説明

4軸補装具関節

【課題】
本発明による4軸補装具関節は、下肢能力を失った歩行者ができるだけ自然に歩行できるようにする。
【解決手段】
本発明は、4軸補装具関節に関する。本発明の4軸補装具関節は、上部支持部110が上段に固定される上部固定片120と、下部支持部130が下段に固定される下部固定片140と、一側端は前記上部固定片120の前半部に、他側端は前記下部固定片140の前半部に各々回動可能に設けられる前方回転レバー150と、一側端は前記上部固定片120の後半部に、他側端は前記下部固定片140の後半部に各々回動可能に設けられて、前記前方回転レバー150に対して相対的に長さが短く、前記上部固定片120と下部固定片140が一定の軌跡を描いて上下および前後方向への回転を可能にする後方回転レバー160と、前記上部固定片と下部固定片の相対回転を弾性的にガイドする弾性ガイド手段を含んで構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は4軸補装具関節に関し、より詳細には上下部固定片に連結した一組の回転レバーを4個の軸を有して互いに回転するように設けて、上下部固定片が一組の回転レバーの回転により人体の関節に近い動きを再現する4軸補装具関節に関する。
【背景技術】
【0002】
図1と図2には従来の単軸補装具関節の構造が例示されている。
従来の単軸関節1は、人体の股の部分が固定される上部支持部10と、脹脛の部分が固定される下部支持部20と、上下部支持部10、20を回転可能に連結させるヒンジ部30を含む。
従来の単軸補装具関節1は、下肢の伸展状態と屈曲状態に対応するように上下部支持部10、20を、ヒンジ軸31を基準に相対回転させるようにして、ヒンジ部30は上部支持部10の下段および下部支持部20の上段に形成された孔に締結されるボルトとナット33による構造を有する。
従来の単軸補装具関節1は、人体の関節の構造に対応できるように連結部の構造を変形させて、ヒンジ部30の回転軸31を支持部の中心軸からシフトさせて、中心をずらすようにして歩行者に便宜を提供する。
また、従来の単軸補装具関節1を着用する場合に、下肢および関節の機能を部分的にのみ失った一部の歩行者は単軸補装具関節1の構造を一部変更することにより、膝を曲げて歩行することが可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、下肢および関節の機能を殆ど失った歩行者の場合には歩行時の補装具関節1が直立状態を維持させるべきであるため、従来単軸補装具関節1は伸展状態でこれを固定させるロック装置(lock apparatus)40を備える。
また、従来の単軸補装具関節1は、歩行を停止して座る時にはロック装置40を解除して、膝を曲げられるようにする構成を有する。
例えば、図示された従来の単軸補装具関節1の場合、伸展状態を固定させるために歩行時にはロック装置40を下へ引っ張らなければならない。この時、支持部10、20の軸と関節の中心移動による摩擦力により、ロック装置40が動作して、歩行者の直立状態を維持させる。
【0004】
一方、歩行を停止して座る時には、ロック装置40を上に引っ張り、単軸補装具関節1を、ヒンジ軸30を中心に回転させて、膝を曲げればよい。
しかし、前記のような構成を有する従来の補装具関節には次のような問題があった。
人間の歩行時に膝関節を観察すると、脛骨の高平部上で大腿骨が潤滑に動き(gliding)ながら上昇および後進するなどの屈曲運動過程で脛骨と大腿骨の相対位置の変化により、歩行が行われることがわかる。
既存の単軸補装具関節を備えた補装具を使用する場合には、大腿骨の潤滑に動く(gliding)過程を再現しておらず、単軸を基準に単純回転をするため、大腿部の動きが上に上昇したり、長くなったり短くなったりする反復的動きが現れるだけであるため、歩行が不自然で歩行者に大きい負担と不便を与える問題がある。
そして、立っている状態と座った状態では補装具が回転しないように位置固定しなければならないため、ロック装置などを別途に作動しなければならない問題が生じる。
【0005】
関節の機能を全く持たない歩行者が既存の単軸補装具関節1を使用する補装具を利用して歩行するためには、膝関節が曲がれないように膝関節の動きをロック装置40でロックして、所謂スティッフ・レッグ(stiff leg)歩行をするしかない。
このような問題は歩行時において、体中心の不安定性、外転歩行、無理な外転、病的歩行などの問題を抱えるようになる。また座る時、ロック装置40をいちいち解除すべきで、このことは使用者の健康およびその他の問題の原因となった。
本発明の第1の目的は、多軸回転を可能にして、人体の関節の屈曲運動に近い動きを再現する4軸補装具関節を具現することである。
【0006】
本発明の第2の目的は、屈曲や伸展状態において別途の操作を行わずに、自動で補装具関節のロックと解除、および個々人の伸展補助力調節を可能にする4軸補装具関節を具現することである。
【0007】
本発明の第3の目的は、人体の関節の屈曲運動に近い動きを再現する補装具関節を支持部と別途に製作して、支持部に脱着可能な構造で製作される4軸補装具関節を具現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明による4軸補装具関節は、上部支持部が上段に固定される上部固定片と、下部支持部が下段に固定される下部固定片と、一側端は前記上部固定片の前半部に、他側端は前記下部固定片の前半部に各々回動可能に設けられる前方回転レバーと、一側端は前記上部固定片の後半部に、他側端は前記下部固定片の後半部に各々回動可能に設けられて、前記前方回転レバーに対して相対的に長さが短く、前記上部固定片と下部固定片が一定の軌跡を描いて上下および前後方向への回転を可能にする後方回転レバーと、前記上部固定片と下部固定片の上下回動可能な角度を特定範囲に制限するストッパーを含んで構成されることを特徴とする。
前記目的を達成するための本発明による4軸補装具関節は、下肢の上半部が支持される上部支持部の下段に一体形成される上部固定片と、下肢下半部が支持される下部支持部の上段に一体形成される下部固定片と、一側端は前記上部固定片の前半部に、他側端は前記下部固定片の前半部に各々回動可能に設けられる前方回転レバーと、一側端は前記上部固定片の後半部に、他側端は前記下部固定片の後半部に各々回動可能に設けられて、前記前方回転レバーに対して相対的に長さが短く、前記上部固定片と下部固定片が一定の軌跡を描いて上下および前後方向への回転を可能にする後方回転レバーと、前記上部固定片と下部固定片の上下回動可能な角度を特定範囲に制限するストッパーを含んで構成されることを特徴とする。
【0009】
前記目的を達成するための本発明による4軸補装具関節は、上部支持部が上段に固定される上部固定片と、下部支持部が下段に固定される下部固定片と、一側端は前記上部固定片の前半部に、他側端は前記下部固定片の前半部に各々回動可能に設けられる前方回転レバーと、一側端は前記上部固定片の後半部に、他側端は前記下部固定片の後半部に各々回動可能に設けられて、前記前方回転レバーに対して相対的に長さが短く、前記上部固定片と下部固定片が一定の軌跡を描いて上下および前後方向への回転を可能にする後方回転レバーと、前記上部固定片と下部固定片の相対回転を弾性的にガイドする弾性ガイド手段を含んで構成されることを特徴とする。
前記目的を達成するための本発明による4軸補装具関節は、下肢の上半部が支持される上部支持部の下段に一体形成される上部固定片と、下肢下半部が支持される下部支持部の上段に一体形成される下部固定片と、一側端は前記上部固定片の前半部に、他側端は前記下部固定片の前半部に各々回動可能に設けられる前方回転レバーと、一側端は前記上部固定片の後半部に、他側端は前記下部固定片の後半部に各々回動可能に設けられて、前記前方回転レバーに対して相対的に長さが短く、前記上部固定片と下部固定片が一定の軌跡を描いて上下および前後方向への回転を可能にする後方回転レバーと、前記上部固定片と下部固定片の相対回転を弾性的にガイドする弾性ガイド手段を含んで構成されることを特徴とする。
【0010】
前記4軸補装具関節は、上部固定片と下部固定片の上下回動可能な角度を特定範囲に制限するストッパーを含んで構成されることを特徴とする。
前記弾性ガイド手段は、前記下部固定片に形成されたスプリング収納チャンバーと、前記スプリング収納チャンバー上で直線運動をすると共に弾性復原力を発生させるスプリングと、前記前方回転レバー下段の回転に連動して、前記スプリングの直線運動を可能にする弾性突起を含んで構成されることを特徴とする。
弾性ガイド手段は、前記下部固定片に形成されたシリンダーと、前記シリンダー上で直線運動をすると共に弾性復原力を発生させるピストンと、前記前方回転レバーの下段の回転に連動して、前記ピストンの直線運動を可能にする弾性突起を含んで構成されることを特徴とする。
【0011】
前記上部固定片には前記前方回転レバーの前段に離脱防止ストッパーが備わり、入脚期時に前方回転レバーの回動を防止することを特徴とする。
前記前方回転レバーと後方回転レバーは、入脚期時に前後方には一定鋭角を成し、左右には互いに並んでいるように設けられて、前記各回転レバーの上下および前後方向への回動が円滑に行われることを特徴とする。
前記4軸補装具関節には、上部固定片と下部固定片の相対回転運動により、伸展状態になる場合、上部固定片および下部固定片に加えられる衝撃を緩和するための衝撃緩和手段が備わることを特徴とする。
前記衝撃緩和手段は、前記後方回転レバーの前段に突設されたストッパーと、前記上部固定片下面に設けられて、前記4軸補装具関節が伸展状態で前記ストッパーが接触される緩衝突起であることを特徴とする。
【0012】
前記前方回転レバーの両端は前記上部固定片および下部固定片に各々回転可能に設けられる回転軸受けの軸に固定されて設けられることを特徴とする。
前記後方回転レバーの両端は前記上部固定片の下面および前記下部固定片の上面に形成された回転溝に各々挿入された状態で前記回転溝を貫通する回転ピンより回動可能に固定されて設けられることを特徴とする。
前記4軸補装具関節は、伸展状態で前記上部支持部の中心軸より前記下部支持部の中心軸は後方に位置させることによるマイナス(−)・オフセット(offset)を設定し、入脚期時の安全性を図ることを特徴とする。
前記のような構成により、本発明は補装具関節の動きを人間の関節の移動方式に近接させることによって自然で安全な歩行を可能にする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は前記のような構成により、歩行時における健常者の関節の動きと人工関節の動きをできるだけ類似させるため、本発明の4軸補装具関節を使用して、歩行時の歩行が自然で歩行者に与える負担が大きく低減される。
また、本発明による4軸補装具関節の回転角度と健常者の歩行時の回転角度を近接させたため、歩行時に前方の障害物に引っ掛って倒れるのを防止でき、従って、上下移動の場合、即ち階段を上がる場合などにも自然に関節を曲げて下半身を持ち上げるため、歩行が自然で使用者に満足感を与えるようになる。
本発明は下肢の機能が不完全だったり、その機能を失った歩行者が歩行時における人体の関節に近い自然な歩行を可能にするため、体中心の不安定性、外転歩行、無理な外転、病的歩行などの問題を解決する。また座る時や起立時に開閉装置をいちいち作動しなければならない問題を解決して、使用者の健康および多様な側面において歩行者に満足感を与えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、前記のような構成を有する本発明による4軸補装具関節の望ましい実施形態を、添付図を参照して詳細に説明する。
図3は本発明の実施形態による4軸補装具関節の伸展状態の構成を示した側面図で、図4は本発明の実施形態による4軸補装具関節の構成を示した分解斜視図で、図5は本発明の実施形態による4軸補装具関節の入脚期時のロック状態を示した側面図である。そして、図6A乃至図6Fは本発明の実施形態による4軸補装具関節の屈伸過程の動きを順に示した側面図である。
【0015】
本発明の実施形態の4軸補装具関節100は、上部支持部110が固定される上部固定片120と、下部支持部130が固定される下部固定片140と、一側端は上部固定片120の前半部に、他側端は前記下部固定片140の前半部に各々回動可能に設けられる前方回転レバー150と、一側端は前記上部固定片120の後半部に、他側端は前記下部固定片140の後半部に各々回動可能に設けられる後方回転レバー160を含む。
本発明の実施形態の4軸補装具関節100は人体の下肢に装着支持される上下部支持部110、130と別途に形成して、各々上下部支持部110、130に連結して設けることができるようにしている。従って、上下部支持部110、130および4軸補装具関節100の一部に変形や毀損が生じたり交換が必要な場合には、問題が生じた部分だけを交換して使用できる構成を有する。
【0016】
例えば、使用者の身長に合わせて上下部支持部110、130の長さだけを異ならせれば同じ構成の4軸補装具関節100を多様な身長の歩行者が使用することが可能になる。また、4軸補装具関節100の一部に変形が生じる場合には上下部支持部110、130はそのまま利用して、該当部分の部品だけ交換できる。
本発明の実施形態で股の部分を支持する上部支持部110が上段に固定して設けられる上部固定片120は、大腿骨の下段部に対応する部分であり、下部支持部130が下段に固定される下部固定片140は脛骨の上段部に対応する部分である。
上部固定片120は下段部が前後に幅が広く、上段部は幅が狭く形成されて、大腿骨の下段部に似た形状を有する。上部固定片120の上段には上部支持部110を挿入するための溝121が形成されて、その溝121の中央には上部支持部110をネジで締結するための一対の孔123が形成されている。
【0017】
下部固定片140は上段部が前後に幅が広く、下段部は幅が狭く形成されて、脛骨の上段部と似た形状で、下段部には下部支持部130を挿入するための溝141が形成されて、その溝141の中央には下部支持部130をネジで締結するための一対の孔143が形成されている。
上部固定片120の下段前半部には前方回転レバー150を回転可能に設けるための軸受け孔125が形成されて、下段後半部には後方回転レバー160を設けるための回転孔127が形成されている。そして、上部固定片120の下段後面には後方回転レバー160を回転可能に挿入するための回転ガイド溝128が形成されている。
下部固定片140の上段前半部には前方回転レバー150を回転可能に設けるため、軸受け孔145が形成されて、後半部には後方回転レバー160を設けるため、回転孔147が形成されている。そして、下部固定片140の上段後面には後方回転レバー160を回転可能に挿入するための回転ガイド溝148が形成されている。
人体の下肢関節は脛骨の高平部上で大腿骨が後ろに後退すると共に、上方に回転する屈曲運動をするようになって、本発明の実施形態の4軸補装具関節100は上部固定片120と下部固定片140を互いに4個の軸を中心に回転して、伸展と屈曲を繰り返すことで人体の下肢関節の動作に類似させている。
【0018】
このような屈曲運動を可能にするため、本発明の実施形態の前方回転レバー150は長さが長く形成されて、後方回転レバー160はこれに対して相対的に長さがが短く形成される。
そして、図5に示されたように、入脚期時を基準に調べると、前方回転レバー150と後方回転レバー160の各回転軸を連結させると、夫々の延長線が関節の上方一定点(P)で交わるように前後方回転レバー150、160は互いに一定の鋭角を成して設けられる。
これは後方回転レバー160の上段回転軸(A)を下方へと加圧することにより、屈曲運動を開始し易くして、他の点に異なる角度で加圧しても伸展状態が崩れないようにするための工夫である。
【0019】
また、本発明の実施形態の4軸補装具関節は、かかとが地面を踏む入脚期時に4軸補装具関節が曲がらないように安全性を確保するためにオフセットを設定する。例えば、本実施形態は上部支持部の中心軸より下部支持部の中心軸が後方に位置するようにマイナス(−)・オフセット(offset)を設定し、かかとが地面を踏む瞬間、屈曲運動が起きることを防止する。
そして、伸展と屈曲時に、各回転レバー150、160は夫々の経路において互いを妨げることなく、前後方向への回転が自由に行われるよう、本発明の実施形態の前後方回転レバー150、160は左右に並んでいるように設けられる。
前方回転レバー150は、上部固定片120および下部固定片140各々に回転軸受け151、152により回転可能に設けられるが、回転軸受け151、152は、前記上下部固定片120、140および前方回転レバー150に形成された段差を有する軸受け孔125、145、153、154の両側から挿入されて、各々ネジ結合されて形成される。
そして、回転軸受け151、152の外側に突設された軸155は、一端に多角形状の孔156が形成された固定レバー157に挿入されて、前記固定レバー157の他端は前記前方回転レバー150に形成された複数の孔158の中のいずれか一つと締結具159により固定される。
【0020】
固定レバー157は、前方回転レバー150に形成された複数の孔158の中のいずれか一つと選択的に締結されるようにしているが、これは上下軸受け151、152のネジ結合を安定的に維持するため結合された程度により固定角度を異ならせるようにしている。
本発明の実施形態の4軸補装具関節100は、上部固定片120と下部固定片140の相対回転を弾性的にガイドする弾性ガイド手段をさらに含むが、本発明の実施形態の弾性ガイド手段としてはスプリングと油圧シリンダーを選択的に利用できる。
前者の弾性ガイド手段は脛骨の高平部対応部位と平行するように下部固定片140に形成されたスプリング収納チャンバー173と、スプリング収納チャンバー173内部で直線運動をすると共に弾性復原力を発生させるスプリング175と、前方回転レバー150の下段に形成されて、前方回転レバー150の回転により前記スプリング175の直線運動を可能にする弾性突起171を含む。
後者の場合、高平部対応部位と平行するように下部固定片に形成されたシリンダー(図示せず)と、シリンダー内部で直線運動をするピストン(図示せず)と、前方回転レバーの回転に連動して、ピストンの直線運動を可能にする弾性突起を含む。
【0021】
また、本発明の実施形態の4軸補装具関節100は、上下部固定片120の回転角度を一定範囲に制限するためのストッパー165を備える。本発明の実施形態においてストッパー165は、入脚期時に自動ロックを可能にし、後方回転レバー160の前方に突出形成されたものである。
このストッパー165は、入脚期時に上部固定片120の下面にかけられ、4軸補装具関節の過度な回転を防止する役割を果たす。
【0022】
また、本発明の実施形態の上部固定片120の下面には入脚期時に金属が当ることによる衝撃を防止するための衝撃緩和手段が備わるが、前記ストッパー165が弾性衝突するポリウレタンで形成された緩衝突起180が一例である。
そして、本発明の実施形態の上部固定片120には、前方回転レバー150の前段に離脱防止ストッパー170が備わっているため、これは入脚期時に前方回転レバー150および後方回転レバー160の回動を防止して、下部固定片140が前方に離脱することを防止するための構成といえる。
【0023】
次は、前記のような構成を有する本発明による4軸補装具関節の望ましい実施形態の作動方法を図6A乃至図6Fを参照して説明する。
図6Aに示されたように、伸展状態では離脱防止ストッパー170および後方回転レバー160のストッパー165が開閉装置で動作するため、上部固定片120および下部固定片140は相対位置が固定された状態となる。この状態で人体の下肢は地面を踏むため、下肢の機能が不完全だったり、その機能を失った歩行者も容易に直立状態を維持できるようになる。
【0024】
図6B乃至図6Fに示されたように、歩行を始めると、下肢上部は前方に移動するようになり、下肢が前方へ偏ることによってA点が加圧されて、A点は前方に回動するようになる。前方回転レバー150は弾性ガイド手段により、弾性力を受けて回転が一定角度に制限されるため、後方回転レバー160はA点を中心軸として回転するようになり、一定点を過ぎると、後方回転レバー160の上段A点は図6E、図6Fに示されたように前方回転レバー150の前方に位置するようになる。
【0025】
この過程において、下肢が屈曲され、また下肢の下段部を前方に伸ばすとその反動によりA点が本来の位置に戻って伸展される。そして、伸展された状態で下肢は再び地面を踏むようになる。
このような過程を繰り返すことにより下肢の機能が不完全だったり、その機能を失った歩行者が人体の歩行に類似する歩行が可能になる。
また、屈曲状態から伸展状態に戻る時には、4軸補装具関節100に大きい力が加わるが、本発明の実施形態の緩衝突起180がストッパー165の衝突による衝撃を吸収するため、歩行に伴う衝撃を緩和させて騒音発生を最小化することができる。
【0026】
図7は本発明の他の実施形態による4軸補装具関節を示した側面図である。この実施形態の4軸補装具関節200は、上部固定片220と下部固定片240を各々上部支持部210と下部支持部230と一体形成した点は前記の実施形態と異なるが、その他は前記実施例と同じ構成を有する。
例えば、この実施形態の場合、前記前方回転レバー250および後方回転レバー260の構成と、弾性ガイド手段の動作、ストッパー265および離脱防止ストッパー270の構成などは前記実施形態と同じ構成であり、各部の機能も同じである。
そして、歩行時における上下部回転レバー220、240の動作とA点に対応する点227の相対運動も同じ方法で行われるため、前記実施形態の場合のように下肢能力が不完全だったり、その機能を失った者が人体の歩行に類似する歩行が可能になる。
【0027】
本発明の権利範囲は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項により決められ、特許請求の範囲に記載された事項と均等範囲で当業者が行った多様な変形と改良を含むことは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来の補装具関節の伸展状態の構成を示した側面図である。
【図2】従来の補装具関節の屈曲状態の構成を示した側面図である。
【図3】本発明による4軸補装具関節の伸展状態の構成示した側面図である。
【図4】本発明による4軸補装具関節の構成を示した分解斜視図である。
【図5】本発明による4軸補装具関節の入脚期時のロック状態を示した側面図である。
【図6A】本発明による4軸補装具関節の動きを示した側面図である。
【図6B】本発明による4軸補装具関節の動きを示した側面図である。
【図6C】本発明による4軸補装具関節の動きを示した側面図である。
【図6D】本発明による4軸補装具関節の動きを示した側面図である。
【図6E】本発明による4軸補装具関節の動きを示した側面図である。
【図6F】本発明による4軸補装具関節の動きを示した側面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の4軸補装具関節の構成を示した側面図である。
【符号の説明】
【0029】
100 4軸補装具関節
110 上部支持部
120 上部固定片
130 下部支持部
140 下部固定片
150 前方回転レバー
151、152 軸受け
157 固定レバー
160 後方固定レバー
165 ストッパー
170 離脱防止ストッパー
171 弾性突起
173 スプリング収納チャンバー
175 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部支持部が上段に固定される上部固定片と、
下部支持部が下段に固定される下部固定片と、
一側端は前記上部固定片の前半部に、他側端は前記下部固定片の前半部に各々回動可能に設けられる前方回転レバーと、
一側端は前記上部固定片の後半部に、他側端は前記下部固定片の後半部に各々回動可能に設けられて、前記前方回転レバーに対して相対的に長さが短く、前記上部固定片と下部固定片が一定の軌跡を描いて上下および前後方向への回転を可能にする後方回転レバーと、
前記上部固定片と下部固定片の上下回動可能な角度を特定範囲に制限するストッパーを含んで構成されることを特徴とする4軸補装具関節。
【請求項2】
下肢の上半部が支持される上部支持部の下段に一体形成される上部固定片と、
下肢下半部が支持される下部支持部の上段に一体形成される下部固定片と、
一側端は前記上部固定片の前半部に、他側端は前記下部固定片の前半部に各々回動可能に設けられる前方回転レバーと、
一側端は前記上部固定片の後半部に、他側端は前記下部固定片の後半部に各々回動可能に設けられて、前記前方回転レバーに対して相対的に長さが短く、前記上部固定片と下部固定片が一定の軌跡を描いて上下および前後方向への回転を可能にする後方回転レバーと、
前記上部固定片と下部固定片の上下回動可能な角度を特定範囲に制限するストッパーを含んで構成されることを特徴とする4軸補装具関節。
【請求項3】
上部支持部が上段に固定される上部固定片と、
下部支持部が下段に固定される下部固定片と、
一側端は前記上部固定片の前半部に、他側端は前記下部固定片の前半部に各々回動可能に設けられる前方回転レバーと、
一側端は前記上部固定片の後半部に、他側端は前記下部固定片の後半部に各々回動可能に設けられて、前記前方回転レバーに対して相対的に長さが短く、前記上部固定片と下部固定片が一定の軌跡を描いて上下および前後方向への回転を可能にする後方回転レバーと、
前記上部固定片と下部固定片の相対回転を弾性的にガイドする弾性ガイド手段を含んで構成されることを特徴とする4軸補装具関節。
【請求項4】
下肢の上半部が支持される上部支持部の下段に一体形成される上部固定片と、
下肢下半部が支持される下部支持部の上段に一体形成される下部固定片と、
一側端は前記上部固定片の前半部に、他側端は前記下部固定片の前半部に各々回動可能に設けられる前方回転レバーと、
一側端は前記上部固定片の後半部に、他側端は前記下部固定片の後半部に各々回動可能に設けられて、前記前方回転レバーに対して相対的に長さが短く、前記上部固定片と下部固定片が一定の軌跡を描いて上下および前後方向への回転を可能にする後方回転レバーと、
前記上部固定片と下部固定片の相対回転を弾性的にガイドする弾性ガイド手段を含んで構成されることを特徴とする4軸補装具関節。
【請求項5】
前記上部固定片と下部固定片の上下回動可能な角度を特定範囲に制限するストッパーを含んで構成されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の4軸補装具関節。
【請求項6】
前記弾性ガイド手段は、
前記下部固定片に形成されたスプリング収納チャンバーと、
前記スプリング収納チャンバー上で直線運動を行なうと共に弾性復原力を発生させるスプリングと、
前記前方回転レバーの下段の回転に連動して、前記スプリングの直線運動を可能にする弾性突起を含んで構成されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の4軸補装具関節。
【請求項7】
前記弾性ガイド手段は、
前記下部固定片に形成されたシリンダーと、
前記シリンダーに上で直線運動を行なうと共に弾性復原力を発生させるピストンと、
前記前方回転レバーの下段の回転に連動して、前記ピストンの直線運動を可能にする弾性突起を含んで構成されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の4軸補装具関節。
【請求項8】
前記上部固定片には前記前方回転レバーの前段に離脱防止ストッパーが備わり、入脚時に前方回転レバーの回動を防止することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の4軸補装具関節。
【請求項9】
前記前方回転レバーと後方回転レバーは入脚期時に前後方には一定鋭角を成し、左右には互いに並んで設けられて、前記各回転レバーの上下および前後方向回動が円滑に行なわれるようにすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の4軸補装具関節。
【請求項10】
前記上部固定片と下部固定片の相対回転運動により伸展状態になる場合、上部固定片および下部固定片に加えられる衝撃を緩和するための衝撃緩和手段が備わることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の4軸補装具関節。
【請求項11】
前記衝撃緩和手段は、
前記後方回転レバーの前段に突設されたストッパーと、
前記上部固定片の下面に設けられて、前記4軸補装具関節が伸展状態において前記緩衝ストッパーが接触される緩衝突起であることを特徴とする請求項10に記載の4軸補装具関節。
【請求項12】
前記前方回転レバーの両端は、前記上部固定片および下部固定片に各々回転軸受けにより、回転可能に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の4軸補装具関節。
【請求項13】
前記回転軸受けは、前記上下固定片および前方回転レバーに形成された段差を有する孔の両側から挿入されて、ネジ結合される構造を有するあることを特徴とする請求項12に記載の4軸補装具関節。
【請求項14】
前記回転軸受けの外側に突設された軸は、一端に多角形状孔が形成された固定レバーに挿入され、前記固定レバーの他端は前記前方回転レバーに形成された複数の孔の中いずれか一つに締結具により固定されることを特徴とする請求項13に記載の4軸補装具関節。
【請求項15】
前記4軸補装具関節は、
伸展状態において前記上部支持部の中心軸より前記下部支持部の中心軸は後方に位置させることによるマイナス(−)オフセットを設定し、入脚期時の安全性を図ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の4軸補装具関節。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−130459(P2007−130459A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297240(P2006−297240)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(506367412)
【Fターム(参考)】