説明

2−(3,5−二置換−4−ピリジル)−4−(チエニル、チアゾリルまたはアリールフェニル)−1,3−オキサゾリン化合物

【課題】新しい作用性を有する殺虫剤および殺ダニ剤の提供。
【解決手段】式(I)に示すような、2位に3,5−二置換−4−ピリジル基を有し、また4位の置換基Qがチエニル、チアゾリル、またはアリールフェニル基であるオキサゾリン化合物は、アブラムシ、昆虫、およびダニの抑制に効果がある。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、殺虫剤および殺ダニ剤として有用である新しい2−(4−ピリジル)−オキサゾリン化合物を提供する。さらに具体的には、本発明は2−(3,5−二置換型−4−ピリジル)−1,3−オキサゾリン化合物および幾らかのその立体異性体に関する。発明にはまた該化合物の製造のための新しい合成方法ならびに中間体と、該化合物を含む殺虫剤組成物と、該化合物を用いて昆虫とダニとを制御する方法と、が含まれる。
【0002】
新しい殺虫剤および殺ダニ剤が緊急に求められている。昆虫(insects)とダニ(mites)は、現在使われている殺虫剤および殺ダニ剤への抵抗性を増しつつある。節足動物の少なくとも400種が1種以上の殺虫剤への耐性を有している。DDT、カーバメート、および有機燐類といった旧式の数種類の殺虫剤への耐性の増加は良く知られている。しかし耐性は新しいピレトロイド殺虫剤および殺ダニ剤の数種に対してさえも増している。それゆえ、新しい殺虫剤および殺ダニ剤の必要性、とくに作用が新しいかまたは非典型的なタイプの作用を有する化合物の必要性が存在する。
【0003】
昆虫とダニに対する活性を有する特定の3−(3,5−二置換−4−ピリジル)−1H,1,2,4−トリアゾールがWO00/24735に開示されている。殺虫活性を有する2−(置換−フェニル)−1,3−オキサゾリン類がJP4−89484、EP0345775−A1、EP0432661−A2、EP0553623−A1、WO99/01443、WO99/23081およびWO98/47881に開示されている。殺虫および殺ダニ活性を有する2−アリール―および2−ヘテロアリール―1,3−オキサゾリン類がJP6−145169およびWO99/65901に開示されている。節足動物駆除性の2−(置換−フェニル)−1,3−オキサゾリン類がWO93/24470に開示されている。出願人の知識では唯一のオキサゾリン製品であるエトキサゾールが、市販の殺ダニ剤として開発されている。もっと高活性で、もっと選択的またはそれらの活性がもっと広範囲で、および/または毒性と環境的な性質が改良された、この種の作用を示す類縁化合物を発見することが大いに望まれている。

発明の要約
本発明は、昆虫とダニとの制御にとってとくに有用である新規な置換ピリジルオキサゾリン誘導体を提供する。
【0004】
さらに具体的には、本発明は式(I)
【0005】
【化7】

【0006】
[式中、R1は、H、(C1―C6)アルキル、(C1―C6)ハロアルキル、(C2―C6)アルケニル、(C2―C6)アルキニル、または(C1―C6)アルコキシアルキルを表し;
2は、H、ハロゲン、(C1―C6)アルキル、(C1―C6)ハロアルキル、(C1―C6)アルコキシ、(C1―C6)ハロアルコキシを表し;
Qは、
【0007】
【化8】

【0008】
から選んだ基であり;
3は、H、ハロゲン、(C1―C6)アルキル、(C7―C21)直鎖アルキル、ヒドロキシ、(C1―C6)アルコキシ、(C1―C6)ハロアルキル、(C1―C6)ハロアルコキシ、(C1―C6)アルコキシアルキル、(C1―C6)アルコキシアルコキシ、(C2―C6)アルケニル、(C2―C6)ハロアルケニル、CN、NO2、CO26、CON(R62、(C3−C6)シクロアルキル、S(O)m6、SCN、ピリジル、置換ピリジル、イソオキサゾリル、置換イソオキサゾリル、チエニル、置換チエニル、チアゾリル、置換チアゾリル、フェニル、置換フェニル、―(CH2n6、-CH=CHR6、―C≡CR6、−CH2OR6、−CH2SR6、−CH2NR66、―OCH26、―SCH26、NR6CH26
【0009】
【化9】

【0010】
を表し;
4は、H、ハロゲン、(C1―C6)アルキル、(C1―C6)アルコキシ、(C1―C6)ハロアルキル、(C1―C6)ハロアルコキシ、CN、CO26、CON(R62、(C1―C6)S(O)mアルキル、または(C1―C6)S(O)mハロアルキルを表し;
5は、
【0011】
【化10】

【0012】
を表し;
6は、H、(C1―C6)アルキル、(C1―C6)ハロアルキル、(C2―C6)アルケニル、(C2―C6)アルキニル、フェニル、または置換フェニルであり;
7とR8は、独立にCl、F、メチル、ハロメチル、メトキシ、またはハロメトキシであり;
mは、0、1、または2であり;そして
nは、1または2である]
で表される新規な殺虫作用を持つ活性化合物、またはその植物学的に容認できる酸付加塩もしくはそのN-オキシドを提供する。

式(I)の好ましい化合物には下記のクラスを含む:
(1)R7とR8とが独立にFまたはClである、式(I)の化合物。
(2)R7とR8とがともにFまたはともにClである、式(I)の化合物。
(3)R1がHまたはメチルである、式(I)の化合物。
(4)R2がHである、式(I)の化合物。
(5)Qが式
【0013】
【化11】

【0014】
(式中、R4とR5が式(I)で定義されている通り)
の基を表す、式(I)の化合物。

(6)Qが式
【0015】
【化12】

【0016】
(R3とR4が式(I)で定義されている通り)
の基を表す、クラス(5)の化合物。
(7)R3とR4とが独立にH、(C1―C6)アルキル、(C1―C6)アルコキシ、(C1―C6)ハロアルキル、または(C1―C6)ハロアルコキシである、式(I)の化合物。
【0017】
最も好ましい化合物が一般に上記の好ましいクラスの種々の組み合わせからなっていることは、当業者に認識される。
【0018】
発明は、式(I)の化合物を調製する新しい方法と中間体および新しい組成物と使用方法もまた提供するもので、以下に詳述する。

発明の詳細な説明
本文書を通じて、温度はすべて摂氏で表し、百分率は特記無き限りすべて重量パーセントで表す。
【0019】
特記無き限り、ここで用いる用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」ならびに「アルコキシ」や「アルカノイル」といった派生語は、その範囲内に直鎖、分岐鎖、および環式の部分を含む。「アルケニル」と「アルキニル」という用語は、1以上の不飽和結合を含むことを意図している。
【0020】
特記無き限り、ここで用いる用語「ハロゲン」および「ハロ」のような派生語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を表す。好ましいハロゲンは、フッ素と塩素である。
【0021】
「ハロメチル」、「ハロアルキル」、および「ハロアルケニル」という用語は、1から最大可能数までの水素原子で置換されたメチル、アルキル、およびアルケニル基を表す。「ハロメトキシ」と「ハロアルコキシ」とは、1から最大可能数までの水素原子で置換されたメトキシ基とアルコキシ基とを表す。
【0022】
「置換ピリジル」、「置換イソオキサゾリル」「置換チエニル」、および「置換チアゾリル」という用語は、ハロゲン、(C1―C4)アルキル、(C1―C4)ハロアルキル、CN、NO2、フェニル、(C1―C4)アルコキシ、または(C1―C4)ハロアルコキシから独立に選んだ1以上の基で置換された環式系を表す。
【0023】
「置換フェニル」という用語は、ハロゲン、(C1―C10)アルキル、(C1―C7)ハロアルキル、(C1―C7)ヒドロキシアルキル、(C1―C7)アルコキシ、(C1―C7)ハロアルコキシ、フェノキシ、フェニル、NO2、OH、CN、(C1―C4)アルカノイル、ベンゾイル、(C1―C4)アルカノイルオキシ、(C1―C4)アルコキシカルボニル、フェノキシカルボニル、またはベンゾイロキシから独立に選んだ1以上の基で置換されたフェニル基を表す。
【0024】
特記無き限り、同定した群から選んだ1以上の置換基で基を置換しても良いということを述べる時は、置換基を該群から独立に選んでも良いということを意味しているが、該置換基に立体的な互換性があって化学的結合とひずみエネルギーとの法則が満足されることを条件とする。
【0025】
1が水素以外であるときは、本発明の化合物は1以上の立体異性体として存在できる。種々の立体異性体としては幾何異性体、ジアステレオ異性体、およびエナンチオマーがある。そのため、本発明の化合物にはラセミ体の混合物、個々の立体異性体、ならびに光学的に活性な混合物を含む。ひとつの立体異性体が他のものよりも活性が高いということは当業者に認識される。個々の立体異性体、ならびに光学的に活性な混合物は、選択的合成法や、分割によって得られる出発化合物を用いる従来の合成法や、あるいは従来の分割方法、によって得ても良い。

合 成
式[I]の化合物は、スキームAに示す方法によって調製できる。

スキームA
【0026】
【化13】

【0027】
(式中、Q、R1、R7、およびR8は、式[I]で定義する通り)
スキームAで用いる式(A)の出発物質は、1,2−ジクロロエタン中で適当なイソニコチン酸のリチウム塩と塩化チオニルとを還流下反応させることで調製できる。
【0028】
スキームAのステップaでは、式(A)の化合物をアミノ酸エステルと反応させて(J. Org. Chem. 56: 420. 1991)式(B)の化合物を得ることができる。好ましい溶媒は、1,2−ジクロロエタンであるが、ピリジンやTHFといった他の極性非プロトン溶媒も使うことができる。
【0029】
スキームAのステップbでは、エタノールのような有機溶媒中で0℃ないし周囲温度の温度で式(B)の化合物を水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤と反応させて式(C)の化合物を得ることができる。
【0030】
スキームAのステップcでは、式(A)の化合物をアミノアルコール(D)と反応させて式(C)の化合物を得ることができる。好ましい溶媒は、1,2−ジクロロエタンであるが、ピリジンやTHFといった他の極性非プロトン溶媒も使うことができる。
【0031】
スキームAのステップdでは、式(C)のN-アミドアルコールを式[I]の生成物を得るために(ジエチルアミノ)三フッ化硫黄(DAST)に反応させるか、塩化チオニルと反応させる。ジクロロメタン中、1,2−ジクロロエタン中、または溶媒の不存在下−78℃ないし周囲温度の温度で閉環反応を行なう。

または、Qが
【0032】
【化14】

【0033】
を表す場合には、式[I]の化合物は、スキームBに示す方法によって調製できる。
【0034】
スキームB
【0035】
【化15】

【0036】
(式中、Q、R1、R4、R5、R7、およびR8は、式[I]で定義した通り)
スキームBのステップaでは、式(Ia)のオキサゾリンを鈴木カップリング反応の標準的条件で、適切に置換されたR5―ボロン酸と反応させて式(Ib)の生成物を得る。該カップリング反応は、アセトニトリル/水混合物またはエタノール中で周囲温度から還流温度の範囲の温度で行なわれる。カップリング用にはジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II))またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の触媒的な量が典型的に用いられるが、その他のPd(II)またはPd(0)触媒も用いることができる。典型的には炭酸ナトリウムがカップリング反応における塩基として用いられるが、炭酸カリウムやトリエチルアミンといった他の無機および有機の塩基もまた用いることができる。
【0037】
1がHを意味せぬときは、式[I]の化合物、とくにジアステレオ異性体Syn (I)とAnti (I)、はスキームCに示す方法によって調製することができる。

スキームC
【0038】
【化16】

【0039】
(式中、R1、Q、R7、R8は式(I)で定義した通り、但しR1はHでない).
スキームCのステップaでは、式(A)の化合物をアミノアルコール(D)と反応させて式(C)の化合物を得る。好ましい溶媒は1,2−ジクロロエタンであるが、ピリジンやTHFのような他の極性非プロトン溶媒もまた用いることができる。
【0040】
スキームCの閉環ステップbはスキームAのステップdに似ており、クロマトグラフィー技術によって分離することができる式Syn (I)およびAnti (I)の生成物を与える。
【0041】
または、Qが
【0042】
【化17】

【0043】
を表す場合には、式(I)とくにジアステレオ異性体Syn (Ib)およびAnti (Ia) の化合物をスキームDに示す方法によって調製することができる。

スキームD
【0044】
【化18】

【0045】
(式中、R1、Q、R4、R5、R7、およびR8は、式(I)で定義した通り、但しR1はHでない) スキームDの鈴木カップリングステップaは、スキームBのステップaに似ており、クロマトグラフィー技術によって分離することができる式Syn (Ia)およびAnti (Ib)の生成物を与える。
【0046】
スキームDの化合物は、スキームEに示す方法によって調製できる。

スキームE
【0047】
【化19】

【0048】
スキームEのステップaでは、ジクロロエタンの還流温度で式(E)の化合物を酢酸カリウムおよびテトラブチルアンモニウムクロリド混合物と反応させて式(F)の化合物を得る。ジクロロエタンは好ましい溶媒であるが、しかし、ジクロロメタンや四塩化炭素といった他の塩素化溶媒を用いることができる。この変換は、テトラブチルアンモニウムの臭化物または沃化物といった他の相間移動触媒とともに無機の酢酸塩たとえば酢酸ナトリウムを用いることによっても実施できる。
【0049】
スキームEのステップbでは、エタノール中で酢酸カリウムと反応させたあとに塩酸メトキシル・アミンで処理して式(G)の化合物を得る。
【0050】
スキームEのステップcでは、式(G)の化合物を、トリフルオロ酢酸中の水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤と反応させて、テトラヒドロフランのような有機溶媒中で式(D)の化合物を得る。該反応は、周囲温度ないしは還流温度で実施できる。生成物は、塩、好ましくは塩酸塩として単離できる。
【実施例】
【0051】
式(D)の出発化合物の調製
4―[1−アミノ)−(2−ヒドロキシ)エチル]−ヨードベンゼン(塩酸塩)

2’ブロモ―4−ヨードアセトフェノン
【0052】
【化20】

【0053】
機械式かき混ぜ機、添加物用漏斗、熱電対、および水酸化ナトリウム水溶液(2M)を入れたアリゲーター・トラップに取り付けた還流濃縮装置を備えた1リットルの丸底フラスコにCuBr2(92.4g、0.414mol)および酢酸エチル(320mL)を入れた。4−ヨードアセトフェノン(53.4g、0.217mol)をクロロホルム(320mL)に溶解させ、添加物漏斗に入れた。酢酸エチル溶液にクロロホルム溶液を加え、70℃で6時間反応混合物をかき混ぜ、次に25℃で16時間冷却した。セライトを通してろ過してCuBr2塩を除いた。濾液を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(2X200mL)と塩水(brine:100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下に溶媒を除いて、未反応出発物質が混じった粗生成物を得た。この生成物をジクロロメタン/ヘキサン中で再結晶させて精製し、黄褐色の純粋な物質(44.5g、63%収量;融点109―111℃)を得た。

2'−アセトキシ―4−ヨードアセトフェノン
【0054】
【化21】

【0055】
機械式かき混ぜ機、熱電対、および還流濃縮装置を取り付けた1リットルの丸底フラスコに2'−ブロモ―4−ヨードアセトフェノン(44.0g、0.13,5mol)、酢酸カリウム(19.9g、0.203mol)、ベンジル・トリエチルアンモニウム・クロリド(1.5g、0.007mol)および1,2−ジクロロエタン(425mL)を入れた。反応混合物を70℃で4時間でかきまぜてから25℃に冷却した。水(250mL)を加えて分液漏斗で内容物を振り混ぜた。ジクロロエタン層を分取して重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(200mL)と塩水(100mL)で洗浄した。ジクロロエタンを硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下に溶媒を除いて、黄褐色の固形物として生成物を得た(412g、収量97%):融点103−107℃。

4−[(2−アセトキシ)(1―メトキシイミノ)エチル]ヨードベンゼン
【0056】
【化22】

【0057】
機械式かき混ぜ機、熱電対、および還流濃縮装置を取り付けた2リットルの丸底フラスコに2'−アセトキシ−4−ヨードアセトフェノン(35.9g、0.118mol)、酢酸カリウム(13.9g、0.142mol)、塩酸メトキシルアミン(11.8g、0.142mol)およびエチル・アルコール(700mL)を入れた。反応混合物を70℃で8時間かきまぜてから25℃にまで冷却し、この温度で16時間かき混ぜた。セライトを通して反応混合物をろ過した。減圧下にエチル・アルコールを除き、残渣を酢酸エチル(500mL)に溶解させた。水(100mL)を加えて分液漏斗で内容物を振り混ぜた。酢酸エチル層を分取して重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(2X200mL)と塩水(100mL)で洗浄した。酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下に溶媒を除き、油として生成物を得た(37.4g、収量95%)。生成物はメトキシム異性体類の4:1混合物であった。

4―[1−アミノ]−(2−ヒドロキシ)エチル]−ヨードベンゼン(塩酸塩)
【0058】
【化23】

【0059】
磁気スターラー、添加物用漏斗、熱電対、および還流濃縮装置を取り付けた250mLの丸底フラスコにNaBH4(4.54g、0.1,20mol)とTHF(100mL)を入れた。トリフルオロ酢酸(13.7g、9.3mL、0.120mol)を添加物漏斗に入れてからゆっくりとNaBH4懸濁液に加えた。20mlのTHFの4−[(2−アセトキシ)(1―メトキシイミノ)エチル]ヨードベンゼン(10.0g、0.030mol)溶液を漏斗に入れてからゆっくりとトリフルオロアセトキシ水素化ホウ素の懸濁液に加えた。反応混合物を70℃で3時間加熱してから25℃にまで冷却した。注意深く濃塩酸を添加し、pHを<3に調節して、残っているNaBH4を中和した。50%水酸化ナトリウム水溶液でpHを>9に調節した。水(100mL)とジクロロメタン(200mL)とを加えてその層を分取した。ジクロロメタン(3X100mL)で水層を抽出した。共存している有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下に溶媒を除いて粗生成物を得た。ジクロロメタンに懸濁させ、無水HClガスを通気して生成物を精製し、塩酸塩を得た。該塩を濾過し、乾燥して白色の固形生成物を得た(6.5g、収量72%;融点200―206℃)。

B)2―ヒドロキシ―1―(4―ヨードフェニル)プロパニウムクロリド

1―ブロモエチル―(4―ヨードフェニル)ケトン
【0060】
【化24】

【0061】
細粉化した臭化銅(20.21g、91mmol)を酢酸エチル(30mL)に懸濁し、加熱して還流させた。クロロホルム(30mL)中のケトンの溶液(14g、54mmol)を19分間かけて滴下した。7時間の還流後に反応物を一晩放置して冷却し、セライトで濾過した。濾液を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(2X50mL)と塩水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。ヘキサン中で再結晶させて淡黄色の固形物を得た。融点76℃。収量12.2g(66%)。1H NMR(CDCl3)δ7.83(d,2H)、7.72(d,2H)、5.21(q,2H)、1.87(d,3H)。MI=338。IR(液体フィルム)cm-1 1677。C98BrIOについての計算値はCが31.9%、Hが2.38%。実験値はCが32.2%、Hが2.5%。

1―アセトキシエチル―(4―ヨードフェニル)ケトン
【0062】
【化25】

【0063】
1,2―ジクロロエタン(75mL)中のブルモケトン(1,2g、3,5mmol)、酢酸カリウム(5.2g、53mmol)、およびベンジル・トリエチルアンモニウム・クロリド(0.27g、1.2mmol)の懸濁液を窒素気流中で6時間還流させた。室温までに冷却したあとで水(35mL)を加えて有機層を回収した。有機層を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(30mL)と塩水(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮して黄橙色の液体を得た。これをシリカ・カラムにかけて5:1ヘキサン/酢酸エチルで溶出させた。主な画分の濃度は淡黄色の液体の9.8g(87%)であった。1H NMR(CDCl3)δ7.84(d,2H)、7.64(d,2H)、5.87(q,2H)、2.14(s,3H)1.56(d,3H)。MI=318。IR(液体フィルム)cm-1 1740、1699。C1111IO3についての計算値はCが41.5%、Hが3.49%。実験値はCが41.04%、Hが3.60%。

2―アセトキシ―3―ヒドロキシアミノ―3―(4―ヨードフェニル)プロパン
【0064】
【化26】

【0065】
無水アルコール(80mL)中のアセテートの溶液(4.5g、14mmol)に酢酸カリウム(1.66g、17mmol)と塩酸メトキシルアミン(1.41g、17mmol)を加えた。反応生成物は、窒素気流中で63℃で10時間かき混ぜてから3時間還流させた。室温までに冷却し、セライトを通してろ過したあとで濾液を減圧下に濃縮した。残渣を酢酸エチル(45mL)に溶解させ、水(15mL)、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(2x15mL)および塩水(20mL)で洗浄したあとで硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下に濃縮して淡黄色の液体4.45g(91%)を得た。1H NMR(CDCl3)δ7.75および7.69(どちらもd、全体で2H)、7.30および7.1,2(d,2H)、6.15および5.68(q,2H)、4.01および3.87(s,3H)、2.05および1.90(s,3H)、1.60および1.41(d,3H)、MI=347.IR(液体フィルム)cm-1 1743。

2―ヒドロキシ―1―(4―ヨードフェニル)プロパナミニウムクロリド
【0066】
【化27】

【0067】
水素化ホウ素ナトリウム(0.44g、1.5mmol)を乾燥したテトラヒドロフラン(10mL)に懸濁し、氷浴で冷却した。つぎにトリフルオロ酢酸(1.31g、0.89mL、11.6mmol)を10分間かけて滴下した。冷却浴を取り外してから乾燥したテトラヒドロフラン(10mL)中のオキシム(1g、2.9mmol)溶液を10分間に渡って加えた。窒素気流中で反応物を14時間還流させ、室温まで冷却し、濃塩酸を用いてpH3.0の酸性にした。氷浴での冷却のあとで50%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11に上げ、次に塩化メチレン(20mL)と水(20mL)との混合物を反応混合物に加えた。有機層を回収して水層を塩化メチレン(2x20mL)で再抽出した。合わせた有機層を水(2x15mL)および塩水(15mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下に濃縮して塩化メチレン(20mL)に溶け込んだ透明な液体を得た。この溶液に乾燥した塩酸ガスを15分間通気してから室温で30分間かき混ぜた。濾過で白色固形物を回収した。収量は0.25g(28%)。1H NMR(CDCl3)δ8.52(br,3H)、7.79(m,2H)、7.31(m,2H)、5.68およびおよび5.39(d,総1H)、4.18および3.96(m,総2H)、0.94(s,3H)。MI=278。

C)1−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシエタナミニウムクロリド

エチル(4−ブロモ−2−フェニルメチル)(オキソ)アセテート
【0068】
【化28】

【0069】
AlCl3(20.3g、152mmol)のジクロロエタン(250mL、DCE)懸濁液にエチル・クロロオキソアセテート(16.8g、1.23mmol)を室温で加えた。生じる金色の溶液に3−ブルモトルエン(20.0g、117mmol)を加え、黒色の溶液を室温で4時間かき混ぜた。反応物を0℃まで冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液をゆっくりと加えた。該層を分取して追加の塩化アンモニウム水溶液でDCE層を洗浄し、乾燥させ(Na2 SO4)、濾過し、そしてDCEを真空中で除去して金色の油として粗生成物を得た。フラッシュ・クロマトグラフィー(SiO2;0−3%Et2O/ヘキサン)によって金色の油としてエチル(4−ブロモ−2−フェニルメチル)(オキソ)アセテート(16.2g、33%)を得た。1H NMR(CDCl3)δ1.41(t,3H,J=7.0Hz)、2.58(s,3H)、4.43(q、2H,J=7.0 Hz)、7.44−7.48(m,2H)、7.58(d,1H,J=8.0 Hz);EI/MS271m/e(M+

エチル(4−ブロモ−2−メチルフェニル)―(メトキシイミノ)エタノエート
【0070】
【化29】

【0071】
EtOH(185mL)中エチル(4−ブロモ−2−メチルフェニル)(オキソ)アセテート(10.0g、36.9mmol)、およびKOAc(4.71g、48.0mmol)の混合物にメトキシルアミン塩酸塩(4.00g、48.0mmol)を加え、生じる乳白色の懸濁液を70℃で4時間かきまぜた。さらに0.6等量のKOAcおよびメトキシルアミン塩酸塩を加え、反応混合物を70℃で16時間かき混ぜた。反応混合物をセライトで濾過し、EtOHを減圧下除去した。残渣をエチル・アセテート(250mL)に溶解させて重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(2x100mL)および塩水(100mL)で洗浄した。エチルアセテート層をNa2 SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で除去して、無色の油として生成物を得た(11.0g、99%。生成物はメトキシム異性体類のほぼ1:1混合物であった。1H NMR(CDCl3)δ1,30−1,36(m,6H)、2.16(s,3H)、2.43(s,3H)、4.01(s,3H)、4.04(s,3H)、4.30−4.38(m,4H)、6.98(d,1H,J=8.2 Hz)、7.22(d,1H,J=8.2 Hz)、7.33−7.40(m,4H)。

1−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシエタナミニウムクロリド
【0072】
【化30】

【0073】
トリフルオロ酢酸(16.7g、147mmol)をTHF(100mL)中のNaBH4(5.56g、147mmol)の懸濁液に、反応温度を25ないし35℃に維持する速度で滴下し、生じるスラリーを室温で30分間かき混ぜた。トリフルオロアセトキシ水素化ホウ素懸濁液に、20mLのTHF中の2−メチルフェニル)―(メトキシイミノ)エタノエート(11.0g、36.7mmol)溶液を加えた。生じた淡黄色の混合物を乾留で3.5時間、つぎに室温で16時間かき混ぜた。濃塩酸(pH<3)を注意深く添加して過剰のNaBH4を中和した。50%NaOH水溶液でpHを>9に調製し、該アルカリ混合物を水(100mL)で希釈した。THFを蒸発させ、CH2Cl2(3x100mL)で水性の残渣を抽出した。塩水で有機抽出物を洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、CH2Cl2を真空中で除いて黄色の油として粗生成物を得た。CH2Cl2に該油を溶解させ、無水HClを該溶液に通した。生じたHCl塩を真空濾過で集めて乾燥し、白い固形物(6.7g、58%)として望む生成物を得た。mp211,214℃(d)、1H NMR(DMSO−d6)δ2.3,5(s,3H)、3.67(d,2H、J=6.0Hz)、4.39(m,1H)、〜5.30(bs,1H)、7.45−7.48(m,2H)、7.56(d,1H,J=8.8Hz)、8.66(s,3H)。

実施例1
2−(3,5−ジクロロ―4−ピリジニル)−4−(4−ブロモフェニル)オキサゾリンの調製
(化合物4)
N−(4−ブロモフェニルグリシン・メチル・エステル)−3,5−ジクロロー4−ピリジニル・カルボキサミド
【0074】
【化31】

【0075】
1,2ジクロロエタン(200mL)中で4−ブロモフェニルグリシン・メチル・エステル(36mmol、10.07g)および3,5−ジクロロー4−ピリジニル・カルボニル・クロリド(40mmol、8.40g)を結合させ、ピリジン(100mL、8.09mL)を加え、周囲温度で18時間反応物をかき混ぜた。1M HClと塩水で反応物を洗浄し、MgSO4で乾燥した。クロマトグラフィー(SiO2、EtAc−Hex)で黄色の油(5.78g)として生成物を得た。

N−1(4−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシエチル−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)カルボキサミド
【0076】
【化32】

【0077】
THF(20mL)およびエタノール(40mL)中でN−(4−ブロモフェニルグリシン・メチル・エステル)−3,5−ジクロロ−4−ピリジニル・カルボキサミド(13,5mmol、5.65g)、水素化ホウ素ナトリウム(54.0mmol、2.04g)および塩化カルシウム(27.0mmol、3.0g)を混合し、ピリジン(100mL、8.09mL)を加え、周囲温度で36時間反応物をかき混ぜた。黄色い懸濁液を1M酢酸ナトリウム(100ml)に注いで20−30分間かき混ぜてからEtOAcで抽出した。有機性抽出物を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥した。真空中で濾過・濃縮して黄色い固形物(5.24g)を得た。クロマトグラフィー(SiO2、EtOAc)で白い固形物(2.44g、収量57.5%):mp152−155℃として生成物を得た。

2−(3,5−ジクロロ―4−ピリジニル)−4−(4−ブロモフェニル)オキサゾリン(化合物4)
【0078】
【化33】

【0079】
1,2ジクロロエタン(80mL)中でN−1(4−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシエチル−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)カルボキサミド(2.27g、5.84mmol)の懸濁液に(ジエチルアミノ)三フッ化硫黄(DAST、6.42mmol、0.85ml)を−78℃で加えた。室温で反応物をゆっくりと温め、18時間かき混ぜた。完了時に反応物をNH4OH(6mL)を含む氷に注ぎ、周囲温度まで温めたあとで塩化メチレンで抽出した。有機性抽出物を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥して油(2.60g)に濃縮した。クロマトグラフィー(SiO225%、EtAc―Hex)で白い固形物(1.63g、収量75%):mp102−103℃として生成物を得た。

実施例2
2−(3,5−ジクロロ―4−ピリジニル)−4−(4−ヨードフェニル)オキサゾリン(化合物11)の調製
N−1−(4−ヨードフェニル)−2−ヒドロキシエチル−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)カルボキサミド
【0080】
【化34】

【0081】
攪拌子、熱電対、および還流濃縮装置を取り付けた250mLの丸底フラスコに4−[(1−アミノ)−(2−ヒドロキシ)エチル]−ヨードベンゼン(HCl塩)(5.26g、17.6mmol)、トリエチルアミン(4.3g、5.7mL、42.2mmol)およびTHF(25mL)を入れた。反応混合物を10℃に冷却した。温度を<30℃に保ちつつ3,5−ジクロロ−4−ピリジニル・カルボニル・クロリド(7.7g、17.6mmol)をTHF溶液に加えた。該混合物を25−30℃で2時間かき混ぜた。ジクロロメタン(100mL)と水(100mL)とを加え、該層を分取した。ジクロロメタン(2x50mL)で水相を抽出した。合わせた有機層を水性0.5N−HCl(50mL)と塩水(50mL)で洗浄した。ジクロロメタンを硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下に溶媒を除去して黄褐色の固形物(7.4g、96%):mp177−180℃として生成物を得た。

2−(3,5−ジクロロ―4−ピリジニル)−4−(4−ヨードフェニル)オキサゾリン(化合物11)の調製
【0082】
【化35】

【0083】
攪拌子、熱電対、および還流濃縮装置を取り付けた50mLの丸底フラスコにN−1−(4−ヨードフェニル)−2−ヒドロキシエチル−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)カルボキサミド(1.07g、2.45mmol)とジクロロメタン(25mL)を入れた。反応混合物を−78℃に冷却した。温度を<−70℃に保ちつつ(ジエチルアミノ)三フッ化硫黄(396mg、0.325mL、2.45mmol)をジクロロメタン溶液に加えた。反応物を25℃に温めて一晩かき混ぜた。反応混合物を濃NH4OH(5mL)を含む50gの氷に注いだ。該層を分取してジクロロメタン(2x50mL)で水相を抽出した。塩水(50mL)で合わせた有機層を洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下に溶媒を除去して黄褐色の固形物として生成物を得た。クロマトグラフィーで黄褐色の固形物(740mg、72%):mp90−92℃として純粋の2−(3,5−ジクロロ―4−ピリジニル)−4−(4−ヨードフェニル)オキサゾリンを得た。

実施例3
2−(3,5−ジクロロ―4−ピリジニル)−4−(4−(4−エトキシフェニル)フェニル)オキサゾリン(化合物1,2)の調製
【0084】
【化36】

【0085】
2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(4−ヨードフェニル)オキサゾリン(0.2g、0.48mmol)、p−エトキシベンゼンボロン酸(0.095g、0.57mmol)、炭酸ナトリウム(0.076g、0.72mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.025g)およびトリ−o−トリルホスフィン(0.020g)の溶液を窒素気流中で還流して1,2時間温めた。冷却後に1N HCl(15mL)を加えてジエチルエーテルで該混合物を抽出した(3x30mL)。合わせたエーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濾過・濃縮した。クロマトグラフィー(溶出剤:エーテル/ヘキサン−1:1)で残渣を精製して灰白色固形生成物:mp121−122℃を得た。
【0086】
実施例3の方法によって下記の化合物を調製した。
化合物5
【0087】
【化37】

【0088】
白色固形物として単離された(収量62%):mp 144-146 ℃ ;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.64 (s, 2H), 7.72 (s, 4H), 7.68-7.64 (Ar-m, 2H), 7.54-7.51 (Ar-m, 2H), 5.62 (dd, 1H, J=8.6,10.2 Hz), 4.97 (dd, 1H, J=8.5,10.4 Hz), 4.43 (dd, 1H, J=8.5,8.5 Hz); EI/MS 437 m/e (M+) ; C21H13Cl2F3N2O1 としての元素分析;計算値: C, 57.69; H, 3.00; N, 6.41。実測値 : C, 57.64; H, 3.02; N, 6.33。

化合物6
【0089】
【化38】

【0090】
白色固形物として単離された(収量20%):mp 113-115 °C ;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.61-7.58 (Ar-m, 4H), 7.48 (d, 2H, J= 8.4 Hz), 7.29 (d, 2H, J=7.7 Hz), 5.58 (dd, 1H, J= 8.8,10.2 Hz), 4.94 (dd, 1H, J= 8.6,10.2 Hz), 4.41 (dd, 1H, J= 8.6,8.6 Hz); EI/MS 352 M/E (M+); C21H13C12F3N202:としての元素分析;計算値:C, 55.65; H, 2.89; N, 6.18。実測値 : C, 55.24; H, 2.82; N, 6.09。

化合物7
【0091】
【化39】

【0092】
白色固形物として単離された(収量34%):mp 145-147 ℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.61 (s, 2H), 8.39 (d, 1H, J= 2.6 Hz), 7.58-7.55 (d, 2H, J= 8.4 Hz), 7.47 (d, 2H, J= 8.4 Hz), 6.82 (d, 1H, J=8.8 Hz), 5.58 (dd, 1H, J= 8.6,10.2 Hz), 4.94 (dd, 1H, J= 8.4,10.2 Hz), 4.40 (dd, 1H, J= 8.6,8.6 Hz), 3.98 (s, 3H); EI/MS 400 M/E (M+) 。

化合物8
【0093】
【化40】

【0094】
黄褐色固形物として単離された(収量63%):mp 112-115 °C ;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.60 (s, 2H), 7.61 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.44 (d, J=8.4 Hz, 2H) 7.37-7.32 (m, 2H), 7.20 (d, J=8.1 Hz, 1H), 5.56 (dd, J=8.8, 10.2 Hz, 1H) 4.92 (dd, J=8.8, 10.4 Hz, 1H), 4.41 (dd, J= 8.8,8.8 Hz, 1H), 2.33 (s, 3H), 2.31 (s, 3H); EI/MS 397 m/e(M+) 。

化合物9
【0095】
【化41】

【0096】
黄褐色固形物として単離された(収量2%):mp 107-120 ℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.63 (d, J=2.2 Hz, 2H), 7.62-7.44 (m, 4H), 7.26 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 5.57 (dd, J=8.7, 10.2 Hz, 1H), 4.93 (dd, J= 8.4,10.2 Hz, 1H), 4.41 (dd, J= 8.7, 8.4 Hz, 1H), 2.40 (s, 3H); EI/MS 382 m/e (M+) 。

化合物10
【0097】
【化42】

【0098】
白色固形物として単離された(収量19%):mp 128-136 ℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.61 (s, 2H), 7.57 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.37 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.12 (d, J= 3.6 Hz, 1H), 6.74 (dd,. J= 1.0,3.6 Hz, 1H), 5.53 (dd, J= 8.7,10.2 Hz, 1H), 4.91 (dd, J= 8.4,10.2 Hz, 1H), 4.37 (dd, J= 8.4,8.4 Hz, 1H), 2.51 (s, 3H); EI/MS 388 m/e(M+) 。

化合物13
【0099】
【化43】

【0100】
収量33%、mp 109-110 ℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ4.33 (t, 1H, J= 2.8 Hz), 4.84 (dd, 1H, J= 2.8 Hz), 5.48 (dd, 1H, J=3.5 Hz), 5.92 (s, 2H), 6.80 (d, 2H, J= 2.2 Hz), 6.98 (d, 2H, J=2.2 Hz), 7.35 (d, 2H, J=2.2 Hz), 7.45 (d, 2H, J=2.2 Hz), 8.53 (s, 2H); MS m/e 412 (M+) 。

化合物14
【0101】
【化44】

【0102】
黄色固形物として単離された(収量53%):mp 130 ℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.55 (d, 2H) 7.48 (d, 2H), 7.42-7.17 (m, 3H), 5.58 (dd, 1H), 4.94 (dd, 1H), 4.39 (dd, 1H) ; EI/MS 404 m/e(M+) 。

化合物15
【0103】
【化45】

【0104】
透明オイルとして収量15%:1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.62 (s, 2H), 7.84-7.49 (m, 8H), 5.60 (dd, 1H), 4.95 (dd, 1H), 4.41 (dd, 1H); EI/MS 437 m/e (M)。

化合物16
【0105】
【化46】

【0106】
橙色固形物として収量20%:mp 153-157 °C ;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.60-7.39 (m, 8H), 5.58 (dd, 1H), 4.94 (dd, 1H], 4.40 (dd, 1H); EI/MS 404 m/e (M+) 。

化合物17
【0107】
【化47】

【0108】
褐色ガムとして単離された(収量74%):;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8. 62 (s, 2H), 7.75 (s, 1H), 7.57 (d, 1H), 7.49 (br, 5H), 5.60 (dd, 1H), 4.95 (dd, 1H], 4.45 (dd, 1H); EI/MS 470 m/e(M+) 。

化合物18
【0109】
【化48】

【0110】
暗琥珀色オイルとして単離された(収量20%):;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.61 (s, 2H), 7.49-7.28 (m, 8H), 5.59 (dd, 1H), 4.95 (dd, 1H], 4.45 (dd, 1H); EI/MS 404 m/e (M+) 。

化合物19
【0111】
【化49】

【0112】
橙色固形物として単離された(収量80%):mp 98-103 ℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.61 (d, J= 8.42 Hz, 2H), 7.48 (d, J= 8.06 Hz, 2H), 7.42- 7.36 (m, 2H), 7.31-7.27 (m, 1H), 7.07-7.02 (m, 1H), 5.58 (dd, J= 9.52,9.89 Hz, 1H), 4.94 (dd, J=10. 25,8.42 Hz, 1H), 4.41 (dd, J =8.42,8.42 Hz, 1H) ; EI/MS 387 m/e (M+) 。

化合物20
【0113】
【化50】

【0114】
琥珀色オイルとして単離された(収量63%):;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.62-7.33 (m, 8H], 5.58 (dd, 1H],4.94 (dd, 1H),4.40 (dd, 1H) ; EI/MS 404 m/e (M+) 。

化合物21
【0115】
【化51】

【0116】
黄褐色固形物として単離された(収量27%):mp 146-149 ℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.59-7.52 (m, 4H), 7.46 (d, J=8.42 Hz, 2H), 7.16-7.10 (m, 2H), 5.57 (dd, J = 10. 25,8.79 Hz, 1H) , 4.93 (dd, J = 10. 44,8.79 Hz, 1H) , 4.40 (dd, J=8.61,8.79 Hz, 1H) ; EI/MS 386 m/e (M+) 。

化合物22
【0117】
【化52】

【0118】
淡黄褐色固形物として単離された(収量80%):mp 97-98 ;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.61 (s, 2H), 7.75 (d, J=7.69 Hz, 1H), 7.56 (t, J=7.42 Hz, 1H), 7.49- 7.42 (m, 4H), 7.37-7.30 (m, 2H), 5.58 (dd, J= 9.61,10.16 Hz, 1H), 4.95 (dd, J=10.16,8.52 Hz, 1H), 4.45 (dd, J=8. 79,8.79 Hz, 1H), EI/MS 436 m/e (M+) 。

化合物23
【0119】
【化53】

【0120】
淡橙色固形物として単離された(収量92%)として単離された化合物23:): mp 91-93 °C;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.61-7.58 (m, 2H), 7.49-7.41 (m, 2H), 7.36-7.29 (m, 2H), 7.24-7.12 (m 2H), 5.59 (dd, J=10.25,8.79 Hz, 1H),4.94 (dd, J=10.25,8.42 Hz, 1H), 4.42 (dd, J= 8.61,8.42 Hz, 1H) ; EI/MS 386 m/e (M+) 。

化合物24
【0121】
【化54】

【0122】
橙色フォームとして単離された(収量93%):;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.62 (s, 2H), 8.02 (broad m, 4H), 7.86 (broad m, 1H), 7.68-7.64 (m, 2H), 7.56-7.53 (m, 2H], 5.62 (dd, J=10.25,8.79 Hz, 1H) ; 4.96 (dd, J= 10.44,8.79 Hz, 1H), 4.40 (dd, J=8.62,8.79 Hz, 1H) ; EI/MS 504 m/e (M+) 。

化合物25
【0123】
【化55】

【0124】
灰白色固形物として単離された(収量34%):mp 78-81℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.44 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.37 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.28-7.21 (m, 4H), 5.58 (dd, J=9.1, 10.2Hz, 1H), 4.95 (dd,J=8.6, 10.4Hz, 1H),4.45 (t, J= 8.6 Hz, 1H), 2.28 (s, 3H); EI/MS 382 m/e (M+) ; C21H16Cl2N2Oとして元素分析;計算値: C, 65.81; H, 4.21; N, 7.31。実測値: C, 65.67; H, 4.26; N, 7.36。

化合物26
【0125】
【化56】

【0126】
褐色固形物として単離された(収量30%):mp 88-91 °C ;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.59 (d, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.29-7.22 (m, 3H), 5.57 (dd, 1H), 4.93 (dd, 1H), 4.40 (dd, 1H), 2.31 (d, 3H); EI/MS 400 m/e (M+) 。

化合物27
【0127】
【化57】

【0128】
灰白色固形物として単離された(収量33%):mp 84-87 ;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.61 (s, 2H), 7.62 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.46 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 7.41- 7.31 (m, 3H), 7.17 (d, J=7.3 Hz, 1H), 5.58 (dd, J= 8.7,10.2 Hz, 1H), 4.94 (dd, J=8. 4,10. 2 Hz, 1H), 4.42 (dd, J=8.4,8. 7 Hz, 1H), 2.43 (s, 3H); EI/MS 382 m/e (M+) 。

化合物28
【0129】
【化58】

【0130】
褐色固形物として単離された(収量53%)として単離された化合物28:mp 141-143 °C;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.61 (s, 2H), 7.62 (dd, J=7.3,9.5 Hz, 4H), 7.49-7.36 (m, 5H), 5.59 (dd, J= 8.7,10.2 Hz, 1H), 4.94 (dd, J=8.4,10.2 Hz, 1H), 4.42 (dd, J=8.4, 8.7 Hz, 1H); EI/MS 368 m/e (M+) 。

化合物29
【0131】
【化59】

【0132】
黄色オイルとして単離された(収量48%):1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.63-7.49 (m, 6H), 7.32 (m, 1H), 5.60 (dd, J= 8.8,10.4 Hz, 1H), 4.95 (dd, J=8.8, 10.4 Hz, 1H), 4.42 (dd, J= 8.8,8.8 Hz, 1H); EI/MS 455 m/e (M+) 。

化合物30
【0133】
【化60】

【0134】
淡黄色固形物として単離された(収量21%):mp 123-128℃ ;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.61 (s, 2H), 7.61 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 7.53 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 7.46 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.31 (d, J=8.4 Hz, 2H), 5.57 (dd, J= 8.7,10.2 Hz, 1H), 4.93 (dd, J =8.4,10.2 Hz, 1H), 4.40 (dd, J = 8.4,8.7 Hz, 1H), 2.96 (h, J = 6.9 Hz, 1H),1.29 (d, J=6.9 Hz, 6H); EI/MS 410 m/e (M+) 。

化合物31
【0135】
【化61】

【0136】
白色固形物として単離された(収量71%):mp 98-99 ℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.66-7.57 (m, 4H ), 7.51 (d, 2H), 7.31(t, 1H ), 5.60 (dd, 1H), 4.96 (dd, 1H), 4.42 (dd, 1H); EI/MS 454 m/e (M+) 。

化合物32
【0137】
【化62】

【0138】
黄色オイルとして単離された(収量26%):;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.61-7.13 (m, 7H), 5.60 (dd, 1H), 4.96 (dd, 1H), 4.42 (dd, 1H); EI/MS 455 m/e (M+) 。

化合物33
【0139】
【化63】

【0140】
黄色オイルとしての収量67%:1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.60 (s, 2H), 7.56 (d, 2H), 7.45 (d, 2H), 7.34-6.99 (m, 3H), 5.58 (dd, 1H), 4.94 (dd, 1H), 4.41 (dd, 1H), 2.39 (s, 3H); EI/MS 400 m/e (M+) 。

化合物34
【0141】
【化64】

【0142】
黄色オイルとして単離された(収量85%):;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.58 (s, 2H), 7.68 (d, 1H), 7.55 (m, 3H), 7.48 (d, 2H), 7.22 (m, 1H), 5.55 (dd, 1H), 4.90 (dd, 1H), 4.38 (dd, 1H); EI/MS 455 m/e (M)。

化合物35
【0143】
【化65】

【0144】
黄褐色固形物として単離された(収量83%):mp 170-173 ℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.61 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.53 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.46 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.33 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 5.57 (dd, J= 8.4,10.3 Hz, 1H), 4.93 (dd, J= 8.4,10.3 Hz, 1H), 4.41 (dd, J= 8.4,8.4 Hz, 1H), 2.53 (s, 3H), ; EI/MS 415 m/e (M)。

化合物36
【0145】
【化66】

【0146】
黄色固形物として単離された(収量68%):mp 153-156 °C;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.73 (m, 4H), 7.65 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.50 (d, J= 8.4 Hz, [2H), 5.60 (dd, J= 8.8, 10.1 Hz, 1H), 4.95 (dd, J= 8.8,10.1 Hz, 1H), 4.41 (dd, J= 8.8,8.8 Hz, 1H), 2.77 (s, 3H); EI/MS 431 m/e (M+)。

化合物37
【0147】
【化67】

【0148】
黄褐色固形物(収量76%):mp 135-138 °C ;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.61 (s, 2H), 7.61 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.57 (s, 4H), 7.48 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 5.76 (d, JH-F=52.7 Hz, 2H), 5.58 (dd, J= 8.4,10.3 Hz, 1H), 4.94 (dd, J= 8.4, 10.3 Hz, 1H), 4.41 (dd, J= 8.4,8.4 Hz, 1H), ; EI/MS 433 m/e (M+)。

実施例4
2−(3,5−ジフルオロ―4−ピリジニル)−4−(4−ヨードフェニル)オキサゾリンの調製
(化合物38)
【0149】
【化68】

【0150】
3,5−ジフルオロ―4−ピリジニルカルボニルクロリドを出発化合物として用いて実施例2の方法を繰り返した。生成物は灰白色固形物として単離された(1.52 g、62%):mp 84-86 °C;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.49 (s, 2H), 7.72 (d, 2H, J= 8.4 Hz), 7.06 (d, 2H, J= 8.4 Hz), 5.45 (dd, 1H, J=10.3,8.8 Hz), 4.85 (dd, 1H, J= 10. 3, 8.4 Hz), 4.29 (dd, 1H, J= 8.8, 8.4 Hz); EI/MS 386 m/e (M+) ; C14H9F2N2Oとして元素分析;計算値: C, 43.55; H, 2.35; N, 7.25; 実測値: C, 43.46; H, 2.40; N, 7.17。

実施例5
2−(3,5−ジフルオロ―4−ピリジニル)−4−(4−(4−トリフルオロメチルフェニル)フェニル)―オキサゾリン(化合物39)の調製
【0151】
【化69】

【0152】
適当な出発化合物を用いて実施例3の方法を繰り返した。生成物は黄褐色固形物として単離された(73%):mp 136-138 °C;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.50 (s, 2H), 7.69 (s, 4H), 7.62 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.43 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 5.56 (dd, J= 8.4,10.1 Hz, 1H), 4.92 (dd, J= 8.4,10.1 Hz, 1H), 4.39 (dd, J= 8.4,8.4 Hz, 1H) ; EI/MS 404 m/e (M+)。
【0153】
同様に、実施例3の方法にしたがって下記の化合物を調製した。

化合物40
【0154】
【化70】

【0155】
橙色固形物として単離された(収量55%):mp 92-95 °C;1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.50 (s, 2H), 7.60-7.57 (m, 4H), 7.40 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.28 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 5.55 (dd, J= 8.4,10.2 Hz, 1H), 4.89 (dd, J=8.4,10.2 Hz, 1H), 4.38 (dd, J=8.4,8.4 Hz, 1H); EI/MS 420 m/e (M+)。

実施例6
4−[4−(4−ブロモ―2−メチルフェニル)−4、5−ジヒドロ―1,3−オキサゾール−2−イル]−3,5−ジクロロピリジン(化合物41)の調製

N−[1−(ブロモ―2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシエチル]−3,5−ジクロロイソニコチンアミド
【0156】
【化71】

【0157】
THF(100mL)中の1−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシエタナミニウムクロリド(3.0g、11.2mmol)の懸濁液にトリエチルアミン(2.85g、28.1mmol)を滴下した。生じた白色スラリーに3,5−ジクロロイソニコチン酸リチウム(2.34g、11.8mmol)から調製したばかりの3,5−ジクロロイソニコチノイル・クロリド溶液を滴下し、生じた黄褐色スラリーを室温まで温め、16時間かき混ぜた。反応物を水で希釈してTHFを真空中で除去した。CH2Cl2(2x100mL)で水性の残渣を抽出し、有機抽出物を合わせて2N−HClで洗浄し、塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、CH2Cl2を真空中で除いて油性の褐色固形物として粗生成物を得た。Et2Oとともに粉砕して黄褐色固形物として望ましい生成物(3.0g、67%)を得た。mp 192-194 °C ; ;1H NMR (DMSO-D6) δ2.45 (s, 3H), 3.88-3.97 (m, 2H), 5.40-5.46 (m, 1H), 6.66 (d, 1H, J= 7.0 Hz), 7.21-7.39 (m, 3H), 8.50 (s, 2H); EI/MS 404 m/e (M+)。

4−[4−(4−ブロモ―2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロ―1,3−オキサゾール−2−イル]−3,5−ジクロロピリジン(化合物41)
【0158】
【化72】

【0159】
CH2Cl2(75mL)中のN−[1−(4−ブロモ―2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシエチル]−3,5−ジクロロイソニコチンアミド(2.90g、7.2mmol)の懸濁液に(ジエチルアミノ)三フッ化硫黄(1.16g、7.2mmol)を−78℃で滴下した。冷浴を取り外して淡橙色混合物を室温で温めた。生じた淡橙色溶液を室温で16時間かき混ぜた。反応混合物をNH4OH(25mL)を含む氷100gに注いだ。該層を分取してCH2Cl2(2x50mL)で水相を抽出した。有機抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で溶媒を除去して黄褐色の固形物として粗生成物を得た。フラッシュ・クロマトグラフィー(SiO2、20%EtOAc/ヘキサン)によって白色固形物(2.25g、81%)として純粋な生成物を得た:mp 93-95 ℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.32 (s, 3H), 4.17 (dd, 1H, J=8.7, 8.7 Hz), 4.94 (dd, 1H, J= 8.4,10.4 Hz), 5.65 (dd, 1H, J=9.7j 9.7 Hz), 7.32-7.39 (m, 3H), 8.60 (s, 2H); EI/MS 386 m/e (M+); C1511BrCl22Oの元素分析の計算値:C,46.67、H,2.87、Nは7.26。実験値:C,46.85、H,2.77、N,7.19。

実施例7
2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−メチルフェニル)―オキサゾリン(化合物43)の調製
【0160】
【化73】

【0161】
EtOH(13mL)中4−[4−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾル−2−イル]−3,5−ジクロロピリジン(0.5g、1,3mmol)の溶液にK2CO3(0.27g、2.0mmol)および4−(トリフルオロメチル)ベンゼンボロン酸(0.25g、13mmol)を加えた。混合物を脱気したあとで(PPh34Pd(0)(3−10mol%)を加えてから16時間還流してかき混ぜた。追加のボロン酸を加え、混合物を還流して3時間かき混ぜた。反応物を室温まで冷却して48時間かき混ぜた。CH2Cl2(100mL)で反応物を希釈し、2N−HClで洗浄し、水溶液を追加のCH2Cl2(100mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、溶媒を真空中で除いて淡黄色の油として粗生成物を得た。フラッシュ・クロマトグラフィー(SiO2、0−20%EtO/ヘキサン類)によって無色の油を得た。該油を温ヘキサンに溶解させてから冷凍庫内で冷却した。真空濾過によって白色結晶性固形物として生成物(0.2g、34%)を得た:mp 129-131 °C;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.46 (s, 3H), 4.28 (dd, 1H, J=8.2, 9.0 Hz), 5.01 (dd, 1H, J=8.2, 10.4 Hz), 5.78 (dd, 1H, J= 9.0, 10.4 Hz), 7.45 (d, 1 H, J=1.8 Hz), 7.51 (dd, 1H, J= 1.8, 8.0 Hz), 7.59 (d, 1H, J= 8.0 Hz), 7.70 (s, 4H), 8.63 (s, 2H) ; C22H15Cl2F3N2Oとして元素分析;計算値: C, 58.55; H, 3.35; N, 6.21。実測値: C, 58.54; H, 3.35; N, 6.17。

下記の化合物を実施例7の方法と同様にして調製した。
化合物42
【0162】
【化74】

【0163】
白色固形物として単離した(収量43%):mp 127-129℃;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.45 (t, 3H, J= 7.0 Hz), 2.43 (s, 3H), 4.08 (q, 2H, J= 7.0 Hz), 4.28 (dd, IH, J= 8.6,8.6 Hz), 4.98 (dd, 1H, J=8.2, 10.4 Hz), 5.65 (dd, 1H, J= 9.2,10.2 Hz), 6.96 (d, 2H, J= 8.8 Hz), 7.40-7.47 (m, 3H), 7.51 (d, 2H, J= 8.8 Hz), 8.62 (s, 2H); EI/MS 427 m/e (M+); Anal. Calcd. for C23H20Cl2N2O: C, 64.65; H, 4.72; N, 6.65. Found: C, 64.31; H, 4.76; N, 6.49。

実施例8
2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(4−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−2−メチルフェニル)―オキサゾリン(化合物44)の調製
【0164】
【化75】

【0165】
10%H2O/CH3CN(13.2mL)中の4−[4−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−2−イル]−3,5−ジクロロピリジン(0.46g、1.mmol)と4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼンボロン酸(0.26g、12mmol)とNa2CO3(0.18g、1.7mmol)とトリ−o−トリルホスフィン(0.07g、0.2mmol)との混合物に(PPh32PdCl2(0.08g、0.1mmol)を加え、生じた琥珀色の混合物を還流させて16時間かき混ぜた。黒色混合物を室温まで冷却し、2N−HClで希釈し、アセトニトリルを真空中で除去した。CH2Cl2(2x150mL)で水性の残渣を抽出し、有機抽出物を合わせて塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、溶媒を真空中で除いて橙色の油として粗生成物を得た。フラッシュ・クロマトグラフィー(SiO2、0−30%EtO/ヘキサン)によって無色の油を得た。該油を温ヘキサンに溶解させてから冷凍庫内で冷却した。真空濾過によって白色固形物として目標生成物(0.16g、28%)を得た:mp 100-102 °C ;1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ2.44 (s, 3H), 4.27 (dd, 1H, J= 8.6, 8.6 Hz), 5.00 (dd, 1H, J= 8.2, 10.4 Hz), 5.77 (dd, 1H, J=10.2, 9.2 Hz), 7.27 (d, 2H, J=10.2 Hz), 7.40 (s, 1H), 7.45 (dd, IH, J=1.8,9.0 Hz), 7.54 (s, 1H), 7.60 (d, 2H, J=8.8 Hz), 8.62 (s, 2H); EI/MS 467 m/e (M+) ;C22H15Cl2F3N2O2 として元素分析;計算値; C, 56.55; H, 3.24; N, 6.00。実測値: C, 56.44; H, 3.37; N 5.90。

実施例9
4−[4−(4'−ヨードフェニル)−5−メチル−4、5−ジヒドロ−オキサゾル−2−イル]−3,5−ジクロロピリジン類(化合物45と46)の調製

N-[2−ヒドロキシー1−(4−ヨードフェニル)−プロピル]−25−ジクロロイソニコチンアミド
【0166】
【化76】

【0167】
3,5−ジクロロピリジン−4−カルボン酸リチウム(0.54g、2.7mmol)を1,2−ジクロロエタン(10mL)に懸濁させた。塩化チオニル(0.42mL、5.7mmol)とジメチルホルムアミド(パスツール・ピペットで3滴)とを加えた。窒素気流中で5.5時間還流後に反応混合物を室温まで冷却し、減圧下に濃縮した。残渣に1,2−ジクロロエタン(20mL)を加えて減圧下に濃縮した。乾燥したテトラヒドロフラン(2.5mL)に褐色の残渣を取り込ませ、乾燥したテトラヒドロフラン(5mL)中の1−アミノ−2−ヒドロキシ−1−(4−ヨードフェニル)−プロパン塩酸塩(0.85g、2.7mmol)の懸濁液に−5℃で加えた。反応温度を0℃に保つように添加速度を制御した。反応混合物を室温で14時間かき混ぜた。塩化メチレン(20mL)と水(20mL)とを反応混合物に加えて有機層を集めた。水層をさらなる塩化メチレン(2x10mL)で抽出した。合わせた有機層を水(50mL)および塩水(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカに吸着させ、ミシェル・ミラー・カラムにかけて2:1ヘキサン/酢酸エチルで溶離させた。主要画分を回収して減圧下に濃縮して0.94g(76%)白色固形物が残った:mp 210-213°C ; ;1H NMR (DMSO-D6) δ9.32 (dd, 1H) *, 8.68 (s, 2H), 7.68 (d, 2H), 7.19 (dd, 2H), 4.71-4.95 (m, 2H) **, 3.91 & 3.80 (m, 1H), 1.13 (m, 3H)。MI=451。IR (KBr) cm-1 3282 及び1654。

*シグナルはD2Oとともに振り混ぜることによって消失した。
**シグナルはD2O振り混ぜによって1Hに統合される二つのダブレットに分かれた。

4−[4−(4'−ヨードフェニル)−5−メチル−4、5−ジヒドロ−オキサゾル−2−イル]−3,5−ジクロロピリジン類(化合物45と46)
【0168】
【化77】

【0169】
塩化メチレン(220mL)にN-[2−ヒドロキシ−1−(4−ヨードフェニル)−プロピル]−2、5−ジクロロイソニコチンアミド(918mg、2mmol)を溶解させて−78℃に冷却した。この濁った溶液に(ジエチルアミノ)三フッ化硫黄(0.33g、2mmol)を10分間滴下した。反応混合物を一晩室温に達するようにしてアンモニア溶液(10mL)を含む砕いた氷(80g)に注いだ。有機層を集めて塩化メチレン(2x50mL)で水相を抽出した。合わせた水相を水(150mL)および塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカに吸着させ、ミシェル・ミラー・カラム(酢酸エチル/ヘキサンの勾配)にかけて溶離させた。純粋な2画分と両成分の混合物を含む1画分を回収して減圧下に濃縮した。1H NMRから、早く移動した画分がAntiジアステレオ異性体を含むことがわかった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8. 60 (s, 2H), 7.73 (d, 2H), 7.12 (d, 2H), 4.92 (d, 2H), 4.67 (p, 1H), 1.61 (d, 3H); MI = 433; mp 117-119℃。
【0170】
NMRによってこの化合物の全収量を0.11g(12%)と推定した。遅く移動した画分が1H NMRによってsynジアステレオ異性体を含むことがわかった。1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ8.60 (s, 2H), 7.71 (d, 2H), 7.12 (d, 2H), 5.56 (d, 1H), 5.19-5.30 (m, 1H), 0.99 (t, 1H), ; MI = 432; mp 99-100 ℃。
【0171】
NMRによってこの化合物の全収量を0.28g(27%)と推定した。

実施例10
4−[5−メチル−4−(4'−トリフルオロメトキシビフェニル)−4−yl)−4、5−ジヒドロ−オキサゾル−2−イル]−3,5−ジクロロピリジン類(化合物47と48)の調製
【0172】
【化78】

【0173】
4−[4−(4'−ヨードフェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾル−2−イル]−3,5−ジクロロピリジン類(50/50混合物、200mg、0.5mmol),4−(トリフルオロ三フッ化メトキシ)−ベンゼンボロン酸(95mg、0.5mmol)、炭酸ナトリウム(88mg、0.8mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(14mg、45nmol)、およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(32mg、45nmol)をアセトニトリル(5mL)中で混合した。水(0.5mL)を加え、窒素下で5時間混合物を還流させた。室温に冷却後に混合物を希塩酸(1N、12mL)に注ぎ、エーテル(3x15mL)で抽出した。合わせたエーテル抽出物を水(70mL)と塩水(70mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカに吸着させ、ミシェル・ミラー・カラムにかけて10:1ヘキサン/酢酸エチルで溶離させた。2画分を回収して減圧下に濃縮した。1H NMRから、早く移動した画分がantiジアステレオ異性体を含むことがわかった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.61 (s, 2H), 7.61 (d, 2H), 7.58 (d, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.28 (d, 2H), 5.02 (d, 2H), 4.77 (p, 1H), 1.65 (d, 3H); MI = 466; mp 132-133 ℃ ;褐色粉の収量34mg(31%)。1H NMRから、遅く移動した画分がsynジアステレオ異性体を含むことがわかった。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.61 (s, 2H), 7.61 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.42 (d, 2H), 7.28 (d, 2H), 5.66 (d, 1H), 5.29 (m, 1H), 1.05 (d, 3H); MI = 466; mp = 147-148 ℃;白色粉の収量36mg(33%)。
【0174】
式(I)の化合物の植物学的に容認できる酸付加塩もまた本発明の範囲内にある。たとえば、四フッ化ホウ素、塩化水素、臭化水素、沃化水素、硫酸水素塩、または有機酸塩を用いてもよい。
【0175】
下記の表で同定した化合物は、上述の実施例で説明した方法を用いて調製したたものであり、またタバコ芽食い虫(TBW)、サトウダイコン・ヨトウムシ(BAW)、キャベツ・シャクトリムシ(CL)、ワタ・アブラムシ(CA)、フタツボシクモダニ(SM)、サツマイモ・コナジラミ(WF)に対するこれらの化合物を後述の手順を用いて試験した。

表1
【化79】


【化80】


【化81】


【化82】


【化83】


【化84】



【0176】
表2
【化85】

【0177】
表3
【化86】

【0178】
表4
【化87】



【0179】
TBWは、タバコ芽食い虫に対して400ppmでの活性を示し、
BAWは、サトウダイコン・ヨトウムシに対して400ppmでの活性を示し、
CLは、キャベツ・シャクトリムシに対して400ppmでの活性を示し、
CAは、ワタ・アブラムシに対して50ppmでの活性を示し、
SMは、フタツボシクモダニに対して2.5ppmでの活性を示し、
WFは、サツマイモ・コナジラミに対して200ppmでの活性を示し、

各事例で、階級付けは下記に従った。
【0180】

%抑制 階級
90〜100 A
80〜89 B
70〜79 C
60〜69 D
50〜59 E
50未満 F
不活性 G

殺虫剤および殺ダニ剤としての用途
本発明の化合物は昆虫、ダニ、アブラムシの抑制に有用である。それゆえ、本発明は、式(I)の化合物の昆虫またはダニを阻止する量を昆虫またはダニの場所に適用することを含む、昆虫、ダニ、アブラムシを阻止するための方法にも関する。
【0181】
該化合物は昆虫およびダニの集団を減らすことに有用であり、また式(I)の化合物の昆虫またはダニを効果的に不活性にする量を昆虫またはダニの場所に適用することを含む、昆虫またはダニの集団を阻止する方法において有用である。昆虫またはダニの「場所(locus)」とは、昆虫またはダニが生息したり、あるいはそれらの卵が存在したりする環境を示すためにここで用いる用語であり、それらの周りの空気、それらが接触する餌料、またはそれらが接触する対象物を含んでいる。たとえば、昆虫またはダニが食う植物部分、とくに葉に活性化合物を適用することによって植物食性昆虫またはダニを抑制することができる。このような化合物に対して活性化合物を適用することによって織物、紙、貯蔵穀物、または種子を防御することに該化合物が有用であると考えられる。「昆虫またはダニを阻止すること」という用語は、生きている昆虫またはダニの数を減らすこと、または正常発生し得る昆虫またはダニの卵の数を減らすことを意味する。化合物によって減少する程度は、該化合物の適用率、用いた特定の化合物、および標的昆虫またはダニの種に当然依存する。不活性にできる量を少なくとも用いなければならぬ。「昆虫不活性化量(insect-inactivating amount)」および「ダニ不活性化量(mite-inactivating amount)」という用語は、処理した昆虫またはダニの集団で測定可能な減少量を生じるに十分な量を記述するために用いる。一般に、約1ないし約100重量ppm活性化合物の量を用いる。
【0182】
好ましい実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を昆虫、ダニ、またはアブラムシを効果的に不活性にする量を植物に適用することを含む、ダニまたはアブラムシを阻止する方法に向けられる。

タバコ芽食い虫(Heliothis virescens)、サトウダイコン・ヨトウムシ(Spodoptera exigua)、及びキャベツ・シャクトリムシ(Trichoplusia ni)に対する殺虫試験
試験液を調製するために試験化合物を7.5mLの2アセトン:1水道水中で400ppmとなるように処方した。5個の1オンス・プラスチック・カップ(1カップ=1繰り返し)のおのおのに入れた8mLの鱗翅類用餌料(Shorey変法)の表面上に250μLの試験液をピペットで注いだ。一旦溶媒を風乾してから各カップ内の処理済みの餌料上に2齢のサトウダイコン・ヨトウムシを置いた。1オンス・カップへの適用完了後に、残留している液をキャベツの葉およびワタの子葉から切り出した円形の3.5cm径葉片を浸漬する液として用いた。植物の各タイプの葉片5枚を完全に覆われるまで各割合の各化合物に浸漬した(各処理ごとに5回繰り返した)。風乾後に、処理した葉片を個別に1オンス・プラスチック・カップ中に置いた。各乾燥処理ワタ子葉片に2齢のタバコ芽食い虫の幼虫を蔓延(infested)させ、また各キャベツ葉片に2齢のキャベツ・シャクトリムシ幼虫を蔓延させた。処理化合物と幼虫とを含むカップにふたをしてから飼養室に25℃、50−55%相対湿度、および14時間明期:10時間暗期で5日間置いた。つぎに、5処理あたり、5種あたりの死亡昆虫数を決定し、その結果を表1−4に示す。

ワタ・アブラムシ(Aphis gossypii)に対する殺虫試験
噴霧液を調製するために、1mgの各試験化合物を1mLの90:10アセトン:エタノール溶媒に溶解させた。0.05%のTween20界面活性剤を含む19mLの水にこの化学液1mLを添加して50ppmの噴霧液を作った。噴霧液を適用する16−20時間前に、スクオッシュ(squash)の子葉にワタ・アブラムシ(すべての生活史段階)を蔓延させた。該溶液は、各蔓延スクオッシュの子葉の両側に弧を描く動作で表面を流れ落ちるまで噴霧した(0.5mLx各2側面)。植物を風乾し、制御室に26℃で40%相対湿度で3日間放置し、そのあと該試験結果を階級付けした。階級付けは、解剖顕微鏡を用いる実際の計数と不処理対照集団に対する試験的計数の比較とによって行なった。結果を集団減少率対不処理集団に基づいて表1ー4に百分率抑制として与える。

フタツボシクモダニ(Tetranychus urticae)に対する殺虫試験
殺卵剤法
10頭の成熟したフタツボシクモダニを8個の2.2cm径ワタ葉片上に置き、24時間に渡って産卵させてから取り除いた。手持ち噴霧器を用いて葉片に100ppm試験液を噴霧してからネガティブ・コントロールとして不処理のままとしておいた16葉片とともに乾燥させた。葉片を寒天培地の上に置いて24℃で90%相対湿度で6日間保った。処理葉片上の孵化幼虫の数と不処理葉片上の数とに基づいた百分率抑制を表1ー4に示す。

サツマイモ・コナジラミ(Bemisia tabacia) に対する殺虫試験
試験化合物を含むバイアルに4mLの90:10アセトン:エタノール混合液を加えて各試験化合物4mgを溶解させた。この溶液を0.05%のTween20界面活性剤を含む16mLの水に加えて20mLの200ppm噴霧液を調製した。
【0183】
温室で育てて5週間経過したワタ植物から、直径が5cmを超える最上部の本葉2枚を除くすべての葉を取り去った。これらの植物は、つぎに、集団の雌による産卵のためにコナジラミの実験室集団内に2週間置いた。つぎに、圧搾空気を用いてすべてのコナジラミを試験植物から取り除いた。つぎに、孔空き円錐ノズルを装着した手持ち噴霧器を使って噴霧液を試験植物にかけた。1mLの噴霧液を各葉の頂部と基部とに植物あたりの総量で4mLかけた。各試験化合物の4回繰り返し実験で合計16mLの噴霧液を使った。植物を風乾してから保持器(28℃で60%相対湿度)中に13日間置いた。照明付拡大鏡下で葉あたりの大型幼虫(3−4齢)の数を数えることによって該化合物の効能を評価した。
【0184】
溶液のみ(試験化合物を含まず)を噴霧した植物の場合との比較として大型幼虫の減少に基づく試験化合物の百分率抑制を表1ー4に与える。
【0185】
葉に適用した場合の昆虫、ダニ、およびアブラムシに対する効果があることに加えて、式(I)の化合物は、浸透活性(systemic activity)を有する。したがって、本発明の他の側面は、
効果的な量の式(I)の化合物を使って、植え付ける前に植物種子を処理すること、植物種子を植え付けるための土壌を処理すること、あるいは植え付けた後で植物の根の部分で土を処理することを含む、昆虫から植物を防御する方法である。

組成物
本発明の化合物は、発明の重要な実施形態である組成物の形で適用され、それは、本発明の化合物と植物学的に容認できる不活性担体とを含む。該組成は、水に分散させて使う濃縮調合物か、それ以上の処理無しで使う散剤または顆粒剤調合物か、のいずれかである。該組成物は、農芸化学で慣用となっている手順と組成で調製されるが、それは本発明の化合物がその中に存在するので新規で重要である。組成の方式を少々記載するが、しかし、いかなる望ましい組成物をも農芸化学者が容易に調製できることは確かである。
【0186】
最もしばしば該組成が適用される分散は、該化合物の濃縮調合物から調製した水性懸濁液または乳濁液である。このような水溶性か水に懸濁可能か乳化可能かの調合物は、通常湿潤にすることができる散剤として知られる固体か、あるいはまた乳化可能濃縮物または水性懸濁液として知られる液体のどれかである。水分散可能顆粒剤(wetable powers)を生成するためにコンパクトにしてもよい湿潤可能散剤には活性化合物、不活性担体、および界面活性剤の均質混合物が含まれる。活性化合物の濃度は、通常、約10重量%ないし約90重量%である。不活性担体は通常、アタパルジャイト粘土、モンモリロナイト粘土、珪藻土、または精製したケイ酸塩の中から選ぶ。約0.5%ないし約10%の湿潤可能散剤を含む効果的な界面活性剤は、硫酸化リグニン、濃縮ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、硫酸アルキル、およびアルキル・フェノール類のエチレン・オキシド付加物のような非イオン性界面活性剤の中から見つかる。
【0187】
該化合物の乳化可能濃縮物は、水に混和性の溶媒か水に不混和性の有機溶媒と乳化剤との混合物かのいずれかである不活性担体に溶解させた、たとえば約10%ないし約50%に等しい、液体1リットルあたり約50ないし約500グラムの化合物の簡便な濃縮物を含む。有用な溶媒にはとくにキシレンのような芳香族類およびとくにたとえば重芳香族ナフサといった石油の高沸ナフタレン性とオレフィン性の部分の石油分留物がある。ロージン誘導体、シクロヘキサンのような脂肪族ケトン類、および2−エトキシエタノールのような複合アルコール類を含むテルペン性溶媒のような他の有機溶媒も用いてよい。乳化可能濃縮物用の適当な乳化剤は、上述のもののような従来の非イオン性界面活性剤から選ぶ。
【0188】
水性懸濁液は、約5重量%ないし約50重量%の範囲の濃度で水性担体に分散した、水に不溶な本発明の化合物の懸濁液を含む。懸濁液は、該化合物を細かく擂ること、および水と上述に同じタイプのものから選んだ界面活性剤とを含む担体中で激しくかき混ぜること、によって調製する。無機の塩および合成ガムまたは天然ガムのような不活性成分をも添加して水性担体の密度と粘度とを増加させても良い。水性混合物を調製してそれをサンド・ミル、ボール・ミル、またはピストン型ホモジナイザーといった道具でホモジナイズすることによって同時に該化合物を擂って混ぜることがしばしば最も効果的である。
【0189】
該化合物は、顆粒状組成物として使用することもでき、それは土壌へ使用する場合に特に有用である。顆粒状組成物は通常、約0.5重量%ないし約10重量%の範囲で、完全にまたは大部分が粘土または類似の安価な物質から成る不活性担体中に分散させた該化合物を含む。このような組成物は通常、該組成物を適当な溶媒に溶解させ、事前に約0.5ないし3mmの範囲内の適当な粒径に形成してある顆粒状担体にそれを適用することによって調製する。このような組成物は、担体と化合物とのドウ(dough)状軟塊かペーストを作り、さらに、粉砕して乾かして望ましい粒径を得ることによって形成してもよい。
【0190】
該化合物を含む粉剤(dusts)は、カオリン粘土、擂った火山岩、その他のような適当な農業上の粉状担体と、粉状形態の該化合物を完全に混合することによって簡単に調製される。微粉には約1%ないし約10%の範囲で適切に該化合物を含ませることができる。
【0191】
どのような理由で望ましいにせよ、通常はたとえばスプレー用オイルのような、農芸化学で広く使われるブランド石油(bland petroleum oil)などの適当な有機溶媒中の溶液の形態で該化合物を使用することは等しく実用的である。
【0192】
殺虫剤および殺ダニ剤は一般に、液体担体中で活性成分が分散した形態で使用される。担体中での活性成分の濃度として適用率を示すことは従来と同じである。最も広範囲に用いられる担体は水である。
【0193】
発明の化合物は、エアゾール組成物の形態でも適用できる。このような組成物では、圧力発生噴霧体混合物である不活性担体に活性化合物を溶解または分散させる。エアゾール組成物は、該混合物が噴霧弁を介して供給される容器内に詰める。噴霧体混合物には、有機溶媒と混合させても良い低沸ハロカーボン類か不活性気体または気体状の炭化水素類で加圧される水性懸濁液かのいずれかが含まれる。
【0194】
昆虫、ダニ、およびアブラムシの場所に適用するための該化合物の実用的な量は、厳格ではなく、上述した実施例の観点で当業者が容易に決定することができる。一般には、10重量ppmないし5000重量ppmの濃度の該化合物で良好な抑制が得られると期待される。該化合物の多くでは100ないし1500ppmの濃度で満足されよう。たとえば大豆やワタといった農場の作物用には該化合物の適当な使用率は、1,200ないし3600ppmの化合物の噴霧剤として、0.5ないし1.5ポンド/エーカー、典型的な使用例では5−20ガロン/エーカーの範囲である。かんきつ類作物用の適当な使用率は、100ないし1000ppmの割合である噴霧剤として、約100ないし1500ガロン/エーカーの範囲である。
【0195】
化合物を使用する場所は、昆虫やクモ類が生息するたとえば野菜作物、果樹や堅果樹、ブドウの木、および装飾用植物といったいかなる場所でも可能である。多くのダニ種がある特定の宿主に特異的である限り、前述のダニ種の表が本発明を用い得る設定のための広範囲の模範となる。
【0196】
ダニ卵は毒性作用に耐える独特な能力を持っているので、他の既知の殺ダニ剤と同じく、新しく現れた幼虫を抑制するには繰り返し使用することが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、R1は、H、(C1―C6)アルキル、(C1―C6)ハロアルキル、(C2―C6)アルケニル、(C2―C6)アルキニル、または(C1―C6)アルコキシアルキルを表し;
2は、H、ハロゲン、(C1―C6)アルキル、(C1―C6)ハロアルキル、(C1―C6)アルコキシ、(C1―C6)ハロアルコキシを表し;
Qは、
【化2】

から選んだ基であり;
3は、H、ハロゲン、(C1―C6)アルキル、(C7―C21)直鎖アルキル、ヒドロキシ、(C1―C6)アルコキシ、(C1―C6)ハロアルキル、(C1―C6)ハロアルコキシ、(C1―C6)アルコキシアルキル、(C1―C6)アルコキシアルコキシ、(C2―C6)アルケニル、(C2―C6)ハロアルケニル、CN、NO2、CO26、CON(R62、(C3―C6)シクロアルキル、S(O)m6、SCN、ピリジル、置換ピリジル、イソオキサゾリル、置換イソオキサゾリル、チエニル、置換チエニル、チアゾリル、置換チアゾリル、フェニル、置換フェニル、―(CH2n6、-CH=CHR6、―C≡CR6、−CH2OR6、−CH2SR6、−CH2NR66、―OCH26、―SCH26、NR6CH26
【化3】

を表し;
4は、H、ハロゲン、(C1―C6)アルキル、(C1―C6)アルコキシ、(C1―C6)ハロアルキル、(C1―C6)ハロアルコキシ、CN、CO26、CON(R62、(C1―C6)S(O)mアルキル、または(C1―C6)S(O)mハロアルキルを表し;
5は、
【化4】

を表し;
6は、H、(C1―C6)アルキル、(C1―C6)ハロアルキル、(C2―C6)アルケニル、(C2―C6)アルキニル、フェニル、または置換フェニルであり;
7とR8は、独立にCl、F、メチル、ハロメチル、メトキシ、またはハロメトキシであり;
mは、0、1、または2であり;そして
nは、1または2である]
で表される化合物またはその植物学的に容認できる酸付加塩もしくはそのN-オキシド。
【請求項2】
7とR8が独立にFまたはClを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2がHである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R3とR4が独立にH、ハロゲン、(C1―C6)アルキル、(C1―C6)アルコキシ、(C1―C6)ハロアルキル、または(C1―C6)ハロアルコキシを表す、前記請求項1〜4のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項5】
Qが
【化5】

を表す、前記請求項1〜5のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項6】
Qが
【化6】

を表す、前記請求項1〜5のいずれかひとつに記載の化合物。
【請求項7】
1がHまたはメチル基を表す、前項のいずれかひとつの化合物。
【請求項8】
1がメチル基であり、この化合物が個々の立体異性体またはそれらの混合物を含むものである、前記請求項1〜7のいずれかひとつのに記載の化合物。
【請求項9】
植物学的に容認できる担体との組み合わせで前記請求項1〜8のいずれかひとつに記載の化合物を含む、昆虫またはダニを抑制するための組成物。
【請求項10】
抑制が望まれる場所に前記請求項1〜8のいずれかひとつに記載の化合物の昆虫またはダニ不活性化量を適用することを含む、昆虫またはダニを抑制する方法。
【請求項11】
抑制が望まれる場所に前記請求項1〜8のいずれかひとつに記載の化合物のコナジラミ不活性化量を適用することを含む、コナジラミを抑制する方法。
【請求項12】
抑制が望まれる場所に前記請求項1〜8のいずれかひとつに記載の化合物のダニ不活性化量を適用することを含む、ダニを抑制する方法。
【請求項13】
抑制が望まれる場所に前記請求項1〜8のいずれかひとつに記載の化合物のアブラムシ不活性化量を適用することを含む、アブラムシを抑制する方法。
【請求項14】
前記請求項1〜8のいずれかひとつに記載の化合物の効果的な量を用いて、植え付け前の植物種子を処理すること、植物種子を植え付けるための土壌を処理すること、あるいは植え付けた後で植物の根の部分で土を処理することを含む、アブラムシ、ダニ、または昆虫から植物を保護する方法。

【公開番号】特開2012−136524(P2012−136524A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−24831(P2012−24831)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【分割の表示】特願2002−504252(P2002−504252)の分割
【原出願日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】