説明

LED照明器具

【課題】照射面のむらを低減できるとともに小型化でき、グレア等の光害を効果的に抑制できるLED照明器具を提供する。
【解決手段】LED照明器具10は、器具本体11と、器具本体11に取り付けられた放熱部材22と、放熱部材22に取り付けられたLED基板24およびLED基板24に封止された複数のLED23を有するLED発光部13と、LED23の前面に取り付けられたレンズ19と、レンズ19の側部において放熱部材22に取り付けられた反射部材18と、を備え、反射部材18は、反射した光を、レンズ19を介して出射された光に合成制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面や柱に設置されるスポットライト等に適用されるLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、取付板の右側に支持された複数の光源と、光源のLEDの配列方向に略直交する方向に稜線が連続するようにプリズムを形成した制光体と、を器具本体に組み込んだ右側用防犯灯を備えるLED照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−152170号公報(図9、段落0084)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、曲がり角やカーブや行き止まり等の道路で効率のよい照明をでき、漏れ光を最小限にできる。
一般に、片側配光が要求されるLED照明器具においては、照射エリアに対し、照射エリアを有効に使用するために、照射エリアの端に設置される。
この場合、光効率と照射エリア外への光害とを考慮して、一方向にのみの照射が要求される。
【0005】
ところで、このような片側配光を行うLED照明器具として、光源であるLEDを照射方向へ傾斜させたものが提案されている。
図6に示すように、このような従来のLED照明器具100は、正面方向A10に対して直交する取付面101を有する。
そして、このような従来のLED照明器具100は、取付面101に、傾斜した取付板102が取り付けられており、取付板102に、LED103を実装した基板104が取り付けられているために、LED103の光軸B10が正面方向A10に対して外方を向く。
【0006】
ところが、このような従来のLED照明器具100は、正面方向A10に対する光軸B10の角度を大きくすると、LED103を含む基板104の傾斜角度が大きくなるために、放熱構造を取り難くなる。
従って、このような従来のLED照明器具100は、広範囲を照射するために前方へ光軸B10を取るとスポット的な配光となり、例えば、駐車場等の照明を行う際に、むらが生じやすい。
【0007】
一方、このような片側配光を行うLED照明器具として、レンズにより照射方向を可変させたものが提案されている。
しかし、このような従来のLED照明器具は、発光面の大きなLEDを光源とする高出力なLEDを適用する場合に、LEDに対応して高効率な光制御のためのレンズが大型化する。
従って、このような従来のLED照明器具は、全体として大型化してしまい、コンパクト化できない。
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、照射面のむらを低減できるとともに小型化でき、グレア等の光害を効果的に抑制できるLED照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るLED照明器具は、器具本体と、前記器具本体に取り付けられた放熱部材と、前記放熱部材に取り付けられたLED基板および前記LED基板に封止された複数のLEDを有するLED発光部と、前記LEDの前面に取り付けられたレンズと、前記レンズの側部において前記放熱部材に取り付けられた反射部材と、を備え、前記反射部材は、反射した光を、前記レンズを介して出射された光に合成制御する。
【0010】
本発明に係るLED照明器具は、前記レンズは、中心線が前記反射部材に向く長辺部と、中心線が前記長辺部に直交する短辺部と、を有し、前記長辺部の中心線の延長線上に前記反射部材が配置される。
【0011】
本発明に係るLED照明器具は、前記反射部材は、前記複数のLEDの一列に対して1個設けられている。
【0012】
本発明に係るLED照明器具は、前記反射部材は、前記LEDパッケージの発光面中心を焦点位置とした放物線を傾けた形状の反射面を有する。
【0013】
本発明に係るLED照明器具は、前記LED発光部の前記LEDパッケージが、一列に配置され、前記LED発光部は、取付位置が前記器具本体の中心より偏った位置に配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るLED照明器具によれば、照射面のむらを低減できるとともに小型化でき、グレア等の光害を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る第1実施形態のLED照明器具の斜め下方から視た一部破断外観斜視図
【図2】本発明に係る第1実施形態のLED照明器具の長手方向の垂直断面図
【図3】本発明に係る第1実施形態のLED照明器具の底面図
【図4】本発明に係る第1実施形態のLED照明器具のLED発光部周りの垂直断面図
【図5】本発明に係る第2実施形態のLED照明器具の斜め下方から視た一部破断外観斜視図
【図6】従来のLED照明器具の垂直断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る複数の実施形態のLED照明器具について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態のLED照明器具10は、器具本体11と、器具本体11に収容される複数のLEDパッケージ12を有するLED発光部13と、器具本体11の下方開口部14を覆う透光性のパネル15と、を備える。
器具本体11は、アルミニウムダイカスト製であって、回動機構16を介してアーム17に連結されているために、アーム17が柱の上部や壁面等の不図示の設置部に取り付けられることにより、照射方向を変更可能である。
【0017】
LED発光部13は、器具本体11の中心に対してアーム17の反対側に取り付けられている。LED発光部13は、器具本体11の短手方向に並べられた複数のLEDパッケージ12を、器具本体11の長手方向に二列に配列している。
なお、LED発光部13は、複数のLEDパッケージ12を器具本体11の長手方向に二列に配列するのに限定されず、二列以上の複数列を配列してもよい。
【0018】
LED発光部13は、各LEDパッケージ12のアーム17側に単一の反射部材18が取り付けられており、LEDパッケージ12にレンズ19が被着されている。
反射部材18は、器具本体11の長手方向に直交する短手方向においてLEDパッケージ12のアーム17側に取り付けられている。
反射部材18は、器具本体11の短手方向に並べられた複数のLEDパッケージ12に対して1個配置されている。
従って、反射部材を複数のLED発光部にそれぞれ独立して取り付けた場合と比べて、部品点数を減少でき、各LEDパッケージ12の光軸方向の調整を一度で行えるために、各LEDパッケージ12の配光のばらつきを防止できる。
【0019】
図2に示すように、器具本体11は、基端部側であるアーム17側に点灯回路20が収容されている。点灯回路20は、外部の制御回路に電気的に接続される。
レンズ19は、透光性を有するアクリル樹脂材料で成形されており、各LEDパッケージ12に1個取り付けられている。
反射部材18は、LEDパッケージ12の発光面中心を焦点位置とした放物線を傾けた形状の鏡面の反射面21を有する。反射部材18は、板金部材を折曲することにより成形されている。
なお、反射部材18は、板金部材を折曲成形するのに代えて、樹脂材料を用いて成形することもできる。また、反射面21は、鏡面に代えて、白色塗装であってもよい。さらに、反射面21は、拡散処理が施された表面を有するものであってもよい。
【0020】
LED照明器具10は、器具本体11に取り付けられた放熱部材22を備えており、この放熱部材22に、LED23が封止されたLED基板24と、レンズ19とが取り付けられている。
放熱部材22は、高い放熱特性を有するアルミニウムを素材としており、器具本体11に熱的に接続されている。
【0021】
図3に示すように、レンズ19は、平面視において器具本体11の長手方向に長辺部25を有するとともに、器具本体11の短手方向に短辺部26を有する平面視長円形に形成されている。
すなわち、レンズ19は、長辺部25の中心線C1の延長線が反射部材18の反射面21に直交して配置されるとともに、短辺部26の中心線C2が反射面21に平行に配置される。
【0022】
次に、LED照明器具10のLED発光部13の詳細構造およびLED照明器具10の光学的な特性について説明する。
図4に示すように、LED基板24は、ねじ27が放熱部材22にねじ込まれることにより、放熱部材22に熱的に接続されて固定されている。
LED基板24は、不図示のプリント回路を有し、このプリント回路が点灯回路20に電気的に接続されている。
反射部材18は、LED基板24と同様にして、放熱部材22に熱的に接続されて固定されている。
従って、LED基板24および反射部材18が発熱した際の熱を、放熱部材22により効率よく放熱できるので、LED23の寿命を延長でき、光効率を向上できる。
【0023】
レンズ19は、LED23に非接触に配置される入射部28を内面に有し、入射部28に対面する出射部29を外面に有して、ねじ30が放熱部材22にねじ込まれることにより固定されている。
レンズ19は、LED23からの出射光のうち、反射部材18の反射面21に向けて進行されない狭い配光を有する主光軸方向の光成分α1を生成する。
【0024】
ここで、反射部材18は、反射面21がLED基板24の法線に対してあらかじめ定められた湾曲率を有するために、LED23からの出射光のうち、反射面21に向けて進行された光成分を所定の方向に制御して反射させる。
そして、反射部材18は、反射面21により、横広がりの配光を有する主光軸方向の光成分α2を生成して、光成分α2を光成分α1に合成させる。
従って、レンズ19および反射部材18の組み合わせにより、狭い配光を有する光成分α1および横広がりの配光を有する光成分α2を合成することにより、主光軸の光度を増加できる。
【0025】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態のLED照明器具10によれば、狭い配光を有する光成分α1および横広がりの配光を有する光成分α2を合成することにより、照射面のむらを低減でき、グレア等の光害を効果的に抑制できる。
また、LED照明器具10によれば、従来のもののように、レンズにより照射方向を可変しないので、小型化できる。
【0026】
そして、LED照明器具10によれば、レンズ19が、反射部材18により反射されて生成される横広がりであって反射部材18に向けて進行されない狭い配光を有する光成分α1に合成される光成分α2を生成できる。
【0027】
さらに、LED照明器具10によれば、部品点数を減少でき、各LEDパッケージ12の光軸方向の調整を一度で行えるために、各LEDパッケージ12の配光のばらつきを防止できる。
【0028】
加えて、LED照明器具10によれば、反射部材18での反射に伴い、光成分α1に合成される横広がりの配光を有する主光軸方向の光成分α2を生成できる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のLED照明器具について説明する。
なお、以下の第2実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0030】
図5に示すように、本発明に係る第2実施形態のLED照明器具40は、器具本体11の中心に対してアーム17側に複数のLEDパッケージ12を有するLED発光部13および反射部材18が取り付けられている。
そして、LED照明器具40は、LED発光部13の上部に点灯回路20が収容されている。
そのため、重量物である点灯回路20、LED発光部13、および、反射部材18の重心位置が器具本体11においてアーム17側に偏って取り付けられる。
従って、器具本体11のアーム17とは反対側に重量物が配置された場合と比べて重量面で安定化できる。
【0031】
LED照明器具40によれば、重量物であるLED発光部13および反射部材18の重心位置が器具本体11においてアーム17側に偏って取り付けられているために、重量面で安定化できる。
【0032】
なお、本発明のLED照明器具において器具本体、点灯回路、パネル、回動機構、アーム等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0033】
10,40 LED照明器具
11 器具本体
13 LED発光部
18 反射部材
19 レンズ
22 放熱部材
23 LED
24 LED基板
25 長辺部
26 短辺部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、
前記器具本体に取り付けられた放熱部材と、
前記放熱部材に取り付けられたLED基板および前記LED基板に封止された複数のLEDを有するLED発光部と、
前記LEDの前面に取り付けられたレンズと、
前記レンズの側部において前記放熱部材に取り付けられた反射部材と、を備え、
前記反射部材は、反射した光を、前記レンズを介して出射された光に合成制御するLED照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載のLED照明器具において、
前記レンズは、中心線が前記反射部材に向く長辺部と、中心線が前記長辺部に直交する短辺部と、を有し、
前記長辺部の中心線の延長線上に前記反射部材が配置されるLED照明器具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のLED照明器具において、
前記反射部材は、前記複数のLEDの一列に対して1個設けられているLED照明器具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載のLED照明器具において、
前記反射部材は、前記LEDの発光面中心を焦点位置とした放物線を傾けた形状の反射面を有するLED照明器具。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載のLED照明器具において、
前記LED発光部の前記LEDが、一列に配置され、前記LED発光部は、取付位置が前記器具本体の中心より偏った位置に配置されているLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−97999(P2013−97999A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239473(P2011−239473)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】