説明

風向検知システム

【課題】住宅に向かって吹いている風の風向を住宅にいながら知ることが可能で、これにより、外部の自然の風を住宅内に取り入れることに役立つ風向検知システムを提供する。
【解決手段】住宅の外に設置され、該住宅に向かって吹く風の風向の方角を検知する風向検知手段6と、住宅が備えている開閉可能な窓の位置を明示した住宅の間取図を表示する表示画面13を備えたモニタ装置10と、を備えると共に、該モニタ装置10は、風向検知手段6が検知した風向の方角を、住宅に対する風吹込方角として用いると共に、表示画面13に表示された間取図に示されている北の方角に対して適合するように、風吹込方角を示す矢印等の図形を、間取図に重ねて表示画面13に表示するようにして風向検知システム1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に向かって吹いている風の風向を、住宅にいながら知ることが可能な風向検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の住宅において、住宅近傍における地域気象の情報を入手して、洗濯物を室外へ干してもいいかとか、或いは、買い物時に、傘の携帯が必要か否かとかいった判断を行う上で、住宅の居室にいながら、外気温や降雨状況を確認することができれば、便利である。
【0003】
そこで、このような要求に応えるべく、様々な仕組が提案され、使用されている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1は、集合住宅に設置されるインターホン装置に関するもので、このインターホン装置は、気象データを検知する温度センサ、湿度センサ、及び、降雨センサを備えており、住戸の居室端末機を用いて外気温や降雨状況の確認が可能である。
【0004】
又、特許文献2は、門柱に関するもので、この門柱では、門柱本体に雨水の滴下の有無の検出を行う雨センサを設けると共に、太陽電池パネルからの出力で充電される充電装置を設け、この充電装置から雨センサへ給電を行うと共に、雨センサの雨検知情報を、ワイアレス通信回線を介して、建物内の表示手段へ伝達するものである。
【特許文献1】特開2000−174913号公報
【特許文献2】特開平11−270261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、住宅における室内の温度管理は、通常、空調機器により行われ、これにより、快適な室内環境が実現されている。しかしながら、地球温暖化に対する配慮や、省エネの観点からは、空調機器に頼らず、積極的に、外部の自然の風を住宅内に取り入れることが望ましい。
【0006】
このような、外部の自然の風を住宅内に取り入れるには、そのような状況に適した気象状態を把握する必要がある。しかし、普段、住宅内にいながら、住宅の外の風の状態を感じることはできない。又、上述した従来例においても、このような住宅の外の風の状態を住宅内にいる人に知らせるような仕組は、採用されてはいない。
【0007】
この住宅の外の風の状態を、住宅内にいて知る方法としては、例えば、(1)一度外に出てみる。(2)窓(窓のサッシ)を開閉してみる。(3)バルコニーに出てみる。(4)通行人の様子を見る。(5)木々や植栽の様子や雲の動きを見る。といった方法が考えられる。
【0008】
しかし、上記の(1)は、近所の人や他人に会う可能性があるため、着衣の状態に気を使う必要があり、住宅の外の風の状態を知るためだけに、着替え等をするのはわずらわしい。又、時刻によっては、出にくいこともある。
【0009】
又、上記の(2)や(3)は、窓のサッシのそばやバルコニーにおける風しか感じることができない。又、窓(窓のサッシ)やバルコニーが風下であれば、風を感じる可能性が低くなるおそれがある。又、上記の(4)は、そのときに、必ずしも通行人がいるとは限らない。又、上記の(5)は、必ずしも木々や植栽があるとは限らない。又、雲が見えるか否かは、そのときの天気により左右される。従って、住宅全体で見た場合、どの方向からどの程度の風が吹いているかを判断するのは、容易ではない場合が多い。
【0010】
そこで、この発明は、上記のような状況に対処するためになされたものであって、住宅に向かって吹いている風の風向や風速を、住宅にいながら知ることが可能で、これにより、外部の自然の風を住宅内に取り入れることに役立つ風向検知システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の風向検知システムは、住宅の外に設置され、該住宅に向かって吹く風の風向の方角を検知する風向検知手段と、住宅が備えている開閉可能な窓の位置を明示した住宅の間取図を表示する表示画面を備えたモニタ装置と、を備えるシステムである。
【0012】
上記の風向検知システムでは、モニタ装置は、風向検知手段が検知した風向の方角を、住宅に対する風吹込方角として用いると共に、表示画面に表示された間取図に示されている北の方角に対して適合するように、風吹込方角を示す矢印等の図形を、間取図に重ねて表示画面に表示することを特徴としている。
【0013】
それ故、モニタ装置の表示画面を見ることにより、住宅に向かって吹く風の風向の方角を、住宅の間取図との関係で、容易に知ることができる。そのため、外部の自然の風を住宅内に取り入れるには、どの窓を開けたらよいかを、容易に知ることができ、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのを、容易に行うことができる。
【0014】
上記の風向検知システムにおいて、住宅の外に設置され、該住宅に向かって吹く風の風速を検知する風速検知手段を備えると共に、モニタ装置は、該風速検知手段が検知した風速を、図形と共に、表示画面に表示するようにしてもよい。
【0015】
このようにすることにより、住宅に向かって吹く風の風向の方角のみならず、その風速をも知ることができるので、外部の自然の風を住宅内に取り入れる判断を、容易に行うことができる。
【0016】
又、上記の風向検知システムを、次のように構成してもよい。即ち、風吹込方角の風を、住宅外から該住宅内へ吹込ませるのに最適な窓を、住宅が備える開閉可能な窓の中から選択して、最適窓とすると共に、該最適窓に該当する住宅の間取図上の窓を、それ以外の窓と区別できるように、例えば、当該最適窓を点滅表示する等して、表示画面に表示するようにするのである。
【0017】
このようにすることにより、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのに最適な窓がどれであるかが容易に分かるので、当該最適な窓を開くことによって、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのを、容易に行うことができる。
【0018】
上記の風向検知システムにおいて、最適な窓を住宅が備える開閉可能な窓の中から選択する具体的な方法としては、例えば、次のような方法がある。即ち、上記の風向検知システムのモニタ装置に、東西南北の方角を分割した各方角域に含まれる方角の風を、住宅外から該住宅内へ吹込ませるのにもっとも最適な窓として、住宅が備える開閉可能な窓の中から抽出した窓を、各方角域と対応付けて構成された風吹込窓情報を備えるようにする。
【0019】
そして、モニタ装置は、風向検知手段が検知した風向の方角である風吹込方角の方角が含まれる方角域と対応付けられている窓を、風吹込窓情報の中から選択して、最適窓とするのである。
【0020】
このようにすることにより、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのに最適な窓がどれであるかを判断可能な風向検知システムを、容易に構築することができ、このシステムを用いて、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのを容易に行うことができる。
【0021】
上記の風吹込窓情報を備える風向検知システムにおいて、風吹込窓情報を構成している窓は、住宅へ風を吹込ませるときの該風の入口となる窓、又は、住宅へ風を吹込ませるときの該風の入口となる窓、及び、該風の出口となる窓の双方とするのが好適である。
【0022】
又、上記の風向検知システムを、次のように構成するようにしてもよい。即ち、住宅が備える開閉可能な窓には、開指令を受けると、自動的に開く窓開手段を備えるようにする。そうしておいて、モニタ装置は、上記の最適窓として選択された窓に備えられている窓開手段に対して、開指令を送るようにするのである。
【0023】
このようにすることにより、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのに最適な窓を、自動的に開けることができ、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのを、容易に行うことができる。
【0024】
又、住宅が備える開閉可能な窓に窓開手段を備えた上記の風向検知システムに、さらに、住宅の外に設置され、該住宅に向かって吹く風の風速を検知する風速検知手段を備えるようにしてもよい。
【0025】
この場合には、モニタ装置は、風速検知手段が検知した風速が一定風速以下である場合に、最適窓に備えられている窓開手段に対して、開指令を送るようにするのである。
【0026】
このようにすることにより、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのに対して、風速が大きすぎて、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのが最適とはいえない場合には、窓を開けないようにすることができる。
【0027】
又、上記の風向検知システムにおいて、風向検知手段、及び、風速検知手段を、複数用いるようにしてもよい。この場合は、具体的には、例えば、風向検知手段と、住宅に向かって吹く風の風速を検知する風速検知手段との一対を一組として、複数組が、住宅の外に設置する。
【0028】
そして、モニタ装置は、複数組の内の風速検知手段の中で、最も大きい風速を検知した風速検知手段と組となっている風向検知手段が検知した風向の方角を、風吹込方角とするようにするのである。
【0029】
風向検知手段や、風速検知手段を、1つしか使用しない場合は、住宅に向かって吹くいかなる方角からの風も検知できるようにするために、これらの風向検知手段や、風速検知手段を、屋根の上や、屋根の上以外の場合には、屋根よりも高い位置に設置する必要があり、設置工事に手間とコストが必要となる。
【0030】
しかし、上記のようにすることにより、設置工事にかかる手間とコストを抑制しつつ、風向検知システムを容易に構築することができ、このシステムを用いて、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の風向検知システムによれば、モニタ装置は、風向検知手段が検知した風向の方角を、住宅に対する風吹込方角として用いると共に、表示画面に表示された間取図に示されている北の方角に対して適合するように、風吹込方角を示す矢印等の図形を、間取図に重ねて表示画面に表示することができる。
【0032】
それ故、モニタ装置の表示画面を見ることにより、住宅に向かって吹く風の風向の方角を、住宅の間取図との関係で、容易に知ることができる。そのため、外部の自然の風を住宅内に取り入れるには、どの窓を開けたらよいかを、容易に知ることができ、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのを、容易に行うことができる。
【0033】
又、風吹込方角の風を、住宅外から該住宅内へ吹込ませるのに最適な窓を、住宅が備える開閉可能な窓の中から選択して、最適窓とすると共に、該最適窓に該当する住宅の間取図上の窓を、それ以外の窓と区別できるように、例えば、当該最適窓を点滅表示する等して、表示画面に表示することができる。
【0034】
そのため、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのに最適な窓がどれであるかが容易に分かるので、当該最適な窓を開くことによって、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのを、容易に行うことができる。
【0035】
又、住宅が備える開閉可能な窓には、開指令を受けると自動的に開く窓開手段を備えるようにすると共に、モニタ装置は、上記の最適窓として選択された窓に備えられている窓開手段に対して、開指令を送るようにすることができる。
【0036】
そのため、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのに最適な窓を、自動的に開けることができ、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのを、容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、本発明の実施の形態における風向検知システムについて、図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施の形態における風向検知システムは、風向の検知と共に、風速の検知も同時に行っている。そこで、本実施の形態における風向検知システムを、以下、風向風速検知システムと称する。本実施の形態における風向風速検知システムとしては、実施の形態1、実施の形態2、及び、実施の形態3の各風向風速検知システムについて説明する。
【0038】
<実施の形態1>
最初に、実施の形態1における風向風速検知システム1について説明する。図1は、実施の形態1における風向風速検知システム1の構成を示したブロック図である。図1において、実施の形態1における風向風速検知システム1は、住宅の外に設置され、該住宅に向かって吹く風の風向の方角、及び、風速を検知する風向風速センサ6と、住宅の内に設置され、住宅の間取図を表示する表示画面を備えたモニタ装置10とで構成される。
【0039】
図2は、この風向風速検知システムに用いられる風向風速センサ6が、住宅5に設置された例を示した住宅5の外観図である。風向風速センサ6は、風向や風速を検知するのに障害となるようなものが近くに存在しないようにするために、図2に示すように、住宅5の屋根の上等に設置されるのが一般である。
【0040】
この風向風速センサ6は、風向や風速を検知するのに障害となるようなものが近くに存在しない状態であれば、独立したポールを用いて設置してもよい。
【0041】
風向風速センサ6は、住宅5に向かって吹く風の風向の方角、及び、風速を検知するセンサである。この風向風速センサ6としては、多様な種類のセンサが製作されている。例えば、形状がシンプルな風向風速センサ6として、同一平面状に、相互に等間隔で配置された3個の超音波トランスジューサを備えた風向風速センサ6が、よく用いられる。
【0042】
この3個の超音波トランスジューサを備えた風向風速センサ6では、これらの3個の超音波トランスジューサ相互間で、相互に相手の超音波トランスジューサが発信する超音波の到着時間を測定することにより、風向の方角、及び、風速を検知する。
【0043】
モニタ装置10は、図1において、CPU11、メモリ12、表示部13、タッチパネル14、LANI/F15、内部バスライン16、及び、LANライン17で構成される。
【0044】
この内、CPU11は、マイクロプロセッサーで構成されている。メモリ12は、フラッシュメモリで構成されており、OSや各種プログラム等のソフトウエアが搭載されている。CPU11は、これらのソフトウエアにより動作する。このメモリ12は、CPU11のワーキングエリアとしても用いられる。又、メモリ12には、住宅5の間取図の情報が、収納されている。
【0045】
表示部13は、LCD等で構成されており、上記の風向風速検知システム1における各種の情報等の表示に用いられる。タッチパネル14は、入力部として用いられ、表示部13に重ねて設置されており、表示部13にスイッチマーク等、パネルスイッチとして表示される部分と重なるタッチパネル14の部分に、指等で触れることにより、入力を行うことができる。
【0046】
LANI/F15は、モニタ装置10が、LAN(Local Area Network)ライン17に接続されたセンサ等と信号やデータを送受信するのに用いられるインターフェイスである。上記の風向風速センサ6は、LANライン17に接続されており、風向風速センサ6の出力は、LANI/F15を介してCPU11に伝えられる。
【0047】
尚、風向風速センサ6が検知した風向の方角を、本実施の形態(実施の形態1〜実施の形態3)では、前記住宅に対する風吹込方角と称する。これは、本実施の形態における風向検知システムでは、外部の自然の風を住宅内に取り入れることに役立つことを、目的としているからである。
【0048】
又、本実施の形態(実施の形態1〜実施の形態3)では、風向風速センサ6の風向出力である風吹込方角は、北の方向を、方角0°として、この北の方向に対して、風が吹いてくる方向と、この北の方向との間の角度で表され、この角度の単位に(°)を用いている。又、風速の出力は、単位がm/分の数値で表される。
【0049】
次に、実施の形態1における風向風速検知システム1の動作について説明する。図3は、実施の形態1の風向風速検知システム1におけるモニタ装置10の表示部13の表示画面の例を示した画面図である。
【0050】
尚、図3において、モニタ装置10の表示部13の表示画面の左上には、「設定」用のパネルスイッチ30が設けられている。このパネルスイッチ30は、各種設定を行う設定画面(図示されていない)に移行するパネルスイッチで、この設定画面により、各種の設定を行うことができる。
【0051】
住宅5は、2階建てである。そこで、モニタ装置10の表示部13の表示画面には、「1階」及び「2階」を示すパネルスイッチが設けられており、「1階」にタッチすると、メモリ12に収納されている住宅5の間取図の情報に基づいて、図3に示すように、1階の間取図が表示される。又、「2階」にタッチすると、2階の間取図が表示される(図示されていない)。これらの間取図には、住宅5の北の方角が、北方角矢印31で示されている。
【0052】
上述したように、住宅5の屋根の上に設置された風向風速センサ6からは、風向風速センサ6が検知した風向の方角である風吹込方角、及び、風速が出力される。この出力された風吹込方角、及び、風速は、LANI/F15を介して、モニタ装置10へ入力される。すると、モニタ装置10では、この風吹込方角、及び、風速が、モニタ装置10の表示部13の表示画面に表示される。
【0053】
即ち、風吹込方角は、風が吹いてくる方向と、北の方向との間の角度(°)で表される。そこで、この風吹込方角を、モニタ装置10の表示部13の表示画面に表示されている間取図の北の方角に対して、風向風速センサ6の出力である風吹込方角の角度(°)だけ傾けた風吹込方角矢印34で表すと共に、図3に示すように、間取図に重ねて表示画面に表示する。これは、2階の間取図が表示される(図示されていない)場合も同様である。
【0054】
又、風速は、横長形状で、内部に横1列の5個のブロックを並べた風速インジケータ35で表示する。この5個のブロックは、左から順に、「風速5m/分以下」、「風速5m/分〜風速10m/分」、「風速10m/分〜風速15m/分」、「風速15m/分〜風速20m/分」、「風速20m/分以上」を表している。
【0055】
これらのブロックに対して、風向風速センサ6から出力された風速の値が含まれるブロックが点灯することにより、風速を表示する。図3では、風速が、「風速10m/分〜風速15m/分」であることを表している。風速の表示の方法としては、上記の風速インジケータ35を用いるほかに、風向風速センサ6から出力された風速の値を、そのまま表示するようにしてもよい。或いは、矢印の大きさや、矢印の本数を用いて表示するようにしてもよい。
【0056】
上記の風向風速検知システム1によれば、モニタ装置10は、風向風速センサ6が検知した風向の方角を、住宅5に対する風吹込方角として用いると共に、モニタ装置10の表示部13の表示画面に表示された間取図に示されている北の方角に対して適合するように、風吹込方角を示す図形である風吹込方角矢印34を、間取図に重ねて表示画面に表示することができる。
【0057】
それ故、モニタ装置10の表示部13の表示画面を見ることにより、住宅5に向かって吹く風の風向の方角を、住宅5の間取図との関係で、容易に知ることができる。そのため、外部の自然の風を住宅5内に取り入れるには、どの窓を開けたらよいかを、容易に知ることができ、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのを、容易に行うことができる。
【0058】
又、風向風速センサ6が風速を検知してモニタ装置10の表示部13の表示画面に表示するので、住宅5に向かって吹く風の風向の方角のみならず、その風速をも知ることができる。従って、外部の自然の風を住宅5内に取り入れる判断を、容易に行うことができる。
【0059】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2における風向風速検知システム2について説明する。実施の形態2における風向風速検知システム2の構成は、実施の形態1における風向風速検知システム1と全く同じである。即ち、実施の形態2における風向風速検知システム2のブロック図としては、図1のブロック図が用いられる。尚、図7は、この実施の形態2の風向風速検知システムにおけるモニタ装置の表示部の表示画面図である。
【0060】
実施の形態2における風向風速検知システム2では、上述したように、システムのブロック図として、図1のブロック図が用いられる。従って、実施の形態2の風向風速検知システム2における風吹込方角、及び、風速の表示は、実施の形態1における風向風速検知システム1と全く同じである。即ち、風吹込方角の表示は、風吹込方角矢印34で表されると共に、風速の表示は、風速インジケータ35で表される。
【0061】
実施の形態2における風向風速検知システム2が、実施の形態1における風向風速検知システム1と異なるのは、上述した風吹込方角の風を、住宅5外から該住宅5内へ吹込ませるのにもっとも最適な窓を、住宅5が備える開閉可能な窓の中から選択して、最適窓とすると共に、該最適窓に該当する住宅5の間取図上の窓を、それ以外の窓と区別できるようにして、モニタ装置10の表示部13の表示画面に表示する点である。次に、この点について説明する。
【0062】
住宅5が備える開閉可能な窓には、例えば、図4に示すように、識別番号を付与する。これらの識別番号が付与された住宅5の間取図上の窓は、それぞれ、モニタ装置10の表示部13の表示画面上で、独立して点滅表示を行わせることができるようになっている。
【0063】
又、風向風速センサ6の風向の出力である風吹込方角を、東西南北の方角を分割して各方角域に分類する。即ち、図5に示すように、「北」、「北東」、「東」、「南東」、「南」、「南西」、「西」、及び、「北西」に分類する。これらの各方角域を、北の方向との間の角度(°)で表すと、図5に示すようになる。
【0064】
その上で、風向風速センサ6の風向の出力である風吹込方角が含まれる上記の各方角域の風が吹いた場合に、当該風を住宅5内へ吹込ませるのに最適な窓である最適窓を、住宅5が備える開閉可能な窓の中から選択して、上記の各方角域と対応させた風吹込窓情報テーブルを作成する。図6は、この風吹込窓情報テーブルの例を示したものである。この風吹込窓情報テーブルの内容は、上述した設定画面(図示されていない)により、変更することができる。
【0065】
上記の風吹込窓情報テーブルにおいて、住宅5内へ吹込ませるのに最適な窓である最適窓としては、風入口窓と、風出口窓とがあり、図6の風吹込窓情報テーブルには、この双方が記載されている。しかし、風入口窓のみとするようにしてもよい。
【0066】
次に、実施の形態2における風向風速検知システム2の動作について説明する。図7は、実施の形態2の風向風速検知システム2におけるモニタ装置10の表示部13の表示画面の例を示した画面図である。
【0067】
図7において、パネルスイッチ30、北方角矢印31、パネルスイッチ32、パネルスイッチ33、風吹込方角矢印34、及び、風速インジケータ35については、実施の形態1における風向風速検知システム1と全く同じである。
【0068】
風向風速検知システム2では、風向風速センサ6が風向の方角を検知して風吹込方角を出力すると、モニタ装置10では、CPU11が、図6の風吹込窓情報テーブルにアクセスする。そして、風向風速センサ6が出力した風吹込方角が含まれる方角域を抽出すると共に、この方角域に対応して記載されている最適窓である風入口窓、及び、風出口窓を抽出する。そして、さらに、この抽出された風入口窓、及び、風出口窓を、モニタ装置10の表示部13の表示画面に表示されている間取図上で、点滅表示させる。これは、2階の間取図が表示される(図示されていない)場合も同様である。
【0069】
図7では、風向風速センサ6が出力した風吹込方角が、約252°の風に対する例を示したものである。図6の風吹込窓情報テーブルにおいて、風吹込方角が、252°の風は、風吹込方角種類が西である。又、この風吹込方角種類が西に対応する最適窓である風入口窓は、#4と、#5であり、風出口窓は、#1である。そこで、図7では、間取図上において、#4、#5、及び、#1の窓が点滅表示される。
【0070】
上記の風向風速検知システム2によれば、風吹込方角の風を、住宅5外から該住宅5内へ吹込ませるのに最適な窓を、住宅5が備える開閉可能な窓の中から選択して、最適窓とすると共に、該最適窓に該当する住宅5の間取図上の窓を、それ以外の窓と区別できるように、例えば、当該最適窓を点滅表示する等して、モニタ装置10の表示部13の表示画面に表示することができる。
【0071】
そのため、外部の自然の風を住宅5内に取り入れるのに最適な窓がどれであるかが容易に分かるので、当該最適な窓を開くことによって、外部の自然の風を住宅5内に取り入れるのを、容易に行うことができる。
【0072】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3における風向風速検知システム3について説明する。実施の形態3における風向風速検知システム3は、実施の形態2における風向風速検知システム2に、最適窓の自動開機能を付加したものである。
【0073】
図8は、実施の形態3における風向風速検知システム3の構成を示したブロック図である。このブロック図は、図1の実施の形態1における風向風速検知システム1のブロック図において、LANライン17に、住宅5の開閉可能な窓にそれぞれ対応する、当該窓の窓自動開閉装置21を接続したものである。この風向風速検知システム3では、住宅5の開閉可能な窓は、モニタ装置10から、当該窓の開指令を受けると、当該窓は、自動的に開くようになっている。
【0074】
そこで、風向風速検知システム3では、風向風速センサ6が風向の方角を検知して風吹込方角を出力すると、風向風速検知システム2と同様、モニタ装置10では、図6の風吹込窓情報テーブルにアクセスする。そして、風向風速センサ6が出力した風吹込方角が含まれる方角域を抽出すると共に、この方角域に対応して記載されている最適窓である風入口窓、及び、風出口窓を抽出する。そして、さらに、この抽出された最適窓である風入口窓、及び、風出口窓を、モニタ装置10の表示部13の表示画面に表示されている間取図上で、点滅表示させる。
【0075】
そして、上記の最適窓の点滅と同時に、当該最適窓の窓自動開閉装置21に対して、当該最適窓の開指令を発することにより、当該最適窓を開くのである。これは、2階の間取図が表示される(図示されていない)場合も同様である。
【0076】
図9は、実施の形態3の風向風速検知システム3におけるモニタ装置10の表示部13の表示画面の例を示した画面図である。図9では、実施の形態2における風向風速検知システム2の図7で示すモニタ装置10の表示部13の表示画面に加えて、パネルスイッチ36,37が追加表示されている。
【0077】
この内、パネルスイッチ36は、住宅5に備えられている開閉可能な全ての窓を開く「全窓開」用のスイッチである。又、パネルスイッチ37は、住宅5に備えられている開閉可能な全ての窓を閉じる「全窓閉」用のスイッチである。
【0078】
上記の「全窓閉」スイッチは、風向風速検知システム3において、自動的に開かれた最適窓を閉じる場合に用いられる。又、上記の「全窓閉」スイッチは、風向風速検知システム3における最適窓の窓自動機能にかかわらず、住宅5に備えられている開閉可能な全ての窓を開く場合に用いられる。
【0079】
上記の風向風速検知システム3では、最適窓を自動的に開く風速の範囲を予め設定しておくことができる。この最適窓を自動的に開く風速の範囲は、上述した設定画面(図示されていない)により、設定することができる。
【0080】
例えば、この最適窓を自動的に開く風速の範囲を、1m/分〜20m/分としておくと、風向風速センサ6が出力した風速が、上記の1m/分〜20m/分の範囲である場合に、最適窓が自動的に開かれる。又、風向風速センサ6が出力した風速が、上記の1m/分〜20m/分の範囲を外れていると、最適窓は開かれない。又、一旦、開かれた最適窓に対して、風向風速センサ6が上記の1m/分〜20m/分の範囲を外れた風速を出力すると、最適窓は自動的に閉じられる。
【0081】
このように、最適窓が自動的に開かれる風速を、一定範囲に限るのは、特に、風速が大きい場合、風速が大きすぎて、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのが最適とはいえない場合を考慮して、窓を開けないようにするためである。
【0082】
上記の風向風速検知システム3によれば、住宅5に備えられている開閉可能な窓には、開指令を受けると、自動的に開く窓自動開閉装置21を備えている。そして、モニタ装置10は、上記の最適窓として選択された窓に備えられている窓自動開閉装置21に対して、開指令を送るので、上記の最適窓として選択された窓を自動的に開くことができる。
【0083】
従って、外部の自然の風を住宅5内に取り入れるのに最適な窓を、自動的に開けることができ、外部の自然の風を住宅5内に取り入れるのを、容易に行うことができる。
【0084】
上記の実施の形態1〜実施の形態3では、住宅5における風向、及び、風速を検知するのに、1個の風向風速センサ6を使用している。この場合は、上述したように、風向や風速を検知するのに障害となるようなものが近くに存在しないようにするために、1個の風向風速センサ6を、図2に示すように、屋根の上等に設置されるのが一般である。
【0085】
しかし、複数の風向風速センサ6を用いることもできる。この場合は、それぞれの風向風速センサ6に、風向や風速を検知するのに障害となるようなものが近くに存在しても、風向風速センサ6それぞれでは、障害物による風向や風速の検知の障害となる方角が重ならなければ、複数の全ての風向風速センサ6の出力を用いることにより、上記と同様の結果を得ることができる。例えば、住宅5の四隅の外部に、4個の風向風速センサ6を設置するようにするのである。
【0086】
この複数の風向風速センサ6の出力を用いる方法としては、複数の風向風速センサ6の中で、最も大きい風速を検知した風向風速センサ6の出力を用いるようにするのである。
【0087】
1個の風向風速センサ6を、上述したように、住宅5の屋根の上等に設置するのは、設置工事に手間とコストが必要となる。しかし、上記のようにすることにより、設置工事にかかる手間とコストを抑制しつつ、風向検知システムを容易に構築することができ、このシステムを用いて、外部の自然の風を住宅内に取り入れるのを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施の形態1における風向風速検知システムの構成を示したブロック図である。
【図2】実施の形態1における風向風速検知システムの風向風速センサが、住宅に設置された例を示した住宅の外観図である。
【図3】実施の形態1における風向風速検知システムのモニタ装置の表示部の表示画面図である。
【図4】実施の形態2における風向風速検知システムの住宅に備えられた窓の識別番号を示した間取図である。
【図5】実施の形態2における風向風速検知システムの風吹込方角を分割して形成された各方角域を示した説明図である。
【図6】実施の形態2における風向風速検知システムの風吹込窓情報を示した風吹込窓情報テーブルである。
【図7】実施の形態2の風向風速検知システムにおけるモニタ装置の表示部の表示画面図である。
【図8】実施の形態3における風向風速検知システムの構成を示したブロック図である。
【図9】実施の形態3の風向風速検知システムにおけるモニタ装置の表示部の表示画面図である。
【符号の説明】
【0089】
1 風向風速検知システム
2 風向風速検知システム
3 風向風速検知システム
5 住宅
6 風向風速センサ
10 モニタ装置
11 CPU
12 メモリ
13 表示部
14 タッチパネル
15 LANI/F
16 内部バスライン
17 LANライン
21 窓自動開閉装置
30 パネルスイッチ
31 北方角矢印
32 パネルスイッチ
33 パネルスイッチ
34 風吹込方角矢印
35 風速インジケータ
36 パネルスイッチ
37 パネルスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の外に設置され、該住宅に向かって吹く風の風向の方角を検知する風向検知手段と、
前記住宅が備えている開閉可能な窓の位置を明示した前記住宅の間取図を表示する表示画面を備えたモニタ装置と、を備えると共に、
該モニタ装置は、前記風向検知手段が検知した風向の方角を、前記住宅に対する風吹込方角として用いると共に、前記表示画面に表示された前記間取図に示されている北の方角に対して適合するように、前記風吹込方角を示す矢印等の図形を、前記間取図に重ねて前記表示画面に表示することを特徴とする風向検知システム。
【請求項2】
請求項1記載の風向検知システムにおいて、
住宅の外に設置され、該住宅に向かって吹く風の風速を検知する風速検知手段を備えると共に、
前記モニタ装置は、該風速検知手段が検知した風速を、前記図形と共に、前記表示画面に表示する風向検知システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の風向検知システムにおいて、
前記モニタ装置は、
前記風吹込方角の風を、前記住宅外から該住宅内へ吹込ませるのにもっとも最適な窓を、前記住宅が備える前記開閉可能な窓の中から選択して、最適窓とすると共に、該最適窓に該当する前記住宅の間取図上の窓を、それ以外の窓と区別できるようにして、前記表示画面に表示する風向検知システム。
【請求項4】
請求項3記載の風向検知システムにおいて、
前記モニタ装置は、
東西南北の方角を分割した各方角域に含まれる方角の風を、前記住宅外から該住宅内へ吹込ませるのに最適な窓として、前記住宅が備える前記開閉可能な窓の中から抽出された窓を、各前記方角域と対応付けて構成された風吹込窓情報を備えると共に、
前記風吹込方角の方角が含まれる前記方角域と対応付けられている前記窓を、前記風吹込窓情報の中から選択して、前記最適窓とする風向検知システム。
【請求項5】
請求項4記載の風向検知システムにおいて、
前記風吹込窓情報を構成している前記窓は、前記住宅へ風を吹込ませるときの該風の入口となる窓である風向検知システム。
【請求項6】
請求項4記載の風向検知システムにおいて、
前記風吹込窓情報を構成している前記窓は、前記住宅へ風を吹込ませるときの該風の入口となる窓、及び、該風の出口となる窓である風向検知システム。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の風向検知システムにおいて、
前記住宅が備える開閉可能な窓は、開指令を受けると、自動的に開く窓開手段を備えていると共に、
前記モニタ装置は、前記最適窓に備えられている前記窓開手段に対して、前記開指令を送る風向検知システム。
【請求項8】
請求項7記載の風向検知システムにおいて、
前記住宅の外に設置され、該住宅に向かって吹く風の風速を検知する風速検知手段を備えると共に、
前記モニタ装置は、前記風速検知手段が検知した風速が一定風速以下である場合に、前記最適窓に備えられている前記窓開手段に対して、前記開指令を送る風向検知システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の風向検知システムにおいて、
前記風向検知手段と、前記住宅に向かって吹く風の風速を検知する風速検知手段との一対を一組として、複数組が、前記住宅の外に設置され、
前記モニタ装置は、前記複数組の内の前記風速検知手段の中で、最も大きい風速を検知した風速検知手段と組となっている風向検知手段が検知した風向の方角を、前記風吹込方角とする風向検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−48677(P2010−48677A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213332(P2008−213332)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】