Pade’近似を基にした補償を使用し励起供給モジュールを備える反応性センサ
反応性センサは、通常温度変動に非線形応答を呈する。反応性センサの振る舞いに依存する非直線性及び/又は温度を補償し、測定下の物理パラメータの既知サンプルに関連する事後補償出力信号を校正するためのシステム及び方法を開示する。一実施形態は、少なくとも反応性センサの部分、モノリシック集積回路及び基準タイミングを収容するハウジングを含む。集積回路は、センサ励起信号を発生するための波形発生器、励起信号及び測定下の物理パラメータの組合せに対するセンサ応答を検出するための検出器、デジタルでプログラムされた係数の使用によって調整される温度補償ユニット及びPade近似非直線性補償ユニットを含む。係数は、非直線性及び温度感度を補償することに加えて最終出力を校正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、アナログ変換の非直線性及び/又は温度ドリフトを補償する電子システムに関連する。
【0002】
より具体的には、本発明は、集積センサ・モジュールに関連し、そこでは変換器が電子補償回路等の補償手段と共に収容され、そして該変換器はインダクタ又はキャパシタ等の反応性構成要素を含んでいる。
【背景技術】
【0003】
(関連参考特許)
以下の米国特許明細書はここに援用される:
(A)米国特許第619829号明細書(Ivanov,「ブリッジ・センサ線形化回路及び方法」,2001年3月6日);
(B)米国特許第5902925号明細書(Crispie他,「温度でのオフセット及び感度変動に対するセンサの高正確校正用システム及び方法」,1999年5月11日);
(C)米国特許第5848383号明細書(Yunus,「温度でのセンサの非線形オフセット及び感度変動に対する精密補償用のシステム及び方法」,1998年12月8日);
(D)米国特許第5764067号明細書(Rastegar,「低価格、高正確アナログ回路を使用するセンサ信号調節用方法及び装置,1998年6月9日」);
(E)米国特許第5686826号明細書(Kurtz他,「半導体変換器構造用の周囲温度補償」,1997年11月11日);
(F)米国特許第5122756号明細書(Nelson,「検知ブリッジ回路出力の線形化」,1992年6月16日);
(G)米国特許第4419620号明細書(Kurtz他,「半導体圧力変換器用の線形化回路」,1983年12月6日);
(H)米国特許第4362060号明細書(Okayama他,「変位変換器」,1982年12月7日);
(I)米国特許第5798692号明細書(Crispie他,「センサの校正用のデジタル補償回路」,1998年8月25日);
(J)米国特許第5995033号明細書(Roeckner他,「合体ADC/DACを含む信号調節回路、センサ・システム及びそのための方法」,1999年11月30日);
(K)米国特許第6104231号明細書(Kirkpatrick II,「ホール効果素子用の温度補償回路」,2000年8月15日);
(L)米国特許第4591795号明細書(McCorkle,「L/R VDTセンサ用の信号調節回路」,1986年5月27日);
(M)米国特許第4599560号明細書(Sanford他,「安定化された位相感度復調回路を持つAC励起変換器」,1986年7月8日);
(N)米国特許第4651130号明細書(Pennell,「多重コイル誘導性変位センサとの使用に対して位相情報を保持するための装置及び方法」,1987年3月17日);
(O)米国特許第4847548号明細書(Lafler,「線形可変差動トランス用の信号調節器,1989年7月11日」);
(P)米国特許第4857919号明細書(Braswell,「可変差動トランスのコア材の位置を指示するための方法及び装置」,1989年8月15日);
(Q)米国特許第4954776号明細書(Husher,「コア変位と線形に変化する電流と同期する電圧成分を利用する線形変位変換器」,1990年9月4日);
(R)米国特許第5327030号明細書(DeVito他,「復号器及びこれを組み込むモノリシック集積回路」,1994年7月5日);
(S)米国特許第5399964号明細書(Zoller,「同期位置復調器に使用するためのピーク振幅検出器」,1995年3月21日);
(T)米国特許第5477473号明細書(Mandl他,「センサ駆動及び信号処理方法」,1995年12月19日);
(U)米国特許第5717331号明細書(Deller他,「位置情報を与える変位センサとの使用のための復調回路」,1998年2月10日);
(V)米国特許第5777468号明細書(Maher,「改善された温度安定性及びセンサ欠陥検出装置を提供する可変差動トランス・システム及び方法」,1998年7月7日);及び
(W)米国特許第5594388号明細書(O’Shaughnessy他,「自己校正RC発振器」,1997年1月14日)。
【0004】
(関連参考特許出願)
以下の米国特許出願明細書はここに援用される:
(a)第2003/0173952号(Niwa,Masahisa,「位置センサ」,2003年9月18日);及び
(b)シリアル番号10/845681(Jose Marcos Laraia,Robert P.Moehrke,Jose G.Taveira,「集積化センサ・モジュール等用のPade’近似を基にした補償」,2004年5月13日,この出願の共同譲受人の一により所有)。
【0005】
(関連非特許文献)
以下の文献は参照のためここに引用される:
(a)ウルフラム・リサーチ数学ワールドWebサイト:
<http://mathworld.wolfram.com/PadeApproximant.thml>;
(b)Baker,G.A.Jr及びGraves−Morris,P.Pade’近似,ニューヨーク,ケンブリッジ大学出版,1996年);
(c)Yoshii他,「MCU、A/D変換器、D/A変換器、デジタル通信ポート、信号調節回路及び温度センサを持つワンチップ集積ソフトウエア校正CMOS圧力センサ」,シカゴ,半導体センサ及び駆動装置に関する1997年国際会議会報,1997年6月16〜19日,p.1485〜1488;
(d)Mnif,K.,「補償はアナログ圧力センサの用途への適合に極めて重要である」,ISD雑誌,2001年7月;
(e)Travis,B.,「スマート調節器はセンサ誤差を抹消する」,EDN雑誌,2001年2月;
(f)McGonigal,J.,「信号調節」,センサ雑誌,2003年9月;
(g)Harrold,S.,「プログラマブル・アナログIC」,センサ雑誌,2003年4月;
(h)Dunbar及びAllen,「性能は集積化と共に進展する」,EEタイムズ,2003年10月7日;
(i)Pallas−Areny及びWebster−センサ及び信号調節,第2版,ジョン・ウィリー&ソンズ,ニューヨーク,2001年,p.207〜327;
(j)Yassa及びGarverick,「LVDT/RVDT位置センサ用のマルチチャネル・デジタル復調器」,IEEE J.半導体回路,1990年4月,第25巻,第2号,p.441〜450;
(k)Crescini他,「FFTを基にしたアルゴリズムのLVDT位置センサの信号処理への応用」,IEEE変換計器測定,1998年10月,第47巻,第5号,p.1119〜1123;
(l)Ford他,「新DSPを基にしたLVDT信号調節器」,IEEE変換計器測定,1998年10月,第50巻,第3号,p.768〜773;
(m)アプリケーション・ノートAD598,LVDT信号調節器,アナログ・デヴァイシィズ,改訂A,[日付無し];
(n)アプリケーション・ノートAD698,ユニヴァーサルLVDT信号調節器,アナログ・デヴァイシィズ,改訂B,1995年;
(o)Rahim,多方面にわたる用途においてNE5521信号調節器を使うこと,アプリケーション・ノートAN1182,フィリップス・セミコンダクタ,1988年12月;
(p)Unbehauen及びCichocki,「MOSスイッチ・キャパシタ及び連続時間集積回路及びシステム」,ベルリン ハイデルベルク,シュプリンガァ出版,1989年。
【0006】
(関連技術の説明)
1又はそれ以上の多量の物理パラメータ、例えば、位置、角度、速さ、加速度、温度、圧力、力、ひずみ、明るさ、及び流体流量を、正確に検知することはしばしば望ましい。科学技術の向上により、時おり1個の半導体基板上に最小化されて集積化された電気機械システム(MEM)との使用ですら、それらパラメータの幾つかをかなり正確に測定して電気的に伝えることができるようになってきている。単複の検知素子が、集積化されるよりもむしろ別個独立で成る場合でも、それらは、しばしば便宜上センサ・モジュール内に収容され、該モジュールは、個別回路及び/又は信号調節を与えるためのモノリシックIC及び/又は他のセンサ支援機能及び/又は通信支援機能を更に含む。適用分野には、自動車、医療、航空宇宙産業及びファクトリー・オートメーションが含まれることがある。
【0007】
LVDT(線形可変差動トランス)等のより古い設計の各センサは、通常、完全に自己の上で比較的正確な測定を提供するように設計される。価格及び寸法は問題ではない。しかし、自動車等の種々のモデム応用領域において、特にセンサが、運搬手段や他の機構周りのあらゆるところに組み込まれて、該機構をより素早く動作させるべくシリアル・データ・チャネルに結合されるとき、寸法、重量、価格、消費電力及びセンサの周辺能力が、非常に重要な課題になることがある。小さくて正確で、信頼性があり、自動車や他の機構の他の部分とのインタフェースが容易であり、そして厳しい環境で動作することを可能にする低価格センサ・モジュールを提供することは、非常に望ましいことである。適当なセンサを検索すると、異なる物理的ないし電気的原理に基づく広範な種々の検知素子に行き当たり、それぞれは、その独自の特定用途及び環境に最適化されている。その各種センサの特殊性が問題をもたらす。特に、センサの一のクラスは、適切に動作するためにAC励起を必要とする。AC励起は、センサの動作点を所望の状態(例えば、規定動作温度)にシフトするために、DC電圧又は電流による追加の励起と組み合わされることがある。適した支援をそのようなAC励起センサに与えることが問題となり得る。
【0008】
各電気センサは、抵抗性(R)、誘導性(L)及び容量性(C)の主要動作の3つの大きなファミリーに属するように広く分類されることがある。もちろん、RLCの機能性の各種組合せが、所与のセンサに存在することがある。(上記Pallas−Areny及びWebsterによる引用文献参照。)
本明細書は、動作用にAC励起を要する各センサに注力する。これらは、通常、本質的に全て抵抗性(R)ベースというよりもむしろ誘導性(L)及び/又は容量性(C)ベースで作動する。
【0009】
誘導性センサは、限定されないが可変磁気抵抗及び/又はうず電流の生成を含む、多くの各種電磁気特性に基づく検知機能を提供することができる。各誘導性センサは、それらが有する線形移動部品、回転移動部品及び非移動部品を含むことがある。例として、線形及び回転差動トランス(LVDT/RVDT)が含まれる。誘導性センサは、変位、位置及び角度、又は位置若しくは角度に対応するものに都合よく変換し得る他の物理パラメータを、都合よく検知するように構成されることがある。そのような他の物理パラメータの例としては、圧力、重量、力、トルク、加速度及び流体速度が含まれる。
【0010】
容量性センサは、通常、キャパシタのプレートとしての役目を荷う2つ又はそれ以上の導体間に起こる容量変化に依拠する。可変容量の原因は、プレート領域の変化、プレート分離の変化、及び/又はプレート間の誘電体材の変化のためであるかもしれない。容量性センサは、接近検出、小変位の測定、圧力及び加速度の検出等のあるセンサ用途に有用である。
【0011】
誘導性及び/又は容量性のものを含む多くの検知素子は、ともかく外部手段によって支持されたり、補償されたり、或いは包囲されたりすることを要する独自の要件及び制約を与える。例えば、適切に動作するため、たいていの誘導性及び/又は容量性センサは、検知されている物理特性から収集され得るエネルギーに加えて、適したAC励起源を必要とする。しばしば、所与の物理特性(例えば、力、変位、速さ、加速度、温度、又は検出及び/又は測定され得る何れかの他の物理パラメータ)に応じて誘導性及び/又は容量性センサによって発生される電気又は他の出力信号は、比較的弱く、ひずんだりし、或いはセンサの出力信号に依拠する電子又は他の制御システムと直接インタフェースをとるのに全く適さない。そのようなものにおいては、信号増幅及びひずみ除去がしばしば望まれる。利用される増幅器及び/又はセンサ自体は、標準的に、利得の変動及びそれらの製造工程における不安原因によるオフセット誤差を持つ。従って、これらの構成要素は、通常、個別に校正されなければならない。多くの検知素子は、検知される単複のパラメータに関係のある理想的でない応答性を示す。理想的でない応答性は、種々の温度にわたる応答の変動によって、及び/又は測定される物理パラメータの線形変化に対する非線形応答によって、問題として引き起こされることがある。各種用途は、程度に違いこそあれこれら理想的でない応答の振る舞いの補正を必要とすることがある。通常、「信号調節回路」と呼ばれる適した電子回路は、しばしばこれらの要件を処理するために使用され、通例、センサ・パッケージの集積部分に作られる。両検知素子及び信号調節回路は、通例、単一の周囲密閉されたセンサ・モジュール又は単に集積化センサとして知られる物理ユニットに詰められる。センサ信号調節及び利用可能な解決方法に関する更なる説明は、上記引用のMnif、Travis及びMcGonigalによる論説に見出すことができる。
【0012】
非常に多くの信号調節の解決策が全抵抗性型センサ用に開発されているが(例えば、抵抗ブリッジ網)、幾らかは、誘導性(L)及び/又は容量性(C)型に利用可能である。問題部分は、AC励起信号がセンサの振る舞いを変え得るということである。3つの商用集積回路、AD598、AD698(ともにアナログ・デヴァイシィズから)及びNE5521(フィリップス・セミコンダクタ)が利用可能であることが知られ、それら全てはLVDT及びRVDTに専念される。簡単のため、LVDTのみが参照されるが、LVDT信号調節器は一般にRVDTにも使用可能であることが了解されるものである。それらAC励起信号の変動又は次から次のLVDTの製造変動と関係ない比較的正確な測定を提供するように、LVDTがしばしば設計される点で、LVDTは、一般的な誘導性(L)及び/又は容量性(C)型センサと異なる。それ故、LVDTの信号調節の必要性は、一般に、他の種類の反応性センサのそれらよりも要求度がより少ない。
【0013】
LVDT信号調節をするのに3つの従来方法がある。第1のものは、古典的なDSBSC(両側波帯抑圧搬送波)AM同期復調技術を使用する。両AD698及びNE5521チップは、この方法を使用する。検知情報の正確な復元を保証し、COS(φ)誤差(Crescini他参照)を避けるために、1次及び2次コイルの波形を同位相に保つ必要がある。DSBSC・AM同期復調技術は、位相進/遅網における調整自在の電位差計の使用を位相調整にもたらす。大量生産環境で各電位差計を調整することは、冗長で費用が嵩み、また誤り易い作業である。工場で適切に為されたときでも、位相整合がその分野のセンサの温度動作範囲の全てに及ぶという保証はない。
【0014】
第2の方法は、AD598チップで使用され、代わりに非同期比を基にした方法を使用することによって電位差計の調整の問題を回避する。検知情報は、LVDTの複数の2次コイルの信号の差と合計との間の商を計算することで復元される。計算回路は、割合高価格で販売されるかなり複雑な製品となる(Ford他参照)。しかも、AD598チップは、2次コイル間にセンタ・タップを持つ5線のLVDTのみと動作する。それは、機構的により簡単な4線のLVDTと使用することができない。また、達成されるべき直線性及び良好な正確さについて、2次の信号の合計は、LVDTコア位置と無関係でなければならないが、一般にLVT製造者によって保証されない。これら全ての理由は、この第2の方法の適用の範囲を厳しく制限する。
【0015】
第3の方法は、デジタル信号処理(DSP)を利用する数種の設計技術を伴う。(上記引用した)Yassa及びGarverickは、予想技術に基づいて適応的AM復調アルゴリズムを用いるモノリシック5チャネル多重チャネル・デジタル復調器を提供する。各チャネルは、1次シグマ−デルタ・アナログ−デジタル変換器(ADC)及び32ビット・ワード長の専用デジタル復調器を有する。(上記引用した)Crescini他は、周波数領域でデータを処理してcos(φ)誤差を避けることにより、これを改善する。それらはデジタル・アルゴリズムを使用し、これは、50MHzで動作する商用DSP、及びアナログ・インタフェース回路を成す14ビットDAC、後続する複数のフィルタ及び14ビットADCを持つボード上で実行される。最後に、(上記引用した)Ford他は、A/D及びD/A変換器によってインタフェースされた商用DSPを持つ修正DSPベースCostasレシーバーを提供することによって、前解決策の動的振る舞いを改善する。性能の種々の特徴を改善するが、第3の方法のこれらDSPの解決策は、複雑であり高価である。それらは、価格に影響され易いLVDT用途に使用することができない。
【0016】
LVDT又はRVDTに専念される上記3つの方法の他に、(LVDTでない)誘導性及び容量性センサの他の型に信号調節を付与するための商業的に標準の完全に統一された解決策は無いと思料される。従って、非常に大多数の反応性センサの利用者は、とにかく信号調節をしようとするなら、自分専用の信号調節回路の開発を任されるところ、その専用信号処理回路は、比較的多くの構成要素を持ち、値が高く、嵩張る傾向があり、より多くの電力を消費する。
【0017】
幾つかの従来の信号調節回路は、一般にセンサ出力に対して良好な固有の直線性及び正確さを達成することに集中する。それらは、個々の検知素子の特性に校正を施すことや、センサの温度変動を補償することを、同時に試みることはない。高いセンサの正確さが広い温度範囲にわたって要求されるとき、補正及び校正機能は、しばしば1つというよりは複数の専用回路によって実行される必要がある。このことは、モジュール寸法、価格及び消費電力全般を増大させる。個別センサの特異性に順応する統括的方法及び一層の小型化に対する要求が、当分野の生産業に存在する。
【発明の開示】
【0018】
反応性センサは、通常、励起信号(例えば、正弦波状の発振信号)及び測定下の物理パラメータ(例えば、磁気コア材の位置)の組合せに非線形応答を呈する。そのようなセンサは、通常、温度変動に敏感である。反応性センサの振る舞いで決まる温度及び/又は非線形を補償するためのものであって、測定下の物理パラメータ(例えば、位置)の既知の複数の標本に関連する複数の事後補償出力信号を同時に校正するためのシステム及び方法を開示する。
【0019】
本発明の各実施形態の一のクラスは、少なくとも反応性センサの部分(例えば、可変磁気抵抗インダクタのコイル部分)と、モノリシック集積回路と、基準タイミング(例えば、水晶発振器)とを収容するセンサ・モジュール・ハウジングを含む。該集積回路は、基準電圧と、該基準電圧及び該基準タイミングの使用から同期されるセンサ励起信号を発生するための波形発生器と、測定下の物理パラメータ及び該励起信号の組合せへの該センサの応答を検出するための検出器と、温度補償ユニットと、Pade’近似を基にした非直線性補償ユニットとを含む。該温度補償ユニット及び該Pade’近似非直線性補償ユニットは、デジタル方式でプログラムされた複数の係数の使用によって調整される。該複数の係数は、該センサ・モジュールの出力信号を校正するとともに、該センサ・モジュール出力信号及び該センサ間の信号経路と該センサの双方における温度感度及び非直線性を補償する。該センサ及び補償回路の各々が比較的簡単、小型で価格が低くても、該測定下の物理パラメータの高い正確さの測定を可能とする。
【0020】
上記の例から了解されるであろう本願発明が提供する解決策では、比較的簡単で低価格の反応性センサ(例えば、簡単なコイル及び可動コア材)が、プログラム方式で調整される補償回路との組合せで使用可能であり、それにより正確で価格が低く小型であるという組合せを提供する。該センサは、比較的不正確で、単独時に温度変動を受け易い特徴があるが、該センサ及び補償回路の組合せは、比較的正確に、そして温度変化の影響を受けないようにすることができる。本発明は、非直線性及び温度の補償方法と、AC励起源並びに個別化された出力補正を要する反応性センサと使用可能な対応構造とを提供する。本発明による構造は、個々のセンサの特異性に順応するようにプログラム方式で調整自在とされるので、比較的低い消費電力にして、更に高い正確さにすることができ、小型化することができる。本発明による構造は、低価格の大量生産を許容しつつ広範囲の用途に使用されるように自由に順応させることができる。ここに開示された方法及び構造は、センサ励起及び校正を考慮して、非直線性補償の集積化部分として行われる。ここで、両役割は、同一回路によって実行されてもよい。本発明による各実施形態は、デジタル化問題(例えば、量子化誤差及び/又は標本時間休止)のない信号調節を提供するためのアナログ技術を主に使用するモノリシック集積回路として実施することができる。
【0021】
一実施形態では、モノリシック集積化・プログラマブル信号調節回路が、AC励起を要する各センサに提供される。該回路は、実質正弦波状又は他の励起波形を合成するためのプログラマブル源と、ローパス濾波機能性を持つピーク検出器と、温度補償回路と、非直線性補償・校正回路と、出力インタフェースとにより成る。プログラミング・インタフェースは、該回路が各特定センサ用に最適に構成されるように提供される。
【0022】
より具体的には、本発明の一の特徴により、複数のPade’近似の算術に基づいて複数の非直線性補償関数を満たすための技術が提供される。Pade’近似は、所望の複数のマッピング関数の拡大自在の複数の近似値を生成するのに使用することができる。ここで、該複数の近似値は、2つのパワー組の比として表現することができ、各パワー組は、それぞれの組の複数の係数を含む。所与の一のPade’近似マッピング関数は、その分子及び分母の係数のどちらか一方又は両方を調整することによって、定義及び/又は微調整されてもよい。複数のPade’近似マッピング関数は、複数の数学モデルが複数の極又は似たような複数の特異点を含有する振る舞いを含む非線形の物理的な振る舞いをモデリングするのに適している。特に、該Pade’近似の方法によって提供される複数の有理関数は、大抵普通に使用されるテイラー展開よりも現実世界の現象をモデリングするのによりよい適合性を一般にもたらすと考えられている。ここで、後者は、所望の正確さ及び精密さの度合いに一の近似値を定めるために、都合悪くより多数の期間及び関連係数を要する。
【0023】
比較的正確な複数のPade’近似は、複数の低次有利関数と、対応して簡単、安価で実質的にアナログの複数の非直線性補償回路とを使用することによって実行可能である。一実施形態では、必要とされる全ては、(a)可変利得アナログ増幅器と、(b)該増幅器の出力と結合されるアナログ・オフセット加算器と、(c)該オフセット加算器の出力と結合されるフィードバック減衰要素と、(d)該可変利得アナログ増幅器用の利得設定回路とである。ここで、該利得設定回路は、(1−該フィードバック減衰要素の出力)によって乗じられた、第1の利得要因Gを表す利得信号を生成する。
【0024】
結果の回路の振る舞いは、
Vout=G・(1−kvf・Vout)・Vin+voff {式1a}
として表現することができる。
【0025】
式1aを該出力電圧Voutについて解くことによって、式1aは、
Vout=(G・Vin+voff)/(G・kvf・Vin+1) {式1b}
のように変形することができる。
【0026】
続いて、x=Vin,y=Vout,a=G,b=voff及びc=G・kvfで置き換えることによって、式1bは、1次Pade’近似として
y(x)=P1(x)/Q1(x)
=(ax+b)/(cx+1) {式1c}
のように変形することができる。
【0027】
より一般化された公式のもとでは、上記の数式(式1c)は、n次Pade’近似として以下のように表現しなおすことができる:
【0028】
【数1】
【0029】
更に、分子及び分母における多項式の次数は、(m次及びn次が)互いに異なってもよい。
【0030】
幅広い種々のマッピング関数は、1次の式1cにおける3つの係数a、b及びcの適した調整によって近似することができるのが分かるであろう。例えば、c=0に設定することによって、線形マッピング式のy=ax+bが得られる。a=0に設定することによって、非線形マッピング式のy=b/(cx+1)が得られる。入力変数xは、水平変換されるマッピング関数を得るように、平行移動変数(x−x0)で置き換えることができる。出力変数yは、垂直変換されたマッピング関数を得るように、平行移動変数(y−y0)で置き換えることができる。x及びyのどちらか一方は、x−yグラフ格子上でマッピング関数の180度回転を与えるために、その極性がx’=−x又はy’=−yで付加的に反転されてもよい。
【0031】
本発明による非直線性補償回路は、センサ・モジュールのアナログ信号経路のどこにでも置くことができる。補償関数は、補償器内部の非直線性及び出力経路における他の回路の非直線性の補償を含むことができる。補償は、(例えば、ある抵抗ブリッジ回路のように)センサの励起信号の調整を必要としないので、センサの励起信号は、一定に保たれても、或いは電源電圧に対して比計量的にされてもよい。このことは、より簡単な設計を考慮に入れ、センサ励起電圧又は電流が、各センサ独自の環境及びその使用によって要求されることがあるような最適な範囲内になることを保証することができる。付加的効果として、非直線性補償回路はまた、センサ校正を提供することができ、従って更に全体的な複雑さ及び価格を低減する。複数の大きなルックアップ・テーブル及び/又は複数のマイクロプロセッサ等が利用される、非直線性補償に対する卓越的なデジタル方法と比較したとき、本発明による各実施形態は、はるかに簡単でより小さく、かなりの低価格で構成することができる回路を可能にする。
【0032】
それらは各検知用途の状況に現れるが、ここに開示される複数の関数マッピング回路及び複数の技術は、範囲が一般的であり、オーディオ、ビデオ、イメージング等の他の使用において、或いは非線形マッピング関数が電気的に提供される何れかの状況において適合可能である。
【0033】
本発明に従って、対応する出力信号に対して入力信号をマッピングするための方法が提供される。該方法の一実施形態は、(a)それぞれ分子及び分母の複数係数を持つPade’近似比に従って動作するプログラマブル変換ユニットを提供すること、及び(b)プログラム方式で該変換ユニットを調整し、それによりそれぞれ分子及び分母の複数係数を確立することを含む。該係数は、変換ユニットに、所望のPade’近似マッピングを、少なくとも三つ(3)の入力基準点を持つ供給入力信号と前記少なくとも三つ(3)の入力基準点に対応する一対一ベースの少なくとも三つ(3)の標準化出力値を持つ対応出力信号との間に提供させる。
【0034】
本発明の他の特徴は、以下の詳細な説明から明白になるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下の記述は例示にすぎず、制限するものではない。図1を参照すると、可変磁気抵抗センサ105を含むセンサ・モジュール100のブロック図が設けられている。一実施形態では、該モジュールは、センサ・コイルと、モノリシック集積回路(IC、個別図示せず)と、水晶発振器とが搭載された印刷回路板(図示せず)を含む。該印刷回路板は、密閉封止される非磁性金属箱(例えば、アルミニウム)等の保護用ハウジング101(部分的に図示)によって包含される。該コイルは、外部の可動磁気コア材102と相互作用するように保護用ハウジング101の壁部近くに置かれる。該可動磁気コア材102の位置等の外部物理パラメータP(t)は、そのように形成されるセンサ105の磁気抵抗を変える。
【0036】
電流発生器110は、可変磁気抵抗センサ105を通じて周期的な電流信号Isineを駆動するための該IC内に設けられる。ここで、Isineは、擬似正弦波状又は他の周期的な波形を持つようにデジタル方式で合成される。ピーク検出器106は、センサ105に印加されるピーク電圧を検知するための高インピーダンス入力端子(例えば、より大きく約100kΩ)を持つ。ピーク検出器106の入力インピーダンスは、十分に大きく、合成されたIsine信号及び外部物理パラメータP(t)に対する可変磁気抵抗センサ105の応答を実質的に変えるのを回避する。
【0037】
誘導性センサ(例えば、コイル及び磁気フラックス経路及び寄生容量)105は、P(t)に対応するある複素インピーダンスを持つように作製されてもよい。ここで、該インピーダンスは、抵抗性及び誘導性直列成分を含む。所与の温度及び励起周波数で、該抵抗性成分Zdcは、通常、全検知範囲にわたって一定であるのに対し、該直列誘導性成分Zacは、通常、該コイルとその磁気フラックス経路(例えば、移動自在のコアによるフラックス)との間の相対磁気結合の関数である。目標とされる物理パラメータP(t)の関数としてZacを可変させるのに適した機械的構造の部分として、誘導性センサ105が組み込まれるとき、変位、角度又は位置等の物理パラメータP(t)は、この原理に基づいて、都合よく計測することができる。
【0038】
Zacを計測するために、相応の励起電流Isineを該センサ・コイルを通じて流して、コイルの起電圧を検出することができる。以下の式1a及び1bは、DC及びAC成分を持つ励起電流からもたらされるコイル電圧Vaを示す。ここで、ACインピーダンスZacは実数及び虚数成分を持つ:
【0039】
【数2】
【0040】
コイル・インピーダンス、従って検知された物理変数P(t)の有用な指示であるべきVaについて、励起電流は、固定された主要周波数及び安定なよく制御された振幅を持つはずである。周波数領域で大きなより高い調波成分を持つことが望ましくないのは、印加電圧Vaが、検知された物理変数P(t)の変動に適切に応答しない寄生成分(例えば、寄生容量又はインダクタ)の応答を表すことがあるからである。図2は、そのような低い調波特性を与えることができる反復自在の個別ステップの波形(例えば、デジタル化された波形)を示す。該波形のステップ数、各ステップ幅及び/又はステップ間の粒状度は、使用されるステップ規模/幅発生器(例えば、デジタイザ)の型及び該ステップ規模/幅発生器(例えば、デジタイザ)を支援するメモリ容量に依存することがある。図1は、そのような擬似正弦波状の波形を生成可能な電流波形発生器110を示す。DC基準電流Irefは、例えば、バンドギャップ基準電圧及び固定抵抗等の安定電圧源を使用することによって、ブロック111から発生される。矩形波発生器は、板上の水晶発振器又は別の実質的に安定な周波数源115から、波形状カウンタ116をクロックする。ここで、該カウンタは、所望の波形(例えば、図2のそれ)の標本点を数えて送り出すように、都合よくプログラムされている。デジタル信号を運ぶラインは、図1においてそれらラインを貫いて伸びる斜線によって示される。カウンタ116からのデジタル出力信号は、電流を出力するデジタル−アナログ変換器(電流DAC)114に供給される。該電流DACは、ライン112上のIref信号に全て関連付けられる、デジタル方式で選択自在の並列組の複数のミラー電流より構成することができる。最終的に、該電流DACは、予め決められた各割合又は多重のIrefであるアナログ電流ステップ(標本)を発生する。一実施形態において、該複数の標本は、図2に示されるような正弦波を近似するように選択される。一実施形態において、波形状カウンタ116は、予め決められた波形(例えば、三角、のこぎり歯、台形等及び/又は別個のDCバイアス・レベル)の種々のものを、各種反応性センサ105への適用のために選択することができるように、制御ユニット150の書換自在メモリ(例えば、不揮発性フラッシュ・メモリ)151に格納されたデジタル・データにプログラム方式で応答する。複数の電流変化ステップを円滑に出す電流DAC114に、最適な複数の内部フィルタを設けてもよい。この方法では、よく制御されたIdc及びIac成分(図2参照)と、制限された調波成分に加えて正確に定められた主要周波数とで、擬似正弦波状又は他の平滑電流波形を合成することができる。一実施形態において、基準クロック源115は、ユニット150の書換自在メモリに格納されたデータにプログラム方式で応答して、予め決められた複数の主要周波数のうちの種々のものを、種々のセンサ105に適するように発生することができる。
【0041】
一実施形態は、基準タイミング源115の一部として共振水晶体を使用するが、波形発生器110の他の部分を包含するモノリシックIC内に集積され、多少正確である他の基準タイミングを使用することは、本明細書の深厚内にある。例としては、セラミック共振発振器及び自己校正RC発振器が含まれる。より詳しくは、米国特許5594388(O’Shaughnessy他)は、IC内への集積用の自己校正発振器を開示する。この自己校正発振器は、例えば、その周波数を合わせるように調整するEEPROM及び温度依存を減らすための外部抵抗を使用することによって、より正確とすることができる。代わりに、レーザー調整又は他の方法で調整されたRC発振器を使用してもよい。ここで、その調整されたR及びCの双方は、ICに対して内部にあってもよい。
【0042】
一実施形態は、合成されたセンサ励起信号(例えば、Isine)の複数のデジタル・ステップを発生するためのDAC114を使用するが、個別に組み立てられる波形の他の発生器を使用することは、本発明の深厚内にある。ここで、該個別波形の部分は、変調されたパルス幅及び/又は時間対大きさ(ステップ関数のそれ以外のもの)を持つ。
【0043】
センサ励起信号(例えばIsine)を利用するため、検知された物理パラメータP(t)が時間を通して変化するとき、センサ・リアクタンスが付随的に変調されて、該センサ間に生成される電圧が、該センサ励起信号及び該変化する物理パラメータP(t)の結合効果を反映するのである。励起電流Isine=Idc+Iacの利用で生じるコイル電圧Vaは、振幅変調(AM)電圧信号であり、その搬送周波数は、一般に励起電流によって使用されるそれと同じ中心周波数である一方、AM信号の包絡線は、物理パラメータP(t)に起因する検知情報を含む。従って、Va波形の包絡電圧は、一般に、コア材102の位置等の測定されるべき物理パラメータP(t)を表す単調関数となるだろう。該包絡電圧を抽出するために、Va電圧信号がピーク検出回路106に印加される。このピーク検出回路106は、各Va電圧パルス(パルスは正弦波状である必要はない)の立上りエッジの間、Va波形を追跡し、そして各パルスについて、該電圧パルスの立上り側のピークの大きさを示すために、対応する量の電荷をキャパシタ107に汲み出す。Va電圧パルスがそのピークに達し、その後、大きさが減少し始めるとき、ピーク検出回路106は、キャパシタ107への電荷の汲み出しを停止し、該キャパシタは、その電圧がVa信号の次の立上りエッジの電圧か或いは僅か下に低下するまで、予め決められた一定の割合で、ゆっくり放電し始めるようにされる。その時点で、ピーク検出回路106は、新しい電荷をキャパシタ107に汲み出し始める。それ故に、キャパシタ107の電圧は、パルスVa電圧信号の包絡をおおよそ追跡するはずである。ローパス・フィルタ108は、デジタル方式で合成された励起電流Isineの搬送周波数調波のため、キャパシタ107の電圧を平滑しノイズ及びひずみを低減するために随意設けられる。
【0044】
センサ105とピーク検出器106との間の図1のモジュール100に、2つの追加ブロック(図示せず)を随意追加してもよい。コイル電圧Vaが比較的低い(例えば、<<1ボルト)場合、該ピーク検出器は、高インピーダンス電圧増幅器によって前置されてもよい。EMI保護とノイズ及び調波成分の更なる低減のため、簡単なRCローパス・フィルタ又は搬送周波数よりも高いコーナー周波数を持つ他のフィルタを、付加的又は代替的にセンサ105とピーク検出器106との間に挿入してもよい。
【0045】
図1の要素120を参照すると、105等の反応性センサは、一般に、温度全般にわたってある応答の変動を呈する。温度補償は、所望の度合いのセンサの正確さを提供するために必要とされることがある。図1において、温度検出器122は、コイル105近傍に置かれてデジタルの温度指示信号123をユニット120に供給する。代替実施形態において、信号123はアナログでもよい。温度補償は、相当数の方法で実行可能であり、検知素子の特質及びセンサ構造に非常に依存する。例えば、米国出願公開第2003/0173952号は、上述のような一定及び交流成分を持つ励起電流を受ける誘導性位置センサを開示する。起電圧(Va)の温度依存が、意図した検知範囲の全てとIdc及びIacの全ての期待された選択にわたってかなり線形で一定であるなら、その場合、線形補償回路を使用することができる。図3には、線形温度補償を提供するための簡単な回路が示される。線形温度依存オフセット電圧が、加算器301においてローパス・フィルタ108からの出力信号Vb(或いは、Vbは、随意のローパス・フィルタ108が使用されないなら該ピーク検出器からの出力信号に代えられる)に単に加算される。デジタル方式で定義されたパラメータVsh及びhの適切な選択で、ライン309上の起電圧Vcは、以下の式2毎の温度にわたって実質一定にすることができる:
Vc=Vb+Vsh・(1±h・T) 式2
図3において、デジタル表現310のセンサ温度は、周期的にレジスタ312内に書き込まれる。センサ関連傾斜要因hは、レジスタ314に格納される。デジタル乗算器315は、ライン316上にデジタル生成信号h・Tを生成する。デジタル表現のセンサ・オフセット値は、レジスタ322に格納される。基準電圧は、D/A変換器325のアナログ基準入力に供給される。対応するアナログ電圧Vshが該D/A変換器の出力ライン326に現れる。第2D/A変換器330は、アナログ電圧Vshをライン316上のh・T要因で乗算し、それによりライン336上にアナログ生成信号h・T・Vshを生成する。アナログ加算器340は、ライン326及び336上の信号を合計し、それによりライン342上にアナログ合計信号Vsh・(1±h・T)を生成する。続いて、加算器301は、上記で説明したように、Vbに加算する。複数のスイッチ容量DAC及び/又は複数のスイッチ容量加算器を、電力を一定に保つのに使用してもよい。複数のスイッチ容量DAC及び/又は複数のスイッチ容量加算器の実施方法の例としては、先に引用したUnbehauen及びCichockiのものを参照。
【0046】
他の多くの温度補償方法が、特定センサ105(図1)及び所望の正確さの要求に依存して、付加的又は代替的に使用されることがある。他の可能なものの中で、温度補償方法は、温度指示信号123に応じてセンサ励起信号を調整するステップであったり、及び/又は温度指示信号123に応じて複数の補正要因を挿入するためにEEPROMを基にした複数のルックアップ・テーブルを使用するものであったり、及び/又は温度指示信号123をメモリ・ユニット151に結合されるアドレス・ビットとして使用することによって検知範囲を多重個別線形部分に区分し各種係数を選択するものであったり、及び/又は温度指示信号123に応じて多項式補正関数を適用するものである。
【0047】
図1の130を参照すると、反応性センサ(即ち、105)は、通常、測定下の物理パラメータP(t)の線形変動に対して非線形応答の振る舞いを呈する。反応性センサは、測定下の物理パラメータP(t)の正確な測定を提供するために、利得及び/又はオフセットについて校正を必要とする応答の振る舞いを付加的又は代替的に呈することがある。本発明者等は、温度ドリフトに対する補償と切り離して、非直線性及び/又は校正誤差を補償することが、そうでなければ一の相関的要素から他への交差の影響が事柄を過度に複雑化し得るという理由により有利であることを見出した。なお、図1に示される複数のもの(120,130)よりもむしろ単一ステップの変換を使用することによって、検出されたセンサ応答信号Vbから対応する補正されたセンサ応答信号Veへの変換を提供することは、本明細書の深厚内にある。ユニット130内で行われる非直線性及び/又は校正誤差の補償に関して、一般にセンサの非線形な振る舞いに対して同時の校正及び補償を提供するための相当数のシステム及び方法が、上記引用の米国出願に開示されている。該出願は、Jose Marcos Laraia、Robert P.Moehrke、Jose G.Tavelraにより2004年5月13日に提出され、最初「集積化センサ・モジュール等用のPade’近似を基にした補償」と題される。上記引用の米国出願の明細書は、図1の利得/オフセット校正及び非直線性補償ユニット130を含むセンサ出力経路に対する校正を付与し、同経路の非直線性を補償するために利用されるように、ここに援用される。適したPade’近似係数信号が、係数プログラミング・ユニット150からマッピング・ユニット130に供給される。電圧出力信号Vdは、温度補償した電圧信号Vcに対する、校正及び一層線形化されたアナログ対応要素であることが了解される。温度補償ユニット120が随意省略されるなら、その場合、電圧出力信号Vdは、ピークを表す(また随意108によって濾波された)電圧信号Vbに対する、校正及び一層線形化されたアナログ対応要素であることが了解されるものである。また、温度補償ユニット120が随意省略されるなら、その場合、指摘されるように、単一ステップの変換で105のような誘導性センサの温度感度及び非直線性の双方に対して同時に補償することはしばしば困難であるが、非直線性補償ユニット130は、信号123をユニット130に結合することによって、上記引用の米国出願シリアル番号10/845681の明細書に従ってある温度補償を提供することができる。
【0048】
完全性のため、図4〜5は、上記引用の米国出願シリアル番号10/845681に開示される多くの変形の一実施形態500の働きを例示する。図4の電圧対パラメータ規模のグラフ401において、温度補償ブロック120から来る電圧信号VcはP(t)=x1からP(t)=x2のセンサ入力領域に対して非線形であることが分かる。また、所与のパラメータ入力値に対する電圧Vcの大きさ、即ちP(t)=x0は、個々の検知素子間の製造公差又は他の変動のためにセンサ毎に変わることがある。該問題は、領域x1〜x2内のVc(x)関数を別の関数Vd(x)にマッピングする場合に見られることがある。ここで、Vd(x)はxに対して線形であり、Vd(x)は、更に、検知された物理パラメータP(t)がx1及びx2に等しいとき、それぞれ少なくとも校正された値v1及びv2を表す。本発明の一の方法によれば、該問題は、例えば、図4に示されるようにx1とx2とのほぼ中間に第3の校正点x0を導入することによって、算術的に解決される。このことは、3つの式と3つの未知数がある状況を創出する。該3つの未知数(Pade’近似係数信号)について簡単に述べる。該未知数は、物理パラメータ軸(X)上のx1、x2及びx0校正点、これら校正点で生成される対応Vc電圧、即ちそれぞれVi1、Vi2及びVi0、及びそれら校正点に対して生成されるべき対応Vd電圧、即ちそれぞれV1、V2及びV0である。
【0049】
Vdを1次Pade’近似の手法(式3)に従って表すことができるのを、図5に簡単に示す:
Vd=(a・Vc+b)/(c・Vc+1) 式3
3つの共に関連付けられるVc及びVdの例は、P(t)=x1,x2及びx0での対応する3つの校正計量から知得されるので、3つの係数a、b及びcは、式4に示される3つの線形式及び3つの変数にクレイマーの公式を適用することによって決定することができる。
【0050】
【数3】
【0051】
図5の回路手段500は、プログラム方式で決定されたオフセット電圧voffを、G・(1−kvf・Vd)に等しいプログラム自在の利得を持つ可変利得増幅器521の出力信号512に加える。ここで、G及びkvfの大きさもまた、プログラム自在に決定される。Vcは、増幅器521の高インピーダンス入力端子511に印加される入力電圧信号である。デジタル−アナログ変換器(DAC)535は、レジスタ545からのデジタルkvf信号及びフィードバック経路515経由のアナログ出力信号Vdを受ける。応じて、DAC535は、A・kvf・Vdを示す大きさのアナログ電圧信号をライン518上に出力する。ここで、Aは増幅器521と関連する電圧−利得変換要因である。ライン518上の電圧信号は、該増幅器の利得をG・(1−kvf・Vd)のように定めるために、ライン517上の電圧信号(A・G)から引かれる。一実施形態において、DAC535は、スイッチされる組の複数の容量性電圧スプリッタ(これらは、それぞれ電力を一定に保つようにライン515から電荷を得てライン518上に減衰電圧を放電する)として形成されるプログラマブル減衰器である。複数のスイッチ容量DAC及び/又は複数のスイッチ容量加算器は、電力を一定に保つように、該回路中のどこで使用してもよい。
【0052】
更に図5を参照すると、レジスタ547は、デジタル表現のベース利得値Gを格納する一方、DAC537は、ライン517上にA・Gを表す電圧信号を生成する。レジスタ542は、デジタル表現のオフセット電圧voffを格納する一方、DAC532は、対応する電圧信号を生成し、これを電圧合計ユニット522の一の入力端子に印加する。電圧合計ユニット522の第2入力端子512は、増幅器521の出力電圧を受ける。以下の変換関数が実現される(式5):
Vd=G・(1−kvf・Vd)・Vc+Voff 式5
期間をシフトすることによって、以下の式6を実現することができる。
【0053】
Vd=(G・Vc+voff)/(G・kvf・Vc+1) 式6
従って、式3は、以下の式7a〜7cの代入によって再生することができる。
【0054】
a=G
b=voff
c=G・kvf 式7a〜7c
一個の所与のセンサ(例えば、105)の補償及び校正用の全係数は、図1のユニット150内に示されるような適したデジタル・プログラミング・インタフェース152を通じて、PROM、EPROM、EEPROM又はフラッシュ等のプログラム自在又は再プログラム自在の不揮発性メモリ151に格納することができる。センサ・モジュール100が電源投入される度に、プログラム自在に確定された複数の係数が、メモリ151からそれぞれのレジスタにダウンロードされて、複数のD/A変換器を制御しそして所望の結果を再生することができる。
【0055】
温度補償ユニット120は、非直線性補償ユニット130がユニット120の出力を受けるように、ユニット130の上流に置かれて示されるが、その順序を換えてユニット120をユニット130の下流に置くことは、本発明の深厚内にある。ユニット120及び130のプログラム自在の複数の係数は、フィルタ108の出力電圧Vbから、直ぐ説明する出力インタフェース・ユニット140の誤差補正及び校正した出力電圧Veへの適したマッピングを提供するように変更可能である。
【0056】
一実施形態において、アナログ及びデジタル出力インタフェース140及び150の一方又は両方は、センサ・モジュール100を外界と通信させるために設けられる。アナログ・インタフェース140は、相対的に良好な正確さを持つ検知された物理パラメータP(t)を表すように、アナログ電圧信号Veを出力することができる。補償ユニット130は、まさにVd信号よりもむしろVe電圧信号に線形化補償を付与することができる。それ故、ユニット120及び130の補償の組合せは、特定センサ105と、センサ105及び出力端子141間の特定電子経路と連携する温度及び非線形特性を本質的に排除して、本質的にまさに検知された物理パラメータP(t)の代表であるVe電圧信号を生成する。ブロック140及び/又は150によって設けられる入力/出力インタフェースは、アナログ又はデジタルでもよく、1又はそれ以上の出力を持ってもよい。複数のアナログ・インタフェースは、電圧信号、電流信号、又は時間を基にした形式(パルス幅変調:PWM)、又は周波数を基にした形式に従って動作してもよい。ここで、その表現される出力パラメータは、検知された物理変数P(t)の線形関数である。複数のデジタル・インタフェースは、I2C、SPI、LINトランシーバ、CANトランシーバ等の標準バス・インタフェースの何れでもよい。デジタル・インタフェース152は、ユニット140のデジタル出力信号142を適した形式(フォーマット)に変換する。ある表現方法のデジタル出力信号142は、ユニット152からセンサ・モジュール・パッケージ101の外に突出するシリアル及び双方向データ端子上に現れてもよく、対応するシリアル・クロック信号は、別のそのような端子によって伝達される。センサ・モジュール・パッケージ101の外に突出するように設けられる複数の追加端子は、電力及びグランド電圧を供給するための図解したVcc及びGND端子を含んでもよい。
【0057】
信号調節回路(120,130)によって提供される温度及び/又は非直線性補償及び校正は、センサの非理想的性質及び/又は温度ドリフトだけでなく、該モジュールの電気回路の構成部分によって導入されるであろうそれら、即ちユニット106、108、110及び/又は140のそれらをも補正することができるということは特筆されるべきものである。言い換えれば、センサ・モジュール100中の幾つかのユニットが、温度に応じてそれぞれの度合いの非直線性又は変動を与えるなら、それらに対する補正を、センサの非理想的性質に対する補正と共に「束ねる」ことができる。120及び130のような複数のユニットの不完全さは、メモリ・ユニット151の適した複数係数の選択及び格納によって「自己補正」することができる。従って、ユニット106、108、110、140、120及び/又は130の電気回路の構成部分が、比較的低い性能品質のようであったとしても、該自己補正特徴部がこれを補償し、それにより概して自己補正しない従来技術の信号調節解決策よりも良い総合的な正確さを持つより低価格なシステムを提供する。
【0058】
図6を参照すると、多重コイルを持つ相互インダクタンス・センサ605を含む第2実施形態600が示されている。この場合、励起信号が、正弦波状電圧信号Vsineとしてセンサ605の1次コイルに印加され、パラメータ依存のセンサ出力信号Vaが2次コイルに生成される。1次励起信号Vsineに対するセンサ出力信号Vaの割合を、測定している物理パラメータP(t)の関数とすることができる。ユニット611は、この場合、基準電圧でもよいが、DAC614は、該波形カウンタのデジタル出力信号を、対応する電圧信号Vsineに変換する。1次励起信号Vsineは、もちろん擬似正弦波状又は三角又はのこぎり歯又は台形を含む何れかの適した周期的な電圧信号が可能である。図6の残りの処理ブロックは、図1の実施形態における対応するものと実質同じにしてもよい。
【0059】
図7を参照すると、容量性センサ705を含む第3実施形態700が示されている。ほかの点では、該回路構成は、図1の実施形態において記述されたものと実質同じである。センサ705は、応じて該励起電流信号を、測定している物理パラメータP(t)の関数である電圧信号Vaに変換する。
【0060】
図8及び9を参照すると、センサ905は、コア材が中心位置X0にあるとき、少なくとも1つのゼロ電圧出力Vs=0を生成するLVDT型構造を含むことができる。中心のゼロからいずれか一方の方向に該コア材が動くと、Vsの位相がその方向を逆にとることで変化する状態でであるが、2次巻線信号Vsを相対的に対称的な具合で増大させる。そのような場合、1次励起信号Vpに関連するVsの位相を決定することが望ましいことがある。より一般的に言えば、ゼロを生成する反応性センサは、信号取消しの使用を通して、測定されるべきパラメータP(t)の複数の規定値で1又はそれ以上のゼロ出力を出すように構成されてもよい。該ゼロ生成反応性センサが対応するゼロのどちら側で動作しているかを決定することは該して望ましい。そのようなものとして、該ゼロ生成反応性センサが対応するゼロのどちら側で動作しているかを決定するための適したゼロ側決定手段を通例設けることは、本明細書の深厚内にある。該ゼロ側決定手段の特定動作は、対応するゼロ及びゼロ生成反応性センサの特異性に依存するものである。
【0061】
図9は、LVDT型905のゼロ生成反応性センサとの使用に適している第4実施形態900を示す。ここで、ゼロの側は、1次及び2次電圧間の位相の関係によって確認可能である。位相検出器909は、両1次及び2次電圧Vp及びVsに結合されるので、該センサ・コアがゼロのどちら側にあるかについて決定をすることができる。幾つかの場合、ゼロ点の各側に対するLVDT出力は異なり、異なる線形補正関数は、ゼロから出る各側への各種校正点と同様に要求されることがある。一実施形態において、LVDT校正及び/又は温度補償用の複数の係数は、用途の要件に依存しつつ線形又は非線形応答出力を与えるように、中心のゼロから各方向へ独立に決定される。2つの独立した(そして通常異なる)組の複数の係数が、決定されてメモリ951に格納された後、位相検出器909からの出力信号991は、独立した複数の係数組のどの一つを各場合に使用すべきかを決定するためのメモリ・アドレス・ビットとして使用可能である。
【0062】
図10を参照すると、LVDTは、通常、1次及び2次電圧信号(Vp及びVs)間としての比較的小さな位相シフト、もっと小さくても可能であるが公称動作周波数でしばしば約10°〜15°を呈する。また、LVDT2次巻線は、通常、直列対向構成でともに繋がれ、それら信号が、可動コア材がゼロのどちら側に位置するかに依存しつつ、180°位相を外れ、異なる大きさになる。その直列生成される2次出力電圧信号Vsは、LVDT型センサがゼロのどちら側で動作しているかに依存しつつ、1次電圧信号Vpと180°異相になるように接近可能であるか、或いは1次電圧信号Vpと同相になるように接近可能である。これら特性は、LVDTの2次信号が1次信号とほぼ同相か異相かを決定するために、図10の位相検出回路1010によって使用されてもよい。この方法で、LVDTコアが中心のゼロ点に対してどちら側にあるかを決定することができる。図解のLVDT位相検出器1010は、コイルDC基準電圧(コイル・グランド)に関連するこれら信号の重なりを比較する1次及び2次電圧信号(Vp及びVs)用のゼロ・クロス比較器を含む。より詳しくは、増幅器1011及び1012は、高入力インピーダンスを持ち、Vp及びVs信号からそれぞれ増幅信号P及びSを生成する。一実施形態において、P及びSは、1020及び1030の電圧対時間グラフに示されるように、本質的にデジタル信号を形成するように飽和する。排他的ORゲート1015は、1020及び1030に示されるように、対応するXOR出力信号Eを生成する。該E信号は、通常パルス列として形成され、該周波数は、入力信号のそれの2倍であり、該パルス幅は、Vp及びVs信号のゼロ・クロス間の遅延に等しい。ローパス・フィルタ1016は、狭小Eの複数のパルスを、予め決められたしきい値Vdd/2、即ち供給電圧の半分より高いか低いいずれかのおおよそDCの電圧レベルFに変換する。比較器1017は、該F信号を、デジタル方式で飽和した論理ロー又は論理ハイに変換し、それにより、該コア材がゼロの一の側か他のどちらにあるかを指示する。1又はそれ以上の比較器1011、1012及び1017は、予め決められた量のヒステリシスを内蔵し、ゼロ近くで起こる「チャタリング」を防いでもよい。XORゲート1015は、ノイズ信号で起こる「チャタリング」を防止するように、あるヒステリシスを内蔵してもよい。
【0063】
比較器1017のO出力信号は、幾つかの方法の一つにおいて使用されてもよい。一実施形態において、二組の複数の係数から1つが、位相検出出力に従って、温度及び/又は非直線性補償回路(例えば、図1の120,130)にオンザフライでダウンロードされる。一代替実施形態において、複数の校正回路が、それ自身の組の複数係数で一つそれぞれ設けられる。アナログ・マルチプレクサは、位相検出器出力信号1019に応じて、温度及び/又は非直線性補償を与えるための複数回路の一つを選択する。前者の方法は、より簡単であるが、中心のゼロを通過する遷移の間に出力スパイクを発生することがある。後者の方法は、それらスパイクが出力インタフェースによって十分にフィルタ除去されないときにより望ましいかもしれない。
【0064】
図11を参照すると、本明細書の各センサ・モジュールに使用することができる別のPade’近似補償回路1100の概要図が提供される。デジタル信号を運ぶラインは、図11においてそれらラインを貫いて伸びる斜線によって示される。従って、A/D変換器1112に入るアナログ入力信号1111(Vin)及びD/A変換器1140を出るアナログ出力信号1141(Vout)以外、本質的に全ての他の信号はデジタルである。デジタル乗算器1121は、図5における増幅器521によって実行されるアナログ動作に対応する部分をデジタルで実行する。合計ユニット1122は、同様に、図5におけるユニット522によって実行されるアナログ合計動作に対応する部分をデジタルで実行する。デジタル乗算器1145は、図5におけるD/Aユニット535によって実行されるアナログ動作に対応する部分をデジタルで実行する。デジタル・ユニット1121及び1122は、それぞれデジタル表現のG及びVoff値をレジスタ1147及び1142から直接受け取ることができるので、図5のD/A変換器537及び532に対応する部分は、図11においては不要である。デジタル出力信号1115は、該センサ・モジュールのシリアル出力リンク(図11では不図示)経由の出力用にシリアル形式に変換されてもよい。
【0065】
これまで述べた典型的な各実施形態に幾つかの変形を加えることができる。一の利用者プログラム自在の実施形態において、図1及び9の組み合わされた構成を持つモノリシック集積回路が設けられる。ここで、波形発生器110/910は、電流発生モードと電圧発生モードとの間でプログラム自在に切替え可能であり、チップ内位相検出器909の使用は、使用されているセンサの種類(LVDT型905又はより簡単な相互インダクタンス型605又は更により簡単な単一コイル型105)に依存しつつプログラム自在にスイッチ・オン又はオフされてもよい。従って、本発明は、単一のモノリシック集積回路を提供し、該回路は、多くの種々の型の反応性センサと使用するために利用者プログラム自在であり、センサ応答の非直線性、温度変動に対する補償、及び標準化された物理パラメータ設定と関連するモジュール出力関数の校正を提供する。単一コイル(105)及び水晶基準タイミング(115)を持つ簡単及び低価格の組合せの単一ICは、コンパクトなハウジング(101)に収容され、所与の物理パラメータP(t)の非常に正確な測定を与えることができる。もちろん、そのような複数のセンサの複数のものを同じハウジングに収容し、対応する複数のそのようなセンサ支援IC、及び/又は複数のセンサと共通のシリアル・データ・バスを持つインタフェースとを支援するICを提供することは、本発明の深厚内にある。例えば、一のコイルは、x方向における変位を検知するように向けられてもよく、別のコイルは、直交、即ちy方向の変位を検知するように向けられてもよい。本発明は、例えば自動車の磁性可動部品近傍の複数の組込みシステムに適しており、そのような複数部品の角度又は他の変位を正確に計測することができる。
【0066】
本明細書は、特許請求の範囲の主要事項の範囲、本質又は精神を制限するというよりもむしろ例示として受け取られるべきものである。数多の修正及び変形は、本明細書を検討した後、当業者にとって明らかとなり、ここに記述された複数要素についての同等機能及び/又は構造の代替の使用、ここに記述された連結についての同等機能の連結の使用、及び/又はここに記述された複数ステップについての同等機能の複数ステップの使用を含む。そのような僅かな変形は、ここで熟考されたものの範囲内と思料されるものである。その上、複数の特定手段又は複数のステップに付与される複数の例、及びそのような所与の例の間及び/又は越える外挿が、本明細書を考慮して明白であれば、その場合、本明細書は、少なくともそのような外挿を効果的に開示し、従ってカバーすると思料されるものである。
【0067】
そうではなくここに明白に言及されなかったとすれば、通常の用語は、それら表現のそれぞれの文脈内でのそれらの対応する通常の意味を持ち、通常の技術用語は、相当する専門技術内及びここにおけるそれら表現のそれぞれの文脈内でのそれら対応する通常の意味を持つ。
【0068】
一般的な概念及び各特定実施形態の上記明細書が与えられれば、求められる保護の範囲は、ここに添付された特許請求の範囲によって定められるべきものであるが、開示された特許請求の範囲は、米国特許法第120条及び/又は米国特許法第251条に従って提出されたそれらを含む1又はそれ以上の更なる出願でまだ文字通り請求されない主要事項を除いて、出願人の権利を開示された特許請求の範囲に制限するように受け取られるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
上記詳細な説明の欄は、添付図面の言及をなす。
【図1】センサ・モジュールのブロック図であり、それは、一実施形態においてセンサ・コイル、モノリシック集積回路及び水晶発振器が搭載される印刷回路板を含む。
【図2】図1の反応性センサを励起するのに使用される擬似正弦波状の不連続波形を示す電流対クロック・サイクルのグラフである。
【図3】図1のセンサ・モジュールに使用されることがある線形温度補償回路の概要図である。
【図4】非線形及び未校正のセンサ応答曲線の校正及び線形化応答曲線へのマッピングを示す概要である。
【図5】図1のセンサ・モジュールに使用されることがある1次Pade’近似補償回路の概要である。
【図6】可変相互インダクタンスを持つ反応性センサが使用される別のセンサ・モジュールの概要である。
【図7】可変容量を持つ反応性センサが使用される別のセンサ・モジュールの概要である。
【図8】個々に異なる反応領域を持つセンサを表す第1グラフから、同じ物理入力パラメータ(x)に対応する線形化及び校正された出力信号を表す第2グラフへのマッピングを示す。
【図9】LVDT型の反応性センサが使用される別のセンサ・モジュールの概要である。
【図10】図9のセンサ・モジュールに使用されることがある位相検出器の概要図である。
【図11】本明細書のセンサ・モジュールに使用されることがある別のPade’近似補償回路の概要である。
【符号の説明】
【0070】
100 センサ・モジュール
101 保護用ハウジング
102 可動磁気コア材
105 可変磁気抵抗センサ
106 ピーク検出器
107 キャパシタ
108 ローパス・フィルタ
110 電流波形発生器
120 温度補償ユニット
122 温度検出器
130 利得/オフセット校正及び非直線性補償ユニット
140 出力インタフェース・ユニット
150 係数プログラミング・ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、アナログ変換の非直線性及び/又は温度ドリフトを補償する電子システムに関連する。
【0002】
より具体的には、本発明は、集積センサ・モジュールに関連し、そこでは変換器が電子補償回路等の補償手段と共に収容され、そして該変換器はインダクタ又はキャパシタ等の反応性構成要素を含んでいる。
【背景技術】
【0003】
(関連参考特許)
以下の米国特許明細書はここに援用される:
(A)米国特許第619829号明細書(Ivanov,「ブリッジ・センサ線形化回路及び方法」,2001年3月6日);
(B)米国特許第5902925号明細書(Crispie他,「温度でのオフセット及び感度変動に対するセンサの高正確校正用システム及び方法」,1999年5月11日);
(C)米国特許第5848383号明細書(Yunus,「温度でのセンサの非線形オフセット及び感度変動に対する精密補償用のシステム及び方法」,1998年12月8日);
(D)米国特許第5764067号明細書(Rastegar,「低価格、高正確アナログ回路を使用するセンサ信号調節用方法及び装置,1998年6月9日」);
(E)米国特許第5686826号明細書(Kurtz他,「半導体変換器構造用の周囲温度補償」,1997年11月11日);
(F)米国特許第5122756号明細書(Nelson,「検知ブリッジ回路出力の線形化」,1992年6月16日);
(G)米国特許第4419620号明細書(Kurtz他,「半導体圧力変換器用の線形化回路」,1983年12月6日);
(H)米国特許第4362060号明細書(Okayama他,「変位変換器」,1982年12月7日);
(I)米国特許第5798692号明細書(Crispie他,「センサの校正用のデジタル補償回路」,1998年8月25日);
(J)米国特許第5995033号明細書(Roeckner他,「合体ADC/DACを含む信号調節回路、センサ・システム及びそのための方法」,1999年11月30日);
(K)米国特許第6104231号明細書(Kirkpatrick II,「ホール効果素子用の温度補償回路」,2000年8月15日);
(L)米国特許第4591795号明細書(McCorkle,「L/R VDTセンサ用の信号調節回路」,1986年5月27日);
(M)米国特許第4599560号明細書(Sanford他,「安定化された位相感度復調回路を持つAC励起変換器」,1986年7月8日);
(N)米国特許第4651130号明細書(Pennell,「多重コイル誘導性変位センサとの使用に対して位相情報を保持するための装置及び方法」,1987年3月17日);
(O)米国特許第4847548号明細書(Lafler,「線形可変差動トランス用の信号調節器,1989年7月11日」);
(P)米国特許第4857919号明細書(Braswell,「可変差動トランスのコア材の位置を指示するための方法及び装置」,1989年8月15日);
(Q)米国特許第4954776号明細書(Husher,「コア変位と線形に変化する電流と同期する電圧成分を利用する線形変位変換器」,1990年9月4日);
(R)米国特許第5327030号明細書(DeVito他,「復号器及びこれを組み込むモノリシック集積回路」,1994年7月5日);
(S)米国特許第5399964号明細書(Zoller,「同期位置復調器に使用するためのピーク振幅検出器」,1995年3月21日);
(T)米国特許第5477473号明細書(Mandl他,「センサ駆動及び信号処理方法」,1995年12月19日);
(U)米国特許第5717331号明細書(Deller他,「位置情報を与える変位センサとの使用のための復調回路」,1998年2月10日);
(V)米国特許第5777468号明細書(Maher,「改善された温度安定性及びセンサ欠陥検出装置を提供する可変差動トランス・システム及び方法」,1998年7月7日);及び
(W)米国特許第5594388号明細書(O’Shaughnessy他,「自己校正RC発振器」,1997年1月14日)。
【0004】
(関連参考特許出願)
以下の米国特許出願明細書はここに援用される:
(a)第2003/0173952号(Niwa,Masahisa,「位置センサ」,2003年9月18日);及び
(b)シリアル番号10/845681(Jose Marcos Laraia,Robert P.Moehrke,Jose G.Taveira,「集積化センサ・モジュール等用のPade’近似を基にした補償」,2004年5月13日,この出願の共同譲受人の一により所有)。
【0005】
(関連非特許文献)
以下の文献は参照のためここに引用される:
(a)ウルフラム・リサーチ数学ワールドWebサイト:
<http://mathworld.wolfram.com/PadeApproximant.thml>;
(b)Baker,G.A.Jr及びGraves−Morris,P.Pade’近似,ニューヨーク,ケンブリッジ大学出版,1996年);
(c)Yoshii他,「MCU、A/D変換器、D/A変換器、デジタル通信ポート、信号調節回路及び温度センサを持つワンチップ集積ソフトウエア校正CMOS圧力センサ」,シカゴ,半導体センサ及び駆動装置に関する1997年国際会議会報,1997年6月16〜19日,p.1485〜1488;
(d)Mnif,K.,「補償はアナログ圧力センサの用途への適合に極めて重要である」,ISD雑誌,2001年7月;
(e)Travis,B.,「スマート調節器はセンサ誤差を抹消する」,EDN雑誌,2001年2月;
(f)McGonigal,J.,「信号調節」,センサ雑誌,2003年9月;
(g)Harrold,S.,「プログラマブル・アナログIC」,センサ雑誌,2003年4月;
(h)Dunbar及びAllen,「性能は集積化と共に進展する」,EEタイムズ,2003年10月7日;
(i)Pallas−Areny及びWebster−センサ及び信号調節,第2版,ジョン・ウィリー&ソンズ,ニューヨーク,2001年,p.207〜327;
(j)Yassa及びGarverick,「LVDT/RVDT位置センサ用のマルチチャネル・デジタル復調器」,IEEE J.半導体回路,1990年4月,第25巻,第2号,p.441〜450;
(k)Crescini他,「FFTを基にしたアルゴリズムのLVDT位置センサの信号処理への応用」,IEEE変換計器測定,1998年10月,第47巻,第5号,p.1119〜1123;
(l)Ford他,「新DSPを基にしたLVDT信号調節器」,IEEE変換計器測定,1998年10月,第50巻,第3号,p.768〜773;
(m)アプリケーション・ノートAD598,LVDT信号調節器,アナログ・デヴァイシィズ,改訂A,[日付無し];
(n)アプリケーション・ノートAD698,ユニヴァーサルLVDT信号調節器,アナログ・デヴァイシィズ,改訂B,1995年;
(o)Rahim,多方面にわたる用途においてNE5521信号調節器を使うこと,アプリケーション・ノートAN1182,フィリップス・セミコンダクタ,1988年12月;
(p)Unbehauen及びCichocki,「MOSスイッチ・キャパシタ及び連続時間集積回路及びシステム」,ベルリン ハイデルベルク,シュプリンガァ出版,1989年。
【0006】
(関連技術の説明)
1又はそれ以上の多量の物理パラメータ、例えば、位置、角度、速さ、加速度、温度、圧力、力、ひずみ、明るさ、及び流体流量を、正確に検知することはしばしば望ましい。科学技術の向上により、時おり1個の半導体基板上に最小化されて集積化された電気機械システム(MEM)との使用ですら、それらパラメータの幾つかをかなり正確に測定して電気的に伝えることができるようになってきている。単複の検知素子が、集積化されるよりもむしろ別個独立で成る場合でも、それらは、しばしば便宜上センサ・モジュール内に収容され、該モジュールは、個別回路及び/又は信号調節を与えるためのモノリシックIC及び/又は他のセンサ支援機能及び/又は通信支援機能を更に含む。適用分野には、自動車、医療、航空宇宙産業及びファクトリー・オートメーションが含まれることがある。
【0007】
LVDT(線形可変差動トランス)等のより古い設計の各センサは、通常、完全に自己の上で比較的正確な測定を提供するように設計される。価格及び寸法は問題ではない。しかし、自動車等の種々のモデム応用領域において、特にセンサが、運搬手段や他の機構周りのあらゆるところに組み込まれて、該機構をより素早く動作させるべくシリアル・データ・チャネルに結合されるとき、寸法、重量、価格、消費電力及びセンサの周辺能力が、非常に重要な課題になることがある。小さくて正確で、信頼性があり、自動車や他の機構の他の部分とのインタフェースが容易であり、そして厳しい環境で動作することを可能にする低価格センサ・モジュールを提供することは、非常に望ましいことである。適当なセンサを検索すると、異なる物理的ないし電気的原理に基づく広範な種々の検知素子に行き当たり、それぞれは、その独自の特定用途及び環境に最適化されている。その各種センサの特殊性が問題をもたらす。特に、センサの一のクラスは、適切に動作するためにAC励起を必要とする。AC励起は、センサの動作点を所望の状態(例えば、規定動作温度)にシフトするために、DC電圧又は電流による追加の励起と組み合わされることがある。適した支援をそのようなAC励起センサに与えることが問題となり得る。
【0008】
各電気センサは、抵抗性(R)、誘導性(L)及び容量性(C)の主要動作の3つの大きなファミリーに属するように広く分類されることがある。もちろん、RLCの機能性の各種組合せが、所与のセンサに存在することがある。(上記Pallas−Areny及びWebsterによる引用文献参照。)
本明細書は、動作用にAC励起を要する各センサに注力する。これらは、通常、本質的に全て抵抗性(R)ベースというよりもむしろ誘導性(L)及び/又は容量性(C)ベースで作動する。
【0009】
誘導性センサは、限定されないが可変磁気抵抗及び/又はうず電流の生成を含む、多くの各種電磁気特性に基づく検知機能を提供することができる。各誘導性センサは、それらが有する線形移動部品、回転移動部品及び非移動部品を含むことがある。例として、線形及び回転差動トランス(LVDT/RVDT)が含まれる。誘導性センサは、変位、位置及び角度、又は位置若しくは角度に対応するものに都合よく変換し得る他の物理パラメータを、都合よく検知するように構成されることがある。そのような他の物理パラメータの例としては、圧力、重量、力、トルク、加速度及び流体速度が含まれる。
【0010】
容量性センサは、通常、キャパシタのプレートとしての役目を荷う2つ又はそれ以上の導体間に起こる容量変化に依拠する。可変容量の原因は、プレート領域の変化、プレート分離の変化、及び/又はプレート間の誘電体材の変化のためであるかもしれない。容量性センサは、接近検出、小変位の測定、圧力及び加速度の検出等のあるセンサ用途に有用である。
【0011】
誘導性及び/又は容量性のものを含む多くの検知素子は、ともかく外部手段によって支持されたり、補償されたり、或いは包囲されたりすることを要する独自の要件及び制約を与える。例えば、適切に動作するため、たいていの誘導性及び/又は容量性センサは、検知されている物理特性から収集され得るエネルギーに加えて、適したAC励起源を必要とする。しばしば、所与の物理特性(例えば、力、変位、速さ、加速度、温度、又は検出及び/又は測定され得る何れかの他の物理パラメータ)に応じて誘導性及び/又は容量性センサによって発生される電気又は他の出力信号は、比較的弱く、ひずんだりし、或いはセンサの出力信号に依拠する電子又は他の制御システムと直接インタフェースをとるのに全く適さない。そのようなものにおいては、信号増幅及びひずみ除去がしばしば望まれる。利用される増幅器及び/又はセンサ自体は、標準的に、利得の変動及びそれらの製造工程における不安原因によるオフセット誤差を持つ。従って、これらの構成要素は、通常、個別に校正されなければならない。多くの検知素子は、検知される単複のパラメータに関係のある理想的でない応答性を示す。理想的でない応答性は、種々の温度にわたる応答の変動によって、及び/又は測定される物理パラメータの線形変化に対する非線形応答によって、問題として引き起こされることがある。各種用途は、程度に違いこそあれこれら理想的でない応答の振る舞いの補正を必要とすることがある。通常、「信号調節回路」と呼ばれる適した電子回路は、しばしばこれらの要件を処理するために使用され、通例、センサ・パッケージの集積部分に作られる。両検知素子及び信号調節回路は、通例、単一の周囲密閉されたセンサ・モジュール又は単に集積化センサとして知られる物理ユニットに詰められる。センサ信号調節及び利用可能な解決方法に関する更なる説明は、上記引用のMnif、Travis及びMcGonigalによる論説に見出すことができる。
【0012】
非常に多くの信号調節の解決策が全抵抗性型センサ用に開発されているが(例えば、抵抗ブリッジ網)、幾らかは、誘導性(L)及び/又は容量性(C)型に利用可能である。問題部分は、AC励起信号がセンサの振る舞いを変え得るということである。3つの商用集積回路、AD598、AD698(ともにアナログ・デヴァイシィズから)及びNE5521(フィリップス・セミコンダクタ)が利用可能であることが知られ、それら全てはLVDT及びRVDTに専念される。簡単のため、LVDTのみが参照されるが、LVDT信号調節器は一般にRVDTにも使用可能であることが了解されるものである。それらAC励起信号の変動又は次から次のLVDTの製造変動と関係ない比較的正確な測定を提供するように、LVDTがしばしば設計される点で、LVDTは、一般的な誘導性(L)及び/又は容量性(C)型センサと異なる。それ故、LVDTの信号調節の必要性は、一般に、他の種類の反応性センサのそれらよりも要求度がより少ない。
【0013】
LVDT信号調節をするのに3つの従来方法がある。第1のものは、古典的なDSBSC(両側波帯抑圧搬送波)AM同期復調技術を使用する。両AD698及びNE5521チップは、この方法を使用する。検知情報の正確な復元を保証し、COS(φ)誤差(Crescini他参照)を避けるために、1次及び2次コイルの波形を同位相に保つ必要がある。DSBSC・AM同期復調技術は、位相進/遅網における調整自在の電位差計の使用を位相調整にもたらす。大量生産環境で各電位差計を調整することは、冗長で費用が嵩み、また誤り易い作業である。工場で適切に為されたときでも、位相整合がその分野のセンサの温度動作範囲の全てに及ぶという保証はない。
【0014】
第2の方法は、AD598チップで使用され、代わりに非同期比を基にした方法を使用することによって電位差計の調整の問題を回避する。検知情報は、LVDTの複数の2次コイルの信号の差と合計との間の商を計算することで復元される。計算回路は、割合高価格で販売されるかなり複雑な製品となる(Ford他参照)。しかも、AD598チップは、2次コイル間にセンタ・タップを持つ5線のLVDTのみと動作する。それは、機構的により簡単な4線のLVDTと使用することができない。また、達成されるべき直線性及び良好な正確さについて、2次の信号の合計は、LVDTコア位置と無関係でなければならないが、一般にLVT製造者によって保証されない。これら全ての理由は、この第2の方法の適用の範囲を厳しく制限する。
【0015】
第3の方法は、デジタル信号処理(DSP)を利用する数種の設計技術を伴う。(上記引用した)Yassa及びGarverickは、予想技術に基づいて適応的AM復調アルゴリズムを用いるモノリシック5チャネル多重チャネル・デジタル復調器を提供する。各チャネルは、1次シグマ−デルタ・アナログ−デジタル変換器(ADC)及び32ビット・ワード長の専用デジタル復調器を有する。(上記引用した)Crescini他は、周波数領域でデータを処理してcos(φ)誤差を避けることにより、これを改善する。それらはデジタル・アルゴリズムを使用し、これは、50MHzで動作する商用DSP、及びアナログ・インタフェース回路を成す14ビットDAC、後続する複数のフィルタ及び14ビットADCを持つボード上で実行される。最後に、(上記引用した)Ford他は、A/D及びD/A変換器によってインタフェースされた商用DSPを持つ修正DSPベースCostasレシーバーを提供することによって、前解決策の動的振る舞いを改善する。性能の種々の特徴を改善するが、第3の方法のこれらDSPの解決策は、複雑であり高価である。それらは、価格に影響され易いLVDT用途に使用することができない。
【0016】
LVDT又はRVDTに専念される上記3つの方法の他に、(LVDTでない)誘導性及び容量性センサの他の型に信号調節を付与するための商業的に標準の完全に統一された解決策は無いと思料される。従って、非常に大多数の反応性センサの利用者は、とにかく信号調節をしようとするなら、自分専用の信号調節回路の開発を任されるところ、その専用信号処理回路は、比較的多くの構成要素を持ち、値が高く、嵩張る傾向があり、より多くの電力を消費する。
【0017】
幾つかの従来の信号調節回路は、一般にセンサ出力に対して良好な固有の直線性及び正確さを達成することに集中する。それらは、個々の検知素子の特性に校正を施すことや、センサの温度変動を補償することを、同時に試みることはない。高いセンサの正確さが広い温度範囲にわたって要求されるとき、補正及び校正機能は、しばしば1つというよりは複数の専用回路によって実行される必要がある。このことは、モジュール寸法、価格及び消費電力全般を増大させる。個別センサの特異性に順応する統括的方法及び一層の小型化に対する要求が、当分野の生産業に存在する。
【発明の開示】
【0018】
反応性センサは、通常、励起信号(例えば、正弦波状の発振信号)及び測定下の物理パラメータ(例えば、磁気コア材の位置)の組合せに非線形応答を呈する。そのようなセンサは、通常、温度変動に敏感である。反応性センサの振る舞いで決まる温度及び/又は非線形を補償するためのものであって、測定下の物理パラメータ(例えば、位置)の既知の複数の標本に関連する複数の事後補償出力信号を同時に校正するためのシステム及び方法を開示する。
【0019】
本発明の各実施形態の一のクラスは、少なくとも反応性センサの部分(例えば、可変磁気抵抗インダクタのコイル部分)と、モノリシック集積回路と、基準タイミング(例えば、水晶発振器)とを収容するセンサ・モジュール・ハウジングを含む。該集積回路は、基準電圧と、該基準電圧及び該基準タイミングの使用から同期されるセンサ励起信号を発生するための波形発生器と、測定下の物理パラメータ及び該励起信号の組合せへの該センサの応答を検出するための検出器と、温度補償ユニットと、Pade’近似を基にした非直線性補償ユニットとを含む。該温度補償ユニット及び該Pade’近似非直線性補償ユニットは、デジタル方式でプログラムされた複数の係数の使用によって調整される。該複数の係数は、該センサ・モジュールの出力信号を校正するとともに、該センサ・モジュール出力信号及び該センサ間の信号経路と該センサの双方における温度感度及び非直線性を補償する。該センサ及び補償回路の各々が比較的簡単、小型で価格が低くても、該測定下の物理パラメータの高い正確さの測定を可能とする。
【0020】
上記の例から了解されるであろう本願発明が提供する解決策では、比較的簡単で低価格の反応性センサ(例えば、簡単なコイル及び可動コア材)が、プログラム方式で調整される補償回路との組合せで使用可能であり、それにより正確で価格が低く小型であるという組合せを提供する。該センサは、比較的不正確で、単独時に温度変動を受け易い特徴があるが、該センサ及び補償回路の組合せは、比較的正確に、そして温度変化の影響を受けないようにすることができる。本発明は、非直線性及び温度の補償方法と、AC励起源並びに個別化された出力補正を要する反応性センサと使用可能な対応構造とを提供する。本発明による構造は、個々のセンサの特異性に順応するようにプログラム方式で調整自在とされるので、比較的低い消費電力にして、更に高い正確さにすることができ、小型化することができる。本発明による構造は、低価格の大量生産を許容しつつ広範囲の用途に使用されるように自由に順応させることができる。ここに開示された方法及び構造は、センサ励起及び校正を考慮して、非直線性補償の集積化部分として行われる。ここで、両役割は、同一回路によって実行されてもよい。本発明による各実施形態は、デジタル化問題(例えば、量子化誤差及び/又は標本時間休止)のない信号調節を提供するためのアナログ技術を主に使用するモノリシック集積回路として実施することができる。
【0021】
一実施形態では、モノリシック集積化・プログラマブル信号調節回路が、AC励起を要する各センサに提供される。該回路は、実質正弦波状又は他の励起波形を合成するためのプログラマブル源と、ローパス濾波機能性を持つピーク検出器と、温度補償回路と、非直線性補償・校正回路と、出力インタフェースとにより成る。プログラミング・インタフェースは、該回路が各特定センサ用に最適に構成されるように提供される。
【0022】
より具体的には、本発明の一の特徴により、複数のPade’近似の算術に基づいて複数の非直線性補償関数を満たすための技術が提供される。Pade’近似は、所望の複数のマッピング関数の拡大自在の複数の近似値を生成するのに使用することができる。ここで、該複数の近似値は、2つのパワー組の比として表現することができ、各パワー組は、それぞれの組の複数の係数を含む。所与の一のPade’近似マッピング関数は、その分子及び分母の係数のどちらか一方又は両方を調整することによって、定義及び/又は微調整されてもよい。複数のPade’近似マッピング関数は、複数の数学モデルが複数の極又は似たような複数の特異点を含有する振る舞いを含む非線形の物理的な振る舞いをモデリングするのに適している。特に、該Pade’近似の方法によって提供される複数の有理関数は、大抵普通に使用されるテイラー展開よりも現実世界の現象をモデリングするのによりよい適合性を一般にもたらすと考えられている。ここで、後者は、所望の正確さ及び精密さの度合いに一の近似値を定めるために、都合悪くより多数の期間及び関連係数を要する。
【0023】
比較的正確な複数のPade’近似は、複数の低次有利関数と、対応して簡単、安価で実質的にアナログの複数の非直線性補償回路とを使用することによって実行可能である。一実施形態では、必要とされる全ては、(a)可変利得アナログ増幅器と、(b)該増幅器の出力と結合されるアナログ・オフセット加算器と、(c)該オフセット加算器の出力と結合されるフィードバック減衰要素と、(d)該可変利得アナログ増幅器用の利得設定回路とである。ここで、該利得設定回路は、(1−該フィードバック減衰要素の出力)によって乗じられた、第1の利得要因Gを表す利得信号を生成する。
【0024】
結果の回路の振る舞いは、
Vout=G・(1−kvf・Vout)・Vin+voff {式1a}
として表現することができる。
【0025】
式1aを該出力電圧Voutについて解くことによって、式1aは、
Vout=(G・Vin+voff)/(G・kvf・Vin+1) {式1b}
のように変形することができる。
【0026】
続いて、x=Vin,y=Vout,a=G,b=voff及びc=G・kvfで置き換えることによって、式1bは、1次Pade’近似として
y(x)=P1(x)/Q1(x)
=(ax+b)/(cx+1) {式1c}
のように変形することができる。
【0027】
より一般化された公式のもとでは、上記の数式(式1c)は、n次Pade’近似として以下のように表現しなおすことができる:
【0028】
【数1】
【0029】
更に、分子及び分母における多項式の次数は、(m次及びn次が)互いに異なってもよい。
【0030】
幅広い種々のマッピング関数は、1次の式1cにおける3つの係数a、b及びcの適した調整によって近似することができるのが分かるであろう。例えば、c=0に設定することによって、線形マッピング式のy=ax+bが得られる。a=0に設定することによって、非線形マッピング式のy=b/(cx+1)が得られる。入力変数xは、水平変換されるマッピング関数を得るように、平行移動変数(x−x0)で置き換えることができる。出力変数yは、垂直変換されたマッピング関数を得るように、平行移動変数(y−y0)で置き換えることができる。x及びyのどちらか一方は、x−yグラフ格子上でマッピング関数の180度回転を与えるために、その極性がx’=−x又はy’=−yで付加的に反転されてもよい。
【0031】
本発明による非直線性補償回路は、センサ・モジュールのアナログ信号経路のどこにでも置くことができる。補償関数は、補償器内部の非直線性及び出力経路における他の回路の非直線性の補償を含むことができる。補償は、(例えば、ある抵抗ブリッジ回路のように)センサの励起信号の調整を必要としないので、センサの励起信号は、一定に保たれても、或いは電源電圧に対して比計量的にされてもよい。このことは、より簡単な設計を考慮に入れ、センサ励起電圧又は電流が、各センサ独自の環境及びその使用によって要求されることがあるような最適な範囲内になることを保証することができる。付加的効果として、非直線性補償回路はまた、センサ校正を提供することができ、従って更に全体的な複雑さ及び価格を低減する。複数の大きなルックアップ・テーブル及び/又は複数のマイクロプロセッサ等が利用される、非直線性補償に対する卓越的なデジタル方法と比較したとき、本発明による各実施形態は、はるかに簡単でより小さく、かなりの低価格で構成することができる回路を可能にする。
【0032】
それらは各検知用途の状況に現れるが、ここに開示される複数の関数マッピング回路及び複数の技術は、範囲が一般的であり、オーディオ、ビデオ、イメージング等の他の使用において、或いは非線形マッピング関数が電気的に提供される何れかの状況において適合可能である。
【0033】
本発明に従って、対応する出力信号に対して入力信号をマッピングするための方法が提供される。該方法の一実施形態は、(a)それぞれ分子及び分母の複数係数を持つPade’近似比に従って動作するプログラマブル変換ユニットを提供すること、及び(b)プログラム方式で該変換ユニットを調整し、それによりそれぞれ分子及び分母の複数係数を確立することを含む。該係数は、変換ユニットに、所望のPade’近似マッピングを、少なくとも三つ(3)の入力基準点を持つ供給入力信号と前記少なくとも三つ(3)の入力基準点に対応する一対一ベースの少なくとも三つ(3)の標準化出力値を持つ対応出力信号との間に提供させる。
【0034】
本発明の他の特徴は、以下の詳細な説明から明白になるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下の記述は例示にすぎず、制限するものではない。図1を参照すると、可変磁気抵抗センサ105を含むセンサ・モジュール100のブロック図が設けられている。一実施形態では、該モジュールは、センサ・コイルと、モノリシック集積回路(IC、個別図示せず)と、水晶発振器とが搭載された印刷回路板(図示せず)を含む。該印刷回路板は、密閉封止される非磁性金属箱(例えば、アルミニウム)等の保護用ハウジング101(部分的に図示)によって包含される。該コイルは、外部の可動磁気コア材102と相互作用するように保護用ハウジング101の壁部近くに置かれる。該可動磁気コア材102の位置等の外部物理パラメータP(t)は、そのように形成されるセンサ105の磁気抵抗を変える。
【0036】
電流発生器110は、可変磁気抵抗センサ105を通じて周期的な電流信号Isineを駆動するための該IC内に設けられる。ここで、Isineは、擬似正弦波状又は他の周期的な波形を持つようにデジタル方式で合成される。ピーク検出器106は、センサ105に印加されるピーク電圧を検知するための高インピーダンス入力端子(例えば、より大きく約100kΩ)を持つ。ピーク検出器106の入力インピーダンスは、十分に大きく、合成されたIsine信号及び外部物理パラメータP(t)に対する可変磁気抵抗センサ105の応答を実質的に変えるのを回避する。
【0037】
誘導性センサ(例えば、コイル及び磁気フラックス経路及び寄生容量)105は、P(t)に対応するある複素インピーダンスを持つように作製されてもよい。ここで、該インピーダンスは、抵抗性及び誘導性直列成分を含む。所与の温度及び励起周波数で、該抵抗性成分Zdcは、通常、全検知範囲にわたって一定であるのに対し、該直列誘導性成分Zacは、通常、該コイルとその磁気フラックス経路(例えば、移動自在のコアによるフラックス)との間の相対磁気結合の関数である。目標とされる物理パラメータP(t)の関数としてZacを可変させるのに適した機械的構造の部分として、誘導性センサ105が組み込まれるとき、変位、角度又は位置等の物理パラメータP(t)は、この原理に基づいて、都合よく計測することができる。
【0038】
Zacを計測するために、相応の励起電流Isineを該センサ・コイルを通じて流して、コイルの起電圧を検出することができる。以下の式1a及び1bは、DC及びAC成分を持つ励起電流からもたらされるコイル電圧Vaを示す。ここで、ACインピーダンスZacは実数及び虚数成分を持つ:
【0039】
【数2】
【0040】
コイル・インピーダンス、従って検知された物理変数P(t)の有用な指示であるべきVaについて、励起電流は、固定された主要周波数及び安定なよく制御された振幅を持つはずである。周波数領域で大きなより高い調波成分を持つことが望ましくないのは、印加電圧Vaが、検知された物理変数P(t)の変動に適切に応答しない寄生成分(例えば、寄生容量又はインダクタ)の応答を表すことがあるからである。図2は、そのような低い調波特性を与えることができる反復自在の個別ステップの波形(例えば、デジタル化された波形)を示す。該波形のステップ数、各ステップ幅及び/又はステップ間の粒状度は、使用されるステップ規模/幅発生器(例えば、デジタイザ)の型及び該ステップ規模/幅発生器(例えば、デジタイザ)を支援するメモリ容量に依存することがある。図1は、そのような擬似正弦波状の波形を生成可能な電流波形発生器110を示す。DC基準電流Irefは、例えば、バンドギャップ基準電圧及び固定抵抗等の安定電圧源を使用することによって、ブロック111から発生される。矩形波発生器は、板上の水晶発振器又は別の実質的に安定な周波数源115から、波形状カウンタ116をクロックする。ここで、該カウンタは、所望の波形(例えば、図2のそれ)の標本点を数えて送り出すように、都合よくプログラムされている。デジタル信号を運ぶラインは、図1においてそれらラインを貫いて伸びる斜線によって示される。カウンタ116からのデジタル出力信号は、電流を出力するデジタル−アナログ変換器(電流DAC)114に供給される。該電流DACは、ライン112上のIref信号に全て関連付けられる、デジタル方式で選択自在の並列組の複数のミラー電流より構成することができる。最終的に、該電流DACは、予め決められた各割合又は多重のIrefであるアナログ電流ステップ(標本)を発生する。一実施形態において、該複数の標本は、図2に示されるような正弦波を近似するように選択される。一実施形態において、波形状カウンタ116は、予め決められた波形(例えば、三角、のこぎり歯、台形等及び/又は別個のDCバイアス・レベル)の種々のものを、各種反応性センサ105への適用のために選択することができるように、制御ユニット150の書換自在メモリ(例えば、不揮発性フラッシュ・メモリ)151に格納されたデジタル・データにプログラム方式で応答する。複数の電流変化ステップを円滑に出す電流DAC114に、最適な複数の内部フィルタを設けてもよい。この方法では、よく制御されたIdc及びIac成分(図2参照)と、制限された調波成分に加えて正確に定められた主要周波数とで、擬似正弦波状又は他の平滑電流波形を合成することができる。一実施形態において、基準クロック源115は、ユニット150の書換自在メモリに格納されたデータにプログラム方式で応答して、予め決められた複数の主要周波数のうちの種々のものを、種々のセンサ105に適するように発生することができる。
【0041】
一実施形態は、基準タイミング源115の一部として共振水晶体を使用するが、波形発生器110の他の部分を包含するモノリシックIC内に集積され、多少正確である他の基準タイミングを使用することは、本明細書の深厚内にある。例としては、セラミック共振発振器及び自己校正RC発振器が含まれる。より詳しくは、米国特許5594388(O’Shaughnessy他)は、IC内への集積用の自己校正発振器を開示する。この自己校正発振器は、例えば、その周波数を合わせるように調整するEEPROM及び温度依存を減らすための外部抵抗を使用することによって、より正確とすることができる。代わりに、レーザー調整又は他の方法で調整されたRC発振器を使用してもよい。ここで、その調整されたR及びCの双方は、ICに対して内部にあってもよい。
【0042】
一実施形態は、合成されたセンサ励起信号(例えば、Isine)の複数のデジタル・ステップを発生するためのDAC114を使用するが、個別に組み立てられる波形の他の発生器を使用することは、本発明の深厚内にある。ここで、該個別波形の部分は、変調されたパルス幅及び/又は時間対大きさ(ステップ関数のそれ以外のもの)を持つ。
【0043】
センサ励起信号(例えばIsine)を利用するため、検知された物理パラメータP(t)が時間を通して変化するとき、センサ・リアクタンスが付随的に変調されて、該センサ間に生成される電圧が、該センサ励起信号及び該変化する物理パラメータP(t)の結合効果を反映するのである。励起電流Isine=Idc+Iacの利用で生じるコイル電圧Vaは、振幅変調(AM)電圧信号であり、その搬送周波数は、一般に励起電流によって使用されるそれと同じ中心周波数である一方、AM信号の包絡線は、物理パラメータP(t)に起因する検知情報を含む。従って、Va波形の包絡電圧は、一般に、コア材102の位置等の測定されるべき物理パラメータP(t)を表す単調関数となるだろう。該包絡電圧を抽出するために、Va電圧信号がピーク検出回路106に印加される。このピーク検出回路106は、各Va電圧パルス(パルスは正弦波状である必要はない)の立上りエッジの間、Va波形を追跡し、そして各パルスについて、該電圧パルスの立上り側のピークの大きさを示すために、対応する量の電荷をキャパシタ107に汲み出す。Va電圧パルスがそのピークに達し、その後、大きさが減少し始めるとき、ピーク検出回路106は、キャパシタ107への電荷の汲み出しを停止し、該キャパシタは、その電圧がVa信号の次の立上りエッジの電圧か或いは僅か下に低下するまで、予め決められた一定の割合で、ゆっくり放電し始めるようにされる。その時点で、ピーク検出回路106は、新しい電荷をキャパシタ107に汲み出し始める。それ故に、キャパシタ107の電圧は、パルスVa電圧信号の包絡をおおよそ追跡するはずである。ローパス・フィルタ108は、デジタル方式で合成された励起電流Isineの搬送周波数調波のため、キャパシタ107の電圧を平滑しノイズ及びひずみを低減するために随意設けられる。
【0044】
センサ105とピーク検出器106との間の図1のモジュール100に、2つの追加ブロック(図示せず)を随意追加してもよい。コイル電圧Vaが比較的低い(例えば、<<1ボルト)場合、該ピーク検出器は、高インピーダンス電圧増幅器によって前置されてもよい。EMI保護とノイズ及び調波成分の更なる低減のため、簡単なRCローパス・フィルタ又は搬送周波数よりも高いコーナー周波数を持つ他のフィルタを、付加的又は代替的にセンサ105とピーク検出器106との間に挿入してもよい。
【0045】
図1の要素120を参照すると、105等の反応性センサは、一般に、温度全般にわたってある応答の変動を呈する。温度補償は、所望の度合いのセンサの正確さを提供するために必要とされることがある。図1において、温度検出器122は、コイル105近傍に置かれてデジタルの温度指示信号123をユニット120に供給する。代替実施形態において、信号123はアナログでもよい。温度補償は、相当数の方法で実行可能であり、検知素子の特質及びセンサ構造に非常に依存する。例えば、米国出願公開第2003/0173952号は、上述のような一定及び交流成分を持つ励起電流を受ける誘導性位置センサを開示する。起電圧(Va)の温度依存が、意図した検知範囲の全てとIdc及びIacの全ての期待された選択にわたってかなり線形で一定であるなら、その場合、線形補償回路を使用することができる。図3には、線形温度補償を提供するための簡単な回路が示される。線形温度依存オフセット電圧が、加算器301においてローパス・フィルタ108からの出力信号Vb(或いは、Vbは、随意のローパス・フィルタ108が使用されないなら該ピーク検出器からの出力信号に代えられる)に単に加算される。デジタル方式で定義されたパラメータVsh及びhの適切な選択で、ライン309上の起電圧Vcは、以下の式2毎の温度にわたって実質一定にすることができる:
Vc=Vb+Vsh・(1±h・T) 式2
図3において、デジタル表現310のセンサ温度は、周期的にレジスタ312内に書き込まれる。センサ関連傾斜要因hは、レジスタ314に格納される。デジタル乗算器315は、ライン316上にデジタル生成信号h・Tを生成する。デジタル表現のセンサ・オフセット値は、レジスタ322に格納される。基準電圧は、D/A変換器325のアナログ基準入力に供給される。対応するアナログ電圧Vshが該D/A変換器の出力ライン326に現れる。第2D/A変換器330は、アナログ電圧Vshをライン316上のh・T要因で乗算し、それによりライン336上にアナログ生成信号h・T・Vshを生成する。アナログ加算器340は、ライン326及び336上の信号を合計し、それによりライン342上にアナログ合計信号Vsh・(1±h・T)を生成する。続いて、加算器301は、上記で説明したように、Vbに加算する。複数のスイッチ容量DAC及び/又は複数のスイッチ容量加算器を、電力を一定に保つのに使用してもよい。複数のスイッチ容量DAC及び/又は複数のスイッチ容量加算器の実施方法の例としては、先に引用したUnbehauen及びCichockiのものを参照。
【0046】
他の多くの温度補償方法が、特定センサ105(図1)及び所望の正確さの要求に依存して、付加的又は代替的に使用されることがある。他の可能なものの中で、温度補償方法は、温度指示信号123に応じてセンサ励起信号を調整するステップであったり、及び/又は温度指示信号123に応じて複数の補正要因を挿入するためにEEPROMを基にした複数のルックアップ・テーブルを使用するものであったり、及び/又は温度指示信号123をメモリ・ユニット151に結合されるアドレス・ビットとして使用することによって検知範囲を多重個別線形部分に区分し各種係数を選択するものであったり、及び/又は温度指示信号123に応じて多項式補正関数を適用するものである。
【0047】
図1の130を参照すると、反応性センサ(即ち、105)は、通常、測定下の物理パラメータP(t)の線形変動に対して非線形応答の振る舞いを呈する。反応性センサは、測定下の物理パラメータP(t)の正確な測定を提供するために、利得及び/又はオフセットについて校正を必要とする応答の振る舞いを付加的又は代替的に呈することがある。本発明者等は、温度ドリフトに対する補償と切り離して、非直線性及び/又は校正誤差を補償することが、そうでなければ一の相関的要素から他への交差の影響が事柄を過度に複雑化し得るという理由により有利であることを見出した。なお、図1に示される複数のもの(120,130)よりもむしろ単一ステップの変換を使用することによって、検出されたセンサ応答信号Vbから対応する補正されたセンサ応答信号Veへの変換を提供することは、本明細書の深厚内にある。ユニット130内で行われる非直線性及び/又は校正誤差の補償に関して、一般にセンサの非線形な振る舞いに対して同時の校正及び補償を提供するための相当数のシステム及び方法が、上記引用の米国出願に開示されている。該出願は、Jose Marcos Laraia、Robert P.Moehrke、Jose G.Tavelraにより2004年5月13日に提出され、最初「集積化センサ・モジュール等用のPade’近似を基にした補償」と題される。上記引用の米国出願の明細書は、図1の利得/オフセット校正及び非直線性補償ユニット130を含むセンサ出力経路に対する校正を付与し、同経路の非直線性を補償するために利用されるように、ここに援用される。適したPade’近似係数信号が、係数プログラミング・ユニット150からマッピング・ユニット130に供給される。電圧出力信号Vdは、温度補償した電圧信号Vcに対する、校正及び一層線形化されたアナログ対応要素であることが了解される。温度補償ユニット120が随意省略されるなら、その場合、電圧出力信号Vdは、ピークを表す(また随意108によって濾波された)電圧信号Vbに対する、校正及び一層線形化されたアナログ対応要素であることが了解されるものである。また、温度補償ユニット120が随意省略されるなら、その場合、指摘されるように、単一ステップの変換で105のような誘導性センサの温度感度及び非直線性の双方に対して同時に補償することはしばしば困難であるが、非直線性補償ユニット130は、信号123をユニット130に結合することによって、上記引用の米国出願シリアル番号10/845681の明細書に従ってある温度補償を提供することができる。
【0048】
完全性のため、図4〜5は、上記引用の米国出願シリアル番号10/845681に開示される多くの変形の一実施形態500の働きを例示する。図4の電圧対パラメータ規模のグラフ401において、温度補償ブロック120から来る電圧信号VcはP(t)=x1からP(t)=x2のセンサ入力領域に対して非線形であることが分かる。また、所与のパラメータ入力値に対する電圧Vcの大きさ、即ちP(t)=x0は、個々の検知素子間の製造公差又は他の変動のためにセンサ毎に変わることがある。該問題は、領域x1〜x2内のVc(x)関数を別の関数Vd(x)にマッピングする場合に見られることがある。ここで、Vd(x)はxに対して線形であり、Vd(x)は、更に、検知された物理パラメータP(t)がx1及びx2に等しいとき、それぞれ少なくとも校正された値v1及びv2を表す。本発明の一の方法によれば、該問題は、例えば、図4に示されるようにx1とx2とのほぼ中間に第3の校正点x0を導入することによって、算術的に解決される。このことは、3つの式と3つの未知数がある状況を創出する。該3つの未知数(Pade’近似係数信号)について簡単に述べる。該未知数は、物理パラメータ軸(X)上のx1、x2及びx0校正点、これら校正点で生成される対応Vc電圧、即ちそれぞれVi1、Vi2及びVi0、及びそれら校正点に対して生成されるべき対応Vd電圧、即ちそれぞれV1、V2及びV0である。
【0049】
Vdを1次Pade’近似の手法(式3)に従って表すことができるのを、図5に簡単に示す:
Vd=(a・Vc+b)/(c・Vc+1) 式3
3つの共に関連付けられるVc及びVdの例は、P(t)=x1,x2及びx0での対応する3つの校正計量から知得されるので、3つの係数a、b及びcは、式4に示される3つの線形式及び3つの変数にクレイマーの公式を適用することによって決定することができる。
【0050】
【数3】
【0051】
図5の回路手段500は、プログラム方式で決定されたオフセット電圧voffを、G・(1−kvf・Vd)に等しいプログラム自在の利得を持つ可変利得増幅器521の出力信号512に加える。ここで、G及びkvfの大きさもまた、プログラム自在に決定される。Vcは、増幅器521の高インピーダンス入力端子511に印加される入力電圧信号である。デジタル−アナログ変換器(DAC)535は、レジスタ545からのデジタルkvf信号及びフィードバック経路515経由のアナログ出力信号Vdを受ける。応じて、DAC535は、A・kvf・Vdを示す大きさのアナログ電圧信号をライン518上に出力する。ここで、Aは増幅器521と関連する電圧−利得変換要因である。ライン518上の電圧信号は、該増幅器の利得をG・(1−kvf・Vd)のように定めるために、ライン517上の電圧信号(A・G)から引かれる。一実施形態において、DAC535は、スイッチされる組の複数の容量性電圧スプリッタ(これらは、それぞれ電力を一定に保つようにライン515から電荷を得てライン518上に減衰電圧を放電する)として形成されるプログラマブル減衰器である。複数のスイッチ容量DAC及び/又は複数のスイッチ容量加算器は、電力を一定に保つように、該回路中のどこで使用してもよい。
【0052】
更に図5を参照すると、レジスタ547は、デジタル表現のベース利得値Gを格納する一方、DAC537は、ライン517上にA・Gを表す電圧信号を生成する。レジスタ542は、デジタル表現のオフセット電圧voffを格納する一方、DAC532は、対応する電圧信号を生成し、これを電圧合計ユニット522の一の入力端子に印加する。電圧合計ユニット522の第2入力端子512は、増幅器521の出力電圧を受ける。以下の変換関数が実現される(式5):
Vd=G・(1−kvf・Vd)・Vc+Voff 式5
期間をシフトすることによって、以下の式6を実現することができる。
【0053】
Vd=(G・Vc+voff)/(G・kvf・Vc+1) 式6
従って、式3は、以下の式7a〜7cの代入によって再生することができる。
【0054】
a=G
b=voff
c=G・kvf 式7a〜7c
一個の所与のセンサ(例えば、105)の補償及び校正用の全係数は、図1のユニット150内に示されるような適したデジタル・プログラミング・インタフェース152を通じて、PROM、EPROM、EEPROM又はフラッシュ等のプログラム自在又は再プログラム自在の不揮発性メモリ151に格納することができる。センサ・モジュール100が電源投入される度に、プログラム自在に確定された複数の係数が、メモリ151からそれぞれのレジスタにダウンロードされて、複数のD/A変換器を制御しそして所望の結果を再生することができる。
【0055】
温度補償ユニット120は、非直線性補償ユニット130がユニット120の出力を受けるように、ユニット130の上流に置かれて示されるが、その順序を換えてユニット120をユニット130の下流に置くことは、本発明の深厚内にある。ユニット120及び130のプログラム自在の複数の係数は、フィルタ108の出力電圧Vbから、直ぐ説明する出力インタフェース・ユニット140の誤差補正及び校正した出力電圧Veへの適したマッピングを提供するように変更可能である。
【0056】
一実施形態において、アナログ及びデジタル出力インタフェース140及び150の一方又は両方は、センサ・モジュール100を外界と通信させるために設けられる。アナログ・インタフェース140は、相対的に良好な正確さを持つ検知された物理パラメータP(t)を表すように、アナログ電圧信号Veを出力することができる。補償ユニット130は、まさにVd信号よりもむしろVe電圧信号に線形化補償を付与することができる。それ故、ユニット120及び130の補償の組合せは、特定センサ105と、センサ105及び出力端子141間の特定電子経路と連携する温度及び非線形特性を本質的に排除して、本質的にまさに検知された物理パラメータP(t)の代表であるVe電圧信号を生成する。ブロック140及び/又は150によって設けられる入力/出力インタフェースは、アナログ又はデジタルでもよく、1又はそれ以上の出力を持ってもよい。複数のアナログ・インタフェースは、電圧信号、電流信号、又は時間を基にした形式(パルス幅変調:PWM)、又は周波数を基にした形式に従って動作してもよい。ここで、その表現される出力パラメータは、検知された物理変数P(t)の線形関数である。複数のデジタル・インタフェースは、I2C、SPI、LINトランシーバ、CANトランシーバ等の標準バス・インタフェースの何れでもよい。デジタル・インタフェース152は、ユニット140のデジタル出力信号142を適した形式(フォーマット)に変換する。ある表現方法のデジタル出力信号142は、ユニット152からセンサ・モジュール・パッケージ101の外に突出するシリアル及び双方向データ端子上に現れてもよく、対応するシリアル・クロック信号は、別のそのような端子によって伝達される。センサ・モジュール・パッケージ101の外に突出するように設けられる複数の追加端子は、電力及びグランド電圧を供給するための図解したVcc及びGND端子を含んでもよい。
【0057】
信号調節回路(120,130)によって提供される温度及び/又は非直線性補償及び校正は、センサの非理想的性質及び/又は温度ドリフトだけでなく、該モジュールの電気回路の構成部分によって導入されるであろうそれら、即ちユニット106、108、110及び/又は140のそれらをも補正することができるということは特筆されるべきものである。言い換えれば、センサ・モジュール100中の幾つかのユニットが、温度に応じてそれぞれの度合いの非直線性又は変動を与えるなら、それらに対する補正を、センサの非理想的性質に対する補正と共に「束ねる」ことができる。120及び130のような複数のユニットの不完全さは、メモリ・ユニット151の適した複数係数の選択及び格納によって「自己補正」することができる。従って、ユニット106、108、110、140、120及び/又は130の電気回路の構成部分が、比較的低い性能品質のようであったとしても、該自己補正特徴部がこれを補償し、それにより概して自己補正しない従来技術の信号調節解決策よりも良い総合的な正確さを持つより低価格なシステムを提供する。
【0058】
図6を参照すると、多重コイルを持つ相互インダクタンス・センサ605を含む第2実施形態600が示されている。この場合、励起信号が、正弦波状電圧信号Vsineとしてセンサ605の1次コイルに印加され、パラメータ依存のセンサ出力信号Vaが2次コイルに生成される。1次励起信号Vsineに対するセンサ出力信号Vaの割合を、測定している物理パラメータP(t)の関数とすることができる。ユニット611は、この場合、基準電圧でもよいが、DAC614は、該波形カウンタのデジタル出力信号を、対応する電圧信号Vsineに変換する。1次励起信号Vsineは、もちろん擬似正弦波状又は三角又はのこぎり歯又は台形を含む何れかの適した周期的な電圧信号が可能である。図6の残りの処理ブロックは、図1の実施形態における対応するものと実質同じにしてもよい。
【0059】
図7を参照すると、容量性センサ705を含む第3実施形態700が示されている。ほかの点では、該回路構成は、図1の実施形態において記述されたものと実質同じである。センサ705は、応じて該励起電流信号を、測定している物理パラメータP(t)の関数である電圧信号Vaに変換する。
【0060】
図8及び9を参照すると、センサ905は、コア材が中心位置X0にあるとき、少なくとも1つのゼロ電圧出力Vs=0を生成するLVDT型構造を含むことができる。中心のゼロからいずれか一方の方向に該コア材が動くと、Vsの位相がその方向を逆にとることで変化する状態でであるが、2次巻線信号Vsを相対的に対称的な具合で増大させる。そのような場合、1次励起信号Vpに関連するVsの位相を決定することが望ましいことがある。より一般的に言えば、ゼロを生成する反応性センサは、信号取消しの使用を通して、測定されるべきパラメータP(t)の複数の規定値で1又はそれ以上のゼロ出力を出すように構成されてもよい。該ゼロ生成反応性センサが対応するゼロのどちら側で動作しているかを決定することは該して望ましい。そのようなものとして、該ゼロ生成反応性センサが対応するゼロのどちら側で動作しているかを決定するための適したゼロ側決定手段を通例設けることは、本明細書の深厚内にある。該ゼロ側決定手段の特定動作は、対応するゼロ及びゼロ生成反応性センサの特異性に依存するものである。
【0061】
図9は、LVDT型905のゼロ生成反応性センサとの使用に適している第4実施形態900を示す。ここで、ゼロの側は、1次及び2次電圧間の位相の関係によって確認可能である。位相検出器909は、両1次及び2次電圧Vp及びVsに結合されるので、該センサ・コアがゼロのどちら側にあるかについて決定をすることができる。幾つかの場合、ゼロ点の各側に対するLVDT出力は異なり、異なる線形補正関数は、ゼロから出る各側への各種校正点と同様に要求されることがある。一実施形態において、LVDT校正及び/又は温度補償用の複数の係数は、用途の要件に依存しつつ線形又は非線形応答出力を与えるように、中心のゼロから各方向へ独立に決定される。2つの独立した(そして通常異なる)組の複数の係数が、決定されてメモリ951に格納された後、位相検出器909からの出力信号991は、独立した複数の係数組のどの一つを各場合に使用すべきかを決定するためのメモリ・アドレス・ビットとして使用可能である。
【0062】
図10を参照すると、LVDTは、通常、1次及び2次電圧信号(Vp及びVs)間としての比較的小さな位相シフト、もっと小さくても可能であるが公称動作周波数でしばしば約10°〜15°を呈する。また、LVDT2次巻線は、通常、直列対向構成でともに繋がれ、それら信号が、可動コア材がゼロのどちら側に位置するかに依存しつつ、180°位相を外れ、異なる大きさになる。その直列生成される2次出力電圧信号Vsは、LVDT型センサがゼロのどちら側で動作しているかに依存しつつ、1次電圧信号Vpと180°異相になるように接近可能であるか、或いは1次電圧信号Vpと同相になるように接近可能である。これら特性は、LVDTの2次信号が1次信号とほぼ同相か異相かを決定するために、図10の位相検出回路1010によって使用されてもよい。この方法で、LVDTコアが中心のゼロ点に対してどちら側にあるかを決定することができる。図解のLVDT位相検出器1010は、コイルDC基準電圧(コイル・グランド)に関連するこれら信号の重なりを比較する1次及び2次電圧信号(Vp及びVs)用のゼロ・クロス比較器を含む。より詳しくは、増幅器1011及び1012は、高入力インピーダンスを持ち、Vp及びVs信号からそれぞれ増幅信号P及びSを生成する。一実施形態において、P及びSは、1020及び1030の電圧対時間グラフに示されるように、本質的にデジタル信号を形成するように飽和する。排他的ORゲート1015は、1020及び1030に示されるように、対応するXOR出力信号Eを生成する。該E信号は、通常パルス列として形成され、該周波数は、入力信号のそれの2倍であり、該パルス幅は、Vp及びVs信号のゼロ・クロス間の遅延に等しい。ローパス・フィルタ1016は、狭小Eの複数のパルスを、予め決められたしきい値Vdd/2、即ち供給電圧の半分より高いか低いいずれかのおおよそDCの電圧レベルFに変換する。比較器1017は、該F信号を、デジタル方式で飽和した論理ロー又は論理ハイに変換し、それにより、該コア材がゼロの一の側か他のどちらにあるかを指示する。1又はそれ以上の比較器1011、1012及び1017は、予め決められた量のヒステリシスを内蔵し、ゼロ近くで起こる「チャタリング」を防いでもよい。XORゲート1015は、ノイズ信号で起こる「チャタリング」を防止するように、あるヒステリシスを内蔵してもよい。
【0063】
比較器1017のO出力信号は、幾つかの方法の一つにおいて使用されてもよい。一実施形態において、二組の複数の係数から1つが、位相検出出力に従って、温度及び/又は非直線性補償回路(例えば、図1の120,130)にオンザフライでダウンロードされる。一代替実施形態において、複数の校正回路が、それ自身の組の複数係数で一つそれぞれ設けられる。アナログ・マルチプレクサは、位相検出器出力信号1019に応じて、温度及び/又は非直線性補償を与えるための複数回路の一つを選択する。前者の方法は、より簡単であるが、中心のゼロを通過する遷移の間に出力スパイクを発生することがある。後者の方法は、それらスパイクが出力インタフェースによって十分にフィルタ除去されないときにより望ましいかもしれない。
【0064】
図11を参照すると、本明細書の各センサ・モジュールに使用することができる別のPade’近似補償回路1100の概要図が提供される。デジタル信号を運ぶラインは、図11においてそれらラインを貫いて伸びる斜線によって示される。従って、A/D変換器1112に入るアナログ入力信号1111(Vin)及びD/A変換器1140を出るアナログ出力信号1141(Vout)以外、本質的に全ての他の信号はデジタルである。デジタル乗算器1121は、図5における増幅器521によって実行されるアナログ動作に対応する部分をデジタルで実行する。合計ユニット1122は、同様に、図5におけるユニット522によって実行されるアナログ合計動作に対応する部分をデジタルで実行する。デジタル乗算器1145は、図5におけるD/Aユニット535によって実行されるアナログ動作に対応する部分をデジタルで実行する。デジタル・ユニット1121及び1122は、それぞれデジタル表現のG及びVoff値をレジスタ1147及び1142から直接受け取ることができるので、図5のD/A変換器537及び532に対応する部分は、図11においては不要である。デジタル出力信号1115は、該センサ・モジュールのシリアル出力リンク(図11では不図示)経由の出力用にシリアル形式に変換されてもよい。
【0065】
これまで述べた典型的な各実施形態に幾つかの変形を加えることができる。一の利用者プログラム自在の実施形態において、図1及び9の組み合わされた構成を持つモノリシック集積回路が設けられる。ここで、波形発生器110/910は、電流発生モードと電圧発生モードとの間でプログラム自在に切替え可能であり、チップ内位相検出器909の使用は、使用されているセンサの種類(LVDT型905又はより簡単な相互インダクタンス型605又は更により簡単な単一コイル型105)に依存しつつプログラム自在にスイッチ・オン又はオフされてもよい。従って、本発明は、単一のモノリシック集積回路を提供し、該回路は、多くの種々の型の反応性センサと使用するために利用者プログラム自在であり、センサ応答の非直線性、温度変動に対する補償、及び標準化された物理パラメータ設定と関連するモジュール出力関数の校正を提供する。単一コイル(105)及び水晶基準タイミング(115)を持つ簡単及び低価格の組合せの単一ICは、コンパクトなハウジング(101)に収容され、所与の物理パラメータP(t)の非常に正確な測定を与えることができる。もちろん、そのような複数のセンサの複数のものを同じハウジングに収容し、対応する複数のそのようなセンサ支援IC、及び/又は複数のセンサと共通のシリアル・データ・バスを持つインタフェースとを支援するICを提供することは、本発明の深厚内にある。例えば、一のコイルは、x方向における変位を検知するように向けられてもよく、別のコイルは、直交、即ちy方向の変位を検知するように向けられてもよい。本発明は、例えば自動車の磁性可動部品近傍の複数の組込みシステムに適しており、そのような複数部品の角度又は他の変位を正確に計測することができる。
【0066】
本明細書は、特許請求の範囲の主要事項の範囲、本質又は精神を制限するというよりもむしろ例示として受け取られるべきものである。数多の修正及び変形は、本明細書を検討した後、当業者にとって明らかとなり、ここに記述された複数要素についての同等機能及び/又は構造の代替の使用、ここに記述された連結についての同等機能の連結の使用、及び/又はここに記述された複数ステップについての同等機能の複数ステップの使用を含む。そのような僅かな変形は、ここで熟考されたものの範囲内と思料されるものである。その上、複数の特定手段又は複数のステップに付与される複数の例、及びそのような所与の例の間及び/又は越える外挿が、本明細書を考慮して明白であれば、その場合、本明細書は、少なくともそのような外挿を効果的に開示し、従ってカバーすると思料されるものである。
【0067】
そうではなくここに明白に言及されなかったとすれば、通常の用語は、それら表現のそれぞれの文脈内でのそれらの対応する通常の意味を持ち、通常の技術用語は、相当する専門技術内及びここにおけるそれら表現のそれぞれの文脈内でのそれら対応する通常の意味を持つ。
【0068】
一般的な概念及び各特定実施形態の上記明細書が与えられれば、求められる保護の範囲は、ここに添付された特許請求の範囲によって定められるべきものであるが、開示された特許請求の範囲は、米国特許法第120条及び/又は米国特許法第251条に従って提出されたそれらを含む1又はそれ以上の更なる出願でまだ文字通り請求されない主要事項を除いて、出願人の権利を開示された特許請求の範囲に制限するように受け取られるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
上記詳細な説明の欄は、添付図面の言及をなす。
【図1】センサ・モジュールのブロック図であり、それは、一実施形態においてセンサ・コイル、モノリシック集積回路及び水晶発振器が搭載される印刷回路板を含む。
【図2】図1の反応性センサを励起するのに使用される擬似正弦波状の不連続波形を示す電流対クロック・サイクルのグラフである。
【図3】図1のセンサ・モジュールに使用されることがある線形温度補償回路の概要図である。
【図4】非線形及び未校正のセンサ応答曲線の校正及び線形化応答曲線へのマッピングを示す概要である。
【図5】図1のセンサ・モジュールに使用されることがある1次Pade’近似補償回路の概要である。
【図6】可変相互インダクタンスを持つ反応性センサが使用される別のセンサ・モジュールの概要である。
【図7】可変容量を持つ反応性センサが使用される別のセンサ・モジュールの概要である。
【図8】個々に異なる反応領域を持つセンサを表す第1グラフから、同じ物理入力パラメータ(x)に対応する線形化及び校正された出力信号を表す第2グラフへのマッピングを示す。
【図9】LVDT型の反応性センサが使用される別のセンサ・モジュールの概要である。
【図10】図9のセンサ・モジュールに使用されることがある位相検出器の概要図である。
【図11】本明細書のセンサ・モジュールに使用されることがある別のPade’近似補償回路の概要である。
【符号の説明】
【0070】
100 センサ・モジュール
101 保護用ハウジング
102 可動磁気コア材
105 可変磁気抵抗センサ
106 ピーク検出器
107 キャパシタ
108 ローパス・フィルタ
110 電流波形発生器
120 温度補償ユニット
122 温度検出器
130 利得/オフセット校正及び非直線性補償ユニット
140 出力インタフェース・ユニット
150 係数プログラミング・ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)可変物理パラメータに応答する反応性センサと、
(b)該反応性センサに励起信号を供給するための波形発生器と、
(c)該励起信号及び該物理パラメータに対する該反応性センサの応答を検出し、該応答センサの前記応答を表す検出信号を出力するための検出器と、
(d)該検出信号又は該検出信号から引き出される別の応答表示信号を、該物理パラメータをより正確に表す補正応答表示信号にマッピングするためのPade近似マッピング・ユニットを含むデジタル・プログラマブル補償回路と
を備えるシステム。
【請求項2】
(d.1)該デジタル・プログラマブル補償回路は、更に、温度変動に応答し、前記別の応答表示信号を応答的に発生する温度補償ユニットを含む
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
(a.1)該反応性センサは可変インダクタンス要素を含む
請求項1記載のシステム。
【請求項4】
(a.2)該可変インダクタンス要素は単一コイルを有する
請求項3記載のシステム。
【請求項5】
(a.1)該反応性センサは相互インダクタンス要素を含む
請求項1記載のシステム。
【請求項6】
(a.2)該相互インダクタンス要素の相互インダクタンスは、該可変物理パラメータの関数として変化し、
(a.2)該相互インダクタンス要素は、1次巻線及び少なくとも1つの2次巻線を含み、
(b.1)該波形発生器は、該励起信号を該1次巻線に供給するように結合され、
(c.1)該検出器は、該励起信号及び該物理パラメータに対する該応答性センサの該応答を検出するための該少なくとも1つの2次巻線に結合される
請求項5記載のシステム。
【請求項7】
(a.1)該反応性センサは可変容量要素を含む
請求項1記載のシステム。
【請求項8】
(a.1)該反応性センサは、1又はそれ以上のゼロ出力を、測定下の可変物理パラメータの特定値で生成するゼロ生成要素を含み、該システムは更に、
(e)該ゼロ生成要素が対応するゼロのどちら側で動作しているかを決定するためのゼロ側検出器を含む
請求項1記載のシステム。
【請求項9】
(d.1)該デジタル・プログラマブル補償回路は、該ゼロ生成要素が対応するゼロのどちら側で動作しているかに依存しつつ異なる補償を提供するように該ゼロ側検出器に応答する
請求項8記載のシステム。
【請求項10】
(e.1)該ゼロ側検出器は位相検出器を含む
請求項8記載のシステム。
【請求項11】
(d.1)該Pade近似マッピング・ユニットは、
(d.1a)該検出信号又は該検出信号から引き出される該他の応答表示信号を入力信号として受信するように機能的に結合され、少なくとも第1入力端子、出力端子及び利得制御端子を持つ可変利得増幅器と、
(d.1b)第1オフセット信号に追加するための該可変利得増幅器の該出力端子に機能的に結合される第1合計器と、
(d.1c)該第1合計器の出力に機能的に結合され、プログラムで確立された比例フィードバック要因信号を受信するように結合され、増大されたフィードバック信号を対応して生成するための第1乗算器と、
(d.1d)プログラムで確立された利得要因信号を受信し、応じて、該可変利得増幅器の利得を、該プログラムで確立された利得要因信号及び該増大されたフィードバック信号の関数になるように機能的に結合される第2合計器と
を含む請求項1記載のシステム。
【請求項12】
該デジタル・プログラマブル補償回路は、更に、
(d.2)該第1合計器、第1乗算器、第2合計器の少なくとも1つと結合され、それぞれ該第1オフセット信号、比例フィードバック要因信号及び利得要因信号の少なくとも1つを定めるための係数定義手段
を含む請求項11記載のシステム。
【請求項13】
(e)検知された温度に応じて、該第1オフセット信号、比例フィードバック要因信号及び利得要因信号の少なくとも1つを、該係数定義手段に定めさせるための該係数定義手段に機能的に結合される温度センサ
を更に含む請求項12記載のシステム。
【請求項14】
(e)少なくとも該反応性センサの部分を収容し、更に該波形発生器、該検出器及び該デジタル・プログラマブル補償回路の少なくとも1つを収容するハウジング
を更に含む請求項1記載のシステム。
【請求項15】
(e.1)該ハウジングは、更に、該ハウジング外部のノードと前記波形発生器及びデジタル・プログラマブル補償回路の1又はそれ以上との間のシリアル・データ通信を提供するデジタル・インタフェース・ユニットを収容する
請求項14記載のシステム。
【請求項16】
(e.1)該ハウジングは、更に、少なくとも該反応性センサの部分が搭載される印刷回路板及び集積回路パッケージを収容し、該パッケージは、前記波形発生器、検出器及び該デジタル・プログラマブル補償回路の1つ又はそれ以上を含む
請求項14記載のシステム。
【請求項17】
(a)センサ励起信号を合成すること、
(b)該励起信号を可変物理パラメータによって変調される反応性センサに供給すること、
(c)該励起信号及び該物理パラメータの組合せに対する該反応性センサの応答を検出し、対応する検出応答信号を出力すること、
(d)少なくとも1つのPade近似補償回路の使用によって、該検出応答信号を補正応答信号に変換すること
を含む方法。
【請求項18】
合成すること、検出すること及び変換することのステップは、モノリシック集積回路内で実質実行される請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記合成することは、
(a.1)タイミング基準信号を受信すること、
(a.2)電圧又は電流基準信号を生成すること、
(a.3)アナログ電圧又は電流の大きさのステップ列を発生するのにデジタル−アナログ変換器を使用することを含み、前記大きさは、多数の該発生電圧又は電流基準信号であり、前記ステップのタイミングは、該受信したタイミング基準信号によって決定される
請求項17記載の方法。
【請求項20】
(a.4)該多重の発生電圧又は電流基準信号をプログラムで確立すること
を更に含む請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記検出することは、
(c.1)電圧パルスのおおよそピークの大きさが起こったときを決定すること、
(c.2)該大きさが該電圧パルスのおおよその該ピークの大きさであることが決定されるときに、該電圧パルスの大きさを表す量の電荷をキャパシタに充電すること
を含む請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記変換することは、
(d.1)変換出力信号の関数である時間可変利得信号を受信する可変利得増幅器を使用すること
を含む請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記変換することは、
(d.1)非直線性補正を提供することと切り離して、温度補正要因を提供すること
を含む請求項17記載の方法。
【請求項24】
前記変換することは、
(d.1)該少なくとも1つのPade近似補償回路の複数のPade近似係数を定めるためにプログラムで格納された係数を使用すること
を含む請求項17記載の方法。
【請求項25】
対応する組の複数のPade近似係数を定めるための少なくとも1つの組のプログラムで格納された複数の係数は、該可変物理パラメータの予め定められた設定に応じて予め定められた変換出力信号を確立する校正組である請求項24記載の方法。
【請求項26】
可変物理パラメータ及び励起信号の組合せに応答する反応性センサを含むセンサ・モジュールを校正する方法であって、該方法は、以下を含む:
(a)AC成分を持つ励起信号を該反応性センサに供給すること;
(b)該物理パラメータを少なくとも3つの予め定められた測定可能な値に設定すること;
(b)それぞれ分子及び分母の複数係数を持つPade’近似比に従って動作するプログラマブル変換ユニットを提供すること;
(c)該変換ユニットをプログラムで調整すること、それによりそれぞれの分子及び分母の複数係数を確立し、これら係数は、前記励起信号及び該少なくとも3つの予め定められ測定可能な該物理パラメータの値に対する該センサの応答から引き出される入力信号と、前記少なくとも3つの予め定められ測定可能な該物理パラメータの値に対応する少なくとも3つの標準化出力値を持つ対応出力信号との間の、所望のPade’近似マッピングを該変換ユニットに提供させる方法。
【請求項27】
(e)該センサの応答から引き出される入力信号及び該プログラマブル変換ユニットによって発生される出力信号の少なくとも1つに温度補償変換を適用すること
を更に含む請求項26記載の方法。
【請求項28】
(a)少なくとも3つの異なる物理パラメータ及び励起信号を反応性センサに供給すること、
(b)該少なくとも3つの異なる物理パラメータ及び該励起信号に対する該センサの対応する少なくとも3つの応答を決定すること、
(c)予め決められた対応する少なくとも3つの出力信号に対する該反応性センサの少なくとも3つの応答をマッピングするためのPade’近似マッピング・ユニット用の複数の係数を決定することを含む方法。
【請求項29】
(a)ハウジングと、
(b)センサ出力信号を与える、該ハウジング内の少なくとも反応性センサの部分と、
(c)該ハウジング内にあって、該反応性センサを励起する励起信号を発生するための波形発生器と、
(d)該ハウジング内にあって、3つ又はそれ以上のマッピング係数を持つ少なくとも第1Pade’近似マッピング関数に従う校正出力信号への励起センサの応答の表示であるセンサ応答信号をマッピングするマッピング回路と、
(e)該ハウジング内にあって、少なくとも該マッピング回路と該ハウジング外に延びる予め定められたデータ・リンクとの間の制御及びデータ・インタフェースを提供するためのデジタル・インタフェース回路と
を含むセンサ・モジュール。
【請求項30】
(a)測定されるべき供給物理パラメータに応答することができる反応性センサを励起する励起信号を発生するための波形発生器と、
(b)該供給物理パラメータに対する該励起されたセンサの応答を検出し、対応する検出信号を出力するための検出器と、
(c)該検出信号又は該検出信号から引き出される別の応答表示信号を、該可変物理パラメータをより正確に表す補正応答表示信号にマッピングするためのPade近似マッピング・ユニットを含むデジタル・プログラマブル補償回路と
を含む集積回路。
【請求項31】
(d)該センサにおける複数信号の検出された位相関係に応じて該補償回路の振る舞いを変更するための該補償回路に機能的に結合される位相検出器
を更に含む請求項30記載の集積回路。
【請求項32】
(d)少なくとも該プログラマブル補償回路と該集積回路外に延びる予め定められたデータ・リンクとの間の制御及びデータ・インタフェースを提供するためのデジタル・インタフェース回路
を更に含む請求項30記載の集積回路。
【請求項33】
前記波形発生器は、デジタルでプログラム自在であり、プログラムで定められた種々の励起信号を発生する請求項30記載の集積回路。
【請求項34】
前記波形発生器は、オン・チップ上に基準タイミングを含む請求項30記載の集積回路。
【請求項35】
前記Pade近似マッピング・ユニットは、
(c.1)第1デジタル乗算器と、
(c.2)該第1デジタル乗算器の出力に結合されるデジタル加算器と、
(c.3)該デジタル加算器の出力に結合される第2デジタル乗算器と
を含む請求項30記載の集積回路。
【請求項1】
(a)可変物理パラメータに応答する反応性センサと、
(b)該反応性センサに励起信号を供給するための波形発生器と、
(c)該励起信号及び該物理パラメータに対する該反応性センサの応答を検出し、該応答センサの前記応答を表す検出信号を出力するための検出器と、
(d)該検出信号又は該検出信号から引き出される別の応答表示信号を、該物理パラメータをより正確に表す補正応答表示信号にマッピングするためのPade近似マッピング・ユニットを含むデジタル・プログラマブル補償回路と
を備えるシステム。
【請求項2】
(d.1)該デジタル・プログラマブル補償回路は、更に、温度変動に応答し、前記別の応答表示信号を応答的に発生する温度補償ユニットを含む
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
(a.1)該反応性センサは可変インダクタンス要素を含む
請求項1記載のシステム。
【請求項4】
(a.2)該可変インダクタンス要素は単一コイルを有する
請求項3記載のシステム。
【請求項5】
(a.1)該反応性センサは相互インダクタンス要素を含む
請求項1記載のシステム。
【請求項6】
(a.2)該相互インダクタンス要素の相互インダクタンスは、該可変物理パラメータの関数として変化し、
(a.2)該相互インダクタンス要素は、1次巻線及び少なくとも1つの2次巻線を含み、
(b.1)該波形発生器は、該励起信号を該1次巻線に供給するように結合され、
(c.1)該検出器は、該励起信号及び該物理パラメータに対する該応答性センサの該応答を検出するための該少なくとも1つの2次巻線に結合される
請求項5記載のシステム。
【請求項7】
(a.1)該反応性センサは可変容量要素を含む
請求項1記載のシステム。
【請求項8】
(a.1)該反応性センサは、1又はそれ以上のゼロ出力を、測定下の可変物理パラメータの特定値で生成するゼロ生成要素を含み、該システムは更に、
(e)該ゼロ生成要素が対応するゼロのどちら側で動作しているかを決定するためのゼロ側検出器を含む
請求項1記載のシステム。
【請求項9】
(d.1)該デジタル・プログラマブル補償回路は、該ゼロ生成要素が対応するゼロのどちら側で動作しているかに依存しつつ異なる補償を提供するように該ゼロ側検出器に応答する
請求項8記載のシステム。
【請求項10】
(e.1)該ゼロ側検出器は位相検出器を含む
請求項8記載のシステム。
【請求項11】
(d.1)該Pade近似マッピング・ユニットは、
(d.1a)該検出信号又は該検出信号から引き出される該他の応答表示信号を入力信号として受信するように機能的に結合され、少なくとも第1入力端子、出力端子及び利得制御端子を持つ可変利得増幅器と、
(d.1b)第1オフセット信号に追加するための該可変利得増幅器の該出力端子に機能的に結合される第1合計器と、
(d.1c)該第1合計器の出力に機能的に結合され、プログラムで確立された比例フィードバック要因信号を受信するように結合され、増大されたフィードバック信号を対応して生成するための第1乗算器と、
(d.1d)プログラムで確立された利得要因信号を受信し、応じて、該可変利得増幅器の利得を、該プログラムで確立された利得要因信号及び該増大されたフィードバック信号の関数になるように機能的に結合される第2合計器と
を含む請求項1記載のシステム。
【請求項12】
該デジタル・プログラマブル補償回路は、更に、
(d.2)該第1合計器、第1乗算器、第2合計器の少なくとも1つと結合され、それぞれ該第1オフセット信号、比例フィードバック要因信号及び利得要因信号の少なくとも1つを定めるための係数定義手段
を含む請求項11記載のシステム。
【請求項13】
(e)検知された温度に応じて、該第1オフセット信号、比例フィードバック要因信号及び利得要因信号の少なくとも1つを、該係数定義手段に定めさせるための該係数定義手段に機能的に結合される温度センサ
を更に含む請求項12記載のシステム。
【請求項14】
(e)少なくとも該反応性センサの部分を収容し、更に該波形発生器、該検出器及び該デジタル・プログラマブル補償回路の少なくとも1つを収容するハウジング
を更に含む請求項1記載のシステム。
【請求項15】
(e.1)該ハウジングは、更に、該ハウジング外部のノードと前記波形発生器及びデジタル・プログラマブル補償回路の1又はそれ以上との間のシリアル・データ通信を提供するデジタル・インタフェース・ユニットを収容する
請求項14記載のシステム。
【請求項16】
(e.1)該ハウジングは、更に、少なくとも該反応性センサの部分が搭載される印刷回路板及び集積回路パッケージを収容し、該パッケージは、前記波形発生器、検出器及び該デジタル・プログラマブル補償回路の1つ又はそれ以上を含む
請求項14記載のシステム。
【請求項17】
(a)センサ励起信号を合成すること、
(b)該励起信号を可変物理パラメータによって変調される反応性センサに供給すること、
(c)該励起信号及び該物理パラメータの組合せに対する該反応性センサの応答を検出し、対応する検出応答信号を出力すること、
(d)少なくとも1つのPade近似補償回路の使用によって、該検出応答信号を補正応答信号に変換すること
を含む方法。
【請求項18】
合成すること、検出すること及び変換することのステップは、モノリシック集積回路内で実質実行される請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記合成することは、
(a.1)タイミング基準信号を受信すること、
(a.2)電圧又は電流基準信号を生成すること、
(a.3)アナログ電圧又は電流の大きさのステップ列を発生するのにデジタル−アナログ変換器を使用することを含み、前記大きさは、多数の該発生電圧又は電流基準信号であり、前記ステップのタイミングは、該受信したタイミング基準信号によって決定される
請求項17記載の方法。
【請求項20】
(a.4)該多重の発生電圧又は電流基準信号をプログラムで確立すること
を更に含む請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記検出することは、
(c.1)電圧パルスのおおよそピークの大きさが起こったときを決定すること、
(c.2)該大きさが該電圧パルスのおおよその該ピークの大きさであることが決定されるときに、該電圧パルスの大きさを表す量の電荷をキャパシタに充電すること
を含む請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記変換することは、
(d.1)変換出力信号の関数である時間可変利得信号を受信する可変利得増幅器を使用すること
を含む請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記変換することは、
(d.1)非直線性補正を提供することと切り離して、温度補正要因を提供すること
を含む請求項17記載の方法。
【請求項24】
前記変換することは、
(d.1)該少なくとも1つのPade近似補償回路の複数のPade近似係数を定めるためにプログラムで格納された係数を使用すること
を含む請求項17記載の方法。
【請求項25】
対応する組の複数のPade近似係数を定めるための少なくとも1つの組のプログラムで格納された複数の係数は、該可変物理パラメータの予め定められた設定に応じて予め定められた変換出力信号を確立する校正組である請求項24記載の方法。
【請求項26】
可変物理パラメータ及び励起信号の組合せに応答する反応性センサを含むセンサ・モジュールを校正する方法であって、該方法は、以下を含む:
(a)AC成分を持つ励起信号を該反応性センサに供給すること;
(b)該物理パラメータを少なくとも3つの予め定められた測定可能な値に設定すること;
(b)それぞれ分子及び分母の複数係数を持つPade’近似比に従って動作するプログラマブル変換ユニットを提供すること;
(c)該変換ユニットをプログラムで調整すること、それによりそれぞれの分子及び分母の複数係数を確立し、これら係数は、前記励起信号及び該少なくとも3つの予め定められ測定可能な該物理パラメータの値に対する該センサの応答から引き出される入力信号と、前記少なくとも3つの予め定められ測定可能な該物理パラメータの値に対応する少なくとも3つの標準化出力値を持つ対応出力信号との間の、所望のPade’近似マッピングを該変換ユニットに提供させる方法。
【請求項27】
(e)該センサの応答から引き出される入力信号及び該プログラマブル変換ユニットによって発生される出力信号の少なくとも1つに温度補償変換を適用すること
を更に含む請求項26記載の方法。
【請求項28】
(a)少なくとも3つの異なる物理パラメータ及び励起信号を反応性センサに供給すること、
(b)該少なくとも3つの異なる物理パラメータ及び該励起信号に対する該センサの対応する少なくとも3つの応答を決定すること、
(c)予め決められた対応する少なくとも3つの出力信号に対する該反応性センサの少なくとも3つの応答をマッピングするためのPade’近似マッピング・ユニット用の複数の係数を決定することを含む方法。
【請求項29】
(a)ハウジングと、
(b)センサ出力信号を与える、該ハウジング内の少なくとも反応性センサの部分と、
(c)該ハウジング内にあって、該反応性センサを励起する励起信号を発生するための波形発生器と、
(d)該ハウジング内にあって、3つ又はそれ以上のマッピング係数を持つ少なくとも第1Pade’近似マッピング関数に従う校正出力信号への励起センサの応答の表示であるセンサ応答信号をマッピングするマッピング回路と、
(e)該ハウジング内にあって、少なくとも該マッピング回路と該ハウジング外に延びる予め定められたデータ・リンクとの間の制御及びデータ・インタフェースを提供するためのデジタル・インタフェース回路と
を含むセンサ・モジュール。
【請求項30】
(a)測定されるべき供給物理パラメータに応答することができる反応性センサを励起する励起信号を発生するための波形発生器と、
(b)該供給物理パラメータに対する該励起されたセンサの応答を検出し、対応する検出信号を出力するための検出器と、
(c)該検出信号又は該検出信号から引き出される別の応答表示信号を、該可変物理パラメータをより正確に表す補正応答表示信号にマッピングするためのPade近似マッピング・ユニットを含むデジタル・プログラマブル補償回路と
を含む集積回路。
【請求項31】
(d)該センサにおける複数信号の検出された位相関係に応じて該補償回路の振る舞いを変更するための該補償回路に機能的に結合される位相検出器
を更に含む請求項30記載の集積回路。
【請求項32】
(d)少なくとも該プログラマブル補償回路と該集積回路外に延びる予め定められたデータ・リンクとの間の制御及びデータ・インタフェースを提供するためのデジタル・インタフェース回路
を更に含む請求項30記載の集積回路。
【請求項33】
前記波形発生器は、デジタルでプログラム自在であり、プログラムで定められた種々の励起信号を発生する請求項30記載の集積回路。
【請求項34】
前記波形発生器は、オン・チップ上に基準タイミングを含む請求項30記載の集積回路。
【請求項35】
前記Pade近似マッピング・ユニットは、
(c.1)第1デジタル乗算器と、
(c.2)該第1デジタル乗算器の出力に結合されるデジタル加算器と、
(c.3)該デジタル加算器の出力に結合される第2デジタル乗算器と
を含む請求項30記載の集積回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−525673(P2007−525673A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500843(P2007−500843)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/019565
【国際公開番号】WO2006/009608
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(506291335)エーエムアイ セミコンダクター インク (1)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/019565
【国際公開番号】WO2006/009608
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(506291335)エーエムアイ セミコンダクター インク (1)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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