説明

電源装置、電源装置を用いた家電機器および電源装置の制御方法

【課題】力率を改善するとともに損失の発生の抑制を図る。
【解決手段】電源装置10は、商用交流電源20から負荷80への入力電力が下限値を示す第1入力値である場合の第1力率が予め定められた値以上となる第1力率改善部90と、入力電力が前記第1入力値よりも大きい第2入力値である場合の第2力率が予め定められた値以上となる第2力率改善部92と、入力電力の大きさがしきい値よりも小さい場合に第1力率改善部90を選択し、入力電力の大きさがしきい値よりも大きい場合に第2力率改善部を選択するためのスイッチ部100とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源および太陽電池を併用する電源装置に関し、特に、交流電源からの入力電力に応じた力率の改善と損失悪化の抑制とを両立する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化や石油枯渇の問題から、電気機器の省エネルギ化が求められている。このような問題に鑑みて、発電時に温暖化の原因となる二酸化炭素を発生しない太陽電池が家電機器の新たな電力供給源として注目されている。
【0003】
一方、商用交流電源からの交流電力を用いて電気機器に電力を供給する場合において力率を改善するための電源回路が公知である。このような電源回路として、たとえば、特開2005−295761号公報(特許文献1)および特開2000−308352号公報(特許文献2)には、空気調和機の電源回路において、力率を改善し、待機時消費電圧を低減する電源回路が開示されている。
【0004】
力率は、負荷電力によって変動し、最も負荷電力の小さいときに力率が最も悪化する。そのため、力率の改善は、たとえば、商用交流電源から入力される入力電力の下限値を基準として行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−295761号公報
【特許文献2】特開2000−308352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、太陽電池から供給される電力に商用交流電源から供給される電力を用いて不足分を補うことによって電気機器に電力を供給する場合においては、太陽電池から供給される電力の変動によって商用交流電源から入力される電力が大きく変動する場合がある。
【0007】
太陽電池から供給される電力が大きい場合の商用交流電源からの入力電力は、太陽電池から供給される電力が小さい場合の商用交流電源からの入力電力と比較して小さくなる。そのため、商用交流電源の入力電力は、太陽電池を併用しない電源装置よりも低くなる場合がある。力率の改善がたとえばリアクトルを用いて行なわれる場合には、入力電力の下限値を基準としたリアクトルのインダクタンス値は、太陽電池を併用しない電源装置よりも大きくする必要がある。インダクタンス値を大きくするには、リアクトルの巻数を増やす必要があるため、巻線抵抗が増加し、入力電力が大きい場合には損失や電圧降下が発生する可能性がある。
【0008】
上述した公報においては、このような商用交流電源と太陽電池とを併用した場合の問題について何ら考慮されておらず解決することはできない。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、力率を改善するとともに損失の発生の抑制を図る電源装置、電源装置を用いた家電機器および電源装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に係る電源装置は、太陽電池および交流電源から供給された電力を負荷に供給するための電源装置である。この電源装置は、交流電源から負荷への入力電力が下限値を示す第1入力値である場合の第1力率が予め定められた値以上となる第1力率改善部と、入力電力が第1入力値よりも大きい第2入力値である場合の第2力率が予め定められた値以上となる第2力率改善部と、入力電力の大きさがしきい値よりも小さい場合に第1力率改善部を選択し、入力電力の大きさがしきい値よりも大きい場合に第2力率改善部を選択するための選択部とを含む。
【0011】
好ましくは、電源装置は、太陽電池から供給される第1電力を検出するための第1検出部と、負荷に供給される第2電力を検出するための第2検出部と、第1電力と第2電力との差に基づいて入力電力を算出するための算出部とをさらに含む。
【0012】
さらに好ましくは、第1検出部は、太陽電池の出力電圧と出力電流とを検出する。第2検出部は、負荷に供給される負荷電圧と負荷電流とを検出する。
【0013】
さらに好ましくは、電源装置は、太陽電池の出力電圧を変化させるための電力変換部をさらに含む。電力変換部から負荷に対して電力を供給する経路上の接続ノードには交流電源からの電力が供給される。第1検出部は、電力変換部と接続ノードとを結ぶ第1電源ラインに設けられ、電力変換部から出力される出力電流を検出する。第2検出部は、接続ノードと負荷とを結ぶ第2電源ラインに設けられ、負荷に供給される負荷電流を検出する。
【0014】
さらに好ましくは、第1力率改善部は、第1インダクタンス値を有する第1リアクトルを含む。第2力率改善部は、第1インダクタンス値よりも小さい第2インダクタンス値を有する第2リアクトルを含む。
【0015】
さらに好ましくは、電源装置は、第1力率改善部および第2力率改善部を含む複数の力率改善部を含む。複数の力率改善部の各々は、リアクトルを含む。選択部は、交流電源からの電力供給の開始時において複数の力率改善部のうちの最大のインダクタンス値を有するいずれか一つの力率改善部を選択する。
【0016】
さらに好ましくは、電源装置は、太陽電池の第1出力電圧を第2出力電圧に変換するための電力変換部と、第2出力電圧を受け、電力変換部と負荷とに並列に接続される平滑コンデンサと、平滑コンデンサに並列接続され、交流電源から供給される電流を整流するための整流部と、電力変換部の第2出力電圧を変化させないように電力変換部を制御するための制御部とをさらに含む。
【0017】
この発明の他の局面に係る電源装置の制御方法は、太陽電池および交流電源から供給された電力を負荷に供給するための電源装置の制御方法である。電源装置は、交流電源から負荷への入力電力が下限値を示す第1入力値である場合の第1力率が予め定められた値以上となる第1力率改善部と、入力電力が第1入力値よりも大きい第2入力値である場合の第2力率が予め定められた値以上となる第2力率改善部とを含む。この電源装置の制御方法は、入力電力の大きさがしきい値よりも小さい場合に第1力率改善部を選択するステップと、入力電力の大きさがしきい値よりも大きい場合に第2力率改善部を選択するステップとを含む。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、力率が悪化するような入力電力の範囲である場合には、第1力率改善回路が選択されるため、力率の改善が図れる。また、入力電力が小さい場合には電流も小さくなるため、この入力電力の範囲において第1力率改善回路が選択された場合でもリアクトルにおける損失の発生を抑制できる。また、入力電力が第1力率改善回路を選択した場合に巻線抵抗による損失や電圧降下が生じるような範囲である場合には、第2力率改善回路が選択されるため、必要な力率を確保しつつ、リアクトルにおける損失や電圧降下の発生を抑制することができる。したがって、力率を改善するとともに損失の発生の抑制を図る電源装置、電源装置を用いた家電機器および電源装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係る電源装置の全体構成を示す図(その1)である。
【図2】第1力率改善回路および第2力率改善回路の詳細な構成を示す図である。
【図3】太陽電池の出力電力が低い場合の平滑コンデンサの電圧および整流回路の出力電流の変化を示すタイミングチャートである。
【図4】太陽電池の出力電圧が高い場合の平滑コンデンサの電圧および整流回路の出力電流の変化を示すタイミングチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係る電源装置の全体構成を示す図(その2)である。
【図6】第2の実施の形態に係る電源装置の全体構成を示す図である。
【図7】第3の実施の形態に係る電源装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0021】
<第1の実施形態>
図1に示すように、本実施の形態に係る電源装置10は、商用交流電源20と、コンセント30と、プラグ36と、整流回路40と、平滑コンデンサ50と、太陽電池60と、DC/DCコンバータ70と、第1力率改善回路90と、第2力率改善回路92と、スイッチ部100と、制御装置200とを含む。電源装置10は、電気機器である負荷80に対して直流電力を供給する。
【0022】
太陽電池60は、光エネルギを直接的に電力に変換する装置である。太陽電池60は、DC/DCコンバータ70の入力側に接続され、DC/DCコンバータ70に対して直流電圧を供給する。
【0023】
DC/DCコンバータ70は、太陽電池60から供給された第1出力電圧を第2出力電圧に変換する電力変換装置であり、第2出力電圧を平滑コンデンサ50の両端電圧値に追従する構成であって、たとえばフライバックコンバータである。
【0024】
DC/DCコンバータ70の出力側には、平滑コンデンサ50が接続される。DC/DCコンバータ70は、平滑コンデンサ50に対して変換した直流電圧を供給する。
【0025】
商用交流電源20のコンセント30には、着脱可能なプラグ36が取り付けられている。商用交流電源20は、コンセント30を経由して電源装置10に交流電力を供給する。プラグ36は、電源ケーブル等を経由して第1力率改善回路90および第2力率改善回路92に接続される。第1力率改善回路90と第2力率改善回路92とは、並列に接続される。
【0026】
スイッチ部100は、第1力率改善回路90と第2力率改善回路92とのうちのいずれか一方を選択するためのスイッチである。スイッチ部100は、スイッチ122と、スイッチ124とを含む。
【0027】
スイッチ122は、電源ライン300に設けられる。スイッチ124は、電源ライン304に設けられる。スイッチ122は、電源ライン302に設けられるようにしてもよい。スイッチ124は、電源ライン306に設けられるようにしてもよい。
【0028】
ただし、スイッチ122を電源ライン300に設けたときは、スイッチ124は電源ライン304への設置に限定される。スイッチ122を電源ライン302に設けたときは、スイッチ124は電源ライン306への設置に限定される。
【0029】
スイッチ部100は、制御装置200からの制御信号SW1,SW2に基づいてスイッチ122をオンし、スイッチ124をオフした状態にしたり、スイッチ122をオフし、スイッチ124をオンした状態にしたりする。
【0030】
整流回路40は、商用交流電源20から第1力率改善回路90および第2力率改善回路92のうちのいずれか一方を経由して供給された交流電力を整流する回路である。本実施の形態において、整流回路40は、たとえば、全波整流回路である。整流回路40において整流された交流電力は平滑コンデンサ50に供給される。整流回路40とプラグ36との間には、第1力率改善回路90と第2力率改善回路92とが並列に接続される。また、整流回路40とプラグ36との間は、第1力率改善回路90を経由する電源ライン300,302と、第2力率改善回路92を経由する電源ライン304,306によって接続される。
【0031】
スイッチ122がオンされ、スイッチ124がオフされた状態である場合には、商用交流電源20から第1力率改善回路90を経由して整流回路40に交流電力が供給される。また、スイッチ122がオフされ、スイッチ124がオンされた状態である場合には、商用交流電源20から第2力率改善回路92を経由して整流回路40に交流電力が供給される。
【0032】
DC/DCコンバータ70と負荷80とは、正極電源ライン72と負極電源ライン74とによって接続される。また、整流回路40の出力側の電源ライン308は、正極電源ライン72に接続される。さらに、整流回路40の出力側の電源ライン310は、負極電源ライン74に接続される。
【0033】
平滑コンデンサ50は、正極電源ライン72と負極電源ライン74との間に接続される。
【0034】
平滑コンデンサ50は、DC/DCコンバータ70から供給される電力と整流回路40から供給される電力とを蓄電して、蓄電された電流を負荷80に供給する。平滑コンデンサ50は、DC/DCコンバータ70および整流回路40から供給された電力を平滑化することによって電力の脈動成分を除去する。たとえば、商用交流電源20の電圧有効値が100Vである場合には、平滑コンデンサ50の両端電圧は電圧有効値の√2倍の約141Vの直流電圧となる。
【0035】
負荷80は、平滑コンデンサ50から供給される直流電力を用いて作動する電気機器であって、たとえば、家電機器である。
【0036】
図2に示すように、第1力率改善回路90は、電源ライン300と電源ライン302とを接続する第1コンデンサ104と、第1コンデンサ104と電源ライン300との接続ノードよりもスイッチ100側の電源ライン300に直列に接続される第1リアクトル102とを含む。第1力率改善回路90は、商用交流電源20からの入力電力が下限値を示す第1入力値である場合の第1力率が予め定められた値以上となる力率改善回路である。
【0037】
第2力率改善回路92は、電源ライン304と電源ライン306とを接続する第2コンデンサ108と、第2コンデンサ108と電源ライン204との接続ノードよりもスイッチ側の電源ライン304に直列に接続される第2リアクトル106とを含む。第2力率改善回路92は、商用交流電源20からの入力電力が第1入力値よりも大きい第2入力値である場合の第2力率が予め定められた値以上となる力率改善回路である。なお、本実施の形態において第1コンデンサ104と第2コンデンサ108とは容量が同一のコンデンサであるが、異なる容量であるとしてもよい。
【0038】
第1リアクトル102と第2リアクトル106とはインダクタンス値が異なる。本実施の形態において、第1リアクトル102の第1インダクタンス値は、第2リアクトル106の第2インダクタンス値よりも大きい値である。
【0039】
電源装置10は、負荷80に供給される負荷電流Is(1)を検出するため負荷電流センサ110と、負荷80に供給される負荷電圧Vs(1)を検出するための負荷電圧センサ112と、太陽電池60から出力される出力電流Is(2)を検出するための出力電流センサ114と、太陽電池60から出力される出力電圧Vsを検出するための出力電圧センサ116とをさらに含む。
【0040】
負荷電流センサ110は、正極電源ライン72と平滑コンデンサ50との接続ノードよりも負荷80側の位置に設けられ、検出した負荷電流Is(1)を示す信号を制御装置200に送信する。
【0041】
負荷電圧センサ112は、検出した負荷電圧Vs(1)を示す信号を制御装置200に送信する。
【0042】
さらに、出力電流センサ114は、太陽電池60とDC/DCコンバータ70とを接続する正極電源ラインに設けられ、検出した出力電流Is(2)を示す信号を制御装置200に送信する。出力電圧センサ116は、太陽電池60に並列に設けられ、検出した出力電圧Vs(2)を示す信号を制御装置200に送信する。
【0043】
制御装置200は、負荷電流センサ110からの負荷電流Is(1)、負荷電圧センサ112からの負荷電圧Vs(1)、出力電流センサ114からの出力電流Is(2)および出力電圧センサ116からの出力電圧Vs(2)のうちの少なくともいずれか一つに基づいて制御信号SW1,SW2を生成する。
【0044】
本実施の形態において、出力電流センサ114と出力電圧センサ116によって太陽電池60から供給される電力を検出するための「第1検出部」が実現される。また、負荷電流センサ110と負荷電圧センサ112とによって負荷80に供給される電力を検出するための「第2検出部」が実現される。
【0045】
以上のような構成において、たとえば、太陽電池60の出力電力が小さい場合を想定する。図3に示すように、平滑コンデンサ50には、商用交流電源20からの電流が、平滑コンデンサ50の電圧よりも整流電圧(図3の破線)が大きくなる期間(時間T(1)から時間T(2)までの期間、時間T(3)から時間T(4)までの期間および時間T(5)から時間T(6)までの期間)において流れ込むこととなる。上述したように、DC/DCコンバータ70は、出力電圧が平滑コンデンサ50の両端電圧に追従するように動作するため、この動作によって商用交流電源20から平滑コンデンサ50に電流が流れない期間(時間T(2)から時間T(3)までの期間および時間T(4)から時間T(5)までの期間)にも太陽電池60から電流が流れ込むこととなる。
【0046】
次に太陽電池60の出力電力が大きい場合(図3で示される太陽電池60の出力電力よりも大きい場合)を想定する。図4に示すように、図3の時間T(1)から時間T(6)までの期間と比較して、太陽電池60の出力電力が大きい場合には、商用交流電源20から平滑コンデンサ50に電流が流れない期間(時間T(8)から時間T(9)までの期間および時間T(10)から時間T(11)までの期間)における平滑コンデンサ50の両端電圧の落ち込みの程度が小さく、電圧リプルが小さくなる。
【0047】
そのため、商用交流電源20から平滑コンデンサ50に電流が流れ込む期間、すなわち、商用交流電源20の整流電圧が平滑コンデンサ50の電圧よりも高くなる期間(時間T(7)および時間T(8)までの期間、時間T(9)から時間T(10)までの期間および時間T(11)から時間T(12)までの期間)は、図3に示される対応する期間よりも短くなる。
【0048】
このため、太陽電池60の出力電圧が増える分だけ商用交流電力から入力される入力電力が小さくなることとなる。このようにして、DC/DCコンバータ70の出力電圧を平滑コンデンサ50の電圧に追従させる動作によって、太陽電池60からの出力電圧が主として平滑コンデンサ50に供給され、不足する分の電力が商用交流電源20から供給される動作が実現される。
【0049】
しかしながら、上述したような構成により太陽電池60から供給される電力に商用交流電源20から供給される電力を用いて不足分を補うことによって負荷80に電力を供給する場合においては、太陽電池60から供給される電力の変動によって商用交流電源20から入力される電力が大きく変動する場合がある。
【0050】
太陽電池60から供給される電力が大きい場合の商用交流電源20からの入力電力は、太陽電池60から供給される電力が小さい場合の商用交流電源20からの入力電力と比較して小さくなる。すなわち、商用交流電源20の入力電力は、太陽電池60を併用しない電源装置と比較してより低くなる場合がある。力率の改善は、リアクトルを用いて行なわれるため、入力電力の下限値を基準としたリアクトルのインダクタンス値は、太陽電池60を併用しない電源装置と比較して大きくする必要がある。インダクタンス値を大きくするには、リアクトルの巻数を増やす必要があり、巻線抵抗が増加し、入力電力が大きい場合に損失や電圧降下が発生する可能性がある。
【0051】
そこで、本実施の形態においては、制御装置200が、商用交流電源20からの入力電力の大きさがしきい値よりも小さい場合に第1力率改善回路90を選択し、商用交流電源20からの入力電力の大きさがしきい値よりも大きい場合に第2力率改善回路92を選択する点に特徴を有する。
【0052】
具体的には、制御装置200は、太陽電池60から供給される第1電力P(1)を検出して、負荷80に供給される第2電力P(2)を検出して、第1電力P(1)と第2電力P(2)との差に基づいて入力電力を算出する。
【0053】
図5に示すように、制御装置200は、第1乗算器150と、第2乗算器152と、減算器160と、第1比較器170と、第2比較器172と、第3比較器174と、第1XORゲート180と、第2XORゲート182とを含む。なお、図5に示す電源装置10の構成において、図1に示す構成と同一の構成については同一の符号が付与されており、その機能も同一である。そのため、その詳細な説明は繰返さない。
【0054】
第1乗算器150は、負荷電流Is(1)と負荷電圧Vs(1)とを乗算して負荷80の負荷電力Ps(1)を算出して減算器160に出力する。
【0055】
第2乗算器152は、出力電流Is(2)と出力電圧Vs(2)とを乗算して太陽電池60の出力電力Ps(2)を算出して減算器160に出力する。
【0056】
減算器160は、負荷電力Ps(1)から出力電力Ps(2)を減算して商用交流電源20からの入力電力Pacを算出して、第1比較器170、第2比較器172および第3比較器174に出力する。
【0057】
算出された入力電力Pacと、しきい値である基準電力Prefとが比較されることによって、第1力率改善回路90および第2力率改善回路92のうちのいずれか一方がスイッチ部100によって選択される。
【0058】
第1比較器170には、基準電力の最小値ゼロが入力される。さらに、第2比較器172には、電源32を用いて基準電力Prefが入力される。また、第3比較器174には、最大電力Pmaxを基準として入力しておくために比較器の電源(すなわち、制御装置200の電源)から最大電力Pmaxが入力される。
【0059】
第1XORゲート180は、第1比較器170の出力と第2比較器172の出力との排他的論理和を制御信号SW1として出力する。たとえば、第1比較器170の出力がハイレベルであって、第2比較器172の出力がローレベルである場合あるいは第1比較器170の出力がローレベルであって、第2比較器172の出力がハイレベルである場合には第1XORゲート180の出力は、ハイレベルとなる。
【0060】
また、第1比較器170の出力および第2比較器172の出力がいずれもハイレベルである場合あるいは第1比較器170の出力および第2比較器172の出力がいずれもローレベルである場合には第1XORゲート180の出力は、ローレベルとなる。
【0061】
同様に、第2XORゲート182は、第2比較器172の出力と第3比較器174の出力との排他的論理和を制御信号SW2として出力する。たとえば、第2比較器172の出力がハイレベルであって、第3比較器174の出力がローレベルである場合あるいは第2比較器172の出力がローレベルであって、第3比較器174の出力がハイレベルである場合には第2XORゲート182の出力は、ハイレベルとなる。
【0062】
また、第2比較器172の出力および第3比較器174の出力がいずれもハイレベルである場合あるいは第2比較器172の出力および第3比較器174の出力がいずれもローレベルである場合には第2XORゲート182の出力は、ローレベルとなる。
【0063】
たとえば、入力電力Pacが最小値ゼロと基準電力Prefとの間の値である場合には、第1比較器170の出力は、ハイレベルとなり、第2比較器172および第3比較器174の出力は、ローレベルとなる。
【0064】
したがって、第1XORゲート180の出力がハイレベルとなり、第2XORゲート182の出力がローレベルとなる。その結果、第1XORゲート180および第2XORゲート182からそれぞれ受信した制御信号SW1およびSW2に基づいて、スイッチ122がオンされ、スイッチ124がオフされるようにスイッチ部100が制御される。そのため、第1力率改善回路90が選択されることとなる。すなわち、商用交流電源20から供給される交流電力は、第1力率改善回路90を経由して整流回路40に供給されることとなる。
【0065】
一方、入力電力Pacが基準電力Prefと最大電力Pmaxとの間の値である場合には、第1比較器170の出力および第2比較器172の出力が、いずれもハイレベルとなり、第3比較器174の出力がローレベルとなる。
【0066】
したがって、第1XORゲート180の出力がローレベルとなり、第2XORゲート182の出力がハイレベルとなる。その結果、第1XORゲート180および第2XORゲート182からそれぞれ受信した制御信号SW1およびSW2に基づいて、スイッチ122がオフされ、スイッチ124がオンされるようにスイッチ部100が制御される。そのため、第2力率改善回路92が選択されることとなる。すなわち、商用交流電源20から供給される交流電力は、第2力率改善回路92を経由して整流回路40に供給されることとなる。
【0067】
以上のような構成に基づく本実施の形態に係る電源装置10の作用について説明する。
太陽電池60の出力電力が減少したことによって商用交流電源20の入力電力Pacが基準電力Prefよりも大きくなる場合には、第2力率改善回路92が選択される。第2力率改善回路92の第2リアクトル106の第2インダクタンス値は、第1力率改善回路90の第1リアクトル102の第1インダクタンス値よりも小さい。そのため、第1力率改善回路90が選択された場合よりも、巻線抵抗による損失の発生やリアクトルでの電圧降下が抑制される。また、入力電力Pacは、基準電力Prefよりも大きいため、第2力率改善回路92が選択された場合でも必要な力率を確保することができる。
【0068】
一方、太陽電池60の出力電力が増加したことによって商用交流電源20の入力電力Pacが基準電力Prefよりも小さくなる場合には、第1力率改善回路90が選択される。第1力率改善回路90の第1リアクトル102の第1インダクタンス値は、第2力率改善回路92の第2リアクトル106の第2インダクタンス値よりも大きい。そのため、入力電力Pacが小さい場合においても力率の悪化を抑制することができる。また、入力電力Pacが小さい場合においては、第1力率改善回路90に流れる電流も小さくなるため第1リアクトル102における巻線抵抗による損失の影響は小さくなる。
【0069】
以上のようにして、本実施の形態に係る電源装置によると、力率が悪化するような入力電力の範囲である場合には、第1力率改善回路90が選択されるため、力率の改善が図れる。また、入力電力が小さい場合には電流も小さくなるため、リアクトルにおける損失の発生も抑制できる。さらに、入力電力が第1力率改善回路90を選択した場合に第1リアクトル102の巻線抵抗による損失や電圧降下が生じるような入力電力の範囲である場合には、第2力率改善回路92が選択されるため、必要な力率を確保しつつ、リアクトルにおける損失や電圧降下の発生を抑制することができる。したがって、力率を改善するとともに損失の発生の抑制を図る電源装置、電源装置を用いた家電機器および電源装置の制御方法を提供することができる。
【0070】
なお、本実施の形態においては、力率改善回路は、2個設けられるとして説明したが、特に力率改善回路の個数は2つに限定されるものではなく、3個以上の力率改善回路が設けられるようにしてもよい。
【0071】
たとえば、3個の力率改善回路が設けられる場合には、制御装置は、入力電力が第1しきい値よりも小さい場合に第1力率改善回路を選択し、入力電力が第1しきい値よりも大きく、かつ、第2しきい値よりも小さい場合に第2力率改善回路を選択し、入力電力が第2しきい値よりも大きい場合に第3力率改善回路を選択するようにしてもよい。なお、第1しきい値は、第2しきい値よりも小さい値である。また、第1力率改善回路のリアクトルのインダクタンス値は、3個の力率改善回路のリアクトルのインダクタンス値のうちの最大であって、第3力率改善回路のリアクトルのインダクタンス値は、3個の力率改善回路のリアクトルのインダクタンス値のうちの最小である。
【0072】
このような構成によっても、上述した力率改善回路が2個設けられる場合と同様の効果が発現する。さらに、図5を用いて説明した制御装置200の構成は、ソフトウェアによって実現されるようにしてもよいし、ハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0073】
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態に係る電源装置について説明する。本実施の形態に係る電源装置10は、図5に示した上述の第1の実施の形態に係る電源装置10の構成と比較して、太陽電池60の出力電流Is(2)、出力電圧Vs(2)および負荷80に供給される負荷電圧Vs(1)を検出していない点、DC/DCコンバータ70のコンバータ出力電流Is(3)を検出している点および制御装置200に代えて制御装置220を含む点が異なる。
【0074】
それ以外の構成は、図5で示した上述の第1の実施の形態に係る電源装置10の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0075】
本実施の形態においては、制御装置220が負荷80に供給される負荷電流Is(1)と、DC/DCコンバータ70から出力されるコンバータ出力電流Is(3)との差に基づいて第1力率改善回路90および第2力率改善回路92のうちのいずれか一方を選択する点に特徴を有する。
【0076】
平滑コンデンサ50の両端電圧は、商用交流電源20の交流電圧の√2倍の直流電圧となる。また、負荷電流Is(1)とコンバータ出力電流Is(3)の差が整流回路40から負荷80に流れ込む電流である。そのため、平滑コンデンサ50の両端電圧の推定値およびコンバータ出力電流Is(3)と負荷電流Is(1)との差に基づいて商用交流電源20からの入力電力Pacを算出することができる。ここで、平滑コンデンサ50の両端電圧の推定値は、商用交流電源20の電圧の√2倍であるとして算出することによって平滑コンデンサ50の電圧を直接的に検出する必要がなくなる。
【0077】
本実施の形態においては、コンバータ出力電流Is(3)と負荷電流Is(1)との差Iac(すなわち、整流回路40の出力電流の大きさ)と、基準電流Irefとの比較によって第1力率改善回路90および第2力率改善回路92のうちのいずれか一方を選択するとして説明するが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、コンバータ出力電流Is(3)と負荷電流Is(1)との差と平滑コンデンサ50の両端電圧とに基づいて入力電力Pacを算出して、算出された入力電力Pacと基準電力Prefとの比較によって第1力率改善回路90および第2力率改善回路92のうちのいずれか一方を選択するようにしてもよい。
【0078】
なお、平滑コンデンサ50の両端電圧は、負荷電力の増加によって商用交流電源20の電圧の√2倍から低下する場合がある。また、平滑コンデンサ50の両端電圧は、商用交流電源20の電圧が変動した場合にも変動する場合がある。そのため、基準電流Iacは、基準電力Prefに基づいて上述した平滑コンデンサ50の電圧変動を考慮して決定されることが望ましい。
【0079】
図6に示すように、電源装置10は、負荷電流Is(1)を検出するための負荷電流センサ110と、コンバータ出力電流Is(3)を検出するためのコンバータ出力電流センサ118とを含む。なお、図6に示す電源装置10の構成において、図5に示す構成と同一の構成については同一の符号が付与されており、その機能も同一である。そのため、その詳細な説明は繰返さない。
【0080】
負荷電流センサ110は、検出した負荷電流Is(1)を示す信号を制御装置220に送信する。コンバータ出力電流センサ118は、コンバータ出力電流Is(3)を示す信号を制御装置220に送信する。本実施の形態において、コンバータ出力電流センサ118によって太陽電池60から供給される電力を検出するための「第1検出部」が実現される。また、負荷電流センサ110によって負荷80に供給される電力を検出するための「第2検出部」が実現される。
【0081】
制御装置220は、減算器162と、第1比較器190と、第2比較器192と、第3比較器194と、第1XORゲート184と、第2XORゲート186とを含む。
【0082】
減算器162は、負荷電流Is(1)からコンバータ出力電流Is(3)を減算して整流回路40から平滑コンデンサ50への出力電流Iacを算出して、第1比較器190、第2比較器192および第3比較器194に出力する。
【0083】
算出された出力電流Iacと、しきい値である基準電流Irefとが比較されることによって第1力率改善回路90および第2力率改善回路92のうちのいずれか一方がスイッチ部100によって選択される。
【0084】
基準電流Irefは、電源34を用いて第2比較器192に入力される。さらに、出力電流Iacの最小値ゼロが第1比較器190に入力される。また、出力電流Iacの最大値Imaxを基準として入力しておくため、比較器の電源を用いて最大値Imaxが第3比較器194に入力される。
【0085】
第1XORゲート184は、第1比較器190の出力と第2比較器192の出力との排他的論理和を制御信号SW1として出力する。たとえば、第1比較器190の出力がハイレベルであって、第2比較器192の出力がローレベルである場合あるいは第1比較器190の出力がローレベルであって、第2比較器192の出力がハイレベルである場合には第1XORゲート184の出力はハイレベルとなる。
【0086】
また、第1比較器190の出力および第2比較器192の出力がいずれもハイレベルである場合あるいは第1比較器190の出力および第2比較器192の出力がいずれもローレベルである場合には第1XORゲート184の出力はローレベルとなる。
【0087】
同様に、第2XORゲート186は、第2比較器192の出力と第3比較器194の出力との排他的論理輪を制御信号SW2として出力する。たとえば、第2比較器192の出力がハイレベルであって、第3比較器194の出力がローレベルである場合あるいは第2比較器192の出力がローレベルであって、第3比較器194の出力がハイレベルである場合には第2XORゲート186の出力は、ハイレベルとなる。
【0088】
また、第2比較器192の出力および第3比較器194の出力がいずれもハイレベルである場合あるいは第2比較器192の出力および第3比較器194の出力がいずれもローレベルである場合には第2XORゲート186の出力は、ローレベルとなる。
【0089】
たとえば、出力電流Iacが最小値ゼロと基準電流Irefとの間の値である場合には、第1比較器190の出力は、ハイレベルとなり、第2比較器192および第3比較器174の出力は、ローレベルとなる。
【0090】
したがって、第1XORゲート184の出力がハイレベルとなり、第2XORゲート186の出力がローレベルとなる。その結果、第1XORゲート184および第2XORゲート186からそれぞれ受信した制御信号SW1およびSW2に基づいて、スイッチ122がオンされ、スイッチ124がオフされるようにスイッチ部100が制御される。そのため、第1力率改善回路が選択されることとなる。すなわち、商用交流電源20から供給される交流電力は、第1力率改善回路90を経由して整流回路40に供給されることとなる。
【0091】
一方、出力電流Iacが基準電流Iprefと最大電流Imaxとの間の値である場合には、第1比較器192の出力および第2比較器192の出力がいずれもハイレベルとなり、第3比較器194の出力がローレベルとなる。
【0092】
したがって、第1XORゲート184の出力がローレベルとなり、第2XORゲート186の出力がハイレベルとなる。その結果、第1XORゲート184および第2XORゲート186からそれぞれ受信した制御信号SW1およびSW2に基づいて、スイッチ122がオフされ、スイッチ124がオンされるようにスイッチ部100が制御される。そのため、第2力率改善回路92が選択されることとなる。すなわち、商用交流電源20から供給される交流電力は、第2力率改善回路92を経由して整流回路40に供給されることとなる。
【0093】
以上のような構成に基づく本実施の形態に係る電源装置10の作用について説明する。
太陽電池60の出力電力が減少したことによって整流回路40から平滑コンデンサ50に流れる出力電流Iacが基準電流Irefよりも大きくなる場合には、第2力率改善回路92が選択される。第2力率改善回路92の第2リアクトル102の第2インダクタンス値は、第1力率改善回路90の第1リアクトル102の第1インダクタンス値よりも小さい。そのため、第1力率改善回路90が選択された場合よりも、巻線抵抗による損失の発生やリアクトルでの電圧降下が抑制される。また、出力電流Iacは、基準電流Irefよりも大きいため、第2力率改善回路92が選択された場合でも必要な力率を確保することができる。
【0094】
一方、太陽電池60の出力電力が増加したことによって出力電流Iacが基準電流Irefよりも小さくなる場合には、第1力率改善回路90が選択される。第1力率改善回路90の第1リアクトル102の第1インダクタンス値は、第2力率改善回路92の第2リアクトル106の第2インダクタンス値よりも大きい。そのため、出力電流Iacが基準電流Irefよりも小さい場合においても力率の悪化を抑制することができる。また、出力電流Iacが小さい場合においては、第1力率改善回路90に流れる電流も小さいため、第1リアクトル102における巻線抵抗による損失の影響は小さくなる。
【0095】
以上のようにして、本実施の形態に係る電源装置によると、出力電流Iacが基準電流Irefよりも小さい場合には、第1力率改善回路90が選択されるため、力率の改善が図れる、また、出力電流Iacが小さい場合には、リアクトルにおける損失の発生も抑制できる。また、出力電流Iacが基準電流Irefよりも大きい場合には、第2力率改善回路92が選択されるため、必要な力率を確保しつつ、リアクトルにおける損失や電圧降下の発生を抑制することができる。したがって、力率を改善するとともに損失の発生の抑制を図る電源装置、電源装置を用いた家電機器および電源装置の制御方法を提供することができる。
【0096】
さらに、本実施の形態においては、検出するパラメータの個数を第1の実施の形態において説明した4つから2つにすることができるため、制御装置220の構成の簡素化が可能となる。さらに、平滑コンデンサ50の両端電圧が交流電圧の√2倍であるとみなすことによって、入力電力Pacを算出することなく出力電流Iacを用いて第1力率改善回路90および第2力率改善回路92を選択することができるため、図5を用いて説明した制御装置200に含まれる乗算器が不要となり、制御装置220の構成の簡素化が可能となる。
【0097】
<第3の実施の形態>
以下、第3の実施の形態に係る電源装置について説明する。図7において、本実施の形態に係る電源装置10は、図5に示した上述の第1の実施の形態に係る電源装置10の構成と比較して、ローパスフィルタ262と、NOTゲート270と、第1ANDゲート280と、第2ANDゲート282とをさらに含む点およびスイッチ122がノーマリオンのスイッチである点が異なる。
【0098】
それ以外の構成は、図5で示した上述の第1の実施の形態に係る電源装置10の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0099】
本実施の形態においては、制御装置200が商用交流電源20からの電力供給の開始時において複数の力率改善回路のうちの最も大きい値となるインダクタンスを有するいずれか一つの力率改善回路を選択する点に特徴を有する。
【0100】
図7に示すように、電源装置10は、ローパスフィルタ262と、NOTゲート270と、第1ANDゲート280と、第2ANDゲート282とをさらに含む。
【0101】
スイッチ122は、ノーマリオンのスイッチであって、スイッチ124は、ノーマリオフのスイッチである。
【0102】
本実施の形態においては、力率改善回路は、2つであるとして説明するが、力率改善回路は、第1力率改善回路90および第2力率改善回路92を含む複数の力率改善回路であってもよい。この場合、複数の力率改善回路のうちの最もインダクタンスの値が大きいリアクトルを有する力率改善回路に直列に接続されるスイッチがノーマリオンのスイッチとされ、それ以外のスイッチはノーマリオフのスイッチとされる。
【0103】
ローパスフィルタ262は、抵抗250と、コンデンサ260とを含む。ローパスフィルタ262と正極電源ライン72とは、正極ライン312によって接続される。ローパスフィルタ262と負極電源ライン74とは、負極ライン314によって接続される。
【0104】
正極電源ライン72と正極ライン312との接続ノードは、正極電源ライン72と平滑コンデンサ50との接続ノードの位置よりも負荷80側である。負極電源ライン74と負極ライン314との接続ノードは、負極電源ライン74と平滑コンデンサ50との接続ノードの位置よりも負荷80側である。
【0105】
コンデンサ260は、正極ライン312と負極ライン314とを接続する。コンデンサ260と正極ライン312との接続ノードよりも正極電源ライン72側の正極ライン312に抵抗250が直列に設けられる。
【0106】
一方端が正極電源ライン72に接続される正極ライン312の他方端は、抵抗250を介して第1ANDゲート280および第2ANDゲート282にそれぞれ接続される。一方端が負極電源ライン74に接続された負極ライン314の他方端は、制御電源のグランドに接続される。
【0107】
第1XORゲート180は、NOTゲート270を経由して第1ANDゲート280に接続される。第2XORゲート182は、第2ANDゲート282に接続される。
【0108】
第1ANDゲート280は、スイッチ122に接続され、制御信号SW1をスイッチ122に出力する。第2ANDゲート282は、スイッチ124に接続され、制御信号SW2をスイッチ124に出力する。
【0109】
NOTゲート270は、スイッチ122が図5で示した電源装置10のスイッチ122と異なりノーマリオンのスイッチであるため、制御論理を反転するために第1XORゲート180と第1ANDゲート280との間に接続される。
【0110】
以上のような構成に基づく本実施の形態に係る電源装置10の動作について説明する。商用交流電源20からの電力供給の開始後に平滑コンデンサ50の初期充電が完了し、ローパスフィルタ262の出力電圧が第1ANDゲート280のしきい値に対応する電圧以上になるまでは、第1ANDゲート280および第2ANDゲート282の各々における一方の入力がローレベルとなる。そのため、第1ANDゲート280および第2ANDゲート282の出力、すなわち、制御信号SW1,SW2は、いずれもローレベルとなる。スイッチ122は、ノーマリオンのスイッチであるため、スイッチ122はオン状態となり、スイッチ124はオフ状態となる。そのため、商用交流電源20から供給される電流は、第1力率改善回路90を経由して整流回路40に供給されることとなる。
【0111】
ローパスフィルタ262の出力電圧がしきい値に対応する電圧以上になった後は、第1ANDゲート280および第2ANDゲート282の各々における一方の入力がハイレベルとなる。そのため、制御装置200の第1XORゲート180および第2XORゲート182の出力のそれぞれが、第1ANDゲート280および第2ANDゲート282の出力となる。したがって、ローパスフィルタ262の時定数の時間になるまでは、複数の力率改善回路のうちの最もインダクタンス値の大きいリアクトルを有する力率改善回路が選択されることとなる。
【0112】
なお、ローパスフィルタ262の出力電圧がしきい値に対応する電圧を超えた後の動作については、図5を用いて説明した上述の第1の実施の形態に係る電源装置10の動作と同様である。そのため、その詳細な説明は繰返さない。
【0113】
以上のようにして、本実施の形態に係る電源装置によると、上述した第1の実施の形態に係る電源装置10によって奏する作用効果に加えて、商用交流電源からの電力の供給開始時においては、複数の力率改善回路のうちのインダクタンスの値が大きいリアクトルを有する力率改善回路が選択されるため、平滑コンデンサ50の初期充電時において生じる突入電流を軽減できる。
【0114】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
10 電源装置、20 商用交流電源、30 コンセント、32,34 電源、36 プラグ、40 整流回路、50 平滑コンデンサ、60 太陽電池、70 DC/DCコンバータ、72 正極電源ライン、74 負極電源ライン、80 負荷、90,92 力率改善回路、100 スイッチ部、102,106 リアクトル、104,108,260 コンデンサ、110 負荷電流センサ、112 負荷電圧センサ、114 出力電流センサ、116 出力電圧センサ、118 コンバータ出力電流センサ、150,152 乗算器、160,162 減算器、170,172,174,190,192,194 比較器、180,182,184,186 XORゲート、200,220 制御装置、250 抵抗、262 ローパスフィルタ、270 NOTゲート、280,282 ANDゲート、300,302,304,306,308,310 電源ライン、312 正極ライン、314 負極ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池および交流電源から供給された電力を負荷に供給するための電源装置であって、
前記交流電源から前記負荷への入力電力が下限値を示す第1入力値である場合の第1力率が予め定められた値以上となる第1力率改善部と、
前記入力電力が前記第1入力値よりも大きい第2入力値である場合の第2力率が前記予め定められた値以上となる第2力率改善部と、
前記入力電力の大きさがしきい値よりも小さい場合に前記第1力率改善部を選択し、前記入力電力の大きさが前記しきい値よりも大きい場合に前記第2力率改善部を選択するための選択部とを含む、電源装置。
【請求項2】
前記電源装置は、
前記太陽電池から供給される第1電力を検出するための第1検出部と、
前記負荷に供給される第2電力を検出するための第2検出部と、
前記第1電力と前記第2電力との差に基づいて前記入力電力を算出するための算出部とをさらに含む、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1検出部は、前記太陽電池の出力電圧と出力電流とを検出し、
前記第2検出部は、前記負荷に供給される負荷電圧と負荷電流とを検出する、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電源装置は、前記太陽電池の出力電圧を変化させるための電力変換部をさらに含み、
前記電力変換部から前記負荷に対して電力を供給する経路上の接続ノードには前記交流電源からの電力が供給され、
前記第1検出部は、前記電力変換部と前記接続ノードとを結ぶ第1電源ラインに設けられ、前記電力変換部から出力される出力電流を検出し、
前記第2検出部は、前記接続ノードと前記負荷とを結ぶ第2電源ラインに設けられ、前記負荷に供給される負荷電流を検出する、請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第1力率改善部は、第1インダクタンス値を有する第1リアクトルを含み、
前記第2力率改善部は、前記第1インダクタンス値よりも小さい第2インダクタンス値を有する第2リアクトルを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
前記電源装置は、前記第1力率改善部および前記第2力率改善部を含む複数の力率改善部を含み、
前記複数の力率改善部の各々は、リアクトルを含み、
前記選択部は、前記交流電源からの電力供給の開始時において前記複数の力率改善部のうちの最大のインダクタンス値を有するいずれか一つの力率改善部を選択する、請求項1〜5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
前記電源装置は、
前記太陽電池の第1出力電圧を第2出力電圧に変換するための電力変換部と、
前記第2出力電圧を受け、前記電力変換部と前記負荷とに並列に接続される平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサに並列接続され、前記交流電源から供給される電流を整流するための整流部と、
前記電力変換部の前記第2出力電圧を変化させないように前記電力変換部を制御するための制御部とをさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の電源装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載された電源装置を用いた家電機器。
【請求項9】
太陽電池および交流電源から供給された電力を負荷に供給するための電源装置の制御方法であって、前記電源装置は、前記交流電源から前記負荷への入力電力が下限値を示す第1入力値である場合の第1力率が予め定められた値以上となる第1力率改善部と、前記入力電力が前記第1入力値よりも大きい第2入力値である場合の第2力率が前記予め定められた値以上となる第2力率改善部とを含み、
前記入力電力の大きさがしきい値よりも小さい場合に前記第1力率改善部を選択するステップと、
前記入力電力の大きさが前記しきい値よりも大きい場合に前記第2力率改善部を選択するステップとを含む、電源装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−65391(P2012−65391A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205588(P2010−205588)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】