説明

魚介類の循環式養殖装置及び養殖方法

【課題】魚介類の閉鎖循環式養殖装置及びこれを用いる養殖方法において、設備を簡略化して従来技術に比べて設備コストを大幅に低減できるとともに、運転維持管理の手数及びコストを大幅に低減できるものを提供する。
【解決手段】飼育水槽1中の浮遊性懸濁物質を分離して除去する濾過装置3と、膜分離活性汚泥処理装置2とを備え、前記循環路は、飼育水槽1中の沈降性懸濁物質を第1濃縮水として膜分離活性汚泥処理装置2へと導入する第1経路と、飼育水槽1から上澄みを取り出して濾過装置3に導入する第2経路と、濾過装置3にて濾過された濾過水を、膜分離活性汚泥処理装置2により処理された処理水とともに飼育水槽1へと戻す第3経路と、濾過装置3で分離された沈降性懸濁物質を第2濃縮水として膜分離活性汚泥処理装置2へと導入する第4経路とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類の循環式養殖装置とそれを使用する養殖方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食用魚介類の陸上養殖は、沿岸海域や沿岸に近接した陸上において、海水を陸上のタンクにくみ上げるいわゆる「掛け流し方式」により行われることが多かった。しかし、天然の環境より高密度で魚介類を飼育する掛け流し方式では、魚介類の排泄物や残餌を含んだ海水などを沿岸域に放流することによる環境汚染が問題となっている。
【0003】
さらに、掛け流し方式では、天然の海水をくみ上げ、これを使用して高密度で飼育するので、海水中に存在する魚介類の病原菌に対する予防策が必要であり、投与された抗生物質等の医薬品が人体に与える影響も懸念され、食材の安全性及び消費者の安心感を損なうという問題があった。
【0004】
このため、近年、飼育水を浄化して循環再使用する循環式養殖方法の技術が研究開発されてきている。循環式養殖方法では、飼育魚などの排出する糞や残餌等の懸濁物質、あるいはアンモニア等の代謝産物を養殖装置で人工的に除去しなければならない。この結果、養殖装置の設備費や運転維持管理に関わる費用が掛け流し養殖法に比べて高くつくので、高密度で生産性の高い養殖技術が必要とされている。従来開発されている循環式養殖装置は、懸濁物質の除去に様々な固液分離装置を組み合わせて対処すると共に、活性汚泥処理法、及び、砂やプラスチック・繊維素材等の濾材を利用した生物濾過法、或いは、電機分解や薬品による酸化分解などの方法を単独で又は組み合わせて、アンモニア等の有毒物質を除去していた。
【0005】
例えば、特許文献1に記載された魚介類の養殖装置は、飼育水より比重の大きい魚介類の糞と残餌を渦巻き流により沈降させ捕集する沈殿槽と、沈殿槽で捕集されない飼育水中の浮遊物質を捕集するフィルター装置と、飼育水中のアンモニアを硝酸に酸化する「バイオフィルター」(生物濾過槽)と、この酸化作用により、飼育水中に蓄積する硝酸を窒素ガスにして空気中に放出する脱窒槽と、飼育水中に酸素を流し込む酸素溶入器と、飼育水中のタンパク質等の溶存有機物を微細気泡と共に除去する微細気泡発生装置と、飼育水中の殺菌と有機物分解を行う紫外線照射装置と、飼育水温調用のヒートポンプとを備える。
【0006】
しかし、この養殖装置は、飼育水中の病原菌やウィルスを捕捉することができないので、殺菌のために紫外線照射装置等が別途必要であり、装置が複雑となって設備費が高額となる。また、捕集した残餌や、飼育魚の糞等の懸濁物質はそのまま下水道へ排出されるか、濃縮・脱水して廃棄物として処理され、循環する水の一部も系外へ放流されるため、懸濁物質の処理や水の補充がコストを押し上げるだけでなく、環境負荷も問題となる。
【0007】
さらに、飼育水槽の水を沈殿槽、硝化槽及び脱窒槽を通して循環させ、沈殿槽及び硝化槽内、脱窒槽内の汚泥を固液分離手段により取り出して固液分離すると共に、分離後の水を循環経路に戻す魚介類の飼育装置が知られている(特許文献2参照)。この飼育装置では、固液分離手段の一例として、膜分離活性汚泥装置が挙げられている。膜分離活性汚泥装置は、懸濁物質はもとより細菌類も透過させない分離膜を、有機物やアンモニアなどを分解する微生物群からなる活性汚泥に浸漬して成る。
【0008】
しかし、この飼育装置は、膜分離活性汚泥処理装置を飼育水浄化の補助手段として利用しているだけなので、その他にも多数の処理槽が必要であり、非常に複雑な構造の設備を必要とする。また、これら従来の装置は、飼育魚の成育状態や給餌の状況により水質の負荷変動があっても、飼育水循環量はほぼ最大負荷に対応する条件で操作し、循環水浄化装置の運転もこの循環量に相当する条件で運転しているため、運転維持管理の経費が高くなる。この結果、沿岸養殖或いはかけ流し養殖法で生産される魚介類に比べて生産コストが高くつく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許3769680
【特許文献2】特開2002-223667
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、設備構造が簡単で、運転維持管理が容易であり、排出される廃棄物や排水を著しく減量できる魚介類の循環式養殖装置及びこれを使用した魚介類の養殖方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の魚介類の循環式養殖装置は、魚介類の飼育に使用した飼育水を浄化し、循環路を介して循環させる装置であって、魚介類の飼育水槽と、飼育水中の浮遊性懸濁物質を分離して除去する濾過装置と、飼育水中の有機物及びアンモニアを微生物群で処理して分解除去する膜分離活性汚泥処理装置とを備え、前記循環路は、前記飼育水槽の飼育水中の沈降性懸濁物質を濃縮水として前記膜分離活性汚泥処理装置へ導入する経路と、該膜分離活性汚泥処理装置の処理水を前記飼育水槽へ戻す経路と、前記飼育水槽から上澄み液を取り出して前記濾過装置に導入する経路と、前記濾過装置の濾過水を前記膜分離活性汚泥処理装置の下流において前記循環路に導入する経路と、前記濾過装置で分離された浮遊性懸濁物質濃縮水を前記膜分離活性汚泥処理装置に導入する経路とを有し、前記膜分離活性汚泥処理装置に余剰汚泥を系外へ取り出す汚泥排出路を接続してある。
【0012】
前記飼育水槽から上澄み液を取り出す経路に、上澄み液の一部を前記膜分離活性汚泥処理装置に導入する分岐路を設けると良い。この場合、上澄み液の一部を前記膜分離活性汚泥処理装置に導入する分岐路に、その流量を調整する機構を設けると良い。流量を調整する機構としては、流量調節弁を使用することができるが、インバーターでポンプを駆動するモーターの回転数を制御する方式であればなお良い。また、前記飼育水槽から上澄み液を取り出す経路に、上澄み液の一部を前記膜分離化性汚泥処理装置の下流において、前記循環路に導入する分岐路を設けることもある。この時、上澄み液の一部を前記循環路に導入する分岐路に、その流量を調整する機構を設けると良い。この流量を調整する機構も、流量調節弁、又は、インバーターでポンプを駆動するモーターの回転数を制御する方式とすることができる。
【0013】
循環させる飼育水の水量及び温度を調節する調整槽と、飼育水に酸素を溶入する酸素溶入装置を、前記膜分離活性汚泥処理装置の下流において前記循環路に配置するのが望ましい。前記膜分離活性汚泥処理装置に組み込まれた膜分離装置は、平膜型分離装置であっても、中空糸膜型分離装置であっても良い、分離膜としては平均孔径0.1マイクロメートル以下の精密濾過膜レベルのものが好ましい。前記濾過装置は、マイクロストレーナー又は膜濾過装置とすることがある。
【0014】
本発明の魚介類の養殖方法は、上記循環式養殖装置を用い、前記飼育水槽から排出された沈降性懸濁物質濃縮水を前記膜分離活性汚泥処理装置へ導入し、前記飼育水槽の上澄み液に含まれる浮遊性懸濁物質を前記濾過装置で分離除去し、濾過水を前記膜分離活性汚泥処理装置の下流において前記循環路に導入すると共に、分離された浮遊性懸濁物質濃縮水を膜分離活性汚泥処理装置へ導入し、前記膜分離活性汚泥処理装置で有機物及びアンモニアを分解除去し、処理水を前記飼育水槽へ戻す。上澄み液の一部を前記膜分離活性汚泥処理装置に導入する分岐路を設けた循環式養殖装置を用い、前記循環路を通して前記飼育水槽へ導入される飼育水のアンモニア態窒素濃度が1mg/L〜5mg/Lになるよう、前記飼育水槽から取り出した上澄み液の前記濾過装置と前記膜分離活性汚泥処理装置への分配比率を調整すると良い。
【0015】
さらに上澄み液の一部を前記膜分離活性汚泥処理装置の下流において前記循環路に導入する分岐路を設けた循環式養殖装置を用い、前記循環路を通して前記飼育水槽へ導入される飼育水のアンモニア態窒素濃度が1mg/L〜5mg/Lで、浮遊性懸濁物質濃度が5mg/L〜50mg/Lとなるよう、前記飼育水槽から取り出した上澄み液についての、前記濾過装置と前記膜分離活性汚泥処理装置と前記循環路への分配比率を調整しても良い。なお、前記飼育水は、海水または海水と類似した組成の塩類水溶液であって、その塩分濃度が2.0%〜4.5%のものを用いることがある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、飼育水槽中の沈降性懸濁物質を直接、膜分離活性汚泥処理装置へと送り、微生物をも透過させない膜分離活性汚泥処理装置を用いて飼育水を浄化するので、活性汚泥を分離する沈殿槽や砂濾過槽、及び殺菌装置が不要であり、このため装置が小型化され、装置の構造が簡単で、部品数が削減できる。また、飼育水槽から排出された沈降性懸濁物質、及び、濾過装置から排出された浮遊性懸濁物質を系外へ排出せずに膜分離活性汚泥処理装置へ導入して微生物群の栄養源とするので、汚泥の活性が維持されると共に、飼育水中の懸濁物質やアンモニアが効率良く分解除去され、この結果、廃棄物及び廃水の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1に係る魚介類の循環式養殖装置のブロック図。
【図2】本発明の実施例2に係る魚介類の循環式養殖装置のブロック図。
【図3】本発明の実施例3に係る魚介類の循環式養殖装置のブロック図。
【図4】本発明の実施例4に係る魚介類の循環式養殖装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係る魚介類の循環式養殖装置を示す。この循環式養殖装置は、魚介類の飼育に使用した飼育水を浄化し、循環路7を介して循環させる装置であって、魚介類の飼育水槽1と、飼育水槽1の上澄み液に含まれる沈降し難い浮遊性懸濁物質を除去する濾過装置3と、飼育水中の懸濁物質及びアンモニア、BOD成分などの代謝産物を微生物群で処理して除去する膜分離活性汚泥処理装置2と、循環させる飼育水水量及び温度を調節する調整槽4と、循環させる飼育水に酸素を溶入する酸素溶入装置6とを備える。調整槽4には、流入した飼育水の温度を適温に調節して送り返す調温装置5とが接続されている。
【0019】
飼育水槽1、膜分離活性汚泥処理装置2、調整槽4及び酸素溶入装置6は、循環路7によってこの順で接続され、飼育水槽1から膜分離活性汚泥処理装置2へ導入された飼育水が膜分離活性汚泥処理装置2で処理され、膜分離活性汚泥処理装置2の処理水が調整槽4及び酸素溶入装置6を通過して飼育水槽1へ戻るようになっている。また、飼育水槽1と濾過装置3とは、循環路7の一部を構成する上澄み液取り出し路8によって接続される。そして、飼育水槽1から排出された残餌、魚介類の糞の一部のような沈降性懸濁物質濃縮水は、循環路7を通して膜分離活性汚泥処理装置2へ導入されると共に、飼育水槽1から取り出された上澄み液は、上澄み液取り出し経路8を介して濾過装置3と導入される。
【0020】
濾過装置3からは、第1供給路9及び第2供給路10が延び、第1供給路9の末端が飼育水槽1と膜分離活性汚泥処理装置2との間において、循環路7に接続され、第2供給路10の末端が膜分離活性汚泥処理装置2と調整槽4との間において循環路7に接続される。これにより、濾過装置3で分離された浮遊性懸濁物質濃縮水は、第1供給路9を通して膜分離活性汚泥処理装置2へ導入され、濾過装置3の濾過水は第2供給路10を通して循環路7へ導入されると共に、循環路7において膜分離活性汚泥処理装置2の処理水と混同されるようになっている。
【0021】
また、上澄み液取り出し路8から分岐した第1分岐路11が、飼育水槽1と膜分離活性汚泥処理装置2との間において循環路7に接続されている。第1分岐路11には、流量を調整できる弁が設置され、飼育水槽1から取り出した上澄み液の一部が濾過装置3で濾過されずに、供給量を変えて膜分離活性汚泥処理装置2へ導入されるようになっている。したがって、第1分岐路11の流量を変えることにより、飼育水槽1から取り出した上澄み液のうち、濾過装置3へ供給される分と、濾過装置3で濾過されない分との分配比率を調整することができる。なお、膜分離活性汚泥処理装置2には、余剰汚泥を系外へ排出するための汚泥排出路12が接続されている。
【0022】
飼育水槽1は、特に構造が限定されないが、残餌、魚介類の糞等の沈降性懸濁物質を一箇所に集めて排出する機能を備えたものが好ましい。例えば、平面形状が円形又は多角形で、中心部に円筒状排水部を有し、下方へ流出する水流の負圧を利用して底部の沈降性懸濁物質を中央部に集め、沈降性懸濁物質濃縮水として、上澄み液の水流と分けて、流出される水槽が、特に好ましく用いられる。このような水槽であれば、懸濁物質を含む飼育水槽1からの流出水を効率良く膜分離活性汚泥処理装置2へ送ることができる。
【0023】
飼育水槽1の構成部材についても特に限定されないが、基礎及び支柱をコンクリート、鉄骨等で形成し、基礎上及び支柱内に強化プラスチック製の壁枠を設置し、壁枠内面に防水シートを張設して水槽とし、シート底面と基礎との間に発泡プラスチック製の断熱材を組み込んだ水槽とするのもの好ましい。もちろん、一体的に製造された鉄筋コンクリート製の水槽、或いは、中心軸を通る平面で分割した強化プラスチック製又は鉄筋コンクリート製の部材を組み合わせ、接合部を接着剤やシーリング剤で防水した水槽でもかまわない。
【0024】
飼育水槽1で飼育する魚介類は、海水魚、例えば、ヒラメ、フグ、タイ、ホシガレイなどが適しているが、もちろん、これらに限定されるものではなく、他の海水魚や淡水魚、或いはエビ等の養殖にも適用できる。飼育水は、飼育対象である魚介類の種類によって異なるが、海水魚であれば天然の海水又は海水に類似した組成の塩類水溶液(人工海水など)であって、その塩分濃度が2.0%〜4.5%のものを用いる。
【0025】
一般的に、閉鎖式循環式養殖装置では、循環水の循環量を1時間当たり飼育水槽容量相当分程度で循環させている。設備規模からすると循環水量が比較的多く水流速度が速いので、残餌の一部や未消化の餌等からなる糞の一部は細かく砕け、飼育水槽1の上澄み液に分散し浮遊している。また、魚介類の体表面等からは蛋白質等からなる粘性物質が排泄されており、飼育水中で凝集して浮遊物質の一部となっている。これらの浮遊性懸濁物質は沈降性懸濁物質と同様に活性汚泥の栄養源となると同時に、細菌類の増殖の原因となり、或いは鰓(えら)等に蓄積して、飼育魚介類の健康状態に悪影響を及ぼす。このため、飼育水槽1の上澄み液に含まれる浮遊性懸濁物質を濾過装置3で別途捕集して、濾過装置3の洗浄水等を浮遊性懸濁物質濃縮水として取り出し処理する。このような目的で使用される濾過装置3は、自動洗浄タイプの回転ドラム式濾過装置が好適であるが、ベルト式濾過装置であっても良く、粒径60マイクロメーター以上、好ましくは、40マイクロメーター以上の粒子を捕捉できることが望ましい。このような性能を有するものであれば、形式は限定されない。
【0026】
なお、濾過装置として膜濾過装置を使用しても良い。膜濾過装置としては、精密濾過膜又は限外濾過膜からなるものが好ましく使用される。膜濾過装置の型式については、平膜型のものや管状型のものもあるが、中空糸膜型のものが特に好ましい。中空糸膜型の膜濾過装置には全濾過型のものとクロスフロー型のものがあるが、いずれであっても良い。全濾過型の中空糸膜濾過装置は、膜が目詰まりして濾過圧力が一定値以上に達すると、間欠的に逆流洗浄及び/又はエアレーションで目詰まり物質を洗い落として再び濾過運転を開始するが、この逆流洗浄及び/又はエアレーションで洗浄した時の洗浄水を膜分離活性汚泥処理装置2に供給する。クロスフロー型の膜濾過装置では、濾過運転中に懸濁物質濃縮水が所定量排出され、また、濾過圧力が一定値以上に達すると全濾過型濾過装置と同様に間欠的に逆流洗浄及び/又はエアレーション洗浄するので、濾過運転中に排出される懸濁物質濃縮水と洗浄水を膜分離活性汚泥処理装置2に供給する。膜濾過装置としては水道浄水用中空糸膜型濾過装置が特に好ましく適用できる。
【0027】
膜分離活性汚泥処理装置2は、活性汚泥処理槽中の処理水を吸引して、微細な懸濁物質はもとより細菌をも透過させない分離膜で濾過して取り出す処理装置であり、有機物やアンモニアを分解する微生物群から成る活性汚泥を収納した活性汚泥槽に平膜型分離装置を浸漬したものと、中空糸膜型分離装置を浸漬したものがある。
【0028】
平膜型分離装置は、濾過水通路を確保するためのスペーサーを平膜で挟み込んで、封筒状に折りたたみ、端部を液密に封止した膜エレメントから成る。膜エレメントの上端部には濾過水を集水するチューブが取り付けられている。このような膜エレメントを多数枚、スペーサーを介してはさみ、一定間隔で積層して膜モジュールとする。そして、活性汚泥槽内に浸漬設置された各膜エレメントの間隙に、活性汚泥に供給する曝気空気が上昇し、活性汚泥が懸濁した処理水に随伴流を発生させて、膜エレメントの表面に発生する汚泥の堆積層(ケーク層)を洗い流す効果によって、膜濾過速度を一定レベルに維持する構造となっている。
【0029】
中空糸膜型分離装置は、中空糸膜を束状にし、その両端部を接着剤で液密に固定し、中空糸の両端部又は一端部を開口させ、中空糸膜側面から中空糸膜内部に、濾過した処理水を吸引・集水する膜モジュールから成る。中空糸膜束が円筒状プラスチック製ケースに収納された膜モジュールであれば、中空糸膜が損傷しにくいので取り扱いが容易である。このような膜モジュールを、たとえば垂直に設置し、下端部から曝気空気を供給して中空糸膜の間隙に活性汚泥水の上昇流を起こし、汚泥ケーク層の成長を防止して、一定の膜濾過速度を維持し、上端部から濾過された処理水を集水する構造としてある。
【0030】
又は、中空糸膜をシート状に並列させて中空糸膜の両端部を接着剤で液密に固定し、上端部の中空糸膜の開口部から濾過水を集水する機構を設け、平膜型エレメントに類似した形状のシート状中空糸膜エレメントとし、多数のシート状中空糸膜エレメントを一定の間隔で平行に固定して膜モジュールとした形状のものであっても良い。平膜型分離装置は、懸濁物質や活性汚泥が膜面に堆積しがたいが逆流洗浄が難しく、中空糸膜型分離装置は、中空糸間に懸濁物質や活性汚泥が蓄積しやすいが逆流洗浄がしやすいので、飼育水の性状により好ましいタイプの膜分離活性汚泥処理装置を選択する。
【0031】
ところで、膜分離活性汚泥処理装置を効果的に機能させるには、活性汚泥濃度を高く維持する必要があり、このため、処理対象原水中に汚泥中の微生物群の栄養源となる有機化合物を高濃度に含有すること、即ち高BODの原水であることが条件とされている。低BODの原水を処理対象水とすると、微生物どうしの捕食により反応開始時に供給した活性汚泥が消化反応で消滅して、膜分離活性汚泥処理装置が機能しなくなる虞がある。通常の下水、排水或いは生活排水等を対象とする膜分離活性汚泥処理装置の対象原水のBODは50〜700mg/Lとされているが、養殖飼育水のBODは7mg/L以下、高くても15mg/L以下程度であるにすぎない。即ち、養殖魚飼育水中には、活性汚泥の栄養源となるBOD成分が、膜分離活性汚泥処理装置を有効に機能させるには少なすぎるので、活性汚泥の栄養源となる有機物を加える必要がある。
【0032】
そこで、本発明においては、飼育水槽1から排出した沈降性懸濁物質濃縮水、及び、濾過装置3から濃縮分離されて排出された浮遊性懸濁物質濃縮水を、系外に放流することなくほぼ全量を膜分離活性汚泥処理装置2へ供給し、活性汚泥の栄養源とすることにより、汚泥量とその活性を維持している。一方、膜分離活性汚泥処理装置2に微生物の栄養源となる有機物が過剰に供給されると汚泥が増加・蓄積しすぎるため、汚泥排出路12を通して余剰汚泥を排出する。
【0033】
なお、海洋性硝化細菌を膜分離活性汚泥処理装置2に植え付ければ、海水組成の飼育水であっても、含有されるアンモニアや有機物を効果的に分解除去することができる。また、膜分離活性汚泥処理装置2の前段に脱窒槽を設け、その攪拌速度ないし循環速度を調節して脱窒槽内を嫌気的状態に維持し、活性汚泥の硝化反応により発生する硝酸態窒素を窒素ガスに分解除去してもよい。
【0034】
調整槽4は、飼育水の循環水量と水温を調節するための槽であり、所定量の循環水を貯留し水温調節のための加温・冷却機能を持つものであれば、いかなる構造のものでも採用可能である。しかし、一定以上の耐久性が求められるので、ステンレス製、強化プラスチック(FRP)製あるいはコンクリート製などの槽が好ましい。調温装置5は、飼育水の水温をコントロールするための公知の加温・冷却設備を備えていれば、その形式等に限定されない。熱交換器及び温調水の配管材料には、ステンレス製のものが好ましく使用され、チタン製熱交換器であればより好ましい。
【0035】
酸素溶入装置6は、飼育水槽1に供給される飼育水の溶存酸素濃度を所定濃度に維持するために酸素を溶解させるものである。酸素源は、液化酸素であっても、PSA式酸素製造装置で大気中から分離された酸素ガスであっても、もちろん良く、酸素ガス分圧を高めて水中に溶解させる通常の酸素溶入塔方式のものが、維持管理が容易で安定しているので、好ましく用いられる。飼育水中の溶存酸素濃度としては、5mg/L以上20mg/L以下、好ましくは15mg/L以下程度に溶入できればよい。
【0036】
魚介類の養殖では、魚毒性を示すアンモニアの飼育水中濃度が最も重要である。本実施例の循環式養殖装置で飼育水を浄化して循環させると、膜分離活性汚泥処理装置2を通過した飼育水からはアンモニアが除去されているが、濾過装置3を通過し、第2供給路10を介して循環路7に戻された飼育水からはアンモニアが除去されない。ところで、飼育水中のアンモニア濃度が高くなると魚の死亡率が高まるので、飼育水中のアンモニア態窒素濃度は5mg/L以下、好ましくは、3mg/L以下に抑える必要がある。一方、アンモニア濃度は低いほど好ましいが、必要以上にアンモニアを分解除去しようとすると、膜分離活性汚泥処理装置2の規模が大掛かりとなり且つその運転に費用がかかり、コストが増大する。
【0037】
閉鎖循環式養殖装置を用いた高密度(80kg/m2)の飼育の経験から、飼育水中のアンモニア態窒素の下限濃度が1mg/L程度にできれば十分であり、それ以上濃度を低下させるためには装置の規模及び運転コストの面で過大な負担がかかる。したがって、アンモニアの除去だけを考慮すれば、循環水全量を膜分離活性汚泥処理装置2に供給して処理する必要はない。
【0038】
そこで、本実施例では、飼育水槽1から取り出した上澄み液の一部を、濾過装置3で濾過せずに第1分岐路11を通して膜分離活性汚泥処理装置2へ導入し、残部を濾過装置3へ送ると共に、濾過装置3で濾過された濾過水の一部を膜分離活性汚泥処理装置2へ送らず、第2供給路10を通して循環路7へ戻している。そして、循環路7を通して飼育水槽1へ導入される飼育水中のアンモニア態窒素濃度を測定し、該濃度が1mg/L〜5mg/Lとなるよう、上澄み液のうち、濾過装置3を通さずに膜分離活性汚泥処理装置2へ導入される一部と、濾過装置3へ供給される残部との分配比率を調整している。
【0039】
即ち、飼育水中のアンモニア態窒素濃度が許容最大値である5mg/Lを超えたら、第1分岐路11の流量を増やし、許容最小値である1mg/Lを下回ったら第1分岐路11の流量を少なくしている。流量の増減を行うには、第1分岐路11にその流量を調整する機構を設置し、測定したアンモニア態窒素濃度が5mg/Lを超えたら流量を増やし、アンモニア態窒素濃度の測定値が1mg/Lを下回ったら流量を減らす。
【0040】
これにより、魚介類の成育状態、飼育密度、給餌の条件等に応じた浄化が可能となり、膜分離活性汚泥処理装置2の曝気やポンプ運転に伴うエネルギー消費が少なくなって、運転コストが低減される。特に、インバーターでポンプの回転数を制御する方式の場合には電力消費量を抑えることができ、飼育水の水温上昇を抑える効果もある。養殖魚の飼育では、飼育水槽に投入してから成魚に至るまで、生育に従って給餌量や物質代謝産物の排泄量が長期的に変化する。また、給餌量や残餌量は飼育魚の状態で日々変化し、糞やアンモニアなどの排泄量は給餌直後から増加し、一昼夜後には、給餌前の状態に戻り、飼育水への負荷が日夜緩やかに変動する。したがって、膜分離活性汚泥処理装置2と濾過装置3との分配率を一概に規定することができないが、飼育水中のアンモニア濃度を監視することによって分配率を調整することができる。
【0041】
図2は、本発明の実施例2に係る魚介類の循環式養殖装置を示す。本実施例においては、上澄み液取り出し路8から分岐した第2分岐路13の末端が調整槽4へ接続され、第2分岐路13にはその流量を調整する機構が設置されている。したがって、飼育水槽1から取り出した上澄み液の一部が第1分岐路11を通して膜分離汚泥処理装置2へ導入され、他の一部が第2分岐路13を通して調整槽4へ直接供給され、残部が濾過装置3に送られるようになっている。
【0042】
この循環式養殖装置で飼育水を循環させる場合、第2分岐路13を通る上澄み液からはアンモニア及び浮遊性懸濁物質がいずれも除去されない。飼育水中の浮遊性懸濁物質濃度が高くなると、飼育水の透明度が低下し、魚のえらがつまり易く、魚介類の病気が発生しやすいなどの弊害があるので、浮遊性懸濁物質濃度は、50mg/L以下、好ましくは25mg/L以下に抑える必要がある。しかし、浮遊性懸濁物質が少なくても全て除去しようとすると、濾過装置3の設備規模が大となり設備費が増大すると共に消費電力も増加し、逆流洗浄などの運転コストが高くつく。閉鎖循環式養殖装置を用いた高密度(80kg/m2)の飼育の経験から、飼育水中のアンモニア態窒素の下限濃度5mg/L程度にできれば十分であると考えられる。
【0043】
ところで、膜分離活性汚泥処理装置2又は濾過装置3を通過すると、浮遊性懸濁物質はほぼ全量除去される。しかしながら、稚魚乃至、稚魚から中間的に成育した飼育魚や、給餌前のように排泄物等の少ない期間又は時間帯においては、浮遊性懸濁物質の全量を除去する必要はない。しかも、濾過装置3の洗浄水として回収される浮遊性懸濁物質濃縮水も少ないので、膜分離活性汚泥処理装置2へ汚泥の栄養源として供給する意味も少ない。
【0044】
そこで、本実施例では、実施例1と同様に飼育水のアンモニア態窒素濃度によって、飼育水槽1の上澄み液のうち、濾過装置3を通過しないで膜分離活性汚泥処理装置2へ導入される分と、濾過装置3を通過する分との比率を調整するほかに、浮遊性懸濁物質濃度によって、膜分離活性汚泥処理装置2及び濾過装置3の少なくとも一方を通過する分と、膜分離活性汚泥処理装置2及び濾過装置3のいずれも通過しない分との比率を調整している。
【0045】
すなわち、循環路7を通して飼育水槽1に導入されるアンモニア態窒素濃度及び浮遊性懸濁物質濃度を測定し、アンモニア態窒素濃度が1mg/L〜5mg/Lとなり、浮遊性懸濁物質濃度が5mg/L〜50mg/Lとなるよう、上澄み液のうち、濾過装置3を通さずに膜分離活性汚泥処理装置2へ導入される一部と、濾過装置3及び膜分離活性汚泥処理装置2を通さずに調整槽4へ送られる他の一部と、濾過装置3へ供給される残部との分配比率を調整している。
【0046】
測定したアンモニア態窒素濃度による流量操作は実施例1と同様である。また、飼育水中の浮遊性懸濁物質濃度が許容最小値である5mg/Lより低い場合は、第2分岐路13の流量を多くし、浮遊性懸濁物質濃度が許容最大値である50mg/L(25mg/L)より高い場合は、第2分岐路13の流量を少なくする。浮遊性懸濁物質濃度は、第2分岐路13との接続部よりも下流側において、循環路7内の水の懸濁度によって測定する。
【0047】
第2分岐路13には、その流量を調整する他の弁、又はポンプ回数を制御するほかのインバーター制御機構を設置して、測定した浮遊性懸濁物質濃度が5mg/Lを下回ったら流量を増やし、50mg/Lを上回ったら流量を減らす。これにより、膜分離化製汚泥処理装置2及び濾過装置3の設備の消耗とエネルギー消費を抑えて、運転コストを低減できる。循環式養殖装置及び飼育方法の他の構成は、実施例1とほぼ同様なので、同一部分に共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
図3は、本発明の実施例1に係る魚介類の循環式養殖装置を示す。本実施例では、上澄み液取り出し路8から分岐した第3分岐路14が飼育水槽1の直前において循環路7に接続される。第3分岐路14には、その流量を調節する機構が設置されている。そして、飼育水槽1から取り出した上澄み液の一部が、濾過装置3を通さずに膜分離活性汚泥処理装置2へ導入され、他の一部が濾過装置3及び膜分離活性汚泥処理装置2を通さずに飼育水槽1へ戻され、残部が濾過装置3へ供給される。
【0049】
飼育魚が幼魚の場合や出荷等で養殖密度が低下して、飼育水への負荷が著しく低い場合には、過半の飼育水を浄化する必要がなく、飼育水槽1中の水流を維持して溶存酸素濃度を飼育水槽1に均一に維持することが飼育水循環の主たる目的となる。本実施例は、少量発生するアンモニアや浮遊性懸濁物質量に見合った割合だけ飼育水の一部を浄化しようするものである。そのほかの構成は、実施例2と変わるところがない。
【0050】
図4は、本発明の実施例4にかかる魚介類の循環式養殖装置を示す。本実施例では、膜分離活性汚泥装置2の上流に、活性汚泥処理前の未処理水を貯留する未処理水貯留槽2Aが設けられる。そのため、飼育水槽内でのアンモニア発生量が多い時間帯に、アンモニア濃度の高い排水を一時貯留しておき、安定的に膜分離活性汚泥処理装置(MBR)2へと送ることができるため、活性汚泥処理装置の効率を高く保つことができる。また、調整槽4にて処理後の処理水を貯留し、未処理水貯留槽2Aにて未処理水を貯留しておくことができるため、短時間に飼育水を換水することができる。そのため、最小限の容量の膜分離活性汚泥処理装置(MBR)2でもって、充分な浄化処理を行うことができるのである。
【0051】
図4に示す例では、さらに、飼育水槽1の底部の下流に液体サイクロン1Aが設けられており、液体サイクロン1Aにて分離された上澄みは、濾過装置3に送られる。そして、液体サイクロン1Aにて濃縮された懸濁物質が膜分離活性汚泥処理装置5へと送られる。さらに、図4に示す例において、複数の飼育水槽1-1,1-2が設けられており、例えば、餌を与える時間帯を互いにずらすことで、膜分離活性汚泥処理装置2の負担をさらに平均化することができるので、飼育水槽1の総容量に比べて、膜分離活性汚泥処理装置(MBR)2の容量を最小化することができる。
【0052】
以上に説明した以外の点では、先に説明した実施例1〜3と全く同様である。本実施例において、先の実施例と同様に、液体サイクロン1Aを省くことができる。また、液体サイクロン1Aを飼育水槽1の底部に一体に設けることもできる。なお、実施例4で追加された各構成は、実施例1〜3の構成と適宜に組み合わせて用いることができる。
【0053】
実施例1〜3の循環式養殖装置では、実施例4にある「未処理水貯留槽2A」が設けられていない。しかし、膜分離活性汚泥処理装置(MBR)2の容量を大きく取り、水位変動を可能にすることで、アンモニア発生量の時間的な変動に対処することができる。すなわち、飼育水槽内でのアンモニア発生量が多い時間帯には、飼育水槽1から膜分離活性汚泥処理装置(MBR)2への排出量を、膜分離活性汚泥処理装置(MBR)2の処理量よりも大きく取り、膜分離活性汚泥処理装置(MBR)2の水位を増大させる。そして、飼育水槽内でのアンモニア発生量が低下した時間帯には、膜分離活性汚泥処理装置(MBR)2の水位が低下して行くようにする。
【0054】
なお、膜分離活性汚泥処理装置(MBR)2として、水槽が、貯留槽ゾーンとしての前段(上流)部分と、膜モジュールを浸漬し曝気を行う後段(下流)部分とに仕切られたものを用いることもできる。この場合、貯留槽ゾーンとしての前段部分のみの水位を変動可能とすることで、アンモニア発生量の時間的な変動に対処することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 飼育水槽 2 膜分離活性汚泥処理装置 2A 未処理水貯留槽
3 濾過装置 4 調整槽 5 調温装置 6 酸素溶入装置
7 循環路 8 上澄み液取り出し路 9 第1分岐路
11 第2供給路 12 汚泥排出路 13 第2分岐路 14 第3分岐路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚介類の飼育に使用した飼育水を浄化し、循環路を介して循環させる養殖装置であって、魚介類の飼育水槽(1)と、飼育水槽(1)中の浮遊性懸濁物質を分離して除去する濾過装置(3)と、飼育水中の有機物及びアンモニアを微生物群で処理して分離除去する膜分離活性汚泥処理装置(2)とを備え、前記循環路は、飼育水槽(1)中の沈降性懸濁物質を第1濃縮水として膜分離活性汚泥処理装置(2)へと導入する第1経路と、飼育水槽(1)から上澄みを取り出して濾過装置(3)に導入する第2経路と、濾過装置(3)にて濾過された濾過水を、膜分離活性汚泥処理装置(2)により処理された処理水とともに飼育水槽(1)へと戻す第3経路と、濾過装置(3)で分離された沈降性懸濁物質を第2濃縮水として膜分離活性汚泥処理装置(2)へと導入する第4経路とを有し、膜分離活性汚泥処理装置(2)には、余剰汚泥を排出する汚泥排出路(12)が備えられたことを特徴とする循環式養殖装置。
【請求項2】
魚介類を飼育する飼育水槽(1)と、
飼育水槽(1)内の飼育水を、沈降性懸濁物質が濃縮された第1濃縮水と上澄みとに分離する懸濁物質分離機構と、
前記上澄みを第1〜2の分流路に分配する分配機構と、
第2の分流路の下流に配置され、前記上澄みを、浮遊性懸濁物質が濃縮された第2濃縮水と濾過水とに分離する濾過装置(3)と、
第1濃縮水及び第2濃縮水が導入される膜分離活性汚泥処理装置(MBR:メンブレンバイオリアクター)(2)と、
膜分離活性汚泥処理装置(2)及び濾過装置(3)の下流に配置されて濾過処理または浄化処理済みの処理水を貯留する調整槽(4)と、
前記第1の分流路の下流端をなし飼育水槽(1)中へと上澄みを戻す還流給水口と、
調整槽(4)中の処理水を飼育水槽(1)中へと戻す処理水還流路と、
膜分離活性汚泥処理装置(2)の上流に配置され、飼育水槽(1)内の飼育水、または、第1濃縮水及び第2濃縮水を貯留する未処理水貯留槽(2A)とからなることを特徴とする閉鎖循環式養殖装置。
【請求項3】
飼育水槽(1)から上澄みを取り出す経路に、上澄みの一部を飼育水槽(1)へと戻す経路、及び、この経路への流量を調整する機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の閉鎖循環式養殖装置。
【請求項4】
飼育水槽(1)から上澄みを取り出す経路に、上澄みの一部を膜分離活性汚泥処理装置(2)へと導入する分岐路(11)、及び、この分岐路への流量を調整する機構を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の閉鎖循環式養殖装置。
【請求項5】
濾過装置(3)がマイクロストレーナーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の閉鎖循環式養殖装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の閉鎖循環式養殖装置を用いる養殖方法において、前記循環路を通じて飼育水槽(1)へと導入される飼育水のアンモニア濃度が1〜5mg/Lとなるように、循環水における膜分離活性汚泥処理装置(2)への分配比率を調整することを特徴とする閉鎖循環式養殖方法。
【請求項7】
飼育水槽(1)中の浮遊性懸濁物質の濃度が5〜50mg/Lとなるように、循環水における、濾過装置(3)の流量、膜分離活性汚泥処理装置(2)の流量、及び、これらを経ずに飼育水槽(1)へと戻される流量の分配比率を調整することを特徴とする請求項5に記載の閉鎖循環式養殖方法。
【請求項8】
前記飼育水が海水又は海水と類似した塩類水溶液であって、その塩分濃度が2.0%〜4.5%であることを特徴とする請求項6または7に記載の閉鎖循環式養殖方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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