説明

露光装置

【課題】 フォトマスクM及びプラテン5への離型剤塗布を効率的に行うことにより、歩留まりの高い露光を実現する。
【解決手段】
第1離型剤塗布装置1は搬入ハンド3の露光部10側に装着され、昇降装置14により上下方向移動可能になっており、搬入ハンド3の移動の際に、所定位置で第1離型剤塗布装置1が下降してプラテン5の上面に接触し、搬入ハンド3の移動に伴ってプラテン5上を移動しつつ離型剤塗布を行う。
第2離型剤塗布装置2は搬出ハンド4の露光部10側に装着され、昇降装置14により上下方向移動可能になっており、搬出ハンド4の移動の際に、フォトマスクMへの離型剤塗布を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストなどの感光材料を塗布した基板表面に所定のパターンを露光装置により感光焼き付けし、その後エッチング工程により基板上にパターンを形成するフォトリソグラフィ法が種々の分野で広く応用されており、プリント配線基板等も近年露光装置を用いて製造されている。
プリント配線基板の露光装置において、フォトマスクやプラテンに塵埃が存在すると、その部分が未露光となり製品不良となる問題がある。特にドライフィルムフォトレジストやソルダーレジストのように粘着性を持つ感光性樹脂は、フォトマスクやプラテンに付着して、除去しにくい問題があった。
この点を解決すべく、予め離型性をあたえたプラテンを用い、前記した粘着性の感光性樹脂を付着しにくくすることが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−62662号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、離型性を有するプラテンは、導入初期では十分に離型効果が得られるが、長年の使用により離型効果が劣化して粘着性の感光性樹脂の付着が発生し出す問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、露光すべき基板を載置するプラテンと、該基板をプラテン上に搬入し又プラテンから搬出する基板搬送装置と、露光すべきパターンを描いたフォトマスクと、を備えた露光装置において、前記基板搬送装置に連動して移動し、前記基板搬送装置の移動により、前記プラテン又はフォトマスクの少なくとも一方に離型剤を塗布する離型剤塗布装置、を備えたことを特徴とする。
上記構成において、必要な時に基板搬送装置を移動させることにより離型剤を塗布できるため所定の離型効果を維持することができる。また、離型剤塗布装置は基板搬送装置に連動して移動するため、新たに駆動装置などを設ける必要がなく、効率的である。離型剤塗布装置は基板搬送装置に装着することが可能であり、これにより基板搬送装置に連動して移動させることが望ましい。
基板搬送装置は、通常基板搬入部と基板搬出部に設けられており、前者が基板搬入装置、後者が基板搬出装置と呼ばれているが、離型剤塗布装置は基板搬入装置か基板搬出装置のどちらか一方或いは両方に連動させることが望ましく、一方或いは両方に装着することが望ましい。また、離型剤の塗布はプラテン又はフォトマスクの一方に行えば所定の効果が得られるが、プラテンとフォトマスクの両方に離型剤を塗布することが望ましい。この場合、例えば基板搬入装置と基板搬出装置の両方に離型剤塗布装置を設けるか或いは連動させて、一方の離型剤塗布装置によりプラテンに離型剤塗布を行い、他方の離型剤塗布装置によりフォトマスクに離型剤塗布を行うように構成することが可能である。
前記基板搬入装置に連動する離型剤塗布装置は、前記基板搬入装置の往路又は復路のどちらか或いは両方の際に離型剤を塗布することが可能である。また、記基板搬出装置に連動する離型剤塗布装置は、該基板搬出装置が基板位置まで移動する往路時又は元に戻る復路時のどちらか或いは両方の際に、離型剤を塗布するようにすることが可能である。
なお、前記離型剤塗布装置が清掃用の液体を塗布可能なように構成し、古い皮膜を除去できるように構成することも可能である。また塗布した離型剤や清掃用の液体を乾燥させる乾燥装置を設けることも可能である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の露光装置によれば、効率的に離型剤の塗布が行われ、粘着性の感光性樹脂の付着を抑制でき更にその他のゴミの付着も抑制できるから、歩留まりの高い露光を実現できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はプリント配線基板を製造するための露光装置であり、フォトレジストを施されたプリント配線基板Bはプラテン5上に載置され、露光ステージ7によりXYZ及びθ方向に移動可能になっている。露光部10において、基板Bの上方にはマスクフォルダ6に装着されたフォトマスクMが配置されており、更にその上に光源9が設けられている。光源9からの露光光はフォトマスクMに描かれたパターンを基板Bに露光するようになっている。
【0008】
上記露光部10の一方側には搬入部30が設けられ、ここに前工程から基板Bが搬送されてくる。搬入部30には基板搬入装置である搬入ハンド3が設けられており、この搬入ハンド3により基板Bを吸着固定し、基板Bをプラテン5上まで運搬するようになっている。
【0009】
露光部10の他方側には搬出部40が設けられており、露光部10で露光された基板Bがここに搬送され、後工程に送られるように構成されている。搬出部40には基板搬出装置である搬出ハンド4が設けられており、搬出ハンド4がプラテン5上の基板Bの位置まで移動し、基板Bを吸着固定して搬出部40まで移送するように構成されている。
【0010】
前記搬入ハンド3には第1離型剤塗布装置1が装着されている。第1離型剤塗布装置1は搬入ハンド3の露光部10側に装着され、昇降装置14により上下方向移動可能になっており、搬入ハンド3の移動に伴って移動し、この往路の際にプラテン5に離型剤を塗布するようになっている。即ち、搬入ハンド3が露光部10方向に移動する際に、所定位置で第1離型剤塗布装置1が下降してプラテン5の上面に接触し、搬入ハンド3の移動に伴ってプラテン5上を移動しつつ離型剤塗布を行う。搬入ハンド3がプラテン5上に達すると、搬入ハンド3は搬入部30に戻るが、この戻りの復路の際にも第1離型剤塗布装置1は下降し、基板Bの上面に接触し、搬入ハンド3の移動に伴って基板B上を移動しつつ離型剤塗布を行う。
以上の動作により、第1離型剤塗布装置1によりプラテン5への離型剤塗布を行うように構成されている。
なお、離型剤塗布は往路か復路のどちらか1回行うようにすることも可能である。
【0011】
図2と図3に第1離型剤塗布装置1の構成を示す。後述する第2離型剤塗布装置2も同一の構成になっている。
第1離型剤塗布装置1と第2離型剤塗布装置2はローラ11と離型剤供給装置12及び乾燥装置13を備えている。ローラ11は吸水性を有する発泡体等からなるローラであり、その側面において離型剤供給装置12から離型剤の供給を受け、該離型剤を対象物に接触しつつ塗布する構成になっている。
【0012】
乾燥装置13、13はローラ11近傍の前後に一対設けられており、塗布された離型剤に送風し、又は加熱して離型剤を乾燥するように構成されている。
なお、ローラ11は必ずしもローラとする必要はなく、離型剤を塗布できる形態のものであればどのような形態のものも使用可能である。例えば刷毛などを使用することも可能である。
【0013】
次に搬出ハンド4について説明する。搬出ハンド4には第2離型剤塗布装置2が装着されている。第2離型剤塗布装置2は搬出ハンド4の露光部10側に装着され、昇降装置14により上下方向移動可能になっており、搬出ハンド4の露光部10への移動、即ち往路と元に戻る復路動作の際に、フォトマスクMへの離型剤塗布を行うようになっている。即ち、搬出ハンド4が露光部10方向に移動する際に、所定位置で第2離型剤塗布装置2が上昇してフォトマスクMに接触し、搬出ハンド4の移動に伴ってフォトマスクM上を移動しつつ離型剤塗布を行う。その後搬出ハンド4は搬出部40に戻るが、この復路の際にも第2離型剤塗布装置2は上昇し、フォトマスクMに接触し、搬出ハンド4の移動に伴ってフォトマスクM上を移動しつつ離型剤塗布を行う。
以上の動作により、第2離型剤塗布装置2によりフォトマスクMの離型剤塗布を2回行うことができるが、往路か復路のどちらか1回のみ離型剤塗布を行うようにすることも可能である。
なお、搬出ハンド4は上向きに装着されていることを除いて第1離型剤塗布装置1と全く同一の構成であり、図2と図3に示す構成を備えている。
【0014】
以上の構成における動作を説明する。
最初に第1離型剤塗布装置1の動作を説明する。プラテン5への離型剤の塗布が必要になったら、まず搬入部30に待機している搬入ハンド3を駆動し、搬入ハンド3をプラテン5上の基板受け渡し位置まで移動(往路)させる。搬入ハンド3移動中の所定位置で、第1離型剤塗布装置1が下降し、ローラ11がプラテン5の上面に接触する。この時、離型剤供給装置12から第1離型剤塗布装置1に離型剤が供給される。搬入ハンド3は移動を続け、移動による連れ回りでローラ11は回転し、プラテン5に離型剤を塗布する。同時に乾燥装置13により、塗布した離型剤の乾燥を行う。
【0015】
搬入ハンド3が基板受け渡し位置に到達したら、搬入ハンド3は搬入部30まで戻る(復路)動作を開始する。この復路においても同様にローラ11をプラテン5に接触させてプラテン5上面に離型剤を塗布する。同時に乾燥装置13により、塗布した離型剤の乾燥を行う。そして、搬入ハンド3移動中の所定位置で、第1離型剤塗布装置1は上昇し原点位置に戻る。
【0016】
次に第2離型剤塗布装置2の動作を説明する。
フォトマスクMへの離型剤の塗布が必要になったら、搬出ハンド4を搬出部40からプラテン5上の基板受け渡し位置まで移動(往路)させる。搬出ハンド4移動中の所定位置で、第2離型剤塗布装置2が上昇し、ローラ11がフォトマスクMに接触する。この時離型剤供給装置12から離型剤をローラ11に供給する。搬出ハンド4は移動を続け、移動による連れ回りでローラ11は回転し、フォトマスクMに離型剤を塗布する。同時に乾燥装置13により塗布した離型剤を乾燥する。搬出ハンド4が基板受け渡し位置に到達したら、搬出ハンド4が搬出部40に戻る動作を(復路)を開始する。この時も往路と同様にローラ11によるフォトマスクMの離型剤塗布と乾燥装置13による乾燥を行う。
【0017】
以上説明した実施形態の構成によれば、必要な時に、搬入ハンド3と搬出ハンド4を駆動して第1離型剤塗布装置1と第2離型剤塗布装置2によりプラテン5とフォトマスクMへの離型剤塗布が行える。この離型剤塗布によりプラテン5とフォトマスクMには離型性皮膜が形成されるから、ドライフィルムフォトレジストやソルダレジストなどの感光性樹脂やその他の塵埃の付着を抑制できる効果がある。
また、第1離型剤塗布装置1と第2離型剤塗布装置2は搬入ハンド3と搬出ハンド4に装着されているため、新たな駆動機構などを設ける必要がない等の効果がある。
なお、第1離型剤塗布装置1又は第2離型剤塗布装置2のどちらか一方を設け、プラテン5又はフォトマスクMの一方に離型剤を塗布するように構成しても、一定の効果は得られる。
【0018】
なお、離型剤供給装置12から清掃用の液体を供給するように構成し、第1離型剤塗布装置1と第2離型剤塗布装置2により離型剤ではなく清掃用液体をプラテン5とフォトマスクMに塗布するようにすることも可能である。この清掃用液体の塗布により古い被膜と共に塵埃を除去することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略正面図。
【図2】本発明の一実施形態の第1離型剤塗布装置1と第2離型剤塗布装置2の構成を示す概略正面図。
【図3】本発明の一実施形態の第1離型剤塗布装置1と第2離型剤塗布装置2の構成を示す概略平面図。
【符号の説明】
【0020】
1:第1離型剤塗布装置、2:第2離型剤塗布装置、3:搬入ハンド、4:搬出ハンド、5:プラテン、6:マスクフォルダ、7:露光ステージ、9:光源、10:露光部、11:ローラ、12:離型剤供給装置、13:乾燥装置、14:昇降装置、、30:搬入部、40:搬出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光すべき基板を載置するプラテンと、該基板をプラテン上に搬入し又プラテンから搬出する基板搬送装置と、露光すべきパターンを描いたフォトマスクと、を備えた露光装置において、
前記基板搬送装置に連動して移動し、前記基板搬送装置の移動により、前記プラテン又はフォトマスクの少なくとも一方に離型剤を塗布する離型剤塗布装置、
を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記基板搬送装置が、基板をプラテン上に載置すべく基板を搬入する基板搬入装置である、
請求項1の露光装置。
【請求項3】
前記基板搬送装置が、基板をプラテンから搬出する基板搬出装置である、
請求項1の露光装置。
【請求項4】
露光すべき基板を載置するプラテンと、該基板をプラテン上に載置すべく基板を搬入する基板搬入装置と、該基板をプラテンから搬出する基板搬出装置と、露光すべきパターンを描いたフォトマスクと、を備えた露光装置において、
前記基板搬入装置に連動して移動し、少なくとも基板搬入装置の往路又は復路時に、前記プラテン又はフォトマスクの中の一方に離型剤を塗布する第1の離型剤塗布装置と、
前記基板搬出装置に連動して移動し、少なくとも該基板搬出装置が基板位置まで移動する往路時又は復路時に、前記プラテン又はフォトマスクの中の他方に離型剤を塗布する第2の離型剤塗布装置と、
を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項5】
前記離型剤塗布装置が、清掃用の液体を塗布可能である、
請求項1又は2又は3又は4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記離型剤塗布装置が、塗布後の離型剤又は清掃用の液体を乾燥させる乾燥装置を備える、
請求項1又は2又は3又は4又は5に記載の露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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