説明

CXCR3はグリアジンレセプターである

グリアジンは、CXCR3に対する生理学的レセプターとして同定される。CXCR3シグナル伝達のモジュレーターを決定するためのアッセイが提供される。CXCR3シグナル伝達のインヒビターとして機能するグリアジンのフラグメントが、決定され得る。CXCR3を標的化することによって、グルテンに関する疾患および/または自己免疫に関する疾患を処置するための方法が提供される。このような疾患としては、セリアック病、グルテン感受性、グルテンアレルギー、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、免疫媒介性糖尿病または1型糖尿病、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、乾癬、強皮症、および自己免疫性甲状腺疾患が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第60/653,118号(2005年2月16日出願)および同第60/741,998号(2005年12月2日出願)(これらの内容はともに、本明細書に具体的に参考として援用される)の優先権を主張する。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、自己免疫疾患の分野に関する。特に、本発明は、自己免疫疾患の処置ならびに自己免疫疾患についての薬物スクリーニングおよび薬物発見に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
環境刺激(例えば、微生物およびグルテン)は、腸、脳、心臓、および他の器官においてゾヌリン放出を誘導する。ゾヌリン放出は、経上皮電気抵抗(TEER)(エキソビボ)またはラクツロース/マンニトール試験(インビボ)における減少によって測定される場合に、上皮の透過性の増加を引き起こす。おそらく、環境刺激は、その細胞表面上のレセプターに結合することによって、細胞の表面と相互作用する。しかし、このようなレセプターは、同定されていない。
【0004】
多くの炎症性疾患が自己免疫性であると考えられている。これらとしては、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、免疫媒介性糖尿病もしくは1型糖尿病、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、乾癬、強皮症、および自己免疫性甲状腺疾患が挙げられる。長期の炎症は、しばしば、これらの疾患と関連するが、その炎症は、原発性の病理的傷害(pathological insult)ではなく、続発症であると考えられている。
【0005】
CXCR3は、Gタンパク質共役レセプターである。このレセプターは、3種類のケモカイン(IP10(インターフェロン−γ誘導性10kDaタンパク質)、MIG(インターフェロン−γによって誘導されるモノカイン)およびI−TAC(インターフェロン誘導性T細胞α−化学誘引物質))に結合することが公知である。IP10、MIGおよびI−TACは、CXC配列モチーフを含むので、CXCケモカインといわれている。CXCR3は、インテグリン活性化、細胞骨格変化、および走化性に関連づけられている。CXCR3は、顕著なことには、炎症を起こした組織において発現される。
【0006】
自己免疫疾患をより有効に処置するための方法および自己免疫疾患を処置するに適した薬物を発見もしくは同定するための方法が、当該分野において継続して必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明の一実施形態は、CXCR3シグナル伝達のモジュレーターについてスクリーニングするための方法を提供する。グリアジンもしくはグリアジンのフラグメント(例えば、少なくとも6個のアミノ酸残基を含むフラグメント)は、CXCR3と接触させられる。CXCR3に対するグリアジンもしくはグリアジンのフラグメントの結合が決定される。CXCR3に結合するグリアジンのフラグメントが、CXCR3シグナル伝達のモジュレーターとして同定される。
【0008】
本発明の別の実施形態は、CXCR3シグナル伝達のモジュレーターについてスクリーニングするための方法を提供する。グリアジンもしくは少なくとも6個のアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントが、CXCR3を発現する第1の細胞およびCXCR3を発現しない第2の細胞と接触させられる。第1の細胞もしくは第2の細胞に対するグリアジンもしくはフラグメントの結合が、決定される。上記第2の細胞と比較して上記第1の細胞に優先的に結合するグリアジンのフラグメントが、CXCR3シグナル伝達のモジュレーターとして同定される。
【0009】
本発明のなお別の実施形態は、CXCR3シグナル伝達のモジュレーターについてスクリーニングするための方法を提供する。グリアジンもしくは少なくとも6つのアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントが、CXCR3もしくは別のCXCR3リガンド(例えば、IP10、MIG、もしくはITAC)と接触させられる。上記グリアジンのフラグメントによって引き起こされるCXCR3に対するリガンドの結合の阻害が決定される。CXCR3に対するリガンドの結合を阻害するグリアジンのフラグメントが、CXCR3シグナル伝達のモジュレーターとして同定される。
【0010】
本発明のなお別の局面は、CXCR3シグナル伝達のモジュレーターについてスクリーニングするための方法である。少なくとも6個のアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントが、CXCR3もしくは別のCXCR3リガンド(例えば、IP10、MIG、もしくはITAC)を発現する細胞と接触させられる。上記細胞に対するリガンドの結合が決定される。上記細胞に対するリガンドの結合を阻害するグリアジンのフラグメントは、CXCR3シグナル伝達のモジュレーターとして同定される。
【0011】
ゾヌリン放出のモジュレーターについてスクリーニングするための方法もまた、本発明によって提供される。試験化合物が、CXCR3と接触させられる。CXCR3に対する上記試験化合物の結合が決定される。CXCR3に結合する試験化合物が、ゾヌリン放出のモジュレーターとして同定される。
【0012】
本発明によって提供される別の実施形態は、ゾヌリン放出のモジュレーターについてスクリーニングするための方法である。試験化合物が、CXCR3と接触させられる。試験化合物の存在下および非存在下でのCXCR3に対する上記グリアジンの結合が、決定される。CXCR3に対するグリアジンの結合を阻害する試験化合物が、ゾヌリン放出のモジュレーターとして同定される。
【0013】
本発明のなお別の実施形態は、ゾヌリン放出のモジュレーターについてスクリーニングするための方法である。試験化合物は、CXCR3を発現する第1の細胞およびCXCR3を発現しない第2の細胞と接触させられる。上記第1の細胞および第2の細胞に対する上記試験化合物の結合が決定される。上記第2の細胞と比較して上記第1の細胞に優先的に結合する試験化合物が、ゾヌリン放出のモジュレーターとして同定される。
【0014】
なおさらなる実施形態は、ゾヌリン放出のモジュレーターについてスクリーニングする方法である。試験化合物が、CXCR3を発現する細胞と接触させられる。上記細胞に対するグリアジンの結合が決定される。上記細胞に対するグリアジンの結合を阻害する試験化合物が、ゾヌリン放出のモジュレーターとして同定される。
【0015】
本発明の別の実施形態は、セリアック病、グルテンアレルギー、グルテン感受性、およびグルテン運動失調からなる群より選択される疾患を有する患者を処置するための方法である。CXCR3に特異的に結合する抗体が、上記患者に投与される。ゾヌリン放出が、それによって阻害される。
【0016】
本発明のさらなる実施形態は、自己免疫疾患もしくは炎症関連疾患を有する患者を処置するための方法である。代表的には、これら疾患は、望ましくないCXCR3シグナル伝達によって特徴付けられる。上記疾患は、1型糖尿病、セリアック病、自己免疫性肝炎、多発性硬化症、自閉症、疱疹状皮膚炎、IgA腎症、原発性胆汁性肝硬変、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、グレーヴズ病、橋本病、および鬱からなる群より選択される。CXCR3に特異的に結合する抗体は、上記患者に投与される。CXCR3シグナル伝達は、それによって阻害される。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明は、CXCR3リガンドを同定するための方法を提供し、この方法は、CXCR3を発現する細胞と、グリアジンもしくはそのフラグメントおよび試験されるべき化合物とを接触させる工程、ならびに上記細胞に結合したグリアジンもしくはそのフラグメントの量を決定する工程を包含する。例えば、1種以上のグリアジンもしくはそのフラグメントは、1種以上の蛍光部分で標識され得る。次いで、CXCR3発現細胞は、上記試験されるべき化合物の存在下で、上記蛍光標識されたグリアジンもしくはフラグメントと接触させられ得る。上記グリアジンもしくはそのフラグメントおよびCXCR3の結合は、標準的技術を使用して決定され得る。適切な技術としては、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、蛍光顕微鏡、および蛍光分光光度法が挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、上記グリアジンもしくはそのフラグメントは、CXCR3発現細胞と、試験されるべき化合物の非存在下で接触させられ得る。そしてCXCR3発現細胞に対するグリアジンもしくはそのフラグメントの量が決定され得る。試験されるべき化合物の存在下および試験されるべき化合物の非存在下での結合の量が、比較され得る。当業者に公知の他の技術が、上記グリアジンもしくはそのフラグメントの結合を提供するために使用され得る。例えば、CXCR3を発現する細胞は、固体表面(例えば、マイクロタイタープレートもしくはビーズ(例えば、磁性ビーズ)に固定され得、蛍光標識されたグリアジンもしくはそのフラグメントと接触させられ得る。結合した、蛍光標識されたグリアジンの量が、決定され得る。いくつかの実施形態において、グリアジンは、蛍光部分以外の検出可能な部分で(例えば、ビオチンもしくはジゴキシゲニンで)標識され得、適切な試薬(例えば、ストレプトアビジンもしくは抗ジゴキシゲニン抗体)で検出され得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明は、CXCR3リガンドを同定するための方法を提供し、この方法は、精製CXCR3もしくはそのフラグメントと、グリアジンもしくはそのフラグメントおよび試験されるべき化合物とを接触させる工程、ならびに上記CXCR3に結合したグリアジンもしくはそのフラグメントの量を決定する工程を包含する。例えば、1種以上のグリアジンもしくはそのフラグメントは、1種以上の蛍光部分で標識され得る。次いで、CXCR3は、蛍光標識されたグリアジンもしくはフラグメントと、上記試験されるべき化合物の存在下で接触させられ得る。上記グリアジンもしくはそのフラグメントおよびCXCR3の結合は、標準的技術を使用して決定され得る。適切な技術としては、ELISAおよび蛍光分光光度法が挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、上記グリアジンもしくはそのフラグメントは、試験されるべき化合物の非存在下でCXCR3と接触させられ得る。そしてCXCR3へのグリアジンもしくはそのフラグメントの結合の量が決定され得る。試験されるべき化合物の存在下での結合量および試験されるべき化合物の非存在下での結合量が、比較され得る。当業者に公知の他の技術が、上記グリアジンもしくはそのフラグメント結合を定量するために使用され得る。例えば、CXCR3は、固体表面(例えば、マイクロタイタープレートもしくはビーズ(例えば、磁性ビーズ))に固定され得、そして蛍光標識されたグリアジンもしくはそのフラグメントと接触させられ得る。結合した、蛍光標識されたグリアジンの量が、決定され得る。いくつかの実施形態において、グリアジンは、蛍光部分以外の検出可能な部分で(例えば、ビオチンもしくはジゴキシゲニンで)標識され得、適切な試薬(例えば、ストレプトアビジンもしくは抗ジゴキシゲニン抗体)で検出され得る。いくつかの実施形態において、グリアジンもしくはそのフラグメントは、固体支持体に結合され得、そして標識されたCXCR3もしくはそのフラグメントが、試験されるべき化合物の存在下およびその非存在下で検出され得る。CXCR3は、当該分野で公知の任意の技術を用いて、例えば、グリアジンを標識および検出するための上記の技術を用いて、標識および検出され得る。
【0019】
明細書を読めば当業者に明らかであるこれらおよび他の実施形態は、有用な治療剤についてスクリーニングする方法、ならびに自己免疫疾患および炎症関連疾患を処置するための方法を当該分野に提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明者らは、CXCR3として公知のレセプターがグリアジンに対する生理学的レセプターであることを発見した。このレセプターは、グリアジンに結合するのみならず、ゾヌリンの放出および経上皮電気抵抗(TEER)における減少もまたシグナル伝達する。これらの下流効果は、グリアジンに対する結合が生理学的であることを示す。
【0021】
CXCR3(CXRC3)シグナル伝達のモジュレーターについてのスクリーニングは、種々の技術によって達成され得る。試験化合物に対するCXCR3の結合は、直接測定され得るか、または上記レセプターに対するグリアジンもしくは別のリガンドの結合の阻害が測定され得る。使用され得る他のリガンドとしては、IP10、MIG、およびITACが挙げられる。リガンドは、結合の測定を腰囲にするために標識され得る。アッセイは、無細胞系であってもよいし、細胞ベースの系であってもよい。いずれの結合アッセイ形式も使用され得る。その形式としては、上記レセプターが直接的または間接的かのいずれかで固体支持体に結合される形式が挙げられる。
【0022】
試験され得る試験化合物は、任意の化合物である。上記化合物は、単一の化合物としてかまたは化合物の組み合わせにおいて試験され得る。上記化合物は、構造的に同定されていてもよいし、未知の構造のものであってもよい。上記化合物は、新規であってもよいし、以前から公知のものであってもよい。上記化合物は、天然産物であってもよいし、合成産物であってもよい。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、上記試験化合物は、グリアジンのフラグメントである。グリアジンは、コムギおよび他の穀類によって精製されるタンパク質のファミリーである。グリアジンの例は、グリアジンα、グリアジンγ、およびグリアジンωである。グリアジンは、種子中のアルコール水溶液可溶性貯蔵タンパク質(aqueous alcohol−soluble storage protein)である。グリアジンの単一のクラス内ですら、大きな不均一性が存在する。少なくとも6個、7個、8個、9個、10個、11個、15個、20個、30個、35個、50個、または75個のアミノ酸残基が、試験化合物としてのグリアジンのフラグメントにおいて使用され得る。フラグメントとしては、全長より短い任意の分子が挙げられる。フラグメントは、合成されてもよいし、例えば、タンパク質分解の結果であってもよい。以下の表は、代表的な多くのグリアジンの配列を提供する。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
【表4】

【0028】
【表5】

【0029】
【表6】

【0030】
【表7】

【0031】
【表8】

【0032】
【表9】

【0033】
【表10】

【0034】
【表11】

【0035】
【表12】

【0036】
【表13】

【0037】
【表14】

【0038】
【表15】

【0039】
【表16】

【0040】
【表17】

【0041】
【表18】

【0042】
【表19】

本発明の実施において使用され得るグリアジンのフラグメントとしては、表1のα−グリアジン配列のアミノ酸57〜89に対応する
【0043】
【化1】

および野生型α−グリアジン配列の32位のプロリンをロイシンに変異させた表1のα−グリアジン配列のアミノ酸32〜44位に対応する
【0044】
【化2】

が挙げられるが、これらに限定されない。グリアジンの他の適切なフラグメントが、例えば、精製グリアジンをタンパク質分解酵素(例えば、ペプシン、トリプシンまたはこれらの混合物)で消化し、ペプチドを単離することによって調製され得る。ペプチドは、当該分野で公知の任意の技術(例えば、逆送高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC))を使用して単離され得る。
【0045】
CXCR3シグナル伝達のモジュレーターは、インヒビター、エンハンサー、またはアゴニストであり得る。インヒビターは、炎症によって特徴付けられる疾患(自己免疫疾患が挙げられ、特に、セリアック病が挙げられる)を処置するために有用である。エンハンサーまたはアゴニストは、望ましい薬剤(例えば、最適に吸収されるよりも少ない治療剤)に対する組織の透過性を増大させるために使用され得る。
【0046】
CXCR3に対する抗体は、その必要性のある患者への投与によって治療に役立ち得る。このような患者としては、グルテン関連疾患、ならびに炎症および自己免疫と関連する疾患を有する患者が挙げられる。投与は、抗体の投与のために当該分野で公知の任意の手段によってなされ得る。このような方法としては、静脈内投与、筋肉内投与、および皮下投与が挙げられるが、これらに限定されない。当該分野で公知の抗体の任意の形態が使用され得る。上記抗体は、ポリクローナルであってもよいし、モノクローナルであってもよい。これらは、例えば、ヒト化抗体であってもよいし、ヒト抗体であってもよいし、キメラ抗体であってもよいし、組換え抗体であってもよい。上記抗体は、いずれのアイソタイプであってもよい。上記抗体は、単鎖抗体であってもよいし、抗体のフラグメント(例えば、F(ab’)であってもよい。
【0047】
CXCR3によるシグナル伝達は、当該分野で公知の任意の手段によって測定され得る。決定され得るシグナル伝達事象としては、TEERにおける減少、ゾヌリン放出における増加、小グリア細胞の漸増、チロシンキナーゼリン酸化および走化性、ならびにMMP−2における増加および細胞馴化培地におけるMMP−9ゼラチン分解活性(gelatinolytic activity)の増加が挙げられる。
【0048】
本発明は、CXCR3−リガンド相互作用のレベルにおいて活性な、薬剤、化合物またはリード化合物について同定するための方法を提供する。一般に、本発明のスクリーニング方法は、CXCR3およびリガンド(例えば、グリアジンもしくはそのフラグメント)の相互作用を調節する化合物についてアッセイする工程を包含する。結合する薬剤についての広範に種々のアッセイが提供され、標識されたインビトロでのタンパク質−リガンド結合アッセイ、細胞ベースのアッセイ、イムノアッセイなどが挙げられる。広範に種々の形式(共免疫沈降、2−ハイブリッドトランス活性化、蛍光の偏光(fluorescent polarization)、NMR、蛍光共鳴エネルギー転移(fluorescent resonance energy transfer)(FRET)、転写活性化などが挙げられる)が使用され得る。例えば、広範に種々のNMRベースの方法が、タンパク質標的に対する結合について低分子化合物のライブラリーをスクリーニングするために利用可能である(Hajduk,P.J.ら. Quarterly Reviews of Biophysics,1999.32(3):211−40)。いくつかの実施形態において、本発明の方法は自動化されていてもよいし(例えば、ハイスループットスクリーニング)、リード化合物について化学ライブラリーをスクリーニングするために使用されてもよい。同定された化合物は、CXCR3シグナル伝達に関する疾患(例えば、自己免疫疾患)を処置するために使用され得る。本発明の方法によって同定される化合物は、CXCR3シグナル伝達を調節するためにさらに最適化され得る(例えば、誘導体化され得る)。スクリーニングおよび誘導体化を複数回反復することは、CXCR3シグナル伝達の調節を最適化するために採用され得る。
【0049】
インビトロでのリガンド結合アッセイは、CXCR3またはそのフラグメントとリガンド(例えば、グリアジンもしくはそのフラグメント)とを含む成分の混合物を使用する。CXCR3および/またはグリアジンは、(例えば、6−Hisのような精製タグとの)融合タンパク質として提供され得る。アッセイ混合物は、代表的には、CXCR3調節活性について試験されるべき化合物をさらに含む。試験されるべき化合物は、当業者に公知のあらゆる種の化合物であり得る(例えば、有機化合物、ペプチド、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物およびこれらの混合物であり得る)。種々の他の試薬がまた、上記混合物中に含まれ得る。これらの試薬としては、塩、緩衝液、中性的なタンパク質(neutral protein)(例えば、アルブミン)、界面活性剤、プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
一般に、アッセイ混合物は、試験されるべき化合物の存在を除いて、CXCR3が、基準結合親和性で(reference binding affinity)リガンド(例えば、グリアジンもしくはそのフラグメント)に特異的に結合する条件下でインキュベートされ得る。この混合物成分は、必須の結合を提供する任意の順番で添加され得る。そしてインキュベーションは、最適な結合を容易にする任意の温度で行われ得る。インキュベーション期間は、同様に、最適な結合のために選択される。いくつかの実施形態において、インキュベーション期間は、迅速なハイスループットスクリーニングを容易にするために最小限にされ得る。
【0051】
インキュベーション後、CXCR3−リガンド結合に対して試験されるべき化合物の効果は、任意の都合のよい方法によって検出され得る。例えば、CXCR3またはリガンドが固定され得る。そして他のものは標識され得る;次いで、固相形式において、任意の種々の方法が、標識の性質および他のアッセイ成分に依存して、上記標識を(例えば、光学密度もしくは電子密度、放射線放出、非放射性エネルギー転移などを介して)検出するために使用され得るか、または抗体結合体などで間接的に検出され得る。
【0052】
試験されるべき化合物の存在下での結合親和性を比較した場合の、試験されるべき化合物の非存在下でのCXCR3およびリガンドの結合親和性における差異は、上記化合物が上記リガンドに対するCXCR3の結合を調節することを示す。本明細書において使用される場合、差異は、統計的に有意であり、好ましくは、少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%の差異を示す。
【0053】
上記の開示は、一般に、本発明を記載している。本明細書において開示される全ての参考文献は、例示的に参考として援用される。より完全な理解は、例示目的のみであって、本発明の範囲を限定することを意図しない、本明細書において提供される以下の具体的な実施例を参照することによって得られ得る。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
グリアジンによって活性化される推定レセプターを同定するために、本発明者らは、グリアジンアフィニティーカラムを使用して、実験を行った。このカラムを通して、腸細胞溶解物を負荷した。本発明者らは、段階的塩勾配を用いてタンパク質を溶出した。これらの明らかなタンパク質バンドは、SDS−ポリアクリルアミドゲル上で、分子量97kDa、90kDa、および83kDaを有することが認められた。認められたタンパク質は、0.2Mおよび0.3MのNaClで上記アフィニティーカラムから溶出された。上記カラムに結合したタンパク質の質量分析により、NCBI配列データベースにおいてXP_125429であると同定された(表20を参照のこと)。この配列は、CXCR3レセプターの前駆体を含み、グリアジンによって結合されるタンパク質のうちの1つとしてCXCR3レセプターを意味する(図4を参照のこと)。
【0055】
【表20】

ヒトCXCR3は、368アミノ酸残基および予測分子量40,459を有する。ヒトCXCR3およびマウスCXCR3の配列は、以下の表において提供される。
【0056】
【表21−1】

【0057】
【表21−2】

CXCR3は、炎症に関連するサイトカインであるSCYB9、SCYB10、およびSCYB11(MIG、IP10、およびITACとしても公知)のレセプターとして機能することが公知のGタンパク質共役レセプターである。このレセプターはまた、CD183、GPR9、CKR−L2として同定されている。このレセプターのアミノ酸配列は、配列番号23として示される。ヒトの改変体(例えば、R292QおよびA363T多型)は公知である(配列番号22を参照のこと)。
【0058】
(方法)
本発明者らは、α−グリアジン(Donald D.Kasarda博士から供与)をCarboxyLinkTM(Pierce Biotechnology,Rockford,IL)カップリングゲルに連結して、アフィニティーカラムを形成した。
【0059】
本発明者らは、プロテアーゼインヒビターおよび標準的なプロトコルを使用してヒト腸粘膜を調製した。
【0060】
使用され得る1つのプロトコルは、以下の工程を包含する:組織を緩衝液D(20mmol・L−1 Tris−HCl、20mmol・L−1 EDTA、250mmol・L−1 スクロース、pH7.5)で洗浄し、緩衝液E(5mg・L−1 ロイペプチン、2mg・L−1 アプロチニン、1mg・L−1 ペプスタチン、10mg・L−1 フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)を含む緩衝液D)中でホモジナイズし、5000×gで4℃において10分間遠心分離する。上清を、12000×gで、4℃において45分間遠心分離する。沈殿物を廃棄し、上清を30000×gで、4℃においてさらに90分間遠心分離する。沈殿物を、5g・L−1 3[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)を含む緩衝液E中で溶解し、5分ごとに穏やかに混合しながら、氷上に60分間静置する。
【0061】
(実施例2)
腸断片を、正常マウスから単離し、マイクロスナップセルに載せ、グリアジン反応に曝して、ゾヌリンを放出させる。図1A。ゾヌリン放出後、その腸透過性は増大する。このことは、粘膜バリア機能の喪失を示唆する。図1B。このいわゆる「グルテン効果」は、このタンパク質が腸の表面(内腔側)に添加されたときのみ検出可能である。このことは、グリアジンが腸細胞刷子縁上に存在するレセプターと相互作用することを示唆する。
【0062】
CXCR3が、ゾヌリンを放出するために活性化される必要があるグリアジン標的レセプターであるという仮定を確認するために、CXCR3ノックアウトマウスモデルを使用して実験を行った。腸組織を、これらの動物から単離し、マイクロスナップウェル系に載せ、グリアジンに曝したところ、ゾヌリンを放出しなかった。結果的に、腸透過性における変化は検出されなかった。図2および図3。これらの結果は、CXCR3がゾヌリン放出に関与するグリアジン標的レセプターであるという仮定を確証する。
【0063】
「マイクロスナップウェル系」、すなわち、分極モデル(polarized model)は、ヒト腸生検材料を使用して腸のバリア機能を研究するために使用される。この系は、経上皮電気抵抗(TEER)を測定することによって、内視鏡による空腸生検材料の腸透過性を評価する。
【0064】
(実施例3)
CXCR3でトランスフェクトしたHEK細胞を使用するインビトロ実験を、免疫蛍光(IF)顕微鏡によって、そのレセプターへのグリアジン結合を研究するために行った。このインビトロでのIF実験は、CXCR3でトランスフェクトした細胞上でグリアジンが結合するが、ベクター単独でトランスフェクトした細胞上には結合しないことを示した。
【0065】
図6において示されるように、CXCR3を発現するベクターでトランスフェクトしたHEK293細胞を、抗CXCR3 mAbで特異的に標識した。このヒトCXCR3配列を、CMVl1プロモーターの制御下でpc DNA 3.1(Invitrogen Corporation,Carlsbad,CA)に挿入した。赤い線は、抗CXCR3 mAb(6Bにおいて矢印で印がつけられている)で得た結果を示し、青い線は、IgG1アイソタイプコントロールで得られた結果を示す。図6Aは、ベクター単独でのコントロールトランスフェクションを示す一方、図6Bは、CXCR3を発現するベクターで得られた結果を示す。ベクター単独では、CXCR3発現は4.42%(平均11.9(図6A))であった。対照的に、CXCR3を発現するベクターでトランスフェクトされた細胞では、CXCR3発現は61.78%(平均95.5)であった。
【0066】
CXCR3を発現するベクターでトランスフェクトした細胞を蛍光標識されたグリアジンと接触させた場合、このグリアジンは、その細胞に結合したが、CXCR3を発現しないコントロール細胞には結合しなかった。よって、PT−グリアジンは、HEK293トランスフェクト細胞においてCXCR3と共局在する。図7において、核を、DAPI(青色)で染色し、CXCR3を、RITC標識モノクローナル抗体(赤色)で染色し、PT−グリアジンを、FITC(緑色)で染色した。パネルAは、コントロールベクターでトランスフェクトした細胞での核染色のみを示す。パネルBは、CXCR3を発現するベクターでトランスフェクトし、CXCR3に特異的なRITC標識モノクローナル抗体と接触させた細胞の外側での染色を示す。パネルBにおける細胞をFITC標識グリアジンと接触させた場合、このグリアジンは、CXCR3と共局在した。
【0067】
(実施例4)
最後に、末梢血単核細胞(PBMC)上の同時刺激マーカーの発現を、正常被験体および自己免疫(セリアック病および1型糖尿病)に罹患した患者の両方において研究した。グリアジンに曝した自己免疫性患者由来のPBMCは、同時刺激マーカーCD40、CD80およびCD86、ならびにDRの増大した発現を示した。DR発現の刺激(他のマーカーのではなく)は、特異的抗体を使用してCXCR3レセプターをブロックすることによって阻止した。図8は、正常ボランティア由来の樹状細胞におけるHLA−DR発現に対するPT−グリアジンの効果がCXCR3依存性であることを示す。
【0068】
同時刺激マーカーを測定するために使用される抗体は、全て市販されており、BD BiosciencesおよびR&D Systemsから購入した。BD Biosciencesから購入:CD80 R−フィコエリトリン(r−PE)結合マウス抗ヒトモノクローナル抗体(CD80 r−PE,cat.no.557227)、CD40およびCD86フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合マウス抗ヒトモノクローナル抗体(CD40 FITC,cat.no.555588;CD86 FITC,cat.no 555657)、HLA−DR PE−cy5結合マウス抗ヒトモノクローナル抗体(HLA−DR−cy5,cat.no.555813)。R&D Systemsから購入:アロフィコシアニン結合マウスモノクローナル抗ヒトCXCR3(CXCR3 APC,cat.no FAB 160A)。ブロッキング研究のために使用される抗体は、以下の通りであった:モノクローナル抗ヒトCXCR3抗体(cat.no.MAB 160)およびマウスIgG1アイソタイプコントロール(cat.no.MAB002)。
【0069】
(実施例5)
グリアジン曝露に応じたゾヌリン放出および腸経上皮電気抵抗(TEER)の変化を測定するためのエキソビボ実験を、マイクロスナップウェルチャンバに載せたマウス小腸を使用して行った。このエキソビボ実験を、マイクロスナップセルに載せたCXCR3ノックアウト(KO)およびC57BL/6野生型(WT)マウス両方の腸組織において行った。PT−グリアジンに曝した場合、WTマウス(n=10)から得た腸セグメントは、ゾヌリンを放出し(0.33±0.06 対 0.61±0.13 ng/mg タンパク質(それぞれ、ベースライン 対 グリアジン曝露後;p<0.04、図9Bを参照のこと)、そして有意なTEER減少(24.1±4.5Ω/cm 対 14.7±3.2(それぞれ、ベースライン 対 post−グリアジン曝露後;p<0.02、図9Aを参照のこと))を示した。逆に言えば、PT−グリアジンに曝したCXCR3 KOマウス(n=18)から得た腸セグメントは、ゾヌリンを放出せず(0.56±0.15 対 0.45±0.13ng/mg タンパク質(それぞれ、ベースライン 対 グリアジン曝露後;p=N.S.、図10Bを参照のこと)、何らTEERの変化を示さなかった(20.0±4.8Ω/cm 対 16.5±4.9(それぞれ、ベースライン 対 グリアジン曝露後;p N.S.、図10Aを参照のこと)。
【0070】
ここで本発明を理解しやすくするために、例示および実施例によってある程度詳細に十分に記載してきたが、本発明の範囲にも具体的な実施形態にも何ら影響を及ぼすことなく、条件、処方および他のパラメーターの広くかつ等価な範囲内で本発明を改変もしくは変更することによって、本発明が実施され得ること、ならびにこのような改変もしくは変更が添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることが意図されることは、当業者にとって明らかである。本願明細書において言及された全ての刊行物、特許および特許出願は、本発明の分野の当業者の技術水準を示し、各々個々の刊行物、特許または特許出願が具体的にかつ個々に参考として援用されることを示されたのと同程度にまで、本明細書に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1Aおよび図1Bは、マイクロスナップウェル(microsnapwell)に中の野生型マウス由来の空腸断片をグリアジンでチャレンジした場合の結果を示す。図1Aは、チャレンジ後に放出されたゾヌリンの量を示す。グリアジンチャレンジは、放出されるゾヌリンの増加を生じる。図1Bは、チャレンジ後の経上皮電気抵抗(TEER)を示す。グリアジンチャレンジは、TEERにおける減少を生じる。
【図2】図2は、CXCR3欠損マウス由来の内視鏡による空腸生検材料のグリアジンチャレンジ後に放出されたゾヌリンを示す。グリアジンチャレンジは、ゾヌリン放出をもたらさなかった。図1Aと比較のこと。
【図3】図3は、CXCR3欠損マウスからの内視鏡による空腸生検材料のグリアジンチャレンジ後のTEERを示す。グリアジンチャレンジは、TEERを減少させなかった。図1Bと比較のこと。
【図4】図4は、タンパク質データベース検索に従って、グリアジンアフィニティーカラムに結合したタンパク質(CXCR3である)の結果を示す。
【図5A】図5Aは、グリアジンでチャレンジしたB6野生型マウスのゾヌリンレベルとTEERを示し、図5Bは、グリアジンでチャレンジしたCXCR3ノックアウトマウス(n=20)のゾヌリンレベルとTEERを示す。上記CXCR3ノックアウトマウスは、グリアジンに応答せず、ゾヌリンを放出しない。よって、腸透過性における増加を示さない。対照的に、野生型コホートは、グリアジンに応答し、ゾヌリンを放出する。従って、腸透過性における増加を示す。
【図5B】図5Aは、グリアジンでチャレンジしたB6野生型マウスのゾヌリンレベルとTEERを示し、図5Bは、グリアジンでチャレンジしたCXCR3ノックアウトマウス(n=20)のゾヌリンレベルとTEERを示す。上記CXCR3ノックアウトマウスは、グリアジンに応答せず、ゾヌリンを放出しない。よって、腸透過性における増加を示さない。対照的に、野生型コホートは、グリアジンに応答し、ゾヌリンを放出する。従って、腸透過性における増加を示す。
【図6】図6は、抗CXCR3 mAb(赤色の線)およびIgG1アイソタイプコントロール(青色の線)でプローブしたCXCR3トランスフェクトHEK293細胞の結果を示す。図6Aは、ベクターでトランスフェクトした細胞を示す。図6Bは、CXCR3を発現するベクターでトランスフェクトした細胞を示す。
【図7】図7は、DAPI(青色)、RITC標識抗CXCR3モノクローナル抗体(赤色)、およびFITC標識PT−グリアジン(緑色)でプローブした、トランスフェクトされた細胞の蛍光顕微鏡検査の結果を示す。パネルAは、コントロールベクターでトランスフェクトしかつDAPIおよび抗CXCR3モノクローナル抗体でプローブした細胞を示し、パネルBは、CXCR3発現ベクターでトランスフェクトしかつ抗CXCR3モノクローナル抗体でプローブした細胞を示し、パネルCは、CXCR3発現ベクターでトランスフェクトしかつ抗CXCR3モノクローナル抗体およびFITC標識PT−グリアジンでプローブした細胞を示す。
【図8】図8は、正常ボランティア由来の樹状細胞におけるHLA−DR発現に対する、ペプシンおよびトリプシンで消化したグリアジン(PT−グリアジン)の効果の結果を示す。
【図9】図9は、Black 6野生型マウス小腸におけるTEERとゾヌリン放出に対するPT−グリアジンの効果を示す。図9Aは、スナップウェル中で行われたTEER測定を示し、図9Bは、ゾヌリン濃度を示す。
【図10】図10は、CXCR3ノックアウトマウス由来の小腸上でのTEERとゾヌリン放出に対するPT−グリアジンの効果を示す。図10Aは、スナップウェル中で行われたTEER測定を示し、図10Bは、ゾヌリン濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CXCR3シグナル伝達のモジュレーターについてスクリーニングするための方法であって、以下:
グリアジンもしくは少なくとも6つのアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントと、CXCR3とを接触させる工程;
CXCR3に対する該グリアジンのフラグメントの結合を決定する工程;
CXCR3シグナル伝達のモジュレーターとして、CXCR3に結合するグリアジンのフラグメントを同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記フラグメントは、少なくとも7個のアミノ酸残基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フラグメントは、少なくとも8個のアミノ酸残基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フラグメントは、少なくとも9個のアミノ酸残基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フラグメントは、少なくとも10個のアミノ酸残基である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フラグメントは合成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フラグメントは、タンパク質分解生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
CXCR3シグナル伝達のモジュレーターについてスクリーニングするための方法であって、以下:
グリアジンもしくは少なくとも6個のアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントと、CXCR3を発現する第1の細胞およびCXCR3を発現しない第2の細胞とを接触させる工程;
該第1の細胞および該第2の細胞に対する該グリアジンのフラグメントの結合を決定する工程;
CXCR3シグナル伝達のモジュレーターとして、該第2の細胞と比較して該第1の細胞に優先的に結合するグリアジンのフラグメントを同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項9】
前記フラグメントは、少なくとも7個のアミノ酸残基である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フラグメントは、少なくとも8個のアミノ酸残基である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記フラグメントは、少なくとも9個のアミノ酸残基である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記フラグメントは、少なくとも10個のアミノ酸残基である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記フラグメントは合成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記フラグメントは、タンパク質分解生成物である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
CXCR3シグナル伝達のモジュレーターについてスクリーニングするための方法であって、以下:
グリアジンもしくは少なくとも6個のアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントと、グリアジン、IP10、MIGまたはITACからなる群より選択されるリガンドの存在下で、CXCR3とを接触させる工程;
該グリアジンのフラグメントによって引き起こされるCXCR3に対する該リガンドの結合の阻害を決定する工程;
CXCR3シグナル伝達のモジュレーターとして、CXCR3に対する該リガンドの結合を阻害するグリアジンのフラグメントを同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項16】
前記フラグメントは、少なくとも7個のアミノ酸残基である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フラグメントは、少なくとも8個のアミノ酸残基である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記フラグメントは、少なくとも9個のアミノ酸残基である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記フラグメントは、少なくとも10個のアミノ酸残基である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記フラグメントは合成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記フラグメントは、タンパク質分解生成物である、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
CXCR3シグナル伝達のモジュレーターについてスクリーニングするための方法であって、以下:
グリアジン、IP10、MIG、またはITACからなる群より選択されるリガンドの存在下で、グリアジンもしくは少なくとも6個のアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントと、CXCR3を発現する細胞とを接触させる工程;
該細胞に対する該リガンドの結合を決定する工程;
CXCR3シグナル伝達のモジュレーターとして、該細胞に対する該リガンドの結合を阻害するグリアジンのフラグメントを同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項23】
前記フラグメントは、少なくとも7個のアミノ酸残基である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記フラグメントは、少なくとも8個のアミノ酸残基である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記フラグメントは、少なくとも9個のアミノ酸残基である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記フラグメントは、少なくとも10個のアミノ酸残基である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記フラグメントは合成されている、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記フラグメントは、タンパク質分解生成物である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
ゾヌリン放出のモジュレーターについてスクリーニングするための方法であって、以下:
試験化合物と、CXCR3とを接触する工程;
CXCR3に対する該試験化合物の結合を決定する工程;
ゾヌリン放出のモジュレーターとして、CXCR3に結合する試験化合物を同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項30】
前記試験化合物は、少なくとも6個のアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ゾヌリン放出のモジュレーターについてスクリーニングするための方法であって、以下:
試験化合物と、CXCR3とを接触させる工程;
該試験化合物の存在下および非存在下で、CXCR3に対するグリアジンもしくはグリアジンのフラグメントの結合を決定する工程;
ゾヌリン放出のモジュレーターとして、CXCR3に対する該グリアジンもしくはグリアジンのフラグメントの結合を阻害する試験化合物を同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項32】
前記試験化合物は、少なくとも6個のアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ゾヌリン放出のモジュレーターについてスクリーニングするための方法であって、以下:
試験化合物と、CXCR3を発現する第1の細胞およびCXCR3を発現しない第2の細胞とを接触させる工程;
該第1の細胞および第2の細胞に対する該試験化合物の結合を決定する工程;
ゾヌリン放出のモジュレーターとして、該第2の細胞と比較して該第1の細胞に優先的に結合する試験化合物を同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項34】
前記試験化合物は、少なくとも6個のアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ゾヌリン放出のモジュレーターについてスクリーニングするための方法であって、以下:
試験化合物と、CXCR3を発現する細胞とを接触させる工程;
該細胞に対するグリアジンもしくは少なくとも6個のアミノ酸を含むグリアジンのフラグメントの結合を決定する工程;
ゾヌリン放出のモジュレーターとして、該細胞に対するグリアジンもしくはフラグメントの結合を阻害する試験化合物を同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項36】
前記試験化合物は、少なくとも6個のアミノ酸残基を含むグリアジンのフラグメントである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
セリアック病を有する患者を処置するための方法であって、以下:
CXCR3に特異的に結合する抗体を該患者に投与し、それによって、ゾヌリン放出が阻害される工程、
を包含する、方法。
【請求項38】
望ましくないCXCR3シグナル伝達によって特徴付けられる疾患を有する患者を処置するための方法であって、以下:
CXCR3に特異的に結合する抗体を該患者に投与し、それによって、CXCR3シグナル伝達が阻害される工程、
を包含する、方法。
【請求項39】
前記疾患は糖尿病である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記疾患は自己免疫性肝炎である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記疾患は多発性硬化症である、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記疾患は自閉症である、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記疾患はグルテンアレルギーである、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記疾患は疱疹状皮膚炎である、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記疾患は全身性エリテマトーデスである、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記疾患はグレーヴズ病である、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記疾患は橋本病である、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
前記疾患は鬱である、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記疾患はグルテン運動失調である、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記疾患は胆汁性肝硬変である、請求項38に記載の方法。
【請求項51】
前記疾患は慢性関節リウマチである、請求項38に記載の方法。
【請求項52】
前記疾患はIgA腎症である、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
グルテン感受性を有する患者を処置するための方法であって、以下:
CXCR3に特異的に結合する抗体を該患者に投与し、それによって、ゾヌリン放出が阻害される工程、
を包含する、方法。
【請求項54】
前記抗体はモノクローナル抗体である、請求項37〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記抗体はポリクローナル抗体である、請求項37〜53のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2008−537096(P2008−537096A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556277(P2007−556277)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/005414
【国際公開番号】WO2006/112925
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(301033248)ユニバーシティ オブ メリーランド, ボルチモア (7)
【出願人】(507274995)
【Fターム(参考)】