える
ことを特徴とする。
【0018】
前記電源制御回路において、
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に接続された平滑用の第1の平滑用コンデンサをさらに備える
ことを特徴とする。
【0019】
前記電源制御回路において、
前記第1の巻線の他端と前記第2の巻線の一端との間で、前記整流回路と並列に接続された平滑用の第2の平滑用コンデンサをさらに備える
ことを特徴とする。
【0020】
前記電源制御回路において、
前記第1の駆動用ダイオードの第2の端子に一端が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子に他端が接続された第1のコンデンサをさらに備える
ことを特徴とする。
【0021】
前記電源制御回路において、
前記バイポーラトランジスタは、NPN型バイポーラトランジスタであり、
前記バイポーラトランジスタの前記第1の端子は、コレクタであり、
前記バイポーラトランジスタの前記第2の端子は、エミッタである
ことを特徴とする。
【0022】
前記電源制御回路において、
前記第1のダイオード、および前記第1、第2の駆動用ダイオードの前記第1の端子は、カソードであり、
前記第1のダイオード、および前記第1、第2の駆動用ダイオードの前記第2の端子は、アノードである
ことを特徴とする。
【0023】
前記電源制御回路において、
前記第1の巻線の巻数は、前記第2の巻線の巻数よりも小さいことを特徴とする。
【0024】
前記電源制御回路において、
前記第3の巻線の巻数は、前記第4の巻線の巻数よりも小さいことを特徴とする。
【0025】
前記電源制御回路において、
前記第1の抵抗の抵抗値は、前記第2の抵抗の抵抗値よりも小さいことを特徴とする。
【0026】
前記電源制御回路において、
前記整流回路は、
前記交流電源の交流出力端子にアノードが接続され、前記第1の巻線の他端にカソードが接続された第1の整流ダイオードと、
前記交流電源の前記交流出力端子にカソードが接続され、前記第2の巻線の一端にアノードが接続された第2の整流ダイオードと、を有する
ことを特徴とする。
【0027】
前記電源制御回路において、
前記第1の出力端子の電位は、前記第2の出力端子の電位よりも高いことを特徴とする。
【0028】
前記電源制御回路において、
前記第2の出力端子は、負荷の負側に接続されていることを特徴とする。
【0029】
前記電源制御回路において、
前記交流電源は、交流発電機であることを特徴とする。
【0030】
前記電源制御回路において、
前記交流発電機は、エンジンにより駆動されることを特徴とする。
【0031】
本発明の一態様に係る実施例に従った電源制御装置は、
交流電源と、
前記交流電源の出力をRCC(Ringing Choke Converter)方式により制御して直流出力する電源制御回路と、を備え、
前記電源制御回路は、
直流出力のための第1の出力端子に第1の端子が接続された第1のダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第1のトランスを構成する第1の巻線と、
直流出力のための第2の出力端子に一端が接続され、前記第1のトランスを構成する第2の巻線と、
前記第2の巻線の他端に一端が接続された第1の抵抗と、
前記第1の抵抗の他端に第2の端子が接続された第1の駆動用ダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第2のトランスを構成する第3の巻線と、
前記第2の出力端子に一端が接続され、前記第2のトランスを構成する第4の巻線と、
前記第4の巻線の他端に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子に第1の端子が接続された第2の駆動用ダイオードと、
前記第3の巻線の他端に第1の端子が接続され、前記第2の出力端子に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子にベースが接続されたバイポーラトランジスタと、
前記第1の巻線の他端と前記バイポーラトランジスタの前記ベースとの間に接続された第2の抵抗と、
前記第1の巻線の他端と前記第2の巻線の一端との間に接続され、前記交流電源の出力を整流して出力する整流回路と、を有する
ことを特徴とする。
【0032】
本発明の一態様に係る実施例に従った電源制御システムは、
交流発電機と、
前記交流発電機を駆動するエンジンと、
前記交流発電機の出力をRCC(Ringing Choke Converter)方式により制御して直流出力する電源制御回路と、を備え、
前記電源制御回路は、
直流出力のための第1の出力端子に第1の端子が接続された第1のダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第1のトランスを構成する第1の巻線と、
直流出力のための第2の出力端子に一端が接続され、前記第1のトランスを構成する第2の巻線と、
前記第2の巻線の他端に一端が接続された第1の抵抗と、
前記第1の抵抗の他端に第2の端子が接続された第1の駆動用ダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第2のトランスを構成する第3の巻線と、
前記第2の出力端子に一端が接続され、前記第2のトランスを構成する第4の巻線と、
前記第4の巻線の他端に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子に第1の端子が接続された第2の駆動用ダイオードと、
前記第3の巻線の他端に第1の端子が接続され、前記第2の出力端子に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子にベースが接続されたバイポーラトランジスタと、
前記第1の巻線の他端と前記バイポーラトランジスタの前記ベースとの間に接続された第2の抵抗と、
前記第1の巻線の他端と前記第2の巻線の一端との間に接続され、前記交流発電機の出力を整流して出力する整流回路と、を有する
ことを特徴とする。
【0033】
前記電源制御システムにおいて、
前記エンジンが使用者により供給される動力により回転し起動することにより、前記交流発電機が回転し起動するようになっている
ことを特徴とする。
【0034】
前記電源制御システムにおいて、
前記交流発電機から前記電源制御回路を介して電力が供給され、前記エンジンの動作を制御するためのエンジン制御回路を、さらに備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一態様に係る電源制御回路では、交流電源(交流発電機)の起動時に出力電圧が低い(例えば、2〜3V程度)場合、第2の抵抗を介してバイポーラトランジスタにベース電流を供給してバイポーラトランジスタを動作させ、その後、第1のトランスが動作することにより第2の巻線、第1の抵抗、第1の駆動ダイオードを介してバイポーラトランジスタにベース電流が供給される。
【0036】
第3の巻線に電流が流れることにより、第3の巻線よりコレクタ電流に比例した電流が供給される。
【0037】
これにより、該電源制御回路は、2〜3V程度の低電圧で起動することができる。
【0038】
さらに、第1の抵抗に流れる電流を少なくすることができるので、消費電流を低減することができる。
【0039】
特に、本発明の一態様に係る電源制御回路は、例えば、使用者の動力によりエンジンを回転させて該交流発電機を駆動して発電する場合に、起動時に該交流発電機が出力する交流電圧が2〜3V程度と低くても、より適切に動作し、所定の直流出力を負荷回路等に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の一態様である実施例1に係る電源制御システム1000の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、従来のチョッパ方式の昇圧型スイッチングレギュレータの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0042】
図1は、本発明の一態様である実施例1に係る電源制御システム1000の構成の一例を示す図である。
【0043】
図1に示すように、電源制御システム1000は、電源制御回路100と、交流電源(交流発電機)200と、交流発電機を駆動するエンジン201と、を備える。
【0044】
駆動するエンジン201は、交流電源(交流発電機)200を駆動するようになっている。例えば、このエンジン201が使用者により供給される動力により回転し起動することにより、交流発電機が回転し起動するようになっている
なお、電源制御システム1000は、交流電源200から電源制御回路100を介して電力が供給され、エンジン201の動作を制御するためのエンジン制御回路(図示せず)を備えている。
【0045】
また、電源制御回路100は、交流電源200の出力をRCC(Ringing Choke Converter)方式により制御して直流出力するようになっている。
【0046】
なお、この電源制御回路100と、交流電源(交流発電機)200とにより、所定の直流出力を該負荷回路に供給するための電源制御装置が構成される。
【0047】
図1に示すように、この電源制御回路100は、例えば、直流出力のための第1の出力端子101および第2の出力端子102と、整流回路103と、第1のコンデンサC1と、第1の平滑用コンデンサCS1と、第2の平滑用コンデンサCS2と、第1のダイオードD1と、第1の駆動用ダイオードD2と、第2の駆動用ダイオードD3と、同極性の第1のトランスT1と、同極性の第2のトランスT2と、バイポーラトランジスタ(NPN型バイポーラトランジスタ)Trと、第1の抵抗R1と、第2の抵抗R2と、を備える。
【0048】
第1の出力端子101は、直流電流が出力される(負荷の正側に接続される)ようになっている。
【0049】
第2の出力端子102は、例えば、負荷の負側に接続される。すなわち、第1の出力端子101の電位は、この第2の出力端子102の電位よりも高く設定されている。
【0050】
この第1の出力端子101と第2の出力端子102との間に、負荷回路(図示せず)が接続される。すなわち、該負荷回路には、交流電源200から電源制御回路100を介して電力が供給される。該負荷回路は、例えば、既述のエンジン制御回路も含まれる。
【0051】
第1のダイオードD1は、第1の出力端子101に第1の端子(カソード)が接続されている。
【0052】
第1のトランスT1は、第1の巻線T1aと、第2の巻線T1bと、により構成される。
【0053】
第1の巻線T1aは、第1のダイオードD1の第2の端子(アノード)に一端が接続されている。
【0054】
第2の巻線T1bは、第2の出力端子102に一端が接続されている。
【0055】
例えば、第1の巻線T1aの巻数は、第2の巻線T1bの巻数よりも小さく設定されている。
【0056】
また、第1の抵抗R1は、第2の巻線T1bの他端に一端が接続されている。
【0057】
第1の駆動用ダイオードD2は、第1の抵抗R1の他端に第2の端子(アノード)が接続されている。
【0058】
第1のコンデンサC1は、第1の駆動用ダイオードD2の第2の端子(アノード)に一端が接続され、第1の駆動用ダイオードD2の第1の端子(カソード)に他端が接続されている。
【0059】
第2のトランスT2は、第3の巻線T2aと、第4の巻線T2bと、により構成される。
【0060】
第3の巻線T2aは、第1のダイオードD1の第2の端子(アノード)に一端が接続されている。
【0061】
第4の巻線T2bは、第2の出力端子102に一端が接続されている。
【0062】
例えば、第3の巻線の巻数T2aは、第4の巻線T2bの巻数よりも小さく設定されている。
【0063】
また、第2の駆動用ダイオードD3は、第4の巻線T2bの他端に第2の端子(アノード)が接続され、第1の駆動用ダイオードD2の第1の端子(カソード)に第1の端子(カソード)が接続されている。
【0064】
バイポーラトランジスタ(NPN型バイポーラトランジスタ)Trは、第3の巻線T2aの他端に第1の端子(コレクタ)が接続され、第2の出力端子102に第2の端子(エミッタ)が接続され、第1の駆動用ダイオードD2の第1の端子(カソード)にベースが接続されている。
【0065】
第2の抵抗R2は、第1の巻線T1aの他端とバイポーラトランジスタTrのベースとの間に接続されている。
【0066】
例えば、第1の抵抗R1の抵抗値は、この第2の抵抗R2の抵抗値よりも小さく設定されている。
【0067】
整流回路103は、第1の巻線T1aの他端と第2の巻線T1bの一端との間に接続され、交流電源200の出力を整流して出力するようになっている。
【0068】
この整流回路103は、例えば、図1に示すように、第1の整流ダイオード103aと、第2の整流ダイオード103bと、第3の整流ダイオード103cと、第4の整流ダイオード103dと、を有する。
【0069】
第1の整流ダイオード103aは、交流電源200の第1の交流出力端子200aにアノードが接続され、第1の巻線T1aの他端にカソードが接続されている。
【0070】
第2の整流ダイオード103bは、交流電源200の第1の交流出力端子103aにカソードが接続され、第2の巻線T1bの一端にアノードが接続されている。
【0071】
第3の整流ダイオード103cは、交流電源200の第2の交流出力端子200bにアノードが接続され、第1の巻線T1aの他端にカソードが接続されている。
【0072】
第4の整流ダイオード103dは、交流電源200の第2の交流出力端子200bにカソードが接続され、第4の巻線T2bの一端にアノードが接続されている。
【0073】
また、平滑用の第1の平滑用コンデンサCS1は、第1の出力端子101と第2の出力端子102との間に接続されている。この第1の平滑用コンデンサCS1により、電源制御回路100の出力が平滑化される。
【0074】
また、平滑用の第2の平滑用コンデンサCS2は、第1の巻線T1aの他端と第2の巻線T1bの一端との間で、整流回路103と並列に接続されている。この第2の平滑用コンデンサCS2により、整流回路103の出力が平滑化される。
【0075】
次に、以上のような構成を有する電源制御システム1000の動作の一例について、説明する。
【0076】
例えば、使用者の動力によりエンジン201を回転させて交流電源(交流発電機)200を駆動して発電を開始する。この交流電源200は、起動時に出力電圧が、例えば、2〜3V程度と低い。
【0077】
そして、このように交流電源200の出力電圧が低い場合、先ず、電源制御回路100は、第2の抵抗R2を介してバイポーラトランジスタTrにベース電流を供給してバイポーラトランジスタTrを動作させる。
【0078】
その後、交流電源200の出力電圧が上昇すると、第1のトランスT1が動作することにより第2の巻線T1b、第1の抵抗R1、第1の駆動ダイオードD2を介してバイポーラトランジスタTrにベース電流が供給される。このベース電流により、バイポーラトランジスタTrが動作する。
【0079】
これにより、電源制御回路100は、2〜3V程度の低電圧で起動することができる。
【0080】
そして、交流電源200の出力電圧が定常状態(例えば、10〜20V程度)になると、第2のトランスT2が起動し第4の巻線T2b、第2の駆動ダイオードD3を介して、バイポーラトランジスタTrにベース電流が供給される。このベース電流により、バイポーラトランジスタTrが動作する。
【0081】
以上のバイポーラトランジスタTrの動作により、誘起起電力が発生し、第1の巻線T1aの電圧が上昇する。その電圧が第1の平滑用コンデンサCS1により平滑されることにより、第1の出力端子101から出力される直流出力が昇圧される。
【0082】
このように、電源制御回路100は、第1の抵抗(ベース抵抗)R1に流れる電流を少なくすることができるので、第1の抵抗(ベース抵抗)R1の消費電流を低減することができる。
【0083】
特に、電源制御回路100は、既述のように使用者の動力によりエンジン201を回転させて該交流発電機200を駆動して発電する場合に、起動時に該交流発電機200が出力する交流電圧が2〜3V程度と低くても、より適切に動作し、所定の直流出力を負荷回路等に供給することができる。
【0084】
なお、本実施例では、バイポーラトランジスタがNPN型バイポーラトランジスタである場合の一例について説明したが、バイポーラトランジスタがPNP型バイポーラトランジスタの場合、接続を全て反転させることでNPN型バイポーラトランジスタと同様に説明される。
【0085】
なお、実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【符号の説明】
【0086】
100 電源制御回路
101 第1の出力端子
102 第2の出力端子
103 整流回路
103a 第1の整流ダイオード
103b 第2の整流ダイオード
103c 第3の整流ダイオード
103d 第4の整流ダイオード
200 交流電源(交流発電機)
201 エンジン
C1 第1のコンデンサ
CS1 第1の平滑用コンデンサ
CS2 第2の平滑用コンデンサ
D1 第1のダイオード
D2 第1の駆動用ダイオード
D3 第2の駆動用ダイオード
T1 第1のトランス
T1a 第1の巻線
T1b 第2の巻線
T2 第2のトランス
T2a 第3の巻線
T2b 第4の巻線
Tr バイポーラトランジスタ(NPN型バイポーラトランジスタ)
R1 第1の抵抗
R2 第2の抵抗
1000 電源制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の出力をRCC(Ringing Choke Converter)方式により制御して直流出力する電源制御回路であって、
直流出力のための第1の出力端子に第1の端子が接続された第1のダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第1のトランスを構成する第1の巻線と、
直流出力のための第2の出力端子に一端が接続され、前記第1のトランスを構成する第2の巻線と、
前記第2の巻線の他端に一端が接続された第1の抵抗と、
前記第1の抵抗の他端に第2の端子が接続された第1の駆動用ダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第2のトランスを構成する第3の巻線と、
前記第2の出力端子に一端が接続され、前記第2のトランスを構成する第4の巻線と、
前記第4の巻線の他端に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子に第1の端子が接続された第2の駆動用ダイオードと、
前記第3の巻線の他端に第1の端子が接続され、前記第2の出力端子に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子にベースが接続されたバイポーラトランジスタと、
前記第1の巻線の他端と前記バイポーラトランジスタの前記ベースとの間に接続された第2の抵抗と、
前記第1の巻線の他端と前記第2の巻線の一端との間に接続され、前記交流電源の出力を整流して出力する整流回路と、を備える
ことを特徴とする電源制御回路。
【請求項2】
前記第1の出力端子と前記第2の出力端子との間に接続された平滑用の第1の平滑用コンデンサをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項3】
前記第1の巻線の他端と前記第2の巻線の一端との間で、前記整流回路と並列に接続された平滑用の第2の平滑用コンデンサをさらに備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電源制御回路。
【請求項4】
前記第1の駆動用ダイオードの第2の端子に一端が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子に他端が接続された第1のコンデンサをさらに備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電源制御回路。
【請求項5】
前記バイポーラトランジスタは、NPN型バイポーラトランジスタであり、
前記バイポーラトランジスタの前記第1の端子は、コレクタであり、
前記バイポーラトランジスタの前記第2の端子は、エミッタである
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電源制御回路。
【請求項6】
前記第1のダイオード、および前記第1、第2の駆動用ダイオードの前記第1の端子は、カソードであり、
前記第1のダイオード、および前記第1、第2の駆動用ダイオードの前記第2の端子は、アノードである
ことを特徴とする請求項5に記載の電源制御回路。
【請求項7】
前記第1の巻線の巻数は、前記第2の巻線の巻数よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電源制御回路。
【請求項8】
前記第3の巻線の巻数は、前記第4の巻線の巻数よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電源制御回路。
【請求項9】
前記第1の抵抗の抵抗値は、前記第2の抵抗の抵抗値よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の電源制御回路。
【請求項10】
前記整流回路は、
前記交流電源の交流出力端子にアノードが接続され、前記第1の巻線の他端にカソードが接続された第1の整流ダイオードと、
前記交流電源の前記交流出力端子にカソードが接続され、前記第2の巻線の一端にアノードが接続された第2の整流ダイオードと、を有する
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の電源制御回路。
【請求項11】
前記第1の出力端子の電位は、前記第2の出力端子の電位よりも高いことを特徴とする請求項5に記載の電源制御回路。
【請求項12】
前記第2の出力端子は、負荷の負側に接続されていることを特徴とする請求項11に記載の電源制御回路。
【請求項13】
前記交流電源は、交流発電機であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の電源制御回路。
【請求項14】
前記交流発電機は、エンジンにより駆動されることを特徴とする請求項13に記載の電源制御回路。
【請求項15】
交流電源と、
前記交流電源の出力をRCC(Ringing Choke Converter)方式により制御して直流出力する電源制御回路と、を備え、
前記電源制御回路は、
直流出力のための第1の出力端子に第1の端子が接続された第1のダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第1のトランスを構成する第1の巻線と、
直流出力のための第2の出力端子に一端が接続され、前記第1のトランスを構成する第2の巻線と、
前記第2の巻線の他端に一端が接続された第1の抵抗と、
前記第1の抵抗の他端に第2の端子が接続された第1の駆動用ダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第2のトランスを構成する第3の巻線と、
前記第2の出力端子に一端が接続され、前記第2のトランスを構成する第4の巻線と、
前記第4の巻線の他端に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子に第1の端子が接続された第2の駆動用ダイオードと、
前記第3の巻線の他端に第1の端子が接続され、前記第2の出力端子に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子にベースが接続されたバイポーラトランジスタと、
前記第1の巻線の他端と前記バイポーラトランジスタの前記ベースとの間に接続された第2の抵抗と、
前記第1の巻線の他端と前記第2の巻線の一端との間に接続され、前記交流電源の出力を整流して出力する整流回路と、を有する
ことを特徴とする電源制御装置。
【請求項16】
交流発電機と、
前記交流発電機を駆動するエンジンと、
前記交流発電機の出力をRCC(Ringing Choke Converter)方式により制御して直流出力する電源制御回路と、を備え、
前記電源制御回路は、
直流出力のための第1の出力端子に第1の端子が接続された第1のダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第1のトランスを構成する第1の巻線と、
直流出力のための第2の出力端子に一端が接続され、前記第1のトランスを構成する第2の巻線と、
前記第2の巻線の他端に一端が接続された第1の抵抗と、
前記第1の抵抗の他端に第2の端子が接続された第1の駆動用ダイオードと、
前記第1のダイオードの第2の端子に一端が接続され、同極性の第2のトランスを構成する第3の巻線と、
前記第2の出力端子に一端が接続され、前記第2のトランスを構成する第4の巻線と、
前記第4の巻線の他端に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子に第1の端子が接続された第2の駆動用ダイオードと、
前記第3の巻線の他端に第1の端子が接続され、前記第2の出力端子に第2の端子が接続され、前記第1の駆動用ダイオードの第1の端子にベースが接続されたバイポーラトランジスタと、
前記第1の巻線の他端と前記バイポーラトランジスタの前記ベースとの間に接続された第2の抵抗と、
前記第1の巻線の他端と前記第2の巻線の一端との間に接続され、前記交流発電機の出力を整流して出力する整流回路と、を有する
ことを特徴とする電源制御システム。
【請求項17】
前記エンジンが使用者により供給される動力により回転し起動することにより、前記交流発電機が回転し起動するようになっている
ことを特徴とする請求項16に記載の電源制御システム。
【請求項18】
前記交流発電機から前記電源制御回路を介して電力が供給され、前記エンジンの動作を制御するためのエンジン制御回路を、さらに備える
ことを特徴とする請求項16または17に記載の電源制御システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−186884(P2012−186884A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46657(P2011−46657)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】