説明

音響式表面タイプ検出器を有する電気表面処理デバイス

【課題】
強い識別能力と信頼できる動作を有する表面タイプ検出器を具えた電気表面処理デバイスを提供する。
【解決手段】
この発明は、処理されるべき表面(5)タイプが動作中に検出される音響表面タイプ検出器(29,51,59,69,81,95)を具えた電気表面処理デバイスに関する。本発明によれば、表面タイプ検出器は、処理されるべき表面のタイプの特性を示していて、そして処理されるべき表面によって反射された空気の振動(49,57,79,87,107)の物理的な量の表面タイプ検出器の振動検出器(39,97)によって測定された値によって決定される出力信号(uft)を動作中に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理すべき表面のタイプを検出するための表面タイプ検出器を具える電気表面処理デバイスに関するものであり、この表面タイプ検出器は、処理すべき表面によって反射される空気振動を検出するための振動検出器を具え、且つ動作中に、処理すべき表面のタイプの特性を示す出力信号を供給するものである。
【0002】
本発明はまた、本発明による電気表面処理デバイスに使用するのに好適なアタッチメントにも関するものである。
【背景技術】
【0003】
冒頭に述べた種類の電気表面処理デバイスであって、真空掃除機として構成され、且つ第2の段落に述べた吸引アタッチメントとして構成される種類のアタッチメントを具えているものは、欧州特許出願公開明細書EP−A−0 372 903から既知である。既知の真空掃除機の表面タイプ検出器は、真空掃除機の吸引アタッチメントの中に収納されている音響式表面タイプ検出器である。この表面タイプ検出器の振動検出器は超音波システムの一部を形成し、このシステムにより、浄化すべき表面と吸引アタッチメントの吸引ノズルの下側との間の、動作中における距離を測定することが可能となる。超音波システムが比較的大きな距離を測定する場合は、表面タイプ検出器は、堅く滑らかな床の特性を示す出力信号を供給する。浄化すべき表面がカーペットの場合には、吸引ノズルの下側を越えて突出している吸引ノズルの縁部がカーペットの中に部分的に沈み込むため、超音波システムは比較的短い距離を測定することになる。この場合には、表面タイプ検出器はカーペットの特性を示す出力信号を供給する。既知の真空掃除機における表面タイプ検出器の出力信号は、吸引ノズルの中に配置したブラシを回転させる電気モータを制御し、且つ真空掃除機の光学式ダスト検出器の感度を制御するのに用いられる。
【0004】
既知の電気表面処理デバイス及び既知のアタッチメントの欠点は、それに使用される表面タイプ検出器が限られた識別能力しか持たないことにあり、前記表面タイプ検出器は、実質上専ら、堅く滑らかな床の特性を示す出力信号と、カーペットの特性を示す出力信号だけしか供給することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、可能な限り優れた識別能力を有する表面タイプ検出器を具えた、冒頭にて述べた種類の電気表面処理デバイス及びアタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明による電気表面処理デバイスは、前記出力信号を、処理すべき表面によって反射される空気振動の物理量の値により決定し、該物理量の値は振動検出器によって測定し得るようにしたことを特徴とする。
【0007】
空気振動は、動作中、例えば表面タイプ検出器の振動発生器又は電気表面処理デバイスの中に存在する何らかの他の振動源によって発生される。このような空気振動は、一部は処理すべき表面によって吸収され、一部は処理すべき表面を介して伝達され、また一部は処理すべき表面によって反射される。従って、処理すべき表面によって反射された空気振動の前記物理量は、発生した空気振動の物理量の元の値とは異なる値になる。処理すべき表面による空気振動の吸収、伝達及び反射は、処理すべき表面のタイプに明らかに依存する比率で起こるため、処理すべき表面によって反射される空気振動の前記物理量の値は、処理すべき表面のタイプによって明確に決定され、表面タイプ検出器の前記出力信号から、処理すべき表面のタイプを明確に導き出すことができる。従って、この表面タイプ検出器を、例えば真空掃除機に使用する場合に、堅く滑らかな床とカーペットとを識別するだけでなく、例えば、滑らかな床のタイプやカーペットのタイプをも明確に検出することができる。
【0008】
本発明による電気表面処理デバイスの特定好適例は、前記物理量が振幅値であり、また表面タイプ検出器が、予定した振幅値を有する空気振動を発生する振動発生器を具えていることを特徴とする。振動発生器によって発生させることのできる空気振動の所定の振幅値はある基準値を成し、表面タイプ検出器は、この基準値と、処理すべき表面によって反射された空気振動の振幅値とを比較することができる。これにより、表面タイプ検出器の正確且つ信頼性のある動作が得られる。
【0009】
本発明による電気表面処理デバイスの他の好適例は、振動発生器が、動作中に少なくとも15,000Hzの周波数の空気振動を発生することを特徴とする。通常の動作状態のもとでは、電気表面処理デバイスは、概して15,000Hzに満たない周波数の空気振動を発生することを確かめた。振動発生器が発生する空気振動は少なくとも15,000Hzの周波数を有するので、振動発生器は、電気表面処理デバイスの他の部分によって発生される空気振動を打ち消す必要はなく、そのため振動発生器が発生する空気振動の振幅値は制限された状態を維持し得る。さらに、表面タイプ検出器の識別能力は、少なくとも15,000Hzの周波数では、それより低い周波数の場合よりもはるかに優れていることを確かめた。さらに、少なくとも15,000Hzの周波数の空気振動は、電気表面処理デバイスのユーザにはほとんど聞きとれないか、場合によっては全く聞きとれない。
【0010】
本発明による電気表面処理デバイスのさらに他の好適例は、振動発生器が、動作中に、所定の範囲内で変化する周波数の空気振動を発生することを特徴とする。この例では、表面タイプ検出器の出力信号は、例えば、処理すべき表面によって反射される空気振動の前記範囲内における平均振幅値又は最大振幅値に相当している。この結果、出力信号は、処理すべき表面のタイプとは別のパラメータ、例えば、振動発生器及び振動検出器と処理すべき表面との距離、振動発生器及び振動検出器が配置されている電気表面処理デバイスの一部分の音響特性、また振動発生器及び振動検出器の温度のようなパラメータに依存しているが、この依存は限られた程度に過ぎないということを確かめた。
【0011】
本発明による電気表面処理デバイスの他の好適例は、振動検出器が、圧電振動検出器を具えていることを特徴とする。このような圧電振動検出器は、通常の動作状態のもとでは充分に耐久性があり、そして汚染に対して実質上不感応である。
【0012】
本発明による電気表面処理デバイスの他の好適例は、振動発生器が、圧電振動発生器を具えていることを特徴とする。このような圧電振動発生器は、通常の動作状態のもとでは充分に耐久性があり、そして汚染に対して実質上不感応である。
【0013】
本発明による電気表面処理デバイスのさらに他の好適例は、振動発生器が振動検出器を具えており、該振動発生器が切り替えをすることで振動検出器を形成するようにできることを特徴とする。これによって表面タイプ検出器のコンポーネントの数は大幅に減少するために、表面タイプ検出器の構成は簡単になる。振動発生器が動作中に切り替えられて振動検出器を形成する際には、直前に振動発生器によって発生されて処理すべき表面によって反射された空気振動は、振動発生器によって検出することができる。
【0014】
本発明による電気表面処理デバイスの好適例は、振動発生器と振動検出器とが、約90°の角度で互いに対向していることを特徴とする。このように振動発生器と振動検出器とを相互配置することで、表面タイプ検出器の非常に信頼できる動作が得られることが確かめられた。
【0015】
本発明による電気表面処理デバイスのさらに他の好適例は、表面タイプ検出器が、振動発生器によって発生された空気振動を処理すべき表面の方へ反射させるための第1の反射器と、処理すべき表面によって反射された空気振動を振動検出器の方へ反射させるための第2の反射器とを具えていることを特徴とする。前記反射器を使用することで、振動発生器及び振動検出器の相互配置に関して、自由度が非常に高まる。この例における振動発生器及び振動検出器は、例えばすぐ近くに隣接して相互に位置させることができる。
【0016】
本発明による電気表面処理デバイスのさらに他の好適例は、振動発生器が、動作中に空気振動を断続的に発生することを特徴とする。この例では、振動発生器が常に、非常に短期間の空気振動を発生するため、発生した空気振動と反射された空気との干渉は、動作中可能な限り防止される。振動発生器が中断なく空気振動を発生する際に生じるこのような干渉は、あるパターンを有し、このパターンは、表面タイプ検出器及び処理すべき表面の音響特性が比較的小さな変化をしたことに伴い、比較的大きく変化してしまう。さらに、前記パターン内においては、空気振動の振幅値に大きな差が生じる。従って、前記干渉は、表面タイプ検出器の正確さ及び信頼性にかなりの悪影響を及ぼす。振動発生器による空気振動が断続的に発生することで、そのような干渉が防止されるため、表面タイプ検出器の正確さ及び信頼性は大いに改善される。この例における振動発生器は、毎回、比較的短期間中に空気振動を発生するため、振動発生器が振動検出器の機能に切り替えられるものである場合には、振動発生器は、残り時間には振動検出器として使用することができる。
【0017】
本発明による電気表面処理デバイスの他の好適例は、表面タイプ検出器が並列回路を具え、この回路を介して、振動発生器によって発生される空気振動の一部分を、振動検出器に直接導くことができるようにすることを特徴とする。振動発生器及び振動検出器の特性は、エイジングと温度変動により変化することがある。断続的に発生されて動作中に並列回路を介して伝えられる空気振動の一部分と、断続的に発生されて動作中に処理すべき表面を介して導かれる空気振動の一部分とは、種々の瞬時に振動検出器に達する。これにより、振動検出器は、処理すべき表面によって反射された空気振動の振幅値と、発生された空気振動の元の振幅値との比率を測定することができる。前記比率は、振動発生器及び振動検出器の温度にも、またそれらの如何なるエイジングにもほぼ無関係である。このように、並列回路を介して伝えられる空気振動は、ある基準値としての役割を果たし、表面タイプ検出器は、この基準値と、処理すべき表面によって反射された空気振動の振幅値とを比較することができる。
【0018】
本発明による電気表面処理デバイスの他の好適例は、並列回路がデッドエンドを有し、このデッドエンド付近に、並列回路に伝えられる空気振動を逆反射させるエンドリフレクタが設けられていることを特徴とする。この例においては、断続的に空気振動を発生し、且つ振動検出器を成すように切り替えることができる振動発生器を使用する。動作中に並列回路を経て伝えられる空気振動の部分は、エンドリフレクタによって並列回路へと逆反射され、且つすでに振動検出器に切り替えられている振動発生器に達して、その結果ある基準値を成す。このようにして、表面タイプ検出器の特に簡単で実用的な構成が得られる。
【0019】
本発明による電気表面処理デバイスに使用するのに好適な、本発明によるアタッチメントは、表面タイプ検出器が、アタッチメントの吸引ノズルの中に収納されていることを特徴とする。表面タイプ検出器は、アタッチメントの吸引ノズルの中に収納されているため、表面タイプ検出器は処理すべき表面のすぐ近くにあり、従って表面タイプ検出器の信頼できる動作が達成される。
【0020】
本発明による電気表面処理デバイスに使用するのに好適であり、当該デバイスに使用される表面タイプ検出器が所定の振幅値を有する空気振動を発生する振動発生器を具えているアタッチメントは、表面タイプ検出器の振動発生器及び振動検出器が、動作中に、処理すべき表面とアタッチメントの吸引ノズルの下側とによって画成される検出空所内に位置付けられていることを特徴とする。振動発生器及び振動検出器が前記検出空所内に位置付けられるため、振動発生器及び振動検出器は処理すべき表面のすぐ近くにあり、従って、表面タイプ検出器の信頼性のある動作が達成される。前記検出空所の音響特性は、動作中に処理すべき表面のタイプによって大きく影響されるため、表面タイプ検出器は強い識別能力を有することになる。
【0021】
本発明によるアタッチメントの好適例は、振動発生器及び振動検出器が吸引ノズルの下側に設けられた凹所内に位置付けられることを特徴とする。前記凹所を使用することで、表面タイプ検出器の検出空所は拡張し、それにより検出空所の音響特性は影響される。前記凹所を適切な形状にすることにより、表面タイプ検出器の音響特性は最適化される。
【0022】
本発明によるアタッチメントの他の好適例は、振動発生器及び振動検出器が、各々吸引ノズルの下側に設けられた、別個のチャネルタイプのキャビティ内に収納されていることを特徴とする。前記別個のチャネルタイプのキャビティを使用することで、動作中に振動発生器によって発生された空気振動が、処理すべき表面によってほぼ完全に反射されるため、振動発生器から振動検出器への直接のクロストークが大いに抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図面につき詳細に説明する。
【0024】
図1に示す本発明による電気表面処理デバイスは、表面を掃除する真空掃除機である。図示の真空掃除機は、多数のホイール3によって、掃除すべき表面5上を移動可能なハウジング1を具えている、いわゆるフロアタイプの真空掃除機である。ハウジング1内には電気吸引ユニット7が配置され、これは図1においてのみ概略的に示してある。この真空掃除機はさらに、吸引ノズル11と、中空のチューブ13と、ハンドル15とを具えている吸引アタッチメント9として構成される、本発明によるアタッチメントを具えている。ハンドル15は、第1の結合部17によってフレキシブルホース19に脱着自在に結合されており、またフレキシブルホース19は、第2の結合部21によって、ハウジング1に設けた吸引開口部23と脱着自在に結合される。吸引開口部23は、ハウジング1のダストチェンバ25内に通じており、このダストチェンバ25は、フィルタ27を介して吸引ユニット7に接続されている。動作中には、真空掃除機の吸引ノズル11、中空のチューブ13、フレキシブルホース19、吸引開口部23及びダストチェンバ25を含む吸引チャネル内の圧力を、吸引ユニット7によって下げる。掃除すべき表面5上に存在する塵とゴミの粒子は、前記低圧の影響下で吸引アタッチメント9及びフレキシブルホース19を経て、ダストチェンバ25内に吸引される。
【0025】
図2に示すように、吸引アタッチメント9の吸引ノズル11は、浄化すべき表面5のタイプを検出するための表面タイプ検出器29を具えている。図2においてのみ概略的に示し、且つ後にさらに詳述する表面タイプ検出器29は、動作中に、浄化すべき表面タイプの特性を示す出力信号UFTを、同じく吸引ノズル11内に位置付けられる電気コントローラ31に転送する。吸引ノズル11にはさらに、電気モータ35によって駆動される、回転自在のブラシ33が設けられている。コントローラ31は、動作中に、電気モータ35及びブラシ33の速度を、出力信号UFTの関数として制御する。従って、ブラシ33の速度は、浄化すべき表面5のタイプに適合させることができ、その結果、真空掃除機の掃除する機能は向上する。なお、真空掃除機の動作は、表面タイプ検出器29の出力信号UFTによって別の態様で制御することもできる。例えば、真空掃除機に、ハウジング1内に収納したコントローラを設け、これによって、吸引ユニット7の吸引力を出力信号UFTの関数として制御することができる。
【0026】
図3に示す、第1の実施例の表面タイプ検出器29は、圧電振動発生器37及び圧電振動検出器39と具えており、これらは本来、通常の既知のものである。吸引ノズル11の下側41には、振動発生器37と振動検出器39とが設けられ、これらの振動発生器37と振動検出器39とが約90°の角度で互いに対向するようにしてある。動作中、振動発生器37は、所定のほぼ一定の振幅値を有する空気振動43を発生する。このために、表面タイプ検出器29は、動作中に、所定の振幅値に対応する出力信号UREFを振動発生器37に供給する電気制御部材45を具えている。吸引ノズル11の下側41は検出空所47を画成し、この空所47は、動作中は浄化すべき表面5によっても画成される。振動発生器37は検出空所47の方を向いているので、動作中に振動発生器37によって発生される空気振動43は検出空所47内を伝播する。図3に示すように、空気振動43は、浄化すべき表面5と吸引ノズル11の下側41とによって検出空所47内で反射され、この反射された空気振動49は振動検出器39によって検出され、この振動検出器39は、反射した空気振動49の振幅値に相当する出力信号UDETを供給する。振動発生器37によって発生された空気振動43は、一部は浄化すべき表面5によって吸収され、そして一部は浄化すべき表面5を経て、浄化すべき表面5の下方にある基面に伝達される。その結果、空気振動43は浄化すべき表面5によって部分的にのみ反射されるので、振動検出器39が測定する、反射空気振動49の振幅値は、振動発生器37によって発生された空気振動43の、元の予定した振幅値よりもはるかに小さくなる。発生された空気振動43が、浄化すべき表面5によって吸収され、伝達され、且つ反射される比率は、浄化すべき表面5のタイプに大いに依存するので、反射された空気振動49の振幅値もまた、浄化すべき表面5のタイプに大いに依存する。振動発生器37が前記所定の振幅値を有する空気振動を発生する際に生じる、反射空気振動49の振幅値のうち、実験的に確かめた多数の値は、浄化すべき表面5の多数のタイプについて、電気制御部材45内に格納される。従って、前記所定の振幅値はある基準値を成し、この基準値に関連して、様々なタイプの浄化すべき表面5によって、反射される空気振動49の振幅値が識別される。制御部材45は、動作中に出力信号UDETと前記格納した値とを比較し、そしてこの比較結果から、当面のタイプの浄化すべき表面5を特定する。振動検出器39の出力信号UDETは浄化すべき表面5のタイプに大いに依存し、且つ表面タイプ検出器29の出力信号UFTは出力信号UDETによって決まるため、表面タイプ検出器29は強い識別能力を有するので、表面タイプ検出器29によって、堅く滑らかな床とカーペットとの識別をし得るだけでなく、例えば、石敷や板張りの床のような多様な滑らかな床の中での識別や、様々な種類のカーペットや畳の中での識別までもが可能となる。振動発生器37及び振動検出器39は、上述の吸引ノズル11の検出空所47内に配置され、従って浄化すべき表面5のすぐ近くにあるため、表面タイプ検出器29の信頼できる動作が達成される。
【0027】
発生される空気振動43は、少なくとも15,000Hz、例えば、約40,000Hzの周波数を有するのが好ましい。このような周波数の空気振動は、真空掃除機のユーザには、全く又はほとんど聞こえず、さらに15,000Hzに満たない周波数を用いた場合よりも、大幅に優れた識別能力が得られる。真空掃除機に存在する通常の音響源、例えば吸引ユニット7、ブラシ33、及び電気モータ35等は、検出空所47内において、15,000Hz以下の周波数を有する空気振動を発生することを確かめた。振動発生器37が発生する空気振動43は、少なくとも15,000Hzの周波数を有するので、表面タイプ検出器29の動作は、真空掃除機の他のコンポーネントによって発生される空気振動によっては実質上影響されることはない。さらに、振動発生器37が、前記他のコンポーネントの空気振動を打ち消す必要がないため、振動発生器37によって発生される空気振動43の所定の振幅値は、制限された状態を維持し得る。
【0028】
振動発生器37が発生する空気振動43は、ほぼ一定の周波数を有している。しかしながら、表面タイプ検出器29の出力信号UFTは、この場合の振動発生器37及び振動検出器39の温度と、検出空所47の音響部分とに多少左右されることを確かめた。例えば検出空所47の汚れのため、又は吸引ノズル11の下側41と浄化すべき表面5との距離が変化するために、前記音響特性は変化し、このような変化は、たいていは浄化すべき表面5がディープパイルのカーペットである場合に生じがちである。このように他の音響源に依存する状態は、表面タイプ検出器29の信頼性を損ない、且つそれは本発明によれば、振動発生器37が、例えば36,000Hzから40,000Hzまでの範囲のような、所定の範囲内で変化する周波数での空気振動43を発生するように、動作中に制御部材45が振動発生器37を制御することで、斯様な依存性を低減させることができる。そのような変形例では、制御部材45は、振動検出器39の出力信号UDETから、例えば反射された空気振動49の平均振幅値又は最大振幅値を前記範囲内で求め、且つ制御部材45は、こうして求められた平均や最大の振幅値を、浄化すべき表面5の多数の種々のタイプについて制御部材45内に格納されている反射空気振動の振幅値の実験的に確かめた平均値又は最大値と比較する。
【0029】
図4〜8に示す本発明による表面タイプ検出器の第2、第3、第4、第5及び第6の実施例において、上述した表面タイプ検出器29のコンポーネントに対応するものには、同じ参照番号を付して示してある。図4に概略的に示した、本発明による吸引アタッチメント9で使用する、第2の実施例の表面タイプ検出器51においては、振動発生器37及び振動検出器39は、吸引ノズル11の下側41に設けられた凹所53内に収納されている。凹所53を使用することで、表面タイプ検出器51は、上述した表面タイプ検出器29の検出空所47よりも、検出空所55がかなり大きくなる。図4に概略的に示すように、動作中に振動検出器39に達する空気振動57は、浄化すべき表面5によって実質上専ら反射され、且つ検出空所55の壁部によっては実質上反射されなくなる。これにより、振動検出器39に達する空気振動57の振幅値が、検出空所55の壁部の音響特性によってはほとんど影響されなくなり、これにより表面タイプ検出器51の信頼性は向上する。
【0030】
図5に概略的に示す、本発明による吸引アタッチメント9に使用する第3の実施例の表面タイプ検出器59においては、振動発生器37及び振動検出器39は、吸引ノズル11の下側41にて、別個のチャネルタイプのキャビティ61、63の中に各々収納されている。チャネルタイプのキャビティ61、63を使用するため、動作中に、振動発生器37によって発生された空気振動65は、浄化すべき表面5の比較的小さな部分67にほぼ完全に向けられ、前記部分67からほぼ完全に振動検出器39まで反射される。これにより、発生された空気振動65の不所望散乱は、可能な限り防止される。発生された空気振動65のこのような散乱があると、例えば、振動発振器37から振動検出器39への直接クロストークを招くことになり、これは表面タイプ検出器59の信頼性を著しく損ねることになる。
【0031】
図6に概略的に示す、本発明による吸引アタッチメント9に使用する第4の実施例の表面タイプ検出器69においては、振動発生器37及び振動検出器39は、互いに逆向きで、且つ上述した表面タイプ検出器51の場合のように、吸引ノズル11の下側41に設けた凹所71内に配置されている。振動発生器37に隣接して存在する、凹所71の第1側壁73は、表面タイプ検出器69の第1の反射器を成し、この反射器によって、動作中に振動発生器37によって発生される空気振動75は、浄化すべき表面5に反射される。さらに、振動検出器39に隣接して位置する、凹所71の第2側壁77は、表面タイプ検出器69の第2の反射器を成しており、この反射器によって、浄化すべき表面5により反射された空気振動79は、振動検出器39の方へと反射される。前記反射器を使用することによって、振動発生器37及び振動検出器39の相互位置に関して、高い自由度が得られる。図6に示す表面タイプ検出器69においては、この自由度を利用することで、振動発生器37と振動検出器39とを相互に隣接して位置させている。
【0032】
図7に概略的に示す、本発明による吸引アタッチメント9に使用する、第5の実施例の表面タイプ検出器81においては、振動発生器37及び振動検出器39は、上述した表面タイプ検出器51及び69の場合のように、吸引ノズル11の下側41に設けられた凹所83内に配置されている。表面タイプ検出器81の振動発生器37は、動作中、断続的に空気振動85を発生し、すなわちこの発生器は、空気振動85を、毎回短期間に規則的な間隔で発生する。前記時間は充分に短いため、凹所83及び検出空所55内においては、発生された空気振動85と反射される空気振動87との干渉は、ほとんど生じなくなる。発生された空気振動85は、動作中に、振動発生器37から直接浄化すべき表面5に、そして浄化すべき表面5から直接振動検出器39に全てが向けられるのではなく、実際は部分的に他の方向に散乱されるため、振動発生器37が中断なく空気振動85を発生する場合、凹所83及び検出空所55内において、発生された空気振動85と反射された空気振動87との干渉が生じることになる。このような干渉はあるパターンを有し、そのパターンは、例えば、検出空所55の汚れのため、或いは浄化すべき表面5と振動発生器37及び振動検出器39との距離が変動するために生じる、検出空所55の音響特性の比較的小さな変化に伴って、比較的大きく変化してしまう。さらに、前記パターン内で、空気振動の振幅値には相当大きな差異が生じる。従って、このような干渉は、表面タイプ検出器81の正確さ及び信頼性に悪影響を及ぼすことになる。表面タイプ検出器81の振動発生器37は、常に、比較的短期間しか空気振動85を発生しないため、直接発生された空気振動85は、常に、反射される空気振動87が直接発生された空気振動85と干渉し得る前に、すでに消失されてしまう。発生された空気振動85と反射される空気振動87との間の前記不都合な干渉は、かくして実質上抑制されるため、表面タイプ検出器81の信頼性及び正確さは、大幅に改善される。図7に示すように、表面タイプ検出器81には、さらに並列回路89が設けられ、これは、振動発生器37が収納されているキャビティ91と、振動検出器39が収納されているキャビティ93とを接続している。振動発生器37によって発生された空気振動の一部分85’は、動作中、振動発生器37から振動検出器39まで並列回路89を経て直接に、すなわち浄化すべき表面5を介さないで伝えられる。圧電振動発生器37及び圧電振動検出器39は充分に耐久性があり、そして通常の動作状態のもとでは汚染に対して実質上不感応である。しかしながら、圧電振動発生器37及び圧電振動検出器39の特性は、圧電材料のエイジングのため及び温度変動のために変化し得る。並列回路89を使用することで、反射された空気振動87の振幅値(出力信号UDET)と、発生された空気振動85’の元の振幅値(出力信号UDET,0)との双方を、振動検出器39によって測定することができる。このために並列回路89の長さは、元の、断続的に発生される空気振動85’と、反射される空気振動87とが、常に異なる瞬間に振動検出器39に到達するようにしてある。制御部材45は、出力信号UDETとUDET,0との比を決定し、こうして決定した比を、反射される空気振動の振幅値と発生される空気振動の元の振幅値との間の、実験的に確かめた比率と比較する。この実験的に確かめた比率は、多数の様々なタイプの浄化すべき表面5について、制御部材45内に格納されている。前記比率は、温度や、振動発生器37及び振動検出器39の何れのエイジングについてもほぼ無関係であるため、このように並列回路89を使用することで、表面タイプ検出器81の信頼性は一層向上する。
【0033】
図8に概略的に示した、本発明による吸引アタッチメント9にて使用する第6の実施例の表面タイプ検出器95には、圧電振動発生器97が設けられており、これは本来、通常の既知のものであり、且つこれは振動検出器を形成するように切り替えることができる。このように振動発生器97は同時に振動検出器を構成するため、表面タイプ検出器95のコンポーネントの数はかなり減少され、表面タイプ検出器95の構成は著しく単純化される。振動発生器97は、動作中に、上述の表面タイプ検出器81の振動発生器37と同様に、断続的に空気振動99を発生する。短期間中に発生される空気振動99は、常に、主チャネル101を経て浄化すべき表面5に伝えられ、浄化すべき表面5によって反射され、且つ主チャネル101を経て振動発生器97へと逆案内され、その間に振動発生器97は、振動検出器を形成すべく切り替えられる。表面タイプ検出器95には、上述の表面タイプ検出器81のように、並列回路103が設けられている。図8に概略的に示したように、並列回路103はデッドエンドを形成し、そしてこのデッドエンドに隣接して、エンドリフレクタ105が設けられている。動作中、振動発生器97によって短期間中に発生される空気振動の一部分99’は、並列回路103へと案内され、且つ並列回路103のエンドリフレクタ105によって、振動発生器97まで反射され、その間に振動発生器97は、振動検出器を形成すべく切り替えられる。並列回路103の長さは、エンドリフレクタ105によって反射された空気振動107’と、浄化すべき表面5によって反射された空気振動107とが、異なる瞬時に振動発生器97に達するような長さにして、振動発生器97は、上述した表面タイプ検出器81の振動検出器39のように、浄化すべき表面5によって反射された空気振動107の振幅値と、振動発生器97によって発生される空気振動99’の元の振幅値との比率を測定することができるようになる。
【0034】
なお、本発明は、真空掃除機だけでなく、処理すべき表面のタイプを検出するための表面タイプ検出器を具える、様々な種類の電気表面処理デバイスにも関するものである。この例を挙げると、電気磨き機、床用電気モップ、電気スチームクリーナ、及び電気シャンプーデバイスなどがある。本発明による、このような電気表面処理デバイスにおいては、表面タイプ検出機の出力信号は、例えば、表面処理デバイスの動作を制御する電気制御部材に供給される。電気磨きデバイスでは、例えば、磨きデバイスの磨きブラシの回転速度を、表面タイプ検出器の出力信号の関数として制御することができ、また、例えば電気スチームクリーナや電気シャンプーデバイスでは、供給されるべきスチームの量及びシャンプーの量を、それぞれ、表面タイプ検出器の出力信号の関数として制御することができる。
【0035】
上述した真空掃除機はフロアタイプの真空掃除機である。なお本発明は、吸引ノズルがチューブを介してハンドルに結合され、同時に吸引ユニットを内蔵したハウジングが前記チューブに嵌合される、いわゆる縦型掃除機も網羅するものである。また本発明は、例えば、一個又は複数個の吸引アタッチメントを、建物に内蔵した吸引ラインの固定システムの多数の吸引接続ポイントに接続し得る、中央真空掃除設備にも関するものである。
【0036】
さらにまた、上述した振幅値の代わりに、処理すべき表面によって反射される空気振動の、振幅値とは異なる物理量もまた、本発明による振動検出器によって測定し得る。従って、例えば、振動検出器が、処理すべき表面によって反射された空気振動の周波数スペクトルを測定し得るようにもできる。他の例として、振動している空気の粒子の振動速度を測定することもできる。
【0037】
さらに、本発明によれば、表面タイプ検出器は、吸引ノズル11内以外の位置に配置することもできる。従って、例えば、表面タイプ検出器をハウジング1内に設けることもでき、この場合、振動発生器37及び振動検出器39はハウジング1の下側に位置させる。
【0038】
さらにまた、本発明は、使用する表面タイプ検出器が、別個の振動発生器を具えていない電気表面処理デバイスに関するものである。このような例では、表面タイプ検出器の振動検出器は、例えば、処理すべき表面によって反射される空気振動の振幅値を測定するが、その空気振動は、例えば、真空掃除機の吸引ユニットのような、電気表面処理デバイスの他の音響源から派生する。このような空気振動は、しばしば通常の動作状態のもとでは適度に一定の振幅値を有するため、このような例においては、浄化すべき表面のタイプの、適度に信頼性のある測定が得られる。
【0039】
最後に、上述した圧電振動発生器37、97及び圧電振動検出器39の代わりに、例えば、本来、通常の既知のものである電気力学振動発生器及び電気力学振動検出器のような、他のタイプの振動発生器及び他のタイプの振動検出器を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による電気表面処理デバイスを示す概略図である。
【図2】図1の電気表面処理デバイスに使用される本発明によるアタッチメントの吸引ノズルを示す概略図である。
【図3】図2のアタッチメントに使用される表面タイプ検出器の第1の実施例を示す概略図である。
【図4】図2のアタッチメントに使用される表面タイプ検出器の第2の実施例を示す概略図である。
【図5】図2のアタッチメントに使用される表面タイプ検出器の第3の実施例を示す概略図である。
【図6】図2のアタッチメントに使用される表面タイプ検出器の第4の実施例を示す概略図である。
【図7】図2のアタッチメントに使用される表面タイプ検出器の第5の実施例を示す概略図である。
【図8】図2のアタッチメントに使用される表面タイプ検出器の第6の実施例を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理すべき表面のタイプを検出する表面タイプ検出器を具えた電気表面処理デバイスであって、前記表面タイプ検出器は、振動発生器と、前記処理すべき表面によって反射された空気振動を検出し該空気振動の物理量の値を測定する振動検出器とを具え、前記振動検出器は、前記物理量の値によって決定され前記処理すべき表面のタイプの特性を示す出力信号を供給し、前記振動発生器は、動作中に前記空気振動を断続的に発生し、前記表面タイプ検出器は並列回路を具え、前記振動発生器によって発生された前記空気振動の一部が、前記並列回路を経て、前記振動検出器に直接伝えられ、且つ前記並列回路は、前記空気振動の前記一部と前記反射された空気振動とが異なる瞬間に前記振動検出器に到達する長さを有する、電気表面処理デバイス。
【請求項2】
前記振動発生器は、動作中に所定の範囲内で変化する周波数を有する空気振動を発生する、請求項1に記載の電気表面処理デバイス。
【請求項3】
前記振動検出器は、圧電振動検出器を具えている、請求項1に記載の電気表面処理デバイス。
【請求項4】
前記振動発生器は、圧電振動発生器を具えている、請求項1に記載の電気表面処理デバイス。
【請求項5】
前記振動発生器は前記振動検出器を含んでおり、それにより前記振動発生器は前記振動検出器を形成するように切り替え可能である、請求項1に記載の電気表面処理デバイス。
【請求項6】
前記振動発生器と前記振動検出器とが、約90°の角度で互いに対向している、請求項1に記載の電気表面処理デバイス。
【請求項7】
前記表面タイプ検出器は、前記振動発生器によって発生された前記空気振動を、前記処理すべき表面の方に反射させるための第1の反射器と、前記処理すべき表面によって反射された前記空気振動を、前記振動検出器の方に反射させるための第2の反射器とを具えている、請求項1に記載の電気表面処理デバイス。
【請求項8】
前記振動発生器は前記振動検出器を含んでおり、それにより前記振動発生器は前記振動検出器を形成するように切り替え可能であり、前記並列回路は、デッドエンドを有し、且つ該デッドエンド付近に、当該並列回路内に伝えられた前記空気振動を逆反射するためのエンドリフレクタを具えている、請求項1に記載の電気表面処理デバイス。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電気表面処理デバイスにて使用されるアタッチメントであって、前記表面タイプ検出器を具えた吸引ノズルを有する、アタッチメント。
【請求項10】
前記表面タイプ検出器の前記振動発生器及び前記振動検出器が、動作中に、前記処理すべき表面と、前記アタッチメントの前記吸引ノズルの下側とによって画成される検出空所に位置付けられる、請求項9に記載のアタッチメント。
【請求項11】
前記振動発生器及び前記振動検出器が、前記吸引ノズルの前記下側に設けられた凹所の中に位置付けられる、請求項10に記載のアタッチメント。
【請求項12】
前記振動発生器及び前記振動検出器が、前記吸引ノズルの前記下側に設けられた別個のチャネルタイプのキャビティ内に、各々収納されている、請求項10に記載のアタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−50710(P2009−50710A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249909(P2008−249909)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【分割の表示】特願平11−514091の分割
【原出願日】平成10年6月29日(1998.6.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】