説明

電装箱

【課題】 メンテナンス等に便利な電装箱を提供する。
【解決手段】 電装箱50は、背面板52と左右の側板53とを有する箱本体51と、正面板61、上面板62及び下面板63とを有する蓋体60とから構成される。蓋体60の正面板61の裏側にリレー85等の電気部品が取り付けられるとともに、下面板63にコネクタが取り付けられ、すなわち全ての電装品が蓋体60側に集約して装着される。蓋体60が箱本体51の前面側に被せられ、上面板62と下面板63とが、箱本体51の上下のフランジ54に重ねられてねじ止めされることで組み付けられる。電装箱50は冷却器室21の前面21Aに取り付けられるが、上面板62の突出縁側の掛止溝97が、同前面21Aの上部に設けられた掛止片46に掛止され、下面板63の突出縁に下向きに形成された取付板98が、同前面21Aの下部に当てられてねじ止めされて固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電装品を収納して機器本体に装着される電装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば横型(テーブル型)冷蔵庫に装着される電装箱として、特許文献1に記載されたものが知られている。これは、前面と上面とが開放された箱状本体と、この箱状本体の開口面を閉じる蓋体とを備えて、これらが着脱可能に組み付けられ、各種電気部品やコネクタ等の電装品が内部に収容されるようになっている。より具体的には、電装品のうちの制御ボードやブレーカ等は、電装箱の前面からの操作に対応できるように蓋体側に装着され、その他のリレー、トランス等の電気部品やコネクタは、箱状本体側に装着されて、適宜に配線により接続されていた。
【特許文献1】特開平7−260341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方この種の電装箱において、メンテナンス等を行う場合は箱状本体と蓋体とを開けるのであるが、それを許容するためには、両者間にわたされた配線を余分に長く取っておく必要がある。そのため、組み付け時には電装箱内が配線束で埋め尽くされた状態となり、熱が籠もりやすかった。また、箱状本体と蓋体とが完全に分離できるわけではないので、メンテナンスの際に不便さを覚える場合もあり、さらなる改良が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、各種の電装品を収納して機器本体の側面に装着される電装箱であって、少なくとも背面板を有する本体と、正面板と前記本体における開口された周面を覆う周面板とを有する蓋体とが着脱可能に結合されて形成され、前記蓋体側に前記電装品が集約して装着されるとともに、前記蓋体における前記周面板の開口縁側に、前記機器本体の側面に取り付けられる取付部が形成されている構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記機器本体の側面には、この側面を構成する金属板を切り起こすことで掛止部が一体に形成されているとともに、前記蓋体の上面板と下面板の少なくともいずれか一方の開口縁に、前記掛止部が差し込まれる掛止孔が形成されているところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記蓋体の正面板には、前記電装品を取り付けるための電装品取付部が、切り起こしにより裏側に突出して形成され、前記正面板の表面には、オペレーションラベルが貼着されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記電装品取付部が電装品に対して一対備えられ、一方の電装品取付部には、電装品に設けられた一方の被取付部が差し込まれる差込溝が形成されているとともに、他方の電装品取付部には、前記電装品の他方の被取付部が当てられてねじ止め可能となっているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
電装品が蓋体側に集約して装着されているから、配線も蓋体側のみに施せば足りる。言い換えると、蓋体と本体との間にわたる配線が不要で、もちろん両者が分離されることを許容する余分の長さも不要であるから、配線を収納しつつ両者を組み付ける作業が簡単となり、コスト低減も図られる。また組み付けられた後は、内部が配線束で埋められることがなくなり、熱の籠もりが緩和される。もって、電装品の耐用寿命を延ばすことができる。
全電装品が蓋体側に装着されており、しかも本体とは完全に分離できるから、メンテナンスは、蓋体側のみで、かつ電装品の装着位置が開放された状態で行うことができ、したがってメンテナンス性を大幅に向上させることができる。
電装箱を機器本体の側面に取り付けるに当たり、重量が大きくなる蓋体側を取り付けるようにしたから、電装箱を安定して取り付けることができる。しかも、蓋体に一体的に設けた取付部を直接に取り付けるようにしたから、別パーツの取付部材を介する場合と比べると、構造も簡単でかつ取付強度も高めることができる。
【0009】
<請求項2の発明>
電装箱の蓋体を機器本体の側面に取り付ける当たり、蓋体の上部側と下部側の少なくいずれか一方では、機器本体の側面に設けられた掛止部に、上面板、下面板に設けられた掛止孔を差し込むことで取り付けられる。取り付け取り外しの作業を簡単に行うことができる。特に、機器本体の側面の掛止部は、その側面を構成する金属板を切り起こして一体に形成されているから、別ピースの掛止部材を設ける場合と比べて構造が簡単となり、また掛止強度も高められる。
【0010】
<請求項3の発明>
蓋体における正面板の裏面に電装品を取り付けるに当たり、その電装品取付部を切り起こしにより裏側に突出して形成したから、別ピースの取付部材を溶接等で設ける場合と比べて構造が簡単となる。また、電装品取付部の突出量によっては、この電装品取付部に電装品をねじで裏側から固定する場合に、ねじが正面板の表面側に突出することを防止できる。しかも正面板の表面にオペレーションラベルが貼られることで、電装品取付部を切り起こしたことに伴って形成される孔が塞がれ、見栄えが良くなるとともに防水上でも優れたものとなる。
【0011】
<請求項4の発明>
電装品取付部が一対備えられ、電装品は、一方の被取付部を一方の電装品取付部の差込溝に差し込み、他方の被取付部を他方の電装品取付部にねじで止めることによって取り付けられる。2箇所の被取付部がある場合に、ねじ止めは1箇所だけで済むから、電装品自体の取り付け取り外しを簡単にかつ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図12によって説明する。この実施形態では、横型(テーブル型)の冷凍冷蔵庫を例示している。
図1ないし図3において、符号10は冷凍冷蔵庫の本体であって、前面に開口した横長の断熱箱体により構成されている。この断熱箱体は、金属板製の外箱11内に、合成樹脂製の内箱12を嵌めて、その間に発泡樹脂等の断熱材13が充填された構造である。
本体10は、底面の四隅に設けられた脚14によって支持されているとともに、その内部は、後付けされる断熱性の仕切壁15によって左右に仕切られ、左の相対的に狭い側が冷凍室16、右の広い側が冷蔵室17となっている。冷凍室16の前面の開口には揺動式の断熱扉18が、冷蔵室17の前面の開口には観音開き式の断熱扉19がそれぞれ装着されている。
【0013】
本体10の正面から見た左側部には、機械室20が設けられている。機械室20は前面が開口した箱形に形成されている。機械室20内の上部における奥行き方向のほぼ中央の位置には、冷凍室16と連通した断熱性の冷却器室21が張り出し形成されているとともに、その下方には、冷却ユニット30が出し入れ可能に収納される収納スペース22が設けられている。冷却器室21には、冷却器23と冷却ファン24とが装備されている。
また仕切壁15の冷蔵室17側の面には、ダクト26を張ることで別の冷却器室27が形成されている。この冷却器室27にも、冷却器23Aと冷却ファン24Aとが装備されている。
【0014】
冷却ユニット30は、圧縮機31、ファン付きの凝縮器32等を備え、基台33上に搭載されてユニット化されている。一方、機械室20の収納スペース22の底面には底板35が張られ、冷却器室21の側面及び背面から垂下状に設けられた支持フレーム36で支持されている。冷却ユニット30の基台33が、収納スペース22の底板35上に出し入れ可能に載置されて収納されている。
この冷却ユニット30を共通とし、上記した各冷却器23,23Aとの間で個別に冷凍回路が構成され、それぞれ電磁開閉弁が介設されている。また、各冷却器23,23Aには除霜ヒータ25,25Aが装着されている。
【0015】
機械室20の前面の開口には、前面パネル40が、正面から見た右側縁に設けたヒンジ41を介して揺動開閉可能に装着されている。前面パネル40の下部側には、凝縮器32等を冷却するべく外気の吸気口42が、また上部における正面から見た左側縁側には、冷却に供したのちの暖排気の排気口43が開口されている。
さらに、前面パネル40における上部の右側領域には窓孔44が開口されており、以下に詳述する電装箱50の正面が臨むことができるようになっている。
【0016】
上記した冷却器室21の前面21Aには、電装箱50が装着されている。
この電装箱50は、図4に示すように、箱本体51と、蓋体60とから構成され、箱本体51に対して蓋体60が着脱可能に組み付けられるようになっている。箱本体51は、亜鉛鋼板等の金属板を素材として形成され、縦長の背面板52と左右の側板53とを有し、言い換えると、正面と上下の面が開口している。背面板52の上下両縁と、側板53の下縁における開放端側の所定域を除いた部分には、比較的幅広のフランジ54が内側に直角曲げされて形成されている。
背面板52の上下両縁に形成されたフランジ54には、幅方向の中央部の裏面側において、図7に示すようにシート55が溶接等に固着されており、フランジ54からシート55にわたってねじ孔56が切られている。
【0017】
蓋体60は、同じく亜鉛鋼板等の金属板を素材として形成されており、上記した箱本体51の開口面を覆うようにして、縦長の正面板61、上面板62及び下面板63を有している。上面板62と下面板63とは、箱本体51の側板53の奥行きよりも所定寸法大きい奥行寸法を有している。上面板62、正面板61から下面板63の突出縁よりも少し入った位置までにわたる左右の側縁には、幅狭のフランジ64が内側に直角曲げされて形成されている。上面板62の突出縁にも、幅狭のフランジ65が下向きに形成されている。
【0018】
蓋体60は、上面板62、正面板61から下面板63にわたる左右のフランジ64を、箱本体51の左右の側板53における上縁、前縁及び下縁の外側に嵌めつつ被せられる。このとき、上面板62と下面板63とは、図9に示すように、その突出縁を、箱本体51の背面板52から背面側に所定寸法突出させた状態で、背面板52の上下のフランジ54の外側に重ねられる。そして、蓋体60の上面板62と下面板63との突出縁側には、箱本体51のフランジ54に形成されたねじ孔56と整合する位置に、ねじ67の挿通孔68が開口されている。
【0019】
蓋体60の正面板61の裏面側には、電装品である各種電気部品が取り付けられるようになっている。詳細には図6に示すように、正面板61の裏面における上部左側の大部分の領域には、制御ボード80が取り付けられるようになっている。制御ボード80は、例えばプリント配線基板上にマイクロコンピュータや各種電子部品が実装されたものである。この制御ボード80の下方位置にはブレーカ81が取り付けられ、さらにその下方位置には、大型のリレー82とトランス83とがほぼ左右に並んで取り付けられている。また制御ボード80の右側の領域には、トランス83までの間に、図示4個のリレー85が縦に並んで取り付けられている。
【0020】
制御ボード80の取付領域の四隅には、鈎形をなす取付座70Aが、裏面側に所定寸法浮き上がった状態で切り起こしにより形成されており、各取付座70Aにはバーリング加工が施されてねじ孔71が切られている。取付座70Aの浮き上がり量は、制御ボード80がねじ72で止められた場合に、ねじ72の先端が正面板61の表面側に突出しない程度である。すなわち、制御ボード80は四隅が取付座70Aに当てられ、制御ボード80の挿通孔に通したねじ72を取付座70Aのねじ孔71に螺合して締め付けることにより固定されている。
【0021】
なお、制御ボード80の取付領域には、長方形の窓孔73が2個左右に並んで形成されているとともに、その上側には円形の窓孔74が4個、下側に同窓孔74が2個形成されている。一方、制御ボード80の表面側には、冷凍室16と冷蔵室17の庫内設定温度を表示する温度表示部と、庫内温度を設定するための操作ボタンと、除霜運転や強制冷却を行う操作ボタンが装備されていて、温度表示部が長方形の窓孔73に、操作ボタンが円形の窓孔74にそれぞれ臨むようになっている。
【0022】
リレー85の取付構造は、以下のようである。リレー85には、図5に示すように、長さ方向の両端面の底部位置から、先細りでかつ二股状となった一対の取付脚85Aが反対側を向いて突設されている。
各リレー85の取付位置には、取付座70Bと差込板75Bとが対をなして設けられている。取付座70Bは、上記したと同様に、切り起こしによって裏面側に所定寸法浮き上がって形成され、バーリング加工が施されてねじ孔71が切られている。取付座70Bには、リレー85の一方の取付脚85Aが当てられるようになっていて、取付座70Bの浮き上がり量は、取付脚85Aがねじ72で止められた場合に、ねじ72の先端が正面板61の表面側に突出しない程度に設定されている。
一方、差込板75Bは、同じく切り起こしにより裏面側に直角曲げされて形成されており、この差込板75Bには、上記した取付座70Bの上面と対応する高さ位置に、リレー85のもう一方の取付脚85Aが差し込まれる差込溝76が切られている。
なお、一部の取付座70Bでは、ねじ孔71が2個切られて、隣り合うリレー85に兼用されている。
【0023】
すなわちリレー85は、図8に示すように、一方の取付脚85Aを差込板75Bの差込溝76に差し込んだのち、他方の取付脚85Aを取付座70Bに載せ、取付脚85Aの溝85Bに通したねじ72を取付座70Bのねじ孔71に螺合して締め付けることで固定されている。
また、大型のリレー82についても、同様に一対の取付座70Cと差込板75Cとが切り起こしによって形成され、一方の取付脚82Aの片脚が差込板75Cの差込溝76に差し込まれるとともに、他方の取付脚82Aが取付座70Cに当てられてねじ72を締め込むことで固定されている。
【0024】
トランス83については、上記の取付座70Cが兼用されるとともに、これと対をなす取付座70Dが別に形成されている。トランス83は、両端に設けられた取付脚83Aが各取付座70C,70Dに当てられ、それぞれねじ72で止められて固定されている。
ブレーカ81は、図7に示すように、長さ方向の両端面の底部側に、ねじ孔81Bが切られた取付脚81Aが一対突設されているとともに、表面側に、操作ボタンを備えた操作部81Cが段差状に突設された形状であり、表面側を覆う透明な樹脂カバー81Dが備えられている。一方、ブレーカ81の取付領域には、長方形をなす窓孔77が形成され、その左右両側縁に、ねじ72の挿通溝78が切り欠き形成されている。
そしてブレーカ81は、表面側に樹脂カバー81Dが被せられて、操作部81Cを窓孔77から突出させた状態で正面板61の裏面に当てられ、表面側から挿通溝78にねじ72を通し、取付脚81Aのねじ孔81Bに螺合して締め付けることで固定されている。このとき、ブレーカ81の段差部81Eと窓孔77の裏側の口縁との間で樹脂カバー81Dが挟み込まれ、言い換えると樹脂カバー81Dがシール材の機能を果たし、ブレーカ81の装着位置における防水が図られる。
【0025】
蓋体60の正面板61の表面には、樹脂フィルムからなるオペレーションラベル90が全面にわたって貼り付けられている。オペレーションラベル90には、図10に示すように、温度表示部を覆う位置に半透明の透視部91が形成されているとともに、操作ボタンを覆う位置にエンボス92が形成されている。また、ブレーカ81の操作部81Cと、ブレーカ81を止めたねじ72の頭部を嵌めて逃がす開口93が形成されている。
また、蓋体60の下面板63には、複数個のコネクタ取付孔95が開口され、各取付孔95にコネクタ(図示せず)が取り付けられている。
【0026】
電装箱50は、冷却器室21の前面21Aに取り付けられる。そのため、冷却器室21の前面21Aの上部位置には、図10及び図11に示すように、手前側に突出したのち直角に立ち上げられた掛止片46が設けられている。この掛止片46は、冷却器室21の前面21Aを構成する外装板21B(亜鉛鋼板等の金属板製)を切り起こして形成されている。また、同冷却器室21の前面21Aの下部位置には取付孔47が形成され、その裏側にはナット48が溶接により固着されている。
【0027】
電装箱50側では、蓋体60の上面板62における突出縁から所定寸法奥に入った位置に、掛止片46の立ち上がり部46Aが差し込み可能な掛止溝97が形成されている。蓋体60の上面板62の突出縁のフランジ65が、冷却器室21の前面21Aに当たった状態で、掛止片46の立ち上がり部46Aと掛止溝97とが上下方向に整合するようになっている。
一方、蓋体60の下面板63の突出縁からは、取付板98が下向きに直角曲げされて形成され、取付板98の下縁には、ねじ100の挿通溝99が切り欠き形成されている。
【0028】
本実施形態は上記のような構造であって、電装箱50は以下のようにして組み付けられる。
まず、蓋体60の正面板61の裏面に、制御ボード80、ブレーカ81、リレー82,85及びトランス83等の電気部品が既述した要領で取り付けられる。それとともに、下面板63のコネクタ取付孔95にコネクタが取り付けられる。所定の電気部品間が接続線で接続されるとともに、電気部品側から引き出された接続線が所定のコネクタに接続される。
一方、正面板61の表面にオペレーションラベル90が貼り付けられる。オペレーションラベル90は、下部側の開口93からブレーカ81の操作部81Cとブレーカ81を固定したねじ72を逃がしているだけで、他の領域は全て覆い、したがって取付座70や差込板75を切り起こすことに伴って形成された孔等は、すべてオペレーションラベル90で塞がれた状態となる。
【0029】
このように、蓋体60が完成したら、図8に示すように、蓋体60が箱本体51に被せられる。蓋体60は、既述したように、左右のフランジ64を、箱本体51の左右の側板53の端縁に外嵌しつつ被せられる。それに伴い、上面板62と下面板63とが、箱本体51の背面板52の上下のフランジ54の外側に重ねられて、ねじ67の挿通孔68とねじ孔56とが整合されるから、上下両側から挿通孔68にねじ67を通してねじ孔56に螺合し、続いて締め付けて固定することによって、箱本体51に対して蓋体60が結合される。これによって、図9及び図10に示すように、内部に電気部品とコネクタとからなる電装品が収納された電装箱50の組み付けが完了する。
【0030】
この電装箱50が、冷却器室21の前面21Aに取り付けられる。それには、図10に示すように、箱本体51の背面板52を冷却器室21の前面21Aに向けた姿勢として、蓋体60の上面板62の突出縁に形成されたフランジ65と、下面板63の突出縁に形成された取付板98とを、正規の取付位置よりも少し上方において冷却器室21の前面21Aに当て、そののち同前面21Aに沿って下げることによって、掛止片46の立ち上がり部46Aを掛止溝76に下方から差し込む。これにより、図11に示すように、フランジ65の下縁が掛止片46の水平部46Bに引っ掛かって、電装箱50は吊り下げ状態で支持される。このとき、蓋体60の取付板98の挿通溝99が、冷却器室21の前面21Aに形成された取付孔47と整合するから、挿通溝99にねじ100を通して取付孔47の裏のナット48に螺合して締め付けることで固定される。すなわち電装箱50は、蓋体60の上面板62が掛止片46に掛止され、同下面板63側がねじ100で止められることによって、冷却器室21の前面21Aに取り付けられる。
【0031】
一方、図示はしないが、冷却器室21の左側面側には、冷却ファン24,24A、冷却器23,23Aに装備された除霜ヒータ25,25Aから引き出されたリード線や、冷凍室16,冷蔵室17の庫内温度検知する庫内サーミスタ、除霜終了を擬制するべく冷却器23,23Aに装備された除霜サーミスタのリード線等が引き出され、電装箱50の下面に配された所定のコネクタに接続される。また、冷却ユニット30の圧縮機31や、冷凍回路に介設された電磁開閉弁から引き出されたリード線も、所定のコネクタに接続される。なお、コネクタが配された電装箱50の下面の回りには、防水用にシートで覆ってもよい。
【0032】
当該冷凍冷蔵庫は、電装箱50内の制御ボード80に設けられたマイクロコンピュータに格納されたプログラムに基づいて運転される。
冷却運転中では、冷凍室16と冷蔵室17において、それぞれ庫内サーミスタで庫内温度が検知され、庫内温度が個別に設定された設定温度よりも高くなると、対応する冷却器23,23Aに冷媒が供給されるとともに冷却ファン24,24Aが駆動されることで庫内が冷却され、一方庫内温度が設定温度よりも低くなると、冷却器23,23Aへの冷媒の供給が停止するとともに冷却ファン24,24Aが停止することで冷却動作が停止され、その繰り返しによって、各室16,17内がほぼ設定温度に維持される。
【0033】
冷却運転の途中で適宜に除霜運転が行われ、ここでは冷却ユニット30並びに冷却ファン24,24Aの運転が停止されるとともに、除霜ヒータ25,25Aに通電されることで冷却器23,23A等に付着した霜が融かされ、除霜水はドレンパンで受けられたのち庫外に排水される。この間、除霜サーミスタによって冷却器23,23Aの温度が検知され、検知温度が所定以上に達したら着霜が無くなったと擬制されて、除霜ヒータ25,25Aへの通電が停止され、すなわち除霜運転が停止され、所定の水切り時間を経たのち冷却運転が再開される。
【0034】
メンテナンス等に際して電装箱50を外す場合は、以下のようにして行う。まず機械室20の前面パネル40を開き、電装箱50の下面のコネクタに接続されている各種リード線を外す。その後は、上記した取り付け時の手順とは逆に、図11及び図12の状態から、蓋体60の下面板63の取付板98を固定しているねじ100を緩めて外し、続いて電装箱50を冷却器室21の前面21Aに沿って持ち上げると、掛止片46が蓋体60の上面板62の掛止溝97から抜けるから、引き続いて手前に引くことで、電装箱50ごと外すことができる。
電装箱50を機械室20の外に取り出したら、蓋体60の上面板62と下面板63にねじ込まれているねじ67を緩めて外すと、箱本体51との結合が外れるから、図4に示すように、箱本体51と蓋体60とが完全に分離される。特に、蓋体60には側板が設けられていないために、蓋体60の裏面側に装着された電気部品やコネクタからなる電装品の装着位置が、広く開放された状態となる。
【0035】
本実施形態によれば、以下のような利点を得ることができる。
電気部品並びにコネクタの全電装品が、蓋体60の裏側に集約して装着されている。特に制御ボード80やブレーカ81については、電装箱50の前面からの操作等を伴うことから蓋体60側に装着することが必須であるため、蓋体60側に集約することが効率的である。このように全電装品が蓋体60の裏側に集約して装着されていることにより、配線も蓋体60の裏側のみに施せば足りる。言い換えると、蓋体60と箱本体51との間にわたる配線が不要で、もちろん両者51,60が分離されることを許容するための余分の長さも不要であるから、配線を収納しつつ両者51,60を組み付ける作業が簡単となり、また電線が短寸で済む分、コスト低減も図られる。箱本体51と蓋体60とが組み付けられた後は、内部が配線束で埋められることがなくなり、熱の籠もりが緩和される。そのため、電装品の耐用寿命を延ばすことができる。
全電装品が蓋体60側に装着されており、しかも箱本体51とは完全に分離できるから、メンテナンスは蓋体60側のみで行える。特に、蓋体60には左右の側板が設けられておらず、電装品の装着位置が広く開放された状態となるから、メンテナンス作業を簡単に能率良く行うことができる。
【0036】
電装箱50を冷却器室21の前面21Aに取り付けるに当たっては、蓋体60の上面板62に形成された掛止溝97を、冷却器室21の前面21Aに設けられた掛止片46に差し込むとともに、蓋体60の下面板63に形成された取付板98をねじ100で止める構造となっている。すなわち、全電装品が装着されて重量が大きくなる蓋体60側を取り付けるようにしたから、電装箱50を安定して取り付けることができる。しかも、蓋体60と一体的に設けられた掛止溝97と、取付板98とを、相手側に対して直接に掛止し、またはねじ100で止めるのであるから、別パーツの取付部材を介する場合と比べると、構造も簡単でかつ取付強度も高めることができる。
【0037】
また、蓋体60の上部側は、相手の掛止片46に対して掛止するようにし、下部側のみをねじ100で止める構造としたから、電装箱50の取り付け取り外しの作業を簡単に行うことができる。特に、冷却器室21の前面21Aに設けられた掛止片46は、その前面21Aを構成する金属板製の外装板21Bを切り起こして一体に形成されているから、別ピースの掛止部材を設ける場合と比べて構造が簡単となり、また掛止強度も高めることができる。
【0038】
蓋体60における正面板61の裏面に電気部品を取り付けるに当たり、その取付部となる取付座70や差込板75が、正面板61を裏側に切り起こして形成されているから、別ピースの取付部材を溶接等で設ける場合と比べて構造が簡単となる。また、電装品の取付脚等がねじ72で止められる取付座70については、その突出量を所定量取ることによって、ねじ72が正面板61の表面側に突出することが防止できる。しかも正面板61の表面にはオペレーションラベル90が貼られているために、取付座70や差込板75を切り起こしたことに伴って形成される孔が塞がれ、見栄えが良いとともに防水上でも優れたものとなる。
【0039】
さらに、リレー85の取付構造については、取付部として差込板75Bと取付座70Bとが一対設けられ、一方の取付脚85Aを差込板75Bの差込溝76に差し込み、他方の取付脚85Aを取付座70Bにねじ72で止めるようになっており、すなわち2箇所の取付箇所を持つ場合に、ねじ止めは1箇所だけで済むようにしたから、強固な取り付けを担保しながらも、リレー85自体の取り付け取り外しを簡単にかつ迅速に行うことができる。なお、大型のリレー82も同様である。
【0040】
<実施形態2>
図13は本発明の実施形態2を示し、電装箱110の形状並びに取付構造は、以下のようなものであってもよい。なお、上記実施形態1と同一機能を有する部位については、同一符号を付している。
箱本体111は、背面板52のみを有し、その全周縁に小幅のフランジ112が形成されており、上下のフランジ112にねじ孔56が切られている。
一方、蓋体115は、正面板61、上面板62、下面板63及び左右の側板116を有する、背面のみが開口された箱形形状であって、上面板62と下面板63とにはねじの挿通孔68が形成されている。また、左右の側板116の開口縁には、それぞれ外側に直角曲げされた取付板117が形成されている。各取付板117の上下2位置には、ねじ100の挿通孔118が形成されている。
【0041】
蓋体115の正面板61の裏面に電気部品が装着され、表面にオペレーションラベル90が貼られていること、また下面板63にコネクタ取付孔95が開口されていることは、実施形態1と同様である。
電装箱110は、箱本体111のフランジ112の外側に蓋体115を被せ、上面板62と下面板63とを上下のフランジ112にねじ止めすることで組み付けられる。また電装箱110は、蓋体115の左右の側板116の開口縁に設けられた取付板117を冷却器室21の前面21Aに当て、それぞれの上下2箇所をねじ100で止めることによって固定される。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)実施形態1において、電装箱を冷却器室に取り付ける際して掛止構造とするのは、電装箱の下部側としてもよく、また上部側と下部側の両方としてもよい。
(2)逆に実施形態1の電装箱において、蓋本体の上下両側をねじ止めして固定するようにしてもよい。
(3)箱本体と蓋体の形状に関する他の変形例として、例えば実施形態1と実施形態2との中間のような、左右の側板を箱本体と蓋体とで1枚ずつ持たせるようにしたものであってもよい。
【0043】
(4)リレーを蓋本体に取り付ける場合に、両方の取付脚を取付座にねじ止めするようにしてもよいし、逆にトランスについては、ねじ止めを1箇所だけにして、他方は差し込みとしてもよい。
(5)蓋体側に装着される電装品の種類並びにその配置については、上記実施形態に例示したものに限らず、適宜に選択変更できるものである。
(6)本発明は、上記実施形態に例示した横型の冷凍冷蔵庫に限らず、他の形式の冷却貯蔵庫やさらに他の機器にわたり、要は各種の電装品を収納して機器本体の側面に装着される電装箱全般に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態1に係る冷凍冷蔵庫の外観斜視図
【図2】機械室内の構造を示す斜視図
【図3】正面から見た断面図
【図4】電装箱の分解斜視図
【図5】蓋体の斜視図
【図6】蓋体の背面図
【図7】ブレーカの取付部分の分解断面図
【図8】電装箱の組み付け前の状態の縦断面図
【図9】電装箱を冷却器室の前面に取り付ける前の一部切欠側面図
【図10】同斜視図
【図11】電装箱が冷却器室の前面に取り付けられた状態の一部切欠側面図
【図12】同斜視図
【図13】実施形態2に係る電装箱の分解斜視図
【符号の説明】
【0045】
21…冷却器室(機器本体) 21A…(冷却器室20の)前面 21B…外装板(金属板) 46…掛止片(掛止部) 50…電装箱 51…箱本体(本体) 52…背面板 53…側板 54…フランジ 60…蓋体 61…正面板 62…上面板(周面板) 63…下面板(周面板) 67…ねじ 70…取付座(電装品取付部) 71…ねじ孔 72…ねじ 75…差込板(電装品取付部) 76…差込溝 80…制御ボード(電装品) 81…ブレーカ(電装品) 82…リレー(電装品) 82A…取付脚(被取付部) 83…トランス(電装品) 85…リレー(電装品) 85A…取付脚(被取付部) 90…オペレーションラベル 95…コネクタ取付孔 97…掛止溝(掛止孔) 98…取付板 100…ねじ 110…電装箱 111…箱本体(本体) 112…フランジ 115…蓋体 116…側板(周面板) 117…取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の電装品を収納して機器本体の側面に装着される電装箱であって、
少なくとも背面板を有する本体と、正面板と前記本体における開口された周面を覆う周面板とを有する蓋体とが着脱可能に結合されて形成され、前記蓋体側に前記電装品が集約して装着されるとともに、前記蓋体における前記周面板の開口縁側に、前記機器本体の側面に取り付けられる取付部が形成されていることを特徴とする電装箱。
【請求項2】
前記機器本体の側面には、この側面を構成する金属板を切り起こすことで掛止部が一体に形成されているとともに、前記蓋体の上面板と下面板の少なくともいずれか一方の開口縁に、前記掛止部が差し込まれる掛止孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電装箱。
【請求項3】
前記蓋体の正面板には、前記電装品を取り付けるための電装品取付部が、切り起こしにより裏側に突出して形成され、前記正面板の表面には、オペレーションラベルが貼着されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電装箱。
【請求項4】
前記電装品取付部が電装品に対して一対備えられ、一方の電装品取付部には、電装品に設けられた一方の被取付部が差し込まれる差込溝が形成されているとともに、他方の電装品取付部には、前記電装品の他方の被取付部が当てられてねじ止め可能となっていることを特徴とする請求項3記載の電装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−54219(P2006−54219A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232702(P2004−232702)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】