説明

靴用中敷

【課題】金属製の錘を使用した靴用中敷において、快適な使用感があり、かつ、耐久性に優れた靴用中敷を提供すること。
【解決手段】足型に形成した金属製の板状部材2と、可撓性のシート状部材3とからなり、金属製の板状部材2を、平板部分20と、歩行に合わせて屈曲する山部と谷部との繰り返しからなる蛇腹部分21とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴用中敷に関し、特に、脚力の強化を図ることができる靴用中敷に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脚力の強化を図ることを目的とした靴用中敷としては、金属製、例えば、鉛の板材を足型に成形して用いられていたが、鉛板では柔軟性に欠け、上下運動は可能であっても歩行に適するものではなかった。
そのため、複数の錘を組み合わせて足型に形成し、これを靴の中に敷いて使用するものが提案されている。
【0003】
上記複数の錘を組み合わせて足型を構成した靴用中敷としては、例えば、図6に示すように、複数の鉛棒31を、各鉛棒31に開口した縛着穴31aに縛着用ひも32によって順次縛着して足型に形成した靴用中敷30や、図7に示すように、足指、つま先、土踏まず、踵等の形に形成した錘41〜46をそれぞれ1枚ないし複数枚重ねそのブロックを組み合わせて中敷を構成した靴用中敷40がある(例えば、特許文献1〜2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平01−119502号公報
【特許文献2】実開昭61−116503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の靴用中敷30及び靴用中敷40は、歩行走行の際の足裏の屈伸変形に追従するように構成されているが、以下の問題点があった。
靴用中敷30は、錘として鉛棒31を使用するために、歩行走行の際の足裏の屈伸変形に追従するものの、柔軟性に欠けており、屋外での長時間の使用には適さない。
また、歩行走行の際の足裏の屈伸変形に追従させるために鉛棒31同士を密着させることができないため、歩行時に鉛棒31同士が擦れて異音が発生したり、鉛棒31を足型に維持するための縛着用ひも32が歩行走行中に切れたりすることがある等、耐久性にも問題があった。
【0006】
また、靴用中敷40は、錘41〜46を分割しているため、錘41〜46を中空で軟質素材の中敷内に挿入して使用する場合でも、隣り合う錘にズレが生じ、足裏に不快感を与えたり、軟質素材の中敷を損傷させたりする場合がある等、快適な使用感と十分な耐久性を実現することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の靴用中敷の有する問題点に鑑み、金属製の錘を使用した靴用中敷において、快適な使用感があり、かつ、耐久性に優れた靴用中敷を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の靴用中敷は、足型に形成した金属製の板状部材と、可撓性のシート状部材とからなり、前記金属製の板状部材を、平板部分と、歩行に合わせて屈曲する山部と谷部との繰り返しからなる蛇腹部分とから構成したことを特徴とする。
【0009】
この場合において、前記金属製の板状部材の平板部分を、踵からつま先に向かって全体の1/4〜1/3及びつま先から踵に向かって全体の1/4〜1/3の範囲とし、その余の部分を蛇腹部分とすることができる。
【0010】
また、前記金属製の板状部材の材質及び/又は厚みを変更することによって靴用中敷の重量を変更することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の靴用中敷によれば、足型に形成した金属製の板状部材と、可撓性のシート状部材とからなり、前記金属製の板状部材を、平板部分と、歩行に合わせて屈曲する山部と谷部との繰り返しからなる蛇腹部分とから構成することにより、金属製の板状部材を1枚の板材から成形することができ、足裏に不快感を与えることなく、十分な耐久性を確保することができる靴用中敷を提供することができる。
【0012】
また、前記金属製の板状部材の平板部分を、踵からつま先に向かって全体の1/4〜1/3及びつま先から踵に向かって全体の1/4〜1/3の範囲とし、その余の部分を蛇腹部分とすることにより、歩行走行の際に曲がりの大きな箇所に蛇腹部分を位置させて、金属製の板状部材を歩行走行の際の足裏の屈伸変形に追従させることができるとともに、蛇腹部分の大半を土踏まずの部分に集中させて、可撓性のシート状部材越しに足裏に対して蛇腹部分の感触が伝達することを最小限に抑えることができ、快適な使用感の靴用中敷を提供することができる。
【0013】
また、前記金属製の板状部材の材質及び/又は厚みを変更することによって靴用中敷の重量を変更するようにすることにより、同一の比重(材質)で厚みが異なる金属製の板状部材を複数種類用意したり、厚みが同一で比重の異なる金属製の板状部材を複数種類用意したりするほか、比重と厚みとが共に異なる金属製の板状部材を複数種類用意することによって、簡単に靴用中敷の重量を変更することができる。
また、薄い金属製の板状部材を、必要な重量に応じて複数枚重ね合わせて用いることによって使用者が所望の重量に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の靴用中敷の一実施例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】図1(a)のX−X断面の斜視図である。
【図3】同靴用中敷の別の実施例を示す側面図で、(a)は金属製の板状部材を複数枚重ねたものを(b)金属製の板状部材の平板部分のみを複数枚重ねたものである。
【図4】同靴用中敷の使用状態のうち静止状態を示す斜視図である。
【図5】同靴用中敷の使用状態のうち歩行状態を示す斜視図である。
【図6】従来の靴用中敷を示す斜視図である。
【図7】従来の靴用中敷の別の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の靴用中敷の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1〜図5に、本発明の靴用中敷の一実施例を示す。
この靴用中敷1は、足型に形成した金属製の板状部材2と、可撓性のシート状部材3とからなり、金属製の板状部材2を、平板部分20と、歩行に合わせて屈曲する山部と谷部との繰り返しからなる蛇腹部分21とから構成するようにしている。
金属製の板状部材2と可撓性のシート状部材3とは、接着剤等によって固着するようにしている。
【0017】
金属製の板状部材2は、その材質を特に限定されるものではなく、20g〜250g程度の錘としての役目を果たすようにするもので、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム又はこれらの合金等を使用することができる。
【0018】
可撓性のシート状部材3は、足裏に接する面となり、クッション材として機能する部分であり、材質は特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、シリコン樹脂等からなり、これを樹脂シート、発泡樹脂シート、不織布等の形態で、地面から足裏に伝わる衝撃を緩和し、歩行走行の際の足裏の屈伸変形に追従するように形成したものを用いることが望ましい。
【0019】
そして、金属製の板状部材2は、足型に形成した1枚の板状の部材をプレス加工等によって蛇腹部分21を成型するもので、山部と谷部との繰り返しからなる蛇腹を形成するために蛇腹部分21の範囲での、山部と谷部との角度に応じて全体の長さを予め長く形成する。
例えば、中央付近で全体の長さの1/3を蛇腹部分21とし、山部と谷部との角度を30°とするときは1/3の範囲を直線状態よりも15%長く、山部と谷部との角度を60°とするときは1/3の範囲を直線状態の倍の長さとする。
【0020】
金属製の板状部材2の平板部分20と蛇腹部分21との範囲は、平板部分20を、踵からつま先に向かって全体の1/4〜1/3及びつま先から踵に向かって全体の1/4〜1/3の範囲とし、歩行走行によって最も曲がりの大きな範囲を蛇腹部分21となるようにしている。
【0021】
また、金属製の板状部材2の材質及び/又は厚みを変更することによって靴用中敷1の重量を変更するようにすることができる。
【0022】
金属製の板状部材2の材質を、銅やステンレススチールとするときは、その比重が大きく、比較的薄い板状部材を用いても十分な重さをもつ錘として使用することができ、また、アルミニウムを用いる場合は比重が小さく、病気や怪我の後のリハビリテーションの用途にも用いることができる。
【0023】
成人男性の平均の足長25cmの場合、平面視したときの面積は約140cmとなり、比重8.94の銅を使用した場合、厚み2mmで約250g、比重2.71のアルミニウムを使用した場合、厚み1mmで約38gとなる。
また、鉛等、比重が10を越える金属を用いることで、スポーツ選手等、脚力の増強を望む用途にも対応することができる。
【0024】
また、金属製の板状部材2の厚みは、図3(a)に示すように、板状部材2を複数枚(図示の実施例では、板状部材2A、2B、2Cの3枚の場合を示す。)を重ね合わせることによって変更することもできる。
この場合、靴内に敷くことができる範囲で、使用者が所望の重さに調節することができる。
板状部材2を複数枚重ね合わせて使用するときは、板状部材2間に両面接着テープ等を使用して固着することもできるが、図に示すように、蛇腹部分21の凹凸が重なることとなり、複数の板状部材2にズレが生じることなく使用することができる。
【0025】
また、金属製の板状部材2の平板部分20に、図3(b)に示すように、補助板20aを配設することによって、平板部分20の底面を、蛇腹部分21の突部の位置(蛇腹部分21の厚み)に合わせることができる。
補助板20aは、接着剤等によって金属製の板状部材2の平板部分20に固着し、靴を履いたときの静止状態において、靴用中敷1の撓みを最小限に抑えることができる。
これによって、金属製の板状部材2の平板部分20と蛇腹部分21との変換部分において余分な負荷がかかることを防止することができる。
【0026】
次に、この靴用中敷1の使用状態について説明する。
【0027】
この靴用中敷1は、静止状態において、使用者が靴Sを履いたとき、図4に示すように、可撓性のシート状部材3の踵とつま先部分が足裏からの押圧力によって若干窪む(図中、黒塗りの部分)とともに、金属製の板状部材2の平板部分20が靴底に沿うように若干撓んだ状態となる。
ただし、図3(b)に示す補助板20aを、金属製の板状部材2の平板部分20に配設しているときには、撓むことなく靴底に沿った状態となる。
【0028】
そして、歩行走行時は、図5に示すように、金属製の板状部材2の蛇腹部分21が、足裏の屈伸変形に追従するように屈曲し、快適な歩行走行を行うことができるとともに、一定の重量を負荷として使用者に与え、脚力の強化強を図ることができる。
【0029】
以上、本発明の靴用中敷について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の靴用中敷は、金属製の錘を使用した靴用中敷において、快適な使用感があり、かつ、耐久性に優れているという特性を有していることから、脚力の強化や増強のほか、リハビリテーションの用途等にも好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 靴用中敷
2 金属製の板状部材
20 平板部分
21 蛇腹部分
3 可撓性のシート状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足型に形成した金属製の板状部材と、可撓性のシート状部材とからなり、前記金属製の板状部材を、平板部分と、歩行に合わせて屈曲する山部と谷部との繰り返しからなる蛇腹部分とから構成したことを特徴とする靴用中敷。
【請求項2】
前記金属製の板状部材の平板部分を、踵からつま先に向かって全体の1/4〜1/3及びつま先から踵に向かって全体の1/4〜1/3の範囲とし、その余の部分を蛇腹部分としたことを特徴とする請求項1記載の靴用中敷。
【請求項3】
前記金属製の板状部材の材質及び/又は厚みを変更することによって靴用中敷の重量を変更するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の靴用中敷。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−56006(P2011−56006A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208187(P2009−208187)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(598056272)ア・プラン株式会社 (5)
【Fターム(参考)】