説明

騒音防止装置

【課題】車室内で発生した音によって周辺に迷惑を掛けないようにしながらも、窓を開放しながら音楽を聴きたい、或いは、窓を開放しながら会話を楽しみたいといった車輌搭乗者の希望を満たすことができる騒音防止装置を提供すること。
【解決手段】騒音防止装置100は、車室内の音量を検出する音量検出手段10と、音量検出手段10の検出結果に基づいて車室内と車室外とを仕切る開閉部5、6の開度を制御する開閉部制御手段13とを備える。また、騒音防止装置100は、開閉部5、6の開度を記憶する開度記憶手段131を備え、開閉部制御手段13は、開度記憶手段131が記憶した開度を許容最大開度としながら、音量検出手段10が検出した音量に応じて開閉部を開閉させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音防止装置に関し、特に、車室内で発生した音によって周辺に迷惑を掛けないようにしながらも、窓を開放しながら音楽を聴きたい、或いは、窓を開放しながら会話を楽しみたいといった車輌搭乗者の希望を満たすことができる車窓開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車輌位置と現在時刻とに基づいてスピーカの音量及び窓の開閉を制御する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この装置は、踏切に接近した場合に、スピーカの音量を自動的に下げ、かつ、窓を自動的に開放させることで、運転者が踏切の警告音を聞き逃さないようにしたり、病院付近のような騒音に配慮すべき場所に接近した場合に、スピーカの音量を自動的に下げることで、騒音の発生を防止したりする。
【特許文献1】特開平11−52959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、窓の開度に応じて車室内で発生した音が車室外に漏れるのを防止する効果を考慮しておらず、車室内の音を認識することもなく車輌位置と現在時刻とに基づいてスピーカの音量を制御するので、窓が閉じられ音漏れの心配がない状態であっても騒音に配慮すべき場所に接近した場合にスピーカの音量を自動的に下げてしまい搭乗者に不快感を与えてしまう。
【0005】
上述の点に鑑み、本発明は、車室内で発生した音によって周辺に迷惑を掛けないようにしながらも、窓を開放しながら音楽を聴きたい、或いは、窓を開放しながら会話を楽しみたいといった車輌搭乗者の希望を満たすことができる騒音防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係る騒音防止装置は、車室内の音量を検出する音量検出手段と、前記音量検出手段の検出結果に基づいて車室内と車室外とを仕切る開閉部の開度を制御する開閉部制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、第二の発明は、第一の発明に係る騒音防止装置であって、前記開閉部の開度を記憶する開度記憶手段を備え、前記開閉部制御手段は、前記開度記憶手段が記憶した開度を許容最大開度としながら、前記音量検出手段が検出した音量に応じて開閉部を開閉させることを特徴とする。
【0008】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係る騒音防止装置であって、前記音量検出手段は、車載音声出力機器の設定音量に基づいて車室内の音量を検出することを特徴とする。
【0009】
また、第四の発明は、第一又は第二の発明に係る騒音防止装置であって、前記音量検出手段は、車室内に設置されたマイクに基づいて車室内の音量を検出することを特徴とする。
【0010】
また、第五の発明は、第一乃至第四の何れかの発明に係る騒音防止装置であって、車輌の周辺環境を検知する周辺環境検知手段を備え、前記開閉部制御手段は、前記音量検出手段の検出結果と前記周辺環境検知手段の検知結果に基づいて前記開閉部の開度を制御することを特徴とする。
【0011】
また、第六の発明は、第一乃至第五の何れかの発明に係る騒音防止装置であって、前記開閉部制御手段は、前記音量検出手段の検出結果と現在時刻とに基づいて前記開閉部の開度を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述の手段により、本発明は、車室内で発生した音によって周辺に迷惑を掛けないようにしながらも、窓を開放しながら音楽を聴きたい、或いは、窓を開放しながら会話を楽しみたいといった車輌搭乗者の希望を満たすことができる騒音防止装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0014】
本発明に係る騒音防止装置は、車輌周辺の環境に応じて、開閉部を介して車室内から車室外に漏れる音を制御する装置である。
【0015】
「開閉部」とは、車室内と車室外とを仕切る自動開閉可能な車載装置であり、例えば、ウィンドウ、サンルーフガラス、ロードスターやカブリオレの幌等をいう。
【0016】
図1は、本発明に係る騒音防止装置の構成例を示すブロック図であり、騒音防止装置100は、制御部1を有し、制御部1は、マイク2、GPS(Global Positioning System)3及び記憶装置4からのデータを取得して、車輌周辺の環境や車室内で発生した音の音量を検知し、パワーウィンドウ5、サンルーフ6及び車載スピーカ7に制御信号を出力して車室外に漏れる音を制御する。
【0017】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)等を備えたコンピュータであり、音量検出手段10、車輌位置特定手段11、周辺環境検知手段12、開閉部制御手段13、音量制御手段14のそれぞれに対応するプログラムをNVRAMに記憶し、それらプログラムをRAM上に展開して対応する処理をCPUに実行させる。
【0018】
マイク2は、車室内の音情報を取得するための装置であり、例えば、車室内天井の中心部に設置され、車載スピーカ7から出力される音や車室内における車輌搭乗者の会話を検出し、検出した音情報(音量、周波数等をいう。)を制御部1に出力する。
【0019】
GPS3は、車輌の位置情報を取得するための装置であり、例えば、GPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号に基づいて車輌の位置情報(例えば、緯度、経度、高度で構成される。)を取得し、取得した位置情報を制御部1に出力する。GPS3による測位方法は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよいが、好ましくは精度の高い相対測位が用いられる。
【0020】
また、GPS3は、舵角センサ、車速センサやジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機及びFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて位置情報を補正するようにしてもよい。
【0021】
記憶装置4は、騒音防止装置100が必要とする各種情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶媒体であって地図情報を体系的に格納する地図情報データベース40、地区別の騒音許容レベルを定義する騒音許容レベルマップ41、騒音許容レベル及びマイク2が取得した音情報に応じた開閉部の制御内容を定義する地区別開度マップ42等を記憶する。
【0022】
記憶装置4は、制御部1の問い合わせに応じて各種情報を制御部1に出力する。なお、騒音許容レベルマップ41及び地区別開度マップ42における設定内容は、タッチパネルやエスカッションスイッチ等の入力手段を介して変更可能に記憶される。
【0023】
パワーウィンドウ5及びサンルーフ6は、それぞれ、ウィンドウ又はサンルーフガラスを電動モータやアクチュエータ等の駆動装置で開閉させる車載装置であり、インストルメントパネルやドア内壁等の車室内の所定位置に設置された開閉ボタンの出力信号又は制御部1が出力する制御信号に応じてウィンドウ又はサンルーフガラスを開閉させる。
【0024】
車載スピーカ7は、音声を出力するための車載音声出力機器であり、例えば、ハンズフリー携帯電話、車載AV(Audio-Visual)機器、又は、カーナビゲーションシステム等の音声データを出力する。
【0025】
なお、車載スピーカ7は、車室内の所定位置に設置された操作ボタン、カーナビゲーションシステムにおけるタッチパネル又はエスカッションスイッチ等の入力手段を介して音量が制御される。
【0026】
次に、制御部1が有する各種手段について説明する。
【0027】
音量検出手段10は、車室内で発生した音の音量を検出するための手段であり、例えば、マイク2が取得した音情報に基づいて車室内で発生した音の音量が所定値以上であるか否かを判定したり、音量レベル(dB(デシベル))の値を検出したりする。この場合、音量検知手段10は、車載スピーカ7等の車載音声出力機器以外の音量(例えば、車輌搭乗者の話し声、携帯音楽プレーヤー等のポータブル音声出力機器が出力した音等をいう。)も検出することができる。
【0028】
また、音量検出手段10は、車載スピーカ7等の車載音声出力機器における設定音量に基づいて車室内の音量を検出するようにしてもよい。この場合、車室内で実際に発生している音の音量を検出することはできないが、マイク2を用いることなく音量を検出できるので騒音防止装置100の構成を簡略化することができる。
【0029】
なお、音量検出手段10は、マイク2が取得した音情報を所定時間にわたってRAMに記憶し、所定時間における音量の平均値、中間値、最大値等を算出し、その算出した値を車室内で発生した音の音量とするようにしてもよい。車室内で発生した音の音量が小刻みに変化する場合に対応するためである。
【0030】
車輌位置特定手段11は、地図上における車輌の位置を特定するための手段であり、例えば、GPS3が取得した位置情報と記憶装置4に記憶された地図情報データベース40にある地図情報とに基づいて地図上における車輌の位置を特定し、車輌がどの地区を走行しているかを判別できるようにする。
【0031】
周辺環境検知手段12は、車輌の周辺環境を検知するための手段であり、例えば、車輌位置特定手段11が特定した地図上の車輌位置に基づいて車輌の周辺環境が工業地帯、繁華街、空港周辺、住宅街、オフィス街、病院周辺、学校周辺等の何れであるかを検知する。
【0032】
また、周辺環境検知手段12は、車輌の周辺環境を方向別に検知するようにしてもよく、例えば、車輌の右側が住宅街であり、車輌の左側が繁華街であるというように車輌の周辺環境を検知する。
【0033】
開閉部制御手段13は、開閉部の駆動を制御するための手段であり、例えば、パワーウィンドウ5やサンルーフ6に制御信号を送信してそれらの開度を制御する。なお、開閉部の開度は、例えば、開閉部の全面積に対する開いた部分の面積の比率で表現され、開度100%が全開状態を表し、開度50%が半開状態を表し、開度0%が全閉状態を表す。
【0034】
図2は、開閉部制御手段13の構成例を示すブロック図であり、開閉部制御手段13は、開度取得手段130、開度記憶手段131、開度判定手段132及び開度調整手段133から構成される。
【0035】
開度取得手段130は、現時点における各開閉部の開度に関する情報(以下、「開度情報」という。)を取得するための手段であり、例えば、パワーウィンドウ5及びサンルーフ6から開度情報を周期的に取得して各開閉部の開度を取得する。
【0036】
なお、開度取得手段130は、各開閉部を駆動させる電動モータやアクチュエータの駆動状態(印可電圧やモータ回転角度等をいう。)や枠部(ガラス等の可動部が接触する部分をいう。)に設置された接触センサ等の出力等の開度情報に基づいて開閉部の開度を導出する。
【0037】
開度記憶手段131は、開度取得手段130が取得した開度情報を記憶装置4又はRAMに記憶するための手段であり、例えば、運転者が運転席ドア付近に設置されたウィンドウ操作ボタンを介してウィンドウを半分だけ開放させた場合(開度50%)、その開度50%が運転者の希望する開度であるとして記憶する。
【0038】
開度判定手段132は、現時点における各開閉部の開度が騒音防止の観点から適切であるか否かを判定するための手段であり、例えば、開度取得手段130が取得した各開閉部の開度と地区別開度マップ42に設定された許容開度とを比較して適否を判定する。
【0039】
図3は、騒音許容レベルマップ41の構成例を示す図であり、騒音許容レベル1に「工業地帯」、「繁華街」及び「空港周辺」が対応付けられ、騒音許容レベル2に「住宅街」及び「オフィス街」、騒音許容レベル3に「病院周辺」及び「学校周辺」がそれぞれ対応付けられていることを示す。
【0040】
また、図4は、地区別開度マップ42の構成例を示す図であり、例えば、車輌の周辺環境が騒音許容レベル1の場合、音量検出手段10が検出した車室内の音量が許容音量レベル(130dB)以上であれば、各開閉部の開度を許容開度50%(半開状態をいう。)に制限する制御内容を示す。
【0041】
また、図4は、車輌の周辺環境が騒音許容レベル1の場合、各開閉部の開度を0%(全閉状態をいう。)に制限する制御内容を設定していないので、音量検出手段10が検出した車室内の音量がどのレベルに達しようと各開閉部の開度を0%に制限しないことを示す(強制的に全閉状態にすることがないことを意味する。)。
【0042】
また、図4は、車輌の周辺環境が騒音許容レベル2の場合、音量検出手段10が検出した車室内の音量が100dB以上であれば、各開閉部の開度を50%(半開状態をいう。)に制限し、130dB以上であれば、各開閉部の開度を0%(全閉状態をいう。)に制限することを示す。設定値は異なるが、車輌の周辺環境が騒音許容レベル3の場合についても同様である。
【0043】
開度判定手段132は、騒音許容レベルマップ41を参照して、周辺環境検知手段12が検知した車輌の周辺環境に対応する騒音許容レベルを取得し、さらに、地区別開度マップ42を参照して、取得した騒音許容レベルと音量検出手段10が検出した車室内の音量に対応する各開閉部の許容開度を取得し、現時点における各開閉部の開度が適切であるか否かを判定する。
【0044】
なお、開度判定手段132は、車輌位置にかかわらず音量検出手段10が検出した車室内の音量に基づいて現時点における各開閉部の開度が適切であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0045】
この場合、判定基準となる騒音許容レベルは、時刻(例えば、早朝、夜間、昼間等の時間帯別に騒音許容レベルを設定する。)に基づいて設定されてもよく、外部の騒音(例えば、車外に設置された集音装置に基づいて検出される外部の騒音に基づく。)、天候(例えば、降雨量や風の強さ等の音をかき消す要素の有無に基づく。)、又は、走行速度(例えば、走行速度が速いほど一地点を通過する時間が短いので騒音許容レベルを緩和する。)等に基づいて設定されてもよい。
【0046】
開度調整手段133は、開閉部の開度を調整するための手段であり、例えば、開度判定手段132が各開閉部の開度が適切でないと判定した場合に、各開閉部の駆動装置に制御信号を送信して各開閉部の開度が適切となるように開度を調整させる。
【0047】
例えば、開度調整手段133は、開度記憶手段131が記憶した現時点における各開閉部の開度が地区別開度マップ42に設定された許容開度を上回る場合、各開閉部の開度が許容開度となるよう各開閉部の開度を低減させる。
【0048】
その後、車輌が移動して車輌の周辺環境が変化し、開度調整手段133によって調整された各開閉部の開度が、地区別開度マップ42に設定された新しい周辺環境に対応する許容開度を下回った場合、開度調整手段133は、各開閉部の開度が開度記憶手段131によって記憶された開度(例えば、運転者がウィンドウ操作ボタンによって調整した所望の開度である。)又は新しい周辺環境に対応する許容開度の大きい方の開度になるよう各開閉部の開度を増大させる。
【0049】
また、開度調整手段133は、各開閉部の開度を一律に調整するだけでなく、個別に調整するようにしてもよく(この場合、各開閉部の許容開度が地区別開度マップ42に個別に設定される。)、車輌の周辺環境に応じて方向別に各開閉部の開度を調整するようにしてもよい。
【0050】
例えば、開度調整手段133は、車輌の右側に病院(騒音許容レベル3)があり、車輌の左側が繁華街(騒音許容レベル1)である場合、車輌の右側にあるウィンドウの開度と車輌の左側にあるウィンドウの開度とを別々に調整する。
【0051】
音量制御手段14は、車室内で発生する制御可能な音の音量を制御するための手段であり、例えば、車載スピーカ7に制御信号を送信して車載スピーカ7の音量を強制的に増減させる。
【0052】
次に、騒音防止装置100が開閉部の開度を調整する処理(以下、「開度調整処理」という。)の流れについて説明する。なお、図5は、開度調整処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
最初に、騒音防止装置100は、車輌位置特定手段11によりGPS3が取得した位置情報と地図情報データベース40とに基づいて地図上の車輌位置を特定する(ステップS1)。
【0054】
その後、騒音防止装置100は、周辺環境検知手段12により車輌の周辺環境を検知し車輌が住宅街を走行中であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0055】
車輌が住宅街を走行していると判定した場合(ステップS2のYES)、騒音防止装置100は、音量検出手段10により車室内の音量を検出し(ステップS3)、地区別開度マップ42を参照して、検出した音量が住宅街(騒音許容レベル2)に対応付けて設定された許容音量レベル(例えば、100dB)を上回るか否かを判定する(ステップS4)。
【0056】
検出した音量が許容音量レベル以下の場合(ステップS4のNO)、騒音防止装置100は、車室内で発生した音により周辺環境に迷惑を掛けることがないと判断して開度調整処理を終了させる。
【0057】
検出した音量が許容音量レベルを上回る場合(ステップS4のYES)、騒音防止装置100は、開度取得手段130によりウィンドウの開度を取得し(ステップS5)、開度判定手段132により、ウィンドウの開度が住宅街に対応付けて設定された許容音量レベルに対する許容開度(例えば、50%)を上回るか否かを判定する(ステップS6)。
【0058】
ウィンドウの開度が許容開度以下の場合(ステップS6のNO)、騒音防止装置100は、車室内で発生した音により周辺環境に迷惑を掛けることがないと判断して開度調整処理を終了させる。
【0059】
ウィンドウの開度が許容開度を上回る場合(ステップS6のYES)、騒音防止装置100は、開度調整手段133によりパワーウィンドウ5の駆動装置に制御信号を送信してウィンドウを上昇させ、ウィンドウの開度を許容開度まで低減させる(ステップS7)。
【0060】
なお、車輌が住宅街以外を走行していると判定した場合(ステップS2のNO)、騒音防止装置100は、開度調整処理を一旦終了させるが、車輌が工業地帯、病院周辺又は繁華街を走行中であるか否かを判定し、ステップS3乃至ステップS7の処理を実行させるようにしてもよい。
【0061】
以上の構成により、騒音防止装置100は、車室内で発生した音の音量に基づいて開閉部の開度を自動的に調整するので、運転者に開閉部の開度を手動で操作させることなく、車室内で発生した音によって周辺環境に迷惑を掛けるのを防止することができる。
【0062】
また、騒音防止装置100は、車輌の周辺環境と車室内で発生した音の音量とに基づいて開閉部の開度を自動的に調整し、周辺環境に応じた最適な開度を実現させるので、周辺環境に迷惑を掛けないようにしながらも、窓を開放しながら音楽を聴きたい、或いは、窓を開放しながら会話を楽しみたいといった車輌搭乗者の希望を最大限満たすことができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0064】
例えば、上述の実施例において、騒音防止装置100は、車室内で発生する音(オーディオ出力や会話の音等をいう。)の音量を制限することなく開閉部の開度を調整することにより車室内で発生した音による騒音被害を防止するが、音量制御手段14により車載スピーカ7の音量を自動的に低減させたり、会話の声を抑えるような注意メッセージを車載スピーカ7から出力させたりすることで、窓の開度維持を優先させるようにしてもよい。
【0065】
また、騒音防止装置100は、車輌搭乗者が操作ボタン等を介して調整した各開閉部の開度に基づいて許容音量レベルを決定し、音量検出手段10が検出した車室内の音量が許容音量レベルを上回った場合に、音量制御手段14により車載スピーカ7の音量を自動的に低減させたり、会話の声を抑えるような注意メッセージを車載スピーカ7から出力させたりして、車室内で発生した音の音量が許容音量レベル以下となるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る騒音防止装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】開閉部制御手段の構成例を示すブロック図である。
【図3】騒音許容レベルマップの構成例を示す図である。
【図4】地区別開度マップの構成例を示す図である。
【図5】開度調整処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 制御部
2 マイク
3 GPS
4 記憶装置
5 パワーウィンドウ
6 サンルーフ
7 車載スピーカ
10 音量検出手段
11 車輌位置特定手段
12 周辺環境検知手段
13 開閉部制御手段
14 音量制御手段
40 地図情報データベース
41 騒音許容レベルマップ
42 地区別開度マップ
130 開度取得手段
131 開度記憶手段
132 開度判定手段
133 開度調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の音量を検出する音量検出手段と、
前記音量検出手段の検出結果に基づいて車室内と車室外とを仕切る開閉部の開度を制御する開閉部制御手段と、
を備えることを特徴とする騒音防止装置。
【請求項2】
前記開閉部の開度を記憶する開度記憶手段を備え、
前記開閉部制御手段は、前記開度記憶手段が記憶した開度を許容最大開度としながら前記音量検出手段が検出した音量に応じて開閉部を開閉させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の騒音防止装置。
【請求項3】
前記音量検出手段は、車載音声出力機器の設定音量に基づいて車室内の音量を検出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の騒音防止装置。
【請求項4】
前記音量検出手段は、車室内に設置されたマイクに基づいて車室内の音量を検出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の騒音防止装置。
【請求項5】
車輌の周辺環境を検知する周辺環境検知手段を備え、
前記開閉部制御手段は、前記音量検出手段の検出結果と前記周辺環境検知手段の検知結果に基づいて前記開閉部の開度を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の騒音防止装置。
【請求項6】
前記開閉部制御手段は、前記音量検出手段の検出結果と現在時刻とに基づいて前記開閉部の開度を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の騒音防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−163713(P2008−163713A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235(P2007−235)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】