食害防除具及びこれを用いた藻場造成用構造物
【課題】基盤に立設された柱状部上に着生した海藻種苗を核として藻場を造成しようという藻場造成技術において、その柱状部上に着生した海藻種苗をウニ等の藻食性動物の食害から保護し得る食害防除具とこれを用いた藻場造成用構造物を提供し、より確実な藻場の造成を図る。
【解決手段】適宜の基盤51に立設した柱状部52の下部に、該柱状部52を伝わって匍匐する藻食性動物のよじ登りを阻止するバリヤー手段として、芯線の周囲に発泡ポリエチレン等の柔軟性材料からなる線状、帯状等の多数の条体を放射状に突出させた起毛紐状体を開閉自在なリング状基体に沿わせてなる食害防除具1を付設し、その上方に同様なリング状基体に海藻種苗が着生したロープを沿わせてなる海藻種苗担持具7を設置する。
【解決手段】適宜の基盤51に立設した柱状部52の下部に、該柱状部52を伝わって匍匐する藻食性動物のよじ登りを阻止するバリヤー手段として、芯線の周囲に発泡ポリエチレン等の柔軟性材料からなる線状、帯状等の多数の条体を放射状に突出させた起毛紐状体を開閉自在なリング状基体に沿わせてなる食害防除具1を付設し、その上方に同様なリング状基体に海藻種苗が着生したロープを沿わせてなる海藻種苗担持具7を設置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類の繁殖をもたらし、海中環境の改善に大きく寄与する海藻類を中心とした藻場の造成技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、我国においては沿岸漁業の振興が重要な課題であり、魚介類や海藻類の増殖及び養殖が図られている。しかるに、沿岸部では種々の原因によって藻場が消滅し、藻場を生活の場としていた魚介類が激減する、いわゆる「磯焼け」と呼ばれる現象が各地に拡大し、その早急な対策が求められている。
【0003】
海藻類は、一般に比較的浅い海底の岩石表面に着生し、そこで繁殖する。ところが、磯焼け海域では遊走子の供給源となる母藻群が近くに存在せず、しかも着生床となる岩石表面が石灰藻で覆われている場合が多いことなどにより、環境的に海藻類がきわめて着生し難い状況になっている。また、砂泥質の海域では海藻類の着生は元々困難である。したがって、このような磯焼け海域での藻場の再生や砂泥海域での藻場造りにおいては、海藻類の着生床として機能し得るコンクリートブロックの沈設あるいは自然石の投入が行われ、それらの表面に海藻類が自然着生するのを待って造成する方法が一般的である。
【0004】
このような状況に鑑み、本出願人はコンクリート基盤に適宜の柱体を立設した柱状構造物を海中に沈設し、その柱体上に移植した海藻種苗を核として藻場を造成しようという藻場造成技術を開発した(特許文献1)。ところが、海中には海藻類を捕食するウニや、アワビ、サザエ、バテイラ、クボガイなどの藻食性動物が生息している。これらの藻食性動物は、海藻の生育途上にある幼体を好んで捕食するため、造成初期において前記柱体上に着生した幼体が十分に成熟しないうちに捕食し尽くされてしまい、造成計画がその食害により失敗に終るという事例が見られた。特に、造成対象海域に海藻類がほとんど存在しないような状況下では、藻食性動物の摂食圧が導入した海藻類の量を大幅に上まわることから、その傾向がより顕著であった。
【0005】
そこで、柱体上に移植した海藻種苗を藻食性動物の食害から保護するため、笠状の鍔部や多数の毛状突起を備えた食害防除具を柱体の下部外周面に設置することを提案した(特許文献2)。しかしながら、前者の食害防除具は防除効果の点で必ずしも十分ではなかった。一方、多数の硬質の毛を利用する後者の場合、可撓性を有する棒状のブラシ状部材の端部同士を捻じ曲げて固定するものでは、柱体の下方に位置ずれしやすいためにその効果が減殺される虞があった。また、植毛された帯状プラスチック板を柱体に巻回し、その両端をボルトで結合して固定するものでは、製造コストが嵩むばかりか柱体への取付作業が面倒であり、いずれの形態であっても硬質の毛では忌避効果が十分に発揮されないなど、改善の余地が残されていた。
【特許文献1】特許第2905432号公報
【特許文献2】特開平11−127720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、例えば適宜の基盤に立設された柱体上に移植した海藻種苗を核として藻場を造成しようという藻場造成技術において、その柱体上に導入した海藻種苗をウニ等の藻食性動物の食害から保護し得る食害防除具と、これを用いた藻場造成用構造物を提供し、より確実な藻場造成を図るところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る食害防除具では、柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介してロープを外周面のほぼ全長に沿って装着するとともに、柔軟性材料からなる線状や帯状等の多数の条体が芯線の長手方向に沿って放射状に突出した起毛紐状体を前記ロープのほぼ全長に渡って添設するという技術手段を採用した。
【0008】
また、請求項2に係る藻場造成用構造物では、柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介して海藻種苗が着生したロープを外周面のほぼ全長に沿って装着してなる海藻種苗担持具を、造成用構造物の柱状部分に嵌着するとともに、前記海藻種苗担持具の下方位置に請求項1記載の食害防除具を嵌着するという技術手段を採用した。さらに、請求項3に係る藻場造成用構造物は、柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介して海藻種苗が着生したロープを外周面のほぼ全長に沿って装着するとともに、柔軟性材料からなる線状や帯状等の多数の条体が芯線の長手方向に沿って放射状に突出した起毛紐状体を前記ロープのほぼ全長に渡って添設してなる海藻種苗担持具を、造成用構造物の柱状部分に嵌着するという技術手段を採用した。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、上記構成の食害防除具あるいは海藻種苗が着生した状態のロープに沿って起毛紐状体を設け、これらを例えば適宜形状の基盤に立設した柱体や全体が柱状に形成された構造物の柱状部分の少なくとも下部にほぼ全周を囲むように配設したから、起毛紐状体から放射状に突出した柔軟性材料からなる多数の条体が海中で揺動することにより、その柱状部分を下側から伝わって匍匐するウニ等の藻食性動物の上方への移動が効果的に阻止される。このため、藻場の造成作業において最も重要な造成初期における海藻種苗の幼体が、それら藻食性動物の食害から保護されるので、より計画的かつ確実に藻場造成を図ることが可能になる。さらに起毛紐状体は、開閉構造のリング状基体に対して、ロープと一体の状態でその外周面のほぼ全長に沿って装着され、当該リング状基体を介して柱状部分に嵌着されることになるから、柱状部分に対する取付作業が簡便で位置ずれが生じ難く、また製造面においても一般的なブラシ類と同様な方法で製造することができるので経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、適宜材質、形状の基盤に立設した柱体や全体が柱状に形成されたコンクリート構造物等を介して藻場を造成する藻場造成技術に適用される。本発明において、藻食性動物による食害防除手段として使用する起毛紐状体とは、海中で不規則かつ柔軟に動く物質に触れると忌避するウニ等の行動習性に着目して開発されたものである。その構造は、例えば複数の金属線あるいは天然材料や生分解性材料からなる繊維などを芯線とし、これを撚る際に、その線間に線状、帯状、短冊状などの各種形状の条体を短く切断したものを数多く放射状に差し込むように束ねることにより、連続的にブラシ状またはモール状に加工したものである。なお、多数の条体は、芯線の端面から見て円形状に配置するに限らず、ロープに添設することを考慮すれば、芯線の片側のみ(半円状)であってもよい。すなわち、本発明における放射状とは、必ずしも芯線の全周に多数の条体が突出している状態を意味するものではない。
【0011】
上記条体は、わずかな海水の動きでも確実に揺動するような柔軟性を備え、さらに長期間の使用により珪藻類の付着があってもその機能を持続するため、条体の浮力が経時的に大きく低下しないことが望まれる。具体的には、密度が800kg/m3以下の合成樹脂または天然樹脂からなる発泡体やその複合材料が使用され、特に好ましくは400kg/m3以下である。合成樹脂発泡体の代表例としては架橋発泡ポリエチレンシート等、天然樹脂発泡体としては、天然ゴム系発泡シート等を挙げることができる。また、これら発泡体を用いた複合材料とは、シートの片面、両面または内部に補強層を設けたもので、これにより長期の使用に耐え得る強度が得られる。補強層としては、例えば強度のある非発泡シート、フィルム、線状体などが挙げられる。なお、上記発泡体あるいは複合材料でできたシートの一部にスリットを形成し、その部分を帯状または短冊状に加工するとともに、スリットを形成しない残りの部分には金属線、帯鉄、ロープ状繊維などを取付けて補強材、取付芯材としてもよい。さらに、生分解性樹脂からなるものを使用すれば、仮にこの起毛紐状体が流失したとしても、海水中で加水分解、あるいは微生物で分解されるため、海洋汚染の心配がなくなる。以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明するが、これに限定されるものではなく、本発明の技術思想内での種々の変更実施はもちろん可能である。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明に係る食害防除具の平面図である。図示の食害防除具1は、リング状基体2と起毛紐状体3とロープ4とから構成され、開閉自在な構造のリング状基体2が閉鎖した状態を示している。起毛紐状体3は、リング状基体2の周長とほぼ同じ長さに設定され、それよりも幾分短い長さのロープ4とともに、リング状基体2の外周面に沿って設けられている。起毛紐状体3はブラシ状を呈し、図2に正面図として示すように、複数本の合成繊維糸の撚線からなる芯線31と、その長手方向に沿って放射状に突出する架橋発泡ポリエチレンなどの柔軟性材料からなる多数の条体32で構成されたものである。なお、図1では芯線31の大半部分がロープ4の裏側に隠れている。ここで使用される多数の条体32は、毛足が長いためにリング状基体2の内周面側と外周面側に十分に突出している。
【0013】
図3,4は、それぞれ本発明で使用するリング状基体の平面図と正面図である。このリング状基体2は、ポリプロピレン等の適度な弾性を有する合成樹脂からなり、略環状に形成された帯状本体21の一端部に鉤状突起22が、また他端部には前記鉤状突起22を受け入れて環状状態を保持するための掛止孔23がそれぞれ設けられている。さらに、帯状本体21の外側面の五個所には前記ロープ2を掛止するための略L字状の受け部24が突設され、この受け部24の先端の内側には突起25が形成されるとともに、この突起25に対向するように帯状本体21の外周面にも軸心方向に突起26が設けられている。また、帯状本体21の中間部分の二個所に略U字状の膨出部27が外側に向けて突設され、帯状本体21の受け部24の内面側には軸心方向に向けて5個の突起28が形成されている。そして、帯状本体21の各端部近傍に一対の把手29が突設されている。
【0014】
このような構造のリング状基体2に対して、前記起毛紐状体3を装着するには、起毛紐状体3の両端をリング状基体2の端部に合わせた位置で芯線31の部分を五個所の受け部24の内部に挿入した後、ロープ4を同様に外周面に沿わせてその上から挿入する。挿入されたロープ4は、受け部24の内側に設けられた突起25により掛止されるので、起毛紐状体3は確実に装着されることになる。なお、予めロープ4に対して起毛紐状体3を螺旋状に巻き付け、この状態で五個所の受け部24の内部に挿入してもよい。起毛紐状体3は、リング状基体2の結合部分に近い部分まで設置して、藻食性動物の通路を形成しないようにする必要があることはいうまでもない。
【0015】
図5,6は、本発明に係る食害防除具の使用状態を示す説明図である。図5に示すように、造成用構造物5は、コンクリートからなる適宜形状の基盤51の上面に柱状部52が設けられたものであり、基盤51の表面に加え柱状部52の外周面も海藻類の着生床として利用される。なお、前記食害防除具1におけるリング状基体2の内径は、柱状部52の外径よりも幾分小さく設定されている。このような造成用構造物5に対して、食害防除具1を取付けるには、柱状部52の適宜位置でリング状基体2の両端部を弾性に抗して拡げ、その間から柱状部52に嵌めてもよいし、柱状部52の上端部から外嵌することもできる。そして、柱状部52が内部を貫通した状態で帯状本体21の両端に設けられた鉤状突起22と掛止孔23とを、それらの近くに設けられた一対の把手29を用いて引き寄せながら掛合させる。これにより、有端状であった帯状本体21を環状状態に保持することができる。このとき、帯状本体21の中間部分の二個所に設けられた略U字状の膨出部27が適宜開くことから、柱状部52の外径に多少の変動があっても確実に適用することができ、しかもリング状基体2自体の弾性復元力を補強する効果もある。なお、リング状基体2を構成する素材の弾性が高ければ、このような膨出部27は不要であり、また環状状態を保持するための両端の掛止手段22,23も不要である。また、帯状本体21の内周面側に設けられた突起28は、リング状基体2の経方向の移動を阻止するもので、簡便かつ確実に食害防除具1を柱状部52の所定位置に固定することができる。これにより、食害の原因となるウニ等の匍匐性動物6の上方への移動が確実に阻止され、柱状部52の上方に着生した海藻類は保護される。なお、図6に示すように、食害防除具1を一つの柱状部52に対して2個以上取付けることも可能であり、この場合には食害防止効果がより高くなる。
【0016】
図7と図8は、それぞれ本発明に係る食害防除具1を用いた藻場造成用構造物の斜視図と、そこで使用する海藻種苗担持具の平面図である。造成用構造物5は、十字状の基盤51の上面に8本の柱状部52が立設されたものである。それぞれの柱状部52には、食害防除具1と後述する海藻種苗担持具7が各2個ずつ設けられている。この場合、まず基盤51に最も近い位置に食害防除具1が装着され、その上方に海藻種苗担持具7と残りの食害防除具1と海藻種苗担持具7が順次装着されている。図8に示すように、海藻種苗担持具7はリング状基体2に海藻種苗71が着生した状態のロープ4を装着したもので、食害防除具1で使用するリング状基体2をそのまま利用することができるので経済的であると同時に、柱状部52への取付も容易かつ確実である。そして、ロープ4に着生している多数の海藻種苗71は、食害防除具1により食害から保護されながらその仮根が伸長して柱状部52に定着し、そこで成熟すると、海藻種苗7から遊走子が放出され、それら遊走子に基づいて基盤51やその周囲に海藻が繁茂し、藻場が造成される。
【0017】
図9は、本発明の藻場造成用構造物で使用する他の海藻種苗担持具の平面図である。図示の海藻種苗担持具70は、前記海藻種苗担持具7に起毛紐状体3を組み合わせたものである。すなわち、リング状基体2に対して海藻種苗71が着生した状態のロープ4を装着するに際して、初めに起毛紐状体3を沿わせ、その上からロープ4を装着することにより、一体化が可能である。斯かる海藻種苗担持具70を使用すれば、柱状部分がスペース的に余裕がない場合に好都合である。
【0018】
図10,11は、食害防除具の異なる実施例の平面図と、それに使用するリング状基体の正面図である。なお、前記実施例と重複する部分については説明を省略する。図示の食害防除具8におけるリング状基体20は、ロープ4等を装着する部分の構造が基本的に前記リング状基体2と同様であるが、その端部の形状が異なるものである。すなわち、一対の把手21よりも終端に近い位置には、矩形状の掛止孔22が各1個ずつ設けられている。このような食害防除具8は、例えば図12に示すような造成用構造物に適用される。図示の造成用構造物9は、外経に比べて高さの低いコンクリートからなる柱状体91の外周面に、合成樹脂製の固定バンド92を上下の二個所に接着したものである。なお、固定バンド92には、前記食害防除具8のリング状基体20に設けられた掛止孔22と掛合可能な鉤状突起93が形成され、また柱状体91には軸心位置に貫通孔94が設けられている。
【0019】
図13,14は、それぞれ海藻種苗担持具の他の実施例を示す斜視図と、それを前記造成用構造物9に対して前記食害防除具8とともに適用した状態の斜視図である。図示の海藻種苗担持具10では、前記食害防除具8のリング状基体20と同じ形状のものが使用され、海藻種苗71が着生したロープ4が装着されている。そして、これらの食害防除具8と海藻種苗担持具10は、図14に示すように柱状体91の上部と下部に設けられた固定バンド92に対して、掛止孔22を鉤状突起93に掛合させることにより固定される。固定バンド92を使用した場合には、造成用構造物に対して位置ずれを生じることなく簡便に取付けることができる。そして、このように食害防除具8と海藻種苗担持具10が装着された造成用構造物9は、岩盤や既設の魚礁構造物などの適宜場所に設置される。その際には、柱状体91に設けられている貫通孔94にアンカーを挿通し、載置面に固着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る食害防除具の実施例を示した平面図である。
【図2】同食害防除具で使用する起毛紐状体の正面図である。
【図3】同食害防除具で使用するリング状基体の平面図である。
【図4】同リング状基体の正面図である。
【図5】前記食害防除具の使用状態を示した説明図である。
【図6】前記食害防除具の他の使用状態を示した説明図である。
【図7】本発明に係る藻場造成用構造物の実施例を示した斜視図である。
【図8】本発明の藻場造成用構造物で使用する海藻種苗担持具の平面図である。
【図9】海藻種苗担持具の他の実施例を示した平面図である。
【図10】本発明に係る食害防除具の他の実施例を示した平面図である。
【図11】同食害防除具で使用するリング状基体の平面図である。
【図12】本発明で使用する造成用構造物の他の実施例を示した斜視図である。
【図13】同造成用構造物で使用する海藻種苗担持具の他の実施例を示した斜視図である。
【図14】本発明に係る藻場造成用構造物の他の実施例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1,8…食害防除具、2,20…リング状基体、3…起毛紐状体、4…ロープ、5,9…造成用構造物、7,10,70…海藻種苗担持具、21…帯状本体、22,93…鉤状突起、23…掛止孔、24…受け部、27…膨出部、29…把手、31…芯線、32…条体、51…基盤、52…柱状部、71…海藻種苗、92…固定バンド
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類の繁殖をもたらし、海中環境の改善に大きく寄与する海藻類を中心とした藻場の造成技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、我国においては沿岸漁業の振興が重要な課題であり、魚介類や海藻類の増殖及び養殖が図られている。しかるに、沿岸部では種々の原因によって藻場が消滅し、藻場を生活の場としていた魚介類が激減する、いわゆる「磯焼け」と呼ばれる現象が各地に拡大し、その早急な対策が求められている。
【0003】
海藻類は、一般に比較的浅い海底の岩石表面に着生し、そこで繁殖する。ところが、磯焼け海域では遊走子の供給源となる母藻群が近くに存在せず、しかも着生床となる岩石表面が石灰藻で覆われている場合が多いことなどにより、環境的に海藻類がきわめて着生し難い状況になっている。また、砂泥質の海域では海藻類の着生は元々困難である。したがって、このような磯焼け海域での藻場の再生や砂泥海域での藻場造りにおいては、海藻類の着生床として機能し得るコンクリートブロックの沈設あるいは自然石の投入が行われ、それらの表面に海藻類が自然着生するのを待って造成する方法が一般的である。
【0004】
このような状況に鑑み、本出願人はコンクリート基盤に適宜の柱体を立設した柱状構造物を海中に沈設し、その柱体上に移植した海藻種苗を核として藻場を造成しようという藻場造成技術を開発した(特許文献1)。ところが、海中には海藻類を捕食するウニや、アワビ、サザエ、バテイラ、クボガイなどの藻食性動物が生息している。これらの藻食性動物は、海藻の生育途上にある幼体を好んで捕食するため、造成初期において前記柱体上に着生した幼体が十分に成熟しないうちに捕食し尽くされてしまい、造成計画がその食害により失敗に終るという事例が見られた。特に、造成対象海域に海藻類がほとんど存在しないような状況下では、藻食性動物の摂食圧が導入した海藻類の量を大幅に上まわることから、その傾向がより顕著であった。
【0005】
そこで、柱体上に移植した海藻種苗を藻食性動物の食害から保護するため、笠状の鍔部や多数の毛状突起を備えた食害防除具を柱体の下部外周面に設置することを提案した(特許文献2)。しかしながら、前者の食害防除具は防除効果の点で必ずしも十分ではなかった。一方、多数の硬質の毛を利用する後者の場合、可撓性を有する棒状のブラシ状部材の端部同士を捻じ曲げて固定するものでは、柱体の下方に位置ずれしやすいためにその効果が減殺される虞があった。また、植毛された帯状プラスチック板を柱体に巻回し、その両端をボルトで結合して固定するものでは、製造コストが嵩むばかりか柱体への取付作業が面倒であり、いずれの形態であっても硬質の毛では忌避効果が十分に発揮されないなど、改善の余地が残されていた。
【特許文献1】特許第2905432号公報
【特許文献2】特開平11−127720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、例えば適宜の基盤に立設された柱体上に移植した海藻種苗を核として藻場を造成しようという藻場造成技術において、その柱体上に導入した海藻種苗をウニ等の藻食性動物の食害から保護し得る食害防除具と、これを用いた藻場造成用構造物を提供し、より確実な藻場造成を図るところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る食害防除具では、柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介してロープを外周面のほぼ全長に沿って装着するとともに、柔軟性材料からなる線状や帯状等の多数の条体が芯線の長手方向に沿って放射状に突出した起毛紐状体を前記ロープのほぼ全長に渡って添設するという技術手段を採用した。
【0008】
また、請求項2に係る藻場造成用構造物では、柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介して海藻種苗が着生したロープを外周面のほぼ全長に沿って装着してなる海藻種苗担持具を、造成用構造物の柱状部分に嵌着するとともに、前記海藻種苗担持具の下方位置に請求項1記載の食害防除具を嵌着するという技術手段を採用した。さらに、請求項3に係る藻場造成用構造物は、柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介して海藻種苗が着生したロープを外周面のほぼ全長に沿って装着するとともに、柔軟性材料からなる線状や帯状等の多数の条体が芯線の長手方向に沿って放射状に突出した起毛紐状体を前記ロープのほぼ全長に渡って添設してなる海藻種苗担持具を、造成用構造物の柱状部分に嵌着するという技術手段を採用した。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、上記構成の食害防除具あるいは海藻種苗が着生した状態のロープに沿って起毛紐状体を設け、これらを例えば適宜形状の基盤に立設した柱体や全体が柱状に形成された構造物の柱状部分の少なくとも下部にほぼ全周を囲むように配設したから、起毛紐状体から放射状に突出した柔軟性材料からなる多数の条体が海中で揺動することにより、その柱状部分を下側から伝わって匍匐するウニ等の藻食性動物の上方への移動が効果的に阻止される。このため、藻場の造成作業において最も重要な造成初期における海藻種苗の幼体が、それら藻食性動物の食害から保護されるので、より計画的かつ確実に藻場造成を図ることが可能になる。さらに起毛紐状体は、開閉構造のリング状基体に対して、ロープと一体の状態でその外周面のほぼ全長に沿って装着され、当該リング状基体を介して柱状部分に嵌着されることになるから、柱状部分に対する取付作業が簡便で位置ずれが生じ難く、また製造面においても一般的なブラシ類と同様な方法で製造することができるので経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、適宜材質、形状の基盤に立設した柱体や全体が柱状に形成されたコンクリート構造物等を介して藻場を造成する藻場造成技術に適用される。本発明において、藻食性動物による食害防除手段として使用する起毛紐状体とは、海中で不規則かつ柔軟に動く物質に触れると忌避するウニ等の行動習性に着目して開発されたものである。その構造は、例えば複数の金属線あるいは天然材料や生分解性材料からなる繊維などを芯線とし、これを撚る際に、その線間に線状、帯状、短冊状などの各種形状の条体を短く切断したものを数多く放射状に差し込むように束ねることにより、連続的にブラシ状またはモール状に加工したものである。なお、多数の条体は、芯線の端面から見て円形状に配置するに限らず、ロープに添設することを考慮すれば、芯線の片側のみ(半円状)であってもよい。すなわち、本発明における放射状とは、必ずしも芯線の全周に多数の条体が突出している状態を意味するものではない。
【0011】
上記条体は、わずかな海水の動きでも確実に揺動するような柔軟性を備え、さらに長期間の使用により珪藻類の付着があってもその機能を持続するため、条体の浮力が経時的に大きく低下しないことが望まれる。具体的には、密度が800kg/m3以下の合成樹脂または天然樹脂からなる発泡体やその複合材料が使用され、特に好ましくは400kg/m3以下である。合成樹脂発泡体の代表例としては架橋発泡ポリエチレンシート等、天然樹脂発泡体としては、天然ゴム系発泡シート等を挙げることができる。また、これら発泡体を用いた複合材料とは、シートの片面、両面または内部に補強層を設けたもので、これにより長期の使用に耐え得る強度が得られる。補強層としては、例えば強度のある非発泡シート、フィルム、線状体などが挙げられる。なお、上記発泡体あるいは複合材料でできたシートの一部にスリットを形成し、その部分を帯状または短冊状に加工するとともに、スリットを形成しない残りの部分には金属線、帯鉄、ロープ状繊維などを取付けて補強材、取付芯材としてもよい。さらに、生分解性樹脂からなるものを使用すれば、仮にこの起毛紐状体が流失したとしても、海水中で加水分解、あるいは微生物で分解されるため、海洋汚染の心配がなくなる。以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明するが、これに限定されるものではなく、本発明の技術思想内での種々の変更実施はもちろん可能である。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明に係る食害防除具の平面図である。図示の食害防除具1は、リング状基体2と起毛紐状体3とロープ4とから構成され、開閉自在な構造のリング状基体2が閉鎖した状態を示している。起毛紐状体3は、リング状基体2の周長とほぼ同じ長さに設定され、それよりも幾分短い長さのロープ4とともに、リング状基体2の外周面に沿って設けられている。起毛紐状体3はブラシ状を呈し、図2に正面図として示すように、複数本の合成繊維糸の撚線からなる芯線31と、その長手方向に沿って放射状に突出する架橋発泡ポリエチレンなどの柔軟性材料からなる多数の条体32で構成されたものである。なお、図1では芯線31の大半部分がロープ4の裏側に隠れている。ここで使用される多数の条体32は、毛足が長いためにリング状基体2の内周面側と外周面側に十分に突出している。
【0013】
図3,4は、それぞれ本発明で使用するリング状基体の平面図と正面図である。このリング状基体2は、ポリプロピレン等の適度な弾性を有する合成樹脂からなり、略環状に形成された帯状本体21の一端部に鉤状突起22が、また他端部には前記鉤状突起22を受け入れて環状状態を保持するための掛止孔23がそれぞれ設けられている。さらに、帯状本体21の外側面の五個所には前記ロープ2を掛止するための略L字状の受け部24が突設され、この受け部24の先端の内側には突起25が形成されるとともに、この突起25に対向するように帯状本体21の外周面にも軸心方向に突起26が設けられている。また、帯状本体21の中間部分の二個所に略U字状の膨出部27が外側に向けて突設され、帯状本体21の受け部24の内面側には軸心方向に向けて5個の突起28が形成されている。そして、帯状本体21の各端部近傍に一対の把手29が突設されている。
【0014】
このような構造のリング状基体2に対して、前記起毛紐状体3を装着するには、起毛紐状体3の両端をリング状基体2の端部に合わせた位置で芯線31の部分を五個所の受け部24の内部に挿入した後、ロープ4を同様に外周面に沿わせてその上から挿入する。挿入されたロープ4は、受け部24の内側に設けられた突起25により掛止されるので、起毛紐状体3は確実に装着されることになる。なお、予めロープ4に対して起毛紐状体3を螺旋状に巻き付け、この状態で五個所の受け部24の内部に挿入してもよい。起毛紐状体3は、リング状基体2の結合部分に近い部分まで設置して、藻食性動物の通路を形成しないようにする必要があることはいうまでもない。
【0015】
図5,6は、本発明に係る食害防除具の使用状態を示す説明図である。図5に示すように、造成用構造物5は、コンクリートからなる適宜形状の基盤51の上面に柱状部52が設けられたものであり、基盤51の表面に加え柱状部52の外周面も海藻類の着生床として利用される。なお、前記食害防除具1におけるリング状基体2の内径は、柱状部52の外径よりも幾分小さく設定されている。このような造成用構造物5に対して、食害防除具1を取付けるには、柱状部52の適宜位置でリング状基体2の両端部を弾性に抗して拡げ、その間から柱状部52に嵌めてもよいし、柱状部52の上端部から外嵌することもできる。そして、柱状部52が内部を貫通した状態で帯状本体21の両端に設けられた鉤状突起22と掛止孔23とを、それらの近くに設けられた一対の把手29を用いて引き寄せながら掛合させる。これにより、有端状であった帯状本体21を環状状態に保持することができる。このとき、帯状本体21の中間部分の二個所に設けられた略U字状の膨出部27が適宜開くことから、柱状部52の外径に多少の変動があっても確実に適用することができ、しかもリング状基体2自体の弾性復元力を補強する効果もある。なお、リング状基体2を構成する素材の弾性が高ければ、このような膨出部27は不要であり、また環状状態を保持するための両端の掛止手段22,23も不要である。また、帯状本体21の内周面側に設けられた突起28は、リング状基体2の経方向の移動を阻止するもので、簡便かつ確実に食害防除具1を柱状部52の所定位置に固定することができる。これにより、食害の原因となるウニ等の匍匐性動物6の上方への移動が確実に阻止され、柱状部52の上方に着生した海藻類は保護される。なお、図6に示すように、食害防除具1を一つの柱状部52に対して2個以上取付けることも可能であり、この場合には食害防止効果がより高くなる。
【0016】
図7と図8は、それぞれ本発明に係る食害防除具1を用いた藻場造成用構造物の斜視図と、そこで使用する海藻種苗担持具の平面図である。造成用構造物5は、十字状の基盤51の上面に8本の柱状部52が立設されたものである。それぞれの柱状部52には、食害防除具1と後述する海藻種苗担持具7が各2個ずつ設けられている。この場合、まず基盤51に最も近い位置に食害防除具1が装着され、その上方に海藻種苗担持具7と残りの食害防除具1と海藻種苗担持具7が順次装着されている。図8に示すように、海藻種苗担持具7はリング状基体2に海藻種苗71が着生した状態のロープ4を装着したもので、食害防除具1で使用するリング状基体2をそのまま利用することができるので経済的であると同時に、柱状部52への取付も容易かつ確実である。そして、ロープ4に着生している多数の海藻種苗71は、食害防除具1により食害から保護されながらその仮根が伸長して柱状部52に定着し、そこで成熟すると、海藻種苗7から遊走子が放出され、それら遊走子に基づいて基盤51やその周囲に海藻が繁茂し、藻場が造成される。
【0017】
図9は、本発明の藻場造成用構造物で使用する他の海藻種苗担持具の平面図である。図示の海藻種苗担持具70は、前記海藻種苗担持具7に起毛紐状体3を組み合わせたものである。すなわち、リング状基体2に対して海藻種苗71が着生した状態のロープ4を装着するに際して、初めに起毛紐状体3を沿わせ、その上からロープ4を装着することにより、一体化が可能である。斯かる海藻種苗担持具70を使用すれば、柱状部分がスペース的に余裕がない場合に好都合である。
【0018】
図10,11は、食害防除具の異なる実施例の平面図と、それに使用するリング状基体の正面図である。なお、前記実施例と重複する部分については説明を省略する。図示の食害防除具8におけるリング状基体20は、ロープ4等を装着する部分の構造が基本的に前記リング状基体2と同様であるが、その端部の形状が異なるものである。すなわち、一対の把手21よりも終端に近い位置には、矩形状の掛止孔22が各1個ずつ設けられている。このような食害防除具8は、例えば図12に示すような造成用構造物に適用される。図示の造成用構造物9は、外経に比べて高さの低いコンクリートからなる柱状体91の外周面に、合成樹脂製の固定バンド92を上下の二個所に接着したものである。なお、固定バンド92には、前記食害防除具8のリング状基体20に設けられた掛止孔22と掛合可能な鉤状突起93が形成され、また柱状体91には軸心位置に貫通孔94が設けられている。
【0019】
図13,14は、それぞれ海藻種苗担持具の他の実施例を示す斜視図と、それを前記造成用構造物9に対して前記食害防除具8とともに適用した状態の斜視図である。図示の海藻種苗担持具10では、前記食害防除具8のリング状基体20と同じ形状のものが使用され、海藻種苗71が着生したロープ4が装着されている。そして、これらの食害防除具8と海藻種苗担持具10は、図14に示すように柱状体91の上部と下部に設けられた固定バンド92に対して、掛止孔22を鉤状突起93に掛合させることにより固定される。固定バンド92を使用した場合には、造成用構造物に対して位置ずれを生じることなく簡便に取付けることができる。そして、このように食害防除具8と海藻種苗担持具10が装着された造成用構造物9は、岩盤や既設の魚礁構造物などの適宜場所に設置される。その際には、柱状体91に設けられている貫通孔94にアンカーを挿通し、載置面に固着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る食害防除具の実施例を示した平面図である。
【図2】同食害防除具で使用する起毛紐状体の正面図である。
【図3】同食害防除具で使用するリング状基体の平面図である。
【図4】同リング状基体の正面図である。
【図5】前記食害防除具の使用状態を示した説明図である。
【図6】前記食害防除具の他の使用状態を示した説明図である。
【図7】本発明に係る藻場造成用構造物の実施例を示した斜視図である。
【図8】本発明の藻場造成用構造物で使用する海藻種苗担持具の平面図である。
【図9】海藻種苗担持具の他の実施例を示した平面図である。
【図10】本発明に係る食害防除具の他の実施例を示した平面図である。
【図11】同食害防除具で使用するリング状基体の平面図である。
【図12】本発明で使用する造成用構造物の他の実施例を示した斜視図である。
【図13】同造成用構造物で使用する海藻種苗担持具の他の実施例を示した斜視図である。
【図14】本発明に係る藻場造成用構造物の他の実施例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1,8…食害防除具、2,20…リング状基体、3…起毛紐状体、4…ロープ、5,9…造成用構造物、7,10,70…海藻種苗担持具、21…帯状本体、22,93…鉤状突起、23…掛止孔、24…受け部、27…膨出部、29…把手、31…芯線、32…条体、51…基盤、52…柱状部、71…海藻種苗、92…固定バンド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介してロープを外周面のほぼ全長に沿って装着するとともに、柔軟性材料からなる線状や帯状等の多数の条体が芯線の長手方向に沿って放射状に突出した起毛紐状体を前記ロープのほぼ全長に渡って添設したことを特徴とする食害防除具。
【請求項2】
柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介して海藻種苗が着生したロープを外周面のほぼ全長に沿って装着してなる海藻種苗担持具を、造成用構造物の柱状部分に嵌着するとともに、前記海藻種苗担持具の下方位置に請求項1記載の食害防除具を嵌着したことを特徴とする藻場造成用構造物。
【請求項3】
柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介して海藻種苗が着生したロープを外周面のほぼ全長に沿って装着するとともに、柔軟性材料からなる線状や帯状等の多数の条体が芯線の長手方向に沿って放射状に突出した起毛紐状体を前記ロープのほぼ全長に渡って添設してなる海藻種苗担持具を、造成用構造物の柱状部分に嵌着したことを特徴とする藻場造成用構造物。
【請求項1】
柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介してロープを外周面のほぼ全長に沿って装着するとともに、柔軟性材料からなる線状や帯状等の多数の条体が芯線の長手方向に沿って放射状に突出した起毛紐状体を前記ロープのほぼ全長に渡って添設したことを特徴とする食害防除具。
【請求項2】
柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介して海藻種苗が着生したロープを外周面のほぼ全長に沿って装着してなる海藻種苗担持具を、造成用構造物の柱状部分に嵌着するとともに、前記海藻種苗担持具の下方位置に請求項1記載の食害防除具を嵌着したことを特徴とする藻場造成用構造物。
【請求項3】
柱状部分に対して側面から嵌着可能な開閉構造で外周面側に掛止部が設けられたリング状基体に、その掛止部を介して海藻種苗が着生したロープを外周面のほぼ全長に沿って装着するとともに、柔軟性材料からなる線状や帯状等の多数の条体が芯線の長手方向に沿って放射状に突出した起毛紐状体を前記ロープのほぼ全長に渡って添設してなる海藻種苗担持具を、造成用構造物の柱状部分に嵌着したことを特徴とする藻場造成用構造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−20460(P2007−20460A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206584(P2005−206584)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000000446)岡部株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
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