駐車場の門柱における鎖取付構造
【課題】 駐車場の門柱の昇降部材の間に張り渡した鎖に過大な引張り力が加われば鎖が外れて、門柱または自動車の損傷を防止する。
【解決手段】 駐車場の門柱に駆動装置により昇降される昇降部材25を設け、この昇降部材から水平方向に突出するフック10の先端部に略水平方向に延びるU字状切欠き11を形成し、鎖18の一端部をU字状切欠き11内に挿入するとともに通常の使用状態では鎖がU字状切欠きから離脱することを阻止するが鎖に所定以上の引張り力が加われば鎖をU字状切欠き内から離脱させるストッパ部材をU字状切欠きの開放部に設ける。ストッパ部材は、中間部にノッチ12aが形成されてフックの先端面にU字状切欠きの開放部を跨ぐように両端部が取り付けられた長方形の板材12でもよいし、一端部がU字状切欠きの開放部を覆い他端部がフックの先端面に取り付けられたばね板でもよいし、U字状切欠きの開口部に設けられてスプリングにより付勢されたボールでもよい。
【解決手段】 駐車場の門柱に駆動装置により昇降される昇降部材25を設け、この昇降部材から水平方向に突出するフック10の先端部に略水平方向に延びるU字状切欠き11を形成し、鎖18の一端部をU字状切欠き11内に挿入するとともに通常の使用状態では鎖がU字状切欠きから離脱することを阻止するが鎖に所定以上の引張り力が加われば鎖をU字状切欠き内から離脱させるストッパ部材をU字状切欠きの開放部に設ける。ストッパ部材は、中間部にノッチ12aが形成されてフックの先端面にU字状切欠きの開放部を跨ぐように両端部が取り付けられた長方形の板材12でもよいし、一端部がU字状切欠きの開放部を覆い他端部がフックの先端面に取り付けられたばね板でもよいし、U字状切欠きの開口部に設けられてスプリングにより付勢されたボールでもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場の出入口の両側に設けられて昇降部材の間に張り渡した鎖を昇降させるようにした門柱における鎖取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の駐車場の出入口の両側に設けられる門柱としては、例えば特許文献1に示すものがある。図5〜図9はこれと実質的に同じ門柱20の構造の一例を示す図である。この門柱20のフレームは、主として図5,図6及び図9に示すように、互いに向かい合わせた1対の浅いチャンネル状の内部フレーム21の両側縁を、浅いハット形断面形状の正面及び背面カバー22a,22bにより連結して略長方形断面形状の筒状としたもので、各内部フレーム21の下縁に形成した折曲部21aにより台座29上に起立固定されている。両内部フレーム21及び両カバー22a,22bは何れも板金製で、両内部フレーム21の下部は板金製の補強リブ21bにより補強されている。
【0003】
各内部フレーム21の上部の内側に対向して固定されたモータブラケット23a,23b上には、側面形状がL形の鋳物製のモータ台座23が固定されている。距離をおいて互いに平行にかつ一方の内部フレーム21側に接近してこれと平行となるように垂直に配置された1対の案内ロッド24は、上端が一方のモータブラケット23aとモータ台座23に共締め固定され、下端は台座29に取り付けられている。この1対の案内ロッド24には昇降部材25が、それぞれ二点鎖線で示す最上昇位置25Aと最下降位置25Bの間で上下方向移動可能に案内支持されている。昇降部材25の下部の正面側(図5及び図9において左側)には、後述するフック1が正面カバー22aの幅方向中央から外に突出するように設けられ、正面カバー22aには昇降部材25とともに上下動するフック1との干渉をさけるための細長いスリットが形成されている。昇降部材25の上部の背面側には、一方の内部フレーム21に接近してフック1と同様な長方形で厚板状の突出部25aが形成されている。
【0004】
モータ台座23の起立部にはギヤードモータ26aが取り付けられ、起立部から背面側に突出するモータ26aの水平な出力軸の先端には駆動スプロケット26bが固定されている。台座29上の背面側に取り付けられたチェーンテンショナ26cから背面側に突出して回転自在に支持された水平軸の先端には、従動スプロケット26dが取り付けられている。従動スプロケット26dは駆動スプロケット26bの真下に整列するように配置されており、この両スプロケット26b,26dの間にはローラチェーン26eが張り渡され、その張りはチェーンテンショナ26cにより従動スプロケット26dの高さを変えることにより調整される。両スプロケット26b,26dの間に張り渡されたローラチェーン26eの一方の直線部上に位置する一部のリンクプレートはL金具25bを介して昇降部材25の突出部25aに連結されている。このモータ26a、駆動スプロケット26b、チェーンテンショナ26c、従動スプロケット26d及びローラチェーン26eが、昇降部材25を昇降させる駆動装置26を構成している。
【0005】
図9に示すように、正面カバー22aの両外側の凹隅部には、板材を略直角三角形に折曲した正面側取付片27aの一方の短辺が、他方の短辺が正面カバー22aの側面との間に多少の隙間があくように、正面カバー22aのつば部に固定されている。また背面カバー22bには、板材を鋭角に折曲した背面側取付片27bが同様に固定されている。内部フレーム21と同じ長さで板材を折曲した1対の側面カバー28は、鋭角に折曲した一方の側縁部を正面側取付片27aと正面カバー22aの間の隙間に差し込み、同じく鋭角に折曲した他方の側縁部を背面側取付片27bと背面カバー22bの間に差し込んで、着脱可能に取り付けられる。このようにして組み立てられた門柱20の上端はカバー(図示省略)により覆われて閉じられている。
【0006】
図10及び図12に示すように、正面カバー22aから突出するフック1の先端部に形成した取付穴2には、多数の環状のリンクを連結した鎖18が連結リンク19を介して連結されている。連結リンク19は、U字状で各脚部の先端に互いに整列してストレート孔19cとねじ孔19dが形成されたシャックル19aと、アイボルト19bよりなるものである。鎖18は、その1つのリンクと係合されたシャックル19aの両脚部の間にフック1を挿入して前者の孔19c,19dと後者の先端部に形成された取付穴2を整列させ、アイボルト19bをこれらの各孔に挿入してねじ込むことにより、フック1に取り付けられる。
【0007】
この門柱20は、図13に示すように、複数の自動車Cのための囲いEにより囲われた駐車場Pの出入口の両側に設けられ、各門柱20の昇降部材25をその最上昇位置25Aと最下降位置25Bの間で昇降させることにより、フック1の間に張り渡した鎖18を昇降させて使用する。駐車場の地面には、鎖18の真下となる位置に溝Gを形成し、昇降部材25を最下降位置25Bとした状態では鎖18が溝Gの中に入って、自動車により踏みつけられないようにしている。
【0008】
この種の門柱20では、運転者の不注意などにより上昇している鎖18に自動車が当たると鎖18に過大な引張り力が加わって門柱50が曲がるなどの損傷を受けたり、自動車が損傷を受けたりする。また完全には下降されていない鎖18の上を自動車が通過した場合には自動車の損傷はないが、門柱20が曲がるなどの損傷は生じる。このような問題を防ぐために、従来は鎖18の一部のリンクの強度を弱くして、鎖18に所定以上の引張り力が加わるとその部分で破断して、それ以上の力が門柱20や自動車に加わらないようにしていた。
【0009】
あるいはまたフックを、図12に示すように取付穴2の代わりにU字状切欠き6を形成したフック1Aとし、その両側の突出部にU字状切欠き6を横切るように鎖18の素線径より小径の嵌合孔5を形成するとともにその入口側に大径のねじ孔5a形成し、U字状切欠き6を横切るようにピン部材7を挿入するとともに、ねじ孔5aに止めねじ8をねじ込んでピン部材7を抜け止めし、U字状切欠き6の奥部とピン部材7の間にアイボルト19bを挿入して連結リンク19をフック1に取り付けるようにしたものがある。このような構造によれば、鎖18に所定以上の引張り力が加わればピン部材7が破断して連結リンク19がフック1Aから外れるので、それ以上の力が門柱や自動車に加わることはない。
【特許文献1】特開2005−68961号公報(図1、図2及び図6)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したような図10に示すフック1によれば、一部の強度を弱くしたリンクの部分で鎖18が破断するので鎖18に所定以上の力が加わることはないが、破断後に交換する鎖として通常の同程度の太さの市販品を使用すると、その鎖が破断する引張り力が増大するので前述したような門柱20あるいは自動車の損傷を防ぐことはできなくなる。また図12に示すフック1Aによれば、破断するのはピン部材7であるので鎖は市販品を使用することができるが、破断した際にピン部材7が跳ね飛んで周囲のものを損傷するおそれがある。本発明はこのような各問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、本発明による駐車場の門柱における鎖取付構造は、上下方向移動可能に案内支持されて駆動装置により昇降される昇降部材を備え、この昇降部材に鎖の一端部を取り付けて昇降させる駐車場の門柱において、昇降部材に門柱から略水平方向に突出するフックを一体的に設けるとともに同フックの先端部に略水平方向に延びるU字状切欠きを形成し、鎖の一端部のリンクの一つをU字状切欠き内に挿入するとともに通常の使用状態ではリンクがU字状切欠きから離脱することを阻止するが鎖に所定以上の引張り力が加わればリンクをU字状切欠き内から離脱させるストッパ部材をU字状切欠きの開放部に設けたことを特徴とするものである。
【0012】
前項に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、ストッパ部材は、長手方向中間部に厚さまたは幅を減少させるノッチが形成されて、フックの先端面にU字状切欠きの開放部を跨ぐように両端部が着脱可能に取り付けられた長方形の板材であることが好ましい。
【0013】
第1項に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、ストッパ部材は、フックの先端面に一端部がU字状切欠きの開放部を覆うようにして他端部が着脱可能に取り付けられた長方形のばね板であることが好ましい。
【0014】
第1項に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、ストッパ部材は、U字状切欠きの一側となるフックの突出部に同U字状切欠きと直交して形成されたガイド孔内に摺動自在に保持されU字状切欠き側に向けてコイルばねにより弾性的に付勢されるとともに同U字状切欠き内への突出量が制限されたボールであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の駐車場の門柱における鎖取付構造によれば、昇降部材に門柱から略水平方向に突出するフックを一体的に設けるとともに同フックの先端部に略水平方向に延びるU字状切欠きを形成し、鎖の一端部のリンクの一つをU字状切欠き内に挿入するとともに通常の使用状態ではリンクがU字状切欠きから離脱することを阻止するが鎖に所定以上の引張り力が加わればリンクをU字状切欠き内から離脱させるストッパ部材をU字状切欠きの開放部に設けたので、鎖に所定以上の引張り力が加われば鎖の一端部のリンクはU字状切欠き内から離脱され、鎖に加わる引張り力は0になる。従って運転者の不注意などにより上昇している鎖に自動車が当たったり、完全には下降されていない鎖の上を自動車が通過したような場合でも、所定以上の引張り力が門柱に加わってこれを曲げたり、自動車に損傷を与えたりするおそれはない。また鎖として同程度の市販の鎖を使用することもできる。
【0016】
ストッパ部材は、長手方向中間部に厚さまたは幅を減少させるノッチが形成されて、フックの先端面にU字状切欠きの開放部を跨ぐように両端部が着脱可能に取り付けられた長方形の板材である駐車場の門柱における鎖取付構造によれば、鎖に所定以上の引張り力が加われば、フックの先端面に取り付けられた長方形の板材は中間部に形成された厚さまたは幅を減少させたノッチの部分において破断されて、鎖の一端部のリンクはU字状切欠き内から離脱され、鎖に加わる引張り力は0になるので、前述した各効果が得られる。またこれに加え、中間部で破断された板材は両端部においてフックの先端面に取り付けられたままであるので、破断した際にフックから離れて跳ね飛ぶおそれはなく、従って周囲のものを損傷するおそれもない。
【0017】
ストッパ部材は、フックの先端面に一端部がU字状切欠きの開放部を覆うようにして他端部が着脱可能に取り付けられた長方形のばね板である駐車場の門柱における鎖取付構造によれば、鎖に引っ張り力が加われば、フックの先端部に取り付けられた長方形のばね板は鎖の一端部のリンクにより押されてその一端部はフックの先端面から離れるように撓み、この引張り力が所定以上になれば、このリンクは撓んだばね板の一端部とフックとの間の隙間から外部に離脱され、鎖に加わる引張り力は0になるので、前述した各効果が得られる。またこれに加え、一端部が撓められたばね板の他端部はフックの先端面に取り付けられたままであるので、破断した際にフックから離れて跳ね飛ぶおそれはなく、従って周囲のものを損傷するおそれもない。
【0018】
ストッパ部材は、U字状切欠きの一側となるフックの突出部に同U字状切欠きと直交して形成されたガイド孔内に摺動自在に保持されU字状切欠き側に向けてコイルばねにより弾性的に付勢されるとともに同U字状切欠き内への突出量が制限されたボールである駐車場の門柱における鎖取付構造によれば、鎖に所定以上の引張り力が加われば、ボールは鎖の一端部のリンクにより押されてコイルばねに抗してガイド孔内に押し戻されて、このリンクはU字状切欠き内から離脱され、鎖に加わる引張り力は0になるので、前述した効果が得られる。またこれに加え、ボールはガイド孔内に摺動自在に保持されているとともにU字状切欠き内への突出量が制限されているので、破断した際にフックから離れて跳ね飛ぶおそれはなく、従って周囲のものを損傷するおそれもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜図9は、本発明による駐車場の門柱における鎖取付構造の第1実施形態を示す図であり、図1及び図2はその要部を示す図である。この第1実施形態は、フック10とこれに設けられた部分を除き図5〜図11で説明した従来技術と実質的に同一であるので、主としてフック10及びそれに設けられた部分の構造につき説明する。
【0020】
フック10は、前述した従来技術のフック1と同様、昇降部材25の下部の正面側から突出するように設けられている。図1及び図2(a) に示すように、フック10にはその先端面から略水平方向に延びるU字状切欠き11が形成され、フック10の先端面にはU字状切欠き11の開放部を跨ぐようにして閉じる細長い長方形の板材12が当接されて、U字状切欠き11の上下両側となる突出部に取付ねじ13により着脱可能に固定されている。図2(a) に示すように、板材12はU字状切欠き11の真ん中に対応する長手方向中間部に、厚さを減少させるVノッチ12aが全幅にわたり形成され、両端部には取付ねじ13のための取付穴12cが設けられている。
【0021】
鎖18の一端部をフック10に連結する連結リンク19は、前述した従来技術で説明したものと全く同一であり、板材12により開放部が閉じられたU字状切欠き11内にアイボルト19bを挿通することにより、フック10に取り付けられる。厚さ方向ノッチ12aが形成された板材12の強度は、連結リンク19を介して板材12に伝達される鎖18に加わる引張り力が所定値(100〜150kg)以下であれば破断されないが、この引張り力が所定値以上となれば厚さ方向ノッチ12aの部分で破断されて連結リンク19がフック10のU字状切欠き11から離脱されるようなような値に設定されている。
【0022】
運転者の不注意などにより上昇している鎖18に自動車が当たったりすると、鎖18に過大な引張り力が生じて門柱20が曲がるなどの損傷を受けたり、自動車が損傷を受けたりするおそれがある。しかしこの第1実施形態によれば、そのような場合でも鎖18に加わる引張り力が所定値以上となれば板材12が破断されて連結リンク19がフック10のU字状切欠き11から離脱されるので、過大な力が門柱20や自動車に加わって損傷を与えるおそれはない。またこの第1実施形態では、板材12は厚さ方向ノッチ12aを設けた中間部で破断され、破断された後の各板材は取付ねじ13によりフック10の先端面に取り付けられたままであり、破断した際にフック10から離れて跳ね飛ぶおそれはないので、周囲のものを損傷するおそれもない。さらにこの実施形態では板材12の破断部に厚さ方向ノッチ12aを設けているのでこの厚さ方向ノッチ12aの形状寸法を変えるだけで破断強度を変えることができるので、連結リンク19がフック10のU字状切欠き11から離脱されるときの引張り力を容易に変更することができる。
【0023】
この第1実施形態は、板材12を図2(b) で示すような板材12Aに置き換えて実施することもでき、その場合にも板材12の場合と全く同じ作用効果を得ることができる。
【0024】
次に図3に示す第2実施形態の説明をする。この第2実施形態では細長い長方形の板材12の代わりに長方形のばね板14がフック10Aの先端面に設けられ、その一端部がU字状切欠き11の開放部を覆い、他端部が1本の取付ねじ13によりU字状切欠き11の上側となる突出部の先端面に取り付けられている。従ってフック10Aは、取付ねじ13のためのねじ孔が1個だけである点を除き第1実施形態のフック10と同じである。この第2実施形態でも、鎖18の一端部をフック10に連結する連結リンク19は、前述した従来技術及び第1実施形態で説明したものと全く同じシャックル19aとアイボルト19bからなるもので、同様にしてフック10Aに取り付けられる。
【0025】
運転者の不注意などにより上昇している鎖18に自動車が当たるなどして鎖18に加わる引張り力が増大すれば、長方形のばね板14は連結リンク19のアイボルト19bにより押されてその一端部はフック10Aの先端面から離れるように撓み(二点鎖線14A参照)、この引張り力が所定以上になれば、このアイボルト19bは撓んだばね板14の一端部とフック10Aとの間の隙間から外部に離脱されるので、過大な力が門柱20や自動車に加わって損傷を与えるおそれはない。またこの第2実施形態では、ばね板14は、アイボルト19bを離脱させるために撓んでも、他端部は取付ねじ13によりフック10Aの先端面に取り付けられたままであるので、破断した際にフック10Aから離れて跳ね飛ぶおそれはなく、従って周囲のものを損傷するおそれもない。このばね板14は、撓んでアイボルト19bを離脱させた後は多少のたわみが残るが、破損することはないので、何回か繰り返して使用することも可能である。
【0026】
次に図4に示す第3実施形態の説明をする。この第3実施形態のフック10Bは、U字状切欠き11を形成する点については第1及び第2実施形態のフック10,10Aと同じであるが、U字状切欠き11の下側となるフック10Bの突出部の先端部近くにU字状切欠き11と直交するガイド孔15が形成されている。ガイド孔15内にはボール16が長手方向摺動自在に保持されているが、ガイド孔15のU字状切欠き11側先端部は多少絞られて、ボール16はU字状切欠き11内への最大突出量がその直径の1/3程度となるように制限されている。ボール16はガイド孔15の底部にかしめ固定された止め板17aとの間に介装されたコイルばね17により、前述した最大突出量の位置に向けて弾性的に付勢されている。前述したのと同じ連結リンク19は、アイボルト19bがU字状切欠き11内に突出したボール16とU字状切欠き11の奥部の間に挿入されるように、フック10Bに取り付けられる。
【0027】
運転者の不注意などにより上昇している鎖18に自動車が当たるなどして鎖18に加わる引張り力が増大すれば、アイボルト19bがボール16に当接してこれをコイルばね17に抗して押し下げる力を生じ、鎖18に加わる引張り力が所定以上になれば、アイボルト19bはコイルばね17に抗してボール16をガイド孔15内に押し戻して、連結リンク19はU字状切欠き11内から離脱されるので、過大な力が門柱20や自動車に加わって損傷を与えるおそれはない。またこの第3実施形態では、ボール16はガイド孔15内に摺動自在に保持されているとともにU字状切欠き11内への突出量が制限されているので、破断した際にフック10から離れて跳ね飛ぶおそれはなく、従って周囲のものを損傷するおそれもない。このボール16は連結リンク19の離脱後はコイルばね17によりU字状切欠き11内への突出量が最大となる位置に戻るので、力を込めて連結リンク19のアイボルト19bをU字状切欠き11の奥部に押し込むことにより、繰り返して使用することが可能である。
【0028】
上述した第1〜第3実施形態の板材12,12A、ばね板14及びコイルばね17により付勢されたボール16は、フック10,10A,10BのU字状切欠き11の開放部に設けられて、通常の使用状態では連結リンク19がU字状切欠き11から離脱することを阻止するが、鎖18に所定以上の引張り力が加われば連結リンク19をU字状切欠き11内から離脱させるストッパ部材を構成している。
【0029】
上述した各実施形態では、各フック10,10A,10Bは昇降部材25と一体形成した例につき説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、別体に形成したフックをボルト止めなどにより昇降部材に固定するようにして実施することも可能である。
【0030】
また上述した各実施形態では、2本の門柱20を同一とし、各門柱20のフック10,10A,10Bに形成したU字状切欠き11内に鎖18の一端部のリンクを挿入するとともに、U字状切欠き11の開放部に通常の使用状態ではリンクがU字状切欠き11から離脱することを阻止するが鎖18に所定以上の引張り力が加わればリンクをU字状切欠き11内から離脱させるストッパ部材12,12A,14,16を設けるものとして説明した。しかしながら本発明はこれに限られるものではなく、2本の門柱の何れか一方のフックにこのようなU字状切欠き11を形成してその開放部にこのようなストッパ部材を設け、他方の門柱に設けるフックは図10に示すような従来技術のものとして実施することも可能である。
【0031】
さらに上述した各実施形態では、鎖18はシャックル19aとアイボルト19bよりなる連結リンク19を介して、各門柱20のストッパ部材を設けたフックのU字状切欠きに連結するものとして説明し、これによればドライバやスパナなどの工具を用いる必要なしに、鎖18を各フックに着脱することができる。しかしながら本発明はこれに限られるものではなく、鎖18のリンクの各一端を、連結リンク19を用いることなく直接、各門柱20のストッパ部材を設けたフックのU字状切欠きに連結するようにして実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による駐車場の門柱における鎖取付構造の第1実施形態の要部を示す側面図である。
【図2】第1実施形態に使用する板材の2つの例を示す正面図である。
【図3】本発明による駐車場の門柱における鎖取付構造の第2実施形態の要部を示す側面図である。
【図4】本発明による駐車場の門柱における鎖取付構造の第3実施形態の要部を示す側面図である。
【図5】この種の駐車場の門柱の構造を示す長手方向断面図である。
【図6】図5に示す門柱の図5と直交する長手方向断面図である。
【図7】図6に示す門柱の長手方向断面図の昇降部材付近の拡大断面図である。
【図8】図4に示す門柱の長手方向断面図の昇降部材付近の拡大断面図である。
【図9】図8の9−9断面図である。
【図10】従来技術による駐車場の門柱における鎖取付構造の一例の要部を示す側面図である。
【図11】図10の11−11断面図である。
【図12】従来技術による駐車場の門柱における鎖取付構造の別の例の要部を示す側面図である。
【図13】この種の門柱を有する駐車場の全体平面図である。
【符号の説明】
【0033】
10,10A,10B…フック、11…U字状切欠き、12,12A,14,16…ストッパ部材、12,12A…板材、12a,12b…ノッチ、14…ばね板、15…ガイド孔、16…ボール、17…コイルばね、18…鎖、20…門柱、25…昇降部材、26…駆動装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場の出入口の両側に設けられて昇降部材の間に張り渡した鎖を昇降させるようにした門柱における鎖取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の駐車場の出入口の両側に設けられる門柱としては、例えば特許文献1に示すものがある。図5〜図9はこれと実質的に同じ門柱20の構造の一例を示す図である。この門柱20のフレームは、主として図5,図6及び図9に示すように、互いに向かい合わせた1対の浅いチャンネル状の内部フレーム21の両側縁を、浅いハット形断面形状の正面及び背面カバー22a,22bにより連結して略長方形断面形状の筒状としたもので、各内部フレーム21の下縁に形成した折曲部21aにより台座29上に起立固定されている。両内部フレーム21及び両カバー22a,22bは何れも板金製で、両内部フレーム21の下部は板金製の補強リブ21bにより補強されている。
【0003】
各内部フレーム21の上部の内側に対向して固定されたモータブラケット23a,23b上には、側面形状がL形の鋳物製のモータ台座23が固定されている。距離をおいて互いに平行にかつ一方の内部フレーム21側に接近してこれと平行となるように垂直に配置された1対の案内ロッド24は、上端が一方のモータブラケット23aとモータ台座23に共締め固定され、下端は台座29に取り付けられている。この1対の案内ロッド24には昇降部材25が、それぞれ二点鎖線で示す最上昇位置25Aと最下降位置25Bの間で上下方向移動可能に案内支持されている。昇降部材25の下部の正面側(図5及び図9において左側)には、後述するフック1が正面カバー22aの幅方向中央から外に突出するように設けられ、正面カバー22aには昇降部材25とともに上下動するフック1との干渉をさけるための細長いスリットが形成されている。昇降部材25の上部の背面側には、一方の内部フレーム21に接近してフック1と同様な長方形で厚板状の突出部25aが形成されている。
【0004】
モータ台座23の起立部にはギヤードモータ26aが取り付けられ、起立部から背面側に突出するモータ26aの水平な出力軸の先端には駆動スプロケット26bが固定されている。台座29上の背面側に取り付けられたチェーンテンショナ26cから背面側に突出して回転自在に支持された水平軸の先端には、従動スプロケット26dが取り付けられている。従動スプロケット26dは駆動スプロケット26bの真下に整列するように配置されており、この両スプロケット26b,26dの間にはローラチェーン26eが張り渡され、その張りはチェーンテンショナ26cにより従動スプロケット26dの高さを変えることにより調整される。両スプロケット26b,26dの間に張り渡されたローラチェーン26eの一方の直線部上に位置する一部のリンクプレートはL金具25bを介して昇降部材25の突出部25aに連結されている。このモータ26a、駆動スプロケット26b、チェーンテンショナ26c、従動スプロケット26d及びローラチェーン26eが、昇降部材25を昇降させる駆動装置26を構成している。
【0005】
図9に示すように、正面カバー22aの両外側の凹隅部には、板材を略直角三角形に折曲した正面側取付片27aの一方の短辺が、他方の短辺が正面カバー22aの側面との間に多少の隙間があくように、正面カバー22aのつば部に固定されている。また背面カバー22bには、板材を鋭角に折曲した背面側取付片27bが同様に固定されている。内部フレーム21と同じ長さで板材を折曲した1対の側面カバー28は、鋭角に折曲した一方の側縁部を正面側取付片27aと正面カバー22aの間の隙間に差し込み、同じく鋭角に折曲した他方の側縁部を背面側取付片27bと背面カバー22bの間に差し込んで、着脱可能に取り付けられる。このようにして組み立てられた門柱20の上端はカバー(図示省略)により覆われて閉じられている。
【0006】
図10及び図12に示すように、正面カバー22aから突出するフック1の先端部に形成した取付穴2には、多数の環状のリンクを連結した鎖18が連結リンク19を介して連結されている。連結リンク19は、U字状で各脚部の先端に互いに整列してストレート孔19cとねじ孔19dが形成されたシャックル19aと、アイボルト19bよりなるものである。鎖18は、その1つのリンクと係合されたシャックル19aの両脚部の間にフック1を挿入して前者の孔19c,19dと後者の先端部に形成された取付穴2を整列させ、アイボルト19bをこれらの各孔に挿入してねじ込むことにより、フック1に取り付けられる。
【0007】
この門柱20は、図13に示すように、複数の自動車Cのための囲いEにより囲われた駐車場Pの出入口の両側に設けられ、各門柱20の昇降部材25をその最上昇位置25Aと最下降位置25Bの間で昇降させることにより、フック1の間に張り渡した鎖18を昇降させて使用する。駐車場の地面には、鎖18の真下となる位置に溝Gを形成し、昇降部材25を最下降位置25Bとした状態では鎖18が溝Gの中に入って、自動車により踏みつけられないようにしている。
【0008】
この種の門柱20では、運転者の不注意などにより上昇している鎖18に自動車が当たると鎖18に過大な引張り力が加わって門柱50が曲がるなどの損傷を受けたり、自動車が損傷を受けたりする。また完全には下降されていない鎖18の上を自動車が通過した場合には自動車の損傷はないが、門柱20が曲がるなどの損傷は生じる。このような問題を防ぐために、従来は鎖18の一部のリンクの強度を弱くして、鎖18に所定以上の引張り力が加わるとその部分で破断して、それ以上の力が門柱20や自動車に加わらないようにしていた。
【0009】
あるいはまたフックを、図12に示すように取付穴2の代わりにU字状切欠き6を形成したフック1Aとし、その両側の突出部にU字状切欠き6を横切るように鎖18の素線径より小径の嵌合孔5を形成するとともにその入口側に大径のねじ孔5a形成し、U字状切欠き6を横切るようにピン部材7を挿入するとともに、ねじ孔5aに止めねじ8をねじ込んでピン部材7を抜け止めし、U字状切欠き6の奥部とピン部材7の間にアイボルト19bを挿入して連結リンク19をフック1に取り付けるようにしたものがある。このような構造によれば、鎖18に所定以上の引張り力が加わればピン部材7が破断して連結リンク19がフック1Aから外れるので、それ以上の力が門柱や自動車に加わることはない。
【特許文献1】特開2005−68961号公報(図1、図2及び図6)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したような図10に示すフック1によれば、一部の強度を弱くしたリンクの部分で鎖18が破断するので鎖18に所定以上の力が加わることはないが、破断後に交換する鎖として通常の同程度の太さの市販品を使用すると、その鎖が破断する引張り力が増大するので前述したような門柱20あるいは自動車の損傷を防ぐことはできなくなる。また図12に示すフック1Aによれば、破断するのはピン部材7であるので鎖は市販品を使用することができるが、破断した際にピン部材7が跳ね飛んで周囲のものを損傷するおそれがある。本発明はこのような各問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、本発明による駐車場の門柱における鎖取付構造は、上下方向移動可能に案内支持されて駆動装置により昇降される昇降部材を備え、この昇降部材に鎖の一端部を取り付けて昇降させる駐車場の門柱において、昇降部材に門柱から略水平方向に突出するフックを一体的に設けるとともに同フックの先端部に略水平方向に延びるU字状切欠きを形成し、鎖の一端部のリンクの一つをU字状切欠き内に挿入するとともに通常の使用状態ではリンクがU字状切欠きから離脱することを阻止するが鎖に所定以上の引張り力が加わればリンクをU字状切欠き内から離脱させるストッパ部材をU字状切欠きの開放部に設けたことを特徴とするものである。
【0012】
前項に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、ストッパ部材は、長手方向中間部に厚さまたは幅を減少させるノッチが形成されて、フックの先端面にU字状切欠きの開放部を跨ぐように両端部が着脱可能に取り付けられた長方形の板材であることが好ましい。
【0013】
第1項に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、ストッパ部材は、フックの先端面に一端部がU字状切欠きの開放部を覆うようにして他端部が着脱可能に取り付けられた長方形のばね板であることが好ましい。
【0014】
第1項に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、ストッパ部材は、U字状切欠きの一側となるフックの突出部に同U字状切欠きと直交して形成されたガイド孔内に摺動自在に保持されU字状切欠き側に向けてコイルばねにより弾性的に付勢されるとともに同U字状切欠き内への突出量が制限されたボールであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の駐車場の門柱における鎖取付構造によれば、昇降部材に門柱から略水平方向に突出するフックを一体的に設けるとともに同フックの先端部に略水平方向に延びるU字状切欠きを形成し、鎖の一端部のリンクの一つをU字状切欠き内に挿入するとともに通常の使用状態ではリンクがU字状切欠きから離脱することを阻止するが鎖に所定以上の引張り力が加わればリンクをU字状切欠き内から離脱させるストッパ部材をU字状切欠きの開放部に設けたので、鎖に所定以上の引張り力が加われば鎖の一端部のリンクはU字状切欠き内から離脱され、鎖に加わる引張り力は0になる。従って運転者の不注意などにより上昇している鎖に自動車が当たったり、完全には下降されていない鎖の上を自動車が通過したような場合でも、所定以上の引張り力が門柱に加わってこれを曲げたり、自動車に損傷を与えたりするおそれはない。また鎖として同程度の市販の鎖を使用することもできる。
【0016】
ストッパ部材は、長手方向中間部に厚さまたは幅を減少させるノッチが形成されて、フックの先端面にU字状切欠きの開放部を跨ぐように両端部が着脱可能に取り付けられた長方形の板材である駐車場の門柱における鎖取付構造によれば、鎖に所定以上の引張り力が加われば、フックの先端面に取り付けられた長方形の板材は中間部に形成された厚さまたは幅を減少させたノッチの部分において破断されて、鎖の一端部のリンクはU字状切欠き内から離脱され、鎖に加わる引張り力は0になるので、前述した各効果が得られる。またこれに加え、中間部で破断された板材は両端部においてフックの先端面に取り付けられたままであるので、破断した際にフックから離れて跳ね飛ぶおそれはなく、従って周囲のものを損傷するおそれもない。
【0017】
ストッパ部材は、フックの先端面に一端部がU字状切欠きの開放部を覆うようにして他端部が着脱可能に取り付けられた長方形のばね板である駐車場の門柱における鎖取付構造によれば、鎖に引っ張り力が加われば、フックの先端部に取り付けられた長方形のばね板は鎖の一端部のリンクにより押されてその一端部はフックの先端面から離れるように撓み、この引張り力が所定以上になれば、このリンクは撓んだばね板の一端部とフックとの間の隙間から外部に離脱され、鎖に加わる引張り力は0になるので、前述した各効果が得られる。またこれに加え、一端部が撓められたばね板の他端部はフックの先端面に取り付けられたままであるので、破断した際にフックから離れて跳ね飛ぶおそれはなく、従って周囲のものを損傷するおそれもない。
【0018】
ストッパ部材は、U字状切欠きの一側となるフックの突出部に同U字状切欠きと直交して形成されたガイド孔内に摺動自在に保持されU字状切欠き側に向けてコイルばねにより弾性的に付勢されるとともに同U字状切欠き内への突出量が制限されたボールである駐車場の門柱における鎖取付構造によれば、鎖に所定以上の引張り力が加われば、ボールは鎖の一端部のリンクにより押されてコイルばねに抗してガイド孔内に押し戻されて、このリンクはU字状切欠き内から離脱され、鎖に加わる引張り力は0になるので、前述した効果が得られる。またこれに加え、ボールはガイド孔内に摺動自在に保持されているとともにU字状切欠き内への突出量が制限されているので、破断した際にフックから離れて跳ね飛ぶおそれはなく、従って周囲のものを損傷するおそれもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜図9は、本発明による駐車場の門柱における鎖取付構造の第1実施形態を示す図であり、図1及び図2はその要部を示す図である。この第1実施形態は、フック10とこれに設けられた部分を除き図5〜図11で説明した従来技術と実質的に同一であるので、主としてフック10及びそれに設けられた部分の構造につき説明する。
【0020】
フック10は、前述した従来技術のフック1と同様、昇降部材25の下部の正面側から突出するように設けられている。図1及び図2(a) に示すように、フック10にはその先端面から略水平方向に延びるU字状切欠き11が形成され、フック10の先端面にはU字状切欠き11の開放部を跨ぐようにして閉じる細長い長方形の板材12が当接されて、U字状切欠き11の上下両側となる突出部に取付ねじ13により着脱可能に固定されている。図2(a) に示すように、板材12はU字状切欠き11の真ん中に対応する長手方向中間部に、厚さを減少させるVノッチ12aが全幅にわたり形成され、両端部には取付ねじ13のための取付穴12cが設けられている。
【0021】
鎖18の一端部をフック10に連結する連結リンク19は、前述した従来技術で説明したものと全く同一であり、板材12により開放部が閉じられたU字状切欠き11内にアイボルト19bを挿通することにより、フック10に取り付けられる。厚さ方向ノッチ12aが形成された板材12の強度は、連結リンク19を介して板材12に伝達される鎖18に加わる引張り力が所定値(100〜150kg)以下であれば破断されないが、この引張り力が所定値以上となれば厚さ方向ノッチ12aの部分で破断されて連結リンク19がフック10のU字状切欠き11から離脱されるようなような値に設定されている。
【0022】
運転者の不注意などにより上昇している鎖18に自動車が当たったりすると、鎖18に過大な引張り力が生じて門柱20が曲がるなどの損傷を受けたり、自動車が損傷を受けたりするおそれがある。しかしこの第1実施形態によれば、そのような場合でも鎖18に加わる引張り力が所定値以上となれば板材12が破断されて連結リンク19がフック10のU字状切欠き11から離脱されるので、過大な力が門柱20や自動車に加わって損傷を与えるおそれはない。またこの第1実施形態では、板材12は厚さ方向ノッチ12aを設けた中間部で破断され、破断された後の各板材は取付ねじ13によりフック10の先端面に取り付けられたままであり、破断した際にフック10から離れて跳ね飛ぶおそれはないので、周囲のものを損傷するおそれもない。さらにこの実施形態では板材12の破断部に厚さ方向ノッチ12aを設けているのでこの厚さ方向ノッチ12aの形状寸法を変えるだけで破断強度を変えることができるので、連結リンク19がフック10のU字状切欠き11から離脱されるときの引張り力を容易に変更することができる。
【0023】
この第1実施形態は、板材12を図2(b) で示すような板材12Aに置き換えて実施することもでき、その場合にも板材12の場合と全く同じ作用効果を得ることができる。
【0024】
次に図3に示す第2実施形態の説明をする。この第2実施形態では細長い長方形の板材12の代わりに長方形のばね板14がフック10Aの先端面に設けられ、その一端部がU字状切欠き11の開放部を覆い、他端部が1本の取付ねじ13によりU字状切欠き11の上側となる突出部の先端面に取り付けられている。従ってフック10Aは、取付ねじ13のためのねじ孔が1個だけである点を除き第1実施形態のフック10と同じである。この第2実施形態でも、鎖18の一端部をフック10に連結する連結リンク19は、前述した従来技術及び第1実施形態で説明したものと全く同じシャックル19aとアイボルト19bからなるもので、同様にしてフック10Aに取り付けられる。
【0025】
運転者の不注意などにより上昇している鎖18に自動車が当たるなどして鎖18に加わる引張り力が増大すれば、長方形のばね板14は連結リンク19のアイボルト19bにより押されてその一端部はフック10Aの先端面から離れるように撓み(二点鎖線14A参照)、この引張り力が所定以上になれば、このアイボルト19bは撓んだばね板14の一端部とフック10Aとの間の隙間から外部に離脱されるので、過大な力が門柱20や自動車に加わって損傷を与えるおそれはない。またこの第2実施形態では、ばね板14は、アイボルト19bを離脱させるために撓んでも、他端部は取付ねじ13によりフック10Aの先端面に取り付けられたままであるので、破断した際にフック10Aから離れて跳ね飛ぶおそれはなく、従って周囲のものを損傷するおそれもない。このばね板14は、撓んでアイボルト19bを離脱させた後は多少のたわみが残るが、破損することはないので、何回か繰り返して使用することも可能である。
【0026】
次に図4に示す第3実施形態の説明をする。この第3実施形態のフック10Bは、U字状切欠き11を形成する点については第1及び第2実施形態のフック10,10Aと同じであるが、U字状切欠き11の下側となるフック10Bの突出部の先端部近くにU字状切欠き11と直交するガイド孔15が形成されている。ガイド孔15内にはボール16が長手方向摺動自在に保持されているが、ガイド孔15のU字状切欠き11側先端部は多少絞られて、ボール16はU字状切欠き11内への最大突出量がその直径の1/3程度となるように制限されている。ボール16はガイド孔15の底部にかしめ固定された止め板17aとの間に介装されたコイルばね17により、前述した最大突出量の位置に向けて弾性的に付勢されている。前述したのと同じ連結リンク19は、アイボルト19bがU字状切欠き11内に突出したボール16とU字状切欠き11の奥部の間に挿入されるように、フック10Bに取り付けられる。
【0027】
運転者の不注意などにより上昇している鎖18に自動車が当たるなどして鎖18に加わる引張り力が増大すれば、アイボルト19bがボール16に当接してこれをコイルばね17に抗して押し下げる力を生じ、鎖18に加わる引張り力が所定以上になれば、アイボルト19bはコイルばね17に抗してボール16をガイド孔15内に押し戻して、連結リンク19はU字状切欠き11内から離脱されるので、過大な力が門柱20や自動車に加わって損傷を与えるおそれはない。またこの第3実施形態では、ボール16はガイド孔15内に摺動自在に保持されているとともにU字状切欠き11内への突出量が制限されているので、破断した際にフック10から離れて跳ね飛ぶおそれはなく、従って周囲のものを損傷するおそれもない。このボール16は連結リンク19の離脱後はコイルばね17によりU字状切欠き11内への突出量が最大となる位置に戻るので、力を込めて連結リンク19のアイボルト19bをU字状切欠き11の奥部に押し込むことにより、繰り返して使用することが可能である。
【0028】
上述した第1〜第3実施形態の板材12,12A、ばね板14及びコイルばね17により付勢されたボール16は、フック10,10A,10BのU字状切欠き11の開放部に設けられて、通常の使用状態では連結リンク19がU字状切欠き11から離脱することを阻止するが、鎖18に所定以上の引張り力が加われば連結リンク19をU字状切欠き11内から離脱させるストッパ部材を構成している。
【0029】
上述した各実施形態では、各フック10,10A,10Bは昇降部材25と一体形成した例につき説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、別体に形成したフックをボルト止めなどにより昇降部材に固定するようにして実施することも可能である。
【0030】
また上述した各実施形態では、2本の門柱20を同一とし、各門柱20のフック10,10A,10Bに形成したU字状切欠き11内に鎖18の一端部のリンクを挿入するとともに、U字状切欠き11の開放部に通常の使用状態ではリンクがU字状切欠き11から離脱することを阻止するが鎖18に所定以上の引張り力が加わればリンクをU字状切欠き11内から離脱させるストッパ部材12,12A,14,16を設けるものとして説明した。しかしながら本発明はこれに限られるものではなく、2本の門柱の何れか一方のフックにこのようなU字状切欠き11を形成してその開放部にこのようなストッパ部材を設け、他方の門柱に設けるフックは図10に示すような従来技術のものとして実施することも可能である。
【0031】
さらに上述した各実施形態では、鎖18はシャックル19aとアイボルト19bよりなる連結リンク19を介して、各門柱20のストッパ部材を設けたフックのU字状切欠きに連結するものとして説明し、これによればドライバやスパナなどの工具を用いる必要なしに、鎖18を各フックに着脱することができる。しかしながら本発明はこれに限られるものではなく、鎖18のリンクの各一端を、連結リンク19を用いることなく直接、各門柱20のストッパ部材を設けたフックのU字状切欠きに連結するようにして実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による駐車場の門柱における鎖取付構造の第1実施形態の要部を示す側面図である。
【図2】第1実施形態に使用する板材の2つの例を示す正面図である。
【図3】本発明による駐車場の門柱における鎖取付構造の第2実施形態の要部を示す側面図である。
【図4】本発明による駐車場の門柱における鎖取付構造の第3実施形態の要部を示す側面図である。
【図5】この種の駐車場の門柱の構造を示す長手方向断面図である。
【図6】図5に示す門柱の図5と直交する長手方向断面図である。
【図7】図6に示す門柱の長手方向断面図の昇降部材付近の拡大断面図である。
【図8】図4に示す門柱の長手方向断面図の昇降部材付近の拡大断面図である。
【図9】図8の9−9断面図である。
【図10】従来技術による駐車場の門柱における鎖取付構造の一例の要部を示す側面図である。
【図11】図10の11−11断面図である。
【図12】従来技術による駐車場の門柱における鎖取付構造の別の例の要部を示す側面図である。
【図13】この種の門柱を有する駐車場の全体平面図である。
【符号の説明】
【0033】
10,10A,10B…フック、11…U字状切欠き、12,12A,14,16…ストッパ部材、12,12A…板材、12a,12b…ノッチ、14…ばね板、15…ガイド孔、16…ボール、17…コイルばね、18…鎖、20…門柱、25…昇降部材、26…駆動装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向移動可能に案内支持されて駆動装置により昇降される昇降部材を備え、この昇降部材に鎖の一端部を取り付けて昇降させる駐車場の門柱において、前記昇降部材に前記門柱から略水平方向に突出するフックを一体的に設けるとともに同フックの先端部に略水平方向に延びるU字状切欠きを形成し、前記鎖の一端部のリンクの一つを前記U字状切欠き内に挿入するとともに通常の使用状態では前記リンクが前記U字状切欠きから離脱することを阻止するが鎖に所定以上の引張り力が加われば前記リンクを前記U字状切欠き内から離脱させるストッパ部材を前記U字状切欠きの開放部に設けたことを特徴とする駐車場の門柱における鎖取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、前記ストッパ部材は、長手方向中間部に厚さまたは幅を減少させるノッチが形成されて、前記フックの先端面に前記U字状切欠きの開放部を跨ぐように両端部が着脱可能に取り付けられた長方形の板材である駐車場の門柱における鎖取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、前記ストッパ部材は、前記フックの先端面に一端部が前記U字状切欠きの開放部を覆うようにして他端部が着脱可能に取り付けられた長方形のばね板である駐車場の門柱における鎖取付構造。
【請求項4】
請求項1に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、前記ストッパ部材は、前記U字状切欠きの一側となる前記フックの突出部に同U字状切欠きと直交して形成されたガイド孔内に摺動自在に保持され前記U字状切欠き側に向けてコイルばねにより弾性的に付勢されるとともに同U字状切欠き内への突出量が制限されたボールである駐車場の門柱における鎖取付構造。
【請求項1】
上下方向移動可能に案内支持されて駆動装置により昇降される昇降部材を備え、この昇降部材に鎖の一端部を取り付けて昇降させる駐車場の門柱において、前記昇降部材に前記門柱から略水平方向に突出するフックを一体的に設けるとともに同フックの先端部に略水平方向に延びるU字状切欠きを形成し、前記鎖の一端部のリンクの一つを前記U字状切欠き内に挿入するとともに通常の使用状態では前記リンクが前記U字状切欠きから離脱することを阻止するが鎖に所定以上の引張り力が加われば前記リンクを前記U字状切欠き内から離脱させるストッパ部材を前記U字状切欠きの開放部に設けたことを特徴とする駐車場の門柱における鎖取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、前記ストッパ部材は、長手方向中間部に厚さまたは幅を減少させるノッチが形成されて、前記フックの先端面に前記U字状切欠きの開放部を跨ぐように両端部が着脱可能に取り付けられた長方形の板材である駐車場の門柱における鎖取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、前記ストッパ部材は、前記フックの先端面に一端部が前記U字状切欠きの開放部を覆うようにして他端部が着脱可能に取り付けられた長方形のばね板である駐車場の門柱における鎖取付構造。
【請求項4】
請求項1に記載の駐車場の門柱における鎖取付構造において、前記ストッパ部材は、前記U字状切欠きの一側となる前記フックの突出部に同U字状切欠きと直交して形成されたガイド孔内に摺動自在に保持され前記U字状切欠き側に向けてコイルばねにより弾性的に付勢されるとともに同U字状切欠き内への突出量が制限されたボールである駐車場の門柱における鎖取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−283284(P2006−283284A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100924(P2005−100924)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000213231)株式会社中部コーポレーション (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000213231)株式会社中部コーポレーション (35)
【Fターム(参考)】
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