説明

風呂装置

【課題】 循環配管からの冷水吐出の防止を図りつつも、しかも、風呂装置側の温度センサを用いた間接的な検出手法を採用しつつも、追い焚き開始時の浴槽温度を正確に検出し得る風呂装置を提供する。
【解決手段】 追い焚き要求が出力されれば、循環ポンプをONに、燃焼バーナをONにして予備循環・加熱を開始する(S1)。予め定めた設定時間St内の範囲で(S4でYES)、検出戻り温度が急上昇したこと(S5でYES)、その上昇勾配が“急”から“緩”に変化したこと(S6でYES)の温度変化条件の成立をもって、予備循環・加熱を停止し(S7)、その状態で検出された戻り温度を追い焚き開始時の浴槽温度(浴槽内の湯水温度)と設定し(S8)、以後、これを基準にして追い焚きする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽と追い焚き循環配管を介して接続され、追い焚き制御により浴槽内の湯水の追い焚きが可能な風呂装置に関し、特に追い焚き制御開始の際に浴槽内に貯められている湯水の温度(以下、「浴槽温度」という)を正確に検出した上で追い焚きを実行するための風呂装置に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、追い焚き循環配管を通して浴槽内の湯水を風呂装置に戻し、風呂装置において加熱した上で浴槽内に供給するという追い焚き循環・加熱により浴槽内の湯水を追い焚きし得るように構成された風呂装置が知られている。かかる追い焚きのための追い焚き制御としては、実行指令(例えば追い焚きスイッチのON操作)を受けて、循環ポンプ及び燃焼バーナを作動させて加熱することが行われている。この種の追い焚き制御として、下記の特許文献1では、浴槽内の湯水を追い焚き循環させている間に循環湯水の温度を定期的に検出し、検出した循環湯水温度が先に検出された循環湯水温度よりも低ければ、新たに検出された最も低い温度を追い焚き開始時の浴槽温度として更新することが提案され、又、特許文献2では、追い焚き開始前又は追い焚き開始から一定時間経過した後の循環湯水温度を基準温度とし、この基準温度に所定の上昇分の温度を加えて追い焚きの目標温度とするものにおいて、追い焚きの途中において循環湯水温度が基準温度よりも低くなったときには、その低くなった温度を基準温度とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3646403号公報
【特許文献2】特許第3782844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風呂装置は通常は屋外又は給湯器室等に設置される一方、追い焚き循環加熱対象である浴槽は浴室に設置されることになるため、風呂装置と浴槽とは、設置現場である各住宅等において追い焚き用の一対の循環配管(戻り配管及び往き配管)を配管工事により敷設することで両者が互いに接続されることになる。つまり、風呂装置内の追い焚き循環路の一方を構成する戻り路に対し戻り配管の下流端が接続され、他方の往き路に対し往き配管の上流端が接続されることになる。そして、浴槽温度の検出は、もっぱら風呂装置内の追い焚き循環路に設置されている温度センサを用いて行われるようになっている。このため、追い焚き開始に当たり、浴槽温度を直接に検出することはできず、風呂装置の側の温度センサによる検出値を用いて間接的に判断することが行われている。その際の手法として、前記の特許文献に記載の如く浴槽温度の把握手法が種々提案されている。これは、追い焚き開始時の浴槽温度が追い焚き加熱の目標加熱量を設定する上で重要であり、この浴槽温度が不正確であると加熱し過ぎや加熱不足に陥ることになるからである。
【0005】
さらに、正確な浴槽温度の把握を阻害する次のような要因もある。すなわち、前記の如く、風呂装置と浴槽とは循環配管を介して連続されているため、例えば使用者が入浴している間に循環配管内に溜まった湯水が冷えてしまい、追い焚き開始前の浴槽温度検出のために、循環ポンプを作動させて湯水の非加熱循環を行うと、循環配管内の冷水が流動して浴槽に吐出されてしまうという不都合が生じるおそれがある。このような冷水吐出に対処するために、追い焚きのための循環・加熱に入る前に、まず燃焼バーナを燃焼作動させつつ所定時間だけ強制循環させることで循環配管内の冷水を加熱するようにすると、前記の風呂装置側の温度センサによる浴槽温度の把握がより複雑化するおそれを招きかねないことになる。さらに、循環配管の長さは設置現場である住宅毎に変わるおそれがあり、冷水吐出の防止のための強制循環加熱を画一的に行うと、現実の配管長が短ければ加熱し過ぎとなったり、あるいは、逆に現実の配管長が長ければ冷水吐出を回避しきれなかったりする事態が生じることになる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、循環配管からの冷水吐出の防止を図りつつも、しかも、風呂装置側の温度センサを用いた間接的な検出手法を採用しつつも、追い焚き開始時の浴槽温度を正確に検出し得る風呂装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、追い焚き循環のために浴槽と循環配管を介して接続可能に構成され、前記浴槽内の湯水を取り込むための戻り路及び加熱後に浴槽に供給するための往き路からなる追い焚き循環路と、この追い焚き循環路の前記戻り路内の湯水の温度を検出する戻り温度センサと、前記追い焚き循環路に取り込まれて流される湯水を加熱するための追い焚き加熱手段と、その作動により浴槽内の湯水を前記追い焚き加熱手段との間で前記追い焚き循環路を通して循環させる循環ポンプと、これらの作動制御により追い焚き制御を実行するための追い焚き制御手段とを備えた風呂装置を対象にして以下の特定事項を備えることとした。
【0008】
すなわち、前記追い焚き制御手段として、追い焚き実行の基準となる追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を検出する浴槽温度検出処理部を備えたものとする。そして、前記浴槽温度検出処理部として、追い焚き要求の出力を受けて前記循環ポンプを作動させて予備循環を実行する一方、前記戻り温度センサにより検出される検出戻り温度の温度変化を監視し、この検出戻り温度が所定幅以上に上昇したこと、及び、その後の検出戻り温度の上昇率が所定値以下の緩変化したこと、の温度変化条件が成立したときの検出戻り温度を前記追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度として設定する第1浴槽温度検出処理を実行する構成とする(請求項1)。
【0009】
本発明の場合、予備循環を開始した時点においては追い焚き循環路内や、風呂装置と浴槽とを互いに接続する循環配管内に滞留した冷水の温度が検出戻り温度として検出される一方、滞留した冷水が予備循環により流れることで引き続いて浴槽内の湯水が冷水と混じり合って戻り温度センサ位置に到達するようになるため、検出戻り温度が上昇することになる。そして、さらに予備循環が進行すると、追い焚き循環路内や循環配管内の冷水が全て浴槽内の湯水と混じりあい、全て同じ温度状態になるため、それまでの温度上昇勾配が緩やかに変化することになる。従って、前記の温度上昇と、この緩変化との温度変化条件が成立したときの検出戻り温度は浴槽内の湯水温度と同じ温度のものになっており、これを追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度として設定することで、追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度が正確に把握し得ることとなる。これにより、浴槽側で直接に湯水温度の検出を行うことなく、風呂装置側の戻り温度センサを用いた間接的な検出手法を採用しても、追い焚き開始時の浴槽温度を正確に検出し得ることになり、正確な浴槽温度を基準にして使用者の意図に合致した追い焚きを正確に実現させることができるようになる。なお、前記の予備循環の開始の際に追い焚き加熱手段の加熱作動も開始させて、予備循環・加熱を行うようにすることで、循環配管からの冷水吐出の防止を図りつつも、前記の通り、風呂装置側の温度センサを用いた間接的な検出手法により、追い焚き開始時の浴槽温度を正確に検出し得ることになる。
【0010】
前記風呂装置において、前記追い焚き循環路の往き路内の湯水の温度を検出する往き温度センサを備え、前記浴槽温度検出処理部として、前記予備循環の実行に併せて前記追い焚き加熱手段を加熱作動させることで予備循環・加熱を実行するように構成し、かつ、この予備循環・加熱を設定時間だけ継続させても前記温度変化条件が成立しないとき、前記追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を演算処理により得るように構成することができる。この場合の演算処理として、前記予備循環・加熱の循環流量値と、前記往き温度センサによる検出往き温度から前記戻り温度センサによる検出戻り温度を差し引いた温度差の値と、浴槽内の湯量の値とを用いた熱量演算に基づき、前記予備循環・加熱による温度上昇分を求め、前記予備循環・加熱を設定時間だけ継続させた段階の検出戻り温度から前記温度上昇分を差し引くことで、前記追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を得る構成とすることができる(請求項2)。このようにすることにより、種々の配管条件等の影響に起因して、設定時間だけ予備循環・加熱を継続させても前記温度変化条件が成立しない事態に陥ったとしても、追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を演算処理により得ることで補完することが可能となり、確実に追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を把握し得るようになる。
【0011】
前記風呂装置の浴槽温度検出処理部として、前記予備循環の開始時点から前記第1浴槽温度検出処理に基づく温度変化条件が成立する時点までの条件成立時間の値を計時するように構成する一方、条件成立時間の値が取得されれば、又は、条件成立時間の値に基づく学習が完了すれば、以後は前記条件成立時間の値又は学習された時間値だけ予備循環を継続させた時点の検出戻り温度を追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度として設定する第2浴槽温度検出処理に処理内容を切換る構成とすることができる(請求項3)。このようにすることにより、追い焚き要求がある度に、検出戻り温度の温度変化条件の成立を監視・確認する必要をなくし、それまでに取得された条件成立時間の値に基づき、以後は簡易な処理によって追い焚き開始時の正確な浴槽温度を把握することができるようになる。特に、循環ポンプとしてACポンプにより構成した場合に好適となる。
【0012】
あるいは、前記浴槽温度検出処理部として、前記予備循環の開始時点から前記第1浴槽温度検出処理に基づく温度変化条件が成立する時点までの総循環量の値を計測するように構成する一方、その総循環量の値が取得されれば、又は、前記総循環量の値に基づく学習が完了すれば、以後は前記総循環量の値又は学習された総循環量の値だけ予備循環を継続させた時点の検出戻り温度を追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度として設定する第2浴槽温度検出処理に処理内容を切換る構成とすることができる(請求項4)。このようにすることにより、循環ポンプとして例えばDCポンプにより構成した場合であっても、追い焚き要求がある度に、検出戻り温度の温度変化条件の成立を監視・確認する必要をなくし、それまでに取得された総循環量の値に基づき、請求項3と同様に、以後は簡易な処理によって追い焚き開始時の正確な浴槽温度を把握することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、本発明の風呂装置によれば、予備循環を開始してから戻り温度センサにより検出される検出戻り温度の温度変化についての温度変化条件が成立したときの検出戻り温度を追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度として設定することで、追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度が正確に把握することができるようになる。これにより、浴槽側で直接に湯水温度の検出を行うことなく、風呂装置側の戻り温度センサを用いた間接的な検出手法を採用しても、追い焚き開始時の浴槽温度を正確に検出することができ、正確な浴槽温度を基準にして使用者の意図に合致した追い焚きを正確に実現させることができるようになる。
【0014】
特に、請求項2によれば、追い焚き循環路の往き路内の湯水の温度を検出する往き温度センサを備え、浴槽温度検出処理部として、予備循環の実行に併せて追い焚き加熱手段を加熱作動させることで予備循環・加熱を実行するように構成し、かつ、この予備循環・加熱を設定時間だけ継続させても前記温度変化条件が成立しないとき、追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を演算処理により得るように構成することで、種々の配管条件等の影響に起因して、設定時間だけ予備循環・加熱を継続させても温度変化条件が成立しない事態に陥ったとしても、追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を演算処理により得ることで補完することができ、確実に追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を把握することができるようになる。
【0015】
請求項3によれば、風呂装置の浴槽温度検出処理部として、予備循環の開始時点から温度変化条件が成立する時点までの条件成立時間の値を計時するように構成する一方、条件成立時間の値が取得されれば、又は、条件成立時間の値に基づく学習が完了すれば、以後は条件成立時間の値又は学習された時間値だけ予備循環を継続させた時点の検出戻り温度を追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度として設定する第2浴槽温度検出処理に処理内容を切換る構成とすることで、追い焚き要求がある度に、検出戻り温度の温度変化条件の成立を監視・確認する必要をなくし、それまでに取得された条件成立時間の値に基づき、以後は簡易な処理によって追い焚き開始時の正確な浴槽温度を把握することができるようになる。
【0016】
請求項4によれば、浴槽温度検出処理部として、予備循環の開始時点から温度変化条件が成立する時点までの総循環量の値を計測するように構成する一方、その総循環量の値が取得されれば、又は、総循環量の値に基づく学習が完了すれば、以後は総循環量の値又は学習された総循環量の値だけ予備循環を継続させた時点の検出戻り温度を追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度として設定する第2浴槽温度検出処理に処理内容を切換る構成とすることで、循環ポンプとして例えばDCポンプにより構成した場合であっても、追い焚き要求がある度に、検出戻り温度の温度変化条件の成立を監視・確認する必要をなくし、それまでに取得された総循環量の値に基づき、以後は簡易な処理によって追い焚き開始時の正確な浴槽温度を把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の風呂装置を示す模式図である。
【図2】第1実施形態に係る追い焚き制御の制御構成部分を抽出したブロック図である。
【図3】本追い焚き制御に入る前に実行される浴槽温度検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図4(a)は浴槽温度検出処理のための予備循環加熱の開始時点からの時間経過と、戻り温度センサによる検出戻り温度との関係を示す関係図であり、図4(b)はある過去の時点から現在に至るまでの間に戻り温度センサにより検出されて一時記憶される検出周期毎の検出戻り温度の変化例を示す表である。
【図5】第2実施形態に係る追い焚き制御の制御構成部分を抽出した図2対応図である。
【図6】第2実施形態に係る浴槽温度検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図7(a)は実験により定めた、燃焼停止時点から所定の温度差が生じる降下時間値と循環流量値との関係を表した図であり、図7(b)は予備循環加熱を開始する時点から所定の時間だけ予備循環加熱を行った時点までの浴槽温度の変化を示す関係図である。
【図8】第3実施形態に係る追い焚き制御の制御構成部分を抽出した図2対応図である。
【図9】第3実施形態に係る浴槽温度検出処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る風呂装置の模式図である。本発明を実施し得る風呂装置1としては、図例の如く、少なくとも風呂の追い焚き循環機能を追い焚き循環のために浴槽2と循環配管7を介して接続可能に構成されたものであれば適用することができ、その他の構成は必須ではない。すなわち、風呂装置1は、浴槽2内の湯水を取り込むための戻り路31及び加熱後に浴槽2に供給するための往き路32からなる追い焚き循環路3と、追い焚き循環路3に取り込まれて流される湯水を加熱するための追い焚き加熱手段4と、その作動により浴槽2内の湯水を追い焚き加熱手段4との間で追い焚き循環路3を通して循環させる循環ポンプ5と、これらの作動制御により追い焚き制御を実行するためのコントローラ6と、を必須構成要素として備えて構成されたものである。なお、これらの構成要素は、通常は、風呂装置1のケーシング10内に収容され、さらに、このケーシング10内には給湯機能を実現する給湯回路や、給湯回路からの注湯を実現する注湯回路等を併設することで、複合型の給湯器又は熱源機として構成可能となっている。
【0020】
前記の追い焚き加熱手段4として、図例のものは、熱交換器41と、この熱交換器41を燃焼熱により熱交換加熱するための燃焼バーナ42とで構成された例を示している。熱交換器41としては例えばチューブ・アンド・フィンタイプのものが使用可能であり、燃焼バーナ42としては気体ガス(例えば都市ガス)を燃料としたものや、液体燃料(例えば灯油)を燃料としたものが使用可能である。又、これら以外にも、追い焚き加熱手段4としては、電気ヒータ等を用いることも可能である。さらに、図例の如く追い焚き加熱手段4として、熱交換器41と燃焼バーナ42とで構成する場合に、他に給湯回路用の給湯加熱手段を組み合わせる際に、いわゆる1缶2水路式あるいは2缶2水路式のいずれをも採用することができる。
【0021】
戻り路31は上流端となる接続口11から熱交換器41の入口まで延ばされ、往き路32は熱交換器41の出口から下流端となる接続口12まで延ばされている。接続口11には戻り配管71の下流端が接続され、接続口12には他方の往き配管72の上流端が接続されることになる。戻り配管71及び往き配管72の一対の配管により循環配管7が構成され、この循環配管7は現場工事により配管されることになる。浴槽2に対しては、例えば浴槽2の壁を貫通して設置された循環アダプタ21に対し、戻り配管71の上流端及び往き配管72の下流端が共に接続されることになる。
【0022】
前記の戻り路31には、この戻り路31を通して浴槽2から熱交換器41に戻される湯水の温度を検出するための戻り温度センサ81と、浴槽2内の水位を例えば圧力検知により検出する水位センサ82とが介装されている。又、往き路32には、熱交換器41により加熱されて浴槽2に供給される追い焚き加熱後の湯水の温度を検出するための往き温度センサ83が介装されている。なお、水位センサ82及び往き温度センサ83は、後述の第1実施形態や第3実施形態では必須ではなく、第1実施形態や第3実施形態では戻り温度センサ81のみが必須の構成要素となる。水位センサ82及び往き温度センサ83は、第2実施形態において必須の構成要素となるものである。
【0023】
<第1実施形態>
図2は、コントローラ6の制御構成の内、第1実施形態に係る追い焚き制御手段62の制御ブロック図を示す。追い焚き制御手段62は、本追い焚き制御部63と、浴槽温度検出処理部64とを備えて構成されている。追い焚き制御手段62では、例えばリモコン61の追い焚きスイッチが使用者によりON操作されると、まず、浴槽温度検出処理部64により予備循環加熱を行うことにより浴槽温度を検出するための制御・処理が実行され、これにより、追い焚き開始時の浴槽温度を検出した上で、本追い焚き制御部63により追い焚き制御が実行されるようになっている。なお、コントローラ6は、MPU、メモリ等を備え各種の制御用プログラムが格納され、これらの制御用プログラムの実行によって以下の如き制御が実行されるようになっている。以下、図3のフローチャートを参照しつつ、主として浴槽温度検出処理部64による処理を説明する。
【0024】
追い焚き要求(例えばリモコン61の追い焚きスイッチのON操作に基づく追い焚き要求出力)があればスタートし、まず、循環ポンプ5をONにし、燃焼バーナ42をON(燃焼開始)させることで予備循環・加熱を開始させ、図示省略のタイマをスタートさせて予備循環時間Sを計時する(ステップS1)。戻り温度センサ81による検出戻り温度Tbが所定の許容限度Tx(例えば50℃)以下であることを確認する。この確認により、もしも検出戻り温度Tbが許容限度Txに達していれば(ステップS2でNO)、追い焚き制御を停止し追い焚きを強制終了させる(ステップS3)。検出戻り温度Tbが許容限度Tx以下であれば(ステップS2でYES)、予備循環時間Sが所定の設定予備循環時間Stに到達していないことを確認し(ステップS4でYES)、ステップS5及びS6の検出戻り温度Tbの温度変化状況の確認を行う。ステップS4で前記タイマ値が既に設定予備循環時間Stに到達していれば(ステップS4でNO)、前記のステップS5及びS6を行うことなくステップS7で予備循環加熱の停止処理を行う。
【0025】
ステップS5及びS6の検出戻り温度Tbの温度変化状況の確認は次のようにして行う。すなわち、まず、検出戻り温度Tbが急上昇したか否かの確認を行い(ステップS5)、急上昇していなければ(ステップS5でNO)、ステップS2に戻り、ステップS2,S4,S5の確認を繰り返す。もしも、検出戻り温度Tbが急上昇したことが確認されれば(ステップS5でYES)、次に、検出戻り温度Tbの上昇度合が“急”から“緩”に緩変化したか否かの確認を行う(ステップS6)。まだ緩変化していなければ(ステップS6でNO)、ステップS2に戻り、ステップS2,S4,S5,S6の確認を繰り返す。もしも、検出戻り温度Tbの上昇度合が緩変化していれば(ステップS6でYES)、予備循環・加熱により循環配管7内の冷水が浴槽2内の湯水と同等まで加熱されたものとみなして、予備循環・加熱を停止させる。すなわち、循環ポンプ5をOFFにし、燃焼バーナ42をOFF(燃焼停止)にして予備循環・加熱を停止する(ステップS7)。この停止後の状態で戻り温度センサ81により検出される検出戻り温度Tbを追い焚き開始時における浴槽温度として設定し(ステップS8)、この浴槽温度に基づき本追い焚き制御部63による本追い焚き制御(例えば、追い焚き開始時の浴槽温度+αの温度値を目標値として追い焚き制御)に移行する。
【0026】
ステップS5及びステップS6の検出戻り温度Tbの温度変化状況の確認について、図4(a),(b)に基づき詳細に説明する。図4(a)に示すように、予備循環・加熱を開始した時点(予備循環時間S=S0)において戻り温度センサ81により検出される検出戻り温度Tbは循環配管7(追い焚き循環路3を含む)内に滞留した冷水の温度(例えば20℃)である。この滞留した冷水が戻り配管71及び戻り路31(図1参照)を熱交換器41の側に流されて熱交換器41で所定の高温(例えば41℃)まで加熱されて浴槽2に供給されることになる。一方、浴槽2内の湯水(例えば38℃の湯水)が冷水と混じり合って戻り温度センサ81の位置に到達するようになると(予備循環時間S=S1)、検出戻り温度Tbは急上昇することになる(図4(a)の符号A参照)。従って、この温度上昇を検出することで、循環配管7内の冷水が戻り温度センサ81位置を通過し終えて浴槽2内の湯水が到達してきたことが把握される。具体的な検出方法は、図4(b)に示すように、検出終期において例えば1sec(秒)前の検出戻り温度(例えば20.0℃)から現在の検出戻り温度Tb(例えば30.5℃)までの温度上昇幅が1℃以上の変化が、検出周期(例えば0.1sec毎)で連続3回生じていることの条件成立で(図4(b)の破線の矢印参照)、検出戻り温度Tbが急上昇したと確認することとすればよい。
【0027】
そして、予備循環・加熱の進行により循環配管7内の冷水が全て一定状態に加熱されて浴槽2内の湯水と混じりあい、循環配管7内も浴槽2内も全て同じ温度状態になると(予備循環時間S=S2)、それまでの温度上昇勾配が緩やかに変化することになる(図4(a)の符号B参照)。従って、この緩変化を検出することで、循環配管7内の冷水が全て浴槽温度と同じ温度状態になって戻り温度センサ81位置を通過している湯水は浴槽温度と同じ温度のものになっていることが把握されることになる。具体的な検出手法としては、検出周期が0.1secであるとすると、温度上昇勾配として、例えば直近の0.3秒間にわたる温度差が0.5℃以下となるような緩勾配を3回検出すれば、検出戻り温度Tbの上昇度合が緩変化したと確認するようにすればよい。
【0028】
以上の第1実施形態の場合、循環配管7からの冷水吐出の防止を図りつつ、風呂装置1の戻り温度センサ81を用いた間接的な温度検出によって、追い焚き開始時の浴槽温度を正確にかつ確実に把握することができ、把握された浴槽温度を基準にして使用者の意図に合致した追い焚きを正確に実現させることができるようになる。
【0029】
<第2実施形態>
図5は、コントローラ6に含まれる、第2実施形態に係る追い焚き制御手段62aの制御ブロック図を示す。追い焚き制御手段62aは、本追い焚き制御部63と、浴槽温度検出処理部64aと、循環流量検出処理部65とを備えて構成されている。追い焚き制御手段62aでは、例えばリモコン61の追い焚きスイッチが使用者によりON操作されると、まず、浴槽温度検出処理部64aにより予備循環加熱を行うことにより浴槽温度を検出するための制御・処理が実行され、これにより、追い焚き開始時の浴槽温度を検出した上で、本追い焚き制御部63により追い焚き制御が実行されるという基本方針において第1実施形態と同じであるが、次の点で異なる。すなわち、第2実施形態では、浴槽温度検出処理部64aによる処理として、予備循環時間Sが設定時間Stに到達するまでは第1実施形態と同様の処理を実行する一方、予備循環時間Sが設定時間Stに到達してもなお検出戻り温度Tbに所定の温度変化が検出できない場合には、演算処理により浴槽温度を検出・把握するようにする点が第1実施形態と異なる。
【0030】
この第2実施形態では、前記の演算処理のために、戻り温度センサ81に加えて往き温度センサ83の検出値も使用すると共に、追い焚き制御手段62aは循環流量検出処理部65をも備えている。図6のフローチャートに基づき前記の浴槽温度検出処理手段64aによる処理を説明する前に、前記演算処理に用いる循環流量の値を、循環流量検出処理部65による検出処理によって、流量センサ等の電子検出機器を用いることなく検出する手法について、先に説明する。
【0031】
循環流量検出処理部65は、タイマとテーブル記憶部とを備えている。タイマは、予備循環・加熱の内の循環のみ継続されて燃焼バーナ42のみがOFF(燃焼停止)された時点でスタートし、往き温度センサ83の検出往き温度Tgが所定の設定温度差ΔTg(例えばΔTg=1℃又は2℃)だけ降下するのに要した時間値(降下時間値)を計時するものであり、テーブル記憶部にはその降下時間値と、循環配管7及び追い焚き循環路3内を流れる循環流量の値との関係を予め定めた関係テーブルが予め記憶設定されている。そして、前記の降下時間値の計時が終了すれば、循環ポンプ5の作動もOFFにして、予備循環・加熱を完全に停止させる。
【0032】
さらに詳細に説明すると、循環流量検出処理部65による循環流量の検出処理は次の特性に着目して行うものである。すなわち、往き温度センサ83は熱交換器41で加熱された後の湯水の温度を検出するものであるため、予備循環・加熱している状態から、循環ポンプ5の作動は継続しつつ燃焼バーナ42による加熱のみ停止すると、往き温度センサ83位置における検出往き温度Tgは温度の微増傾向を微小時間だけ継続するものの、急激な度合で温度降下に転じることになる。この温度降下の特性としては、循環流量が大であるほど温度降下度合は急になり、循環流量が小であるほど温度降下は緩やかになる。このため、燃焼停止時点からの設定温度差ΔTg分の温度降下に要する降下時間値は、循環流量大の場合よりも循環流量小の場合の方が長くなる、という特性を示すことになる。以上より、設定温度差ΔTgだけの温度降下に要する降下時間値と、循環流量との間には相関関係があり、降下時間値と、循環流量値との間の関係テーブルを予め実験等により定めておけば、前記の降下時間値を計測するだけで容易に、迅速に、しかも正確に、循環流量の値を割り出すことができるようになる。このような関係テーブルとしては1種類以上のものとしてもよく、例えば、循環流量検出処理部65による処理開始時又は燃焼バーナ42の燃焼OFF時点の循環流の温度の高低如何によって異なる複数種類の関係テーブルをテーブル記憶部に記憶設定するようにしてもよい。この場合は、前記処理開始時又は燃焼OFF時点に戻り温度センサ81により検出される検出戻り温度等に基づいてその温度に対応する関係テーブルを呼び出し、この関係テーブルから循環流量の値を割り出すようにすればよい。
【0033】
図7(a)は前記の関係テーブルの例を示す。これは、往き温度センサ83により検出される検出往き温度Tgが燃焼バーナ42の燃焼停止後にどのように変化するかについて、それまでの燃焼の目標設定温度(例えば33℃,42℃,48℃)や循環流量の組み合わせを変化させたものを対象にして燃焼停止後の検出往き温度の変化を計測し、その計測結果に基づき、循環流量の値と、所定の設定温度差ΔTg分だけ温度降下するのに要した降下時間値(経過時間)との関係を調べて関係曲線(例えば最小二乗法等を用いた近似曲線)として表したものである。これによれば、目標設定温度が33℃,42℃,48℃というように燃焼バーナ42による加熱度合に違いがあっても、循環流量−降下時間値の関係はほぼ一定の関係曲線により表すことが可能であり、ある温度差のΔTgのときの循環流量−降下時間値の関係はほぼ一定の関係を示すことが分かる。このため、図7(a)に示すような循環流量−降下時間値の関係テーブルを予め試験により求め、この関係テーブルを循環流量検出処理部65に記憶させるようにしている。この図7(a)の関係テーブルを用いれば、例えば、温度差ΔTg=1.℃の場合の降下時間値(タイマ値)として2.2秒が出力されれば、循環流量の値として6.4L/minを得ることができる(図7(a)の破線の矢印参照)。
【0034】
以下、図6のフローチャートを参照しつつ、主として浴槽温度検出処理部64aによる処理を説明する。第1実施形態と同様の追い焚き要求があればスタートし、まず、循環ポンプ5をONにし、燃焼バーナ42をON(燃焼開始)させることで予備循環・加熱を開始させ、図示省略のタイマをスタートさせて予備循環時間Sを計時する(ステップS11)。後述の浴槽温度の演算処理をしなければならなくなった場合に備え、往き温度センサ83の検出往き温度Tgから戻り温度センサ81の検出戻り温度Tbを差し引いた温度差ΔTを演算し、演算結果を積算しておく(ステップS12)。そして、戻り温度センサ81による検出戻り温度Tbが所定の許容限度Tx(例えば50℃)以下であることを確認する。この確認により、もしも検出戻り温度Tbが許容限度Txに達していれば(ステップS13でNO)、追い焚き制御を停止し追い焚きを強制終了させる(ステップS14)。検出戻り温度Tbが許容限度Tx以下であれば(ステップS13でYES)、予備循環時間Sが所定の設定予備循環時間Stに到達していないことを確認し(ステップS15でYES)、ステップS16及びS17の検出戻り温度Tbの温度変化状況の確認を行う。ステップS15で前記タイマ値が既に設定予備循環時間Stに到達していれば(ステップS15でNO)、前記のステップS16及びS17を行うことなく、ステップS20で浴槽温度の演算処理に移行する(詳細は後述する)。
【0035】
ステップS16での検出戻り温度Tbが急上昇したか否かの確認と、ステップS17での検出戻り温度Tbの上昇度合が“急”から“緩”に緩変化したか否かの確認とからなる検出戻り温度Tbの温度変化状況の確認は、第1実施形態のステップS5及びステップS6(図3参照)と同様にして行う。そして、検出戻り温度Tbが急上昇し(ステップS16でYES)、検出戻り温度Tbの上昇度合が緩変化していれば(ステップS17でYES)、予備循環・加熱により循環配管7内の冷水が浴槽2内の湯水と同等まで加熱されたものとみなして、予備循環・加熱を停止させる。すなわち、循環ポンプ5をOFFにし、燃焼バーナ42をOFF(燃焼停止)にして予備循環・加熱を停止する(ステップS18)。この停止後の状態で戻り温度センサ81により検出される検出戻り温度Tbを追い焚き開始時における浴槽温度として設定し(ステップS19)、この浴槽温度に基づき本追い焚き制御部63による本追い焚き制御(例えば、追い焚き開始時の浴槽温度+αの温度値を目標値として追い焚き制御)に移行する。
【0036】
もしも、前記のステップS16又はステップS17による検出戻り温度Tbの温度変化状況の確認が確定しえないまま(ステップS16又はステップS17でNO)、ステップS15の予備循環時間Sが設定時間Stに到達してしまった場合には(ステップS15でNO)、浴槽温度の演算処理に移行する(ステップS20)。
【0037】
このステップS20の浴槽温度の演算処理は、まず、設定時間Stに到達した時点の検出戻り温度Tbtを検出して一時記憶する一方、循環流量検出処理部65により循環流量の値を検出し、そして、次の演算処理により予備循環・加熱により浴槽温度を上昇させた温度上昇分ΔTdを求める。すなわち、循環流量検出処理部65により検出される循環流量の値と、ステップS12で処理された検出往き温度Tgと検出戻り温度Tbとの温度差ΔTの積算値と、水位センサ82の検出水位及び浴槽断面積から把握される浴槽2内の湯量の値とを用いて、それまでの予備循環・加熱により与えられた熱量に基づく温度上昇分ΔTdを次の演算式(1)により演算する。
温度上昇分ΔTd={循環流量値×(ΔTの積算値)}/浴槽湯量の値 …(1)
そして、次の演算式(2)の如く、この温度上昇分ΔTdを、設定時間Stに到達した時点の検出戻り温度Tbtから差し引くことで、追い焚き開始時の浴槽温度を求める。
追い焚き開始時の浴槽温度=Tbt−ΔTd …(2)
以上により、追い焚き開始時の浴槽温度が演算されれば、この浴槽温度に基づいて本追い焚き制御部63による本追い焚き制御に移行する。
【0038】
図7(b)に示すように、予備循環・加熱の開始時点(予備循環時間S=S0)の浴槽温度が、設定時間Stまで予備循環・加熱による加熱が継続されることで温度上昇分ΔTdだけ上昇することになる。この温度上昇分ΔTdが前記の演算式(1)により得られるため、予備循環・加熱が設定時間Stの経過により停止される時点の検出戻り温度Tbtから演算式(2)により温度上昇分ΔTdを差し引くことで、追い焚き開始時の浴槽温度が得られることになる。なお、浴槽湯量の値は、水位センサ82により検出される浴槽内の水位に基づき得られるものであり、例えば浴槽内の水位と、そのときの湯量との関係をテーブル等にして予め記憶設定し、検出された水位に基づき浴槽内の湯量を割り出すようにすればよい。
【0039】
以上の第2実施形態の場合、循環配管7からの冷水吐出の防止を図りつつ、風呂装置1の戻り温度センサ81を用いた前記のステップS13〜S19までの処理に基づく間接的な温度検出によって、第1実施形態と同様に、追い焚き開始時の浴槽温度を正確にかつ確実に把握することができることになり、この浴槽温度を基準にして使用者の意図に合致した追い焚きを正確に実現させることができるようになる。その上に、循環配管7の配管長として最大想定のものを対象にして内部の冷水を加熱し得るものとして設定した設定時間Stだけ予備循環・加熱を継続したとしても、ステップS16又はS17の温度変化特定の確認ができないような事態に万一陥ったとしても(ステップS15でNO)、ステップS20の浴槽温度の演算処理によって正確な浴槽温度を把握することができることになる。
【0040】
<第3実施形態>
図8は、コントローラ6に含まれる、第3実施形態に係る追い焚き制御手段62bの制御ブロック図を示す。追い焚き制御手段62bは、本追い焚き制御部63と、第1浴槽温度検出処理部64bと、第2浴槽温度検出処理部64cとを備えて構成されている。追い焚き制御手段62bでは、例えばリモコン61の追い焚きスイッチが使用者によりON操作されると、まず、第1浴槽温度検出処理部64bにより予備循環加熱を行うことにより浴槽温度を検出するための制御・処理が実行され、これにより、追い焚き開始時の浴槽温度を検出した上で、本追い焚き制御部63により追い焚き制御が実行されるという基本方針において第1実施形態と同じであるが、次の処理内容を追加した点で異なる。すなわち、第3実施形態では、追い焚き制御の初回又は初回を含む所定回数については、第1浴槽温度検出処理部64bにより第1実施形態と同様処理を実行する一方、その第1浴槽温度検出処理部64bによる処理に併行して、検出戻り温度Tbの急上昇の確認や、その上昇度合の緩変化の確認という条件が成立した時点までの条件成立時間の値を取得し、所定回数分の条件成立時間値の取得により学習が完了すれば、以後の追い焚き制御においては、取得した条件成立時間値に係る学習時間値に基づき第2浴槽温度検出処理部64cによる処理を実行して追い焚き開始時の浴槽温度を得るようにするのである。
【0041】
以下、図9のフローチャートを参照しつつ、第1浴槽温度検出処理部64b及び第2浴槽温度検出処理部64cによる処理を説明する。第1実施形態と同様の追い焚き要求があればスタートし、まず、循環ポンプ5をONにし、燃焼バーナ42をON(燃焼開始)させることで予備循環・加熱を開始させ、図示省略のタイマをスタートさせて予備循環時間Sを計時する(ステップS31)。次に、戻り温度センサ81による検出戻り温度Tbが所定の許容限度Tx(例えば50℃)以下であることを確認し、もしも検出戻り温度Tbが許容限度Txに達していれば(ステップS32でNO)、追い焚き制御を停止し追い焚きを強制終了させる(ステップS33)。検出戻り温度Tbが許容限度Tx以下であれば(ステップS32でYES)、予備循環時間Sが所定の設定予備循環時間Stに到達していないことを確認し(ステップS34でYES)、ステップS35及びS36の検出戻り温度Tbの温度変化状況の確認を行う。ステップS34で前記タイマ値が既に設定予備循環時間Stに到達していれば(ステップS34でNO)、前記のステップS35及びS36を行うことなく、ステップS38以降に進んで予備循環・加熱を停止する。
【0042】
ステップS35での検出戻り温度Tbが急上昇したか否かの確認と、ステップS36での検出戻り温度Tbの上昇度合が“急”から“緩”に緩変化したか否かの確認とからなる検出戻り温度Tbの温度変化状況の確認は、第1実施形態のステップS5及びステップS6(図3参照)と同様にして行う。そして、検出戻り温度Tbが急上昇し(ステップS35でYES)、検出戻り温度Tbの上昇度合が緩変化していることの確認が検出されれば(ステップS36でYES)、その検出された時点、つまり条件成立時のタイマ値(条件成立時間Si)を学習のために記録する(ステップS37)。そして、この学習のための記録が所定の学習回数(例えば3回)だけ取得できたか否かを判定し、まだ達していなければ、前記の条件成立時点までの予備循環・加熱により循環配管7内の冷水が浴槽2内の湯水と同等まで加熱されたものとみなして、予備循環・加熱を停止させる。すなわち、循環ポンプ5をOFFにし、燃焼バーナ42をOFF(燃焼停止)にして予備循環・加熱を停止する(ステップS39)。この停止後の状態で戻り温度センサ81により検出される検出戻り温度Tbを追い焚き開始時における浴槽温度として設定し(ステップS40)、この浴槽温度に基づき本追い焚き制御部63による本追い焚き制御(例えば、追い焚き開始時の浴槽温度+α(例えば1℃)の温度値を目標値として追い焚き制御)に移行する。
【0043】
もしも、前記のステップS38において条件成立時間Siが所定の学習回数分だけ取得できていれば(ステップS38でYES)、次回の追い焚き制御からは、第1浴槽温度検出処理部64bによる処理(ステップS32〜S36)を実行せずに、その代わりに第2浴槽温度検出処理部64cによる処理を実行するように追い焚き制御手段62bの制御構成を切換設定する(ステップS41)。その上で、この回の本追い焚き制御部63で用いる追い焚き開始時の浴槽温度を設定するために、前記と同様にステップS39及びS40の各処理を実行する。
【0044】
そして、次回の追い焚き要求があったときには、所定回数の条件成立時間Siに基づき取得された学習時間値(例えば所定回数の条件成立時間Siの平均値)を用いて第2浴槽温度検出処理部64cによる処理を開始する。この処理は、まず、循環ポンプ5をONにし、燃焼バーナ42をON(燃焼開始)させることで予備循環・加熱を開始させ、次に、この予備循環・加熱をタイマに基づき前記の学習時間値と等しい予備循環時間だけ継続させ、学習時間値の経過により予備循環・加熱を停止させる。つまり、循環ポンプ5をOFFし、燃焼バーナ42をOFFにする。そして、この状態で戻り温度センサ81から検出される検出戻り温度を追い焚き開始時の浴槽温度として設定する。以後、この浴槽温度を用いて本追い焚き制御部63による制御に移行する。
【0045】
以上の第3実施形態の場合、追い焚き要求がある度に、検出戻り温度の温度変化を監視・確認することで追い焚き開始時の浴槽温度を設定するという処理を行う必要をなくし、それまでの条件成立時間値に基づく学習時間値の予備循環・加熱によって、循環配管7内の冷水吐出の防止と、追い焚き開始時の正確な浴槽温度の検出とを行うことができるようになる。つまり、1回又は数回の条件成立時間の取得によって、その設置現場における循環配管7の配管条件(例えば配管長等)に基づく冷水吐出防止に必要な予備循環・加熱の継続時間値が得られるため、以後は簡易な処理によって追い焚き開始時の正確な浴槽温度を把握することができるようになる。
【0046】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1〜第3実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記各実施形態では、最終的に浴槽温度として設定する検出戻り温度を得る際には循環ポンプ5の作動を停止した後、つまり停止状態にした上で、戻り温度センサ81により検出するようにしているが、これに限らず、循環ポンプ5を作動させたまま、つまり循環を継続したままの状態で戻り温度センサ81により検出するようにしてもよい。
【0047】
第1実施形態又は第3実施形態において、予備循環・加熱をまず実行させているが、これに代えて予備循環を実行させるようにしてもよい。つまり、循環ポンプ5のみONさせて、燃焼バーナ42はONにせずにOFFのままとするのである。この予備循環の場合でも、循環配管7内の冷水が流された後に浴槽2内の湯水が戻り温度センサ81位置を通過するようになることで、検出戻り温度が急上昇し、冷水と浴槽内の湯水とが混ざり合って均一になれば、その検出戻り温度の上昇度合が緩変化するという温度変化特性(図4参照)は、第1実施形態又は第3実施形態の場合と同様に生じるため、追い焚き開始時の正確な浴槽温度の把握という作用・効果を得ることができる。
【0048】
第2実施形態では、循環流量検出処理部65により流量センサ等の機器を用いずに演算処理により循環流量を間接的に得るようにしているが、これに限らず、流量センサ等の検出機器を設置することで直接的に得るようにしてもよい。
【0049】
又、前記の第3実施形態では条件成立時間値の取得によって、以後の浴槽温度検出処理を予備循環・加熱の継続時間の管理だけで済むようにしており、特に循環ポンプ5としてACポンプで構成した場合には、ACポンプが回転数一定で作動するものであるため、作動時間を管理するだけで済み、好適な実施形態となるものの、回転数が可変のDCポンプで循環ポンプ5を構成した場合であっても、そのDCポンプの回転数を一定に制御するようにすることで第3実施形態は適用可能となる。又、循環ポンプ5をDCポンプで構成した場合には、第3実施形態の予備循環時間の値(学習時間値)だけ予備循環・加熱を継続する代わりに、第1浴槽温度検出処理部64bによる検出戻り温度の温度変化特性の確認・検出という条件成立までに予備循環・加熱により循環した総循環量を検出して記録し、この総循環量に係る学習値まで予備循環・加熱を継続させるようにしてもよい。すなわち、第1浴槽温度検出処理部64bによる処理に併行して、予備循環・加熱の開始から例えばステップS35及びS36(図9参照)の条件成立時点までの総循環量を検出して記録し、これを1回又は2回以上の所定回数だけ取得し終われば、以後は記録された総循環量に係る学習値(例えば平均値)だけ予備循環・加熱を継続し、その学習値に予備循環・加熱が終了すれば、予備循環・加熱を停止して、その状態で検出される検出戻り温度を追い焚き開始時の浴槽温度として設定する、というように第2浴槽温度検出処理部を構成すればよい。
【0050】
第2実施形態において、設定時間St内の予備循環・加熱によって温度変化条件(図6のステップS16及びS17参照)が成立すれば、第3実施形態の如く条件成立時間の値を記録して取得し、学習完了により、以後は第2浴槽温度検出処理部64c(図8参照)に切換設定するという第3実施形態の構成を追加するようにしてもよい。つまり、第2実施形態と第3実施形態とを合体させるのである。
【符号の説明】
【0051】
1 風呂装置
2 浴槽
3 追い焚き循環路
4 追い焚き加熱手段
5 循環ポンプ
7 循環配管
31 戻り路
32 往き路
62,62a,62b 追い焚き制御手段
64,64a 浴槽温度検出処理部
64b 第1浴槽温度検出処理部
64c 第2浴槽温度検出処理部
81 戻り温度センサ
83 往き温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
追い焚き循環のために浴槽と循環配管を介して接続可能に構成され、前記浴槽内の湯水を取り込むための戻り路及び加熱後に浴槽に供給するための往き路からなる追い焚き循環路と、この追い焚き循環路の前記戻り路内の湯水の温度を検出する戻り温度センサと、前記追い焚き循環路に取り込まれて流される湯水を加熱するための追い焚き加熱手段と、その作動により浴槽内の湯水を前記追い焚き加熱手段との間で前記追い焚き循環路を通して循環させる循環ポンプと、これらの作動制御により追い焚き制御を実行するための追い焚き制御手段とを備えた風呂装置であって、
前記追い焚き制御手段は、追い焚き実行の基準となる追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を検出する浴槽温度検出処理部を備え、
前記浴槽温度検出処理部は、
追い焚き要求の出力を受けて前記循環ポンプを作動させて予備循環を実行する一方、前記戻り温度センサにより検出される検出戻り温度の温度変化を監視し、この検出戻り温度が所定幅以上に上昇したこと、及び、その後の検出戻り温度の上昇率が所定値以下の緩変化したこと、の温度変化条件が成立したときの検出戻り温度を前記追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度として設定する第1浴槽温度検出処理
を実行するように構成されている、
ことを特徴とする風呂装置。
【請求項2】
請求項1に記載の風呂装置であって、
前記追い焚き循環路の往き路内の湯水の温度を検出する往き温度センサを備え、
前記浴槽温度検出処理部は、前記予備循環の実行に併せて前記追い焚き加熱手段を加熱作動させることで予備循環・加熱を実行するように構成され、かつ、この予備循環・加熱を設定時間だけ継続させても前記温度変化条件が成立しないとき、前記追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を演算処理により得るように構成され、
前記演算処理として、前記予備循環・加熱の循環流量値と、前記往き温度センサによる検出往き温度から前記戻り温度センサによる検出戻り温度を差し引いた温度差の値と、浴槽内の湯量の値とを用いた熱量演算に基づき、前記予備循環・加熱による温度上昇分を求め、前記予備循環・加熱を設定時間だけ継続させた段階の検出戻り温度から前記温度上昇分を差し引くことで、前記追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度を得るように構成されている、風呂装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の風呂装置であって、
前記浴槽温度検出処理部は、前記予備循環の開始時点から前記第1浴槽温度検出処理に基づく温度変化条件が成立する時点までの条件成立時間の値を計時するように構成される一方、条件成立時間の値が取得されれば、又は、条件成立時間の値に基づく学習が完了すれば、以後は前記条件成立時間の値又は学習された時間値だけ予備循環を継続させた時点の検出戻り温度を追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度として設定する第2浴槽温度検出処理に処理内容を切換るように構成されている、風呂装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の風呂装置であって、
前記浴槽温度検出処理部は、前記予備循環の開始時点から前記第1浴槽温度検出処理に基づく温度変化条件が成立する時点までの総循環量の値を計測するように構成される一方、その総循環量の値が取得されれば、又は、前記総循環量の値に基づく学習が完了すれば、以後は前記総循環量の値又は学習された総循環量の値だけ予備循環を継続させた時点の検出戻り温度を追い焚き開始時の浴槽内の湯水温度として設定する第2浴槽温度検出処理に処理内容を切換るように構成されている、風呂装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−96582(P2013−96582A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236425(P2011−236425)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】