説明

3点履物

足の指が跨ぎ係合し得るポストと一体的に成型されたトープロテクタをもつソールとを有し、トープロテクタにポストが添付されている3点式履物が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物、特に、着用者の足指間に納まるポストを有する履物の改良に関する。このような履物は、しばしば“3点”サンダル、“ひも(thong)”サンダル、あるいは、フリップフロップ(flip frop)と呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
着用者の足指間に納まって装着者の足と履物品との間の係合に貢献するポスト(post)あるいはストラップ(strap)を有する履物は、文字通り長年の間知られている。特に一般的な実施形態は、ポストに留められ、着用者の足の甲をアーチ状に跨いで履物品のソールの足の母指球と踵の間の途中で終端している一対のストラップを含んでいる。3点の取り付け部−ポストおよび2つのストラップ−は、“3点”という名前を生じさせている。多様なレベルにおける現在の文化は、このデザインをシンプルで、実用的で、ファッショナブルなものとして価値を与えている。この50年ほどの間、数十億とまではいかなくても数百万の簡素なビーチウエアである“フリップフロップ”の組や、他のカジュアルな靴やサンダルが販売されてきた。これらの履物の品目の技術は、安価で、大衆的で、スタイリッシュである一方で、それらは使い捨てであり、最低限の構造と、着用者のソールよりもむしろ足の表面の保護を提供するという基本的な認識と共に頻繁に販売され購入されている。本発明では、より構造的で着用者の足を保護する三点式の履物品を提供する。
【0003】
【特許文献1】米国特許第2,928,191号明細書
【特許文献2】米国特許第1,386,684号明細書
【特許文献3】米国特許第2,193,943号明細書
【特許文献4】米国特許第4,535,554号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の米国特許は、この一般分類の履物に関連する。:D278,946、D453,611、D486,297
【0005】
3点式履物は、一体的に成型されたトーキャップをソールに付加し、このトーキャップを第4の取り付けポイントでポストに連結することにより、改良されることが判明した。
【0006】
したがって、本発明は一実施形態において着用者用の履物品を提供する。この履物品は、一体的に成型されたトーピースを含むソールを有する。このトーピースは、ソールの前端から上向きに延在すると共に着用者の足の指の少なくとも2本の少なくとも一部分を覆って後方に延在している。この履物品は、加えて、着用者の隣接する足の指に納まるように、ソールの所定位置から上向きに延在するポストを有する。第1のストラップは、ソールにおける着用者の長手方向の土踏まずの内側の位置、すなわち、着用者の足裏の下から延在している。このストラップは、着用者の足の指に向かって前方に延在しており、着用者の足の指の上方のポイントでポストに接続されている。第2のストラップもまた、ソールにおける着用者の長手方向の土踏まずに近接する位置、すなわち、着用者の足裏の下から延在している。この第2のストラップは、前方に延在し、着用者の足の指の上方のポイントでポストに接続されている。ポストを一体的に成型されたトーピースに連結するコネクターが存在する。
【0007】
多くの場合、この履物品は、サンダルである。
【0008】
付加的な実施形態においては、履物品のソールは、それ自体が複数ピースの成型されたソールであり、典型的には、インソール、ミッドソールおよびアウトソールからなる。このソールは“フリップ フロップ”等に比べていくぶんより複雑であるが、この複数ピースの成型されたソールはかなりの量の付加的な構造を履物品へ付加し、かなり安定的で高級な製品を提供する。この実施形態では、着用者のための履物品が提供される。この履物品は、それ自体が、地面に接触する成型されたアウトソール層と、成型されたミッドソール層と、着用者の足をサポートする成型されたインソール層とから構成される。ソールは、着用者の足の指の先端に隣接する前端から着用者の土踏まずの下で着用者の踵で終端する後端まで延在している。ミッドソール層は、アウトソール層とインソール層との間に介在して配置され、これらの層の一方又は双方に接着されている。ソールの3つの層のひとつ(一般的にはミッドソール又はアウトソールのいずれか)は、前端から延在し着用者の指の少なくとも2本の少なくとも一部を越えて後方に延在する一体的に成型されたトーピースを含んでいる。履物品は、インソールから上向きに延在するポストをも含んでいる。このポストは、着用者の隣接する足の指の間に納まるように位置づけられている。第1のストラップは、隣接するソール層間の着用者の土踏まずの内側の位置から延在し、前方に延在し、着用者の足の指の上方の位置でポストに接続されている。第2のストラップもまた、ソールの着用者の土踏まずに近接した位置から延在し、前方に延在し、着用者の足の指の上方の位置でポストに接続されている。一体的に成型されたトーピースにポストを連結するコネクタ(2つのストラップの一方の延長部)が存在する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
全7図は、本発明の単一の実施形態であるサンダル10に係る。これは、単に代表的な実施形態であり、本発明の境界および範囲を画定するものとして解釈されるべきでないことは明らかである。本発明の境界および範囲は、添付された特許請求の範囲により規定される。
【0010】
サンダル10は、図1、図2および図3に図解されているように、ソールユニット12を含み、このソールユニット12は、アウトソール14から構成され、このアウトソール14はその輪郭をミッドソール16およびインソール18と区別可能にして対比するために点描されている。ソール12は、ヒールセクション20の後部から前部トーセクション22まで伸びている。このトーセクションは、上向きに延在するとともに、自体の背後に湾曲してつま先保護領域24を形成している。領域24(ここではトープロテクターとしても称される)は、着用者の足指の2本以上、好適には3本以上、さらに好適には4本以上を被覆し、前部プロテクションを与える。領域24は、ソール12内へ一体的に成型される。図示された本実施形態では、このアーチ状のセクションは、少なくとも一部分において、アウトソール14の一部である。領域24はミッドソールあるいはこれらのソールセグメントの組み合わせの一部であってもよい。“一体的に成型された”という用語は、領域24が各ソールセグメントをもつユニットとして成型され、別個の部分品を付け足したものではないということを意味している。必要に応じて、インソール18は爪先隆起35と共に造形されていてもよく、この爪先隆起35は着用者の足指の下を横断方向に延在して着用者の足に対するサンダルの保持力を助ける。
【0011】
サンダル10は、ポスト26を含む。ポスト26はソール12から上向きに延在しており、前端部22の近くのサンダルの前足領域に位置づけられている。さらに、ポスト26は、サンダル10の着用者の隣接する一組の足指の間に納まってそれらを係合するように位置づけられている。ほとんどの場合、ポストは、着用者の母趾とこれに隣接する第一趾の間に納まるように位置づけられている。着用者の足が係合すると、足の指の先端が爪先保護領域24の背後で快適にフィットし、少なくとも2,3又は4本の足の指が上述したように保護される。
【0012】
サンダル10は、一対のストラップ30,32を含む。これらのストラップは、ソール12の中間領域の一端において、側部すなわち“外側”(ストラップ32)と内側あるいは“アーチの下の内側”(ストラップ30)との両側から延在しており、ポスト26の頂上で交わり、ファスナー28により適切に保持されている。2つのストラップは、挿入された着用者の足の指がポスト26を跨いだ際に着用者の足に係合する大きさとなっている。
【0013】
サンダル10は、加えてコネクタ34を含み、このコネクタ34はポスト26を爪先保護領域に接続する。このコネクタ34は別個の部品であってもよいが、図解したようにかつ好適には、2つのストラップ30,32の一方の延長部とすることができる。図1、図2および図3に示した実施形態では、側部のストラップ32は、ポスト26を通過して延在してトープロテクター24の中間領域に連結するコネクタ34としても作用するように示され、これは単一のスムーズな孤で着用者の母趾を覆うトープロテクターの領域である。以下において詳述するように、一体成型されたトープロテクター24は、ゴムまたは樹脂からなる。快適性のために、トープロテクター24は一般的には織物で裏打ちされている。この織物の裏打は、必要に応じて、コネクタ34およびストラップ30,32の裏打ちの延長部であってもよい。この裏打の外縁36は、プロテクタ24のエッジと一致していてもよく、あるいは、図1および図2に示すように、若干の快適性のためにプロテクタのエッジを越えて延在していてもよい。
【0014】
図4ないし図7は、本発明の実施形態10の構造の詳細を示している。図4は、ソール12がアウトソール14、ミッドソール16およびインソール18で構成されていることを示している。こららの部材の全ては成型されており、互いに結合している。当然のことながら、同様のトープロテクションの利点をより簡単な構造で達成することも可能である。例えば、ミッドソールとアウトソールが一体化されて単一のユニットとなったもの、あるいは、インソールとミッドソールが一体化されたものである。図4に示したより複雑な構造は、より構造化され、より支持的な履物品が構成されるのを許容するという利点を有する。
【0015】
ポスト26は、インソール18の表面から上向きに延在している。図5および図7に示されかつ強調されているように、ポスト26は張り出し部あるいは“羽根”38をコネクタ28から離れた自体の端部にもつこともできる。製造中は、ポスト26はインソールの穴に通されて羽根はインソール18とミッドソール16の間に把持される。ポストは、必要に応じて、所定位置に融着または接着剤で固定してもよい。
【0016】
図4および図6は、トープロテクタ24に対するコネクタ34の関係の詳細を与えている。これらの図は、トープロテクタ24が成型されたアウトソール14の一体部品である実施形態を示している。コネクタ34は、ポスト26からプロテクタ24へ達しており、図4に示すように、裏打36としてインソール18まで伸ばすことができる。好適には、図6に示すように、コネクタ34は、裏打36としてインソール18の下まで伸びており、裏打36の端部40はインソール18の先端42の下に納まっており、ミッドソール16とインソール18の間の所定位置にラミネートされている。このことは、着用者の足の指に対して快適な環境を提供し、トープロテクター24に強度と耐久性をも付与する。
【0017】
これらの履物品のソールは、通常は樹脂又は合成物質および天然物の双方のゴムから成型される。ストラップは、成型樹脂、皮革、あるいはゴム、又、好適には、織物あるいは少なくとも織物で裏打ちされている。
【0018】
本実施形態の履物に用いられる材料は、すべて比較的慣用的なものである。ミッドソールおよびインソールは、ゴムあるいは樹脂材料からなり、一般的には軽量化のために発泡化されている。多くの場合、これら2つのソールセクションは、同じ発泡化したゴムまたは樹脂から形成されるが、それぞれ異なる材料を用いてその性質を変化させてより良い安定性、より良いクッション性等を達成することも可能である。代表的なミッドソールおよびインソールの材料は、ファイロン(phylon)等の発泡ウレタンまたは発泡ポリエチレンビニルアセテート(EVAs)である。インソールおよびミッドソールの成型ピースは、シアノアクリレート接着剤、ウレタン接着剤あるいは結合溶剤等のような接着剤を用いて結合してもよい。熱と圧力は、接着および結合プロセスにおいて支援のために適用され得る。
【0019】
アウトソールは、ゴムまたは樹脂材料から形成され、柔軟性と耐久性を併せもつものが一般的に選択される。ゴムは、天然ゴム及び合成ゴムの双方が含まれ、ウレタンや高密度EVA材料のような樹脂を用いることもできる。
【0020】
一体成型のトープロテクション領域は、一体的に成型されるソールセクションと同様の材料から形成される。
【0021】
ポストは、一般的には柔軟な構造樹脂から形成される。
【0022】
ストラップは、一般的には、耐久性のある天然もしくは合成織物もしくは皮革、または樹脂もしくはゴムから必要に応じて形成される。
【0023】
本発明は、好適な実施形態10に関して記述されたが、本発明が“3点”または“ひも(thong)”履物のあらゆる形態に適用可能であることは当業者により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は履物(例えば、サンダル)の斜視図である。
【図2】図2は図1に示すサンダルの平面図である。
【図3】図3は図1に示すサンダルの側面図である。
【図4】図4はヒールから爪先に向かうサンダルの軸線である4−4‘線に沿った図1に示すサンダルの断面図である。
【図5】図5は5−5‘線に沿った図1に示すサンダルの断面図である。
【図6】図6は好適な構造を描いた図1に示すサンダルのつま先領域の拡大断面図である。
【図7】図7は本発明の履物に用いられるポストの側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の足の土踏まずの下で、着用者の足の指の先端に隣接する前端から延在し、着用者のヒールに隣接する後端まで延在し、前記前端から上向きに延在すると共に着用者の足の指の少なくとも2本の少なくとも一部分を覆って後方に延在する一体成型されたトーピースを含むソールと、
前記ソールから上向きに延在し、着用者の足の隣接する指の間に納まるポストと、
前記ソールの着用者の土踏まずの内側から延在し、そして、前方に延在し、着用者の足の指の上方の点で前記ポストに接続されている第1のストラップと、
前記ソールの着用者の土踏まずに近接した位置から延在し、そして、前方に延在して、着用者の足の指の上方の点で前記ポストに接続されている第2のストラップと、
前記ポストを前記一体的に成型されたトーピースに連結するコネクタと、
を備える着用者用の履物品。
【請求項2】
前記コネクタは、前記第1のストラップの延長部である、請求項1に記載の履物品。
【請求項3】
前記コネクタは、前記第2のストラップの延長部であり、着用者の母趾の上方で前記一体的成型トーピースに連結する、請求項1に記載の履物品。
【請求項4】
前記第1および第2のストラップは、ミッドソールとインソールの間から延在している、請求項1に記載の履物品。
【請求項5】
前記履物品はサンダルである、請求項1に記載の履物品。
【請求項6】
前記ソールは、履物品の形状を画定している、請求項1に記載の履物品。
【請求項7】
地面に接触する成型されたアウトソール層と、成型されたミッドソール層と、着用者の足をサポートする成型されたインソール層とを含むソールと、
前記ソールから上向きに延在し、着用者の隣接する足の指の間に納まるポストと、
隣接するソール層間の着用者の土踏まずの内側から延在し、前記ポストに着用者の足の指の上方で連結される第1のストラップと、
前記ソールの着用者の土踏まずに近接した位置から延在し、そして、前方に延在し、前記ポストに着用者の足の指の上方の位置で連結されている第2のストラップと、
前記ポストを前記一体的に成型されたトーピースに連結するコネクタと、を備え、
前記ソールは着用者の足の指の先端の下の前端から延在し、着用者の足の土踏まずの下で着用者の踵の下の後端まで延在しており、
前記ミッドソール層は、前記アウトソール層と前記インソール層との間に介在してこれらに接着され、
前記ソール層は、前端から上向きに延在すると共に着用者の少なくとも2本の足の指の少なくとも一部を覆って後方に延在する一体的に成型されたトーピースを含んでいる、
着用者用の履物品。
【請求項8】
前記一体的成型トーピースはアウトソール層に一体的に成型されている、請求項7に記載の履物品。
【請求項9】
前記一体的成型トーピースはミッドソール層に一体的に成型されている、請求項7に記載の履物品。
【請求項10】
前記コネクタは前記第1のストラップの延長部である、請求項7に記載の履物品。
【請求項11】
前記コネクタは第2のストラップの延長部であり、着用者の母趾の上方で前記一体的成型トーピースを連結する、請求項7に記載の履物品。
【請求項12】
前記第1および第2のストラップはミッドソールとインソールの間から延在している、請求項7に記載の履物品。
【請求項13】
前記成型されたインソールおよび成型されたミッドソールはそれぞれ成型されたポリエチレン−ビニルアセテートを有する、請求項7に記載の履物品。
【請求項14】
前記アウトソールは、ブローンラバーを有する、請求項7に記載の履物品。
【請求項15】
前記履物品は、サンダルである、請求項7に記載の履物品。
【請求項16】
前記ミッドソールは、履物品の形状を画定している、請求項7に記載の履物品。
【請求項17】
前記ミッドソールおよびインソールは共に履物品の形状を画定している、請求項7に記載の履物品。
【請求項18】
前記ポストはインソール層を通じて上向きに延在している、請求項7に記載の履物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−502434(P2008−502434A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516740(P2007−516740)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/021305
【国際公開番号】WO2005/122812
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506408715)キーン リミテッド ライアビリティ カンパニー (3)
【Fターム(参考)】