説明

電源装置

【課題】電源装置において、直流出力電圧過昇による平滑コンデンサの保護のためにリレーを用いており、それによりコストアップを招くとともに電子制御装置の配置スペースを圧迫していた。
【解決手段】直流出力電圧過昇保護用のリレーを削除し、代わりに過電圧保護検知時に交流電圧用リレーの接点19をOFFすることにより直流出力電圧の上昇を抑える。これにより、従来の保護機能を維持しながらコストの削減と電子制御装置の配置スペースの有効化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電源装置には簡単な構成で高効率を維持しながら高調波の抑制を可能とし、かつ外乱や構成部品のバラツキによる平滑コンデンサの破壊を防止する出力電圧可変電源装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図2は、特許文献1に記載された従来の電源装置を示すものである。図2に示すように、
交流電源1と、交流電源1からの交流を全波整流する4個のダイオード2〜5で形成されたブリッジ整流回路6と、前記ブリッジ整流回路6の直流出力端に接続された平滑コンデンサ7と、交流電源1と前記ブリッジ整流回路の交流入力端6aとの間に接続されたリアクタ8と、交流入力端6bと直流出力端6dとの間に双方向スイッチ9を介して接続されたコンデンサ10と、ゼロクロス検出手段12と、双方向スイッチ駆動信号生成手段13と、双方向スイッチ駆動手段14と、双方向スイッチ9と直列に接続されたリレー16と、過電圧保護検出手段17から構成されている。
【0004】
前記電源装置では直流出力電圧が異常に高く、かつ双方向スイッチ9の異常により双方向スイッチ9がOFFできない場合に直流出力電圧が更に上昇するため、過電圧保護手段18の設定レベルを超えた場合、双方向スイッチ9と直列に接続されたリレーの接点をOFFし、昇圧を中止することにより、平滑コンデンサ7の破壊を防止するものであった。
【特許文献1】特開2003―11423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、平滑コンデンサの保護のためにのみリレーの接点を接続する必要があるため、コストアップを招き、また電子制御装置の限られた配置スペースを制限してしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、保護目的のリレーを用いることなく直流出力電圧の上昇を抑えることにより、従来の保護機能を維持しながらもコストの削減と電子制御装置の配置スペースの有効化を可能とした電源装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電源装置は、前記従来の構成にあるリレー16を削減しながらも直流出力電圧が過電圧保護レベルOV2を越えた場合に直流出力電圧の上昇を抑えることを可能としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電源装置は、保護のためのリレーを用いることなく直流出力電圧の上昇を抑えることにより、従来の保護機能を維持しながらコストの削減と電子制御装置の配置スペースの有効化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、交流電源と、前記交流電源からの交流を全波整流する4個のダイオード
で形成されたブリッジ整流回路と、前記ブリッジ整流回路の直流出力端に接続された平滑コンデンサとを有する電源装置であって、前記交流電源と前記ブリッジ整流回路の交流入力端に接続されたリレーの接点と、前記交流電源と前記ブリッジ整流回路の交流入力端との間に接続されたリアクタと、前記ブリッジ整流回路の交流入力端と直流出力端との間に双方向スイッチを介して接続されたコンデンサと、前記交流電源の電圧のゼロ点を検出するゼロクロス検出手段と、前記ゼロクロス検出手段の出力に基づ前記双方向スイッチの駆動信号を生成する双方向スイッチ駆動信号生成手段と、前記双方向スイッチ駆動信号生成手段の信号に基づき前記双方向スイッチを駆動する双方向スイッチ駆動手段と、前記平滑コンデンサの両端電圧である直流出力電圧を検出する直流出力電圧検出手段と、前記直流出力電圧が過電圧保護レベルを越えたとき、前記平滑コンデンサへ流れ込む電流を遮断する手段として、前記交流電源と前記ブリッジ整流回路の交流入力端に接続されたリレーの接点をOFFすることにより、従来用いていた保護のためのリレーを用いることなく直流出力電圧の上昇を抑えることが可能となり、従来の保護機能を維持しながらコストの削減と電子制御装置の配置スペースの有効化を実現することができる。
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
(実施の形態1)
図1において、1は交流電源、6は2〜5の4つのダイオードによって形成されたブリッジ整流回路、7は前記ブリッジ整流回路の直流出力端に接続された平滑コンデンサ、8は前記交流電源と前記ブリッジ整流回路の交流入力端に接続されたリアクタ、9は双方向スイッチ、10はコンデンサ、11は負荷、12は前記交流電源の電圧のゼロ点を検出するゼロクロス検出手段、13は前記ゼロクロス検出手段の出力手段の出力に基づき前記双方向スイッチの駆動信号を生成する双方向スイッチ駆動信号生成手段、14は前記双方向スイッチ駆動信号生成手段の信号に基づき前記双方向スイッチを駆動する双方向スイッチ駆動手段、15は前記平滑コンデンサの両端電圧である直流出力電圧の検出手段、16はリレーの接点、17は前記直流出力電圧が出力電圧過昇防止レベルを越えたかを検出する過電圧保護検出手段、18は交流電圧間リレーの接点であり、これらが有機的に関連して電源回路を構成している。
【0012】
以上のように構成された電源装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0013】
直流出力電圧が上昇し平滑コンデンサ7の耐電圧OV1を越えると、双方向スイッチ9をOFFし、さらに直流出力電圧が上昇しOV2(OV2>OV1)になると保護用リレーをOFFする。直流出力電圧が異常に高いとき、過電圧保護検出手段17により双方向スイッチ9をOFFしようとするが、双方向スイッチ9の異常により双方向スイッチ9がOFFできないと、直流出力電圧はさらに上昇する。このとき、直流出力電圧検出手段15の出力が過電圧保護手段18の動作レベルOV2を越えると、交流入力端のリレーの接点をOFFし、平滑コンデンサ7に電流が流れ込むのを中止し、直流出力電圧の過昇を抑える。
【0014】
以上のように、本実施の形態においては直流出力電圧が過電圧保護レベルOV2を越えたとき、前記交流電源1と前記ブリッジ整流回路6の交流入力端に接続されたリレー18の接点をOFFすることことにより、前記平滑コンデンサ7へ流れ込む電流が遮断されるため、直流出力電圧の異常過昇を抑えることができ、平滑コンデンサ7の破壊を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上のように、本発明にかかる電源装置は、より簡素化された回路で直流出力電圧の上
昇を抑えることが可能となるので、交流電源のピーク値以上の直流出力電圧へ変換する電源回路全てに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における電源回路の構成図
【図2】従来の電源回路の構成図
【符号の説明】
【0017】
1 交流電源
2〜5 ダイオード
6 ブリッジ整流回路
7 平滑コンデンサ
8 リアクタ
9 双方向スイッチ
10 コンデンサ
11 負荷
12 ゼロクロス検出手段
13 双方向スイッチ駆動信号生成手段
14 双方向スイッチ駆動手段
15 直流出力電圧検出手段
16 リレーの接点
17 過電圧保護検出手段OV1
18 過電圧保護検出手段OV2
19 交流入力端のリレーの接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と、前記交流電源からの交流を全波整流する4個のダイオードで形成されたブリッジ整流回路と、前記ブリッジ整流回路の直流出力端に接続された平滑コンデンサとを有する電源装置であって、前記交流電源と前記ブリッジ整流回路の交流入力端に接続されたリレーの接点と、前記交流電源と前記ブリッジ整流回路の交流入力端との間に接続されたリアクタと、前記ブリッジ整流回路の交流入力端と直流出力端との間に双方向スイッチを介して接続されたコンデンサと、前記交流電源の電圧のゼロ点を検出するゼロクロス検出手段と、前記ゼロクロス検出手段の出力に基づ前記双方向スイッチの駆動信号を生成する双方向スイッチ駆動信号生成手段と、前記双方向スイッチ駆動信号生成手段の信号に基づき前記双方向スイッチを駆動する双方向スイッチ駆動手段と、前記平滑コンデンサの両端電圧である直流出力電圧を検出する直流出力電圧検出手段と、前記直流出力電圧が過電圧保護レベルを越えるとOFFして前記平滑コンデンサへ流れ込む電流を遮断する遮断手段として前記交流電源と前記ブリッジ整流回路の交流入力端に接続されたリレーを備えたことを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−217675(P2006−217675A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24746(P2005−24746)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】