説明

LED照明器具

【課題】LEDを高出力化せずとも照射強度を高めることができるLED照明器具を提供する。
【解決手段】LEDパッケージ35を光源に備えたLED投光器1において、底部43Aが開口した凹状反射面43を有し、前記底部43Aの開口に前記LEDパッケージ35の発光部63が配置される反射体41を備え、前記凹状反射面43の一次反射光の照射範囲βと、前記凹状反射面43を通過する直接光の照射範囲αを略同一にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源に採用したLED照明器具に係り、特に、青色LED或いは紫外線LEDにより黄色蛍光体を光らせて白色光を得る白色LEDを備えたLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDを光源とした各種のLED照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のLED照明器具では、一般に、LEDを高出力化することで照射強度が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−234558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LEDを高出力化した場合、当該LEDの発熱も大きくなることから、LEDの短命化等を避けるためにも器具本体の放熱性を向上させる必要がある。このため、器具本体の放熱性を高めるべく放熱フィンを増設したりヒートシンクを内蔵するなどして器具本体の大型化を招く結果となっていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、LEDを高出力化せずとも照射強度を高めることができるLED照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、LEDを光源に備えたLED照明器具において、底部が開口した凹状反射面を有し、前記底部の開口に前記LEDが配置される反射体を備え、前記凹状反射面の一次反射光の照射範囲と、前記凹状反射面を通過する直接光の照射範囲を略同一にしたことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記LED照明器具において、前記LEDは、複数のLED素子を平面状に配列して構成され、面状光を放射することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記LED照明器具において、前記凹状反射面の全体に増反射膜又は銀を蒸着し、当該凹状反射面の反射率を90%以上としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、凹状反射面の底部にLEDが配置されることで、当該凹状反射面からの光が照射光として照射される。このとき、凹状反射面の反射光のうち最も強度の高い一次反射光の照射範囲と当該凹状反射面からの直接光の照射範囲とが略同一とされているため照射範囲全体で照射光の強度が均一に効率良く高められる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るLED投光器の正面、平面、右側面及び背面を共に示す図である。
【図2】光源ケースと光源ユニットの組立図である。
【図3】LEDパッケージの構成を示す図である。
【図4】LEDパッケージと反射体を拡大して示すとともに、当該反射体の凹状反射面での一次反射の範囲及び直接光の範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、LED照明器具の一例としてLED投光器を例示するが、本発明は、これに限らず、支持脚を有するLED照明器具であれば任意の器具に適用することができる。
【0011】
図1は、本実施形態に係るLED投光器1の正面、平面、右側面及び背面を共に示す図である。LED投光器1は、光源ケース3及び電源ケース5を一体に結合してなる照明器具本体7と、この照明器具本体7を角度可変に支持した構造物取付用の支持脚9とを備えている。光源ケース3、電源ケース5及び支持脚9のそれぞれは、例えばアルミダイカスト等の高熱伝導性を有する材料から一体成形されている。
【0012】
光源ケース3は、複数のLEDパッケージ35を有する光源ユニット33を収めるケースであり、縦横の長さに比して厚みが小さい略箱型状を成し、正面には略矩形の照射開口13が開口しガラス製或いは樹脂製の透明カバー15が嵌め込まれ、この照射開口13から正面に向けて光を照射する。光源ケース3の背面は略円弧状に膨らみ、この背面には上下に延びる多数の放熱フィン11が一体に形成されている。
この光源ケース3の下端部には、光源ケース3の主要部の幅Aよりも狭い幅Bに形成された支持脚取付部4が一体に形成されている。
【0013】
電源ケース5は、LEDパッケージ35への電力供給用の電源回路を内蔵する横長の箱型状のケースである。その横幅は光源ケース3の支持脚取付部4よりも若干小さく形成されており支持脚9との間に隙間が設けられている。この電源ケース5の背面にも、光源ケース3と同様に上下に延びる複数の放熱フィン19が一体に設けられている。この電源ケース5は、光源ケース3の支持脚取付部4の下端に一体に結合され、これらによって照明器具本体7が構成される。
【0014】
支持脚9は、建物の壁面や支柱等の構造物に照明器具本体7を角度可変に支持するための、全体的に略コ字状に形成された部材であり、開放端部が光源ケース3の支持脚取付部4の左右側面に軸支部材(支持軸)21で回動自在に支持されている。軸支部材21は、光源ケース3等と同様に例えばアルミダイカスト等の高熱伝導性を有する材料から成形され、光源ケース3と支持脚9を熱的に良好に結合する。
【0015】
また、支持脚9の横幅は、光源ケース3の横幅Aと同程度であり、照明器具本体7に対して支持脚9が横に突出しないように意匠的工夫がなされている。
このとき、支持脚9の脚部9Aは、幅Aと幅Bの差で規定される太さCを有し、従来のLED投光器に比べて、その脚部9Aの厚みを大きくすることで、脚部9Aの熱容量を増加させている。この脚部9Aの太さCは、光源ケース3だけでは放熱仕切れないLEDパッケージ35の発熱分を伝導させて良好に放熱できる程度の太さとされている。これにより、照明器具本体7を大型化せずとも、LEDパッケージ35が発する熱の放熱性が高められている。
【0016】
また、上述したように、電源ケース5が支持脚9に接していないため、支持脚9から電源ケース5に熱が伝達することがないから、電源ケース5の電源回路に余計な熱が加わることがなく、当該電源ケース5に収めた電源回路の熱による損傷が防止される。
【0017】
図2は、光源ケース3と光源ユニット33の組立図である。
光源ユニット33は、複数のLEDパッケージ35を配線34で直列に接続し、熱伝導性の高い例えばアルミナから成る1枚の矩形のセラミック板37の上に所定の間隔で接着配置して構成され、係るセラミック板37を光源ケース3の底面3Aに密着させて設けられる。このように各LEDパッケージ35を1枚のセラミック板37に配置することで、それぞれの絶縁を図りつつ均等な冷却が図られる。
また光源ケース3には、各LEDパッケージ35に対応して凹状反射面43が形成された反射体41が光源ユニット33を上から押さえ付けるように取り付けられ、光源ユニット33と光源ケース3の密着性が高められている。
【0018】
ここで光源ユニット33は、上述の通り、1枚のセラミック板37に複数のLEDパッケージ35を接着して構成されているため、LEDパッケージ35の各々の間でセラミック板37の密着性にバラツキが生じ易い。このようにバラツキが生じると放熱性が異なるため、LEDパッケージ35の寿命にも違いが生じたりする。そこで、反射体41が各LEDパッケージ35を押圧することで密着性にバラツキが無いようにしている。
詳述すると、LEDパッケージ35は、図3に示すように、金属板61Aの表面に絶縁層61Bを設けたLED基板61の上に、24×3個のLED65を格子状に配列して平面視矩形に構成された発光部63とを備え、この発光部63から略矩形の照射形状を有する面状光が照射される。なお、複数のLED65を平面視略円形内に所定の間隔で配置して略円形の照射形状を有するようにしても良い。また、同図において、符号66はLED基板61に形成されたアノード電極、符号67はカソード電極を示す。係るLEDパッケージ35は約1100lm以上の光束を出力する高出力なものであり、6個のLEDパッケージ35で上記光源ユニット33が構成されている。
【0019】
光源ユニット33の上には、当該光源ユニット33を光源ケース3の底面3Aに押し付けるように上記反射体41が設けられる。この反射体41には、光源ユニット33の各LEDパッケージ35の発光部63に対応して凹状反射面43が形成されるが、この凹状反射面43の底部43Aには、図4に示すように、柔軟性及び絶縁性を有する緩衝材71が配置される。そして、各凹状反射面43の底部43Aが緩衝材71を介してLED基板61をセラミック板37に押し付けることで、LEDパッケージ35の各々がセラミック板37に密着し、密着性のバラツキが解消されるのである。
【0020】
ところで、このLED投光器1においては、LEDパッケージ35の更なる高出力化を行うこと無く、次のようにして、より高い照射強度を得るようにしている。
詳述すると、図4に示すように、凹状反射面43の左側面での一次反射光の照射範囲β1及び右側面での一次反射光の照射範囲β2を重ね合せた範囲が一次反射光の照射範囲β(=β1+β2)として定義され、この照射範囲βが凹状反射面43を通過する直接光の照射範囲αと略同一とする、すなわち、直接光と一次反射光のカットオフ角を同一とする凹状反射面43が形成されている。
これにより、凹状反射面43の反射光のうち最も強度の高い一次反射光の照射範囲βと当該凹状反射面43からの直接光の照射範囲αとが各々略同じ範囲に向かう照射光となるため照射光強度が高められる。また、直接光及び一次反射光が同一の範囲を照射するから照度ムラや色ムラの発生が防止される。
【0021】
上記LEDパッケージ35の発光部63からは、上記の通り、略矩形の照射形状を有する照射光が放射されているため、照射形状に合わせて発光部63の前後左右に平面状傾斜面を配置するだけで、一次反射光及び直接光の照射範囲を同一にする凹状反射面43を簡単に構成することができる。
【0022】
この凹状反射面43は、当該凹状反射面43を含む反射体41の表面全体に増反射膜又は銀を蒸着することで反射率が90%以上とされている。増反射膜は、アルミニウムから形成された反射体41の表面に、アンダーコーティング、アルミ蒸着膜、SiO膜、TiO膜を順次積層して形成される。
このようにして、一次反射光の反射率が90%以上とされることで、一次反射光の強度が高められ、その結果、器具効率も高められる。
【0023】
このように、本実施形態によれば、底部43Aが開口した凹状反射面43の当該開口にLEDパッケージ35の発光部63を配置するとともに、凹状反射面43の一次反射光の照射範囲βと、凹状反射面43を通過する直接光の照射範囲αを略同一にした。
この構成により、照射光強度が高められ、また、直接光及び一次反射光が同一の範囲を照射することで照度ムラや色ムラの発生が防止される。
そして、これらの効果により、LEDパッケージ35の光量を効率良く照射に利用し、省エネ効果が高く、また、一般投光照明として最適な光の品質が実現される。また、被照射物を投光照明する際の灯数削減が可能となり、結果、近年の環境問題により関心が高まっているCO削減に寄与することができる。
【0024】
また、本実施形態によれば、LEDパッケージ35は略矩形の照射形状を有する照射光を放射するため、照射形状に合わせて発光部63の前後左右に平面状傾斜面を配置するだけで、一次反射光及び直接光の照射範囲を同一にする凹状反射面43を簡単に構成することができる。
【0025】
さらに、本実施形態によれば、凹状反射面43の全体に増反射膜又は銀を蒸着し、当該凹状反射面43の反射率を90%以上としたため、一次反射光の強度が高められ、その結果、器具効率に優れたLED投光器1が実現される。
【0026】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1 LED照明器具(LED投光器)
7 照明器具本体
33 光源ユニット
35 LEDパッケージ
37 セラミック板
41 反射体
43 凹状反射面
43A 底部
61 LED基板
63 発光部
65 LED
α 直接光の照射範囲
β 一次反射光の照射範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを光源に備えたLED照明器具において、
底部が開口した凹状反射面を有し、前記底部の開口に前記LEDが配置される反射体を備え、前記凹状反射面の一次反射光の照射範囲と、前記凹状反射面を通過する直接光の照射範囲を略同一にしたことを特徴とするLED照明器具。
【請求項2】
前記LEDは、複数のLED素子を平面状に配列して構成され、面状光を放射することを特徴とする請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項3】
前記凹状反射面の全体に増反射膜又は銀を蒸着し、当該凹状反射面の反射率を90%以上としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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