電源装置および灯具、車両
【課題】種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷へ供給される電流のリップルが少ない電源装置を提供する。
【解決手段】インダクタンス要素とスイッチング素子を備え、前記スイッチング素子のオン時に、入力電源Eより前記インダクタンス要素にエネルギーを蓄積し、前記スイッチング素子のオフ時に、前記インダクタンス要素に蓄積されたエネルギーを負荷側へ放出することにより電圧変換を行うDC−DC変換回路1と、DC−DC変換回路1の出力電流Ioが目標値と同じとなるように前記スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御回路とを有し、半導体光源負荷2に電力を供給し点灯する電源装置において、少なくとも前記制御回路に、前記インダクタンス要素に流れる電流が連続モード動作となるように、前記スイッチング素子をオンさせるタイミングを規定する手段8を設けた。
【解決手段】インダクタンス要素とスイッチング素子を備え、前記スイッチング素子のオン時に、入力電源Eより前記インダクタンス要素にエネルギーを蓄積し、前記スイッチング素子のオフ時に、前記インダクタンス要素に蓄積されたエネルギーを負荷側へ放出することにより電圧変換を行うDC−DC変換回路1と、DC−DC変換回路1の出力電流Ioが目標値と同じとなるように前記スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御回路とを有し、半導体光源負荷2に電力を供給し点灯する電源装置において、少なくとも前記制御回路に、前記インダクタンス要素に流れる電流が連続モード動作となるように、前記スイッチング素子をオンさせるタイミングを規定する手段8を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDC−DC変換回路を用いた電源装置に関するものであり、特に発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子で構成された半導体光源を負荷とする電源装置、並びにこれを用いた前照灯などの灯具および車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ハロゲンランプや放電ランプなどに代えて発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を光源として用いた電源装置および灯具の開発が盛んに行われている。車両用としても、LEDの発光効率などの性能の向上に伴い、ルームランプやリアコンビネーションランプのみならず、前照灯(ヘッドランプ)などへの展開も開始されている。従来からヘッドランプの光源として用いられているハロゲンランプや放電ランプ(HIDランプ)などの光源に関しては規格化がなされており、各々の形状、特性などが決められている。これに対して、LEDを用いた光源に関しては、現状では規格化などはなされておらず、少なくとも当面は、ヘッドランプの仕様に応じて種々のLEDおよびその組合せが設定されていくことになる(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
また、LED負荷を点灯するための回路として、DC−DC変換回路を構成するインダクタンス要素を流れる電流が臨界モード(電流境界モードなどともいう)となるようにスイッチング素子をオンオフする制御方法が提案されている(特許文献3)。DC−DC変換回路の駆動を電流境界モードで行うことは、従来のHIDランプに対しても多く検討、実施されてきた制御方法であるが、LEDに対しても本制御方法を用いることによって、損失を低減できるとされている。
【0004】
ところで、LEDなどの半導体光源は、所定の順方向電圧を有した低インピーダンスの負荷であるため、供給する電圧に多少のリップル成分を有している程度でも、流れる電流には大きな電流リップルが発生しやすいという特性を有している。このことは、負荷への配線に多くのリップル分を有した電流が流れるということにもなり、不要輻射ノイズの発生などにもつながるため、ノイズ対策が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−095479号公報
【特許文献2】特開2004−095480号公報
【特許文献3】特表2003−504828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷へ供給される電流のリップルが少ない電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様は、図1、図2に示すように、インダクタンス要素T1とスイッチング素子Q1を備え、前記スイッチング素子Q1のオン時に、入力電源Eより前記インダクタンス要素T1にエネルギーを蓄積し、前記スイッチング素子Q1のオフ時に、前記インダクタンス要素T1に蓄積されたエネルギーを負荷2側へ放出することにより電圧変換を行うDC−DC変換回路1と、DC−DC変換回路1の出力電流Ioが目標値と同じとなるように前記スイッチング素子Q1のオンオフ動作を制御する制御回路とを有し、半導体光源負荷2に電力を供給し点灯する電源装置において、少なくとも前記制御回路に、前記インダクタンス要素に流れる電流が連続モード動作となるように、前記スイッチング素子Q1をオンさせるタイミングを規定する手段8を設け、前記スイッチング素子Q1をオンさせるタイミングを規定する手段は、前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数を決めることでなされる電源装置であることを要旨とする。
【0008】
また、第1の態様に係る電源装置においては、少なくとも前記DC−DC変換回路の出力電圧の値に基づいて、前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数を決めることができる。
【0009】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記DC−DC変換回路は、図7に示すように、フライバックコンバータで構成されており、入力電圧をVi、出力電圧をVo、出力電流目標値をIoとし、前記フライバックコンバータを構成するトランスT1の1次−2次の巻数比をN、1次側のインダクタンス値をL1、前記スイッチング素子Q1を駆動する周波数をfとしたとき、前記制御回路は、図8に示すように、f>1/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2 なる条件(ステップ#9)を満たすように前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数を決めるようにすることができる。
【0010】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記制御回路は、図8に示すように、係数をkとした場合、f≧k/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2 なる条件(ステップ#9)を満たすように前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数を決定し、係数kの値(ステップ#2)は少なくとも1.05以上の値とすることができる。
【0011】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記DC−DC変換回路の入力電源Eの通常使用される電圧範囲のうちで、電圧値Viが最も高い場合を想定して、前記スイッチング素子Q1を駆動する周波数を決めるようにすることができる。
【0012】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記スイッチング素子Q1を駆動する周波数の値は、少なくとも第1の所定周波数以上であり、かつ、第2の所定周波数以下であるよう制御することができる。
【0013】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数は、回路動作の開始時に設定した値を、回路動作が停止となるまでの間、用いることができる。
【0014】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数は、電源装置に予め設定とした値を用いることができる。
【0015】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記出力電流Ioの目標値Io*は、電源装置の外部より設定できるように構成することができる。
【0016】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記出力電流Ioの目標値Io*は、電源装置に予め設定した値を用いることができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、第1の態様に係る電源装置95を搭載した灯具であることを要旨とする。
【0018】
本発明の第3の態様は、第2の態様に係る灯具を搭載した車両100であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷へ供給される電流のリップルが少なく、構成が簡単な電源装置を提供することが可能となる。また、本発明の電源装置を車両用の灯具などに用いることにより、より機能的で安価なシステムの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態の基本構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1の回路図である。
【図3】本発明の実施の形態1の動作波形図である。
【図4】本発明の実施の形態2の要部回路図である。
【図5】本発明の実施の形態3の回路図である。
【図6】本発明の実施の形態3の動作波形図である。
【図7】本発明の実施の形態4の回路図である。
【図8】本発明の実施の形態4のマイコンの動作説明図である。
【図9】本発明の実施の形態4に用いる基準電圧可変回路の回路図である。
【図10】本発明の実施の形態4の動作波形図である。
【図11】本発明の実施の形態5の回路図である。
【図12】本発明の実施の形態6のマイコンの動作説明図である。
【図13】本発明の実施の形態6の動作波形図である。
【図14】本発明の実施の形態7のマイコンの動作説明図である。
【図15】本発明の実施の形態8の灯具の断面図である。
【図16】本発明の実施の形態9の車両の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(基本構成)
本発明の基本構成図を図1に示す。図1を用いて、本発明の基本構成に関して以下に説明する。DC−DC変換回路1は、直流電源Eを入力とし、負荷2に対して電圧変換した出力を与える。DC−DC変換回路1は、インダクタンス要素とスイッチング素子を備え、スイッチング素子のオン時に電源よりインダクタンス要素にエネルギーを蓄積し、スイッチング素子のオフ時にインダクタンス要素に蓄積されたエネルギーを負荷側へ放出することにより、電圧変換された出力を負荷側へ供給するものである。具体的には、フライバックコンバータやバックブーストコンバータ、ブーストコンバータなどであるが、好適には負荷への変換電圧の適切な設定が可能なフライバックコンバータにて構成されるものである。
【0022】
またDC−DC変換回路1は、以下の構成により出力電流制御がなされる。DC−DC変換回路1から出力される電流を出力電流検出部3で出力電流検出信号として検出し、信号増幅部4で増幅した後、出力電流目標値設定部5から与えられる出力電流の目標値に対する誤差を誤差演算部6で求める。PWM信号発生部7は、誤差演算部6からの出力を受けて、DC−DC変換回路1を駆動するための変換回路駆動信号を出力する。変換回路駆動信号により、DC−DC変換回路1のスイッチング素子はオンオフ動作される。これにより、フィードバック制御がなされ、DC−DC変換回路1の出力電流は目標とする値となる。
【0023】
本発明の特徴とするところは、上記出力電流制御の構成に加えて、オンタイミング規定部8を設けたことである。オンタイミング規定部8は、DC−DC変換回路1のインダクタンス要素を流れる電流が連続モード動作となるように、PWM信号発生部7に対してスイッチング素子をオンするタイミングを規定し与えるものである。PWM信号発生部7はこの信号を受けて、DC−DC変換回路1を駆動するためのPWM信号を生成し、変換回路駆動信号として出力する。
【0024】
これにより、DC−DC変換回路1のインダクタンス要素に流れる電流を連続モードに維持しながら、出力電流制御動作が行われるようになるので、種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷2へ供給される電流のリップルが少ない電源装置を提供することが可能となる。
【0025】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の回路図を図2に、動作波形の説明図を図3に示す。図2および図3を用いて、本実施の形態の具体的な内容について以下に説明する。
【0026】
本実施の形態では、DC−DC変換回路はトランスT1、スイッチング素子Q1、整流用ダイオードD1、平滑用コンデンサC1にて構成されるフライバックタイプのコンバータである。接続される負荷2は、LED素子を複数個直列接続したLED負荷としている。
【0027】
DC−DC変換回路の基本的な動作に関して説明する。スイッチング素子Q1がオンの時に、トランスT1の1次側には電源Eより電流i1が流れ、エネルギーがトランスT1に蓄積され、スイッチング素子Q1がオフとなるとトランスT1に蓄えられたエネルギーが2次側より電流i2としてダイオードD1を介してコンデンサC1へ放出されることにより、電圧変換がなされ負荷側へ電力が供給される。
【0028】
図3は、本DC−DC変換回路のトランスT1に流れる電流が連続となるように動作させた場合の波形の例である。トランスT1の1次側のインダクタンス値をL1、2次側のインダクタンス値をL2、1次−2次間の巻数比をN、入力電圧をVi、出力電圧Voとすると、スイッチング素子Q1のオン時に流れる電流i1の傾きはVi/L1となり、スイッチング素子Q1のオフ時に流れる電流i2の傾きは−Vo/L2となる。
【0029】
ここに、トランスT1の1次と2次のインダクタンス値L1,L2には、L2=N2・L1の関係がある。図中に記した電流i1のピーク値i1pと電流i2のピーク値i2pの関係は1/N倍となり、連続モード動作時の電流のベース分であるi2bとi1bの関係はN倍となる。
【0030】
入出力ともに完全に平滑されているとした場合、電流i1の平均値が入力電流の値となり、電流i2の平均値が出力電流の値となる。また、回路損失がない理想的な状態を想定した場合、入力電力と出力電力の値は等しくなるため、入力電流すなわち電流i1の平均値と出力電流すなわち電流i2の平均値の間には、(入力電圧Vi/出力電圧Vo)倍の関係が成立する。
【0031】
ちなみに、この電流のベース分の値i2b、i1bが零となるように駆動させるのが電流境界モードの動作であり、前述の従来例ではそのように動作させることが提案されている。つまり、電流連続モードにおいては、電流i2が零となった時点で、スイッチング素子Q1を再びオンとすることにより、上記電流のベース分のない状態での動作を実現させる。
【0032】
しかしながら、電流境界モードで動作させるとした場合、前述の各関係より、特定の負荷を対象とする場合にはその負荷の電圧や電流の値に合わせてトランスT1などの定数を設定すれば想定される周波数でスイッチング素子Q1を駆動することが出来るが、電圧や電流が違う種々設定される負荷へ対応させようとした場合、接続される負荷によっては、電流i2が零となる時点を待つことにより、各電流のピーク値が過大となったり、周波数が大幅に低下したりするなどの課題が発生する。
【0033】
これに対して本発明では、電流i2が零となる前、すなわち所定のベース分i2bを有している時点でスイッチング素子Q1を再びオンに転じさせるように制御することにより、上記の問題を解決し、種々設定される負荷への対応を可能とするものである。
【0034】
このことは、本実施の形態においては、以下の構成(図2)により実現される。抵抗などで構成される検出部により1次電流検出信号、2次電流検出信号、出力電流検出信号を得る。PWM信号発生部7は、セット・リセットフリップフロップを含んで構成される発振回路OSCと、発振回路OSCのセット入力Setに信号を与えるコンパレータComp1、リセット入力Resetに信号を与えるコンパレータComp2などにより構成されている。
【0035】
PWM信号発生部7の基準電圧Vref2はコンパレータComp1に比較のための電圧を与えるもので、コンパレータComp1は基準電圧Vref2の値と2次電流検出信号の値を比較する。2次電流検出信号の値が基準電圧Vref2以下の時にコンパレータComp1の出力はHighレベルとなり、発振回路OSCの出力QはHighレベルとなる。これにより、スイッチング素子Q1はオンし、電流i2は零となり、電流i1が流れる。
【0036】
出力電流検出信号はアンプAmp1で増幅され、誤差演算部6に入力される。誤差演算部6において、出力電流の目標値である基準電圧Vref1との誤差を演算し増幅(本図では比例積分PIとしている)した結果を、1次電流ピーク値指令信号としてコンパレータComp2へ与える。コンパレータComp2は、この1次電流ピーク値指令信号の値と1次電流検出信号の値を比較し、1次電流検出信号の値が1次電流ピーク値指令信号の値以上となったときに、発振回路OSCのリセット入力ResetへHighレベルの信号を与え、発振回路OSCの出力QはLowレベルとなる。これにより、スイッチング素子Q1はオフし、電流i1は零となり、電流i2が流れる。
【0037】
以上の構成により、スイッチング素子Q1は出力電流Ioが基準電圧Vref1で設定された目標値と同じになるように変換回路駆動信号により駆動され、出力電流の制御が実現される。
【0038】
本実施の形態では、PWM信号発生部7を構成するコンパレータComp1とその基準電圧Vref2が、オンタイミング規定部8も兼ねて構成しており、基準電圧Vref2の値によって、スイッチング素子Q1をオンさせるタイミングを規定可能としている。すなわち、基準電圧Vref2によって、電流i2が低下し、どの値に達した時点で、スイッチング素子Q1を再びオンさせるかを任意に決めることが出来る(図3のi2bに相当)。
【0039】
本実施の形態によると、種々設定される負荷への対応を想定して、トランスT1などの定数だけでなく、電流連続モードで動作させる際の電流のベース分を適切に設定することが出来るので、それらの負荷への対応が可能な電源装置を提供することが可能となる。また従来例に対して、各電流のピーク値が過大となったり、周波数が大幅に低下したりするなどということがないので、種々設定される負荷に対して常に効率が良く、かつリップルの少ない安定した出力の供給が可能となる。
【0040】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態の要部回路図を図4に示す。先の実施の形態で示した回路図(図2)の発振回路OSCに対して、コンパレータComp3とその周辺回路を設けることによって、発振回路の出力QがLowレベルとなる時間、すなわちスイッチング素子Q1がオフ状態である時間に、上限および下限を設定可能とするものである。
【0041】
コンパレータComp3の非反転入力端子には、電流源Is、コンデンサCs、スイッチ素子Qsの並列回路が接続されている。ここに電流源IsとコンデンサCsはタイマーを構成するためのもので、スイッチ素子QsはコンデンサCsの電荷を放電させて零にリセットするためのものである。セット・リセットフリップフロップSR−FFの出力Qにより、スイッチ素子Qsは駆動される。一方、コンパレータComp3の反転入力端子には、基準電圧Vs1、Vs2と、それらを発振回路OSCのセット入力Setの信号の状態によって選択するための切替スイッチが設けられている(ここに、Vs1<Vs2の関係がある)。
【0042】
上記構成により、発振回路OSCのセット入力SetにHighレベルの信号が入力されても、コンデンサCsに発生する電圧の値が、基準電圧Vs1の値以上に達するまでの時間はコンパレータComp3の出力はHighレベルとならず、発振回路OSCの出力QはLowレベルを維持し、スイッチング素子Q1もオフ状態を維持する。
【0043】
また逆に、発振回路OSCのセット入力SetにLowレベルの信号が入力されている場合(図示された状態)でも、コンデンサCsに発生する電圧の値が、基準電圧Vs2の値以上に達した時点でコンパレータComp3の出力はHighレベルとなり、発振回路OSCの出力QはHighレベルとなり、スイッチング素子Q1もオンとなる。
【0044】
本実施の形態によれば、以上のようにして、スイッチング素子Q1がオフとなっている時間に上限および下限を設定し、スイッチング素子Q1のオフ状態を少なくとも基準電圧Vs1で設定される所定時間以上は継続し、かつ、基準電圧Vs2で設定される所定時間を超えないように制御することが可能となる。すなわち、スイッチング素子Q1のオフ時間の最大値及び最小値を設定することが出来るため、先の実施の形態に対して、より広い特性範囲の負荷に確実に対応させることが可能な電源装置を提供することが可能となる。
【0045】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態の回路図を図5に示す。本実施の形態では、スイッチング素子Q1をオンさせるタイミングを規定する手段として、第1の実施の形態のオンタイミング規定部8に代えて、スイッチング素子Q1を駆動する周波数を設定する駆動周波数設定部81を設けて構成している点が異なる。
【0046】
駆動周波数設定部81には、入力電圧検出信号、出力電圧検出信号、出力電流目標値設定部5から与えられる目標電流値が入力されており、それらに基づいて変換回路駆動信号の駆動周波数を設定し、PWM信号発生部7に基準発振信号として与える。PWM信号発生部7は、与えられた基準発振信号により、スイッチング素子Q1をオンさせるタイミングを規定し、変換回路駆動信号としてスイッチング素子Q1を駆動する。
【0047】
本実施の形態においては、抵抗R1によって出力電流Ioの検出を行い、抵抗R2と抵抗R3によって出力電圧Voの検出を行うように構成している。
【0048】
駆動周波数設定部81において、DC−DC変換回路のインダクタンス要素(本実施の形態ではトランスT1)に流れる電流が連続モードとなるように基準発振信号を決めることにより、種々設定される半導体光源負荷2に対応が可能で、効率が良く、負荷2へ供給される電流のリップルが少ない電源装置を提供することを可能とする。
【0049】
図6は、本発明の実施の形態3の動作波形の説明図である。図6の(a)および(b)の波形は、本発明の動作波形である(c)および(d)と対比し、本発明の効果を説明するために示したものである。(a)および(b)の波形は、従来例の説明で述べたように、回路損失の低減を目的としてフライバックコンバータを電流境界モードで動作させた場合を想定した波形である。
【0050】
負荷2として、例えば4個のLED素子が直列に接続されて1個のパッケージに収納されてなるLED光源を2個直列に接続してLED負荷を構成し、目標電流とする出力電流IoをLED負荷に供給した場合に、トランスT1を流れる電流が図6(a)のようになったとする。
【0051】
このとき電流i2の波形の面積S2aをスイッチング周期で平均したものが、出力電流Ioと等しくなる(出力電圧Voが十分に平滑されていて、出力電流Ioが一定であるとした場合)。
【0052】
また、DC−DC変換回路が理想的なもので、変換動作時に損失が発生しないとした場合には、面積S2aをスイッチング周期で平均した値と出力電圧Voを掛け合わせた値と、電流i1の波形の面積S1aをスイッチング周期で平均した値と入力電圧Viを掛け合わせた値は等しくなる(各々の値は出力電力および入力電力に相当する)。
【0053】
また、電流i1のピーク値と電流i2のピーク値の間には、トランスT1の1次−2次間の巻数比をNとした場合、1/N倍の関係が成立している。
【0054】
図6の(b)は、前記LED光源を3個直列に接続してLED負荷を構成し、同じ出力電流となるように制御した場合の波形である。負荷の構成を2個直列から3個直列のものに変更したことにより、出力電圧Voは3/2倍となり、出力電流Ioは同じであるので、それに伴い出力電力と入力電力の関係も3/2倍となる。
【0055】
このとき、電流i1の波形の面積S1bは面積S1aに対して3/2×(周期の比)倍となり、電流i2の波形の面積S2bは面積S2aに対して(周期の比)倍となる(面積S1b、S2bをスイッチング周期で平均した値が、各々の入力電流および出力電流である)。
【0056】
また、電流i2の傾きは、出力電圧Voが3/2倍となることにより、3/2倍に急となる。
【0057】
上記のように接続する負荷を変更した場合に、電流i1および電流i2のピーク値は大きく上昇し、このことは実際の回路においてはスイッチング損失の増加につながるとともに、リップル電圧の増加およびリップル電流の増加を引き起こす。
【0058】
図6(c)および(d)は、本発明を用いた場合の動作波形を示したものである。先に説明した従来の境界モードでの動作とした場合の波形(a)および(b)と対比するために、ここではそれぞれのスイッチング周波数が同じとなるように駆動周波数設定部81で基準発振信号を決めた場合の波形を示している(インダクタンス値L1およびL2は波形(a)、(b)に対して大とし、それ以外のトランスT1の巻数比などは同じとしている)。
【0059】
ここで、スイッチング素子Q1が1周期のうちでオンとなる期間(オンデューティ)は、入力電圧Vi、出力電圧Voとトランス巻数比Nにより決まり、その結果、波形(a)および(b)とそれぞれ同じになる。また、面積S1cおよびS2cはそれぞれ面積S1aおよびS2aと同じとなり、面積S1dおよびS2dはそれぞれ面積S1bおよびS2bと同じとなる。
【0060】
図6(c)および(d)の波形は、本発明を用いてトランスT1を流れる電流が連続モードとなるように動作させているため、電流i1およびi2にベース分がある波形となっている。
【0061】
想定するLED負荷の構成が2個直列および3個直列の場合の波形(c)および(d)を、従来の波形(a)および(b)と比較すると、以下の特徴、効果があることが確かめられる。
【0062】
電流i1およびi2ともに、それぞれの電流ピーク値は従来の波形に対して低減されている。面積は同じでピーク値は低いため、おのおのの波形の実効値は低くなり、その結果、リップル電流、リップル電圧の低減に効果がある(リップルの低減は出力だけではなく、入力についても効果がある)。
【0063】
また、DC−DC変換回路の効率に関して、従来例に述べられているように不連続モード動作に比べて境界モード動作の方が低損失となることは明らかであるが、境界モード動作と連続モード動作を比べた場合には境界モード動作の方がよくなるとは一概には言えない。
【0064】
実際の回路ではスイッチング素子Q1がオンに転ずるときやオフに転ずるときに発生するスイッチング損失、スイッチング素子Q1がオン状態のときに流れる電流によって発生する損失、トランスT1に流れる電流によって発生する損失(銅損および鉄損)、ダイオードD1に発生する損失などの各々の損失によって、DC−DC変換回路トータルの損失が決まる。図6の波形(a)および(b)と、波形(c)および(d)をそれぞれ比較してみると、スイッチング素子Q1がオンに転ずるときのスイッチング損失は連続モード動作の方が増えると思われるが、逆にスイッチング素子Q1がオフに転ずるときのスイッチング損失やスイッチング素子Q1がオン状態における損失などは、むしろ低減されると考えられ、実際に実機にて確認したところ、連続モード動作をさせた方がトータルでの損失が低減し、変換効率の向上が確認された。
【0065】
このように本発明によれば、DC−DC変換回路のトランスT1に流れる電流が連続モードとなるように基準発振信号を駆動周波数設定部81で決めることによって、種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷へ供給される電流のリップルが少ない、ひいてはリップル成分により生じるノイズも少ない電源装置を提供することが可能となる。また、実施の形態1および2に対して、電流i2の検出をしなくてもよくなるため、回路を簡単に構成することが出来る利点がある。
【0066】
ところで連続モード動作とするためには、前述してきた各関係などから、少なくとも以下の関係を満たすように駆動周波数設定部81において周波数fを決めればよいことが導かれる。
【0067】
f>1/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2
ここで、L1はトランスT1の1次側のインダクタンス値、Nは1次−2次間の巻数比、Viは入力電圧、Voは出力電圧、Ioは出力電流である。
【0068】
本実施の形態で述べたように、境界モード動作と同じ周波数となるようにするためには、以下の関係式において周波数fを設定とし、係数kを希望とする周波数となるように設定すればよい。
【0069】
f=k/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2
(ただしk>1)
ところで、係数kの値としては、連続動作時の電流のベース分を適度に持たせるためには、少なくとも1.05以上の値、最適には1.1以上の値に設定するのが好ましい。これにより、本発明の効果をより良く得ることが可能となる。
【0070】
(実施の形態4)
本発明の第4の実施の形態の回路図を図7に示す。また、本発明の実施の形態のマイコン9の動作説明図を図8に示す。本実施の形態では、制御回路の一部をマイコン9を用いて構成している。
【0071】
基本的な動作は以下の通りである。負荷2に流れる電流を電流検出抵抗R1で出力電流検出信号として検出し、信号増幅部4で信号を増幅したのち、誤差演算部6で基準電圧Vref1と比較し、その結果をPWM指令信号としてPWM信号発生部7に入力する。PWM信号発生部7で所定のPWM信号を発生させ、スイッチング素子Q1にオンオフ制御信号(変換回路駆動信号)として供給し、出力電流の調整を行なうようにフィードバック制御系が構成されている。
【0072】
本実施の形態では、信号増幅部4はオペアンプAmp3とその周辺の抵抗R12,R13,R14で構成される反転増幅回路、誤差演算部6はオペアンプAmp2とその周辺抵抗R10,R11及びコンデンサC10で構成される比例積分回路としている。
【0073】
マイコン9のTIMERポートHFからは、DC−DC変換回路を駆動するための基準発振信号(変換回路駆動信号生成の基となる変換回路駆動信号と同じ周波数の信号)が与えられ、のこぎり波発生器OSC1へ入力される。のこぎり波発生器OSC1はこの基準発振信号を受けて、同じ周波数で発振するのこぎり波を発生し、基準発振信号の立上りのタイミングで出力を零とするように構成されている。
【0074】
コンパレータComp4は、反転入力端子へ入力された、のこぎり波発生器OSC1からの信号と、非反転入力端子に入力された誤差演算部6からのPWM指令信号の値とを比較し、のこぎり波発生器OSC1で規定された(すなわち、基準発振信号で規定された)周波数で、信号の比較結果をもってオンデューティが決められたパルス信号を出力する。コンパレータComp4の出力は、変換回路駆動信号としてDC−DC変換回路へ与えられ、スイッチング素子Q1はオンオフ駆動される。
【0075】
上記構成によって、駆動周波数設定部81によりスイッチング素子Q1をオンするタイミングを規定することが出来、DC−DC変換回路は駆動周波数設定部81で決められた周波数で駆動される。
【0076】
ところでマイコン9は、DC−DC変換回路の出力電圧Voを抵抗R2と抵抗R3で分圧することにより得られる電圧をA/D変換ポートより出力電圧検出信号Voutとして読み込み、入力電圧Viを同じくA/D変換ポートより入力電圧検出信号Vinとして読み込む。さらに、シリアル通信用ポートのWriteより通信手段によって与えられた出力電流の目標値を出力電流目標値記憶・調整部51により記憶し、誤差演算部6の基準電圧Vref1が目標電流値相当の値となるように第2のTIMERポートより基準電圧調整信号Vref_Controlを出力するとともに、ソフトウェアで構成される駆動周波数設定部81に出力電流の目標値を与える。駆動周波数設定部81は入力電圧検出信号、出力電圧検出信号および出力電流の目標値の値に基づいて、第1のTIMERポートより基準発振信号HFをPWM信号発生部7へ送出する。
【0077】
次にマイコン9の動作に関して、図8を用いて説明する。まず、出力電流目標値の設定は、回路動作を開始させる前の初期の段階で、上記の通り通信手段を用いて行われる。ステップS1の出力電流目標値記憶の処理を実行すると、ステップS2において、出力電流の目標値をIo*として電源装置の外部より読み込み、ステップS3において、マイコン9の内部メモリー或いはマイコン9の外部に設置した外部メモリーに、目標電流値Io*として記憶する。
【0078】
次に、ステップS4の出力電流目標値調整の処理を実行すると、回路動作時に記憶された出力電流の目標値Io*に相当する値に誤差演算部6の基準電圧Vref1を可変するための信号を、ステップS5においてマイコン9の第2のTIMERポートより基準電圧調整信号Vref_Controlとして出力する。これにより、誤差演算部6の基準電圧Vref1は出力電流目標値Io*に相当する値となる。
【0079】
ここで、基準電圧Vref1を可変とするための具体的な回路構成の一例を、図9に示す。基準電圧調整信号Vref_Controlはマイコンの第2のTIMERポートより、高周波でオンオフする信号として与えられる。図9の基準電圧Vrefは、別途回路で生成される制御用の安定な電圧である。スイッチング素子Q20が常にオフのときを考えると、その際に基準電圧Vref1として出力される電圧は、基準電圧Vrefを抵抗R20と抵抗R21で分圧した値となる(この値をVref1_maxとする)。また逆に、スイッチング素子Q20が常にオンのときを考えると、その際に基準電圧Vref1として出力される電圧は、基準電圧Vrefを抵抗R20と、並列に接続された抵抗R21と抵抗R22の合成抵抗とで分圧した値となる(この値をVref1_minとする)。スイッチング素子Q20を一定の周波数でオンオフ動作させた場合は、基準電圧Vref1として出力される値は、そのオンデューティによって前記Vref1_maxとVref1_minの間の値とすることができる。
【0080】
本回路を構成する他の抵抗R23、コンデンサC21などは、フィルターとして設けているものであり、これにより基準電圧Vref1の安定化を図っている。ちなみに誤差演算部6の基準電圧Vref1を可変とするには、D/A変換機能を有するマイコンであればD/A変換ポートのアナログ出力を用いて直接与える構成としてもよいし、本例のように、TIMERポートを使用してマイコン9からのオンオフ信号(基準電圧調整信号)と外部の積分フィルタ回路(図9)により実質的にD/A変換器を構成してもよいし、またその他の方法でも目的が達成できれば具体的な構成は何でもよい。
【0081】
次に、図8のステップ#1以降の駆動周波数設定のマイコン動作に関して説明する。後述のステップ#9において駆動周波数fの算出を行うものであるが、先ずステップ#2でそのための定数k、L1、Nの設定を行う。
【0082】
ステップ#3では、出力電流目標値記憶(ステップS1〜S3)により記憶した出力電流の目標値Io*を取得する。
【0083】
ステップ#4では、DC−DC変換回路の駆動開始時に使用する周波数の初期値を駆動周波数fに設定する。ここまでの動作は、回路出力動作の開始前に行われる処理である。
【0084】
ステップ#5では、回路動作が可能な状態かどうかの確認を行う。回路動作が可能かどうかの判断は、ここでは示していない。駆動周波数設定以外の他のフローで行われるが、具体的には入力電圧検出信号の値が動作可能な範囲かどうかなどの情報に基づいて判断がなされる。
【0085】
ステップ#5で確認の結果、回路動作が可能な状態でない場合は、ステップ#6へ移行し、基準発振信号の出力を停止(未だ出力していない場合はその状態を維持)とし、ステップ#5に戻り状態の確認を繰り返し行う。
【0086】
ステップ#5で確認の結果、回路動作が可能な状態の場合には、ステップ#7へ移行し、基準発振信号の出力を許可(既に出力をしている場合はその状態を維持)とし、ステップ#8へ移行する。
【0087】
ステップ#8では、A/D変換された値として出力電圧検出信号Vout、入力電圧検出信号Vinを取得する。
【0088】
ステップ#9では、以上の各値を用いて以下の式により駆動周波数fを算出する。
【0089】
f=k/(2・L1・Io*・Vout)・(Vin・Vout/(N・Vin+Vout))2
ステップ#10では、ステップ#9で算出した周波数fの値と現在の周波数fの値の大小関係の判定を行い、算出した値の方が現状の値よりも大きな場合にはステップ#12に移行し、周波数fの値を予め定めた所定値分増加させ、逆に算出した値の方が現状の値以下の場合には、ステップ#11に移行し、周波数fの値を予め定めた所定値分減少させる。
【0090】
その後、ステップ#5に戻り、上記の動作を繰り返す。
【0091】
これにより、駆動周波数設定部81は、出力電流目標値記憶・調整部51により記憶された電流目標値Io*の値と、現在の出力電圧検出信号Vout、入力電圧検出信号Vinの値に応じて、DC−DC変換回路が電流連続モードでの動作となるように駆動周波数fの値を逐次算出し設定する。
【0092】
駆動周波数fとして設定された値は、マイコン9の第1のTIMERポートHFより基準発振信号としてPWM信号発生部7に与えられ、その結果、DC−DC変換回路のスイッチング素子Q1は算出された周波数fで駆動される。このようにして本実施の形態では、スイッチング素子Q1のオンタイミングを規定することにより、電流連続モードでの動作を実現可能と出来る。
【0093】
次に図10に、本実施の形態を用いて出力電流目標値を変えて動作させたときの動作波形を、従来の境界モードでの動作を想定した場合と対比させて、図6と同様に示す。図10の(a)および(b)の波形は、本発明の動作波形である(c)および(d)と対比し、本発明の効果を説明するために示したものであり、フライバックコンバータを電流境界モードで動作させた場合を想定した波形である。例えば、あるLED負荷に目標とする電流を供給した場合に、トランスT1を流れる電流が図10(a)のようになったとする。次に目標とする電流の値を1.25倍に大きくした場合を想定すると、そのときの動作波形は同図(b)のようになる。同じLED負荷に対して出力電流を1.25倍に変更したことにより、出力電力および入力電力も1.25倍となる(ただしここでは簡単のために、電流増加によるLED負荷の電圧値の変化がないとして説明している)
このとき、電流i1の波形の面積S1bは面積S1aに対して1.25×(周期の比)倍となり、電流i2の波形の面積S2bは面積S2aに対して1.25×(周期の比)倍となる。ちなみに、面積S2a、S2bをスイッチング周期で平均した値が、各々の入力電流値および出力電流値である。上記のように出力電流を1.25倍に増加させた場合に、電流i1および電流i2のピーク値は大きく上昇し、このことは実際の回路においてはスイッチング損失の増加につながるとともに、リップル電圧の増加およびリップル電流の増加を引き起こす。
【0094】
図10の(c)および(d)は、本発明を用いた場合の動作波形を示したものである。先に説明した従来の境界モードでの動作とした場合の波形(a)および(b)と対比するために、ここではそれぞれのスイッチング周波数が同じとなるように駆動周波数設定部81で周波数を決めるようにした場合の波形を示している(インダクタンス値L1およびL2は図10の(a)、(b)に対して大とし、それ以外のトランスT1の巻数比などは同じとしている)。
【0095】
ここでスイッチング素子Q1が1周期のうちでオンとなる期間(オンデューティ)は、入力電圧Vi、出力電圧Voとトランス巻数比Nにより決まり、その結果、図10の(a)および(b)とそれぞれ同じになる。また、面積S1cおよびS2cはそれぞれ面積S1aおよびS2aと同じとなり、面積S1dおよびS2dはそれぞれ面積S1bおよびS2bと同じとなる。図10の(c)および(d)の波形は、本発明を用いてトランスT1を流れる電流が連続モードとなるように動作させているため、電流i1およびi2にベース分がある波形となっている。
【0096】
本発明による動作をさせた場合の波形(c)および(d)を、従来の境界モード動作をさせた場合の波形(a)および(b)とそれぞれ比較すると、以下の特徴、効果があることが確かめられる。
【0097】
電流i1およびi2ともに、それぞれの電流ピーク値は従来の波形に対して低減されている。面積は同じでピーク値は低いため、おのおのの波形の実効値は低くなり、その結果、リップル電流、リップル電圧の低減に効果がある(リップルの低減は出力だけではなく、入力についても効果がある)。また、DC−DC変換回路の効率に関しても、本発明の実施の形態3で述べたのと同じで、波形(a)および(b)と波形(c)および(d)をそれぞれ比較してみると、スイッチング素子Q1がオンに転ずるときのスイッチング損失は連続モード動作の方が増えると思われるが、逆にスイッチング素子Q1がオフに転ずるときのスイッチング損失やスイッチング素子Q1がオン状態における損失などは、むしろ低減されると考えられ、実際に実機にて確認したところ、連続モード動作をさせた方がトータルでの損失が低減し、変換効率の向上が確認された。
【0098】
このように本発明によれば、DC−DC変換回路のトランスT1に流れる電流が連続モードとなるように基準発振信号を駆動周波数設定部81で決めることによって、半導体光源負荷2に供給する出力電流Ioの値を変えた場合においても、効率が良く、負荷2へ供給される電流のリップルが少ない、ひいてはリップル成分により生じるノイズも少ない電源装置を提供することが可能となる。
【0099】
また本実施の形態によれば、出力電流Ioの目標値Io*を外部より設定可能な(可変可能な)構成としているため、より多様なLED負荷への対応が可能な電源装置の提供が可能となる。更に上記マイコン動作によれば、設定される駆動周波数の値が逐次変化するので、スイッチング動作により発生するノイズの周波数スペクトルが分散され、更なるノイズの低減に対して効果的であるなどの特徴も有する。
【0100】
(実施の形態5)
本発明の第5の実施の形態の回路図を、図11に示す。DC−DC変換回路の2次側にインダクタンスL3、コンデンサC2からなるフィルタを設けている点、DC−DC変換回路の1次側に電流i1を検出するための抵抗R4を設けて電流モードでのPWM制御を行うように構成している点などが、先の実施の形態に対して異なっている。本発明の制御手法によれば、出力リップルを低減する効果があるが、2次側にフィルタを設けることによって更に出力電流Ioのリップルを低減することができる。
【0101】
また電流モードでの制御に関しては、以下の動作によりスイッチング素子Q1のオンオフ制御を達成する。負荷2に流れる電流を電流検出抵抗R1で出力電流検出信号として検出し、信号増幅部4で信号を増幅したのち、誤差演算部6で基準電圧Vref1と比較し、その結果をPWM指令信号としてPWM信号発生部7に入力する。PWM信号発生部7で所定のPWM信号を発生させ、スイッチング素子Q1にオンオフ制御信号(変換回路駆動信号)として供給し、出力電流の調整を行なうようにフィードバック制御系が構成されている。
【0102】
本実施の形態では、信号増幅部4はオペアンプAmp3とその周辺抵抗R12,R13,R14で構成される反転増幅回路、誤差演算部6はオペアンプAmp2とその周辺抵抗R10,R11及びコンデンサC10で構成される比例積分回路としている。
【0103】
マイコン9のTIMERポートHFからは、DC−DC変換回路を駆動するための基準発振信号が与えられ、ワンショット回路Oneshot2はその立上りを受けて、セット・リセットフリップフロップSR−FFのセット端子Sにセットのためのパルス信号を与え、セット・リセットフリップフロップSR−FFの出力QはHighレベルとなり、スイッチング素子Q1はオンに駆動される。これにより、駆動周波数設定部81によりスイッチング素子Q1をオンするタイミングを規定することが出来る。
【0104】
コンパレータComp4では、誤差演算部6からの出力と、トランスT1の1次側に流れる電流i1の瞬時値を抵抗R4に発生する電圧で検出した値(1次電流検出信号)とを比較し、その比較結果をワンショット回路Oneshot1に与える。ワンショット回路Oneshot1は、その立下りを受けて、セット・リセットフリップフロップSR−FFのリセット端子Rにリセットのためのパルス信号を与え、セット・リセットフリップフロップSR−FFの出力QはLowレベルとなり、スイッチング素子Q1はオフに駆動される。
【0105】
なお、マイコン9のTIMERポートHFから論理ゲートANDへの信号入力は、最大オン時間(最小オフ時間)を規定するためのものであり、基準発振信号がLowレベルになると、セット・リセットフリップフロップSR−FFの出力Qにかかわらず、スイッチング素子Q1はオフとなる。上記のようにして、本実施の形態では、電流モード制御が実現される。
【0106】
ところでマイコン9は、DC−DC変換回路の出力電圧Voを抵抗R2と抵抗R3で分圧することにより得られる電圧をA/D変換ポートより出力電圧検出信号Voutとして読み込み、入力電圧Viを同じくA/D変換ポートより入力電圧検出信号Vinとして読み込む。さらに、シリアル通信用ポートのWriteより通信手段によって与えられた出力電流Ioの目標値Io*を出力電流目標値記憶・調整部51により記憶し、誤差演算部6の基準電圧Vref1が目標電流値相当の値となるように第2のTIMERポートより基準電圧調整信号Vref_Controlを出力するとともに、ソフトウェアで構成される駆動周波数設定部81に出力電流の目標値を与える。
【0107】
駆動周波数設定部81は入力電圧検出信号、出力電圧検出信号および出力電流の目標値の値に基づいて、第1のTIMERポートより基準発振信号HFをPWM信号発生部7へ送出する。
【0108】
マイコン9の動作に関しては、第4の実施の形態と基本的に同じである(図8の通り)。
【0109】
本実施の形態においても、DC−DC変換回路のトランスT1に流れる電流が連続モードとなるように基準発振信号を駆動周波数設定部81で決めることによって、先の実施の形態と同様に、種々設定される半導体光源負荷2に対応が可能で、効率が良く、負荷2へ供給される電流のリップルが少ない、ひいてはリップル成分により生じるノイズも少ない電源装置を提供することが可能となる。
【0110】
また本実施の形態では、PWM制御を電流モードによる制御(1次側に流れる電流i1のピーク値と誤差演算部6からの指令値が同じとなるようにする制御方法)で行うように構成しているため、例えば電源Eが不意に急変するような場合においても、電流i1は適切に制限されるため、瞬間的に電流i1が過大となる(それにともない、電流i2も過大となる)ようなことのない、結果的に、出力を安定して制御することが出来る(リップルの少ない)電源装置を提供することが可能となる。
【0111】
ところで、DC−DC変換回路を電流モードで制御した場合に、動作の安定点が1つのポイントに収束せず、スイッチング周波数がスキップを踏んだような不安定な状態(いわゆる周波数半減現象)が発生する場合がある。このような場合には、図11の回路において、1次電流検出信号にスイッチング周波数に同期させた所定の傾きを持つ信号を重畳させてコンパレータComp4へ入力することなどにより、安定な動作とすることができ、そのように回路を構成すればよい。
【0112】
(実施の形態6)
本発明の第6の実施の形態のマイコン9の動作説明図を図12に示す。また、本実施の形態の動作説明のための波形図を図13に示す。先の実施の形態4,5に対して、本実施の形態では、以下の点が異なっている。
【0113】
図12のマイコンのフローにおいて、ステップ#2で入力電圧Vinの値を定数として設定している点、ステップ#8のA/D変換値の取得では出力電圧Voutのみを取得している点、さらにステップ#13及びステップ#14が追加されており、現状の駆動周波数fが予め設定された駆動周波数の下限及び上限値に達していないかを確認し、それぞれに達している場合においてはそれ以上周波数の値を減らす、あるいは増やすことをしないようにしている点である。
【0114】
上記の通り、本実施の形態では入力電圧Vinの値を実際の値を読み込むのではなくて、予め定数として設定した値を用いて駆動周波数の算出を行う構成としている。ここで定数として設定する入力電圧Vinの値は、電源装置が通常使用される電圧範囲のうちで、電圧値が最も高い場合を想定した値とされる。
【0115】
同じ出力電圧、出力電流を想定した場合、入力電圧が高い程、電流連続モード動作とするために必要な駆動周波数は高くなる傾向があるので、入力電圧Vinの値として予め想定される入力電圧のうちで最も高い場合の値を用いるようにしておけば、それに基づき求められた周波数fで駆動した場合、必ず連続モードでの動作となる。
【0116】
これにより、本実施の形態においては、駆動周波数fを算出する度毎にA/D変換値として読み込む値は出力電圧Voutの一つのみで良くなり、マイコンにおける読み込み、演算の各処理が簡単となり、より安価なマイコンの使用が出来るなどの利点がある。
【0117】
また、駆動周波数算出の都度、変化するパラメータが出力電圧Voutのみであるため、ステップ#9で行っている演算を簡略化し、より処理を軽くすることも可能となる。例えば、予め近似的にマイコンにテーブルデータとして出力電圧Voutと(f/Io*)の関係を記憶させておいて、毎回の処理は、A/D変換値の取得により得られた出力電圧Voutの値に対応する(f/Io*)の値をそのテーブルデータから読み出すようにし、その読み出した値にIo*の値を乗ずる計算をすることによって、駆動周波数fの値を得るなどである。このようにすることで、計算が簡略化されるので、マイコンの負荷はより軽減可能となる。
【0118】
次に、ステップ#13及びステップ#14を追加し、現状の駆動周波数fが予め設定された駆動周波数の下限及び上限値に達していないかを確認し、それぞれに達している場合においてはそれ以上周波数の値を減らす、あるいは増やすことをしないようにしている点について説明する。
【0119】
ステップ#13では、現状の駆動周波数が予め設定された駆動周波数の下限値以下かどうかの判定を行い、そうでない場合はステップ#11へ移行し、駆動周波数fの値を所定値分減らし、下限値以下である場合には、ステップ#11をパスすることによって、それ以上駆動周波数fの値を低減しないように処理がなされる。
【0120】
ステップ#14では、現状の駆動周波数が予め設定された駆動周波数の上限値以上かどうかの判定を行い、そうでない場合はステップ#12へ移行し、駆動周波数fの値を所定値分増やし、上限値以上である場合には、ステップ#12をパスすることによって、それ以上駆動周波数fの値を増加させないように処理がなされる。
【0121】
例えば、ある負荷を接続したときに、図13の(a)に示す波形で動作したとする。さらに、駆動周波数は予め設定された周波数の下限値にほぼ達していたとする。このとき、出力電流の目標値を増やして動作させた場合を考えると、周波数の下限が設けられていることで、これ以上周波数が低下することはなくなり、目標とする出力電流を出力するために波形は(b)のようになる。つまり、(a)に対して周波数はほぼ同じままで、電流のべース分が増加し、負荷へ対応可能となる。
【0122】
ちなみに、(b)に破線で描いたものは周波数に制限を設けなかった場合の波形である。このように、連続モード動作において周波数に制限を設けた場合でも、負荷に応じた出力動作を取ることは可能である。
【0123】
本実施の形態では、スイッチング素子Q1を駆動する周波数の値を、予め設定した周波数の下限値、および上限値により所定の範囲とすることが出来るようになる、すなわち駆動周波数に制限を設けることが出来るようになるので、より広い特性範囲の負荷に対応させることが可能な電源装置を提供することが可能となる。このことは全ての実施の形態について適用可能である。
【0124】
また、周波数があまり変化し過ぎると、例えばノイズフィルタの設計が難しくなる(周波数が低下するとフィルタが大型化する)などの問題がある場合には、本実施の形態を用いることで問題の解決を図ることが可能となる。
【0125】
(実施の形態7)
図14に、本発明の第7の実施の形態のマイコン動作説明図を示す。本実施の形態は、先の実施の形態の駆動周波数設定のフローに代えて、図14に示すフローを用いて、図11に示す構成の回路を動作させるようにしたものである。本フローにより回路を動作させた場合、回路動作の開始の後、所定時間が経過した時点で駆動周波数の決定作業は一回のみなされ、その後は回路動作の停止に至るまでの間、決められた周波数で回路が駆動される。
【0126】
図14のフローを追いながら、この動作の詳細に関して以下に述べる。本実施の形態においては、新たにフラグFSを設けている。フラグFSの状態によって、駆動周波数の決定をすべき状態かどうかを判定し、その結果に応じて回路動作開始の後、一回のみ周波数の決定作業がなされるようにしている。
【0127】
具体的には、以下の通りである。ステップ#4の初期値設定において、フラグFSはクリアされる。その後、ステップ#15でフラグFSの状態を確認し、フラグFSがクリアのときにはステップ#16へ移行する。ステップ#16では、ステップ#7での基準発振信号の出力許可後、予め設定した所定時間が経過したかどうかを判定し、所定時間が経過してない場合にはステップ#5へ戻し、経過時間の確認作業を継続して行い、所定時間が経過した後にはステップ#8へ移行させる。
【0128】
ステップ#8では、出力電圧検出信号VoutのA/D変換値を取得し、ステップ#9で周波数fの決定がなされる。その後、ステップ#17で決められた周波数fを駆動周波数に設定し、続いてステップ#18ではフラグFSがセットされ、ステップ#5に戻される。その後は回路動作が行われている間は、フラグFSはセットされた状態であるので、ステップ#15で判定結果は常にNOとなり、これによりステップ#16以降には移行しないようにしている。
【0129】
ステップ#5で回路が動作可能状態ではないと判定された場合は、ステップ#6に移行し基準発振信号の出力が停止されるが、それに引き続いてステップ#19でフラグFSをクリアすることにより、再度ステップ#5で回路動作可能と判断されて、動作を開始した際には、上述したのと同じように所定時間経過後に1回のみ周波数の決定が行われるようにしている。
【0130】
これにより、本実施の形態においては、駆動周波数fの決定は回路動作開始後1回のみなされるだけであるため、周期的にマイコンで駆動周波数f決定のための作業をしなくてよくなり、マイコンの負担軽減に繋がるため、より安価なマイコンの使用が出来るなどの利点がある。また駆動周波数を決定するタイミングを、動作開始後、所定時間経過後としていることにより、出力が安定となった後に間違いなく周波数を決定することを可能としている。
【0131】
また第3の実施の形態以降今まで述べてきた各実施の形態では、少なくとも出力電圧検出信号VoutのA/D変換値を取得して駆動周波数fを決定していたが、想定される負荷の範囲がある程度限られる場合などには、その負荷の範囲のなかで最も周波数が高くなる場合の出力電圧検出信号Voutの値を用いて、そのときに必要となる周波数の値を求め、予めその値を設定しておくことにより、期待する効果を得るように構成することも可能である。そのようにすることで、より簡単な制御回路で本発明の効果を得ることが可能となる。
【0132】
例えば、トランスT1の1次側インダクタンス値L1が3.0μH、1次−2次間の巻数比Nが5であって、入力電圧Vinが10〜16Vの範囲で変化する場合に、接続される種々の負荷の電圧(すなわち出力電圧検出信号)が23〜46Vの範囲のいずれかのものであり、負荷の電流(すなわち出力目標電流値Io*)が0.75〜1.0Aの範囲のいずれかで設定する場合であれば、前述の計算式より、周波数fとしては少なくとも174kHzより大きな値を予め設定しておけばよいことが分る。
【0133】
また、想定される負荷の各々の出力電流の値が同じである場合には、出力電流の目標値Io*をマイコンに予め書き込むなどして記億させておいてもよい。このことは全ての実施の形態について適用可能であり、そのようにすることにより、より簡単な制御回路で期待する本発明の効果を得ることが可能となる。
【0134】
なお、各実施の形態は例として示したものであり、例えばマイコンを用いて実現している実施の形態についても、個別の電子回路で同様の動作が得られるように構成してもよい。また、DC−DC変換回路や制御回路の構成は、各実施の形態に例示した構成に限るものではなく、例えば、誤差演算部6は比例積分回路を例示したが、他の比例回路などでもよい。また、マイコンの動作フローに関しても図示した限りではなく、同様の動作が得られる構成であればよい。
【0135】
(実施の形態8)
図15に本発明の第8の実施の形態の灯具の断面図を示す。図示した灯具は、車両用のヘッドランプ90の構成の概要を示したものである。前述の構成を有し、金属の筐体でケーシングされた電源装置95が、ヘッドランプ筐体の下面部に取り付け搭載されている。複数個のLED素子により構成されたLEDモジュール20が放熱板92に取り付けられており、レンズや反射板で構成される光学ユニット91とともに、光源ユニットを構成している。光源ユニットは、ヘッドランプ90の筐体に光源ユニット固定用治具93で固定されている。電源装置95の入力の電源線96はバッテリ(図示せず)へ、また通信線97は車両側のユニット(図示せず)へ接続されている。通信線97は負荷に異常が発生した場合に車両側へ異常を通知するために設けられているものであるが、例えば本通信線97を用いて出力電流の目標値を電源装置95へ外部から送信するように構成してもよい(例えば通信をLINで行うなど)。電源装置95の出力線94は、LEDモジュール20へ接続されている。
【0136】
本発明によれば、種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷へ供給される電流のリップルが少ない電源装置を備えてなる灯具の提供が可能となる。これにより、種々設定される負荷に応じて個別に電源装置を準備する必要がなく、よって灯具の設計に応じて多様な負荷を設定可能とでき、灯具としての機能の向上、デザイン性の向上などが可能となるとともに、種々の負荷に同じ電源装置での対応が可能であるため、結果的に安価な灯具の提供が可能となる。また効率が良く省エネルギーの灯具の提供、更には電流リップルを低く抑えることが出来るため、ノイズ性能の良い灯具の提供が可能となる。
【0137】
(実施の形態9)
図16に本発明の実施の形態9の車両の斜視図を示す。前述の灯具を車両100のヘッドランプ101として用いた例である。前述の灯具を搭載することによって、より安全性やデザイン性、環境性能や快適性に優れた車両の提供が可能となる。
【0138】
またここでは、本発明の電源装置を車両100のヘッドランプ101に用いた場合を示したが、その他の方向指示器102や尾灯103などへの適用に関しても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0139】
T1 トランス
Q1 スイッチング素子
1 DC−DC変換回路
2 負荷
3 出力電流検出部
4 信号増幅部
5 出力電流目標値設定部
6 誤差演算部
7 PWM信号発生部
8 オンタイミング規定部
【技術分野】
【0001】
本発明はDC−DC変換回路を用いた電源装置に関するものであり、特に発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子で構成された半導体光源を負荷とする電源装置、並びにこれを用いた前照灯などの灯具および車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ハロゲンランプや放電ランプなどに代えて発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を光源として用いた電源装置および灯具の開発が盛んに行われている。車両用としても、LEDの発光効率などの性能の向上に伴い、ルームランプやリアコンビネーションランプのみならず、前照灯(ヘッドランプ)などへの展開も開始されている。従来からヘッドランプの光源として用いられているハロゲンランプや放電ランプ(HIDランプ)などの光源に関しては規格化がなされており、各々の形状、特性などが決められている。これに対して、LEDを用いた光源に関しては、現状では規格化などはなされておらず、少なくとも当面は、ヘッドランプの仕様に応じて種々のLEDおよびその組合せが設定されていくことになる(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
また、LED負荷を点灯するための回路として、DC−DC変換回路を構成するインダクタンス要素を流れる電流が臨界モード(電流境界モードなどともいう)となるようにスイッチング素子をオンオフする制御方法が提案されている(特許文献3)。DC−DC変換回路の駆動を電流境界モードで行うことは、従来のHIDランプに対しても多く検討、実施されてきた制御方法であるが、LEDに対しても本制御方法を用いることによって、損失を低減できるとされている。
【0004】
ところで、LEDなどの半導体光源は、所定の順方向電圧を有した低インピーダンスの負荷であるため、供給する電圧に多少のリップル成分を有している程度でも、流れる電流には大きな電流リップルが発生しやすいという特性を有している。このことは、負荷への配線に多くのリップル分を有した電流が流れるということにもなり、不要輻射ノイズの発生などにもつながるため、ノイズ対策が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−095479号公報
【特許文献2】特開2004−095480号公報
【特許文献3】特表2003−504828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷へ供給される電流のリップルが少ない電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様は、図1、図2に示すように、インダクタンス要素T1とスイッチング素子Q1を備え、前記スイッチング素子Q1のオン時に、入力電源Eより前記インダクタンス要素T1にエネルギーを蓄積し、前記スイッチング素子Q1のオフ時に、前記インダクタンス要素T1に蓄積されたエネルギーを負荷2側へ放出することにより電圧変換を行うDC−DC変換回路1と、DC−DC変換回路1の出力電流Ioが目標値と同じとなるように前記スイッチング素子Q1のオンオフ動作を制御する制御回路とを有し、半導体光源負荷2に電力を供給し点灯する電源装置において、少なくとも前記制御回路に、前記インダクタンス要素に流れる電流が連続モード動作となるように、前記スイッチング素子Q1をオンさせるタイミングを規定する手段8を設け、前記スイッチング素子Q1をオンさせるタイミングを規定する手段は、前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数を決めることでなされる電源装置であることを要旨とする。
【0008】
また、第1の態様に係る電源装置においては、少なくとも前記DC−DC変換回路の出力電圧の値に基づいて、前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数を決めることができる。
【0009】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記DC−DC変換回路は、図7に示すように、フライバックコンバータで構成されており、入力電圧をVi、出力電圧をVo、出力電流目標値をIoとし、前記フライバックコンバータを構成するトランスT1の1次−2次の巻数比をN、1次側のインダクタンス値をL1、前記スイッチング素子Q1を駆動する周波数をfとしたとき、前記制御回路は、図8に示すように、f>1/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2 なる条件(ステップ#9)を満たすように前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数を決めるようにすることができる。
【0010】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記制御回路は、図8に示すように、係数をkとした場合、f≧k/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2 なる条件(ステップ#9)を満たすように前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数を決定し、係数kの値(ステップ#2)は少なくとも1.05以上の値とすることができる。
【0011】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記DC−DC変換回路の入力電源Eの通常使用される電圧範囲のうちで、電圧値Viが最も高い場合を想定して、前記スイッチング素子Q1を駆動する周波数を決めるようにすることができる。
【0012】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記スイッチング素子Q1を駆動する周波数の値は、少なくとも第1の所定周波数以上であり、かつ、第2の所定周波数以下であるよう制御することができる。
【0013】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数は、回路動作の開始時に設定した値を、回路動作が停止となるまでの間、用いることができる。
【0014】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記スイッチング素子Q1を駆動するための周波数は、電源装置に予め設定とした値を用いることができる。
【0015】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記出力電流Ioの目標値Io*は、電源装置の外部より設定できるように構成することができる。
【0016】
また、第1の態様に係る電源装置においては、前記出力電流Ioの目標値Io*は、電源装置に予め設定した値を用いることができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、第1の態様に係る電源装置95を搭載した灯具であることを要旨とする。
【0018】
本発明の第3の態様は、第2の態様に係る灯具を搭載した車両100であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷へ供給される電流のリップルが少なく、構成が簡単な電源装置を提供することが可能となる。また、本発明の電源装置を車両用の灯具などに用いることにより、より機能的で安価なシステムの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態の基本構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1の回路図である。
【図3】本発明の実施の形態1の動作波形図である。
【図4】本発明の実施の形態2の要部回路図である。
【図5】本発明の実施の形態3の回路図である。
【図6】本発明の実施の形態3の動作波形図である。
【図7】本発明の実施の形態4の回路図である。
【図8】本発明の実施の形態4のマイコンの動作説明図である。
【図9】本発明の実施の形態4に用いる基準電圧可変回路の回路図である。
【図10】本発明の実施の形態4の動作波形図である。
【図11】本発明の実施の形態5の回路図である。
【図12】本発明の実施の形態6のマイコンの動作説明図である。
【図13】本発明の実施の形態6の動作波形図である。
【図14】本発明の実施の形態7のマイコンの動作説明図である。
【図15】本発明の実施の形態8の灯具の断面図である。
【図16】本発明の実施の形態9の車両の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(基本構成)
本発明の基本構成図を図1に示す。図1を用いて、本発明の基本構成に関して以下に説明する。DC−DC変換回路1は、直流電源Eを入力とし、負荷2に対して電圧変換した出力を与える。DC−DC変換回路1は、インダクタンス要素とスイッチング素子を備え、スイッチング素子のオン時に電源よりインダクタンス要素にエネルギーを蓄積し、スイッチング素子のオフ時にインダクタンス要素に蓄積されたエネルギーを負荷側へ放出することにより、電圧変換された出力を負荷側へ供給するものである。具体的には、フライバックコンバータやバックブーストコンバータ、ブーストコンバータなどであるが、好適には負荷への変換電圧の適切な設定が可能なフライバックコンバータにて構成されるものである。
【0022】
またDC−DC変換回路1は、以下の構成により出力電流制御がなされる。DC−DC変換回路1から出力される電流を出力電流検出部3で出力電流検出信号として検出し、信号増幅部4で増幅した後、出力電流目標値設定部5から与えられる出力電流の目標値に対する誤差を誤差演算部6で求める。PWM信号発生部7は、誤差演算部6からの出力を受けて、DC−DC変換回路1を駆動するための変換回路駆動信号を出力する。変換回路駆動信号により、DC−DC変換回路1のスイッチング素子はオンオフ動作される。これにより、フィードバック制御がなされ、DC−DC変換回路1の出力電流は目標とする値となる。
【0023】
本発明の特徴とするところは、上記出力電流制御の構成に加えて、オンタイミング規定部8を設けたことである。オンタイミング規定部8は、DC−DC変換回路1のインダクタンス要素を流れる電流が連続モード動作となるように、PWM信号発生部7に対してスイッチング素子をオンするタイミングを規定し与えるものである。PWM信号発生部7はこの信号を受けて、DC−DC変換回路1を駆動するためのPWM信号を生成し、変換回路駆動信号として出力する。
【0024】
これにより、DC−DC変換回路1のインダクタンス要素に流れる電流を連続モードに維持しながら、出力電流制御動作が行われるようになるので、種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷2へ供給される電流のリップルが少ない電源装置を提供することが可能となる。
【0025】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の回路図を図2に、動作波形の説明図を図3に示す。図2および図3を用いて、本実施の形態の具体的な内容について以下に説明する。
【0026】
本実施の形態では、DC−DC変換回路はトランスT1、スイッチング素子Q1、整流用ダイオードD1、平滑用コンデンサC1にて構成されるフライバックタイプのコンバータである。接続される負荷2は、LED素子を複数個直列接続したLED負荷としている。
【0027】
DC−DC変換回路の基本的な動作に関して説明する。スイッチング素子Q1がオンの時に、トランスT1の1次側には電源Eより電流i1が流れ、エネルギーがトランスT1に蓄積され、スイッチング素子Q1がオフとなるとトランスT1に蓄えられたエネルギーが2次側より電流i2としてダイオードD1を介してコンデンサC1へ放出されることにより、電圧変換がなされ負荷側へ電力が供給される。
【0028】
図3は、本DC−DC変換回路のトランスT1に流れる電流が連続となるように動作させた場合の波形の例である。トランスT1の1次側のインダクタンス値をL1、2次側のインダクタンス値をL2、1次−2次間の巻数比をN、入力電圧をVi、出力電圧Voとすると、スイッチング素子Q1のオン時に流れる電流i1の傾きはVi/L1となり、スイッチング素子Q1のオフ時に流れる電流i2の傾きは−Vo/L2となる。
【0029】
ここに、トランスT1の1次と2次のインダクタンス値L1,L2には、L2=N2・L1の関係がある。図中に記した電流i1のピーク値i1pと電流i2のピーク値i2pの関係は1/N倍となり、連続モード動作時の電流のベース分であるi2bとi1bの関係はN倍となる。
【0030】
入出力ともに完全に平滑されているとした場合、電流i1の平均値が入力電流の値となり、電流i2の平均値が出力電流の値となる。また、回路損失がない理想的な状態を想定した場合、入力電力と出力電力の値は等しくなるため、入力電流すなわち電流i1の平均値と出力電流すなわち電流i2の平均値の間には、(入力電圧Vi/出力電圧Vo)倍の関係が成立する。
【0031】
ちなみに、この電流のベース分の値i2b、i1bが零となるように駆動させるのが電流境界モードの動作であり、前述の従来例ではそのように動作させることが提案されている。つまり、電流連続モードにおいては、電流i2が零となった時点で、スイッチング素子Q1を再びオンとすることにより、上記電流のベース分のない状態での動作を実現させる。
【0032】
しかしながら、電流境界モードで動作させるとした場合、前述の各関係より、特定の負荷を対象とする場合にはその負荷の電圧や電流の値に合わせてトランスT1などの定数を設定すれば想定される周波数でスイッチング素子Q1を駆動することが出来るが、電圧や電流が違う種々設定される負荷へ対応させようとした場合、接続される負荷によっては、電流i2が零となる時点を待つことにより、各電流のピーク値が過大となったり、周波数が大幅に低下したりするなどの課題が発生する。
【0033】
これに対して本発明では、電流i2が零となる前、すなわち所定のベース分i2bを有している時点でスイッチング素子Q1を再びオンに転じさせるように制御することにより、上記の問題を解決し、種々設定される負荷への対応を可能とするものである。
【0034】
このことは、本実施の形態においては、以下の構成(図2)により実現される。抵抗などで構成される検出部により1次電流検出信号、2次電流検出信号、出力電流検出信号を得る。PWM信号発生部7は、セット・リセットフリップフロップを含んで構成される発振回路OSCと、発振回路OSCのセット入力Setに信号を与えるコンパレータComp1、リセット入力Resetに信号を与えるコンパレータComp2などにより構成されている。
【0035】
PWM信号発生部7の基準電圧Vref2はコンパレータComp1に比較のための電圧を与えるもので、コンパレータComp1は基準電圧Vref2の値と2次電流検出信号の値を比較する。2次電流検出信号の値が基準電圧Vref2以下の時にコンパレータComp1の出力はHighレベルとなり、発振回路OSCの出力QはHighレベルとなる。これにより、スイッチング素子Q1はオンし、電流i2は零となり、電流i1が流れる。
【0036】
出力電流検出信号はアンプAmp1で増幅され、誤差演算部6に入力される。誤差演算部6において、出力電流の目標値である基準電圧Vref1との誤差を演算し増幅(本図では比例積分PIとしている)した結果を、1次電流ピーク値指令信号としてコンパレータComp2へ与える。コンパレータComp2は、この1次電流ピーク値指令信号の値と1次電流検出信号の値を比較し、1次電流検出信号の値が1次電流ピーク値指令信号の値以上となったときに、発振回路OSCのリセット入力ResetへHighレベルの信号を与え、発振回路OSCの出力QはLowレベルとなる。これにより、スイッチング素子Q1はオフし、電流i1は零となり、電流i2が流れる。
【0037】
以上の構成により、スイッチング素子Q1は出力電流Ioが基準電圧Vref1で設定された目標値と同じになるように変換回路駆動信号により駆動され、出力電流の制御が実現される。
【0038】
本実施の形態では、PWM信号発生部7を構成するコンパレータComp1とその基準電圧Vref2が、オンタイミング規定部8も兼ねて構成しており、基準電圧Vref2の値によって、スイッチング素子Q1をオンさせるタイミングを規定可能としている。すなわち、基準電圧Vref2によって、電流i2が低下し、どの値に達した時点で、スイッチング素子Q1を再びオンさせるかを任意に決めることが出来る(図3のi2bに相当)。
【0039】
本実施の形態によると、種々設定される負荷への対応を想定して、トランスT1などの定数だけでなく、電流連続モードで動作させる際の電流のベース分を適切に設定することが出来るので、それらの負荷への対応が可能な電源装置を提供することが可能となる。また従来例に対して、各電流のピーク値が過大となったり、周波数が大幅に低下したりするなどということがないので、種々設定される負荷に対して常に効率が良く、かつリップルの少ない安定した出力の供給が可能となる。
【0040】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態の要部回路図を図4に示す。先の実施の形態で示した回路図(図2)の発振回路OSCに対して、コンパレータComp3とその周辺回路を設けることによって、発振回路の出力QがLowレベルとなる時間、すなわちスイッチング素子Q1がオフ状態である時間に、上限および下限を設定可能とするものである。
【0041】
コンパレータComp3の非反転入力端子には、電流源Is、コンデンサCs、スイッチ素子Qsの並列回路が接続されている。ここに電流源IsとコンデンサCsはタイマーを構成するためのもので、スイッチ素子QsはコンデンサCsの電荷を放電させて零にリセットするためのものである。セット・リセットフリップフロップSR−FFの出力Qにより、スイッチ素子Qsは駆動される。一方、コンパレータComp3の反転入力端子には、基準電圧Vs1、Vs2と、それらを発振回路OSCのセット入力Setの信号の状態によって選択するための切替スイッチが設けられている(ここに、Vs1<Vs2の関係がある)。
【0042】
上記構成により、発振回路OSCのセット入力SetにHighレベルの信号が入力されても、コンデンサCsに発生する電圧の値が、基準電圧Vs1の値以上に達するまでの時間はコンパレータComp3の出力はHighレベルとならず、発振回路OSCの出力QはLowレベルを維持し、スイッチング素子Q1もオフ状態を維持する。
【0043】
また逆に、発振回路OSCのセット入力SetにLowレベルの信号が入力されている場合(図示された状態)でも、コンデンサCsに発生する電圧の値が、基準電圧Vs2の値以上に達した時点でコンパレータComp3の出力はHighレベルとなり、発振回路OSCの出力QはHighレベルとなり、スイッチング素子Q1もオンとなる。
【0044】
本実施の形態によれば、以上のようにして、スイッチング素子Q1がオフとなっている時間に上限および下限を設定し、スイッチング素子Q1のオフ状態を少なくとも基準電圧Vs1で設定される所定時間以上は継続し、かつ、基準電圧Vs2で設定される所定時間を超えないように制御することが可能となる。すなわち、スイッチング素子Q1のオフ時間の最大値及び最小値を設定することが出来るため、先の実施の形態に対して、より広い特性範囲の負荷に確実に対応させることが可能な電源装置を提供することが可能となる。
【0045】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態の回路図を図5に示す。本実施の形態では、スイッチング素子Q1をオンさせるタイミングを規定する手段として、第1の実施の形態のオンタイミング規定部8に代えて、スイッチング素子Q1を駆動する周波数を設定する駆動周波数設定部81を設けて構成している点が異なる。
【0046】
駆動周波数設定部81には、入力電圧検出信号、出力電圧検出信号、出力電流目標値設定部5から与えられる目標電流値が入力されており、それらに基づいて変換回路駆動信号の駆動周波数を設定し、PWM信号発生部7に基準発振信号として与える。PWM信号発生部7は、与えられた基準発振信号により、スイッチング素子Q1をオンさせるタイミングを規定し、変換回路駆動信号としてスイッチング素子Q1を駆動する。
【0047】
本実施の形態においては、抵抗R1によって出力電流Ioの検出を行い、抵抗R2と抵抗R3によって出力電圧Voの検出を行うように構成している。
【0048】
駆動周波数設定部81において、DC−DC変換回路のインダクタンス要素(本実施の形態ではトランスT1)に流れる電流が連続モードとなるように基準発振信号を決めることにより、種々設定される半導体光源負荷2に対応が可能で、効率が良く、負荷2へ供給される電流のリップルが少ない電源装置を提供することを可能とする。
【0049】
図6は、本発明の実施の形態3の動作波形の説明図である。図6の(a)および(b)の波形は、本発明の動作波形である(c)および(d)と対比し、本発明の効果を説明するために示したものである。(a)および(b)の波形は、従来例の説明で述べたように、回路損失の低減を目的としてフライバックコンバータを電流境界モードで動作させた場合を想定した波形である。
【0050】
負荷2として、例えば4個のLED素子が直列に接続されて1個のパッケージに収納されてなるLED光源を2個直列に接続してLED負荷を構成し、目標電流とする出力電流IoをLED負荷に供給した場合に、トランスT1を流れる電流が図6(a)のようになったとする。
【0051】
このとき電流i2の波形の面積S2aをスイッチング周期で平均したものが、出力電流Ioと等しくなる(出力電圧Voが十分に平滑されていて、出力電流Ioが一定であるとした場合)。
【0052】
また、DC−DC変換回路が理想的なもので、変換動作時に損失が発生しないとした場合には、面積S2aをスイッチング周期で平均した値と出力電圧Voを掛け合わせた値と、電流i1の波形の面積S1aをスイッチング周期で平均した値と入力電圧Viを掛け合わせた値は等しくなる(各々の値は出力電力および入力電力に相当する)。
【0053】
また、電流i1のピーク値と電流i2のピーク値の間には、トランスT1の1次−2次間の巻数比をNとした場合、1/N倍の関係が成立している。
【0054】
図6の(b)は、前記LED光源を3個直列に接続してLED負荷を構成し、同じ出力電流となるように制御した場合の波形である。負荷の構成を2個直列から3個直列のものに変更したことにより、出力電圧Voは3/2倍となり、出力電流Ioは同じであるので、それに伴い出力電力と入力電力の関係も3/2倍となる。
【0055】
このとき、電流i1の波形の面積S1bは面積S1aに対して3/2×(周期の比)倍となり、電流i2の波形の面積S2bは面積S2aに対して(周期の比)倍となる(面積S1b、S2bをスイッチング周期で平均した値が、各々の入力電流および出力電流である)。
【0056】
また、電流i2の傾きは、出力電圧Voが3/2倍となることにより、3/2倍に急となる。
【0057】
上記のように接続する負荷を変更した場合に、電流i1および電流i2のピーク値は大きく上昇し、このことは実際の回路においてはスイッチング損失の増加につながるとともに、リップル電圧の増加およびリップル電流の増加を引き起こす。
【0058】
図6(c)および(d)は、本発明を用いた場合の動作波形を示したものである。先に説明した従来の境界モードでの動作とした場合の波形(a)および(b)と対比するために、ここではそれぞれのスイッチング周波数が同じとなるように駆動周波数設定部81で基準発振信号を決めた場合の波形を示している(インダクタンス値L1およびL2は波形(a)、(b)に対して大とし、それ以外のトランスT1の巻数比などは同じとしている)。
【0059】
ここで、スイッチング素子Q1が1周期のうちでオンとなる期間(オンデューティ)は、入力電圧Vi、出力電圧Voとトランス巻数比Nにより決まり、その結果、波形(a)および(b)とそれぞれ同じになる。また、面積S1cおよびS2cはそれぞれ面積S1aおよびS2aと同じとなり、面積S1dおよびS2dはそれぞれ面積S1bおよびS2bと同じとなる。
【0060】
図6(c)および(d)の波形は、本発明を用いてトランスT1を流れる電流が連続モードとなるように動作させているため、電流i1およびi2にベース分がある波形となっている。
【0061】
想定するLED負荷の構成が2個直列および3個直列の場合の波形(c)および(d)を、従来の波形(a)および(b)と比較すると、以下の特徴、効果があることが確かめられる。
【0062】
電流i1およびi2ともに、それぞれの電流ピーク値は従来の波形に対して低減されている。面積は同じでピーク値は低いため、おのおのの波形の実効値は低くなり、その結果、リップル電流、リップル電圧の低減に効果がある(リップルの低減は出力だけではなく、入力についても効果がある)。
【0063】
また、DC−DC変換回路の効率に関して、従来例に述べられているように不連続モード動作に比べて境界モード動作の方が低損失となることは明らかであるが、境界モード動作と連続モード動作を比べた場合には境界モード動作の方がよくなるとは一概には言えない。
【0064】
実際の回路ではスイッチング素子Q1がオンに転ずるときやオフに転ずるときに発生するスイッチング損失、スイッチング素子Q1がオン状態のときに流れる電流によって発生する損失、トランスT1に流れる電流によって発生する損失(銅損および鉄損)、ダイオードD1に発生する損失などの各々の損失によって、DC−DC変換回路トータルの損失が決まる。図6の波形(a)および(b)と、波形(c)および(d)をそれぞれ比較してみると、スイッチング素子Q1がオンに転ずるときのスイッチング損失は連続モード動作の方が増えると思われるが、逆にスイッチング素子Q1がオフに転ずるときのスイッチング損失やスイッチング素子Q1がオン状態における損失などは、むしろ低減されると考えられ、実際に実機にて確認したところ、連続モード動作をさせた方がトータルでの損失が低減し、変換効率の向上が確認された。
【0065】
このように本発明によれば、DC−DC変換回路のトランスT1に流れる電流が連続モードとなるように基準発振信号を駆動周波数設定部81で決めることによって、種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷へ供給される電流のリップルが少ない、ひいてはリップル成分により生じるノイズも少ない電源装置を提供することが可能となる。また、実施の形態1および2に対して、電流i2の検出をしなくてもよくなるため、回路を簡単に構成することが出来る利点がある。
【0066】
ところで連続モード動作とするためには、前述してきた各関係などから、少なくとも以下の関係を満たすように駆動周波数設定部81において周波数fを決めればよいことが導かれる。
【0067】
f>1/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2
ここで、L1はトランスT1の1次側のインダクタンス値、Nは1次−2次間の巻数比、Viは入力電圧、Voは出力電圧、Ioは出力電流である。
【0068】
本実施の形態で述べたように、境界モード動作と同じ周波数となるようにするためには、以下の関係式において周波数fを設定とし、係数kを希望とする周波数となるように設定すればよい。
【0069】
f=k/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2
(ただしk>1)
ところで、係数kの値としては、連続動作時の電流のベース分を適度に持たせるためには、少なくとも1.05以上の値、最適には1.1以上の値に設定するのが好ましい。これにより、本発明の効果をより良く得ることが可能となる。
【0070】
(実施の形態4)
本発明の第4の実施の形態の回路図を図7に示す。また、本発明の実施の形態のマイコン9の動作説明図を図8に示す。本実施の形態では、制御回路の一部をマイコン9を用いて構成している。
【0071】
基本的な動作は以下の通りである。負荷2に流れる電流を電流検出抵抗R1で出力電流検出信号として検出し、信号増幅部4で信号を増幅したのち、誤差演算部6で基準電圧Vref1と比較し、その結果をPWM指令信号としてPWM信号発生部7に入力する。PWM信号発生部7で所定のPWM信号を発生させ、スイッチング素子Q1にオンオフ制御信号(変換回路駆動信号)として供給し、出力電流の調整を行なうようにフィードバック制御系が構成されている。
【0072】
本実施の形態では、信号増幅部4はオペアンプAmp3とその周辺の抵抗R12,R13,R14で構成される反転増幅回路、誤差演算部6はオペアンプAmp2とその周辺抵抗R10,R11及びコンデンサC10で構成される比例積分回路としている。
【0073】
マイコン9のTIMERポートHFからは、DC−DC変換回路を駆動するための基準発振信号(変換回路駆動信号生成の基となる変換回路駆動信号と同じ周波数の信号)が与えられ、のこぎり波発生器OSC1へ入力される。のこぎり波発生器OSC1はこの基準発振信号を受けて、同じ周波数で発振するのこぎり波を発生し、基準発振信号の立上りのタイミングで出力を零とするように構成されている。
【0074】
コンパレータComp4は、反転入力端子へ入力された、のこぎり波発生器OSC1からの信号と、非反転入力端子に入力された誤差演算部6からのPWM指令信号の値とを比較し、のこぎり波発生器OSC1で規定された(すなわち、基準発振信号で規定された)周波数で、信号の比較結果をもってオンデューティが決められたパルス信号を出力する。コンパレータComp4の出力は、変換回路駆動信号としてDC−DC変換回路へ与えられ、スイッチング素子Q1はオンオフ駆動される。
【0075】
上記構成によって、駆動周波数設定部81によりスイッチング素子Q1をオンするタイミングを規定することが出来、DC−DC変換回路は駆動周波数設定部81で決められた周波数で駆動される。
【0076】
ところでマイコン9は、DC−DC変換回路の出力電圧Voを抵抗R2と抵抗R3で分圧することにより得られる電圧をA/D変換ポートより出力電圧検出信号Voutとして読み込み、入力電圧Viを同じくA/D変換ポートより入力電圧検出信号Vinとして読み込む。さらに、シリアル通信用ポートのWriteより通信手段によって与えられた出力電流の目標値を出力電流目標値記憶・調整部51により記憶し、誤差演算部6の基準電圧Vref1が目標電流値相当の値となるように第2のTIMERポートより基準電圧調整信号Vref_Controlを出力するとともに、ソフトウェアで構成される駆動周波数設定部81に出力電流の目標値を与える。駆動周波数設定部81は入力電圧検出信号、出力電圧検出信号および出力電流の目標値の値に基づいて、第1のTIMERポートより基準発振信号HFをPWM信号発生部7へ送出する。
【0077】
次にマイコン9の動作に関して、図8を用いて説明する。まず、出力電流目標値の設定は、回路動作を開始させる前の初期の段階で、上記の通り通信手段を用いて行われる。ステップS1の出力電流目標値記憶の処理を実行すると、ステップS2において、出力電流の目標値をIo*として電源装置の外部より読み込み、ステップS3において、マイコン9の内部メモリー或いはマイコン9の外部に設置した外部メモリーに、目標電流値Io*として記憶する。
【0078】
次に、ステップS4の出力電流目標値調整の処理を実行すると、回路動作時に記憶された出力電流の目標値Io*に相当する値に誤差演算部6の基準電圧Vref1を可変するための信号を、ステップS5においてマイコン9の第2のTIMERポートより基準電圧調整信号Vref_Controlとして出力する。これにより、誤差演算部6の基準電圧Vref1は出力電流目標値Io*に相当する値となる。
【0079】
ここで、基準電圧Vref1を可変とするための具体的な回路構成の一例を、図9に示す。基準電圧調整信号Vref_Controlはマイコンの第2のTIMERポートより、高周波でオンオフする信号として与えられる。図9の基準電圧Vrefは、別途回路で生成される制御用の安定な電圧である。スイッチング素子Q20が常にオフのときを考えると、その際に基準電圧Vref1として出力される電圧は、基準電圧Vrefを抵抗R20と抵抗R21で分圧した値となる(この値をVref1_maxとする)。また逆に、スイッチング素子Q20が常にオンのときを考えると、その際に基準電圧Vref1として出力される電圧は、基準電圧Vrefを抵抗R20と、並列に接続された抵抗R21と抵抗R22の合成抵抗とで分圧した値となる(この値をVref1_minとする)。スイッチング素子Q20を一定の周波数でオンオフ動作させた場合は、基準電圧Vref1として出力される値は、そのオンデューティによって前記Vref1_maxとVref1_minの間の値とすることができる。
【0080】
本回路を構成する他の抵抗R23、コンデンサC21などは、フィルターとして設けているものであり、これにより基準電圧Vref1の安定化を図っている。ちなみに誤差演算部6の基準電圧Vref1を可変とするには、D/A変換機能を有するマイコンであればD/A変換ポートのアナログ出力を用いて直接与える構成としてもよいし、本例のように、TIMERポートを使用してマイコン9からのオンオフ信号(基準電圧調整信号)と外部の積分フィルタ回路(図9)により実質的にD/A変換器を構成してもよいし、またその他の方法でも目的が達成できれば具体的な構成は何でもよい。
【0081】
次に、図8のステップ#1以降の駆動周波数設定のマイコン動作に関して説明する。後述のステップ#9において駆動周波数fの算出を行うものであるが、先ずステップ#2でそのための定数k、L1、Nの設定を行う。
【0082】
ステップ#3では、出力電流目標値記憶(ステップS1〜S3)により記憶した出力電流の目標値Io*を取得する。
【0083】
ステップ#4では、DC−DC変換回路の駆動開始時に使用する周波数の初期値を駆動周波数fに設定する。ここまでの動作は、回路出力動作の開始前に行われる処理である。
【0084】
ステップ#5では、回路動作が可能な状態かどうかの確認を行う。回路動作が可能かどうかの判断は、ここでは示していない。駆動周波数設定以外の他のフローで行われるが、具体的には入力電圧検出信号の値が動作可能な範囲かどうかなどの情報に基づいて判断がなされる。
【0085】
ステップ#5で確認の結果、回路動作が可能な状態でない場合は、ステップ#6へ移行し、基準発振信号の出力を停止(未だ出力していない場合はその状態を維持)とし、ステップ#5に戻り状態の確認を繰り返し行う。
【0086】
ステップ#5で確認の結果、回路動作が可能な状態の場合には、ステップ#7へ移行し、基準発振信号の出力を許可(既に出力をしている場合はその状態を維持)とし、ステップ#8へ移行する。
【0087】
ステップ#8では、A/D変換された値として出力電圧検出信号Vout、入力電圧検出信号Vinを取得する。
【0088】
ステップ#9では、以上の各値を用いて以下の式により駆動周波数fを算出する。
【0089】
f=k/(2・L1・Io*・Vout)・(Vin・Vout/(N・Vin+Vout))2
ステップ#10では、ステップ#9で算出した周波数fの値と現在の周波数fの値の大小関係の判定を行い、算出した値の方が現状の値よりも大きな場合にはステップ#12に移行し、周波数fの値を予め定めた所定値分増加させ、逆に算出した値の方が現状の値以下の場合には、ステップ#11に移行し、周波数fの値を予め定めた所定値分減少させる。
【0090】
その後、ステップ#5に戻り、上記の動作を繰り返す。
【0091】
これにより、駆動周波数設定部81は、出力電流目標値記憶・調整部51により記憶された電流目標値Io*の値と、現在の出力電圧検出信号Vout、入力電圧検出信号Vinの値に応じて、DC−DC変換回路が電流連続モードでの動作となるように駆動周波数fの値を逐次算出し設定する。
【0092】
駆動周波数fとして設定された値は、マイコン9の第1のTIMERポートHFより基準発振信号としてPWM信号発生部7に与えられ、その結果、DC−DC変換回路のスイッチング素子Q1は算出された周波数fで駆動される。このようにして本実施の形態では、スイッチング素子Q1のオンタイミングを規定することにより、電流連続モードでの動作を実現可能と出来る。
【0093】
次に図10に、本実施の形態を用いて出力電流目標値を変えて動作させたときの動作波形を、従来の境界モードでの動作を想定した場合と対比させて、図6と同様に示す。図10の(a)および(b)の波形は、本発明の動作波形である(c)および(d)と対比し、本発明の効果を説明するために示したものであり、フライバックコンバータを電流境界モードで動作させた場合を想定した波形である。例えば、あるLED負荷に目標とする電流を供給した場合に、トランスT1を流れる電流が図10(a)のようになったとする。次に目標とする電流の値を1.25倍に大きくした場合を想定すると、そのときの動作波形は同図(b)のようになる。同じLED負荷に対して出力電流を1.25倍に変更したことにより、出力電力および入力電力も1.25倍となる(ただしここでは簡単のために、電流増加によるLED負荷の電圧値の変化がないとして説明している)
このとき、電流i1の波形の面積S1bは面積S1aに対して1.25×(周期の比)倍となり、電流i2の波形の面積S2bは面積S2aに対して1.25×(周期の比)倍となる。ちなみに、面積S2a、S2bをスイッチング周期で平均した値が、各々の入力電流値および出力電流値である。上記のように出力電流を1.25倍に増加させた場合に、電流i1および電流i2のピーク値は大きく上昇し、このことは実際の回路においてはスイッチング損失の増加につながるとともに、リップル電圧の増加およびリップル電流の増加を引き起こす。
【0094】
図10の(c)および(d)は、本発明を用いた場合の動作波形を示したものである。先に説明した従来の境界モードでの動作とした場合の波形(a)および(b)と対比するために、ここではそれぞれのスイッチング周波数が同じとなるように駆動周波数設定部81で周波数を決めるようにした場合の波形を示している(インダクタンス値L1およびL2は図10の(a)、(b)に対して大とし、それ以外のトランスT1の巻数比などは同じとしている)。
【0095】
ここでスイッチング素子Q1が1周期のうちでオンとなる期間(オンデューティ)は、入力電圧Vi、出力電圧Voとトランス巻数比Nにより決まり、その結果、図10の(a)および(b)とそれぞれ同じになる。また、面積S1cおよびS2cはそれぞれ面積S1aおよびS2aと同じとなり、面積S1dおよびS2dはそれぞれ面積S1bおよびS2bと同じとなる。図10の(c)および(d)の波形は、本発明を用いてトランスT1を流れる電流が連続モードとなるように動作させているため、電流i1およびi2にベース分がある波形となっている。
【0096】
本発明による動作をさせた場合の波形(c)および(d)を、従来の境界モード動作をさせた場合の波形(a)および(b)とそれぞれ比較すると、以下の特徴、効果があることが確かめられる。
【0097】
電流i1およびi2ともに、それぞれの電流ピーク値は従来の波形に対して低減されている。面積は同じでピーク値は低いため、おのおのの波形の実効値は低くなり、その結果、リップル電流、リップル電圧の低減に効果がある(リップルの低減は出力だけではなく、入力についても効果がある)。また、DC−DC変換回路の効率に関しても、本発明の実施の形態3で述べたのと同じで、波形(a)および(b)と波形(c)および(d)をそれぞれ比較してみると、スイッチング素子Q1がオンに転ずるときのスイッチング損失は連続モード動作の方が増えると思われるが、逆にスイッチング素子Q1がオフに転ずるときのスイッチング損失やスイッチング素子Q1がオン状態における損失などは、むしろ低減されると考えられ、実際に実機にて確認したところ、連続モード動作をさせた方がトータルでの損失が低減し、変換効率の向上が確認された。
【0098】
このように本発明によれば、DC−DC変換回路のトランスT1に流れる電流が連続モードとなるように基準発振信号を駆動周波数設定部81で決めることによって、半導体光源負荷2に供給する出力電流Ioの値を変えた場合においても、効率が良く、負荷2へ供給される電流のリップルが少ない、ひいてはリップル成分により生じるノイズも少ない電源装置を提供することが可能となる。
【0099】
また本実施の形態によれば、出力電流Ioの目標値Io*を外部より設定可能な(可変可能な)構成としているため、より多様なLED負荷への対応が可能な電源装置の提供が可能となる。更に上記マイコン動作によれば、設定される駆動周波数の値が逐次変化するので、スイッチング動作により発生するノイズの周波数スペクトルが分散され、更なるノイズの低減に対して効果的であるなどの特徴も有する。
【0100】
(実施の形態5)
本発明の第5の実施の形態の回路図を、図11に示す。DC−DC変換回路の2次側にインダクタンスL3、コンデンサC2からなるフィルタを設けている点、DC−DC変換回路の1次側に電流i1を検出するための抵抗R4を設けて電流モードでのPWM制御を行うように構成している点などが、先の実施の形態に対して異なっている。本発明の制御手法によれば、出力リップルを低減する効果があるが、2次側にフィルタを設けることによって更に出力電流Ioのリップルを低減することができる。
【0101】
また電流モードでの制御に関しては、以下の動作によりスイッチング素子Q1のオンオフ制御を達成する。負荷2に流れる電流を電流検出抵抗R1で出力電流検出信号として検出し、信号増幅部4で信号を増幅したのち、誤差演算部6で基準電圧Vref1と比較し、その結果をPWM指令信号としてPWM信号発生部7に入力する。PWM信号発生部7で所定のPWM信号を発生させ、スイッチング素子Q1にオンオフ制御信号(変換回路駆動信号)として供給し、出力電流の調整を行なうようにフィードバック制御系が構成されている。
【0102】
本実施の形態では、信号増幅部4はオペアンプAmp3とその周辺抵抗R12,R13,R14で構成される反転増幅回路、誤差演算部6はオペアンプAmp2とその周辺抵抗R10,R11及びコンデンサC10で構成される比例積分回路としている。
【0103】
マイコン9のTIMERポートHFからは、DC−DC変換回路を駆動するための基準発振信号が与えられ、ワンショット回路Oneshot2はその立上りを受けて、セット・リセットフリップフロップSR−FFのセット端子Sにセットのためのパルス信号を与え、セット・リセットフリップフロップSR−FFの出力QはHighレベルとなり、スイッチング素子Q1はオンに駆動される。これにより、駆動周波数設定部81によりスイッチング素子Q1をオンするタイミングを規定することが出来る。
【0104】
コンパレータComp4では、誤差演算部6からの出力と、トランスT1の1次側に流れる電流i1の瞬時値を抵抗R4に発生する電圧で検出した値(1次電流検出信号)とを比較し、その比較結果をワンショット回路Oneshot1に与える。ワンショット回路Oneshot1は、その立下りを受けて、セット・リセットフリップフロップSR−FFのリセット端子Rにリセットのためのパルス信号を与え、セット・リセットフリップフロップSR−FFの出力QはLowレベルとなり、スイッチング素子Q1はオフに駆動される。
【0105】
なお、マイコン9のTIMERポートHFから論理ゲートANDへの信号入力は、最大オン時間(最小オフ時間)を規定するためのものであり、基準発振信号がLowレベルになると、セット・リセットフリップフロップSR−FFの出力Qにかかわらず、スイッチング素子Q1はオフとなる。上記のようにして、本実施の形態では、電流モード制御が実現される。
【0106】
ところでマイコン9は、DC−DC変換回路の出力電圧Voを抵抗R2と抵抗R3で分圧することにより得られる電圧をA/D変換ポートより出力電圧検出信号Voutとして読み込み、入力電圧Viを同じくA/D変換ポートより入力電圧検出信号Vinとして読み込む。さらに、シリアル通信用ポートのWriteより通信手段によって与えられた出力電流Ioの目標値Io*を出力電流目標値記憶・調整部51により記憶し、誤差演算部6の基準電圧Vref1が目標電流値相当の値となるように第2のTIMERポートより基準電圧調整信号Vref_Controlを出力するとともに、ソフトウェアで構成される駆動周波数設定部81に出力電流の目標値を与える。
【0107】
駆動周波数設定部81は入力電圧検出信号、出力電圧検出信号および出力電流の目標値の値に基づいて、第1のTIMERポートより基準発振信号HFをPWM信号発生部7へ送出する。
【0108】
マイコン9の動作に関しては、第4の実施の形態と基本的に同じである(図8の通り)。
【0109】
本実施の形態においても、DC−DC変換回路のトランスT1に流れる電流が連続モードとなるように基準発振信号を駆動周波数設定部81で決めることによって、先の実施の形態と同様に、種々設定される半導体光源負荷2に対応が可能で、効率が良く、負荷2へ供給される電流のリップルが少ない、ひいてはリップル成分により生じるノイズも少ない電源装置を提供することが可能となる。
【0110】
また本実施の形態では、PWM制御を電流モードによる制御(1次側に流れる電流i1のピーク値と誤差演算部6からの指令値が同じとなるようにする制御方法)で行うように構成しているため、例えば電源Eが不意に急変するような場合においても、電流i1は適切に制限されるため、瞬間的に電流i1が過大となる(それにともない、電流i2も過大となる)ようなことのない、結果的に、出力を安定して制御することが出来る(リップルの少ない)電源装置を提供することが可能となる。
【0111】
ところで、DC−DC変換回路を電流モードで制御した場合に、動作の安定点が1つのポイントに収束せず、スイッチング周波数がスキップを踏んだような不安定な状態(いわゆる周波数半減現象)が発生する場合がある。このような場合には、図11の回路において、1次電流検出信号にスイッチング周波数に同期させた所定の傾きを持つ信号を重畳させてコンパレータComp4へ入力することなどにより、安定な動作とすることができ、そのように回路を構成すればよい。
【0112】
(実施の形態6)
本発明の第6の実施の形態のマイコン9の動作説明図を図12に示す。また、本実施の形態の動作説明のための波形図を図13に示す。先の実施の形態4,5に対して、本実施の形態では、以下の点が異なっている。
【0113】
図12のマイコンのフローにおいて、ステップ#2で入力電圧Vinの値を定数として設定している点、ステップ#8のA/D変換値の取得では出力電圧Voutのみを取得している点、さらにステップ#13及びステップ#14が追加されており、現状の駆動周波数fが予め設定された駆動周波数の下限及び上限値に達していないかを確認し、それぞれに達している場合においてはそれ以上周波数の値を減らす、あるいは増やすことをしないようにしている点である。
【0114】
上記の通り、本実施の形態では入力電圧Vinの値を実際の値を読み込むのではなくて、予め定数として設定した値を用いて駆動周波数の算出を行う構成としている。ここで定数として設定する入力電圧Vinの値は、電源装置が通常使用される電圧範囲のうちで、電圧値が最も高い場合を想定した値とされる。
【0115】
同じ出力電圧、出力電流を想定した場合、入力電圧が高い程、電流連続モード動作とするために必要な駆動周波数は高くなる傾向があるので、入力電圧Vinの値として予め想定される入力電圧のうちで最も高い場合の値を用いるようにしておけば、それに基づき求められた周波数fで駆動した場合、必ず連続モードでの動作となる。
【0116】
これにより、本実施の形態においては、駆動周波数fを算出する度毎にA/D変換値として読み込む値は出力電圧Voutの一つのみで良くなり、マイコンにおける読み込み、演算の各処理が簡単となり、より安価なマイコンの使用が出来るなどの利点がある。
【0117】
また、駆動周波数算出の都度、変化するパラメータが出力電圧Voutのみであるため、ステップ#9で行っている演算を簡略化し、より処理を軽くすることも可能となる。例えば、予め近似的にマイコンにテーブルデータとして出力電圧Voutと(f/Io*)の関係を記憶させておいて、毎回の処理は、A/D変換値の取得により得られた出力電圧Voutの値に対応する(f/Io*)の値をそのテーブルデータから読み出すようにし、その読み出した値にIo*の値を乗ずる計算をすることによって、駆動周波数fの値を得るなどである。このようにすることで、計算が簡略化されるので、マイコンの負荷はより軽減可能となる。
【0118】
次に、ステップ#13及びステップ#14を追加し、現状の駆動周波数fが予め設定された駆動周波数の下限及び上限値に達していないかを確認し、それぞれに達している場合においてはそれ以上周波数の値を減らす、あるいは増やすことをしないようにしている点について説明する。
【0119】
ステップ#13では、現状の駆動周波数が予め設定された駆動周波数の下限値以下かどうかの判定を行い、そうでない場合はステップ#11へ移行し、駆動周波数fの値を所定値分減らし、下限値以下である場合には、ステップ#11をパスすることによって、それ以上駆動周波数fの値を低減しないように処理がなされる。
【0120】
ステップ#14では、現状の駆動周波数が予め設定された駆動周波数の上限値以上かどうかの判定を行い、そうでない場合はステップ#12へ移行し、駆動周波数fの値を所定値分増やし、上限値以上である場合には、ステップ#12をパスすることによって、それ以上駆動周波数fの値を増加させないように処理がなされる。
【0121】
例えば、ある負荷を接続したときに、図13の(a)に示す波形で動作したとする。さらに、駆動周波数は予め設定された周波数の下限値にほぼ達していたとする。このとき、出力電流の目標値を増やして動作させた場合を考えると、周波数の下限が設けられていることで、これ以上周波数が低下することはなくなり、目標とする出力電流を出力するために波形は(b)のようになる。つまり、(a)に対して周波数はほぼ同じままで、電流のべース分が増加し、負荷へ対応可能となる。
【0122】
ちなみに、(b)に破線で描いたものは周波数に制限を設けなかった場合の波形である。このように、連続モード動作において周波数に制限を設けた場合でも、負荷に応じた出力動作を取ることは可能である。
【0123】
本実施の形態では、スイッチング素子Q1を駆動する周波数の値を、予め設定した周波数の下限値、および上限値により所定の範囲とすることが出来るようになる、すなわち駆動周波数に制限を設けることが出来るようになるので、より広い特性範囲の負荷に対応させることが可能な電源装置を提供することが可能となる。このことは全ての実施の形態について適用可能である。
【0124】
また、周波数があまり変化し過ぎると、例えばノイズフィルタの設計が難しくなる(周波数が低下するとフィルタが大型化する)などの問題がある場合には、本実施の形態を用いることで問題の解決を図ることが可能となる。
【0125】
(実施の形態7)
図14に、本発明の第7の実施の形態のマイコン動作説明図を示す。本実施の形態は、先の実施の形態の駆動周波数設定のフローに代えて、図14に示すフローを用いて、図11に示す構成の回路を動作させるようにしたものである。本フローにより回路を動作させた場合、回路動作の開始の後、所定時間が経過した時点で駆動周波数の決定作業は一回のみなされ、その後は回路動作の停止に至るまでの間、決められた周波数で回路が駆動される。
【0126】
図14のフローを追いながら、この動作の詳細に関して以下に述べる。本実施の形態においては、新たにフラグFSを設けている。フラグFSの状態によって、駆動周波数の決定をすべき状態かどうかを判定し、その結果に応じて回路動作開始の後、一回のみ周波数の決定作業がなされるようにしている。
【0127】
具体的には、以下の通りである。ステップ#4の初期値設定において、フラグFSはクリアされる。その後、ステップ#15でフラグFSの状態を確認し、フラグFSがクリアのときにはステップ#16へ移行する。ステップ#16では、ステップ#7での基準発振信号の出力許可後、予め設定した所定時間が経過したかどうかを判定し、所定時間が経過してない場合にはステップ#5へ戻し、経過時間の確認作業を継続して行い、所定時間が経過した後にはステップ#8へ移行させる。
【0128】
ステップ#8では、出力電圧検出信号VoutのA/D変換値を取得し、ステップ#9で周波数fの決定がなされる。その後、ステップ#17で決められた周波数fを駆動周波数に設定し、続いてステップ#18ではフラグFSがセットされ、ステップ#5に戻される。その後は回路動作が行われている間は、フラグFSはセットされた状態であるので、ステップ#15で判定結果は常にNOとなり、これによりステップ#16以降には移行しないようにしている。
【0129】
ステップ#5で回路が動作可能状態ではないと判定された場合は、ステップ#6に移行し基準発振信号の出力が停止されるが、それに引き続いてステップ#19でフラグFSをクリアすることにより、再度ステップ#5で回路動作可能と判断されて、動作を開始した際には、上述したのと同じように所定時間経過後に1回のみ周波数の決定が行われるようにしている。
【0130】
これにより、本実施の形態においては、駆動周波数fの決定は回路動作開始後1回のみなされるだけであるため、周期的にマイコンで駆動周波数f決定のための作業をしなくてよくなり、マイコンの負担軽減に繋がるため、より安価なマイコンの使用が出来るなどの利点がある。また駆動周波数を決定するタイミングを、動作開始後、所定時間経過後としていることにより、出力が安定となった後に間違いなく周波数を決定することを可能としている。
【0131】
また第3の実施の形態以降今まで述べてきた各実施の形態では、少なくとも出力電圧検出信号VoutのA/D変換値を取得して駆動周波数fを決定していたが、想定される負荷の範囲がある程度限られる場合などには、その負荷の範囲のなかで最も周波数が高くなる場合の出力電圧検出信号Voutの値を用いて、そのときに必要となる周波数の値を求め、予めその値を設定しておくことにより、期待する効果を得るように構成することも可能である。そのようにすることで、より簡単な制御回路で本発明の効果を得ることが可能となる。
【0132】
例えば、トランスT1の1次側インダクタンス値L1が3.0μH、1次−2次間の巻数比Nが5であって、入力電圧Vinが10〜16Vの範囲で変化する場合に、接続される種々の負荷の電圧(すなわち出力電圧検出信号)が23〜46Vの範囲のいずれかのものであり、負荷の電流(すなわち出力目標電流値Io*)が0.75〜1.0Aの範囲のいずれかで設定する場合であれば、前述の計算式より、周波数fとしては少なくとも174kHzより大きな値を予め設定しておけばよいことが分る。
【0133】
また、想定される負荷の各々の出力電流の値が同じである場合には、出力電流の目標値Io*をマイコンに予め書き込むなどして記億させておいてもよい。このことは全ての実施の形態について適用可能であり、そのようにすることにより、より簡単な制御回路で期待する本発明の効果を得ることが可能となる。
【0134】
なお、各実施の形態は例として示したものであり、例えばマイコンを用いて実現している実施の形態についても、個別の電子回路で同様の動作が得られるように構成してもよい。また、DC−DC変換回路や制御回路の構成は、各実施の形態に例示した構成に限るものではなく、例えば、誤差演算部6は比例積分回路を例示したが、他の比例回路などでもよい。また、マイコンの動作フローに関しても図示した限りではなく、同様の動作が得られる構成であればよい。
【0135】
(実施の形態8)
図15に本発明の第8の実施の形態の灯具の断面図を示す。図示した灯具は、車両用のヘッドランプ90の構成の概要を示したものである。前述の構成を有し、金属の筐体でケーシングされた電源装置95が、ヘッドランプ筐体の下面部に取り付け搭載されている。複数個のLED素子により構成されたLEDモジュール20が放熱板92に取り付けられており、レンズや反射板で構成される光学ユニット91とともに、光源ユニットを構成している。光源ユニットは、ヘッドランプ90の筐体に光源ユニット固定用治具93で固定されている。電源装置95の入力の電源線96はバッテリ(図示せず)へ、また通信線97は車両側のユニット(図示せず)へ接続されている。通信線97は負荷に異常が発生した場合に車両側へ異常を通知するために設けられているものであるが、例えば本通信線97を用いて出力電流の目標値を電源装置95へ外部から送信するように構成してもよい(例えば通信をLINで行うなど)。電源装置95の出力線94は、LEDモジュール20へ接続されている。
【0136】
本発明によれば、種々設定される半導体光源負荷に対応が可能で、効率が良く、負荷へ供給される電流のリップルが少ない電源装置を備えてなる灯具の提供が可能となる。これにより、種々設定される負荷に応じて個別に電源装置を準備する必要がなく、よって灯具の設計に応じて多様な負荷を設定可能とでき、灯具としての機能の向上、デザイン性の向上などが可能となるとともに、種々の負荷に同じ電源装置での対応が可能であるため、結果的に安価な灯具の提供が可能となる。また効率が良く省エネルギーの灯具の提供、更には電流リップルを低く抑えることが出来るため、ノイズ性能の良い灯具の提供が可能となる。
【0137】
(実施の形態9)
図16に本発明の実施の形態9の車両の斜視図を示す。前述の灯具を車両100のヘッドランプ101として用いた例である。前述の灯具を搭載することによって、より安全性やデザイン性、環境性能や快適性に優れた車両の提供が可能となる。
【0138】
またここでは、本発明の電源装置を車両100のヘッドランプ101に用いた場合を示したが、その他の方向指示器102や尾灯103などへの適用に関しても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0139】
T1 トランス
Q1 スイッチング素子
1 DC−DC変換回路
2 負荷
3 出力電流検出部
4 信号増幅部
5 出力電流目標値設定部
6 誤差演算部
7 PWM信号発生部
8 オンタイミング規定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタンス要素とスイッチング素子を備え、前記スイッチング素子のオン時に、入力電源より前記インダクタンス要素にエネルギーを蓄積し、前記スイッチング素子のオフ時に、前記インダクタンス要素に蓄積されたエネルギーを負荷側へ放出することにより電圧変換を行うDC−DC変換回路と、DC−DC変換回路の出力電流が目標値と同じとなるように前記スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御回路とを有し、半導体光源負荷に電力を供給し点灯する電源装置において、
少なくとも前記制御回路に、前記インダクタンス要素に流れる電流が連続モード動作となるように、前記スイッチング素子をオンさせるタイミングを規定する手段を設け、
前記スイッチング素子をオンさせるタイミングを規定する手段は、前記スイッチング素子を駆動するための周波数を決めることでなされることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
少なくとも前記DC−DC変換回路の出力電圧の値に基づいて、前記スイッチング素子を駆動するための周波数を決めることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記DC−DC変換回路は、フライバックコンバータで構成されており、入力電圧をVi、出力電圧をVo、出力電流目標値をIoとし、前記フライバックコンバータを構成するトランスの1次−2次の巻数比をN、1次側のインダクタンス値をL1、前記スイッチング素子を駆動する周波数をfとしたとき、前記制御回路は、f>1/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2 なる条件を満たすように前記スイッチング素子を駆動するための周波数を決めるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、係数をkとした場合、f≧k/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2 なる条件を満たすように前記スイッチング素子を駆動するための周波数を決定し、係数kの値は少なくとも1.05以上の値であることを特徴とする請求項3記載の電源装置。
【請求項5】
前記DC−DC変換回路の入力電源の通常使用される電圧範囲のうちで、電圧値が最も高い場合を想定して、前記スイッチング素子を駆動する周波数を決めるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
前記スイッチング素子を駆動する周波数の値は、少なくとも第1の所定周波数以上であり、かつ、第2の所定周波数以下であるよう制御するようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
前記スイッチング素子を駆動するための周波数は、回路動作の開始時に設定した値を、回路動作が停止となるまでの間、用いるようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電源装置。
【請求項8】
前記スイッチング素子を駆動するための周波数は、電源装置に予め設定とした値を用いるようにしたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電源装置。
【請求項9】
前記出力電流の目標値は、電源装置の外部より設定できるように構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電源装置。
【請求項10】
前記出力電流の目標値は、電源装置に予め設定した値を用いるようにしたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電源装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の電源装置を搭載したことを特徴とする灯具。
【請求項12】
請求項11記載の灯具を搭載したことを特徴とする車両。
【請求項1】
インダクタンス要素とスイッチング素子を備え、前記スイッチング素子のオン時に、入力電源より前記インダクタンス要素にエネルギーを蓄積し、前記スイッチング素子のオフ時に、前記インダクタンス要素に蓄積されたエネルギーを負荷側へ放出することにより電圧変換を行うDC−DC変換回路と、DC−DC変換回路の出力電流が目標値と同じとなるように前記スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御回路とを有し、半導体光源負荷に電力を供給し点灯する電源装置において、
少なくとも前記制御回路に、前記インダクタンス要素に流れる電流が連続モード動作となるように、前記スイッチング素子をオンさせるタイミングを規定する手段を設け、
前記スイッチング素子をオンさせるタイミングを規定する手段は、前記スイッチング素子を駆動するための周波数を決めることでなされることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
少なくとも前記DC−DC変換回路の出力電圧の値に基づいて、前記スイッチング素子を駆動するための周波数を決めることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記DC−DC変換回路は、フライバックコンバータで構成されており、入力電圧をVi、出力電圧をVo、出力電流目標値をIoとし、前記フライバックコンバータを構成するトランスの1次−2次の巻数比をN、1次側のインダクタンス値をL1、前記スイッチング素子を駆動する周波数をfとしたとき、前記制御回路は、f>1/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2 なる条件を満たすように前記スイッチング素子を駆動するための周波数を決めるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、係数をkとした場合、f≧k/(2・L1・Io・Vo)・(Vi・Vo/(N・Vi+Vo))2 なる条件を満たすように前記スイッチング素子を駆動するための周波数を決定し、係数kの値は少なくとも1.05以上の値であることを特徴とする請求項3記載の電源装置。
【請求項5】
前記DC−DC変換回路の入力電源の通常使用される電圧範囲のうちで、電圧値が最も高い場合を想定して、前記スイッチング素子を駆動する周波数を決めるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
前記スイッチング素子を駆動する周波数の値は、少なくとも第1の所定周波数以上であり、かつ、第2の所定周波数以下であるよう制御するようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
前記スイッチング素子を駆動するための周波数は、回路動作の開始時に設定した値を、回路動作が停止となるまでの間、用いるようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電源装置。
【請求項8】
前記スイッチング素子を駆動するための周波数は、電源装置に予め設定とした値を用いるようにしたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電源装置。
【請求項9】
前記出力電流の目標値は、電源装置の外部より設定できるように構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電源装置。
【請求項10】
前記出力電流の目標値は、電源装置に予め設定した値を用いるようにしたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電源装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の電源装置を搭載したことを特徴とする灯具。
【請求項12】
請求項11記載の灯具を搭載したことを特徴とする車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−16855(P2013−16855A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−210565(P2012−210565)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【分割の表示】特願2008−136642(P2008−136642)の分割
【原出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【分割の表示】特願2008−136642(P2008−136642)の分割
【原出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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