説明

顕微鏡用対物レンズ及びそれを備えた顕微鏡装置

【課題】小型、軽量で、安価な、デジタルズームに使用可能な顕微鏡用対物レンズを提供する。
【解決手段】物体側から順に、正パワーの前群と、正パワーの後群とからなり、前群が、物体側から順に、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ成分の第1レンズ群と、少なくとも2つのレンズ成分からなる正パワーの第2レンズ群と、物体側に凸面を向けたメニスカスレンズ成分の負パワーの第3レンズ群とからなり、後群が、物体側から順に、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズ成分の負パワーの第4レンズ群と、正パワーの第5レンズ群とからなり、以下の条件式を満足する。1.75<n1、1.75<n2、0.5<NA<0.7、14<F<22、但し、n1は第1レンズ群内の最も高屈折率のレンズの屈折率、n2は第5レンズ群内の最も高屈折率のレンズの屈折率、NAは開口数、Fは全系の焦点距離。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡用対物レンズ及びそれを備えた顕微鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造した工業製品の検査や病理専門医による細胞診断のため標本の観察を行う場合、まず、10倍程度の低倍率の対物レンズを用いて広い範囲を観察して詳細な観察を要する部位を探知し、その後、40倍程度の高倍率の対物レンズを用いてその部位を拡大して詳細に観察するといった手法がとられている。
【0003】
そのような手法に用いられる顕微鏡装置の一つとしては、光学顕微鏡がある。しかし、一般に用いられているレボルバに対物レンズを複数装着したタイプの光学顕微鏡では、頻繁に観察倍率を切り替えるような場合には、その切り替え操作が煩雑になるという問題があった。そこで、そのような問題を解決するために、レボルバの不要なズーム機能を有する対物レンズが提案されている(特許文献1参照。)。
【0004】
また、他の顕微鏡装置としては、バーチャルスライド作製装置がある。このようなバーチャルスライド作製装置用の対物レンズは、10倍程度の倍率を有する対物レンズに40倍程度の倍率を有する対物レンズと同程度の開口数を持たせたものである(特許文献2、3参照。)。そのような対物レンズにより形成される像を画素数の高いCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子で撮影すれば、10倍〜40倍の中間倍率の画像もデジタルズームにより容易に観察することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4576402号公報
【特許文献2】特開2010−117705号公報
【特許文献3】特開2008−185965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されているようなズーム機能を有する対物レンズは、全長が65mm以上あり、また、ズームカム機構を備えたものであるため、径方向の大きさも大きく、重量も重く、さらには、高価であるという問題があった。
【0007】
また、病理専門医が行う細胞診断のため標本の観察は未だ光学顕微鏡による肉眼観察が主流であり、バーチャルスライド作製装置は高価であるという問題があった。
【0008】
さらには、バーチャルスライド作製装置用の対物レンズを通常の光学顕微鏡に組み込んで観察を行おうとしても、バーチャルスライド作製装置用の対物レンズは高価であり、また、そもそも全長が85mm以上と長いため通常の光学顕微鏡に組み込むこと自体が非常に困難であるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、全長が短く、径方向の大きさも小さく、重量も軽く、安価な、デジタルズームに使用可能な顕微鏡用対物レンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の顕微鏡用対物レンズは、物体側から順に、正の屈折力を持つ前群と、正の屈折力を持つ後群と、からなる顕微鏡用対物レンズにおいて、前記前群が、物体側から順に、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている第1レンズ群と、少なくとも2つのレンズ成分により構成されていて正の屈折力を持つ第2レンズ群と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されていて負の屈折力を持つ第3レンズ群と、からなり、前記後群が、物体側から順に、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されていて負の屈折力を持つ第4レンズ群と、正の屈折力を持つ第5レンズ群と、からなり、以下の条件式を満足することを特徴とする。
1.75<n1
1.75<n2
0.5<NA<0.7
14<F<22
但し、n1は前記第1レンズ群を構成するレンズのうち最も屈折率の高いレンズの屈折率、n2は前記第5レンズ群を構成するレンズのうち最も屈折率の高いレンズの屈折率、NAは開口数、Fは全系の焦点距離である。
【0011】
また、本発明の顕微鏡用対物レンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
D<50
0.25<(h2−h1)/F<0.4
但し、Dは物体面から最も像側のレンズ面までの距離、h2は前記後群の最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さ、h1は前記後群の最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さである。
【0012】
また、本発明の顕微鏡用対物レンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
4.5<D/Ff
但し、Dは物体面から最も像側のレンズ面までの距離、Ffは前記前群の焦点距離である。
【0013】
また、本発明の顕微鏡用対物レンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
50≦D<65
0.19<(h2−h1)/F<0.3
但し、Dは物体面から最も像側のレンズ面までの距離、h2は前記後群の最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さ、h1は前記後群の最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さである。
【0014】
また、本発明の顕微鏡用対物レンズは、以下の条件式を満足することが好ましい。
5<D/Ff
但し、Dは物体面から最も像側のレンズ面までの距離、Ffは前記前群の焦点距離である。
【0015】
また、上記の目的を達成するために、本発明の顕微鏡装置は、上記いずれかの顕微鏡用対物レンズと、前記顕微鏡用対物レンズから出射された光が入射する結像レンズと、前記結像レンズにより形成された像を撮影する固体撮像素子と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の顕微鏡装置は、有効撮像領域に対する前記固体撮像素子の画素数が1000万画素以上であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の顕微鏡装置は、前記結像レンズと前記固体撮像素子との間に配置された光路分割手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、全長が短く、径方向の大きさも小さく、重量も軽く、安価な、デジタルズームに使用可能な顕微鏡用対物レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1に係る顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。
【図2】図1に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。
【図3】図1に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。
【図4】図1に示した顕微鏡装置の結像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図5】図1に示した顕微鏡装置の結像レンズを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。
【図6】図1に示した顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【図7】実施例2に係る顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。
【図8】図7に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。
【図9】図7に示した顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【図10】実施例3に係る顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。
【図11】図10に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。
【図12】図10に示した顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【図13】実施例4に係る顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。
【図14】図13に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。
【図15】図13に示した顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【図16】実施例5に係る顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。
【図17】図16に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。
【図18】図16に示した顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【図19】実施例6に係る顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。
【図20】図19に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。
【図21】図19に示した顕微鏡装置の光学系の収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【図22】実施例7に係る顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる構成及び光路を示す光軸に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の顕微鏡用対物レンズ及びそれを用いた顕微鏡装置の実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果を説明する。なお、本発明の作用効果を具体的に説明するに際しては、本発明の実施形態についても具体的な例を示して説明することになる。しかし、それらの例示される態様は、後述する実施例の場合と同様に、あくまでも本発明に含まれる態様のうちの一部に過ぎず、実際には、数多くのバリエーションが存在する。したがって、本発明は、それらの例示される態様に限定されるものではない。
【0021】
本発明の顕微鏡用対物レンズは、物体側から順に、正の屈折力を持つ前群と、正の屈折力を持つ後群と、からなる顕微鏡用対物レンズにおいて、前群が、物体側から順に、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている第1レンズ群と、少なくとも2つのレンズ成分により構成されていて正の屈折力を持つ第2レンズ群と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されていて負の屈折力を持つ第3レンズ群と、からなり、後群が、物体側から順に、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されていて負の屈折力を持つ第4レンズ群と、正の屈折力を持つ第5レンズ群と、からなり、以下の条件式を満足するように構成する。
1.75<n1 (1)
1.75<n2 (2)
0.5<NA<0.7 (3)
14<F<22 (4)
但し、n1は第1レンズ群を構成するレンズのうち最も屈折率の高いレンズの屈折率、n2は第5レンズ群を構成するレンズのうち最も屈折率の高いレンズの屈折率、NAは開口数、Fは全系の焦点距離である。
【0022】
本発明の顕微鏡用対物レンズは、このような5群からなるレンズ構成とするとともに、条件式(1)、(2)を満足するように構成しているため、従来のバーチャルスライド作製装置用の対物レンズに比べて、対物レンズを構成するレンズ成分を減らすことができ、対物レンズの小型化、軽量化、低コスト化を実現することができる。加えて、条件式(3)、(4)を満足するように構成しているため、諸収差を抑えつつ必要な倍率を確保して、デジタルズームに使用可能な像を得ることができ、ズーム機能を有する対物レンズのようにズームカム機構などを必要としなくなる。なお、レンズ成分とは、1枚の接合レンズ又は1枚の単レンズを意味するものである。
【0023】
なお、条件式(1)、(2)を満足することにより、その条件式を満足するレンズの曲率半径を大きくしつつ、コマ収差の発生を抑え、形成する像の平坦性を十分に確保することができる。この条件式(1)、(2)の下限値を下回ると、発生するコマ収差を対物レンズ全体で補正したとしても、他の収差が悪化し、さらには、形成する像の平坦性が許容できない程度に低下してしまう。
【0024】
また、条件式(3)の下限値を下回ると、解像力が不足してしまう。一方、上限値を上回ると、標本上のカバーガラスの厚みが公差の範囲内であっても、大きな球面収差が発生してしまう。
【0025】
また、条件式(4)の下限値を下回ると、従来の10倍程度の低倍率を有する光学顕微鏡用の対物レンズほど観察視野を確保することができない。一方、上限値を上回ると、デジタルズームによっても40倍程度の高倍率の画像にすることが困難になる。
【0026】
また、本発明の顕微鏡用対物レンズは、以下の条件式を満足するように構成することが好ましい。
D<50 (5−1)
0.25<(h2−h1)/F<0.4 (6−1)
もしくは、以下の条件式を満足するように構成することが好ましい。
50≦D<65 (5−2)
0.19<(h2−h1)/F<0.3 (6−2)
但し、Dは物体面から最も像側のレンズ面までの距離、h2は後群の最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さ、h1は後群の最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さである。
【0027】
対物レンズの全長が、条件式(5−1)を満足する場合、すなわち、対物レンズの物体面から最も像側のレンズ面までの距離が50mm以下である場合には条件式(6−1)を満足するように構成し、条件式(5−2)を満足する場合、すなわち、対物レンズの物体面から最も像側のレンズ面までの距離が50mm以上、かつ、65mm以下である場合には条件式(6−2)を満足するように構成することにより、ペッツバール和を改善し、有効視野における像の平坦性を向上させることができる。なお、「物体面から最も像側のレンズ面までの距離」である「D」とは、カバーガラスの厚さ、ワーキングディスタンス(WD)、対物レンズ全長の総和であり、具体的には、カバーガラスの物体側の面(物体面)から対物レンズの最も像側のレンズ面までの距離である。
【0028】
なお、条件式(6−1)、(6−1)の下限値を下回ると、後群の最も物体側のレンズ面である凹面の負の屈折力が弱くなり、ペッツバール和が大きくなるため、像面湾曲が大きくなり、像の平坦性を向上させることができない。一方、上限値を上回ると、前群の第2レンズ群を通過する際のマージナル光線の高さが低くなり、ペッツバール和が大きくなるため、像面湾曲が大きくなり、像の平坦性を向上させることができない。
【0029】
また、本発明の顕微鏡用対物レンズは、条件式(5−1)、(6−1)を満足する場合には、以下の条件式を満足するように構成することが好ましい。
4.5<D/Ff (7−1)
もしくは、条件式(5−2)、(6−2)を満足する場合には、以下の条件式を満足するように構成することが好ましい。
5<D/Ff (7−2)
但し、Dは物体面から最も像側のレンズ面までの距離、Ffは前群の焦点距離である。
【0030】
条件式(7−1)、(7−2)を満足するように構成すると、0.5以上の開口数を確保することができる。なお、条件式(7−1)、(7−2)の下限値を下回ると、前群の第2レンズ群を通過する際のマージナル光線の高さが低くなるため、球面収差の補正が困難になる。
【0031】
また、本発明の顕微鏡装置は、上記いずれかの顕微鏡用対物レンズと、顕微鏡用対物レンズから出射された光が入射する結像レンズと、結像レンズにより形成された像を撮影する撮像素子と、を備えるように構成する。
【0032】
本発明の顕微鏡用対物レンズは、従来のバーチャルスライド作製装置用の対物レンズに比べて、安価で作製できるものであるため、本発明の顕微鏡用対物レンズを用いたバーチャルスライド作製装置は、従来のものよりも低コストで生産することができる。
【0033】
また、本発明の顕微鏡装置は、有効撮像領域に対する撮像素子の画素数が1000万画素以上であることように構成することが好ましい。
【0034】
エアリー円盤の半径が撮像素子の画素ピッチと等しい場合、像と撮像素子の解像力とが均衡しているということができる(鶴田匡夫著、「第3・光の鉛筆」、新技術コミュニケーションズ、1993年発行、31講、p.387)。
【0035】
この場合に、対物レンズの倍率が10倍、開口数が0.65であるとすると、波長550nmの光により形成される像のエアリー円盤の半径は5μmとなる。これを画素ピッチとし、対角22mm、長辺と短辺の長さの比が4:3となる矩形の有効撮像領域を持つ撮像素子の画素数を算出すると、その画素数は872万画素となる。
【0036】
そのため、有効撮像領域に対する撮像素子の画素数が1000万画素以上のCCDを用いれば、低倍率(例えば、10倍)で撮影した像をデジタルズームにより拡大処理(例えば、4倍)を行って得られた像の解像力を、高倍率(例えば、40倍)の対物レンズで撮影した像の解像力と同程度にすることができる。
【0037】
なお、一般にCCDなどの固体撮像素子は様々なサイズのものがある。そのため、例えば、2/3インチ、対角は11mmのものを用いる場合には、対角22mmのものを用いた場合よりも、0.5倍に像を縮小して投影することになるが、CCD側の射出開口数が2倍、エアリー円盤の半径は半分になるため、必要な画素数は変わらない。
【0038】
また、本発明の顕微鏡装置は、結像レンズと固体撮像素子との間に配置された光路分割手段を備えるように構成することが好ましい。
【0039】
このように構成すれば、バーチャルスライドなどを作製するための撮像と同時に、肉眼による観察を行うことができる。
【0040】
以下に、本発明の対物レンズを用いた顕微鏡装置の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0041】
なお、光学系断面図のr1,r2,・・・及びd1,d2,・・・において下付き文字として示した数字は、数値データにおける面番号1,2,・・・に対応している。
【0042】
また、数値データにおいては、sは面番号、rは各面の曲率半径、dは面間隔、ndはd線(波長587.56nm)における屈折率、νdはd線におけるアッベ数、Kは円錐係数、A4,A6,A8,A10は非球面係数をそれぞれ示している。
【0043】
また、数値データの非球面係数においては、Eは10のべき乗を表している。例えば、「E−01」は、10のマイナス1乗を表している。また、各非球面形状は、数値データに記載した各非球面係数を用いて以下の式で表される。ただし、光軸に沿う方向の座標をZ、光軸と垂直な方向の座標をYとする。
Z=(Y2/r)/[1+{1−(1+k)・(Y/r)21/2
+A44+A66+A88+A1010+・・・
【実施例1】
【0044】
図1〜図6を用いて、本実施例に係る顕微鏡装置について詳細に説明する。
【0045】
なお、図1は、本実施例に係る顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。図2は、図1に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。図3は、図1に示した顕微鏡装置の対物レンズを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。図4は、図1に示した顕微鏡装置の結像レンズの構成を示す光軸に沿う断面図である。図5は、図1に示した顕微鏡装置の結像レンズを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。図6は、図1に示した顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【0046】
本実施例の顕微鏡装置は、図1に示すように、対物レンズと、その対物レンズOLから出射された光が入射する結像レンズILと、結像レンズにより形成された像を撮影する撮像面IMを有する撮像素子と、を備えている。なお、対物レンズOLの物体側には、カバーガラスCGが配置される。
【0047】
対物レンズOLは、図2及び図3に示すように、光軸Lc上に、物体側から順に、前群FGと、後群RGとからなる。
【0048】
前群FGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とからなる。
【0049】
後群RGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とからなる。
【0050】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL11と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL12とにより構成されている。なお、レンズL11とレンズL12とは接合されている。すなわち、第1レンズ群G1は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0051】
第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL21と、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL22と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL23と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL24とにより構成されている。なお、レンズL22とレンズL23とは接合されている。すなわち、第2レンズ群G2は、3つのレンズ成分により構成されている。
【0052】
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL31と、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。すなわち、第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0053】
第4レンズ群G4は、全体として負の屈折力を有し、物体側から順に、物体側に凹面を向けていて負の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL41と、物体側に凹面を向けていて正の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。すなわち、第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0054】
第5レンズ群G5は、全体として正の屈折力を有し、物体側に凹面を向けていて正の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL51により構成されている。
【0055】
結像レンズILは、図5及び図6に示すように、光軸Lc上に、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズLi1と、物体側に凹面を向けていて負の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズLi2と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズLi3と、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズLi4とからなる。なお、レンズLi1とレンズLi2とは接合されており、レンズLi3とレンズLi4とは接合されている。
【0056】
なお、図6に示す収差図は、図1に示すように、対物レンズILの像側30mmの位置に、結像レンズOLを配置した場合に得られる像に係る収差図である。像高は11mmである。
【0057】
次に、本実施例の顕微鏡装置のカバーガラスCG及び対物レンズOLに係る数値データを示す。
【0058】
数値データ1(カバーガラス及び対物レンズ)
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.17 1.521 56
2 ∞ 1.5
3 -5.71 2 1.7174 29.5
4 9.91 4 1.883 40.8
5 -9.37 0.1
6 21.93 4 1.9229 18.9
7 -14.92 1.5
8 -8.77 1.87 1.738 32.3
9 11.3 5.5 1.4388 94.9
10 -15.08 0.1
11 35.14 5 1.5691 71.3
12 -12.95 0.1
13 49.93 5.5 1.4388 94.9
14 -11.37 1.87 1.9229 18.9
15 28.58 4.7
16 -8.8 2 1.6727 32.1
17 -35.99 4.5 1.883 40.8
18 -14.82 0.1
19 -428.81 4 1.9229 18.9
20 -35.65
【0059】
各種データ
対物レンズ全長(mm) : 46.84
カバーガラス厚(mm) : 0.17
ワーキングディスタンス(WD): 1.5
開口数NA : 0.65
焦点距離F(mm) : 18
前群の焦点距離Ff(mm) : 9.48
【0060】
条件式に係るデータ
第1レンズ群G1内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n1 : 1.883
第5レンズ群G5内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n2 : 1.9229
後群RGの最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さh1 : 6.77
後群RGの最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さh2 : 11.7
【0061】
条件式
(1) 1.75<n1 : 1.883
(2) 1.75<n2 : 1.9229
(3) 0.5<NA<0.7 : 0.65
(4) 14<F<22 : 18
(5−1) D<50 : 48.51
(5−2) 50≦D<65 : −
(6−1) 0.25<(h2−h1)/F<0.4 : 0.27
(6−2) 0.19<(h2−h1)/F<0.3 : −
(7−1) 4.5<D/Ff : 5.12
(7−2) 5<D/Ff : −
【0062】
次に、本実施例の顕微鏡装置の結像レンズに係る数値データを示す。
【0063】
数値データ(結像レンズ)
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 58.63 8.9 1.497 81.5
2 -66.81 3.9 1.7205 34.7
3 -877.68 6.04
4 43.62 8.9 1.7234 38
5 -115.79 3.9 1.6134 44.3
6 28
【実施例2】
【0064】
図7〜図9を用いて、本実施例に係る顕微鏡装置について詳細に説明する。なお、本実施例の顕微鏡装置の構成は、対物レンズを除き、実施例1の顕微鏡装置とほぼ同じ構成であるため、対物レンズ以外の構成についての詳細な説明は省略する。
【0065】
なお、図7は、本実施例に係る顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。図8は、図7に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。図9は、図7に示した顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【0066】
対物レンズOLは、図7及び図8に示すように、光軸Lc上に、物体側から順に、前群FGと、後群RGとからなる。
【0067】
前群FGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とからなる。
【0068】
後群RGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とからなる。
【0069】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL11と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL12とにより構成されている。なお、レンズL11とレンズL12とは接合されている。すなわち、第1レンズ群G1は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0070】
第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL21と、物体側に凹面を向けていて負の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL22と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL23とにより構成されている。なお、レンズL21とレンズL22とは接合されている。すなわち、第2レンズ群G2は、2つのレンズ成分により構成されている。
【0071】
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL31と、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。すなわち、第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0072】
第4レンズ群G4は、全体として負の屈折力を有し、物体側から順に、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL41と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。すなわち、第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0073】
第5レンズ群G5は、全体として正の屈折力を有し、像側に凸面向けていて正の屈折力を持つ平凸レンズであるL51により構成されている。
【0074】
次に、本実施例の顕微鏡装置のカバーガラスCG及び対物レンズOLに係る数値データを示す。
【0075】
数値データ2(カバーガラス及び対物レンズ)
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.17 1.521 56
2 ∞ 1.5
3 -8.6 2.5 1.883 40.8
4 23.24 4 1.9229 18.9
5 -11.35 0.1
6 25.99 6 1.4388 94.9
7 -7.35 3 1.738 32.3
8 -11.58 0.1
9 36.26 4.5 1.4388 94.9
10 -19.16 0.1
11 10.66 7 1.4388 94.9
12 -19.3 1.87 1.8052 25.4
13 9.64 5.56
14 -6.92 2 1.7618 26.5
15 69.89 6 1.6779 55.3
16 -13.35 0.1
17 ∞ 4.5 1.8467 23.8
18 -25.17
【0076】
各種データ
対物レンズ全長(mm) : 47.33
カバーガラス厚(mm) : 0.17
ワーキングディスタンス(WD): 1.5
開口数NA : 0.65
焦点距離F(mm) : 18
前群の焦点距離Ff(mm) : 8.345
【0077】
条件式に係るデータ
第1レンズ群G1内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n1 : 1.9229
第5レンズ群G5内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n2 : 1.8467
後群RGの最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さh1 : 5.46
後群RGの最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さh2 : 11.7
【0078】
条件式
(1) 1.75<n1 : 1.9229
(2) 1.75<n2 : 1.8467
(3) 0.5<NA<0.7 : 0.65
(4) 14<F<22 : 18
(5−1) D<50 : 49.0
(5−2) 50≦D<65 : −
(6−1) 0.25<(h2−h1)/F<0.4 : 0.35
(6−2) 0.19<(h2−h1)/F<0.3 : −
(7−1) 4.5<D/Ff : 5.87
(7−2) 5<D/Ff : −
【実施例3】
【0079】
図10〜図12を用いて、本実施例に係る顕微鏡装置について詳細に説明する。なお、本実施例の顕微鏡装置の構成は、対物レンズを除き、実施例1の顕微鏡装置とほぼ同じ構成であるため、対物レンズ以外の構成についての詳細な説明は省略する。
【0080】
なお、図10は、実施例3に係る顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。図11は、図10に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。図12は、図10に示した顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【0081】
対物レンズOLは、図10及び図11に示すように、光軸Lc上に、物体側から順に、前群FGと、後群RGとからなる。
【0082】
前群FGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とからなる。
【0083】
後群RGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とからなる。
【0084】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凹面を向けていて負の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL11と、物体側に凹面を向けていて正の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL12とにより構成されている。なお、レンズL11とレンズL12とは接合されている。すなわち、第1レンズ群G1は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0085】
第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL21と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL22とにより構成されている。すなわち、第2レンズ群G2は、2つのレンズ成分により構成されている。
【0086】
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL31と、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。すなわち、第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0087】
第4レンズ群G4は、全体として負の屈折力を有し、物体側から順に、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL41と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。すなわち、第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0088】
第5レンズ群G5は、全体として正の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL51と、像側に凸面向けていて正の屈折力を持つ平凸レンズであるL52により構成されている。
【0089】
次に、本実施例の顕微鏡装置のカバーガラスCG及び対物レンズOLに係る数値データを示す。
【0090】
数値データ3(カバーガラス及び対物レンズ)
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.17 1.521 56
2 ∞ 1.87
3 -7.25 2.5 1.4875 70.2
4 -37.81 4 1.8503 32.3
5 -11.95 0.18
6 933.98 4.5 1.4388 94.9
7 -11.47 0.5
8 18.3 4.5 1.4388 94.9
9 -24.07 0.1
10 10.83 6 1.4388 94.9
11 -19.32 3 1.738 32.3
12 8.64 4.5
13 -6.68 2 1.738 32.3
14 81.65 6 1.5952 67.7
15 -11.87 0.1
16 532.76 4 1.5952 67.7
17 -65.02 0.21
18 ∞ 4.2 1.8503 32.3
19 -39.15
【0091】
各種データ
対物レンズ全長(mm) : 46.29
カバーガラス厚(mm) : 0.17
ワーキングディスタンス(WD): 1.87
開口数NA : 0.65
焦点距離F(mm) : 18
前群の焦点距離Ff(mm) : 7.53
【0092】
条件式に係るデータ
第1レンズ群G1内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n1 : 1.8503
第5レンズ群G5内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n2 : 1.8503
後群RGの最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さh1 : 5.02
後群RGの最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さh2 : 11.7
【0093】
条件式
(1) 1.75<n1 : 1.8503
(2) 1.75<n2 : 1.8503
(3) 0.5<NA<0.7 : 0.65
(4) 14<F<22 : 18
(5−1) D<50 : 48.33
(5−2) 50≦D<65 : −
(6−1) 0.25<(h2−h1)/F<0.4 : 0.37
(6−2) 0.19<(h2−h1)/F<0.3 : −
(7−1) 4.5<D/Ff : 6.42
(7−2) 5<D/Ff : −
【実施例4】
【0094】
図13〜図15を用いて、本実施例に係る顕微鏡装置について詳細に説明する。なお、本実施例の顕微鏡装置の構成は、対物レンズを除き、実施例1の顕微鏡装置とほぼ同じ構成であるため、対物レンズ以外の構成についての詳細な説明は省略する。
【0095】
なお、図13は、実施例4に係る顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。図14は、図13に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。図15は、図13に示した顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【0096】
対物レンズOLは、図13及び図14に示すように、光軸Lc上に、物体側から順に、前群FGと、後群RGとからなる。
【0097】
前群FGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とからなる。
【0098】
後群RGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とからなる。
【0099】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL11と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL12とにより構成されている。なお、レンズL11とレンズL12とは接合されている。すなわち、第1レンズ群G1は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0100】
第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、物体側から順に、物体側の面が非球面であって物体側に凸面を向けていて負の屈折力をもつメニスカスレンズであるレンズL21と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL22と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL23とにより構成されている。なお、レンズL21とレンズL22とは接合されている。すなわち、第2レンズ群G2は、2つのレンズ成分により構成されている。
【0101】
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL31と、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。すなわち、第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0102】
第4レンズ群G4は、全体として正の屈折力を有し、物体側から順に、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL41と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。すなわち、第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0103】
第5レンズ群G5は、全体として正の屈折力を有し、像側の面が非球面であって正の屈折力を持つ両凸であるレンズL51により構成されている。
【0104】
次に、本実施例の顕微鏡装置のカバーガラスCG及び対物レンズOLに係る数値データを示す。
【0105】
数値データ4(カバーガラス及び対物レンズ)
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.17 1.521 56
2 ∞ 1.59
3 -7.28 2.5 1.883 40.8
4 89.09 4 1.9229 18.9
5 -12.97 0.18
6* 20.22 2.5 1.6134 44.5
7 14.13 6 1.4388 94.9
8 -12.6 0.1
9 16.93 4.5 1.4388 94.9
10 -21.09 0.1
11 15.73 6 1.4388 94.9
12 -44.01 1.87 1.8467 23.8
13 12.48 5.28
14 -7.28 2 1.738 32.3
15 23.91 6.5 1.5952 67.7
16 -20.52 0.1
17 182.24 5 1.8503 32.3
18* -21.13
なお、面番号に「*」を付した面は非球面である。
【0106】
非球面データ
第6面
= -1.0223E+01
4 = -3.8839E-06
6 = -9.0298E-08
第18面
= -4.0189E-01
4 = 4.5272E-06
6 = 1.0812E-08
【0107】
各種データ
対物レンズ全長(mm) : 46.63
カバーガラス厚(mm) : 0.17
ワーキングディスタンス(WD): 1.59
開口数NA : 0.65
焦点距離F(mm) : 18
前群の焦点距離Ff(mm) : 8.91
【0108】
条件式に係るデータ
第1レンズ群G1内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n1 : 1.9229
第5レンズ群G5内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n2 : 1.8503
後群RGの最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さh1 : 5.46
後群RGの最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さh2 : 11.7
【0109】
条件式
(1) 1.75<n1 : 1.9229
(2) 1.75<n2 : 1.8503
(3) 0.5<NA<0.7 : 0.65
(4) 14<F<22 : 18
(5−1) D<50 : 48.39
(5−2) 50≦D<65 : −
(6−1) 0.25<(h2−h1)/F<0.4 : 0.35
(6−2) 0.19<(h2−h1)/F<0.3 : −
(7−1) 4.5<D/Ff : 5.43
(7−2) 5<D/Ff : −
【実施例5】
【0110】
図16〜図18を用いて、本実施例に係る顕微鏡装置について詳細に説明する。なお、本実施例の顕微鏡装置の構成は、対物レンズを除き、実施例1の顕微鏡装置とほぼ同じ構成であるため、対物レンズ以外の構成についての詳細な説明は省略する。
【0111】
なお、図16は、実施例5に係る顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。図17は、図16に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。図18は、図16に示した顕微鏡装置の光学系及びカバーガラスによる収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【0112】
対物レンズOLは、図16及び図17に示すように、光軸Lc上に、物体側から順に、前群FGと、後群RGとからなる。
【0113】
前群FGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とからなる。
【0114】
後群RGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とからなる。
【0115】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL11と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL12とにより構成されている。なお、レンズL11とレンズL12とは接合されている。すなわち、第1レンズ群G1は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0116】
第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL21と、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL22と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL23と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL24とにより構成されている。なお、レンズL22とレンズL23とは接合されている。すなわち、第2レンズ群G2は、3つのレンズ成分により構成されている。
【0117】
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL31と、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。すなわち、第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0118】
第4レンズ群G4は、全体として負の屈折力を有し、物体側から順に、物体側に凹面を向けていて負の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL41と、物体側に凹面を向けていて正の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。すなわち、第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0119】
第5レンズ群G5は、全体として正の屈折力を有し、像側に凸面を向けていて正の屈折力を持つ平凸レンズであるレンズL51により構成されている。
【0120】
次に、本実施例の顕微鏡装置のカバーガラスCG及び対物レンズOLに係る数値データを示す。
【0121】
数値データ5(カバーガラス及び対物レンズ)
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.17 1.521 56
2 ∞ 1.5
3 -7.32 3 1.7174 29.5
4 20.18 5 1.883 40.8
5 -11.81 0.38
6 44.88 5.33 1.9229 18.9
7 -22.13 4.73
8 -11.81 1.87 1.738 32.3
9 35 7 1.497 81.5
10 -14.09 0.13
11 19.76 6 1.497 81.5
12 -33.54 0.37
13 25.31 8 1.4388 94.9
14 -15.22 1.87 1.9229 18.9
15 19.38 6.45
16 -10.78 2 1.4388 94.9
17 -50 5 1.755 52.3
18 -22.35 0.27
19 ∞ 4 1.9229 18.9
20 -40.26
【0122】
各種データ
対物レンズ全長(mm) : 61.40
カバーガラス厚(mm) : 0.17
ワーキングディスタンス(WD): 1.5
開口数NA : 0.65
焦点距離F(mm) : 18
前群の焦点距離Ff(mm) : 9.27
【0123】
条件式に係るデータ
第1レンズ群G1内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n1 : 1.883
第5レンズ群G5内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n2 : 1.9229
後群RGの最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さh1 : 7.44
後群RGの最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さh2 : 11.7
【0124】
条件式
(1) 1.75<n1 : 1.883
(2) 1.75<n2 : 1.9229
(3) 0.5<NA<0.7 : 0.65
(4) 14<F<22 : 18
(5−1) D<50 : −
(5−2) 50≦D<65 : 63.07
(6−1) 0.25<(h2−h1)/F<0.4 : −
(6−2) 0.19<(h2−h1)/F<0.3 : 0.24
(7−1) 4.5<D/Ff : −
(7−2) 5<D/Ff : 6.80
【実施例6】
【0125】
図19〜図21を用いて、本実施例に係る顕微鏡装置について詳細に説明する。なお、本実施例の顕微鏡装置の構成は、対物レンズを除き、実施例1の顕微鏡装置とほぼ同じ構成であるため、対物レンズ以外の構成についての詳細な説明は省略する。
【0126】
なお、図19は、実施例6に係る顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスの構成並びに光路を示す光軸に沿う断面図である。図20は、図19に示した顕微鏡装置の対物レンズ及びカバーガラスを構成するレンズの詳細を示す光軸に沿う断面図である。図21は、図19に示した顕微鏡装置の光学系の収差曲線図であり、(a)は球面収差、(b)は像面湾曲収差(非点隔差)、(c)は歪曲収差、(d)は軸外横収差(コマ収差、倍率色収差)を示している。
【0127】
対物レンズOLは、図19及び図20に示すように、光軸Lc上に、物体側から順に、前群FGと、後群RGとからなる。
【0128】
前群FGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とからなる。
【0129】
後群RGは、全体として正の屈折力を持ち、物体側から順に、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とからなる。
【0130】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL11と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL12とにより構成されている。なお、レンズL11とレンズL12とは接合されている。すなわち、第1レンズ群G1は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0131】
第2レンズ群G2は、全体として正の屈折力を有し、物体側から順に、物体側に凹面を向けていて負の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL21と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL22と、物体側に凹面を向けていて負の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL23と、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL24とにより構成されている。なお、レンズL22とレンズL23とは接合されている。すなわち、第2レンズ群G2は、3つのレンズ成分により構成されている。
【0132】
第3レンズ群G3は、全体として負の屈折力を有し、物体側から順に、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL31と、負の屈折力を持つ両凹レンズであるレンズL32とにより構成されている。なお、レンズL31とレンズL32とは接合されている。すなわち、第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0133】
第4レンズ群G4は、全体として正の屈折力を有し、物体側から順に、物体側に凹面を向けていて負の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL41と、物体側に凹面を向けていて正の屈折力を持つメニスカスレンズであるレンズL42とにより構成されている。なお、レンズL41とレンズL42とは接合されている。すなわち、第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている。
【0134】
第5レンズ群G5は、全体として正の屈折力を有し、正の屈折力を持つ両凸レンズであるレンズL51により構成されている。
【0135】
次に、本実施例の顕微鏡装置のカバーガラスCG及び対物レンズOLに係る数値データを示す。
【0136】
数値データ5(カバーガラス及び対物レンズ)
単位 mm
面データ
面番号 曲率半径 面間隔 屈折率 アッベ数
s r d nd νd
1 ∞ 0.17 1.521 56
2 ∞ 1.5
3 -8.35 1.5 1.755 52.3
4 13.34 4 1.738 32.3
5 -13.8 0.38
6 -35.22 6 1.4388 94.9
7 -13.46 1.65
8 242.32 7 1.4388 94.9
9 -10.75 3 1.5688 56.4
10 -15.85 1.36
11 19.96 6 1.497 81.5
12 -69.84 0.37
13 16.31 8 1.4388 94.9
14 -24.09 1.87 1.738 32.3
15 11.1 7.5
16 -9.97 2 1.7174 29.5
17 -53.34 6 1.618 63.3
18 -16.48 0.27
19 447.48 4.5 1.8081 22.8
20 -40.35
【0137】
各種データ
対物レンズ全長(mm) : 61.40
カバーガラス厚(mm) : 0.17
ワーキングディスタンス(WD): 1.5
開口数NA : 0.65
焦点距離F(mm) : 18
前群の焦点距離Ff(mm) : 11.05
【0138】
条件式に係るデータ
第1レンズ群G1内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n1 : 1.755
第5レンズ群G5内で最も屈折率の高いレンズの屈折率n2 : 1.8081
後群RGの最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さh1 : 7.04
後群RGの最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さh2 : 11.7
【0139】
条件式
(1) 1.75<n1 : 1.755
(2) 1.75<n2 : 1.8081
(3) 0.5<NA<0.7 : 0.65
(4) 14<F<22 : 18
(5−1) D<50 : −
(5−2) 50≦D<65 : 63.07
(6−1) 0.25<(h2−h1)/F<0.4 : −
(6−2) 0.19<(h2−h1)/F<0.3 : 0.26
(7−1) 4.5<D/Ff : −
(7−2) 5<D/Ff : 5.71
【実施例7】
【0140】
図22を用いて、本実施例に係る顕微鏡装置について詳細に説明する。なお、本実施例の顕微鏡装置の構成において、対物レンズ及び結像レンズの構成は、実施例1の顕微鏡装置とほぼ同じ構成であるため、対物レンズ及び結像レンズの構成についての詳細な説明は省略する。
【0141】
なお、図22は、実施例7に係る顕微鏡装置の光学系の構成及び光路を示す光軸に沿う断面図である。
【0142】
本実施例の顕微鏡装置は、結像レンズOLと撮像素子の結像面IMとの間に、光路分割手段である光路分割プリズムPを配置している。さらに、この光路分割プリズムPにより分割された光路上に接眼光学系OCを配置することにより、観察者眼球Eに標本からの光を導くことができる。その結果、この顕微鏡装置では、撮像素子による像の撮影と肉眼による観察の両方を同時に行うことができる。
【0143】
なお、当然のことながら、本実施例の顕微鏡装置に用いる対物レンズは、実施例1に示した対物レンズに限定されるものではなく、本発明に係る対物レンズであれば良い。また、接眼光学系OCを配置せず、CCD専用機として構成しても良い。さらに、光路分割手段はプリズムに限られず、ハーフミラーなどを用いても良い。
【0144】
また、本発明の顕微鏡用対物レンズ及びそれを用いた顕微鏡装置は、以下のように構成しても良い。
【0145】
顕微鏡用対物レンズを構成するレンズは、上記各実施例により示された形状や枚数に限定されるものではない。
【0146】
また、上記各実施例においては配置されていないが、結像レンズと撮像素子の撮像面との間にIRカットコートを施したローパスフィルターなどを配置したりしても良い。
【0147】
また、上記各実施例においては示していないが、撮像素子の画素数は、1000万画素以上とすることが好ましい。
【0148】
また、本実施例の顕微鏡装置に用いることのできるカバーガラスは、上記各実施例において示したものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0149】
CG カバーガラス
E 観察者眼球
IL 結像レンズ
FG 前群
RG 後群
1 第1レンズ群
2 第2レンズ群
3 第3レンズ群
4 第4レンズ群
LC 光軸
11,L12,L21,L22,L23,L24,L31,L32,L41,L42,L51,L52,Li1,Li2,Li3,Li4 レンズ
OC 接眼レンズ
OL 対物レンズ
P 光路分割プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を持つ前群と、正の屈折力を持つ後群と、からなる顕微鏡用対物レンズにおいて、
前記前群が、物体側から順に、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されている第1レンズ群と、少なくとも2つのレンズ成分により構成されていて正の屈折力を持つ第2レンズ群と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されていて負の屈折力を持つ第3レンズ群と、からなり、
前記後群が、物体側から順に、物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズ成分により構成されていて負の屈折力を持つ第4レンズ群と、正の屈折力を持つ第5レンズ群と、からなり、
以下の条件式を満足することを特徴とする顕微鏡用対物レンズ。
1.75<n1
1.75<n2
0.5<NA<0.7
14<F<22
但し、n1は前記第1レンズ群を構成するレンズのうち最も屈折率の高いレンズの屈折率、n2は前記第5レンズ群を構成するレンズのうち最も屈折率の高いレンズの屈折率、NAは開口数、Fは全系の焦点距離である。
【請求項2】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用対物レンズ。
D<50
0.25<(h2−h1)/F<0.4
但し、Dは物体面から最も像側のレンズ面までの距離、h2は前記後群の最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さ、h1は前記後群の最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さである。
【請求項3】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項2に記載の顕微鏡用対物レンズ。
4.5<D/Ff
但し、Dは物体面から最も像側のレンズ面までの距離、Ffは前記前群の焦点距離である。
【請求項4】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用対物レンズ。
50≦D<65
0.19<(h2−h1)/F<0.3
但し、Dは物体面から最も像側のレンズ面までの距離、h2は前記後群の最も像側の面を通過する際のマージナル光線の高さ、h1は前記後群の最も物体側の面を通過する際のマージナル光線の高さである。
【請求項5】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡用対物レンズ。
5<D/Ff
但し、Dは物体面から最も像側のレンズ面までの距離、Ffは前記前群の焦点距離である。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の顕微鏡用対物レンズと、前記顕微鏡用対物レンズから出射された光が入射する結像レンズと、前記結像レンズにより形成された像を撮影する撮像素子と、を備えることを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項7】
有効撮像領域に対する前記撮像素子の画素数が1000万画素以上であることを特徴とする請求項6に記載の顕微鏡装置。
【請求項8】
前記結像レンズと前記撮像素子との間に配置された光路分割手段を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の顕微鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−173491(P2012−173491A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34950(P2011−34950)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】