説明

CNG3B:新規環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャンネル

【課題】CNG3B(新規環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャンネル)の単離された核酸及びアミノ酸配列、CNG3Bに対する抗体、CNG3Bの検出方法、及び生物学的に活性のCNG3Bを用いて環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルのモジュレーターについてのスクリーニング方法、ヒトCNG3B遺伝子の突然変異をスクリーニングするための方法、及びヒトCNG3Bポリペプチドの三次元構造を同定するための方法のコンピューターシステムにおける提供。
【解決手段】(i)少なくとも1つの追加のαサブユニットと共に、環状ヌクレオチド−ゲートの特徴を有するカチオンチャンネルを形成し;そして(ii)特定の配列のアミノ酸210〜661に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する副配列を含んで成る、カチオンチャンネルのCNG3Bサブユニットを含んで成るポリペプチドをコードする単離された核酸。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CNG3Bの単離された核酸及びアミノ酸配列、CNG3Bに対する抗体、CNG3Bの検出方法、及び生物学的に活性のCNG3Bを用いて環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルのモジュレーターについてのスクリーニング方法を提供する。本発明は、さらに、ヒトCNG3B遺伝子の突然変異をスクリーニングするための方法、及びヒトCNG3Bポリペプチドの三次元構造を同定するための方法を、コンピューターシステムにおいて提供する。
【背景技術】
【0002】
環状ヌクレオチドゲートのカチオンチャネル(CNG)は、環状ヌクレオチド、例えばcGMP及びcAMPの直接的結合により開かれる種類の非選択性カチオンチャネルである。CNGチャネルは、Na+及びCa2+に対して高い透過性であり、そしてそれらの活性化は脱分極化を導き、そして内部Ca2+濃度を高める。それらのチャネルは、細胞質環状ヌクレオチドレベルの変化を、細胞興奮性の変化、神経伝達物質の分泌及びカルシウム依存性経路の刺激に連結することができる。
【0003】
CNGファミリーチャネルタンパク質はマルチマーであり、そして少なくとも2つの機能的に異なった種類のサブユニットにより形成され得る。2種の種類のサブユニット、すなわちα及びβサブユニットは、6個のトランスメンブランドメインの通常のモチーフ、孔モチーフ及び細胞質環状ヌクレオチド結合ドメインを共有する(Finnなど., Annu. Rev. Physiol. 58: 395-426: 1996)。CNGαサブユニットは、ホモマルチマーとして機能的チャネルを形成することができ、すなわちチャネル孔に寄与するすべてのサブユニットは同一である。
【0004】
対照的に、βサブユニットは、αサブユニットと共に発現される場合、機能的チャネルを形成することができる。それらのヘテロマルチマーチャネルは、生来のCNGチャネルと一致した機能的性質を示す(Gerstner, A.など., J. Neurosa. 20 (4): 1324-1322, 2000; Finn JT, など.,Annu. Rev. Physiol. 58: 395-426, 1996)。例えば、α及びβサブユニットの同時発現は、αサブユニットCNGA1がβサブユニットCNGB1(CNG4)と共にヘテロマルチマーを形成する網膜杆細胞において生じる(Gerstner, A. など. J. Neurosci. 20 (4): 1324-1332, Feb. 15, 2000)。
【0005】
CNGチャネルは、一次知覚刺激、例えば光及びエアロゾル化されているか又は溶解された分子に応答して網膜、及び嗅覚及び味覚芽細胞における知覚シグナルトランスダクションのために重要である(Ding, C. など., Am. J. Physiol. 272(Cell Physiol. 41): C1335-C1344, 1997)。光受容体細胞においては、CNGチャンネルは、高い基礎濃度のcGMPのために、暗闇において開く。これは、膜の持続性脱分極及び構成する神経伝達物質の開放を引き起こす。光による刺激に基づいて、cGMPレベルは低下し、CNGチャンネルを閉じる。これは、膜の過剰分極化、内部Ca2+濃度の低下、及び神経伝達物質の開放の低下を引き起こす(Finn, JT. など.,Ann. Rev. Physiol. 58: 395-426, 1996)。
【0006】
CNGチャネルは、多くの組織に見出されており、このことは、それらのチャネルが膜電位及び細胞質カルシウムレベルの変化に種々の刺激を連結することができる(Ding, C. など., Am. J. Physiol. 272 (Cell Physiol. 41): C1335-C1344, 1997; Kingston P, Sunapse 32: 1-12, 1999)。例えば、網膜及び嗅覚CNGチャネルは、脳の種々の部分において発現される(Ding, C. など., Am. J. Physiol. 272 (Cell Physiol. 41): C1335-C1344, 1997; Kingston P, Synapse 32: 1-12, 1999)。
【0007】
それらのチャネルはCa2+に対して高い透過性であるので、それらは、ニューロン活性に対して有意な効果を有するCa2+−依存性経路を刺激することができる。より直接的には、それらは、刺激的脱分極化を付与することによって、ニューロン活性に寄与することができる。CNGチャネルは、学習及び記憶において重要な機構である長く持続する変化を提供するために、他の第2メッセンジャーシステム、例えば酸化窒素−経路と相互作用することができる(Kingston P, Synapse 32: 1-12, 1999)。
【0008】
CNGチャネルは、精巣において見出されており、そして内部Ca2+濃度の調節を通して、精子の走化性に関与されている(Wey and , L. なd., nature 368: 859-863, 1994)。CNGチャネルの発現はまた、心臓、大動脈及び腎臓においても注目されており、ここでそれらはそれぞれ、心拍、血圧及び電解質輸送の調節において役割を演じることができる(Finnなど., Ann. Rev. Physiol. 1996, 58: 395-426)。CNGチャネル機能の十分な範囲はまだ完全には理解されていないが、しかしそれらの多くの生理学的工程においてキー的な役割を演じていることは明確である。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、ヒトCNG3B、すなわち環状ヌクレオチドゲートのカチオンチャネルの新規サブユニットの第1の単離及び特徴化を提供する。本発明は、CNG3Bのヌクレオチド及びアミノ酸配列、並びにCNG3Bのモジュレーターをアッセイするための方法、CNG3Bに対する抗体、及びCNG3B核酸及びタンパク質の検出方法を提供する。
【0010】
第1観点においては、本発明は、(i)少なくとも1つの追加のαサブユニットと共に、環状ヌクレオチド−ゲートの特徴を有するカチオンチャンネルを形成し;そして(ii)配列番号1のアミノ酸210〜661に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する副配列を含んで成る、カチオンチャンネルのCNG3Bサブユニットを含んで成るポリペプチドをコードする単離された核酸を提供する。
【0011】
1つの態様においては、前記ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに対して生成される抗体に対して特異的に結合する。もう1つの態様においては、ポリペプチドはヒトCNG3Bをコードする。もう1つの態様においては、前記核酸は、配列番号1のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードする。
【0012】
1つの態様においては、前記核酸は、配列番号2又は3のヌクレオチド配列を含んで成る。もう1つの態様においては、前記核酸は、
TCTATCTCCTGTGGCTCTTGCTTGTC(配列番号4);
GAGTCTGGGCTGGATAAATAGCATATC(配列番号5);
AGGAATTGGCACTACTAGATGGGTG(配列番号6);
TTCATGAGGATCCTTTCAGAATCTGG(配列番号7);
GGAAACCGTCGAACTGCCAATGTGGT(配列番号8);
CGGGTTTGCCAATCTTTTAACTCTAGAC(配列番号9);
GTCCGCAATAAGCCACTAGTGTATG(配列番号10);
TGACAAGCTTCCGCCATGTTTAAATCGCTGACAAAACTC(配列番号11);及び
TGACGAATTCTCCCAGCATGTCGTTTCCCCTCGTTAA(配列番号12)
から成る群から選択されたプライマーと同じ配列に対して、緊縮ハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズするプライマーにより増幅される。
【0013】
もう1つの態様においては、前記ポリペプチドは、ヘテロマ−性環状ヌクレオチドゲートのカチオンチャネルのβサブユニットを含んで成る。もう1つの態様においては、前記核酸は、配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列を含んで成る核酸に対して、適度な緊縮ハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズする。
もう1つの観点においては、本発明は、配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列を含んで成る核酸に対して、緊縮条件下で特異的にハイブリダイズする、CNG3Bポリペプチドをコードする単離された核酸を提供する。
【0014】
もう1つの観点においては、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列をコードする核酸に対して緊縮条件下で特異的にハイブリダイズする単離された核酸を提供する。
もう1つの観点いおいては、本発明は、核酸と上記単離された核酸とを接触せしめることを含んで成る、核酸の検出方法を提供する。
もう1つの観点においては、本発明は、本発明の核酸を含んで成る発現ベクター、及びそのような発現ベクターを含んで成る宿主細胞を提供する。
【0015】
もう1つの観点においては、本発明は、(i)少なくとも1つの追加のαサブユニットと共に、環状ヌクレオチド−ゲートの特徴を有するカチオンチャンネルを形成し;そして(ii)配列番号1のアミノ酸210〜661に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する副配列を含んで成る、カチオンチャンネルのCNG3Bサブユニットを含んで成る単離されたポリペプチドを提供する。
【0016】
1つの態様においては、ポリペプチドは、配列番号1に対して生成される抗体に対して特異的に結合する。もう1つの態様においては、前記ポリペプチドは約より87kD〜約97kDの分子量を有する。もう1つの態様においては、前記ポリペプチドは、ヒトCNG3Bのアミノ酸配列を有する。もう1つの態様においては、前記ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0017】
もう1つの態様においては、前記ポリペプチドは、ヘテロマ−性環状ヌクレオチドゲートのカチオンチャネルのβサブユニットを含んで成る。
もう1つの観点においては、本発明は、本明細書に記載されるCNG3Bポリペプチドに対して特異的に結合する抗体を提供する。
もう1つの態様においては、抗体が結合するポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0018】
もう1つの観点においては、本発明は、(i)前記化合物とCNG3Bポリペプチドサブユニットとを接触せしめ、ここで前記ポリペプチドが、(a)少なくとも1つの追加のαサブユニットと共に、環状ヌクレオチド−ゲートの特徴を有するカチオンチャンネルを形成し;そして(b)配列番号1のアミノ酸210〜661に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する副配列を含んで成り;そして(ii)前記カチオンチャネルに対する前記化合物の機能的効果を決定する段階を含んで成る、カチオンチャネルを通してのイオン流を高めるか又は低める化合物の同定方法を提供する。
【0019】
1つの態様においては、機能的効果は、物理的効果又は化学的効果である。もう1つの態様においては、ポリペプチドは、真核宿主細胞又は細胞膜において発現される。もう1つの態様においては、前記機能的効果が、イオン流、イオン濃度の変化、電流の変化又は電圧の変化を測定することによって決定される。もう1つの態様においては、機能的効果は、チャネルに結合するリガンドを測定することによって決定される。
1つの態様においては、ポリペプチドは組換え体である。もう1つの態様においては、カチオンチャネルはヘテロマーである。もう1つの態様においては、ポリペプチドはヒトCNG3Bである。もう1つの態様においては、ポリペプチドは配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0020】
もう1つの観点においては、本発明は、CNG3Bポリペプチドを含んで成る環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルを通してイオン流を高めるか又は低める化合物の同定方法を提供し、ここで前記方法は、(i)CNG3Bポリペプチドの少なくとも25個のアミノ酸のアミノ酸配列又はCNG3Bポリペプチドをコードする核酸の少なくとも75個のヌクレオチドを、コンピューターシステムに入力し、ここで前記CNG3Bポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸210〜661に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する副配列を含んで成り;(ii)前記アミノ酸配列によりコードされるポリペプチドの三次元構造を生成し;(iii)CNG3Bポリペプチドを含んで成るカチオンチャネルの三次元構造を生成し;(iv)前記化合物の三次元構造を生成し;そして(v)前記化合物が前記ポリペプチドに結合するか否かを決定するために、前記ポリペプチド及び化合物の三次元構造を比較する段階を含んで成る。
【0021】
もう1つの観点においては、本発明は、対象における疾病を処理するために、CNG3Bサブユニットを含んで成るCNGカチオンチャネルを通してイオン流を調節するための方法に関し、ここで前記方法は本明細書に記載の方法を用いて同定された、治療的有効量の化合物を、前記対象に投与する段階を含んで成る。
もう1つの観点においては、本発明は、(i)性物学的サンプルを単離し;(ii)CNG3Bに選択的に会合するCNG3B−特異的試薬と前記生物学的サンプルとを接触せしめ;そして(iii)前記サンプルに選択的に会合するCNG3B特異的試薬のレベルを検出する段階を含んで成る、ヒト組織におけるCNG3Bの存在をを検出するための方法を提供する。
【0022】
1つの態様においては、前記CNG3B−特異的試薬が、CNG3B−特異的抗体、CNG3B−特異的オリゴヌクレオチドプライマー及びCNG3B−核酸プローブから成る群から選択される。
もう1つの態様においては、本発明は、(i)配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列及びその保存的に修飾されたバージョンを有するCNG3Bポリペプチドをコードする第1の核酸配列を前記コンピューターシステムに入力し;(ii)前記第1の核酸配列と、その第1の核酸配列に対して実質的な同一性を有する第2の核酸配列を比較し;そして(iii)前記第1及び第2の核酸配列間のヌクレオチド差異を同定する段階を含んで成る、ヒトCNG3B遺伝子の突然変異についてのコンピューターシステムでのスクリーニング方法を提供する。
【0023】
1つの態様においては、前記第2の核酸配列は、疾病状態に関連している。
もう1つの観点においては、本発明は、CNG3Bポリペプチドの三次元構造をコンピューターシステムにおいて同定するための方法を提供し、ここで前記方法は、(i)CNG3Bポリペプチドの少なくとも35個のアミノ酸のアミノ酸配列又はCNG3Bポリペプチドをコードする核酸の少なくとも105個のヌクレオチドを、コンピューターシステムに入力し、ここで前記CNG3Bポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸210〜661に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する副配列を含んで成り;そして(ii)前記アミノ酸配列によりコードされるポリペプチドの三次元構造を生成する段階を含んで成る。
【0024】
1つの態様においては、前記方法はさらに、CNG3Bポリペプチドを含んで成るカチオンチャネルの三次元構造を生成する段階を含んで成る。
1つの態様においては、アミノ酸配列は一次構造であり、そして前記生成段階は、(i)一次構造により決定されるエネルギー条件を用いて、前記一次構造から二次構造を形成し;そして(ii)前記二次構造により決定されるエネルギー条件を用いて、前記二次構造から三次構造を形成する段階を包含する。もう1つの態様においては、生成段階はさらに、三次構造によりコードされる異方性条件を用いて、前記三次構造からの四次構造を形成する段階を包含する。もう1つの態様においては、前記方法はさらに、リガンドに結合するポリペプチドの三次構造の領域を同定し、そしてCNG3Bポリペプチドを含んで成るカチオンチャネルに結合するリガンドを同定するための領域を使用する段階を含んで成る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1−1】図1-1は、ヒトCNGA1及びCNGA3とCNG3Bとのアミノ酸一列整列を示す。同一の残基は陰影部であり、そして右端での数字はアミノ酸位置を示す。
【図1−2】図1-2は、ヒトCNGA1及びCNGA3とCNG3Bとのアミノ酸一列整列を示す。同一の残基は陰影部であり、そして右端での数字はアミノ酸位置を示す。
【0026】
【図2−1】図2-1は、PCRフラグメントのアセンブリーに由来する完全なCNG3B配列を示す。コード配列は太字で示され、そして未翻訳配列は通常の型で存在する。
【図2−2】図2-2は、PCRフラグメントのアセンブリーに由来する完全なCNG3B配列を示す。コード配列は太字で示され、そして未翻訳配列は通常の型で存在する。
【図2−3】図2-3は、PCRフラグメントのアセンブリーに由来する完全なCNG3B配列を示す。コード配列は太字で示され、そして未翻訳配列は通常の型で存在する。
【0027】
【図3−1】図3-1は、完全なCNG3Bコードヌクレオチド配列を示す。
【図3−2】図3-2は、完全なCNG3Bコードヌクレオチド配列を示す。
【図3−3】図3-3は、完全なCNG3Bコードヌクレオチド配列を示す。
【図4】図4は、完全なCNG3Bアミノ酸配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の特定の記載:
I.序説:
本発明は、CNG3B、すなわちCNGファミリーの環状ヌクレオチドゲートのカチオンチャネルのメンバーをコードする核酸を最初に提供する。このファミリーのメンバーは、6個のトランスメンブラン領域、孔モチーフ、及び細胞質環状ヌクレオチド結合ドメインを有するカチオンチャネルのポリペプチドサブユニットである。CNG3Bは、βサブユニットである、このファミリーのメンバーに類似し、そして従って、たぶんβサブユニット自体である。
【0029】
βサブユニットは、機能するのにヘテロマルチマーを必要とするので、及びCNG3Bは網膜において発現されるので、たぶん、CNG3Bは、網膜において発現される、CNGA1及び/又はCNGA3、すなわち2つのCNGαサブユニットと共に機能的へテロマルチマーを形成する。CNG3Bは網膜において発現されるので、視覚障害の処理において有用であるCNG3B機能のモジュレーターが同定され得る。さらに、CNG3Bは精巣において発現されるので、従って、精子運動性において役割を演じ、そしてCNG3Bのモジュレーターはまた、不妊症の処理において又は避妊薬としても有用である。
【0030】
従って、本発明は、CNG3Bサブユニットを含むカチオンチャネルの活性化因子及びインヒビターにおいてスクリーニングするための方法を提供する。そのようなカチオンチャネル活性のモジュレーターは、視覚障害を包含する障害を処理するために、及び男性不妊の処理のために又は避妊薬として有用である。
【0031】
さらに、本発明は、CNG2Bが直接的又は間接的レポート分子として作用するCNG活性についてのアッセイを提供する。アッセイ及び検出システムにおけるレポーター分子としてのCNG3Bのそのような使用は、広い用途を有し、例えばCNG3Bは、カチオン濃度、膜電位、電流の流れ、イオン流、転写、シグナルトランスダクション、受容体−リガンド相互作用、第2メッセンジャー濃度の変化を、インビトロ、インビボ及びエクスビボで測定するためのレポーター分子として使用され得る。1つの態様においては、CNG3Bは、特定の方向において(例えば、外部又は内部へのカチオンの流れ)、電流の流れのインジケーターとして使用され得、そしてもう1つの態様においては、CNG3Bは、第2のレポーター分子、例えば緑色蛍光タンパク質への結合を通して間接的レポーターとして使用され得る。
【0032】
本発明はまた、CNG3Bファミリーメンバーにより提供されるチャネル多様性の調査を可能にする、CNG3B核酸及びタンパク質発現の検出方法、及び視覚障害及び男性不妊を包含する障害の診断方法も提供する。
最終的に、本発明は、CNG3B遺伝子又はタンパク質の突然変異についてスクリーニングするための方法を提供する。本発明は、コンピューターの使用によりCNG3Bにおける突然変異についてスクリーニングするための方法を包含するが、但し、それだけには限定されない。同様に、本発明は、CNG3Bポリペプチドの三次元構造を同定するための方法、及びCNG3Bの三次元構造を含んで成る、得られるコンピューター読み取り像又はデータを同定するための方法を提供する。CNG3B遺伝子又はタンパク質の突然変異をスクリーニングするための他の方法は、高密度オリゴヌクレオチドアレイ、PCR、イムノアッセイ及び同様のものを包含する。
【0033】
機能的には、CNG3Bポリペプチドは、環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルのサブユニット、例えばβサブユニットである。典型的には、CNG3B−含有−チャネルは、ヘテロマーであり、そしてCNG3Bサブユニットの他に、1又は複数のCNGαサブユニットを含む。カチオンチャネルにおけるCNG3Bの存在は、ヘテロマーチャネルの活性を調節し、そして従って、チャネル多様性を増強することができる。チャネル多様性はまた、CNG3B遺伝子の二者択一的にスプライシングされた形により増強される。CNG3B核酸は、多くのヒト組織、例えば網膜及び精巣からのcDNAから単離されている。
【0034】
構造的に、ヒトCNG3Bのヌクレオチド配列(配列番号2〜3)は、約92kDの予測される分子量及び87〜97kDの予測される分子量範囲を有するポリペプチドモノマーをコードする。特に、CNG3Bのアミノ酸配列は、アミノ酸210−661に対応する保存された領域を有する。この保存された領域は、環状ヌクレオチドゲートのチャネルの特徴的モチーフを含む。それらのモチーフは、6個の予測されるトランスメンブランドメイン、環状ヌクレオチド−ゲートのチャネルの孔モチーフに相同の領域(Zagotta & Seigelbaum, Ann. Rev. neurosci. 19; 235-263 (1996); San など., Neuron 16: 141-149 (1996))、及び環状ヌクレオチド結合モチーフを包含する。
【0035】
それらの3種の特徴的モチーフを含むすべてのタンパク質は、環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルのα又はβサブユニットとして機能することが示されている(Dhallanなど. Neurosci. 12: 3248-3256(1992);Wissingerなど., Eur. J. Neurosci. 9: 2512-2521(1997);Gerstnerなど., J. Neurosci. 20: 1324-1332 (2000); Liman & Buck, Neuron 13: 611-621 (1994); Chenなど.,Nature 362: 764-767 (1993): 及びDhallanなど., Nature347: 184-187(1990))。他の種からの関連CNG3B遺伝子は、保存された領域において、少なくとも約60%,65%,70%、75%,80%、好ましくは85%、90%又は95%のアミノ酸同一性を共有する。
【0036】
本発明はまた、配列番号1で示されるヒトCNG3Bの次の多形変異体を提供する:リシン残基がアミノ酸位置142でアルギニン残基により置換されている変異体#1;アスパラギン残基がアミノ酸位置154でアスパラギン酸残基により置換されている変異体#2;バリン残基がアミノ酸位置675でロイシン残基により置換されている変異体#3;及びセリン残基がアミノ酸位置682でグリシン残基により置換されている変異体#4.
【0037】
CNG3Bヌクレオチド及びアミノ酸配列の特定の領域は、CNG3B多形変異体、種間相同体及び対立遺伝子を同定するために使用され得る。この同定は、例えば緊縮ハイブリダイゼーション条件及び配列決定下で、又は他のヌクレオチド配列との比較のためにコンピューターシステムにおける配列情報を用いることによって、又はCNG3Bに対して発生された抗体を用いて、インビトロで行われ得る。典型的には、CNG3B多形変異体、オルト体及び対立遺伝子の同定は、配列番号1のアミノ酸210−661に対応する保存された領域のアミノ酸配列(又は、アミノ酸配列をコードする核酸)に比較することによって行われる。
【0038】
保存された領域(配列番号1のアミノ酸210〜661)における少なくとも60%又はそれ以上、65%, 70%,75%,80%,好ましくは85%,最も好ましくは90%−95%又はそれ以上のアミノ酸同一性は典型的には、1つのタンパク質がCNG3B多形変異体、種間相同体又は対立遺伝子であることを示す。配列比較は典型的には、下記に論じられるデフォールトパラメーターと共に、BLAST又はBLAST2.0アルゴリズムを用いて行われる。
【0039】
CNG3B多形変異体、種間相同体及び対立遺伝子は、推定上のCNG3B多形モノマーを発現するか又は同時発現し、そしてそれがCNGファミリー機能及び生化学的特徴を有するカチオンチャネルを形成するかどうかを試験することによって確かめられ得る。このアッセイは、CNG3Bの保存された領域に対して約60%又はそれ以上、65%,70%,75%,80%,好ましくは85%,90%又は95%,又はそれ以上のアミノ酸同一性を有するタンパク質が、CNG3Bと同じ機能的特徴を共有し、そして従って、CNG3Bの種である。典型的には、配列番号1のアミノ酸配列を有するヒトCNG3Bは、CNG3B多形変異体、オルト体、保存的に修飾された変異体又は対立遺伝子の同定を示すために、推定上のCNG3Bタンパク質に比較して正の対照として使用される。
【0040】
CNG3Bヌクレオチド及びアミノ酸配列情報はまた、環状ヌクレオチドゲートのカチオンチャネルのモデルを構成するためにコンピューターシステムに使用され得る。続いて、それらのモデルは、CNG3Bポリペプチドを含んで成る環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルを活性化するか又は阻害することができる化合物を同定するために使用される。CNG3Bポリペプチドを含んで成るチャネルの活性を調節するそのような化合物は、チャネル活性の調節及びチャネル多様性においてCNG3Bポリペプチドの役割を調べるために使用され得る。
【0041】
生物学的活性のCNG3Bの単離は、CNG3Bサブユニットを含んで成る環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルのインヒビター及び活性化因子についてアッセイするための手段を始めて提供する。生物学的活性のCNG3Bポリペプチドは、例えば電圧又は電流の変化を測定する、CNG3Bのサブユニットを含んで成る環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルのインヒビター及び活性化因子をインビボ及びインビトロ発現を用いて試験するために有用である。少なくとも1つのCNG3Bサブユニット、任意には4個までのCNG3Bサブユニットを含んで成るカチオンチャネルを用いて同定される活性化因子及びインヒビターは、環状ヌクレオチド−ゲート、チャネル運動学、及びカチオンチャネルの導電性質をさらに研究するために使用され得る。
【0042】
そのような活性化因子及びインヒビターは、異常イオン流を有する疾病、例えばウィルス疾患及び男性不妊症を包含する障害を処理するための医薬剤として有用である。CNG3B核酸及びポリペプチド、及びCNG3Bポリペプチドを含んで成るチャネルの発現を検出するための方法はまた、例えば上記のような、異常イオン流を包含する疾病への診断用途のためにも有用である。例えば、ヒトCNG3Bをコードする遺伝子の染色体位置決定は、CNG3Bにより引き起こされ、そしてそれに関連する疾病を同定するために使用され得る。CNG3Bを検出するための方法はまた、チャネル多様性、及びチャネル活性の調節におけるCNG3Bの役割を試験するためにも使用である。
【0043】
II.定義:
本明細書において使用される場合、次の用語は、特にことわらない限り、それらに帰因する意味を有する。
用語“保存される領域”とは、この特定のタンパク質(配列番号1のアミノ酸210−661)を構造的に同定するCNG3Bの領域を言及する。この領域は、CNG3B多形変異体、オルト体、保存的に修飾された変異体、相同体及び対立遺伝子を同定するために使用され得、それらの個々は、本明細書に記載されるパラメーターを用いて、配列比較アルゴリズム、例えばBLASTPを用いてアミノ酸配列同一性比較を通して、保存される領域又は十分な長さのCNG3B配列に対して、少なくとも約60%,65%,70%,75%,80%,好ましくは85%,90%,95%又はそれ以上のアミノ酸配列同一性を、典型的には含んで成るであろう。
【0044】
“CNG3B”とは、環状ヌクレオチドゲートのカチオンチャネルのサブユニット又はモノマー、及びCNGファミリーのメンバーであるポリペプチドを言及する。CNG3Bがカチオンチャネル、例えばヘテロマーカチオンチャネルの一部である場合、そのチャネルは環状ヌクレオチドゲートの特徴を有する。従って用語CNG3Bは、
(1)CNG3B保存領域(配列番号1のアミノ酸210−661)に対して、約60%以上のアミノ酸同一性、65%,70%,75%,80%,好ましくは85%,90%又は95%のアミノ酸配列同一性を有するか、又は最適には、配列番号1のCNG3Bアミノ酸配列に対して、60%,65%,70%,75%,80%,85%,90%,95%,又はそれ以上の同一性を包含し;
(2)配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1のアミノ酸210−661及び保存的に修飾されたその変異体を含んで成る免疫原に対して生ぜしめられた抗体、例えばポリクローナル抗体に結合し;
【0045】
(3)配列番号2−3の配列、又は配列番号1のアミノ酸210−661をコードするヌクレオチド配列、及び保存的に修飾されたその変異体に対して、緊縮ハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズし;又は
(4)配列番号6−13から成る群から選択されたプライマー組みと同じ配列に対して、緊縮ハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズする、CNG3B多形変異体、対立遺伝子、変異体及び種間相同体を言及する。
【0046】
用語“環状ヌクレオチド−ゲートの”活性又は“環状ヌクレオチド−ゲート”とは、個々のポリペプチドモノマー又はサブユニットから構成されるカチオンチャネルの特徴を言及する。一般的に、環状−ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルは、環状ヌクレオチド、例えばcGMP及びcAMPの直接的な結合により開かれる非選択性カチオンチャネルの種類である。CNGチャネルはNa+及びCa2+に対して高い透過性であり、そしてそれらの活性化は脱分極化を導き、そして内部Ca2+濃度を高める。
【0047】
従って、CNGチャネルは、細胞質環状ヌクレオチドレベルの変化を、細胞興奮性、神経伝達物質の分泌及び/又はカルシウム依存性経路の刺激の変化に結合することができる。CNGチャネルは、種々の細胞、例えば網膜、嗅覚又は味覚芽細胞において、一時知覚刺激、例えば光及びエアロゾル化された又は溶解された分子に応答して、知覚シグナルトランスダクションにおいて重要な役割を演じる。光受容体細胞においては、CNGチャネルは、cGNPの高い基礎濃度のために暗闇において開き、膜の持続性脱分極化及び構成的な神経伝達物質の開放を引き起こす。
【0048】
光による刺激に基づいて、cGMPレベルは低化し、CNGチャネルは接近し、そして膜の過分極、内部Ca2+濃度の低下及び神経伝達物質開放の低下を引き起こす。CNGチャネルはまた、第2メッセンジャーシステム、例えば窒素経路と相互作用することができる。CNGチャネルはまた、他の組織、例えば精巣において役割を演じ、ここでそれらは、内部Ca2+濃度を調節することによって精子の走化性に関与することができる(例えば、Weyand, I., など., Nature, 368: 859-863, 1994を参照のこと)。
【0049】
“ホモマーチャネル”とは、同一のαサブユニットから構成されるCNGチャネルを言及し、そして“ヘテロマーチャネル”とは、少なくともCNGαサブユニット、例えばCNGA1又はCNGA3、及び少なくとも1つの他のタイプのα又はβサブユニット、例えばCNG3Bから構成されるCNGチャネルを言及する。
【0050】
“βサブユニット”は、αサブユニットから構成されるCNGカチオンチャネルの補助サブユニットであるポリペプチドモノマーであり;しかしながら、βサブユニットは単独でチャネルを形成できない(例えば、アメリカ特許第5,776,734号を参照のこと)。βサブユニットは、αサブユニットの細胞表面に達することを、助けることによってチャネルの数を高め、活性化運動学を変更し、そしてチャネルに結合する天然のリガンドの感受性を変更することが知られている。βサブユニットは、孔領域外に存在することができ、そしてその孔領域を含んで成るαサブユニットと会合され得る。それらはまた、孔領域の外部口にも寄与することができる。
【0051】
CNG3Bを含んで成るチャネルに影響を与える化合物を試験するためのアッセイにおける、用語“機能的効果”とは、チャネルの影響下に、間接的に又は直接的にあるいずれかのパラメーター、例えば機能的、物理的及び化学的効果の決定を包含する。それは、物理的及び化学的効果、例えば、イオン流及び膜電位の変化、リガンド結合の変化を包含し、そしてまた、他の生理学的効果、例えば神経伝達物質又はホルモン開放の上昇又は低下も包含する。
【0052】
“機能的効果の決定”とは、細胞又は細胞膜機能に関して、細胞又は細胞膜に対するイオン流を高めるか又は低める化合物の効果を試験することを言及する。イオン流は、チャネルを通して通過するいずれかのイオン及びその類似体、例えばナトリウム、カルシウムであり得る。好ましくは、前記用語は、CNG3Bを含んで成るチャネルに対して化合物の機能的効果、例えばイオン流、例えば放射性同位体の変化、電流振幅、膜電位、電流の流れ、転写、タンパク質結合、リン酸化、脱リン酸化、第2メッセンジャー濃度(cAMP, cGMP, Ca2+, IP3)、リガンド結合、イオン濃度の変化及び他の生理学的効果、例えばホルモン及び神経伝達物質の開放、並びに電圧及び電流の変化を言及する。そのような機能的効果は、当業界において知られているいずれかの手段、例えばパッチクランピング、電圧感受性色素、イオン感受性色素、完全な細胞電流、放射性同位体流出、誘発性マーカー及び同様のものにより測定され得る。
【0053】
CNG3Bポリペプチドを含んで成る環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルの“インヒビター”、“活性化因子”又は“モジュレーター”とは、CNG3Bチャネル機能についてのインビトロ及びインビボ又はアッセイを用いて同定される阻害又は活性化分子を言及する。インヒビターは、活性化を低めるか、阻止するか、妨げるか、遅延するか、不活性化するか、除感作するか又はダウンレギュレートする化合物である。インヒビター及び活性化因子についてのそのようなアッセイは、例えば細胞又は細胞膜においてCNG3Bポリペプチド、例えばCNG3Bを発現し、そして次に、チャネルを通してのイオン流を測定し、そして分極化(すなわち、電位)の変化を決定することを包含する。
【0054】
他方では、内因性CNG3Bチャネルを発現する細胞が、そのようなアッセイにおいて使用され得る。阻害の程度を試験するためには、CNG3Bチャネルを含んで成るサンプル又はアッセイは、可能性ある活性化因子又はインヒビターにより処理され、そしてインヒビターを有さない対照サンプルに比較される。対照サンプル(インヒビターにより処理されていない)は、100%の相対的CNG3B活性値を与えられる。CNG3Bを含んで成るチャネルの阻害は、対照に対するCNG3B活性値が約90%,好ましくは50%,より好ましくは25〜1%である場合、達成される。CNG3Bを含んで成るチャネルの活性化は、対照に対するCNG3B活性値が110%、より好ましくは150%、最も好ましくは少なくとも200−500%以上、又は1000%又はそれ以上である場合、達成される。
【0055】
“生物学的活性の”CNG3Bポリペプチドは、本明細書に記載のようにして試験される環状ヌクレオチド−ゲートの特徴を有するカチオンチャネルを形成する能力を有するCNG3Bポリペプチド、例えばCNG3Bを言及する。
【0056】
用語“単離された”、“精製された”又は“生物学的に純度”とは、その天然の状態で見出される場合、通常付随する成分を実質的に有さない物質を言及する。純粋及び均質性は典型的には、分析化学技法、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高性能液体クロマトグラフィーを用いて決定される。調製物に存在する優性種であるタンパク質が実質的に精製される。特に、単離されたCNG3B核酸は、CNG3B遺伝子を端に有し、そしてCNG3B以外のタンパク質をコードする読み取り枠から分離される。用語“精製された”とは、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲルにおいて実質的に1つのバンドを生ぜしめることを示す。特に、核酸又はタンパク質は少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%及び最も好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味する。
【0057】
“核酸”とは、一本又は二本鎖形でのデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びそのポリマーを言及する。この用語は、合成的であり、天然に存在し、そして天然に存在せず、対照核酸として類似する結合性質を有し、そして対照ヌクレオチドに類似する態様で代謝される、既知のヌクレオチド類似体又は修飾された主鎖残基又は連鎖を含む核酸を包含する。そのような類似体の例は、ホスホロチオエート、ホスホラミデート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0058】
特にことわらない限り、特定の核酸配列はまた、暗黙のうちに、保存的に修飾されたその変異体(例えば、縮重コドン置換)及び相補的配列、並びに明らかに示される配列を包含する。特に、縮重コドン置換は、1又は複数の選択された(又はすべての)コドンの第3位置が混合された塩基及び/又はデオキシイノシン残基により置換されている配列を生成することによって達成され得る(Batzerなど., Nucleic Acid Res. 19: 5081 (1991); Ohtsukaなど., J. Biol. Chem. 260: 2605-2608 (1985); Rossohiniなど., Mol. Cell. Probes 8: 91-98 (1994))。用語、核酸は、遺伝子、cDNA, mRNA、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドにより交換可能的に使用される。
【0059】
特定の核酸配列はまた、“スプライス変異体”を絶対的に包含する。同様に、核酸によりコードされる特定のタンパク質は、その核酸のスプライス変異体によりコードされるいずれかのタンパク質を絶対的に包含する。“スプライス変異体”は、遺伝子の二者択一のスプライシングの生成物である。転写の後、初期核酸転写体は、異なった(交互の)核酸スプライス生成物が異なったポリペプチドをコードするようスプライスされ得る。スプライス変異体の生成のための機構は、多様ではあるが、しかしエキソンの交互のスプライシングを包含する。読み合わせ転写により同じ核酸から誘導される他のポリペプチドはまた、この定義により包含される。スプライス生成物の組換え形を包含する、スプライス反応のいずれかの生成物が、この定義に包含される。
【0060】
用語“ポリペプチド”、“ペプチド”及び“タンパク質”とは、アミノ酸残基のポリマーを言及するために本明細書において交換可能的に使用される。この用語は、1又は複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的化学擬似体であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。
【0061】
用語“アミノ酸”とは、天然に存在する及び合成のアミノ酸、及び天然に存在するアミノ酸に類似する態様で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸擬似体を言及する。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードされるそれらのもの、及び後で修飾されるそれらのアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、及びO−ホスホセリンである。
【0062】
アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造、例えば水素に結合されるαカルボキシル、カルボキシル基、アミノ基及びR基を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを言及する。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド主鎖を有するが、しかし天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。アミノ酸擬似体は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なるが、しかし天然に存在するアミノ酸に類似する態様で機能する構造を有する化合物を言及する。
【0063】
アミノ酸は、IUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推薦される、それらの通常知られている3文字記号又は1文字記号により、本明細書においては言及され得る。同様に、ヌクレオチドは、それらの通常許容できる1文字コードにより言及され得る。
【0064】
“保存的に修飾された変異体”は、アミノ酸及び核酸配列の両者に適用される。特定の核酸配列に関しては、保存的に修飾された変異体とは、同一又は実質的に同一のアミノ酸配列をコードするそれらの核酸、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、実質的に同一の配列を言及する。遺伝子コードの縮重のために、多数の機能的に同一の核酸は、いずれかの所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA, GCC, GCG及びGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。
【0065】
従って、アラニンがコドンにより特定されるあらゆる位置で、コドンは、コードされるポリペプチドを変更しないで、記載されるそれらの対応するコドンのいずれかに変更され得る。そのような核酸変動は、保存的に修飾された変動の1つの種である“サイレント変動”である。ポリペプチドをコードするあらゆる核酸配列はまた、核酸のあらゆる可能なサイレント変動を記載する。当業者は、核酸における個々のコドン(通常、メチオニンのための唯一のコドンであるAUG、及び通常、トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)は、機能的に同一の分子を生成するために修飾され得る。従って、ポリペプチドをコードする核酸の個々のサイレント変動は、個々の記載される配列において絶対的である。
【0066】
アミノ酸配列に関しては、当業者は、コードされる配列における単一のアミノ酸又は低%のアミノ酸を変更し、付加し又は欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質配列に対する個々の置換、欠失又は付加は、変更が化学的に類似するアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす“保存的に修飾された変異体”であることを理解するであろう。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当業界において良く知られている。そのような保存的に修飾された変異体が、本発明の多形変異体、種間相同体及び対立遺伝子の他に存在し、そしてそれらを排除しない。
【0067】
次の8種のグループはそれぞれ、お互いのための保存性置換できるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、トレオニン(T);及び
8)システイン(S)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Protein (1984) を参照のこと)。
【0068】
高分子構造、例えばポリペプチド構造は、種々の構成レベルで記載され得る。この構造の一般的な議論に関しては、例えばAlbertsなど., molecular Biology of the Cell (3rd ed., 1994) 及びCantor and Schimmel, Biophsical Chemisitry Part I : The Conformation of Biological Macromolecules (1980) を参照のこと。“一次構造”とは、特定ペプチドのアミノ酸配列を言及する。“二次構造”とは、ポリペプチド内の局部的に指図された三次構造を言及する。
【0069】
それらの構造は、ドメインとして通常知られている。ドメインは、ポリペプチドのコンパクト単位を形成し、そして典型的には、50〜350個の長さのアミノ酸であるポリペプチドの一部である。典型的なドメインは、低級構造の部分、例えばβ−シート及びα−ヘリックスの長さから製造される。“第三構造”とは、ポリペプチドモノマーの完全な3次元構造を言及する。“第四構造”とは、独立した第三単位の非共有結合により形成される三次元構造を言及する。異方性用語はまた、エネルギー用語としても知られている。
【0070】
“ラベル”は、分光、光化学、生化学、免疫化学又は化学的手段により検出できる組成物である。例えば、有用なラベルは、32P、蛍光色素、電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAに通常使用されるような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテン、及び抗血清又はモノクローナル抗体が利用できるタンパク質(例えば、配列番号1のポリペプチドは、ペプチド中に放射性ラベルを組み込むことによって検出できるようにされ得、又はペプチドと特異的に反応する抗体を検出するために使用され得る)を包含する。
【0071】
本明細書において使用される場合、“核酸プローブ又はオリゴヌクレオチド”とは、1又は複数のタイプの化学結合を通して、通常、相補的塩基対合を通して、通常、水素結合形成を通して、相補的配合の標的拡散に結合できる核酸として定義される。本明細書において使用される場合、プローブは、天然の(すなわち、A, G, C又はT)、又は修飾された塩基(7−デアザグアノシン、イノシン、等)を包含する。さらに、プローブにおける塩基は、ホスホジエステル結合以外の結合により、それがハイブリダイゼーションを妨害しない限り、連結され得る。
【0072】
従って、例えば、プローブは、構成塩基がホスホジエステル結合よりもむしろペプチド結合により連結されるペプチド核酸であり得る。プローブが、ハイブリダイゼーション条件の緊縮性に依存して、プローブ配列との完全な相補性を欠いている標的配列を結合できることは、当業者により理解されるであろう。プローブは任意には、同位体、発光団、色原体により直接的にラベルされ、又はストレプタビジン複合体が後で結合することができるビオチンにより間接的にラベルされる。プローブの存在又は不在についてアッセイすることによって、選択配列又は副配列の存在又は不在を検出することができる。
【0073】
“ラベルされた核酸プローブ又はオリゴヌクレオチド”は、プローブの存在がプローブに結合されるラベルの存在を検出することによって検出され得るようラベルに、共有結合されるか、又はリンカー又は化学結合を通して結合されるか、又は非共有結合されるか、イオン、ファン・デル・ワールス、静電、又は水素結合により結合されるものである。
【0074】
用語“組換え”とは、細胞、核酸、タンパク質又はベクターに関して使用される場合、前記細胞、核酸、タンパク質又はベクターが異種核酸又はタンパク質の導入、又は生来の核酸又はタンパク質の変更により修飾されているか、又は細胞がそのようにして修飾された細胞に由来するかを示す。従って、例えば、組換え細胞は、細胞の生来(非組換え)形内に見出されない遺伝子を発現するか、又は他方では、異常に発現されるか、過少発現されるか又はまったく発現されない生来の遺伝子を発現する。
【0075】
“プロモーター”とは、核酸の転写を方向づける核酸制御配列のアレイとして定義される。本明細書において使用される場合、プロモーターは、例えばポリメラーゼII型のプロモーター、すなわちTATA要素の場合、転写の開始部位近の必要な核酸配列を包含する。プロモーターはまた任意には、転写の開始部位から数千の塩基対離れて位置する遠位エンハンサー又はリプレッサー要素を包含する。“構成”プロモーターとは、ほとんどの環境及び成長条件下で活性的であるプロモーターである。
【0076】
“誘発性”プロモーターとは、環境又は成長調節下で活性的であるプロモーターである。用語“操作可能的に連結された”とは、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター、又は転写因子結合部位のアレイ)と、第2核酸配列(ここで、発現制御配列が第2配列に対応する核酸の転写を方向づける)との間での機能的連鎖を言及する。
【0077】
用語“異種”とは、核酸の一部に関して使用される場合、核酸が、天然においてお互い同じ関係で見出されない複数の副配列を含んで成ることを示す。例えば、核酸は、新規の機能的核酸を製造するために整列された関連のない遺伝子からの複数の配列、例えば1つの源からのプロモーター及びもう1つの源からのコード領域を用いて、典型的には組換え的に生成される。同様に、異種タンパク質は、タンパク質が天然においてお互い同じ関係で見出されない複数の副配列(例えば、融合タンパク質)を含んで成ることを示す。
【0078】
“発現ベクター”とは、宿主細胞において特定の核酸転写を可能にする一連の特定の核酸要素により、組換え的に又は合成的に生成された核酸構造体である。発現ベクターは、プラスミド、ウィルス又は核酸フラグメントの一部であり得る。典型的には、発現ベクターは、プロモーターに操作可能的に連結される、転写されるべき核酸を包含する。
【0079】
複数の核酸又はポリペプチド配列における用語“同一の”又は%“同一性”とは、比較窓、又は次の配列比較アルゴリズムの1つを用いて、又は手動的一列整列及び眼による調査により測定されるような企画された領域にわたっての最大の対応性について比較され、そして一列整列される場合、同じである複数の配列又は副配列又はドメインを言及するか、又は同じであるアミノ酸残基又はヌクレオチドの特定された百分率(%)(すなわち、特定された領域、例えば配列番号1又は配列番号1のアミノ酸210−661に対して、60%の同一性、65%、70%、75%、80%、好ましくは85%、90%、95%の同一性、又はそれよりも高い同一性)を有する。次に、そのような配列は、“実質的に同一”であると言われる。この定義はまた、試験配列の補体も言及する。好ましくは、同一性は、少なくとも約25個の長さのアミノ酸又はヌクレオチドである領域、又はより好ましくは、50〜100個の長さのアミノ酸又はヌクレオチドである領域にわたって存在する。
【0080】
配列比較のためには、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される対照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験及び対照配列がコンピューターに入力され、副配列座標が、必要により企画され、そして配列アルゴリズムプログラムパラメーターが企画される。デフォールトプログラムパラメーターが使用され、又は他のパラメーターが企画され得る。次に、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメーターに基づいて、対照配列に対しての試験配列について%配列同一性を計算する。CNG3B核酸及びタンパク質、例えばCNG3Bに対する核酸及びタンパク質の配列比較に関しては、下記に論じられるBLAST2.0アルゴリズム及びデフォールトパラメーターが使用される。
【0081】
“比較窓”とは、本明細書において使用される場合、配列が、2種の配列が最適に列挙整列された後、同じ数の連続位置の対照配列に比較される、200〜600、通常約50〜約200、より通常には約100〜約150から成る群から選択された連続位置の数のいずれか1つのセグメントに対する参照を包含する。比較のための配列の一列整列方法は、当業界において良く知られている。
【0082】
比較のための配列の最適一列整列は、例えばSmith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)の局部相同アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443 (1970) の相同一列整列アルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988) の類似性方法についての調査により、それらのアルゴリズムのコンピューター処理された実施(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI におけるGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)により、又は手動一列整列及び可視的調査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel など., eds. 1995 supplement))により行われ得る。
【0083】
%配列同一及び配列類似性を決定するために適切であるアルゴリズムの好ましい例は、それぞれ、Altschulなど., Nuc. Acids Res. 25: 3389-3402 (1977) 及びAltschulなど., J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990) に記載される、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST及びBLAST2.0は、本発明の核酸及びタンパク質についての%配列同一性を決定するために、本明細書に記載されるパラメーターと共に使用される。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/) を通して入手できる。
【0084】
このアルゴリズムは、データベース配列における同じ長さのワードと整列される場合、いくつかの陽性−値の限界評点Tと適合するか又はそれを満たす、問題の配列における長さWの短いワードを同定することによって、高い評点の配列対(HSP)を同定することを包含する。Tは、隣接ワード評点限界として言及される(Altschulなど., 前記)。それらの初期隣接ワードヒットは、それらを含む長いHSPを見出すために調査を開始するための種として作用する。このワードヒットは、累計整列評点が高められる限り、個々の配列にそって両方向に延長される。
【0085】
累計評点は、ヌクレオチド配列に関しては、パラメーターM(適合する残基の対についてのリワード評点;常に>0)及びN(ミスマッチ残基についてのペナルティー評点;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列に関しては、評点マトリックスが、累計評点を計算するために使用される。個々の方向へのワードヒットの延長は、次の場合、停止される:累計整列評点が、達成される最大値から量X、低下する場合;累計評点が、1又は複数の負の評点残基整列の蓄積のために、ゼロ又はそれ以下になる場合;又はいずれかの配列の終結に達する場合。
【0086】
BLASTアルゴリズムパラメーターW, T及びXが、一列整列の感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列についての)は、デフォールトとして、11のワードレングス(wordlength)(W), 10の期待値(E)、M=5,N=4,及び両鎖の比較を決定する。アミノ酸配列に関しては、BLASTPプログラムは、デフォールトとして、3のワードレングス及び10の期待値(E)を使用し、そしてBLOSUM62評点マトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915 (1989) を参照のこと)は、50の一列整列(B)、10の期待値(E)、M=5,N=4及び両鎖の比較を使用する。
【0087】
BLASTアルゴリズムはまた、2種の配列間の類似性の統計学的分析を行う(例えば、Karline Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787 (1993) を参照のこと)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、2種のヌクレオチド又はアミノ酸配列間での適合性が偶然に生じる確立の表示を提供する最少合計確立(P(N))である。例えば、核酸は、対照核酸に対する試験核酸の比較における最少合計確立が約0.2以下、より好ましくは約0.01以下、及び最も好ましくは約0.001以下である場合、対照配列に類似すると思われる。
【0088】
2種の核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一である表示は、第1の核酸によりコードされるポリペプチドが、下記に記載されるように、第2の核酸によりコードされるポリペプチドに対して生ぜしめられた抗体と免疫学的に交差反応することである。従って、ポリペプチドは典型的には、第2のポリペプチドと実質的に同一であり、ここで2種のペプチドは保存性置換によってのみ異なる。2種の核酸配列が、下記に記載されるように、実質的に同一である表示は、2種の分子又はそれらの補体が緊縮条件下でお互いハイブリダイズすることである。2種の核酸配列が実質的に同一であるさらにもう1つの表示は、同じプライマーが配列を増幅するためにしようされ得ることである。
【0089】
用語“選択的に(又は特異的に)ハイブリダイズする”とは、配列が複合体混合物(例えば、全細胞又はライブラリーDNA又はRNA)において存在する場合、緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、特定のヌクレオチド配列に対してのみの結合、複合体化、又はハイブリダイゼーションを言及する。
【0090】
用語“緊縮なイブレダイゼーション条件”とは、プローブが典型的には、他の配列を含まない、核酸の複雑な混合物においてその標的副配列にハイブリダイズするであろう条件を言及する。緊縮条件は配列−依存性であり、そして異なった環境下で異なるであろう。より長い配列はより高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに対する集中的なガイドは、Tijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Probes, “Overview of Principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays” (1993) に見出される。
【0091】
一般的に、緊縮条件は、定義されたイオン強度pHで、特定の配列に関して、熱溶融点(Tm)よりも約5〜10℃低くなるよう選択される。Tmは、標的物に対して相補的なプローブの50%が平衡(Tmで標的配列は過剰に存在するので、プローブの50%が平衡で支配される)で、標的配列にハイブリダイズする温度である(定義されたイオン強度、pH及び核酸濃度下で)。緊縮条件は、塩濃度がpH7.0〜8.3で、約1.0M以下のナトリウムイオン、典型的には約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン濃度(又は他の塩)であり、そして温度が、短いプローブ(例えば、10〜50個のヌクレオチド)に関して、少なくとも約30℃及び長いプローブ(例えば、50個以上のヌクレオチド)に関して、少なくとも約60℃であるそれらの条件であろう。
【0092】
緊縮条件はまた、不安定剤、例えば、ホルムアミドの添加により達成され得る。高い緊縮性のハイブリダイゼーションに関しては、陽性シグナルはバックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくはバックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。典型的な高い緊縮ハイブリダイゼーション又は緊縮ハイブリダイゼーション条件は次の通りである:50%ホルムアミド、5×SSC及び1%SDS、42℃でのインキュベーション、又は5×SSC、1%SDS、65℃でのインキュベーション、0.2×SSCでの洗浄を伴なう、及び0.1%SDS、65℃。
【0093】
PCRに関しては、アニーリング温度がプライマーの長さに依存して、約32℃〜48℃で変化することができるが、約36℃の温度が、低い緊縮増幅のために典型である。高い緊縮PCR増幅に関しては、高い緊縮アニーリング温度が、プライマーの長さ及び特異性に依存して、約50℃〜約65℃の範囲であり得るが、約62℃の温度が、典型である。高い及び低い緊縮増幅のための典型的なサイクル条件は、90℃〜95℃での30秒〜2分間の変性相、3秒〜2分間、持続するアニーリング相、及び約72℃での1〜2分間の延長相を包含する。
【0094】
緊縮条件下でお互いハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合、実質的に同一である。例えば、これは、核酸のコピーが、遺伝子コードにより可能にされる最大のコドン縮重を用いて創造される場合に生じる。そのような場合、核酸は典型的には、中位の緊縮ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。典型的な“中位の緊縮ハイブリダイゼーション”とは、40%のホルムアミド、1MのNaCl、1%のSDSの緩衝液における37℃でのハイブリダイゼーション、及び45℃での1×SSCによる洗浄を包含する。正のハイブリダイゼーションは、バックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者は、他のハイブリダイゼーション及び洗浄条件が類似する緊縮性の条件を提供するために使用され得ることを容易に理解するであろう。
【0095】
“抗体”とは、抗原を特異的に結合し、そして認識する、免疫グロブリン遺伝子及びそのフラグメントからの骨格領域を含んで成るポリペプチドを言及する。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε及びμ不変領域遺伝子、及び無数の免疫グルブリン可変領域遺伝子を包含する。L鎖はκ又はλとして分類される。H鎖は、それぞれ、免疫グルブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEとして定義される、γ、μ、α、δ又はεとして分類される。
【0096】
典型的な免疫グルブリン(抗体)構造単位は、テトラマーを含んで成る。個々のテトラマーは、2対の同一のポリペプチド鎖から構成され、個々の対は1つの“L”鎖(約25kDa)及び1つの“H”鎖(約50−70kDa)を有する、個々の鎖のN−末端は、抗原認識を主に担当する。約100〜110又はそれ以上にアミノ酸の可変領域を定義する。用語可変L鎖(VL)及び可変H鎖(VH)は、それぞれ、それらのL鎖及びH鎖を言及する。
【0097】
抗体は、例えば、損なわれていない免疫グロブリンとして、又は種々のペプチダーゼによる消化により生成される、十分に特徴づけられた多数のフラグメントとして存在する。従って、例えば、ペプシンは、F(ab)’2、すなわちそれ自体、ジスルフィド結合によりVH−CH1に連結されるL鎖であるFabのダイマーを生成するために、ヒンジ部におけるジスルフィド結合下で抗体を消化する。F(ab)’2は、ヒンジ部におけるジスルフィド結合を分解するために温和な条件下で還元され、それにより、F(ab)’2ダイマーがFab’モノマーに転換される。Fab’モノマーは、実質的に、ヒンジ部の一部を有するFabである(Fundamontal Immunology (Paul など., 3rd ed., 1993) を参照のこと)。
【0098】
種々の抗体フラグメントが損なわれていない抗体の消化に関して定義されているが、当業者は、そのようなフラグメントが化学的に、又は組換えDNA方法を用いることによって、新たに合成され得ることを理解するであろう。従って、用語“抗体”とは、本明細書において使用される場合、完全な抗体の修飾により生成される抗体フラグメント、又は組換えDNA方法を用いて新たに合成されたそれらの抗体フラグメント(例えば、一本鎖Fv)、又はファージ表示ライブラリーを用いて同定されるそれらの抗体フラグメントを包含する(例えば、McCaffertyなど., Nature 348: 552-554 (1990) を参照のこと)。
【0099】
モノクローナル又はポリクローナル抗体の調製に関しては、当業界において知られているいずれかの技法が使用され得る(例えば、Kohler & Milstein, Nature 256: 495-497 (1975); Kozborなど., Immunology Today 4: 72 (1983); Coleなど., pp. 77-96 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy (1985) を参照のこと)。一本鎖抗体の生成技法(アメリカ特許第4,946,778号)が、本発明のポリペプチドに対する抗体を生成するよう適合され得る。また、トランスジェニックマウス又は他の生物、例えば哺乳類が、ヒト適合された抗体を発現するために使用され得る。他方では、ファージ表示技法が、選択された抗原に対して特異的に結合する抗体及びヘテロマーFabフラグメントを同定するために使用され得る(例えば、McCaffertyなど., Nature 348: 552-554 (1990); Marksなど., Biotechnology 10: 779-783 (1992) を参照のこと)。
【0100】
“抗−CNG3B”抗体は、CNG3B遺伝子、cDNA又はその副配列、たとえばCNG3Bによりコードされるポリペプチドを特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
【0101】
“キメラ抗体”とは、(a)不変領域又はその一部が、変更され、置換され、又は交換され、その結果、抗原結合部位(可変領域)が、異なった又は変更された種類、エフェクター機能及び/又は種、又はキメラ抗体に新しい性質を付与する完全に異なった分子、例えば酵素、トキシン、ホルモン、成長因子、薬剤、等の不変領域に連結され;又は(b)可変領域又はその一部が、異なった又は変更された抗原特異性を有する可変領域により変更され、置換され、又は交換される、抗体分子である。
【0102】
用語“イムノアッセイ”とは、抗原を特異的に結合する抗体を使用するアッセイである。イムノアッセイは、抗原を単離し、標的化し、そして/又は定量化するための特定の抗体の特異的結合性質の使用により特徴づけられる。
【0103】
用語“抗体に対して特異的に(選択的に)結合する”、又は“特異的に(選択的に)免疫反応する”とは、タンパク質又はペプチドに関する場合、タンパク質及び他の生物学的物質の異種集団におけるタンパク質の存在の決定因子である結合反応を言及する。従って、企画されたイムノアッセイ条件下で、特定された抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、特定のタンパク質に結合し、そしてサンプルに存在する他のタンパク質に、有意な量で、実質的に結合しない。そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に対するその特異性について選択される抗体を必要とする。
【0104】
例えば、配列番号1に示されるようなCNG3B、又はスプライス変異体又はその一部に対して生ぜしめられたポリクローナル抗体は、CNG3B と特異的に免疫反応し、そして他のタンパク質とは免疫反応しないそれらのポリクローナル抗体のみを得るために選択され得る。この選択は、分子、例えば他のCNGファミリーメンバーと交差反応する抗体を控除することによって達成され得る。さらに、CNG3B多形変異体、対立遺伝子、オルト体及び保存的に修飾された変異体に対して生ぜしめられたポリクローナル抗体は、CNG3Bを認識するが、しかし他のCNGファミリーメンバーを認識しないそれらの抗体のみを得るために選択され得る。
【0105】
さらに、他のCNG3Bオルト体に対してではなくヒトCNG3Bに対する抗体が同じ態様で選択され得る。種々のイムノアッセイ型が、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために使用され得る。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、通常、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために使用される(例えば、特定の免疫活性を決定するために使用され得るイムノアッセイ型及び条件の記載については、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (1988) を参照のこと)。典型的には、特定の又は選択的反応は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍、及びより典型的には、バックグラウンドの10〜100倍以上であろう。
【0106】
用語“選択的に結合する”とは、上記で定義されたように、他の核酸と“選択的にハイブリダイズする”核酸の能力、又は上記で定義されたように、タンパク質に対して選択的に(又は特異的に)結合する抗体の能力を言及する。
“宿主細胞”とは、発現ベクターを含み、そして発現ベクターの複製又は発現を支持する細胞を意味する。宿主細胞は、原核細胞、例えば、E.コリ、又は真核細胞、例えば酵母、昆虫、両生類、又は哺乳類細胞、例えば、CHO、 HeLa、及び同様のもの、例えば培養された細胞、外植片、及びインビボ細胞を包含する。
【0107】
“生物学的サンプル”とは、本明細書において使用され得る場合、CNG3Bタンパク質をコードするCNG3Bポリペプチド又は核酸を含む生物学的組織又は流体のサンプルである。そのようなサンプルは、ヒトから単離された組織を包含するが、但しそれらだけには限定されない。生物学的サンプルはまた、組織の断片、例えば組織学的目的のための凍結された断片を包含することができる。生物学的サンプルは典型的には、真核生物、好ましくは真核生物、例えば菌類、昆虫、原生動物、鳥、魚、爬虫類及び好ましくは、哺乳類、例えばラット、マウス、ウシ、犬、テンジュクネズミ又はウサギ、及び最も好ましくは、霊長類、例えばチンパンジー又はヒトから得られる。
【0108】
III.CNG3Bポリペプチドをコードする遺伝子の単離:
A.一般的な組換えDNA方法:
本発明は、組換え遺伝学の分野における通常の技法に依存する。本発明に使用するための一般的な方法を開示する基本的なテキストは、Sambrookなど., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2nd ed., 1989); Kriegler Gene Transfer and Expresson: A Laboratory Manual (1990); 及びCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubelなど., eds., 1994) を包含する。
【0109】
核酸に関しては、サイズはキロ塩基(kb)又は塩基対(bp)のいずれかにより与えられる。それらは、アガロース又はアクリルアミドゲル電気泳動、配列決定された核酸、又は公開されたDNA配列から誘導された推定値である。タンパク質に関しては、サイズはキロドルトン(kDa)又はアミノ酸残基番号により与えられる。タンパク質サイズは、ゲル電気泳動、配列決定されたタンパク質、誘導されたアミノ酸配列、又は公開されたタンパク質配列からの推定値である。
【0110】
市販されていないオリゴヌクレオチドは、Van Devanterなど., Nucleic Acids Res. 12: 6159-6168 (1984) に記載のようにして、自動合成機を用いて、まず、Beaucage & Caruthers, Tetrahedron Lett. 22: 1859-1862 (1981) により記載される固相ホスホラミジットトリエステル方法に従って、化学的に合成され得る。オリゴヌクレオチドの精製は、生来のアクリルアミドゲル電気泳動、又はPearson & Reanier, J. Chrom. 255: 137-149に記載のようにして、アニオン交換HPLCのいずれかにより行われる。
クローン化された遺伝子及び合成オリゴヌクレオチドの配列は、Wallaceなど., Gene 16: 21-26 (1981) の二本鎖鋳型を配列決定するための鎖終結方法を用いて、クローニングの後に確かめられ得る。
【0111】
B.CNG3Bポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の単離のためのクローニング方法:
一般的に、CNG3B及び関連する核酸配列相同体をコードする核酸配が、cDNA及びゲノムDNAライブラリーからクローン化され、又はオリゴヌクレオチドプライマーによる増幅技法を用いて単離される。例えば、CNG3B配列は典型的には、核酸プローブ又はポリヌクレオチドとハイブリダイズすることによって、ヒト核酸(ゲノム又はcDNA)ライブラリーから単離され、その配列は配列番号2−3、好ましくは保存された領域(例えば、配列番号1のアミノ酸210−661を参照のこと)に由来する。CNG3B RNA及びcDNAが単離され得る適切な組織は網膜又は精巣である。好ましくは、増幅のための鋳型は、ヒト網膜の一部から製造された第一鎖cDNAである。
【0112】
プライマーを用いての増幅技法はまた、DAN又はRNAからのCNG3Bを増幅し、そして単離するためにも使用され得る。次のプライマーがまた、ヒトCNG3Bの配列を増幅するために使用され得る:
TCTATCTCCTGTGGCTCTTGCTTGTC(配列番号4);
GAGTCTGGGCTGGATAAATAGCATATC(配列番号5);
AGGAATTGGCACTACTAGATGGGTG(配列番号6);
TTCATGAGGATCCTTTCAGAATCTGG(配列番号7);
GGAAACCGTCGAACTGCCAATGTGGT(配列番号8);
CGGGTTTGCCAATCTTTTAACTCTAGAC(配列番号9);
GTCCGCAATAAGCCACTAGTGTATG(配列番号10);
TGACAAGCTTCCGCCATGTTTAAATCGCTGACAAAACTC(配列番号11);及び
TGACGAATTCTCCCAGCATGTCGTTTCCCCTCGTTAA(配列番号12)。
【0113】
それらのプライマーは、例えば次に、十分な長さのCNG3Bのためのライブラリーをスクリーンするために使用される、十分な長さの配列又は1〜数百のヌクレオチドのプローブを増幅するために使用され得る。例えば、オリゴ1(配列番号4)は、180bpのバンドを生成するためにオリゴ2(配列番号5)と共に使用され得、そしてオリゴ3(配列番号6)及びオリゴ4(配列番号7)は787bpのバンドを生成することができる。
【0114】
オリゴ8(配列番号11)及びオリゴ9(配列番号12)は、完全なコード領域を増幅するために使用され得る。さらに、他のオリゴに関しては、オリゴ8は、それぞれ約195bp、1.25kb又は145bpのバンドを生成するためにオリゴ2,4又は7(配列番号10)と共に使用され得る。同様に、オリゴ9は、それぞれ、約1.89kb,1.40kb、735bp又は703bpのフラグメントを生成するために、オリゴ1,3,5(配列番号8)、又は6(配列番号9)と共に使用され得る。
【0115】
CNG3B及びCNG3Bファミリーメンバーをコードする核酸はまた、プローブとして抗体を用いて、発現ライブラリーから単離され得る。そのようなポリクローナル又はモノクローナル抗体は、配列番号1の配列、又はその免疫原部分、例えば配列番号1のアミノ酸210〜661を用いて生ぜしめられ得る。
【0116】
CNG3Bの保存される領域に対して実質的に同一である、多形変異体、オルト体及び対立遺伝子は、CNG3B核酸プローブ、及びオリゴヌクレオチドを用いて、緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、ライブラリーをスクリーニングすることにより単離され得る。他方では、発現ライブラリーは、CNG3B相同体を認識し、そしてそのCNG3B相同体に選択的に結合する、ヒトCNG3B又はその一部(例えば、ヒトCNG3Bの保存された領域)に対して製造された、抗血清又は精製された抗体により、発現された相同体を免疫学的に検出することによって、CNG3B及びCNG3B多形変異体、オルト体及び対立遺伝子をクローン化するために使用され得る。
【0117】
cDNAライブラリーを製造するために、CNG3B mRNA、例えばヒトCNG3B mRNAに富んでいる源、例えば網膜又は精巣を選択すべきである。次に、mRNAが、逆転写酵素を用いて、cDNA中に転写され、組換えベクター中に連結され、そして増殖、スクリーニング及びクローニングのために、組換え宿主中にトランスフェクトされる。cDNAライブラリーを製造し、そしてスクリーニングするための方法は、良く知られている(例えば、Gubler & Hoffman, Gene 25: 263-269 (1983); Sambrookなど., 前記;Ausubelなど., 前記を参照のこと)。
【0118】
ゲノムライブラリーに関しては、DNAは、組織から抽出され、そして機械的に剪断され、又は酵素的に消化され、約12−20kbのフラグメントが生成される。次に、フラグメントは、所望するサイズから、グラジエント遠心分離により分離され、そしてバクテリオファージλベクターにおいて構成される。それらのベクター及びファージは、インビトロでパッケージングされる。組換えファージが、Bento & Davis, Science 196: 180-182 (1977) に記載のようにして、プラークハイブリダイゼーションにより分析される。コロニーハイブリダイゼーションは、一般的にGrunsteinなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 72: 3961-3965 (1975) に記載のようにして行われる。
【0119】
CNG3B及びCNG3B核酸及びその相同体、対立遺伝子、変異体、多形変異体、及び保存的に修飾された変異体を単離するための他の方法は、合成オリゴヌクレオチドプライマーの使用、及びRNA又はDNA鋳型の増幅を組合す(アメリカ特許第4,683,195号及び第4,683,202号;PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innisなど., eds. 1990) を参照のこと)。ポリメラーゼ鎖反応(PCR)及びリガーゼ鎖反応(LCR)のような方法は、mRNA, cDNA, ゲノムライブラリー又はcDNAライブラリーから直接的に、ヒトCNG3Bの核酸配列を増幅するために使用され得る。
【0120】
変性オリゴヌクレオチドは、本明細書において提供される配列を用いて、CNG3B相同体を増幅するために企画され得る。制限エンドヌクレアーゼ部位が、プライマー中に導入され得る。ポリメラーゼ鎖反応又は他のインビトロ増幅方法はまた、例えば発現されるべきタンパク質をコードする核酸配列をクローン化するために、生理学的サンプルにおけるCNG3B−コードmRNAの存在を検出するためのプローブとして使用するための核酸を製造するために、核酸配列決定のために、又は他の目的のために有用である。PCR反応により増幅された遺伝子は、アガロースゲルから精製され、そして適切なベクター中にクローン化され得る。
【0121】
CNG3Bの遺伝子発現はまた、当業者に知らされている技術、例えばmRNAの逆転写及び増幅、全RNA又はポリA+ RNAの単離、ノザンブロット、ドットブロット、現場ハイブリダイゼーション、RNアーゼ保護、高密度オリゴヌクレオチドアレイ技法及び同様のものにより分析され得る。
【0122】
合成オリゴヌクレオチドは、プローブとして使用するための又はタンパク質の発現のための組換えCNG3B遺伝子を構成するために使用され得る。この方法は、遺伝子のセンス及びナンセンス(アンチセンス)の両者を表す、通常40−120bpの長さの一連のオーバーラッピングオリゴヌクレオチドを用いて行われる。次に、それらのDNAフラグメントがアニーリングされ、連結され、そしてクローン化される。他方では、増幅技法は、CNG3B核酸の特定の副配列を増幅するために、正確なプライマーと共に使用され得る。次に、その特定の副配列が発現ベクター中に連結される。
【0123】
CNG3Bをコードする核酸は典型的には、複製及び/又は発現のために、真核又は原核細胞中への形質転換の前、中間ベクター中にクローン化される。それらの中間ベクターは典型的には、原核ベクター、例えばプラスミド又はシャトルベクターである。
【0124】
C.原核生物又は真核生物における発現:
クローン化された遺伝子又は核酸、例えばCNG3BをコードするそれらのcDNAの高レベル発現を得るためには、典型的には、転写を方向づけるための強いプロモーター、転写/翻訳ターミネーター、及びタンパク質コードの核酸に関しては、翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクター中に前記遺伝子をサブクローン化する。適切な細菌プロモーターは、当業者において良く知られており、そして例えば、Sambrookなど., 及びAusubelなどに記載されている。
【0125】
CNG3Bタンパク質を発現するための細菌発現システムは、例えばE.コリ、バチルスsp. 及びサルモネラから入手できる(Palvaなど., Gene 22: 229-235 (1983); Moshachなど, Nature 302: 543-545 (1983))。そのような発現システムのためのキットは市販されている。哺乳類細胞、酵母及び昆虫細胞のための真核発現システムは、当業界において良く知られており、そしてまた、市販されている。1つの態様においては、真核発現ベクターは、アデノウィルスベクター、アデノ−結合ベクター又はレトロウィルスベクターである。
【0126】
異種核酸の発現を方向づけるために使用されるプロモーターの選択は、特定の適用に依存する。プロモーターは任意には、それはその天然の設定において転写開始部位からであるので、異種転写開始部位からほぼ同じ距離に位置する。当業界において知られているように、この距離におけるいくらかの変動は、プロモーター機能の損失を伴なわないで適応され得る。
【0127】
プロモーターの他に、発現ベクターは典型的には、宿主細胞におけるCNG3B−コードの核酸の発現のために必要とされるすべての追加の要素を含む転写単位又は発現カセットを含む。従って、典型的な発現カッセトは、CNG3B、及び転写体の効果的なポリアデニル化のために必要とされるシグナルをコードする核酸配列に操作可能的に連結されるプロモーター、リボソーム結合部位、及び翻訳終結を含む。カセットの追加の要素は、エンハンサー、及びゲノムDNAが構造遺伝子として使用される場合、イントロ、並びに機能的スプライスドナー及び受容体を包含することができる。
【0128】
プロモーターカセットの他に、発現カセットはまた、効果的な終結を提供するために構造遺伝子の下流に転写終結領域を含むべきである。その終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得られるか、又は異なった遺伝子から得られる。
【0129】
細胞中に遺伝子的情報を輸送するために使用される特定の発現ベクターは、特に決定的ではない。真核又は原核細胞における発現のために使用される従来のベクターのいずれでも使用され得る。標準の細菌発現ベクターは、プラスミド、例えばpBR322基材のプラスミド、pSKF, pET23D及び融合発現システム、例えばGST及びLacZを包含する。エピトープ標識はまた、便利な単離方法を提供するための組換えタンパク質、例えばc−mycに付加され得る。
【0130】
真核ウィルスからの調節要素を含む発現ベクターは典型的には、真核発現ベクター、例えばSV40ベクター、乳頭腫ウィルスベクター、及びEpstein−Barrウィルスに由来するベクターにおいて使用される。他の典型的な真核ベクターは、pMSG, pAV009/A+, pMTO10/A+, pMAMneo-5, バキュロウィルスpDSVE, 及びCMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、ネズミ乳癌ウィルスプロモーター、Rous肉腫ウィルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、又は真核細胞における発現のために効果的であることが示されている他のプロモーターの指図下でタンパク質の発現を可能にするいずれか他のベクターを包含する。
【0131】
真核ベクターからのタンパク質の発現はまた、誘発性プロモーターを用いて調節され得る。誘発性プロモーターにより、発現レベルは、プロモーターへの誘発剤、例えばテトラサイクリン又はエクジソンのための応答要素の組み込みにより、それらの誘発剤の濃度に結びつけられる。一般的に、高レベルの発現は、誘発剤の存在下でのみ誘発性プロモーターから得られ;基本的発現レベルは最少である。誘発性発現ベクターはしばしば、興味あるタンパク質核酸細胞に対して有害である場合に選択される。
【0132】
いくつかの発現システムは、遺伝子増幅を提供するマーカー、例えばチミジンキナーゼ、及びジヒドロ葉酸レダクターゼを有する。他方では、ポリヘドリンプロモーター又は他の強いバキュロウィルスプロモーターの指図下でCNG3Bをコードする配列と共に、昆虫細胞におけるバキュロウィルスベクターを用いての高収率発現システム(遺伝子増幅を包含しない)がまた適切である。
【0133】
典型的には、発現ベクターに包含される要素はまた、E.コリにおいて機能するレプリコン、組換えプラスミドを有する細菌の選択を可能にするために抗生物質耐性をコードする遺伝子、及び真核配列の挿入を可能にするためのプラスミドの非必須領域におけるユニーク制限部位を包含する。選択される特定の抗生物質耐性遺伝子は決定的ではなく、当業界において知られている多くの耐性遺伝子のいずれでも適切である。原核配列は任意には、それらが、必要なら、真核細胞におけるDNAの複製を妨害しないよう選択される。
【0134】
標準のトランスフェクション方法が、次に、標準の技法を用いて精製される多量のCNG3Bタンパク質を発現する、細菌、哺乳類、酵母又は昆虫細胞系を生成するために使用される(例えば、Colleyなど., J. Biol. Chem. 264: 17619-17622 (1989); Guide to Protein Purification, in Methods in Enzymology, Vol. 182 (Deutscher, ed., 1990) を参照のこと。真核及び原核細胞の形質転換は、標準の技法に従って行われる(例えば、Morrison, J. Bact. 132: 349-351 (1977); Clark-Curtiss & Curtiss, Methods in Enzymology 101: 347-362 (Wuなど., eds. (1983) を参照のこと)。
【0135】
宿主細胞中に外来性ヌクレオチド配列を導入するための良く知られている方法のいずれかが使用され得る。それらは、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、バイオリスチック(biolistic)、リポソーム、マイクロインジェクション、血漿ベクター、ウィルスベクター、及び宿主細胞中にクローン化されたゲノムDNA, cDNA, 合成DNA又は他の外来性遺伝子材料を導入するための他の良く知られている方法のいずれかの使用を包含する(例えば、Sambrookなど., 前記を参照のこと)。使用される特定の遺伝的構築方法は、CNG3Bを発現することができる宿主細胞中に少なくとも1つの遺伝子を都合良く導入することができることが単に必要である。
発現ベクターが細胞中に導入された後、トランスフェクトされた細胞が、CNG3Bの発現を好む条件下で培養され、下記標準の技法を用いて、培養物から回収される。
【0136】
IV. CNG3Bポリペプチドの精製:
いずれかの天然に存在するか又は組換えCNG3Bが、機能的アッセイへの使用のために精製され得る。天然に存在するCNG3Bモノマーが、例えばヒト組織、例えば網膜又は精巣、又はCNG3B相同体の他の源から精製される。組換えCNG3Bモノマーは、いずれかの適切な細菌又は真核発現システム、例えばCHO細胞又は昆虫細胞から精製される。
【0137】
CNG3Bモノマーは、標準の技法、例えば硫酸アンモニウムのような物質による選択的沈殿;カラムクロマトグラフィー、免疫精製方法及び他の方法により、実質的な純度に精製され得る(例えば、Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (1982); アメリカ特許第4,673,641号;Ausubelなど., 前記;及びSambrookなど., 前記を参照のこと)。
【0138】
多くの方法が、組換えCNG3Bモノマーが精製される場合、使用され得る。例えば、確立された分子付着性質を有するタンパク質は、CNG3Bモノマーに可逆的に融合され得る。適切なリガンドにより、CNG3Bモノマーは、精製カラムに選択的に吸着され、そして次に、比較的純粋な形でカラムから開放され得る。次に、融合されたタンパク質は酵素活性により除去される。最終的に、CNG3Bモノマーは、免疫親和性カラムを用いて精製され得る。
【0139】
A.組換え細胞からのCNG3Bモノマーの精製:
組換えタンパク質は、形質転換された細菌により、典型的にはプロモーター誘発の後、多量に発現され;しかし発現は構成的であり得る。TPTGによるプロモーター誘発は、誘発できるプロモーターシステムの1つの例である。細菌は、当業界における標準の方法に従って増殖される。新鮮な又は凍結された細胞は、タンパク質の単離のために使用される。
【0140】
細菌において発現されたタンパク質は、付溶性凝集体(“封入体”)と形成することができる。いくつかのプロトコールが、CNG3Bモノマー封入体の精製のために適切である。例えば、封入体の精製は典型的には、細菌細胞の破壊による、例えば50mMのトリス/HCl, pH7.5, 50mMのNaCl, 5mMのMgCl2, 1mMのDTT, 0.1mMのATP及び1mMのPMSFの緩衝液におけるインキュベーションによる、封入体の抽出、分離及び/又は精製を包含する。細胞懸濁液は、フレンチプレスに2〜3回通すことにより溶解され、ポリトロン(Brinkman Instruments)を用いて均質化され、又は氷上で音波処理され得る。細菌を溶解する他の方法は、当業者に明らかである(たとえば、Sambrookなど., 前記;Ausubelなど., 前記を参照のこと)。
【0141】
必要なら、封入体は溶解され、そしてその溶解された細胞懸濁液は典型的には、所望しない不溶性物質を除去するために遠心分離される。封入体を形成したタンパク質は、相溶性緩衝液による希釈又は透析により復元され得る。適切な溶媒は、ウレア(約4M〜約8M)、ホルムアミド(少なくとも約80%、v/vに基づく)及びグアニジン塩酸塩(約4M〜約8M)を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0142】
凝集体−形成タンパク質を溶解できるいくつかの溶媒、例えばSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、70%蟻酸は、免疫原性及び/又は活性の欠失を伴なうタンパク質の不可逆的変性の可能性のために、この方法への使用のためには不適切である。グアニジン酸塩及び類似する剤は変性されるが、この変性は不可逆的ではなく、そして復元は、変性剤の除去(例えば、透析による)又は希釈に基づいて発生し、免疫学的及び/又は生物学的活性タンパク質の再形成を可能にする。他の適切な緩衝液は、当業者に知られている。CNG3Bモノマーは、Ni−NTAアガロースゲルによる標準の分離技法により、他の細菌性タンパク質から分離される。
【0143】
他方では、細菌ペリプラズムからCNG3Bモノマーを精製することは可能である。細菌の溶菌の後、CNG3Bモノマーが細菌のペリプラズム中に輸送される場合、その細菌のペリプラズム画分は、当業界に知られている他の方法の他に、冷浸透ショックにより単離され得る。ペリプラズムから組換えタンパク質を単離するためには、細菌細胞は、ペレットを形成するために遠心分離される。ペレットは、20%スクロースを含む緩衝液に再懸濁される。細菌を溶解するためには、細菌が遠心分離され、そしてペレットが氷冷却された5mMのMgSO4に再懸濁され、そして氷浴において約10分間、保持される。細胞懸濁液を遠心分離し、そして上清液をデカントし、そして保存する。上清液に存在する組換えタンパク質は、当業者に良く知られている標準の分離技法により宿主タンパク質から分離され得る。
【0144】
B.CNG3Bモノマーを精製するための標準タンパク質分離技法:
溶解性分別
しばしば、初期段階として、特にタンパク質混合物が複合体である場合、初期の塩分別は、興味ある組換えタンパク質から、所望しない宿主細胞タンパク質(又は細胞培養培地に由来するタンパク質)の多くを分離することができる。好ましい塩は、硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物における水の量を効果的に低めることによって、タンパク質を沈殿せしめる。次に、タンパク質は、それらの溶解性に基づいて沈殿する。より疎水性のタンパク質ほど、より低い硫酸アンモニウム濃度で沈殿する傾向がある。
【0145】
典型的なプロトコールは、タンパク質溶液への飽和硫酸アンモニウムの添加を包含し、その結果、得られる硫酸アンモニウム濃度は20〜30%である。この濃度は、ほとんどの疎水性タンパク質を沈殿せしめるであろう。次に、沈殿物が廃棄され(興味あるタンパク質が疎水性でない場合)、そして硫酸アンモニウムが、興味あるタンパク質を沈殿せしめることが知られている濃度まで、上清液に添加される。次に、沈殿物が緩衝液に溶解され、そして過剰の塩が、必要なら、透析又はジアフィルトレーションを通して除去される。タンパク質の溶解性に依存する他の方法、例えば冷エタノール沈殿法は、当業者に良く知られており、そして複合体タンパク質混合物を分別するために使用され得る。
【0146】
サイズ示差濾過
CNG3Bモノマー(例えば、約92kD)の分子量が、異なった孔サイズの膜(例えば、Amicon又はMillipore膜)を通しての限外濾過を用いて、大きなサイズ及び小さなサイズのタンパク質からそれらを単離するために使用され得る。最初の段階として、タンパク質混合物は、興味あるタンパク質の分子量よりも低い分子量カットオフを有する孔サイズの膜を通して限外濾過される。次に、限外濾過の保持物が、興味あるタンパク質の分子量よりも高い分子量カットオフを有する膜に対して限外濾過される。組換えタンパク質が膜を通して濾液中に通されるであろう。次に、濾液が下記のようにしてクロマトグラフィー処理され得る。
【0147】
カラムクロマトグラフィー
CNG3Bモノマーはまた、そのサイズ、実効表面電荷、疎水度、及びリガンドについての親和性に基づいて、他のタンパク質から分離され得る。さらに、タンパク質に対して生ぜしめられた抗体が、カラムマトリックスに接合され、そしてタンパク質が免疫精製され得る。それらの方法のすべては、当業界において良く知られている。クロマトグラフィー技法は、いずれかの規模で及び多くの異なった製造業者(例えば、Pharmacia Biotech)からの装置を用いて行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
【0148】
V.CNG3Bポリペプチドの免疫学的検出:
核酸ハイブリダイゼーション技法を用いてのCNG3B遺伝子の検出及び遺伝子発現の他に、本発明のCNG3Bモノマーを検出するために、イムノアッセイを使用することができる。イムノアッセイは、CNG3Bモノマーを定量的に又は定性的に分析するために使用され得る。適用できる技法の一般的な概観は、Harlow & Lane, Antibodies: A Laboratory Manual (1988) において見出され得る。
【0149】
A.CNG3Bモノマーに対する抗体:
CNG3Bモノマー、又は特定の種、例えばヒトCNG3BからのCNG3Bモノマーと特異的に反応するポリクローナル及びモノクローナル抗体の生成方法は,当業者に知られている(例えば、Coligan, Current Protocols in Immunology. (1991); Harlow & Lane, 前記;Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice (2nd. ed., 1986); 及びKohler & Milstein, Nature 256: 496-497 (1975) を参照のこと)。そのような技法は、ファージ又は類似するベクターによる組換え抗体のライブラリーからの抗体の選択による抗体調製、及びウサギ又はマウスを免疫化することによるポリクローナル及びモノクローナル抗体の調製を包含する(例えば、Huseなど., Science 246: 1275-1281 (1989); Wardなど., Nature 341: 544-546 (1989) を参照のこと)。
【0150】
CNG3Bモノマーの一部を含んで成る多くの免疫原が、CNG3Bモノマーと特異的に反応する抗体を生成するために使用され得る。例えば、組換えCNG3Bモノマー又はその抗原性フラグメント、例えば保存された領域(例えば、配列番号1のアミノ酸210−661)が、本明細書に記載のようにして単離される。組換えタンパク質は、上記のようにして、真核又は原核細胞において発現され、そして一般的に上記のようにして生成され得る。
【0151】
組換えタンパク質は、モノクローナル又はポリクローナル抗体の生成のために好ましい免疫原である。他方では、本明細書に開示される配列に由来し、そしてキャリヤータンパク質に接合される合成ペプチドが、免疫原として使用され得る。天然に存在するタンパク質はまた、純粋又は不純な形のいずれかで使用され得る。次に、生成物は、抗体を生成できる動物中に注射される。モノクローナル又はポリクローナル抗体のいずれかが、タンパク質を測定するためにイムノアッセイへの続く使用のために、生成され得る。
【0152】
ポリクローナル抗体の生成方法は、当業者に知られている。マウス(例えば、BALB/Cマウス)又はウサギの近交系が、標準のアジュバント、例えばフロイントアジュバント、及び標準の免疫化プロトコールを用いて、タンパク質により免疫化される。免疫原調製物に対する動物の免疫応答は、試験血液を取り、そしてβサブウニットに対する反応性の力価を決定することによってモニターされる。免疫原に対する抗体の適切に高い力価が得られる場合、血液が動物から集められ、そして抗血清が調製される。タンパク質に対して反応性の抗体を富化するための抗血清のさらなる分別が、所望により行われ得る(Harlow & Lane, 前記を参照のこと)。
【0153】
モノクローナル抗体は、当業者に知られている種々の技法により得られる。手短には、所望する抗原により免疫化された動物からの脾臓細胞が、骨髄腫細胞との融合により不滅化される(Kohlar & Milstein, Eur. J. Immunol. 6: 511-519 (1976) を参照のこと)。不滅化のもう1つの方法は、Epstein Barr ウィルス、腫瘍遺伝子又はレトロウィルス、又は当業界に知られている他の方法による形質転換を包含する。
【0154】
単一の不滅化された細胞から発生するコロニーは、抗原に対する所望する特異性及び親和性の抗体の生成についてスクリーンされ、そしてそのような細胞により生成されるモノクローナル抗体の収量は、脊椎動物宿主の腹腔中への注射を包含する種々の技法により増強され得る。他方では、Huseなど., Science 246: 1275-1281 (1989) により概略される一般的なプロトコールに従って、ヒトB細胞からDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体又はその結合フラグメントをコードするDNA配列を単離することができる。
【0155】
モノクローナル抗体及びポリクローナル血清が集められ、そしてイムノアッセイ、例えば固体支持体上に固定された免疫原による固相イムノアッセイにより、免疫原タンパク質に対して滴定される。典型的には、104又はそれ以上の力価を有するポリクローナル抗血清が選択され、そして競争結合イムノアッセイを用いて、非−CNGファミリータンパク質、他のCNGファミリータンパク質に対するそれらの交差反応性について試験される。
【0156】
特定のポリクローナル抗血清及びモノクローナル抗体は通常、少なくとも約0.1μM、より通常には少なくとも約1μM、任意には少なくとも約0.1μM又はそれ以上のKdを伴なって結合するであろう。特定のCNG3Bオルト体、例えばヒトCNG3Bに対してのみ特異的な抗体はまた、非−ヒト哺乳類のような種から他の交差反応性オルト体を控除することによって製造され得る。
【0157】
CNG3Bに対する特異的抗体が入手されると、CNG3Bは、種々のイムノアッセイ方法により検出され得る。免疫学的及びイムノアッセイ方法の再考に関しては、Basic and Clinical Immunology (Stites & Terr eds., 7th ed. 1991) を参照のこと。さらに、本発明のイムノアッセイは、Enzyme Immunoassay (Maggio, ed., 1980); 及びHarlow & Lane, 前記に広く再考されている、いくつかの遠心分離法のいずれかにより行われ得る。
【0158】
B.免疫学的結合アッセイ:
本発明のCNG3Bポリペプチドは、多くの良く認識されている免疫学的結合アッセイのいずれかを用いて検出され、そして/又は定量化され得る(例えば、アメリカ特許第4,366,241号;第4,376,110号;第4,517,288号;及び第4,837,168号を参照のこと)。一般的なイムノアッセイの再考に関しては、Methods in Cell Biology: Antibodies in Cell Biology, vol. (Asai, ed. 1993); Basic and Clinical Immunology (Stites & Terr, eds., 7th ed. 1991) を参照のこと。免疫学的結合アッセイ(又はイムノアッセイ)は、典型的には、選択のタンパク質又は抗原に対して特異的に結合する抗体を使用する(この場合、CNG3B又はその抗原性副配列)。抗体(例えば、抗−CNG3B)は、当業者に良く知られ、そして上記のような多くの手段のいずれかにより生成され得る。
【0159】
イムノアッセイはまた、しばしば、抗体及び抗原により形成される複合体に対して特異的に結合し、そしてそれをラベリングするためにラベリング剤を使用する。ラベリング剤はそれ自体、抗体/抗原複合体を含んで成る成分の1つであり得る。従って、ラベリング剤は、ラベルされたCNG3Bポリペプチド又はラベルされた抗−CNG3B抗体であり得る。他方では、ラベリング剤は、抗体/ CNG3B複合体に対して特異的に結合する第3の成分、例えば第2抗体であり得る(第2抗体は典型的には、第1抗体が由来する種の抗体に対して特異的である)。
【0160】
免疫グロブリン不変領域を特異的に結合できる他のタンパク質、例えばタンパク質A又はタンパク質Gはまた、ラベリング剤として使用され得る。それらのタンパク質は、種々の種からの免疫グロブリン不変領域と強い非免疫学的反応性を示す(例えば、Kronvalなど., J. Immunol. 111: 1401-1406 (1973); Akerstromなど., J. Immunol. 135: 2589-2542 (1985) を参照のこと)。ラベリング剤は、検出できる成分、例えばビオチン(これに、もう1つの分子、例えばストレプタビジンが特異的に結合できる)により変性され得る。種々の検出できる成分は、当業者に良く知られている。
【0161】
アッセイを通して、インキュベーション及び/又は洗浄段階は、試薬の個々の組み合わせの後に必要とされる。インキュベーション段階は、約5秒〜数時間、任意には約5分〜24時間である。しかしながら、インキュベーション時間は、アッセイ型、抗原、溶液の体積、濃度及び同様のものに依存するであろう。通常、アッセイは、周囲温度で行われるが、但しそれらは、一定の温度範囲、例えば10℃〜40℃の範囲で行われ得る。
【0162】
非競争アッセイ型
サンプルにおけるCNG3Bを検出するためのイムノアッセイは、競争又は非競争のいずれかであり得る。非競争イムノアッセイは、抗原の量が直接的に測定されるアッセイである。1つの好ましい“サンドイッチ”アッセイにおいては、抗−CNG3Bサブユニット抗体が、それらが固定される固体支持体に直接的に結合され得る。それらの固定された抗体は、試験サンプルに存在するCNG3Bを捕獲する。
【0163】
従って、次にCNG3Bモノマーは、ラベリング剤、例えばラベルを担持する第2のCNG3B抗体により固定される。他方では、第2抗体は、ラベルを欠失することができるが、しかしそれは、第2抗体が由来する種の抗体に対して特異的なラベルされた第3抗体により結合され得る。第2又は第3抗体は典型的には、検出できる成分、例えばビオチン(これに、もう1つの分子、例えばストレプタビジンが特異的に結合する)により変性され、検出できる成分が提供される。
【0164】
競争アッセイ型
競争アッセイにおいて、サンプルに存在するCNG3Bの存在は、サンプルに存在する未知のCNG3Bにより、抗−CNG3B抗体から置換された(競争除去された)、既知の添加された(外因性)CNG3Bの量を測定することによって、間接的に測定される。1つの競争アッセイにおいては、既知量のCNG3Bがサンプルに添加され、そして次に、サンプルが、CNG3Bの特異的に結合する抗体と接触せしめられる。
【0165】
抗体に結合される外因性CNG3Bの量は、サンプルに存在するCNG3Bの濃度に反比例する。特に好ましい態様においては、抗体が固体支持体上に固定される。抗体に結合されるCNG3Bの量は、CNG3B /抗体複合体に存在するCNG3B質の量を測定することによって、又は他方では、残存する複合体化されなかったタンパク質の量を測定することによって決定され得る。CNG3Bの量は、ラベルされたCNG3B分子を供給することによって検出され得る。
【0166】
ハプテン阻害アッセイは、もう1つの好ましい競争アッセイである。このアッセイにおいては、既知のCNG3Bが固体支持体上に固定される。既知量の抗−CNG3B抗体がサンプルに添加され、そして次に、サンプルが固定されたCNG3Bと接触せしめられる。既知の固定されたCNG3Bに結合された抗−CNG3B抗体の量は、サンプルに存在するCNG3Bの量に反比例する。再び、固定された抗体の量は、抗体の固定された画分、又は溶液に残る抗体の画分のいずれかを検出することによって検出され得る。検出は、抗体がラベルされる場合、直接的であり、又は上記のように、抗体に対して特異的に結合するラベルされた成分の続く添加により間接的であり得る。
【0167】
交差反応性の決定
競争結合型におけるイムノアッセイがまた、CNG3Bについての交差反応性決定のために使用され得る。例えば、配列番号1のアミノ酸配列又はその免疫性領域、例えば保存された領域(例えば、配列番号1のアミノ酸210−661)に少なくとも部分的に対応するCNG3Bタンパク質が、抗体支持体上に固定され得る。他のタンパク質、例えば他のCNGファミリーメンバーが、その固定された抗原への抗血清の結合について競争するために、アッセイに添加される。
【0168】
固定されたタンパク質への抗血清の結合について競争する前記添加されたタンパク質の能力が、それ自体と競争するCNG3B又はその免疫原部分の能力と比較される。上記タンパク質についての%交差反応性は、標準の計算を用いて計算される。上記列挙される、個々の添加されたタンパク質との10%以下の交差反応性を有するそれらの抗血清が選択され、そしてプールされる。交差反応する抗体は任意には、考慮される添加されたタンパク質、例えばおおよそ関連する相同体による免疫吸収により、プールされた抗血清から除去される。CNG3Bの特定のオルト体、例えばヒトCNG3Bに対してのみ特異的に結合する抗体がまた、この方法論を用いて製造され得る。
【0169】
次に、免疫吸収され、そしてプールされた抗血清が、CNG3Bのたぶん対立遺伝子、オルト体又は多形変異体であると思われる第2タンパク質を、免疫原タンパク質に比較するために、上記のような競争結合イムノアッセイに使用される。この比較を行うためには、2種のタンパク質が広範囲の濃度でそれぞれアッセイされ、そして固定されたタンパク質への抗血清の結合を50%阻害するために必要とされる個々のタンパク質の量が決定される。結合の50%を阻害するのに必要とされる第2タンパク質の量が、結合の50%を阻害するのに必要とされる、CNG3Bによりコードされるタンパク質の量の10倍以下である場合、前記第2タンパク質は、それぞれのCNG3B免疫原に対して生成されるポリクローナル抗体に対して特異的に結合すると言われる。
【0170】
他のアッセイ型
ウェスターンブロット(イムノブロット)分析は、サンプルにおけるCNG3Bの存在を検出し、そして定量化するために使用される。この技法は一般的に、分子量に基づいてのゲル電気泳動によりサンプルタンパク質を分離し、適切な固体支持体(例えば、ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター又は誘導体化されたナイロンフィルター)に、前記分離されたタンパク質を移し、そしてCNG3Bを特異的に結合する抗体とサンプルとをインキュベートすることを含んで成る。抗−CNG3B抗体は、固体支持体上のCNG3Bに特異的に結合する。それらの抗体は、直接的にラベルされ得、又は他方では、従って、抗−CNG3B抗体に対して特異的に結合する、ラベルされた抗体(例えば、ラベルされた羊抗−マウス抗体)を用いて検出され得る。
【0171】
他のアッセイ型は、特定の分子(例えば、抗体)を結合するように企画されたリポソームを使用し、そして封入された試薬又はマーカーを開放するリポソームイムノアッセイ(LIA)を包含する。次に、開放された化学物質が、標準の技法に従って検出される(Monroeなど., Amer. Clin. Prod. Rev. 5: 34-41 (1986) を参照のこと)。
【0172】
非特異的結合の削減
当業者は、イムノアッセイにおける非特異的結合を最少にすることが、しばしば所望されることを理解するであろう。特に、アッセイが固体支持体上に固定された抗原又は抗体を包含する場合、支持体に対する非特異的結合の量を最少にすることが所望される。そのような非特異的結合を削除するための手段は、当業者に良く知られている。典型的には、この技法は、タンパク質性組成物による支持体の被覆を包含する。特に、タンパク質組成物、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳及びゼラチンが広く使用され、そして脱脂粉乳が最も好ましい。
【0173】
ラベル
アッセイに使用される特定のラベル又は検出できるグループは、それがアッセイに使用される抗体の特異的結合を有意に妨害しない限り、本発明の決定的な観点ではない。検出できるグループは、検出できる物理的又は化学的性質を有するいずれかの材料であり得る。そのような検出できるラベルは、イムノアッセイの分離において良く開発されており、そして一般的に、そのような方法において有用なラベルのほとんどは本発明に適用され得る。従って、ラベルは、分光、光化学、生化学、免疫化学、電気的、光学的又は化学的手段により検出できるいずれかの組成物である。
【0174】
本発明において有用なラベルは、磁気ビーズ(例えば、DYNABEADSTM)、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、Texasレッド、ローダミン、及び同様のもの)、放射性ラベル(例えば、3H, 125I, 35S, 14C又は32P)、酵素(例えば、ホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びELISAに通常使用される他のもの)、及び比色ラベル、例えばコロイド状金又は着色されたガラス又はプラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)を包含する。
【0175】
ラベルは、当業界において良く知られている方法に従って、アッセイの所望する成分に直接的又は間接的に結合され得る。上記に示されるように、広範囲の種類のラベルが使用され、そしてラベルの選択は、必要とされる感度、化合物との接合の容易性、安定性必要条件、入手できる装置及び処理規定に依存する。
【0176】
非放射性ラベルは、しばしば、間接的手段により達成される。一般的に、リガンド分子(例えば、ビオチン)が、分子に共有結合される。次に、リガンドが、もう1つの分子(例えば、ストレプタビジン)に結合し、ここでこの分子は、検出でき、又はシグナルシステム、例えば検出できる酵素、蛍光化合物、又は化学発光化合物に共有結合される。リガンド及びそれらの標的物は、CNG3Bを認識する抗体、又は抗−CNG3Bを認識する第2抗体といずれか適切な組み合わせで使用され得る。
【0177】
分子はまた、例えば酵素又は蛍光団との結合により、シグナル生成化合物に直接的に接合され得る。ラベルとしての興味ある酵素は主として、ヒドロラーゼ、特にホスファターゼ、エステラーゼ及びグルコシダーゼ又はオキシドターゼであろう。蛍光化合物は、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、等を包含する。化学発光化合物は、ルシフェリン、及び2,3−ジヒドロフタラジンジオン、例えばルミノールを包含する。使用され得る種々のラベリング又はシグナル生成システムの再考に関しては、アメリカ特許第4,391,904号を参照のこと。
【0178】
ラベルを検出するための手段は、当業者に良く知られている。従って、例えば、ラベルが放射性ラベルである場合、検出手段はシンチレーションカウンター、又はオートラジオグラフィーにおけるような写真フィルムを包含する。ラベルが蛍光ラベルである場合、それは、適切な光の波長により蛍光色素を励起し、そして得られる蛍光を検出することによって検出され得る。蛍光は、視覚的に、写真不フィルムにより、電子検出機、例えば電荷連結装置(CCD)又は光電子増倍管の使用により、及び同様のものにより検出され得る。
【0179】
同様に、酵素ラベルは、酵素のための適切な基質を提供し、そしてその得られる反応生成物を検出することによって検出され得る。最終的に、単純な比色ラベルが、ラベルにより結合される色彩を観察することによって、単純に検出され得る。従って、種々のデップスティックアッセイにおいては、接合された金はしばしば、ピンク色に見え、そして種々の接合されたビーズはビーズの色に見える。
【0180】
いくつかのアッセイ型は、ラベルされた成分の使用を必要としない。例えば、凝集アッセイは、標的抗体の存在を検出するために使用され得る。この場合、抗原−被覆された粒子が、標的抗体を含んで成るサンプルにより凝集される。この型においては、成分はラベルする必要はなく、そして標的抗体の存在は、単純な視覚調査により検出される。
【0181】
VI.CNG3Bのモジュレーターについてのアッセイ:
A.アッセイ:
ヒトCNG3B及びCNG3B対立遺伝子、オルト体及び多形変異体は、カチオンチャネルのサブユニットである。CNG3Bを含んで成るカチオンチャネルの活性は、種々のインビトロ及びインビボアッセイを用いて、例えば電流の測定、膜電位の測定、イオン流、例えばカチオン、例えばナトリウム又はカルシウムの測定、イオン濃度の測定、第2メッセンジャー及び転写レベルの測定、リガンド結合の測定により、及び例えば電圧感受性色素、イオン感受性色素、例えばカチオン(例えば、ナトリウム又はカルシウム)感受性色素、放射性トレーサー、及びパッチ−クランプ電気生理学を用いて評価され得る。
【0182】
好ましい態様においては、CNGカチオンチャネルの活性は、カチオン、例えばカルシウム又はナトリウム濃度又は流れを、イオン(例えば、カルシウム又はナトリウム)特異的色素、例えば蛍光色素を用いて検出することによって検出されるであろう。当業者に良く知られている多数のそのような色素のいずれかが使用され得る。例えば、蛍光顕微鏡を用いて細胞内遊離Ca2+濃度の変化の検出を可能にする、Ca2+の結合に基づいてスペクトル応答を示す多くの蛍光プローブのいずれかが使用され得る。
【0183】
さらに、そのようなアッセイは、CNG3Bを含んで成るチャネルのインヒビター及び活性化因子について試験するために使用され得る。カチオンチャネルのそのようなモジュレーターは、カチオンチャネルに関与する種々の障害、例えば視覚障害又は男性不妊症を処理するために有用である。そのようなモジュレーターはまた、避妊薬として有用である。そのようなモジュレーターはまた、CNG3Bにより提供されるカチオンチャネル活性の調節/調整のためにも有用である。
【0184】
CNGカチオンチャネルのモジュレーターは、生物学的活性CNG3B、すなわち組換え又は天然に存在する、好ましくはヒトCNG3Bを用いて試験される。CNG3Bは、単離され、細胞において同時発現されるか又は発現され、又は細胞由来の膜において発現され得る。そのようなアッセイにおいては、CNG3Bは典型的には、ヘテロマーカチオンチャネルを形成するために、少なくとも1つのαサブユニット(例えば、CNGA1又はCNGA3)を包含する他のCNGタンパク質と組合して発現される。CNG3Bポリペプチドはまた、追加のβ−サブユニットと共に発現され得る。調節は、上記インビトロ又はインビボアッセイの1つを用いて試験される。
【0185】
可能性あるカチオンチャネルインヒビター又は活性化因子により処理されるサンプル又はアッセイは、調節の程度を試験するために、試験化合物を有さない対照サンプルに比較される。しばしば、そのようなアッセイは、環状ヌクレオチド、例えばcAMP又はcGMPの存在下で行われ、そしてチャネルに対する環状ヌクレオチドの効果を調節する試験剤の能力が検出される。対照のサンプル(活性化因子又はインヒビターにより処理されていない)は、100の相対的カチオンチャネル活性を割り当てられる。
【0186】
CNG3Bポリペプチドを含んで成るチャネルの阻害は、対照に対するカチオンチャネル活性値が約90%、好ましくは50%、より好ましくは25%である場合に達成される。CNG3Bポリペプチドを含んで成るチャネルの活性化は、対照に対するカチオンチャネル活性値が110%、より好ましくは150%、より好ましくは200%以上である場合に達成される。イオン流を高める化合物は、CNG3Bポリペプチドを含んで成るチャネルの開口の確立を高めることによって、閉じるその確立を低めることによって、チャネルを通してのコンダクタンスを高めることによって、及び/又はイオンの通過を可能にすることによって、イオン電流密度における検出できる上昇を引き起こすであろう。
【0187】
イオン流の変化は、CNG3Bポリペプチドを含んで成るカチオンチャネルを発現する細胞又は膜の分極化(すなわち、電位)の変化を決定することによって評価され得る。細胞分極化の変化を決定するための好ましい手段は、電圧―クランプ及びパッチ−クランプ技法、例えば細胞−結合されたモード、“インサイドーアウト”モード及び“完全細胞”モードによる電流の変化(それにより、分極化の変化を測定する)を測定することによってである(例えば、Ackermanなど., New Engl. J. Med 336:1575-1595 (1977) を参照のこと)。完全細胞電流は便利には、標準の方法を用いて決定される(例えば、Hamilなど.,Pflugers. Archiv. 391: 85 (1981) を参照のこと)。
【0188】
他の既知のアッセイは、イオン感受性色素を用いての蛍光アッセイを包含する(例えば、Vestergarrd−Bogindなど., J. Membrane Biol. 88: 67-75 (1988); Gonzales & Tsien, Chem. Biol. 4: 269-277 (1997); Danielなど., J. Pharmacol. Meth. 25: 185-193 (1991); Holevinskyなど., J. Membrane Biology 137: 59-70 (1994) を参照のこと)。
【0189】
カルシウムの検出のために有用なそのような色素の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:fura-2, bis-fura 2, indo-1, Quin-2, Quin-2AM, Benzothiaza-1, Benzothiaza-2, indo-5F, Fura-FF, BTC, Mag-Fura-2, Mag-Fura-5, Mag-Indo-1, fluo-3, rhod-2, fura-4F, fura-5F, fura-6F, fluo-4, fluo-5F, fluo-5N, Oregon Green 488 BAPTA, Calcium Green, Calcein, Fura-Ca18, Calcium Green-C18, Calcium Orange, Calcium Crimson, Caloium Gree-5N, Magnesium Green, oregon Green 488BAPTA-1, Oregon Green 488 BAPTA-2, X-rhod, Fura Red, Rhod-5F, Rhod-5N, XRhod-5N, Mag-Rhod-2, mag-Xrhod-1, Fluo-5N, Fluo-5F, Fluo-4FF, Mag-Fluo-4, Aequorin、
【0190】
デキストラン接合体又はそれらの色素のいずれかの他の誘導体、及び他のもの(例えば、Catalog or Internet site (WWW. probes. Com) for Molecular Probes, Eugene, ORを参照のこと;また、Nuceitelli, ed., methods in Cell Biology, Volume 40: A Practical Guide to the study of Calcium in Living Cells, Academic Press (1994); Lambert, ed., Calcium Signaling Protocols (Methods in Molecular Biology Volume 114), Humana Press (1999); W. T. Mason. ed., Fluorescent (1986); Park, J. Physiol. 481: 555-570 (1994) を参照のこと)。一般的に、試験される化合物は、1pM〜100mMの範囲で存在する。
【0191】
チャネルの機能に対する試験化合物の効果は、電流又はイオン流の変化により、又は電流及びイオン流の変化の結果により測定され得る。電流又はイオン流の変化は、イオン、例えばナチリウム又はカルシウムイオンの流れの上昇又は下降により測定される。イオンは種々の標準の手段により測定され得る。それらは、前記に列挙される色素のいずれか、又は放射ラベルされたイオンを用いて、イオンの濃度変化、例えば細胞内濃度の変化により直接的に、又は膜電位により間接的に測定され得る。従って、いずれかの適切な生理学的変化が、本発明のチャネルに対する試験化合物の影響を評価するために使用され得る。
【0192】
試験化合物の効果は、毒素結合アッセイにより測定され得る。機能的結果が損なわれていない細胞又は動物を用いて決定される場合、種々の効果、例えば伝達物質放出(例えば、ドーパミン)、細胞内カルシウム変化、ホルモン放出(例えば、インスリン)、既知の及び特徴づけられていない遺伝子マーカーへの転写的変化(例えば、ノザンブロット)、細胞体積の変化(例えば、赤血球細胞の)、免疫応答(例えば、T細胞活性化)、細胞代謝の変化、例えば細胞増殖又はpH変化、及び細胞内第2メッセンジャー、例えば環状ヌクレオチドの変化を測定することができる。
【0193】
好ましくは、アッセイに使用されるカチオンチャネルの一部であるCNG3Bポリペプチドは、配列番号1で示される配列又は保存的に修飾されたその変異体を有するであろう。他方では、アッセイのCNG3Bは、真核細胞に由来し、そしてヒトCNG3Bの保存された領域(例えば、配列番号1のアミノ酸210−661)に対して実質的なアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有するであろう。一般的に、アミノ酸配列同一性は、少なくとも60%,65%,70%,75%,80%,好ましくは85%又は90%,最も好ましくは少なくとも95%であろう。
【0194】
CNG3Bオルト体、対立遺伝子、多形変異体及び保存的に修飾された変異体は一般的に、上記のように、CNG3Bポリペプチドを含んで成るチャネルに対して実質的に類似する性質を付与するであろう。好ましい態様においては、CNG3B相同体であると思われる化合物と接触して配置される細胞が、真核細胞、例えばアフリカツメガエル(例えば、ゼノパス・ラエビス)の卵母細胞、又は哺乳類細胞、例えばCHO又はHeLa細胞における上昇するか又は下降するイオン流についてアッセイされる。CNG3Bに類似する手段で化合物により影響されるチャネルが、CNG3Bの相同体又はオルト体であると思われる。
【0195】
B.モジュレーター:
CNG3Bサブユニットを含んで成るCNGチャネルのモジュレーターとして試験される化合物は、いずれかの化学的小化合物、又は生物学的存在物、例えばタンパク質、糖、核酸又は脂質であり得る。他方では、モジュレーターは、CNG3Bサブユニットの遺伝子的に変更されたバージョンであり得る。典型的には、試験化合物は、化学的小分子及びペプチドであろう。実質的にいずれの化合物でも、本発明のアッセイにおいて可能性あるモジュレーター又はリガンドとして使用され得るが、但し最も頻繁には、水溶液又は有機(特に、DMSO−基材の)溶液に溶解され得る化合物が使用される。
【0196】
アッセイは、アッセイ段階を自動化し、そして典型的には、同時に行われる(例えば、ロボットアッセイにおけるマイクロタイタープレート上でのマイクロタイター型において)、アッセイにいずれかの便利な源からの化合物を供給することによって、大きな化学的ライブラリーをスクリーニングするよう企画される。化合物の多くの次のような供給者が存在することが理解されるであろう:Sigma(St. Louis, MO)、Aldrich(St. Louis, MO)、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO), Fluka Chemika-Biochemica Analytika (Buchs, Switzerland) 及び同様のもの。
【0197】
1つの好ましい態様においては、高処理量スクリーニング方法は、多数の可能性ある治療化合物(可能性あるモジュレーター又はリガンド化合物)を含む結合化学ライブラリー又はペプチドライブラリーを供給することを包含する。次にそのような“結合化学ライブラリー”又は“リガンドライブラリー”は、所望する特徴的活性を示すそれらのライブラリーメンバー(特に、化学的種又はサブクラス)を同定するために、本明細書に記載のようにして、1又は複数のアッセイにおいてスクリーンされる。このようにして同定された化合物は、従来の“先導化合物”として作用することができ、又はそれ自体、可能性ある又は実際的な治療剤として使用され得る。
【0198】
結合化学ライブラリーは、多くの化学“構築ブロック”、例えば試薬を組合すことによって、化学的合成又は生物学的合成により生成される種々の化合物の収集物である。例えば、線状結合化学ライブラリー、例えばポリペプチドライブラリーは、所定の化合物長(すなわち、ポリペプチド化合物におけるアミノ酸の数)についてあらゆる可能な態様で1組の化学的構築ブロック(アミノ酸)を組合すことによって形成される。数百万の化合物は、化学的構築ブロックのそのような結合性混合物を通して合成され得る。
【0199】
結合化学ライブラリーの調製及びスクリーニングは、当業者に良く知られている。そのような結合化学ライブラリーは、ペプチドライブラリーを包含するが、但しそれらだけには限定されない(例えば、アメリカ特許第5,010,175号;Furka, Int. J. Pept. Prot. Res. 37: 487-493 (1991) 及びHoughtonなど., Nature 354: 84-88 (1991) を参照のこと)。種々の化学ライブラリーを生成するためには、他の化学物質がまた使用され得る。
【0200】
そのような化学物質は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:ペプトイド(例えば、PCT公開WO91/19735号)、コードされたペプチド(例えば、PCT公開WO93/20242号)、ランダムバイオ−オリゴマー(例えば、PCT公開WO92/00091号)、ベンゾジアゼピン(例えば、アメリカ特許第5,288,514号)、ダイバーソマー(diversomer)、例えばヒダントイン、ベンゾジアゼピン及びジペプチド(Hobbsなど., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90: 6909-6913 (1993))、ビニル性ポリペプチド(Hagiharaなど., J. Amer. Chem. Soc. 114: 6568 (1992))、グルコース骨格を有する非ペプチド性ペプチド擬似体(Hirschmannなど., J. Amer. Chem. Soc. 114: 9217-9218 (1992))、小化合物ライブラリーの類似有機合成物(Chenなど., J. Amer. Chem. Soc. 116: 2661 (1994))、オリゴカルバメート(Choなど., Science 261: 1303 (1993))、及び/又はペプチドホスホネート(Campbellなど., J. Org. Chem. 59: 658 (1994))、
【0201】
核酸ライブラリー(Ausubel, Berger及びSambrook;すべて前記)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、アメリカ特許第5,539,083号)、抗体ライブラリー(Vaughnなど., Nature Biotechnology, 14 (3): 309-314 (1996) 及びPCT/US96/10287号)、炭水化物ライブラリー(例えば、Liangなど., Science, 274: 1520-1522 (1996) 及びアメリカ特許第5,593,853号を参照のこと)、有機小分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum C & EN, Jam 18, p. 33 (1993); イソプレノイド、アメリカ特許第5,569,588号;チアゾリジノン及びメタチザノン、アメリカ特許第5,549,974号;ピロリジン、アメリカ特許第5,525,735号及び第5,519,134号;モルホリノ化合物、アメリカ特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、アメリカ特許第5,288,514号及び同様のもの)。
【0202】
結合ライブラリーの調製のための装置は市販されている(例えば、357MPS, 390MPS,Advanced Chem Tech, louisville KY, Symphony, Rainin, Woburn, MA, 433A Applied Biosystems, Foster City, CA, 9050 Phus, Millipore, Bedford, MAを参照のこと)。さらに、多くの結合ライブラリーは、それら自体市販されている(例えば、CamGenex, Princeton, N. J., Tripos, Inc., St. Louis, MO, 3D Pharmaceuticals, Exton, PA, Martek Biosciences, Columbia, MD, 等を参照のこと)。
【0203】
1つの態様においては、本発明は、ヒトCNG3Bサブユニットを含んで成るCNGチャネル発現する細胞又は組織が固相基質に結合される、高処理量型での固相に基づくインビトロアッセイを提供する。本発明の高処理量アッセイにおいては、数千のまでの異なったモジュレーター又はリガンドを1日でスクリーンすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの個々のウェルが、選択された可能性あるモジュレーターに対して別々のアッセイを行うために使用され得るが、又は濃度又はインキュベーション時間の効果が観察される場合、5〜10個ごとにウェルは、単一のモジュレーターを試験することができる。
【0204】
従って、単一の標準マイクロタイタープレートが約96のモジュレーターをアッセイすることができる。1536個のウェルプレートが使用される場合、単一のプレートは約100〜約1500の異なった化合物を容易にアッセイすることができる。1日当たり多くのプレートをアッセイすることが可能であり;約6,000、20,000、50,000又は100,000又はそれよりも多くの異なった化合物についてアッセイスクリーンが本発明の統合システムを用いて可能である。
【0205】
C.固体状態及び可溶性高処理量アッセイ:
1つの態様において、本発明は、CNG3Bポリペプチドを含んで成るカチオンチャネル、CNG3Bカチオンチャネルを含んで成る膜、又はCNG3Bポリペプチドを含んで成るカチオンチャネルを発現する細胞又は組織(天然に存在するか又は組換えのいずれか)を用いての溶性アッセイを提供する。もう1つの態様においては、本発明は、高処理量型での固相に基づくインビトロアッセイを提供し、ここでCNG3Bカチオンチャネルが固相支持体に結合される。
【0206】
本発明の高処理量アッセイにおいては、数千の異なったモジュレーター又はリガンドを1日でスクリーンすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの個々のプレートが、選択された可能性あるモジュレーターに対する別のアッセイを行うために使用され得、又は濃度又はインキュベーション時間の効果が観察される予定である場合、5〜10個のウェルごとに、単一のモジュレーターを試験することができる。
【0207】
従って、単一の標準のマイクロタイタープレートは、約100(例えば、96)のモジュレーターをアッセイすることができる。1536個のウェルプレートが使用される場合、単一のプレートは約100〜約1500の異なった化合物を容易にアッセイすることができる。1日当たり多くのプレートをアッセイすることが可能であり;アッセイは、本発明の統合されたシステムを用いて、約6,000、20,000、50,000又は100,000以上の異なった化合物をスクリーンすることが可能である。
【0208】
興味あるチャネル、又は興味あるチャネルを含んで成る細胞又は膜は、共有又は非共有結合、例えば標識を通して、直接的又は間接的に、固体状態成分に結合され得る。標識は、いずれの種類の成分ででもあり得る。一般的に、標識(標識結合剤)を結合する分子は固体支持体に固定され、そして興味ある標識された分子は、標識及び標識結合剤の相互作用により固体支持体に結合される。
【0209】
多くの標識及び標識結合剤が、文献に記載される既知の分子相互作用ウェルに基づいて使用され得る。例えば、標識が天然の結合剤、例えばビオチン、タンパク質A、又はタンパク質Gを有する場合、それは、適切な標識結合剤(アビジン、ストレプタビジン、ニュートラビジン、免疫グロブリンのFc領域、等)と共に使用され得る。天然の結合剤、例えばビオチンを用いての分子に対する抗体はまた、広く利用でき且つ適切な標識結合剤であり;SIGMA Immunochemicals 1998カタログSIGMA, St. Louis MO を参照のこと)。
【0210】
同様に、いずれかのハプテン又は抗原性化合物は、標識/標識結合剤対を形成するために適切な抗体と組み合わして使用され得る。数千の特定抗体が市販されており、そして多くの追加の抗体が文献に記載されている。例えば、1つの通常の形状においては、標識は第1抗体であり、そして標識結合剤は、第1抗体を認識する第2抗体である。抗体−抗原相互反応の他に、受容体−リガンド相互作用がまた、標識及び標識−結合剤として適切である。
【0211】
例えば、細胞膜受容体のアゴニスト及びアンタゴニスト(例えば、細胞受容体−リガンド相互作用、例えばトランスフェリン、c−kit、ウィルス受容体リガンド、サイトカイン受容体、インターロイキン受容体、免疫グロブリン受容体及び抗体)、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリー及び同様のもの;例えば、Pigott & Power, The Adhesion Molecular Facts Book I (1993) を参照のこと。
【0212】
同様に、毒素及びヘビ毒素、ウィルスエピトープ、ホルモン(例えば、アヘン誘導体、ステロイド、等)、細胞内受容体(例えば、種々の小リガンド、例えばステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイド及びビタミンD;ペプチドの効果を介在する)、薬剤、レクチン、糖、核酸(線状及び環状ポリマー形状)、オリゴ糖、タンパク質、リン脂質及び抗体が、種々の細胞受容体とすべて相互作用することができる。
【0213】
合成ポリマー、例えばポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレン、スルフィド、ポリシクロキサン、ポリイミド及びポリアセテートがまた、適切な標識又は標識結合剤を形成することができる。多くの他の標識/標識結合剤対がまた、この開示の再考に基づいて当業者に明らかなように、本明細書に記載されるアッセイシステムにおいても有用である。
【0214】
通常のリンカー、例えばペプチド、ポリエーテル及び同様のものはまた、標識として作用することができ、そしてポリペプチド配列、例えば約5〜200個のアミノ酸のポリGly配列を包含する。適切な柔軟なリンカー又は、当業者に知られている。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers, Inc. Huntsville, Alabamaから入手できる。それらのリンカーは任意には、アミド連鎖、スルフィドリル連鎖、又はヘテロ官能性連鎖を有する。
【0215】
標識結合剤は、現在入手できる種々の方法のいずれかを用いて、固体支持体に固定される。固体支持体は、標識結合剤の一部として反応する表面に化学基を固定する化学試薬に支持体のすべて又は一部を暴露することによって、誘導体化されるか又は官能化される。例えば、より長い鎖部分への結合のために適切である基は、アミン、ヒドロキシル、チオール及びカルボキシル基を包含する。アミノアルキルシラン及びヒドロキシアルキルシランは、種々の表面、例えばガラス表面を官能化するために使用され得る。そのような固相生物ポリマーアレイの構成は、文献において十分に記載されている。
【0216】
例えば、Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85: 2149-2154 (1963) (例えば、ペプチドの固相合成を記載する);Geysenなど., J. Immun. Meth. 102: 259-274 (1987) (ピン上での固相成分の合成を記載する);Frank & Doring, Tetrahedron 44: 6031-6040 (1988) (セルロースデスク上での種々のペプチド配列の合成を記載する);Fodorなど., Science, 251: 767-777 (1991); Sheldonなど., Clinical Chemistry 39 (4) 718-719 (1993); 及びKozalなど., Nature Medicine 2(7): 753-759 (1996) ( すべては、固体支持体に固定された生物ポリマーのアレイを記載する)を参照のこと。支持体に標識結合剤を固定するための非化学的アプローチは、他の通常の方法、例えば加熱、UV放射線による架橋、及び同様のものを包含する。
【0217】
VII. CNG3Bを用いてのコンピューター助力された薬剤企画:
CNG3Bチャネルの活性を調節する化合物についてのさらにもう1つのアッセイは、コンピューター助力の薬剤企画をを包含し、ここでコンピューターシステムは、そのアミノ酸配列によりコードされる構造情報に基づいてCNG3Bの三次元構造を生成するために使用される。入力アミノ酸配列は、タンパク質の二次、三次及び四次構造モデルを生成するために、コンピュータープログラムにおける予定されたアルゴリズムと、直接的に及び活動的に相互作用する。次に、タンパク質構造のモデルが、リガンド又は他のカチオンチャネルサブユニットを結合する能力を有する構造の領域を同定するために試験される。次に、それらの領域が、タンパク質、又はCNG3Bが他のカチオンチャネルサブユニットと相互反応する領域に結合するリガンドを同定するために使用される。
【0218】
タンパク質の三次構造モデルは、少なくとも25、50、75又は100個のアミノ酸残基のタンパク質アミノ酸配列、又はCNG3Bモノマーをコードする対応する核酸配列を、コンピューターシステムに入力することによって生成される。個々のモノマーのアミノ酸配列は、配列番号1、保存的に修飾されたそのバージョン、例えば、配列番号1のアミノ酸210−661を含んで成るその免疫原性部分から選択される。アミノ酸配列は、タンパク質の構造体情報をコードする、個々のタンパク質の一次配列又は副配列を表す。
【0219】
アミノ酸配列の少なくとも25、50、75又は100個の残基(又は、25、50、75又は100個のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列)が、コンピューターキーボードからコンピューターシステム、すなわち電子貯蔵媒体(例えば、磁気デスケット、テープ、カートリッジ及びチップ)、光媒体(例えば、CD ROM)、インターネットサイト及びRAMにより分離される情報(但し、それらだけには限定されない)を包含するコンピューター読み取り媒体中に入力される。次に、タンパク質の三次元構造モデルが、当業者に知られているソフトフェアを用いて、アミノ酸配列及びコンピューターシステムの相互作用により生成される。次に、その得られる三次元コンピューターモデルが、コンピューター読み取り可能媒体上にセーブされる。
【0220】
アミノ酸配列は、モノマーカチオンチャネルタンパク質、及び4種のモノマーを含んで成るヘテロマーカチオンチャネルタンパク質の二次、三次及び四次構造を形成するために必要な情報をコードする一次構造を表す。ソフトフェアは、構造モデルを生成するために、一次配列によりコードされる一定のパラメーターを調べる。それらのパラメーターは、“エネルギー用語”、又は異方性用語として言及され、そして主に、静電ポテンシャル、疎水性ポテンシャル、溶媒接近性表面及び水素結合を包含する。二次エネルギーの用語は、ファン・デル・ワールカスポテンシャルを包含する。生物学的分子は、エネルギーを累積形で最少にする構造を形成する。従って、コンピューターは、二次構造モデルを創造するために、一次構造又はアミノ酸配列によりコードされるそれらの用語を用いる。
【0221】
次に二次構造によりコードされるタンパク質の三次構造が、二次構造のエネルギー用語に基づいて形成される。この点で使用者は、追加の変数、例えばタンパク質が膜結合されるか又は可溶性であるかにかかわらず、身体中でのその位置、及びその細胞位置、例えば細胞質、表面又は核位置を入力することができる。二次構造のエネルギー用語と共にそれらの変数が、三次構造のモデルを形成するために使用される。三次構造のモデルにおいては、コンピュータープログラムは、二次構造の疎水性面と同様のものとを、及び二次構造の親水性面と同様のものとを適合せしめる。
【0222】
構造体が生成されると、可能性あるリガンド結合領域が、コンピューターシステムにより同定される。可能性あるリガンドのための二次元構造は、上記のようにして、化合物のアミノ酸又はヌクレオチド配列、又は化学式を入力することによって生成される。次に、可能性あるリガンドの三次元構造が、CNG3Bに結合するリガンドを同定するために、CNG3Bタンパク質のその構造に比較される。タンパク質とリガンドとの間の結合親和性は、リガンドがタンパク質の結合の増強された可能性を有することを決定するために、エネルギー用語を用いて決定される。
【0223】
コンピューターシステムは、CNG3B遺伝子の突然変異、多形変異体、対立遺伝子及び種間相同体をスクリーニングするためにも使用される。そのような突然変異は、疾病状態又は遺伝的形質に関連することができる。変異体が同定されると、診断アッセイが、疾病状態に関連するそのような突然変異誘発された遺伝子を有する患者を同定するために使用され得る。突然変異誘発されたCNG3B遺伝子の同定は、第1の核酸、例えば配列番号2−3、又はCNG3Bをコードするアミノ酸配列 、例えば配列番号1、及び保存的に修飾されたその型の入力の受容を包含する。
【0224】
前記配列は、上記のようにして、コンピューターシステム中に入力される。次に、第1核酸又はアミノ酸配列が、第1の配列に対してこの実質的な同一性を有する第2の核酸又はアミノ酸配列に比較される。その第2配列が、上記態様で、コンピューターシステム中に入力される。第1及び第2配列が比較されると、配列間のヌクレオチド又はアミノ酸差異が同定される。そのような配列は、CNG3B遺伝子、好ましくはCNG3B遺伝子、より好ましくはヒトCNG3B遺伝子、及び疾病状態に関連する突然変異を表すことができる。
【0225】
CNG3Bモノマーをコードする核酸は、本発明におけるCNG3B相同体、オルト体、対立遺伝子、保存的に修飾された変異体及び多形変異体を同定するために、高密度オリゴヌクレオチドアレイ技法(例えば、GeneChipTM)に使用され得る。同定される相同体が既知の疾病に連結される場合、それらは生物学的サンプルにおける疾病の検出の際、診断用具としてGenChipTMと共に使用され得る。例えば、Gunthandなど., AIDS Res. Hum. Retroviruses 14: 869-876 (1998); Kozalなど., Nat. Med. 2: 753-759 (1996); Matsonなど., Anal. Biochem. 224: 106-110 (1995); Lockhartなど., Nat. Biotechnol. 14: 1675-1680 (1996); gingeras など., Genome res. 8: 435-448 (1998); Haciaなど., Nucleic Acads Res. 26: 3865-3866 (1998) を参照のこと。
【0226】
VIII.細胞トランスフェクション及び遺伝子療法:
本発明は、インビトロ及びインビボでの細胞のトランスフェクションのためのCNG3B遺伝子の核酸を提供する。それらの核酸は、下記のようにして、標的細胞及び生物のトランスフェクションのための良く知られている多くのベクターのいずれかに挿入され得る。核酸は、ベクター及び標的細胞の相互作用を通して、エクスビボ又はインビボで細胞中にトランスフェクトされる。次に、プロモーターの制御下でのCNG3Bのための核酸は、本発明のCNG3Bモノマーを発現し、それにより、CNG3B遺伝子の不在、部分的不活性化又は異常発現の効果を軽減する。組成物は、患者において治療応答を誘発するために十分な量で患者に投与される。これを達成するのに適切な量は、“治療的有効な用量又は量”として定義される。
【0227】
そのような遺伝子療法は、多くの情況における獲得された及び固有の遺伝子欠陥、癌及びウィルス感染を補正するために使用されて来た。ヒトにおける人工遺伝子を発現する能力は、多くの重要なヒト疾病、例えば他の治療による処理の影響を受けない多くの疾病の予防及び/又は治療を促進する(遺伝子療法の再考のためには、Anderso, Science 256: 808-813 (1992); Nabel & Felgner, TIBTECH 11: 211-217 (1993); Mitani & Caskey, TIBTECH 11: 162-166 (1993); Mulligan, Science 926-932 (1993); Dillon, TIBTECH 11: 167-175 (1993); Miller, Nature 357: 455-460 (1992); Van Brunt, Biotechnology 6(10): 1149-1154 (1998); Vigne, Restorative Neurology and Neuroscience 8: 35-36 (1995); Kremer & Perricaudet, British Medical Bulletin 51 (1): 31-44 (1995); Haddadaなど., in Current Topics in Microbiology and Immunology (Doerfler & Bohm eds., 1995); 及びYuなど., Gene Therapy 1:13-26 (1994)を参照のこと)。
【0228】
細胞中への遺伝子又は遺伝的材料の供給は、疾病の遺伝子療法処理における最初の段階である。多数の供給方法が、当業者に良く知られている。好ましくは、核酸は、インビボ又はエクスビボ遺伝子療法使用のために投与される。非ウィルスベクター供給システムは、DNAプラスミド、裸核酸、及び供給ビークル、例えばリポソームにより複合体化された核酸を包含する。ウィルスベクター供給システムは、細胞への供給の後、エピソーム又は組み込まれたゲノムのいずれかを有する、DNA及びRNAウィルスを包含する。
【0229】
核酸の非ウィルス供給方法は、リポフェクション、マイクロインジェクション、バイオリスティクス(biolistics)、ビロソーム(virosomes)、リポソーム、イムノリポソーム、ポリカチオン又は脂質:核酸接合体、裸DNA、人工ビリオン、及びDNAの剤−増強された摂取を包含する。リポフェクションは、例えばアメリカ特許第5,049,386号;第4,946,787号;及び第4,897,355号に記載されており、そしてリポフェクション試薬は市販されている(例えば、TransfectamTM 及びLipofectinTM)。ポリヌクレオチドの効果的な受容体−認識リポフェクションのために適切であるカチオン性及び中性脂質は、Felgner, WO91/17424号、WO91/16024号に記載されているそれらのものを包含する。供給は、細胞(エクスビボ投与)又は標的組織(インビボ投与)に対してであり得る。
【0230】
標的化されたリポソーム、例えば免疫脂質複合体を包含する脂質:核酸複合体の調製は当業者の良く知られている(例えば、Crystal, Science 270: 404-410 (1995); Blaese など., Cancer Gene Ther, 2: 291-297 (1995); Behrなど., Bioconjugate Chem. 5: 382-389 (1994); Remyなど., Bioconjugate Chem. 5: 657-654 (1994); Gao など. Gene Therapy2: 710-722 (1995); Ahmadなど., Cancer Res. 52: 4817-4820 (1992); アメリカ特許第4,186,183号、第4,217,344号、第4,235,871号、第4,261,875号、第4,485,054号、第9,501,728号、第4,774,085号、第4,837,028号及び第4,946,787号参照のこと)。
【0231】
核酸の供給のためへのRNA又はDNAウィルスに基づくシステムの使用は、身体中の特定の細胞にウィルスを標的化し、そしてその核へのウィルス負荷を通すための高く開発された方法を利用する。ウィルスベクターは患者に直接的に投与され得(インビボ)、又はそれらはインビトロで細胞処理するために使用され得、そして修飾された細胞が患者に投与される(エクスビボ)。核酸の供給のための従来のウィルスに基づくシステムは、遺伝子トランスファーのためのレトロウィルス、レンチウィルス、アデノウィルス、アデノ関連及びヘルペス単純ウィルスベクターを包含する。
【0232】
ウィルスベクターは現在、標的細胞及び組織への遺伝子トランスファーのための最も効果的且つ多様な方法である。宿主ゲノムへの組み込みは、レトロウィルス、レンチウィルス及びアデノ関連ウィルス遺伝子トランスファー方法により可能であり、これはしばしば、挿入されたトランスジーンの長期発現をもたらす。さらに、高いトランスダクション効率が、多くの異なった細胞型及び標的組織において観察されて来た。
【0233】
レトロウィルスの向性は、可能性ある標的細胞集団を拡張する、外来性エンベロープタンパク質を組み込むことによって変更され得る。レンチウィルスベクターは、非分裂細胞を形質導入するか又は感染することができ、そして典型的には、高いウィルス力価を生成できるレトロウィルスベクターである。従って、レトロウィルス遺伝子トランスファーシステムの選択は、標的組織に依存する。レトロウィルスベクターは、6〜10kbまでの外来性配列のパッケージング能力を有するシス−作用性の長い末端反復体から構成される。
【0234】
最少のシス−作用性LTRは、ベクターの複製及びパッケージングのために十分であり、それらは次に、永久的なトランスジーン発現を提供するために標的細胞中に治療遺伝子を組み込むために使用される。広く使用されるレトロウィルスベクターは、ネズミ白血病ウィルス(MuLV)、テナガザル白血病ウィルス(GalV)、シミアン免疫欠損ウィルス(SIV)、ヒト免疫欠損ウィルス(HIV)及びそれらの組合せに基づいてのそれらのベクターを包含する(例えば、Buchscherなど., J. Virol. 66: 2731-2739 (1992); Johannなど., J. Virol. 66: 1635-1640 (1992); Sommerfeltなど., Virol. 176: 58-59 (1990); Wilsonなど., J. Virol. 63: 2374-2378 (1989); Millerなど., J. Virol. 65: 2220-2224 (1991); 及びPCT/US94/05700号を参照のこと)。
【0235】
核酸の一般的な発現が好ましい用途においては、アデノウィルスに基づくシステムが典型的には使用される。アデノウィルスに基づくベクターは、多くの細胞型において非常に高いトランスダクション効率を有することができ、そして細胞分裂を必要としない。そのようなベクターにより、高い力価及び高いレベルの発現が得られている。このベクターは、比較的単純なシステムで多量に生成され得る。
【0236】
アデノ関連ウィルス(“AAV”)ベクターはまた、例えば核酸及びペプチドのインビトロ生成において、及びインビボ及びエクスビボ遺伝子療法のために、標的核酸を細胞にトランスダクトするために使用される(例えば、Westなど., Virology 160: 38-47 (1987); アメリカ特許第4,797,368号;WO93/24641号;Kotin, Human Gene Therapy 5: 793-801 (1994); muzyczka, J. Clin. Invest. 94: 1351 (1994) を参照のこと)。組換えAAVベクターの構成は、多くの出版物、例えばアメリカ特許第5,173,414号;Tratschinなど., Mol. Cell. Biol. 5: 3251-3260 (1985); Tratschinなど., Mol. Cell. Biol. 4:2072-2081 (1984); Hermonat & Muzyczka, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 84: 6466-6470 (1984); 及びSamulskiなど., J. Virol. 63: 3822-3820 (1989) を参照のこと)。
【0237】
特に、少なくとも6種のウィルスベクターアプローチが臨床試験における遺伝子トランスファーのために現在、入手でき、そしてレトロウィルスベクターが最も頻繁に使用されるシステムである。それらのすべてのウィルスベクターは、形質導入剤を生成するために、ヘルパー細胞系中に挿入される遺伝子による欠陥ベクターの補充を包含するアプローチを利用する。
【0238】
pLASN及びMFG−Sは、臨床試験において使用されているレトロウィルスベクターである(Dunbarなど., blood 85: 3048-305 (1995); Kohnなど., Nat. Med. 1: 1017-102 (1995); Malechなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 22 12133-12138 (1997))。PA317/pLASNは、遺伝子療法試験に使用された最初の治療用ベクターであった(Blaeseなど., Science 270: 475-480 (1995))。50%又はそれ以上のトランスダクション効率が、MFG−Sパッケージングされたベクターに関して観察されている(Ellemなど., Immunol. Immunother. 44 (1): 10-20 (1997); Dranoffなど., Hum. Gene Ther. 1: 11-2 (1997))。
【0239】
組換えアデノ−関連ウィルスベクター(rAAV)は、欠陥及び非病原性パルボウィルスアデノ−関連タイプ2ウィルスに基づく有望な他の遺伝子供給システムである。すべてのベクターは、トランスジーン発現カセットを両端に有する、AAV145bp逆方向末端反復体のみを保持するプラスミドから誘導される。形質導入された細胞のゲノム中への組み込みのための効果的遺伝子トランスファー及び安定したトランスジーン供給は、このベクターシステムのための主要な特徴である(Wagnerなど., Lancet 351: 91117-1702-3 (1998); Keams など., Gene Ther. 9: 748-55 (1996))。
【0240】
複製−欠陥組換えアデノウィルスベクター(Ad)は、それらが高い力価で生成され得、そしてそれらが多くの異なった細胞型を容易に感染するので、優力的に使用される一時的発現遺伝子療法である。ほとんどのアデノウィルスベクターは、トランスジーンがAd E1a, E1b及びE3遺伝子を置換するよう構築され;従って、複製欠陥ベクターが、欠失された遺伝子機能をトランス形で供給するヒト293細胞において増殖される。Adベクターは、複数型の組織、例えば非分裂性の分化された細胞、例えば肝臓、腎臓及び筋肉系組織に見出されるそれらの細胞をインビボで形質導入することができる。
【0241】
臨床試験へのAdベクターの使用の例は、筋肉内注射による抗腫瘍免疫化のためのポリヌクレオチド治療を包含した(Stermanなど., Hum. Gene Ther. 7: 1083-9 (1998))。臨床試験への遺伝子トランスファーのためのアデノウィルスベクターの使用の追加の例は、Roseneckerなど., Infection 241: 5-10 (1996); Stermanなど., Hum. Gene Ther. 9: 7 1083-1089 (1998); Welshなど., Hum. Gene Ther. 2: 205-18 (1995); Alvarezなど., Hum. Gene Ther. 5: 597-613 (1997); Topfなど., Gene Ther. 5: 507-513 (1998); Stermanなど., Hum. Gene Ther. 7: 1083-1089 (1998) に包含される。
【0242】
多くの遺伝子療法用途においては、遺伝子療法ベクターは、特定の組織型に対して高い程度の特異性を伴なって供給されることが所望される。ウィルスベクターは典型的には、種々の外表面上のウィルスコートタンパク質との融合タンパク質としてリガンドを発現することによって、所定の細胞型に対して特異性を有するよう修飾される。リガンドは、興味ある細胞型上に存在することが知られている受容体に対する親和性を有するよう選択される。例えば、Hanなど., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 9747-9751 (1995) は、Moloneyネズミ白血病ウィルスがgp70に融合されるヒトヘレグリン(heregulin)を発現するよう修飾され得、そして組換えウィルスがヒト上皮成長因子受容体を発現する一定のヒト乳癌細胞を感染することを報告している。
【0243】
この原理は、リガンド融合タンパク質を発現する他の対のウィルス、及び受容体を発現する標的細胞に拡張され得る。例えば、線状ファージが実質的にいずれかの選択された細胞受容体に対する特異的結合親和性を有する抗体フラグメント(例えば、FAB又はFv)を表示するよう構築され得る。上記の記載はウィルスベクターに主に適用されるが、同じ原理が非ウィルスベクターに適用され得る。そのようなベクターは、特定の標的細胞による摂取を好むと思われる特定の摂取配列を含む構築され得る。
【0244】
遺伝子療法ベクターは、下記のように、個々の患者への投与により、典型的には、全身性投与(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下又は頭蓋内注入)又は局部投与によりインビボで供給され得る。他方では、ベクターは、細胞、例えば個々の患者から外移植された細胞(例えば、リンパ球、骨髄吸引液、組織生検)、又は普遍的ドナー造血幹細胞にエクスビボ供給され、続いて、通常、ベクターを組み込んでいる細胞についての選択の後、細胞が患者に再移植される。
【0245】
診断、研究又は遺伝子療法(例えば、宿主生物中へのトランスフェクトされた細胞の再−注入を通して)のためのエクスビボ細胞トランスフェクションは、当業者に良く知られている。好ましい態様においては、細胞は対象生物から単離され、核酸(遺伝子又はcDNa)によりトランスフェクトされ、そして対象生物(例えば、患者)中に再注入される。エクスビボトランスフェクションのための適切な種々の細胞型は、当業者に良く知られており(例えば、Freshneyなど., Culture of Animal Cells, A Manual of Basic Tochnigue (3rd) ed. 1994)、そして患者から細胞をいかにして単離するか、そしていかに培養するかの議論についてはそこに引用される文献を参照のこと)。
【0246】
治療用核酸を含むベクター(例えば、レトロウィルス、アデノウィルス、リポソーム、等)はまた、細胞のインビボトランスダクションのために生物に直接的に投与され得る。他方では、裸DNAが投与され得る。投与は、血液又は組織細胞との最終的な接触への分子の導入のために通常使用されるいずれかの経路によってである。そのような核酸を投与するための適切な方法が利用でき、そして当業者に良く知られており、そして1つよりも多くの経路が特定の組成物を投与するために使用され得るが、特定の経路がしばしば、もう1つの経路よりも、より直接的で且つより効果的な反応を提供することができる。
【0247】
投与は、血液又は組織細胞との最終的な接触への分子の導入のために通常使用されるいずれかの経路によってである。核酸は、好ましくは医薬的に許容できるキャリヤーと共に、いずれかの適切な態様で投与される。そのような核酸を投与するための適切な方法が利用でき、そして当業者に良く知られており、そして1つよりも多くの経路が特定の組成物を投与するために使用され得るが、特定の経路がしばしば、もう1つの経路よりも、より直接的で且つ効果的な反応を提供することができる。
【0248】
IX.医薬組成物及び投与:
医薬的に許容できるキャリヤーは、投与される特定の組成物(例えば、核酸、タンパク質、調節化合物又は形質導入された細胞)により、及び組成物を投与するために使用される特定の方法により一部決定される。従って、本発明の医薬組成物の広範囲の種類の適切な製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., 1989)。投与は、いずれかの便利な態様、例えば経口投与、吸入、経皮適用又は直腸投与により行われ得る。
【0249】
経口投与のために適切な製剤は、(a)液体溶液、例えば希釈剤、例えば水、塩溶液又はPEG400に懸濁される、有効量のパッケージングされた核酸;(b)液体、固体、顆粒又はゼラチンとしての、予定された量の活性成分をそれぞれ含む、カプセル、香粉又は錠剤;(c)適切な液体中、懸濁液;及び(d)適切なエマルジョンから成ることができる。
【0250】
錠剤形は、1又は複数のラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、微結晶セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化珪素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及び他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、加湿剤、保存剤、風味剤、砕解剤、及び医薬的に適合できるキャリヤーを含むことができる。ロゼンジ形は、風味剤、例えばスクロースに活性成分を含んで成り、そして香錠は、不活性基材、例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアエマルジョン、ゲル、及び活性成分の他に、当業界において知られているキャリヤーを含む同様のものに活性成分を含んで成る。
【0251】
選択の化合物は、単独で又は他の適切な成分と組合して、吸入を通して投与されるエアロゾル製剤(すなわち、それらは“噴霧化”され得る)に製造され得る。エアロゾル製剤は、加圧された許容できる噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素及び同様のものに配置され得る。
【0252】
非経口投与、例えば関節内(間節における)、静脈内、筋肉内、経下内、腹腔内及び皮下経路のための適切な製剤は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、及び製剤を意図される受容体の血液と等張性にする溶質を含むことができる。水性及び非水性の等張性無菌注射溶液、及び懸濁剤、溶解剤、増粘剤、安定剤及び保存剤を含むことができる、水性及び非水性無菌懸濁液を包含する。本発明の実施においては、組成物は、例えば静脈内注入、経口、局部、腹腔内、膀胱内又は鞘内投与され得る。非経口投与及び静脈内投与は、投与の好ましい方法である。化合物の製剤は、単位用量又は複−用量の密封された容器、例えばアンプル及びバイアルに提供され得る。
【0253】
注射溶液及び懸濁液は、前に記載された種類の減菌粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。エクスビボ治療のために核酸により形質導入された細胞はまた、上記のように、静脈内又は非経口投与され得る。
本発明に関して、患者に投与される用量は、時間にわたって患者における有益な応答をもたらすのに十分であるべきである。用量は、使用される特定のベクターの効率、及び患者の状態、並びに処理される体重又は表面積により決定されるであろう。用量のサイズは、特定の患者における特定のベクター又は形質導入された細胞型の投与に付随するいずれかの副作用の存在、性質及び程度により決定されるであろう。
【0254】
CNG3Bサブユニットを含んで成るCNGチャネルの低められた又は異常発現のための病状の処理又は予防に投与される有効量のベクターの決定においては、医者は、ベクターの循環血漿レベル、ベクター毒性、疾病の進行、及び抗−ベクター抗体の生成を評価する。一般的に、ベクターからの裸核酸の用量は、典型的な70kgの患者に関して、約1μg〜100μgであり、レトロウィルス粒子を含むベクターの用量が、等量の治療用核酸を生成するために計算される。
投与のためには、本発明の化合物及び形質導入された細胞は、インヒビター、ベクター又は形質導入された細胞型のLD−50、及び種々の濃度でのインヒビター、ベクター又は細胞型の副作用により決定される割合で投与され得る。投与は、1回の用量又は分割された用量を通して達成され得る。
【0255】
X.キット:
ヒトCNG3B遺伝子及びそれらの相同体は、カチオンチャネルの発現及び調節を試験するための有用な手段である。CNG3B核酸、例えばCNG3Bプローブ及びプライマーに対して特異的にハイブリダイズするヒトCNG3B−特異的試薬、及びCNG3Bタンパク質、例えばCNG3B抗体に対して特異的に結合するCNG3B−特異的試薬が、発現及び調節を試験するために使用される。
【0256】
サンプルにおけるCNG3B DNA及びRNAの存在についての核酸アッセイ、例えばサザン分析、ノザン分析、ドットブロット、RNアーゼ保護、S1分析、増幅技法、例えばPCR及びLCR、及び現場ハイブリダイゼーションは、当業者に知られている。現場ハイブリダイゼーションにおいては、標的核酸は、続く解釈及び分析のための細胞形態を保存しながら、細胞内でのハイブリダイゼーションのために入手できるその細胞周囲から生成される。
【0257】
次の文献は、現場ハイブリダイゼーションの技術の概観を提供する:Singerなど., Biotechniques 4: 230-250 (1986); Haase など., Methods in Virology, vol. VII, pp. 189-226 (1984); 及びNucleic Acid Hybridization: A Practical Approach (Hames など., eds. 1987)。さらに、CNG3Bタンパク質は、上記の種々のイムノアッセイ技法により検出され得る。試験サンプルは典型的には、正の対照(例えば、組換えCNG3Bモノマーを発現するサンプル)及び負の対照に比較される。
【0258】
本発明はまた、本発明のカチオンチャネルのモジュレーターについてスクリーニングするためのキットを提供する。そのようなキットは、容易に入手できる材料及び試薬から調製され得る。例えば、そのようなキットは、1又は複数の次の材料を含んで成る:CNG3Bモノマー、反応管、及びCNG3Bを含むカチオンチャネルの活性を試験するための説明書。広範囲の種類のキット及び成分は、キットの意図された使用者及び使用者の特定の必要性に依存して、本発明に従って調製され得る。例えば、キットは、CNG3Bを含むカチオンチャネルの活性を測定するためのインビトロ又はインビボアッセイのために調整され得る。
【0259】
本明細書に引用されるすべての出版物及び特許出願は、個々の出版物又は特許出願が特異的に且つそれぞれ、引用により組み込まれることを示しているかのように、引用により本明細書に組み込まれる。
前述の発明は、本発明をより明確にして理解するために、いくらか詳細に記載されて来たが、いくらかの変更及び修飾が本発明の範囲内で行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0260】
次の例は、例示的であって、本発明を制限するものではない。当業者は、実質的に類似する結果を得るために変更され得るか又は修飾され得る種々の非決定的なパラメーターを容易に認識するであろう。
例1:ヒトCNG3Bの同定
CNG3Bのフラグメントを、ゲノムBAC(受託番号AC013751号)からの複数のエキソンにおける公開のゲノムデータベースから同定した。その5’及び3’末端はデータベースから同定できなかったので、AC013751配列に基づいて十分な長さのCNG3B cDNAをクローン化するために、オリゴヌクレオチドを企画した。
【0261】
CNG3Bの中間からの約180bpのバンドを、網膜から調製されたヒトcDNAから増幅し、この組織における発現を示した。このバンドを増幅するために使用されるオリゴヌクレオチドは、5’−(1) TCTATCTCCTGTGGCTCTTGCTTGTC (センス)、及び5’−(2)GAGTCTGGGCTGGATAAATAGCATATC(アンチセンス)であった。CNG3Bの中間からの約787bpのバンドを、5’−(3)AGGAATTGGCACTACTAGATGGGTG(センス)、及び5’−(4)TTCATGAGGATCCTTTCAGAATCAGG(アンチセンス)オリゴを用いて、ヒト細胞から増幅した。CNG3Bの中間からの約1.26kbのバンドを、5’−(1)TCTATCTCCTGTGGCTCTTGCTTGTC (センス)、及び5’−(4)TTCATGAGGATCCTTTCAGAATCAGG(アンチセンス)オリゴを用いて、ヒト網膜から増幅した。1.26kbのフラグメント(5’−1及び4)をサブクローン化し、そしてその配列を確かにした。
【0262】
CNG3Bの完全な3’末端を、ヒト網膜cDNAから標準の3’RACE PCR技法により、連続して2度、増幅した。第1の段階においては、使用される遺伝子特異的プライマーは、5’−(5)GGAAACCGTCGAACTGCCAATGTGGT(センス)であった。この反応は、配列決定される場合、CNG3B mRNAの完全な3’末端を含むことが見出されている約810bpのバンドを生成するネスティド遺伝子特異的オリゴ5’−(6)CGGGTTTGCCAATCTTTTAACTCTAGAC(センス)により再増幅した。このフラグメントは、元の1.26kbのCNG3Bフラグメントとオーバラップし、連続配列を提供した。
【0263】
CNG3Bの5’末端を、2回の標準の5’RACE PCRを用いて、ヒト網膜cDNAから増幅した。オリゴ5’−(2)GAGTCTGGGCTGGATAAATAGCATATC(アンチセンス)を、第1回目のRACE PCRに使用し、そしてネスティド遺伝子特異的オリゴ5’−(7)GTCCGCAATAAGCCAGTAGTGTATG(アンチセンス)を用いて再増幅した。開始コドン(メチオニン)を含むCNG3Bの完全な5’末端を含む約830bpのフラグメントを単離した。このフラグメントは、元の1.26kbのフラグメントをオーバーラップし、元の1.26kbの配列を有する5’及び3’RACE生成物を用いて、CNG3B mRNAの完全な連続コード領域の決定を可能にした。
【0264】
次に、CNG3Bの完全なコード領域を、上記フラグメントの配列分析により決定されるように、CNG3Bコード配列をオーバーラップするオリゴヌクレオチドを用いて、単一のフラグメントで単離した。使用されるオリゴヌクレオチドは、5’−(8)TGACAAGCTTCCGCCATGTTTAAATCGCTGACAAAAGTC(センス)、及び5’−(9)TGACGAATTCTCCCAGCATGTCGTTTCCCCTCGTTAA(アンチセンス)であった。最初のオリゴヌクレオチドは、開始メチオニン、CNG3B遺伝子の最初の24個のコードヌクレオチド、及びプラスミドベクター中にサブクローンするための上流のHindIII制限酵素部位、及び翻訳を増強するためのKozakコンセンサス配列を包含する。
【0265】
CNG3Bに対応するすべてのヌクレオチドは太子型で存在する。第2オリゴヌクレオチドは、CNG3Bの3’側未翻訳配列からであり、そしてサブクローニングのためのEcoRI制限酵素を含む。再び、太子でのすべてのヌクレオチドは、CNG3Bの3’末端の未翻訳領域に対応する(すなわち、CNG3Bの増幅のために必要とされる唯一のヌクレオチドは、上記2種のオリゴヌクレオチドからの太子型でのそれらである)。使用される増幅条件は次の通りであった:95℃で15秒、75〜58℃で15秒(温度は個々の連続したサイクルで0.5℃低められた)、72℃で2.5分(24サイクル)、続いて95℃で15秒、58℃で15秒及び72℃で2.5分(16サイクル)。CNG3Bの完全なコード領域に対応する約2.51kbのバンドを得、そして配列決定により確かめた。
【0266】
前記クローン化されたヒト環状ヌクレオチド−ゲートのチャネル(CNGA1及びCNGA3)に対するCNG3Bの推定されるアミノ酸配列の一列整列が図1に示されている。この一列整列は、GNG種を定義するために使用され得る領域を示す。例えば、CNG3Bのアミノ酸210−661からの領域は、CNG3BとマスクCNG6との間で81%同一である(Gerstnerなど., J. Neurosci. 20 (4): 1324-32 (Feb. 15, 2000))。このアミノ酸領域は、トランスメンブランドメイン、孔ドメイン及びCNG結合ドメインを包含する。
【0267】
非公式の配列の列挙:
配列番号1
ヒトCNG3Bアミノ酸配列:
【表1】

【0268】
配列番号2
完全なヒトCNG3Bヌクレオチド配列:
【表2】

【0269】
【表3】

【0270】
配列番号3
ヒトCNG3Bコード配列:
【表4】

【0271】
【表5】

【0272】
配列番号4
オリゴ1(センス鎖プライマー):
TCTATCTCCTGTGGCTCTTGCTTGTC
配列番号5
オリゴ2(アンチセンス鎖プライマー):
GAGTCTGGGCTGGATAAATAGCATATC
配列番号6
オリゴ3(センス鎖プライマー):
AGGAATTGGCACTACTAGATGGGTG
【0273】
配列番号7
オリゴ4(アンチセンス鎖プライマー):
TTCATGAGGATCCTTTCAGAATCTGG
配列番号8
オリゴ5(センス鎖プライマー):
GGAAACCGTCGAACTGCCAATGTGGT
配列番号9
オリゴ6(センス鎖プライマー):
CGGGTTTGCCAATCTTTTAACTCTAGAC
【0274】
配列番号10
オリゴ7(アンチセンス鎖プライマー):
GTCCGCAATAAGCCAGTAGTGTATG
配列番号11
オリゴ8(センス鎖プライマー):
TGACAAGCTTCCGCCATGTTTAAATCGCTGACAAAAGTC
配列番号12
オリゴ9(アンチセンス鎖プライマー):
TGACGAATTCTCCCAGCATGTCGTTTCCCCTCGTTAA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つの追加のαサブユニットと共に、環状ヌクレオチド−ゲートの特徴を有するカチオンチャンネルを形成し;そして
(ii)配列番号1のアミノ酸210〜661に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する副配列を含んで成る;
カチオンチャンネルのCNG3Bサブユニットを含んで成るポリペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに対して生成される抗体に対して特異的に結合する請求項1記載の核酸。
【請求項3】
前記核酸が、配列番号1のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードする請求項1記載の核酸。
【請求項4】
前記核酸が、配列番号2又は3のヌクレオチド配列を含んで成る請求項1記載の核酸。
【請求項5】
前記核酸が、
TCTATCTCCTGTGGCTCTTGCTTGTC(配列番号4);
GAGTCTGGGCTGGATAAATAGCATATC(配列番号5);
AGGAATTGGCACTACTAGATGGGTG(配列番号6);
TTCATGAGGATCCTTTCAGAATCTGG(配列番号7);
GGAAACCGTCGAACTGCCAATGTGGT(配列番号8);
CGGGTTTGCCAATCTTTTAACTCTAGAC(配列番号9);
GTCCGCAATAAGCCACTAGTGTATG(配列番号10);
TGACAAGCTTCCGCCATGTTTAAATCGCTGACAAAACTC(配列番号11);及び
TGACGAATTCTCCCAGCATGTCGTTTCCCCTCGTTAA(配列番号12)
から成る群から選択されたプライマーと同じ配列に対して、緊縮ハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズするプライマーにより増幅され、ここで前記増幅反応が、95℃で15秒間の変性相、58℃で15秒間のアニーリング相、及び72℃で2.5分間の延長相を包含する40サイクルを含んで成る請求項1記載の核酸。
【請求項6】
前記ポリペプチドが、ヘテロマ−性環状ヌクレオチドゲートのカチオンチャネルのβサブユニットを含んで成る請求項1記載の核酸。
【請求項7】
前記核酸が、配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列を含んで成る核酸に対して、適度な緊縮ハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズし、ここで前記ハイブリダイゼーション反応が40%のホルムアミド、1MのNaCl及び1%のSDSを含んで成る溶液において37℃で一晩インキュベートされ、そして1×SSCを含んで成る溶液において45℃で洗浄される請求項1記載の核酸。
【請求項8】
配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列を含んで成る核酸に対して、緊縮ハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズする、カチオンチャネルのCNG3Bサブユニットをコードする単離された核酸であって、前記ハイブリダイゼーション反応が50%のホルムアミド、5×SSC及び1%のSDSを含んで成る溶液において42℃で一晩インキュベートされ、そして5×SSCを含んで成る溶液において65℃で洗浄されることを特徴とする核酸。
【請求項9】
配列番号1のアミノ酸配列をコードする核酸に対して緊縮条件下で特異的にハイブリダイズする単離された核酸であって、前記ハイブリダイゼーション反応が50%のホルムアミド、5×SSC及び1%のSDSを含んで成る溶液において42℃で一晩インキュベートされ、そして0.2×SSCを含んで成る溶液において65℃で洗浄されることを特徴とする核酸。
【請求項10】
核酸と請求項1記載の単離された核酸とを接触せしめることを含んで成る、核酸の検出方法。
【請求項11】
(i)少なくとも1つの追加のαサブユニットと共に、環状ヌクレオチド−ゲートの特徴を有するカチオンチャンネルを形成し;そして
(ii)配列番号1のアミノ酸210〜661に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する副配列を含んで成る;カチオンチャンネルのCNG3Bサブユニットを含んで成る単離されたポリペプチド。
【請求項12】
前記ポリペプチドが、配列番号1に対して生成される抗体に対して特異的に結合する請求項11記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記ポリペプチドが、約87kD〜約97kDの分子量を有する請求項11記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を有する請求項11記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記ポリペプチドが、ヘテロマ−性環状ヌクレオチドゲートのカチオンチャネルのβサブユニットを含んで成る請求項11記載のポリペプチド。
【請求項16】
請求項11記載のCNG3Bポリペプチドに対して特異的に接合する抗体。
【請求項17】
前記抗体が接合するポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を有する請求項16記載の抗体。
【請求項18】
請求項1記載の核酸を含んで成る発現ベクター。
【請求項19】
請求項18記載のベクターによりトランスフェクトされた宿主細胞。
【請求項20】
カチオンチャネルを通してのイオン流を高めるか又は低める化合物の同定方法であって、
(i)前記化合物とCNG3Bポリペプチドサブユニットとを接触せしめ、ここで前記ポリペプチドが、
(a)少なくとも1つの追加のαサブユニットと共に、環状ヌクレオチド−ゲートの特徴を有するカチオンチャンネルを形成し;そして
(b)配列番号1のアミノ酸210〜661に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する副配列を含んで成り;そして
(ii)前記カチオンチャネルに対する前記化合物の機能的効果を決定する;
段階を含んで成る方法。
【請求項21】
前記機能的効果が、物理学的効果である請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記機能的効果が、化学的効果である請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記ポリペプチドが、真核宿主細胞又は細胞膜において発現される請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記機能的効果が、イオン流、イオン濃度の変化、電流の変化又は電圧の変化を測定することによって決定される請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記機能的効果が、チャネルに結合するリガンドを測定することによって決定される請求項20記載の方法。
【請求項26】
前記ポリペプチドが、組換え体である請求項20記載の方法。
【請求項27】
前記カチオンチャネルが、ヘテロマーである請求項20記載の方法。
【請求項28】
前記ポリペプチドが、ヒトCNG3Bである請求項20記載の方法。
【請求項29】
前記ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列を有する請求項20記載の方法。
【請求項30】
CNG3Bポリペプチドを含んで成る環状ヌクレオチド−ゲートのカチオンチャネルを通してイオン流を高めるか又は低める化合物の同定方法であって、
(i)CNG3Bポリペプチドの少なくとも35個のアミノ酸のアミノ酸配列又はCNG3Bポリペプチドをコードする核酸の少なくとも105個のヌクレオチドを、コンピューターシステムに入力し、ここで前記CNG3Bポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸210〜661に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有する副配列を含んで成り;
(ii)前記アミノ酸配列によりコードされるポリペプチドの三次元構造を生成し;
(iii)前記化合物の三次元構造を生成し;そして
(iv)前記化合物が前記ポリペプチドに結合するか否かを決定するために、前記ポリペプチド及び化合物の三次元構造を比較する;
段階を含んで成る方法。
【請求項31】
対象における疾病を処理するために、CNG3Bサブユニットを含んで成るCNGカチオンチャネルを通してイオン流を調節するための方法であって、請求項20又は30記載の方法を用いて同定された、治療的有効量の化合物を、前記対象に投与する段階を含んで成る方法。
【請求項32】
ヒト組織におけるCNG3Bの存在を検出するための方法であって、
(i)生物学的サンプルを単離し;
(ii)CNG3Bに選択的に会合するCNG3B−特異的試薬と前記生物学的サンプルとを接触せしめ;そして
(iii)前記サンプルに選択的に会合するCNG3B特異的試薬のレベルを検出する;
段階を含んで成る方法。
【請求項33】
前記CNG3B−特異的試薬が、CNG3B−特異的抗体、CNG3B−特異的オリゴヌクレオチドプライマー及びCNG3B−核酸プローブから成る群から選択される請求項32記載の方法。
【請求項34】
ヒトCNG3B遺伝子の突然変異についてのコンピューターシステムでのスクリーニング方法であって、
(i)配列番号2又は配列番号3のヌクレオチド配列及びその保存的に修飾されたバージョンを有するCNG3Bポリペプチドをコードする第1の核酸配列を前記コンピューターシステムに入力し;
(ii)前記第1の核酸配列と、その第1の核酸配列に対して実質的な同一性を有する第2の核酸配列を比較し;そして
(iii)前記第1及び第2の核酸配列間のヌクレオチド差異を同定する;
段階を含んで成る方法。
【請求項35】
前記第2の核酸配列が、疾病状態に関連する請求項34記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−245001(P2012−245001A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−172983(P2012−172983)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2001−585299(P2001−585299)の分割
【原出願日】平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願人】(512075257)アプライド ジェネティック テクノロジーズ コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】