説明

4サイクルエンジン

【課題】バルブ駆動機構を簡素化してエンジンを軽量化するとともに製造性を向上させた4サイクルエンジンを提供する。
【解決手段】吸気バルブ11と、吸気バルブ11を開弁させる出力側ピストン18と、クランク軸7に同軸に設けた吸気用駆動カム19と、吸気用駆動カムの1回転で1往復運動を行う入力側ピストン22と、油圧制御弁20と、出力側ピストンと油圧制御弁30とを連絡する出力側油路25A,25Bと、入力側油圧室21と油圧制御弁とを接続する入力側油路24と、を備え、吸気用駆動カムの1回転により、入力側ピストンが入力側油圧室を押圧し始めてから元の位置に復帰するまでの1往復の期間は、入力側油路と出力側油路25Aとを圧力伝達可能に連通させる動作状態と、入力側ピストンの1往復の期間は、入力側油路と出力側油路25Aとを圧力伝達不能にする動作状態と、を吸気用駆動カムの1回転毎に交互に行わせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は4サイクルエンジンに関し、さらに詳しくは、油圧により吸排気バルブを駆動する4サイクルエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、4サイクルエンジンとしては、シリンダヘッドに設けられたカム軸と、このカム軸に設けられたカムで駆動されるポンピングピストンと、ポンピングピストンで加圧されたオイルが供給されるバルブ駆動ピストンとを備え、このバルブ駆動ピストンによってバルブを開閉動作させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−201259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記4サイクルエンジンの構造では、クランク軸に対して回転数が1/2に減速してカム軸に伝達するチェーンやベルト等が必要であり、エンジンの構造が複雑になって重量の増加を招くとともに製造工程数が増加するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、4サイクルエンジンのバルブ駆動機構を簡素化して4エンジンを軽量化するとともに製造性を向上させることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、バルブスプリングによって閉弁方向に付勢されているバルブと、シリンダヘッドに設けられた出力側油圧室と、出力側油圧室内に往復運動自在に設けられ、バルブスプリングの付勢力に抗してバルブを開弁させる出力側ピストンと、クランク軸の近傍に設けられた入力側油圧室と、入力側油圧室内に往復運動自在に設けられ作動油を介して出力側ピストンを駆動可能な入力側ピストンと、クランク軸に同軸に設けられ、1回転につき前記入力側ピストンを1往復させる駆動カムと、油圧制御弁と、出力側油圧室と油圧制御弁とを接続する出力側油路と、入力側油圧室と油圧制御弁とを接続する入力側油路と、を備える油圧駆動系が設けられ、油圧制御弁は、駆動カムの1回転により、少なくとも、入力側ピストンが入力側油圧室の容積を減少させる方向に押圧し始めてからこの入力側ピストンが元の位置に復帰するまでの1往復の期間は、入力側油路と出力側油路とを圧力伝達可能に連通させる出力可能状態と、少なくとも、入力側ピストンの1往復の期間は、入力側油路と出力側油路とを圧力伝達不能にさせる出力不能状態と、に駆動カムの1回転毎に交互に切り替えることを特徴とする。
【0007】
上記態様においては、1つの入力側油路に対して、1つバルブに対応する1つの出力側油路を圧力伝達可能に連通させる状態と、圧力伝達不能にさせる状態と、を交互に切り替えることができる。加えて、上記態様においては、1つの入力側油路に対して、2つの出力側油路を択一的に切り替える場合も含んでいる。すなわち、上記態様では、1つの入力側油路に対して、2つの出力側油路の一方を圧力伝達可能に連通させたときは他方の出力側油路は入力側油路に対して圧力伝達不能となり、1つの入力側油路に対して、2つの出力側油路のうちの他方を圧力伝達可能に連通させたときは一方の出力側油路は入力側油路に対して圧力伝達不能となるような切り替えも可能である。
【0008】
上記態様としては、出力側油圧室および出力側ピストンは、一対の気筒における入口部または出口部の一方に配置される前記バルブのそれぞれに対応して設けられ、油圧制御弁は、一対の気筒における、一対の出力側油圧室にそれぞれ連通する互いに異なる出力側油路が接続され、駆動カムの1回転分異なるタイミングで、それぞれの出力側油路を入力側油路に対して交互に圧力伝達可能に連通するように切り替えることを特徴とする。
【0009】
上記態様としては、バルブは、吸気バルブと排気バルブであり、吸気バルブと排気バルブは、互いに異なる油圧駆動系で制御されることを特徴とする
【0010】
上記態様としては、駆動カムは、吸気バルブを制御する油圧駆動系への入力を行う吸気用駆動カムと、排気バルブを制御する油圧駆動系への入力を行う排気用駆動カムと、でなり、吸気用駆動カムと排気用駆動カムは、クランク軸に同軸に設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記態様としては、出力側油路は、入力側油路と圧力伝達不能に切り替えられた状態でオイルポンプに連通されることを特徴とする。
【0012】
上記態様としては、油圧制御弁は、ソレノイドと、シリンダ部と、シリンダ部に往復運動可能に収納されソレノイドで進退動作されるスプールと、を備え、スプールは、駆動カムの1回転により、少なくとも、入力側ピストンが入力側油圧室の容積を減少させる方向に押圧し始めてから入力側ピストンが元の位置に復帰するまでの1往復の期間は、入力側油路と出力側油路とを圧力伝達可能に連通させる位置に配置される状態と、少なくとも、入力側ピストンの1往復の期間は、入力側油路と出力側油路とを圧力伝達不能させる位置に配置される状態と、に駆動カムの1回転毎に交互に切り替えられることを特徴とする。
【0013】
上記態様としては、油圧制御弁は、ソレノイドと、シリンダ部と、シリンダ部に往復運動可能に収納されソレノイドで進退動作されるスプールと、を備え、スプールは、駆動カムの1回転により、少なくとも、入力側ピストンが入力側油圧室の容積を減少させる方向に押圧し始めてからこの入力側ピストンが元の位置に復帰するまでの1往復の期間は、入力側油路と一方の出力側油路とを連通させる位置に配置される状態と、入力側油路と他方の前記出力側油路とを連通させる位置に配置される状態と、に駆動カムの1回転毎に交互に切り替えられることを特徴とする。
【0014】
上記態様としては、バルブは、その軸線がシリンダボアの中心線とクランク軸の中心線とを含む第1平面に対して傾斜するとともにシリンダボアの中心線と第1平面を含み直交する第2平面に対しても傾斜することを特徴とする。
【0015】
上記態様としては、油圧駆動系は、シリンダヘッドとシリンダブロックとが一体に設けられたモノブロックの壁内部に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バルブ駆動機構を簡素化して、4サイクルエンジンを軽量化するとともに製造性を向上させことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る4サイクルエンジンのヘッドカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る4サイクルエンジンの油圧駆動系、吸排気バルブ、クランク軸、ピストンの関係を示す要部斜視図である。
【図3】図3は、図1の平面Aで切断した状態を示す4サイクルエンジンの断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係る4サイクルエンジンの油圧駆動系の動作(第1気筒選択動作)を示す断面説明図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態に係る4サイクルエンジンの油圧駆動系の動作(第2気筒選択動作)を示す断面説明図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態に係る4サイクルエンジンの第1気筒および第2気筒におけるクランク角とバルブリフトとの関係を示す説明図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態に係る4サイクルエンジンの油圧駆動系の動作(開弁動作)を示す断面説明図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態に係る4サイクルエンジンの油圧駆動系の動作(閉弁動作)を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の各実施の形態に係る4サイクルエンジンの詳細を図面に基づいて説明する。但し、図面は模式的なものも含んでおり、各部材の寸法や寸法の比率などは現実のものと異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1〜5は、本発明の第1の実施の形態に係る4サイクルエンジン(以下、エンジンと云う)1について示している。
【0020】
(エンジンの概略構成)
図1に示すように、本実施の形態のエンジン1は、シリンダヘッド部2とシリンダブロック部3とが一体に形成されたモノブロック4を備えている。モノブロック4には、気筒(図1は気筒の外側を示す)8A,8Bが一対直列に設けられている。モノブロック4の下には、ロアクランクケース5が設けられている。モノブロック4のシリンダヘッド部2の上には、ヘッドカバー6が取り付けられている。ロアクランクケース5およびモノブロック4の下部には、クランク軸7が軸支され、ロアクランクケース5およびモノブロック4の下部の左右方向(図中に矢印で示す)の端面からは、クランク軸7が突出している。
【0021】
図2に示すように、エンジン1は、気筒8A,8B(図1および図3参照)内を上下動するピストン9をクランク軸7にコネクティングロッド10を介して連結することにより、ピストン9の往復運動を回転運動に変換して伝達するようになっている。
【0022】
モノブロック4のシリンダヘッド部2における一対の第1気筒8A,第2気筒8Bのそれぞれに対応する位置には、図示しない吸気ポートおよび排気ポートへ連通する開口部を開閉する吸気バルブ11と排気バルブ12が設けられている。一対の吸気バルブ11は、バルブスプリング13によって閉弁方向に付勢されている。また、一対の排気バルブ12は、バルブスプリング14によって閉弁方向に付勢されている。
【0023】
図2、図4および図5に示すように、本実施の形態のエンジン1は、吸気バルブ11および排気バルブ12と、油圧により吸気バルブ11の開閉を行う出力側ピストン18と、油圧の入力を行う入力側ピストン22と、入力側ピストン22への油圧の入力を行う、クランク軸7に同軸に設けられた吸気用駆動カム19と、油圧制御弁30と、を備える油圧駆動系が設けられている。
【0024】
なお、本実施の形態では、排気バルブ12側の油圧駆動系は吸気バルブ11側の油圧駆動系と同様であるため、主に吸気バルブ11側の油圧駆動系について説明する。なお、排気バルブ12側の油圧駆動系の各部材には、吸気バルブ11側の油圧駆動系の同一部材と同一の符合または類似の符合を付し、排気バルブ12側の油圧駆動系の説明は省略する。
【0025】
油圧制御弁30は、吸気用駆動カム19の1回転により、入力側ピストン22が1往復する間に、出力側ピストン18で吸気バルブ11を開いて閉じさせる動作と、入力側ピストン22の1往復の間に、入力側ピストン22からの駆動力が出力側ピストン18へ伝わらないように油路を遮断させる動作と、を吸気用駆動カム19の1回転毎に交互に切り替える制御を行う方向切替弁である。
【0026】
本実施の形態に係るエンジン1では、気筒8A,8Bにおけるバルブ面積の増大、吸排気機能の効率性や筒内混合気の流れの適正化を図って燃焼にとって理想的な半球形状燃焼室とするため、吸気バルブ11および排気バルブ12を以下のような配置に設定している。すなわち、図2および図3に示すように、吸気バルブ11は、その軸線D(図3参照)がシリンダボアの中心線B1とクランク軸7の中心線C1とを含む第1平面P1に対して傾斜するように設定されている。また、吸気バルブ11の軸線Dは、シリンダボアの中心線B1を含み第1平面P1と直交する第2平面P2に対しても角度θ(図3参照)傾斜するように設定されている。なお、上記配置設計は、排気バルブ12の配置においても同様である。
【0027】
(油圧駆動系の構成)
図1に示すように、シリンダヘッド部2の上には、油圧駆動系の一部が設けられる油圧駆動ユニット15がボルト16で固定されている。なお、この油圧駆動ユニット15はシリンダヘッド部2の一部を構成する。図3に示すように、油圧駆動ユニット15には、出力側油圧室17が形成されている。なお、説明の便宜から図2〜5において出力側油圧室17を筒体状に表示しているが、出力側油圧室17は、油圧駆動ユニット15のブロック内に形成された中空な部分であり、作動油としてのエンジンオイルが充填されている。
【0028】
図4および図5に示すように、出力側油圧室17内には、軸方向に沿って往復運動自在に出力側ピストン18が設けられている。なお、この出力側ピストン18の中心軸は、吸気バルブ11の中心軸と一致するように設定されている。この出力側ピストン18は、バルブスプリング13の付勢力に抗して吸気バルブ11を開弁させるようになっている。なお、本実施の形態においては、吸気バルブ11の上端部は、出力側ピストン18側に当接した状態に設定されている。
【0029】
図2および図3に示すように、クランク軸7の端部に近い部分には、吸気バルブ11を制御する油圧駆動系への入力を行う吸気用駆動カム19と、排気バルブ12を制御する油圧駆動系への入力を行う排気用駆動カム20とが、クランク軸7に同軸に設けられている。
【0030】
図4および図5に示すように、吸気用駆動カム19に対向する位置に、入力側油圧室21が設けられている。なお、図4および図5では、説明の便宜から入力側油圧室21を筒体の内部空間として示すが、実際はモノブロック4内に形成した中空空間である。
【0031】
この入力側油圧室21には、入力側ピストン22が往復運動自在に収納されている。この入力側ピストン22は、吸気用駆動カム19のカム面(周面)に当接している。この入力側ピストン22は、上記した吸気用駆動カム19の1回転につき1往復するようになっている。すなわち、吸気用駆動カム19は、図4および図5に示すように、その周面の回転軸からの距離が短くて同一の距離に設定されたベース円部19Aと、回転軸から周面までの距離が長く設定されて突出する形状のノーズ部19Bと、を有する。なお、図2、図4および図5に示すように、入力側ピストン22は、吸気用駆動カム19のカム面に常時当接するようにスプリング23で付勢されている。
【0032】
次に、油圧制御弁30について説明する。この油圧制御弁30は、油圧駆動ユニット15に内蔵されている。図4および図5に示すように、油圧制御弁30は、ソレノイド31と、エンジンオイルが充填されたシリンダ部32と、シリンダ部32に収納されソレノイド31で往復駆動されるスプール33と、を備える。なお、シリンダ部32は、油圧駆動ユニット15を構成するブロック体の内部に形成された中空な空間領域である。
【0033】
図4および図5に示すように、この油圧制御弁30は、シリンダ部32の軸方向の略中央に位置するポート32Aで入力側油路24を介して入力側油圧室21に連通するように接続されている。また、シリンダ部32には、第1気筒8Aと第2気筒8B(図1および図3参照)に対応するそれぞれの出力側油圧室17が出力側油路25A,25Bを介してポート32B,32Cで連通するように接続されている。なお、ポート32B,32Cは、シリンダ部32の軸方向において、上記ポート32Aを挟む位置に形成されている。また、これらポート32B,32Cの両側方、すなわち、軸方向においてポート32Aと反対側の近傍位置には、ポート32D,32Eが形成されている。これらポート32D,32Eには、それぞれ油路39A,39Bが接続されている。
【0034】
図4および図5に示すように、スプール33は、ロッド状であり、ソレノイド31側より大径部34,35,36,37が所定間隔で形成されている。なお、大径部37は、スプール33の先端に設けられている。図4に示すように、ソレノイド31によりスプール33が引き戻された状態(図中左にスプール33が移動した状態)では、大径部34と大径部35との間の空間で油路39Aが接続されたポート32Dに連通し、大径部35と大径部36との間の空間で入力側油路24が接続されたポート32Aと第1気筒8A側の出力側油路25Aが接続されたポート32Bと連通し、大径部36と大径部37との間の空間で出力側油路25Bが接続されたポート32Cと油路39Bが接続されたポート32Eが連通するように設定されている。また、この状態で大径部37とシリンダ部32の端面32Fの間の距離Lがスプール33のストローク長さとなる。
【0035】
図5に示すように、ソレノイド31によりスプール33が突出した状態(図中右側にスプール33が移動した状態)では、大径部34と大径部35との間の空間で出力側油路25Aが接続されたポート32Bと油路39Aが接続されたポート32Dとが連通し、大径部35と大径部36との間の空間で入力側油路24が接続されたポート32Aと第2気筒8B側の出力側油路25Bが接続されたポート32Cとが連通し、大径部36と大径部37との間の空間と油路39Bが接続されたポート32Eとが連通するように設定されている。また、この状態で大径部34とシリンダ部32のソレノイド31側の端面32Gと間の距離がLとなる。なお、シリンダ部32の端面32F近傍の空間と端面32G近傍の空間は、油路40で連通されており、シリンダ部32内でスプール33が往復動を円滑に行えるようになっている。
【0036】
ソレノイド31は、スプール33を、図4と図5に示す2つの位置に、上記の吸気用駆動カム19の1回転毎に交互に変位させるように制御される。すなわち、油圧制御弁30では、上記の吸気用駆動カム19の1回転毎に、少なくとも、入力側ピストン22が入力側油圧室22の容積を減少させる方向(入力側油路24側へ向けた方向)に押圧し始めてからこの入力側ピストン22が元の位置に復帰するまでの1往復の期間は、入力側油路24と第1気筒8A側の出力側油路25Aとを圧力伝達可能に連通させる位置(図4に示す位置)に配置された状態と、入力側油路24と第2気筒8B側の出力側油路25Bとを圧力伝達可能に連通させる位置に配置された状態(図5に示す状態)と、を保つように交互に切り替えられるように設定されている。
【0037】
油路39A,39Bは、油路39で合流して油路39を介してアキュムレータ38に接続されている。また、油路39には、オイルポンプ41が油路42を介して接続されている。したがって、油路39,39A,39Bは、エンジンオイルの圧力である油路42の圧力とほぼ同じ圧力が保たれる。
【0038】
アキュムレータ38は、蓄圧室43と、蓄圧室43内に往復運動可能に収納された蓄圧ピストン44と、蓄圧ピストン44を油路39側へ向けて付勢するスプリング45と、を備えて構成されている。上記した入力側油圧室21、入力側油路24、油圧制御弁30、出力側油路25A,25B、出力側油圧室17、油路39,39A,39B,42、蓄圧室43は、エンジンオイルで満たされている。なお、スプリング45のバネ定数は、吸気バルブ11のバルブスプリング13のバネ定数よりも小さく設定されている。このため、出力側油路25A,25Bと油路39とが連通したときに、吸気バルブ11が確実に閉弁するようになっている。
【0039】
(動作および作用)
次に、本実施の形態に係るエンジン1の動作について説明する。第1気筒8Aの吸気バルブ11をリフトさせる場合は、図4に示すように、油圧制御弁30のスプール33がソレノイド31で引き込まれて大径部34がシリンダ部32の端面32G側に近づいた位置に配置させる。そして、スプール33がこの位置を保つ期間は、吸気用駆動カム19のベース円部19Aが入力側ピストン22に当接した状態からノーズ部19Bとの接触を経て再度ベース円部19Aが入力側ピストン22に当接するまでの一回転の間の期間である。
【0040】
このとき、図4に示すように、ポート32Aとポート32Bが連通し、ポート32Cとポート32Eが連通する。この状態では、吸気用駆動カム19で押圧された入力側ピストン22が移動して油圧が発生し、入力側油圧室21、入力側油路24、シリンダ部32、出力側油路25A、および出力側油圧室17を介して出力側ピストン18を押出て、第1気筒8Aの吸気バルブ11を1回開弁させる(図6に示す第1気筒8Aの吸気行程参照)。なお、この期間において、第1気筒8Aの排気バルブ12の開弁タイミングは、図2に示す別の油圧制御弁30Aにより油圧制御弁30で制御される吸気バルブ11のタイミングに基づいて決定されている。
【0041】
また、隣の第2気筒8Bにおける、入口部に配置されるバルブである吸気バルブ11は、図4に示すように、閉弁状態になっている。そして、第2気筒8B側の吸気バルブ11に対応する出力側油圧室17は、出力側油路25B、シリンダ部32、油路39Bが連通した状態にあり、比較的低圧に保たれている。
【0042】
次の吸気用駆動カム19の1回転の期間(クランク角で360〜720°)は、図5に示すように、油圧制御弁30のスプール33をソレノイド31で押し出して大径部37がシリンダ部32の端面32F側に近づいた位置に配置させる。この期間は、第1気筒8Aでは爆発行程と排気行程であるため、図5に示すように、第1気筒8Aの吸気バルブ11は閉じた状態を保っている。そして、この期間では、ポート32Aとポート32Cが連通するため、上記した第1気筒8Aの吸気バルブ11の動作と同様に、第2気筒8Bの吸気バルブ11が1回開弁する(図6に示す第2気筒8Bの吸気行程を参照)。なお、この第2気筒8Bの排気バルブ12のタイミングは、第1気筒8Aの排気バルブ12と同様に図2に示す別の油圧制御弁30Aにより、吸気バルブ11のタイミングに基づいて決定されている。
【0043】
上述のように、第1気筒8Aの吸気バルブ11と第2気筒8Bの吸気バルブ11は、吸気用駆動カム19の1回転毎に、油圧制御弁30でスプール33の位置を変位させるだけで各吸気バルブの開弁のタイミングクランク角で720°シフトさせることができる。そして、それぞれの気筒の出力側油圧室17は、入力側油路24と遮断されているときに油路39B,39を介してアキュムレータ38に接続されている。また、油路39はオイルポンプ41に接続されているため、油圧駆動系内へ必要に応じてエンジンオイルを常時供給することができ、吸気バルブ11および排気バルブ12を遅滞なく作動させることができる。
【0044】
上述のように、本実施の形態に係るエンジン1では、クランク軸7の1回転毎に、油圧制御弁30のスプール33を軸方向に進退動作させることにより、吸気用駆動カム19によるリフト作用を、第1気筒8Aと第2気筒8Bとに分配することができる。したがって、1つの気筒の吸気バルブ11に対してはクランク軸7の2回転に1度の駆動力が分配されるため、従来のようにクランク軸に対して1/2回転のカムシャフトを用いる場合と同等の作動が得られる。
【0045】
以上、本実施の形態に係るエンジン1について説明したが、本実施の形態で用いる油圧制御弁30では、吸気用駆動カム19のベース円部19Aが入力側ピストン22に当接しているとき(リフト状態でないとき)、スプール33をオン/オフ動作で作動させればよく、特別なタイミング精度を必要としないという利点がある。
【0046】
特に、本実施の形態に係るエンジン1では、入力側ピストン22の動きを、油圧制御弁30によって、少なくとも2つの出力側ピストン18に交互に伝達できるため、入力側ピストン22の数が少なくてよいため、バルブ駆動機構の構造を簡素化でき、エンジン1を軽量化するとともに、製造性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施の形態に係るエンジン1では、シリンダヘッド部2とシリンダヘッド部3などが一体となったモノブロック4としたことにより、入力側油圧室21、入力側油路24、シリンダ部32、出力側油路25A,25B、油路39,39A,39B,42、蓄圧室43などの油圧通路を、例えばドリル加工などで形成して一体的な油圧通路とすることができる。したがって、部品境界部が少なくなり油圧シールを大幅に削減することが可能となる。
【0048】
また、本実施の形態では、図2および図3で示したように、吸気バルブ11の軸線Dがシリンダボアの中心線B1とクランク軸7の中心線C1とを含む第1平面P1に対して傾斜し、シリンダボアの中心線B1を含み第1平面P1と直交する第2平面P2に対しても傾斜するように設定したことにより、燃焼にとって理想的な半球形状燃焼室に対して、バルブ駆動機構を複雑な機構や機械加工を必要とせずに簡単に実現できる。因みに、従来のカムシャフトでバルブリフトを行うエンジンで半球形状燃焼室の実現を図ることは、新たなロッカアームの追加、或いは駆動カム面の斜め加工などが必要となり困難であった。したがって、本実施の形態では、吸気バルブ11および排気バルブ12を上記第1平面P1と第2平面P2の両方に対して自由な角度に傾斜させてもバルブ駆動機構の構造が複雑化することを防止でき、エンジン1を軽量化できるとともに製造性を向上させることができる。
【0049】
[第2の実施の形態]
図7および図8は、本発明の第2の実施の形態に係るエンジンの油圧駆動系を示している。本実施の形態に係るエンジンは、1気筒または複数気筒のうちの1気筒について吸気バルブ11および排気バルブ12側に油圧制御系をそれぞれ別々に設けている。なお、本実施の形態においても、排気バルブ12側の油圧制御系は、吸気バルブ11側の油圧制御系と同様であるため説明を省略する。また、本実施の形態における油圧制御弁30Bにおいて、上記第1の実施の形態に係る油圧制御弁30と同一部材には同一の符合を付して説明する。
【0050】
本実施の形態の油圧制御弁30Bは、上記した第1の実施の形態の油圧制御弁30と異なり、入力側油路24と1つの出力側油路25とを連通させる場合と、非連通させる場合とを、吸気用駆動カム19の1回転毎に切り替えるように設定されている。
【0051】
(油圧制御弁の構成)
油圧制御弁30Bは、上記第1の実施の形態と同様に、油圧駆動ユニット15に内蔵されている。図7および図8に示すように、油圧制御弁30Bは、ソレノイド31と、エンジンオイルが充填されたシリンダ部32と、シリンダ部32に収納されソレノイド31で進退動作されるスプール33と、を備える。
【0052】
また、図7および図8に示すように、この油圧制御弁30Bは、シリンダ部32の軸方向における、中央部と、ソレノイド31から遠ざかる方向の端面32Fとの中間に位置するポート32Aで入力側油路24を介して入力側油圧室21に連通するように接続されている。
【0053】
また、油圧制御弁30Bには、シリンダ部32に、気筒8に対応する出力側油圧室17が出力側油路25を介してポート32Bで連通するように接続されている。なお、ポート32Bは、シリンダ部32の軸方向において、略中央に配置されている。また、ポート32Dは、ポート32Bよりもソレノイド31に近い位置に配置されている。また、ポート32Eは、ポート32Aよりもシリンダ部32の端面32F寄りに配置されている。
【0054】
図7および図8に示すように、スプール33は、ロッド状であり、ソレノイド31側より大径部34,35,36が所定間隔で形成されている。なお、大径部36は、スプール33の先端に設けられている。図7に示すように、ソレノイド31によりスプール33が引き戻された状態(図中左にスプール33が移動した状態)では、大径部34と大径部35との間の空間で油路39Aが接続されたポート32Dに連通し、大径部35と大径部36との間の空間で入力側油路24が接続されたポート32Aと出力側油路25が接続されたポート32Bと連通し、大径部36と端面32Fとの間の空間が油路39Bに接続されたポート32Eに連通している。また、この状態で大径部36とシリンダ部32の端面32Fの間の距離Lがスプール33のストローク長さとなる。
【0055】
図8に示すように、ソレノイド31によりスプール33が突出した状態(図中右側にスプール33が移動した状態)では、大径部34と大径部35との間の空間で出力側油路25が接続されたポート32Bと油路39Aが接続されたポート32Dとが連通し、大径部35と大径部36との間の空間で入力側油路24が接続されたポート32Aと油路39Bが接続されたポート32Eとが連通するように設定されている。
【0056】
ソレノイド31は、スプール33を、図7と図8に示す2つの位置に、上記の吸気用駆動カム19の1回転毎に交互に変位させるように制御される。すなわち、油圧制御弁30Bでは、上記の吸気用駆動カム19の1回転毎に、入力側ピストン22が入力側油圧室22の容積を減少させる方向(入力側油路24側へ向けた方向)に押圧し始めてからこの入力側ピストン22が元の位置に復帰するまでの1往復の期間は、入力側油路24と気筒8側の出力側油路25とを連通させる位置(図7に示す位置)に保つ状態と、入力側油路24と油路39Bとを連通させる位置を保つ状態(図8に示す状態)と、に交互に切り替えられるように設定されている。
【0057】
なお、本実施の形態の油圧駆動系の他の構成は、上記した第1の実施の形態の油圧駆動系と同様である。
【0058】
(動作および作用)
次に、本実施の形態に係るエンジンの動作について説明する。気筒8の吸気バルブ11をリフトさせる場合は、図7に示すように、油圧制御弁30Bのスプール33がソレノイド31で引き込まれて大径部34がシリンダ部32の端面32G側に近づいた位置に配置させる。そして、スプール33がこの位置を保つ期間は、吸気用駆動カム19のベース円部19Aが入力側ピストン22に当接した状態からノーズ部19Bとの接触を経て再度ベース円部19Aが入力側ピストン22に当接するまでの一回転の間の期間である。
【0059】
このとき、図7に示すように、ポート32Aとポート32Bが連通する。この状態では、吸気用駆動カム19で押圧された入力側ピストン22が移動して油圧が発生し、入力側油圧室21、入力側油路24、シリンダ部32、出力側油路25、および出力側油圧室17を介して出力側ピストン18を押出して、気筒8の吸気バルブ11を1回開弁させる。なお、この期間において、気筒8の排気バルブ12の開弁タイミングは、図示しない別の油圧制御弁により、油圧制御弁30Bで制御される吸気バルブ11のタイミングに基づいて決定されている。
【0060】
次の吸気用駆動カム19の1回転の期間(クランク角で360〜720°)は、図8に示すように、油圧制御弁30Bのスプール33をソレノイド31で押し出して大径部36がシリンダ部32の端面32F側に近づいた位置に配置させる。この期間は、気筒8では爆発行程と排気行程であるため、気筒8の吸気バルブ11は閉じた状態を保っている。
【0061】
そして、この期間では、ポート32Aとポート32Eが連通するため、吸気用駆動カム19がリフト動作を行っても、発生した油圧は入力側油路24、シリンダ部32、油路39B,39を介してアキュムレータ38で吸収される。また、バルブスプリング13のバネ力はアキュムレータ38のスプリング45より大きいため、油路39,39A、シリンダ部32を介して出力側油路25および出力側油圧室18へはエンジンオイルの流入は発生せず、吸気バルブ11を閉じた状態を保っている。
【0062】
上述のように、気筒8の吸気バルブ11は、吸気用駆動カム19の1回転毎に、油圧制御弁30でスプール33の位置を変位させるだけで開弁のタイミングをクランク角で720°シフトさせることができる。したがって、吸気バルブ11にとってはクランク軸7の2回転に1度の駆動力が分配されるため、従来のようにクランク軸に対して1/2回転のカムシャフトを用いる場合と同等の作動が得られる。
【0063】
本実施の形態で用いる油圧制御弁30Bにおいても、吸気用駆動カム19のベース円部19Aが入力側ピストン22に当接しているとき(リフト状態でないとき)、スプール33をオン/オフ動作で作動させればよく、特別なタイミング精度を必要としないという利点がある。
【0064】
なお、本実施の形態に係るエンジンでは、上記した第1の実施の形態に係るエンジン1と同様の作用・効果を得ることができる。したがって、本実施の形態においても、バルブ駆動機構を簡素化してエンジンを軽量化するとともに製造性を向上できる。
【0065】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、この実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0066】
例えば、上記した各実施の形態では、クランク軸7に吸気用駆動カム19および排気用駆動カム20を直接設けたが、クランク軸7と等速のバランサを設けてこのバランサに、これら吸気用駆動カム19および排気用駆動カム20を設ける構成としてもよい。この場合、バランサをクランク軸7よりも上方に配置することで油路24の短縮化を図ることができバルブ駆動応答性を向上するようにしてもよい。
【0067】
また、上記した各実施の形態では、1気筒に対して吸気バルブ11と排気バルブ12とがそれぞれ1つずつ備えられた場合について説明したが、1気筒に吸気バルブ11と排気バルブ12がそれぞれ一対ずつある場合は、例えば一対の吸気バルブ11,11に対して1本の出力側油路をシリンダヘッド部2内で分岐させて同時に一対の出力側油圧室に圧力伝達を行うような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 エンジン
2 シリンダヘッド部
3 シリンダブロック部
4 モノブロック
7 クランク軸
8A 第1気筒
8B 第2気筒
11 吸気バルブ
12 排気バルブ
13 バルブスプリング
14 バルブスプリング
15 油圧駆動ユニット
17 出力側油圧室
18 出力側ピストン
19 吸気用駆動カム
19A ベース円部
19B ノーズ部
20 排気用駆動カム
21 入力側油圧室
22 入力側ピストン
23 スプリング
24 入力側油路
25,25A,25B 出力側油路
30 油圧制御弁
31 ソレノイド
32 シリンダ部
32A,32B,32C,32D,32E ポート
33 スプール
34,35,36,37 大径部
38 アキュムレータ
39,39A,39B 油路
41 オイルポンプ
42 油路
43 蓄圧室
44 蓄圧ピストン
45 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブスプリングによって閉弁方向に付勢されているバルブと、
シリンダヘッドに設けられた出力側油圧室と、
前記出力側油圧室内に往復運動自在に設けられ、前記バルブスプリングの付勢力に抗して前記バルブを開弁させる出力側ピストンと、
クランク軸の近傍に設けられた入力側油圧室と、
前記入力側油圧室内に往復運動自在に設けられ作動油を介して前記出力側ピストンを駆動可能な入力側ピストンと、
前記クランク軸に同軸に設けられ、1回転につき前記入力側ピストンを1往復させる駆動カムと、
油圧制御弁と、
前記出力側油圧室と前記油圧制御弁とを接続する出力側油路と、
前記入力側油圧室と前記油圧制御弁とを接続する入力側油路と、
を備える油圧駆動系が設けられ、
前記油圧制御弁は、
前記駆動カムの1回転により、少なくとも、前記入力側ピストンが前記入力側油圧室の容積を減少させる方向に押圧し始めてから当該入力側ピストンが元の位置に復帰するまでの1往復の期間は、前記入力側油路と前記出力側油路とを圧力伝達可能に連通させる出力可能状態と、
少なくとも、前記入力側ピストンの1往復の期間は、前記入力側油路と前記出力側油路とを圧力伝達不能にさせる出力不能状態と、
に前記駆動カムの1回転毎に交互に切り替えることを特徴とする4サイクルエンジン。
【請求項2】
前記出力側油圧室および前記出力側ピストンは、一対の気筒における入口部または出口部の一方に配置される前記バルブのそれぞれに対応して設けられ、
前記油圧制御弁は、
前記一対の気筒における、一対の前記出力側油圧室にそれぞれ連通する互いに異なる前記出力側油路が接続され、
前記駆動カムの1回転分異なるタイミングで、それぞれの前記出力側油路を前記入力側油路に対して交互に圧力伝達可能に連通するように切り替えることを特徴とする請求項1に記載の4サイクルエンジン。
【請求項3】
前記バルブは、吸気バルブと排気バルブであり、
前記吸気バルブと前記排気バルブは、互いに異なる前記油圧駆動系で制御されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の4サイクルエンジン。
【請求項4】
前記駆動カムは、前記吸気バルブを制御する前記油圧駆動系への入力を行う吸気用駆動カムと、前記排気バルブを制御する前記油圧駆動系への入力を行う排気用駆動カムと、でなり、
前記吸気用駆動カムと前記排気用駆動カムは、前記クランク軸に同軸に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の4サイクルエンジン。
【請求項5】
前記出力側油路は、前記入力側油路と圧力伝達不能に切り替えられた状態でオイルポンプに連通されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の4サイクルエンジン。
【請求項6】
前記油圧制御弁は、ソレノイドと、シリンダ部と、前記シリンダ部に往復運動可能に収納され前記ソレノイドで進退動作されるスプールと、を備え、
前記スプールは、
前記駆動カムの1回転により、少なくとも、前記入力側ピストンが前記入力側油圧室の容積を減少させる方向に押圧し始めてから当該入力側ピストンが元の位置に復帰するまでの1往復の期間は、前記入力側油路と前記出力側油路とを圧力伝達可能に連通させる位置に配置される状態と、
少なくとも、前記入力側ピストンの1往復の期間は、前記入力側油路と前記出力側油路とを圧力伝達不能させる位置に配置される状態と、
に前記駆動カムの1回転毎に交互に切り替えられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の4サイクルエンジン。
【請求項7】
前記油圧制御弁は、ソレノイドと、シリンダ部と、前記シリンダ部に往復運動可能に収納され前記ソレノイドで進退動作されるスプールと、を備え、
前記スプールは、
前記駆動カムの1回転により、少なくとも、前記入力側ピストンが前記入力側油圧室の容積を減少させる方向に押圧し始めてから当該入力側ピストンが元の位置に復帰するまでの1往復の期間は、
前記入力側油路と一方の前記出力側油路とを連通させる位置に配置される状態と、
前記入力側油路と他方の前記出力側油路とを連通させる位置に配置される状態と、
に前記駆動カムの1回転毎に交互に切り替えられることを特徴とする請求項2に記載の4サイクルエンジン。
【請求項8】
前記バルブは、その軸線がシリンダボアの中心線と前記クランク軸の中心線とを含む第1平面に対して傾斜するとともに前記シリンダボアの中心線を含み前記第1平面と直交する第2平面に対しても傾斜することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の4サイクルエンジン。
【請求項9】
前記油圧駆動系は、前記シリンダヘッドとシリンダブロックとが一体に設けられたモノブロックの壁内部に形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の4サイクルエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−100763(P2013−100763A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244545(P2011−244545)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】