説明

ふろ給湯機

【課題】追焚きスイッチあるいは高温差し湯スイッチが操作されて浴槽水が昇温された直後に人が入浴すると、浴槽水の温度が十分であるにも関わらず、入浴追焚き運転が開始されてしまい、入浴者が不快に感じることがあった。
【解決手段】浴槽12の湯を循環加熱するふろ熱交換器13と、浴槽水をふろ循環回路14に循環させるふろ循環ポンプ15と、浴槽12内の水位を検出する水位センサ19と、浴槽水の昇温を指示する昇温スイッチ36、37と、水位センサ19によって浴槽12内への人の入浴を検知すると、ふろ循環ポンプ15を駆動して浴槽水を加熱する入浴追焚き運転を行うと共に、入浴追焚き運転の終了時に所定時間のカウントを開始し、所定時間のカウント中は入浴追焚き運転を禁止する入浴追焚き制御手段41とを備え、入浴追焚き制御手段41は、昇温スイッチ36、37が操作された場合に、所定時間のカウントをリセットするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽への人の入浴を検知すると追焚き運転を行うようにしたふろ給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の給湯機においては、特許文献1のように、浴槽の湯を循環加熱するふろ熱交換器と、浴槽と前記ふろ熱交換器とを循環可能に接続するふろ循環回路と、浴槽水を前記ふろ循環回路に循環させるふろ循環ポンプと、浴槽内の水位を検出する水位センサと、浴槽へ湯を供給する湯張り管と、浴槽水の昇温を指示する昇温スイッチと、前記水位センサによって浴槽内への人の入浴を検知すると、前記ふろ循環ポンプを駆動して浴槽水を加熱する入浴追焚き運転を行い、入浴追焚き運転の終了後から一定時間は人の入浴を検知しても追焚き運転を行わないようにしたふろ給湯機があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−241555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この従来のものでは、浴槽水を昇温するために、浴室のリモートコントローラの追焚きスイッチあるいは高温差し湯スイッチが操作された場合、浴槽水が昇温された直後に人が入浴すると、浴槽水の温度が十分であるにも関わらず、入浴追焚き運転が開始されてしまい、入浴者が不快に感じることがあったと同時に、不要な追焚き運転が行われるためエネルギーを無駄にしてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、浴槽の湯を循環加熱するふろ熱交換器と、浴槽と前記ふろ熱交換器とを循環可能に接続するふろ循環回路と、浴槽水を前記ふろ循環回路に循環させるふろ循環ポンプと、浴槽内の水位を検出する水位センサと、浴槽へ湯を供給する湯張り管と、浴槽水の昇温を指示する昇温スイッチと、前記水位センサによって浴槽内への人の入浴を検知すると、前記ふろ循環ポンプを駆動して浴槽水を加熱する入浴追焚き運転を行うと共に、入浴追焚き運転の終了時に所定時間のカウントを開始し、前記所定時間のカウント中は入浴追焚き運転を禁止し、前記所定時間のカウント後は入浴追焚き運転を実行可能とする入浴追焚き制御手段とを備え、前記入浴追焚き制御手段は、前記昇温スイッチが操作された場合に、所定時間のカウントをリセットするようにした。
【0006】
また、前記昇温スイッチが操作されると、前記湯張り管から高温の湯を供給して昇温するか、または、前記ふろ循環ポンプを駆動して浴槽水を循環加熱するか、いずれか一方の動作を行うようにした。
【0007】
また、前記浴槽へふろ設定温度の湯を足す足し湯運転、または、前記浴槽へ低温の湯水を供給する差し水運転を行った場合は、所定時間のカウントをリセットしないようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、昇温スイッチによる浴槽水の昇温動作が行われた後は、浴槽水が温度低下するまでの所定時間は人が入浴しても入浴追焚きを行わないようにしたので、過剰に浴槽水を昇温してしまうことがないと同時に、昇温のために無駄なエネルギーを使うことがなく、省エネ性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の貯湯式ヒートポンプ給湯機の概略構成図
【図2】同一実施形態の作動を説明するためのフローチャート
【図3】同一実施形態の作動を説明するためのタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態の貯湯式ヒートポンプ給湯機を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯するステンレス製の貯湯タンク、2は貯湯タンク1底部に市水を給水する給水管、3は貯湯タンク1頂部から出湯する出湯管、4は給水管2から分岐された給水バイパス管、5は出湯管3からの湯と給水バイパス管4からの水とを給湯設定温度になるように混合する給湯混合弁、6は給湯混合弁5で混合された湯が流通する給湯管、7は給湯管6からの湯を給湯する給湯栓、8は給湯管6途中に設けられ給湯温度を検出する給湯温度センサ、9は給湯管6途中に設けられ給湯量を検出する給湯流量センサ、10は給水管2に設けられ市水の給水圧を一定の圧力に減圧する減圧弁、11は貯湯タンク1内の過圧を逃がす過圧逃がし弁である。
【0011】
12は浴槽、13は貯湯タンク1内の上部に設けられ貯湯タンク1内の湯の熱で外部流体としての浴槽水を加熱するためのふろ熱交換器、14は浴槽12とふろ熱交換器13とを浴槽水が循環可能に接続するふろ循環回路、15はふろ循環回路14途中に設けられ浴槽水を循環させるふろ循環ポンプ、16は給湯管6から分岐されふろ循環回路14に接続された湯張り管、17は湯張り管16途中に設けられ湯張り管16を開閉する湯張り弁、18はふろ循環回路14途中に設けられ浴槽12からふろ熱交換器13へ流れる浴槽水の温度を検出するふろ温度センサ、19は浴槽12内の水位を圧力で検出する水位センサである。
【0012】
20は貯湯タンク1内の湯水を加熱するためのヒートポンプ式加熱手段で、冷媒を圧縮する圧縮機21と、冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器22と、冷媒の圧力を減圧する減圧器23と、液冷媒を蒸発させる蒸発器24とを備え、蒸発器24で吸熱した冷媒を圧縮機21で圧縮して冷媒水熱交換器22を介して水を加熱するようにしている。蒸発器24には送風機25が設けられると共に、通風経路の蒸発器24の上流側には、外気温度を検出するための外気温度センサ26が設けられている。このヒートポンプ式加熱手段20には冷媒として二酸化炭素冷媒が用いられ、高圧側が超臨界状態となることにより水を90℃の高温まで加熱することができるものである。
【0013】
27は貯湯タンク1の下部と冷媒水熱交換器21の水側と貯湯タンク1の上部とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路、28は加熱循環回路27途中に設けられた加熱循環ポンプ、29は冷媒水熱交換器22へ流入する水の温度を検出する入水温度センサ、30は冷媒水熱交換器22で加熱された湯の温度を検出する沸き上げ温度センサである。
【0014】
31は貯湯タンク1の側面の上下方向に複数設けられた貯湯温度センサで、貯湯タンク1内の湯水の温度を検出するためのものであり、上から31a、31b、31c、31d、31eと呼ぶ。なお、これら貯湯温度センサ31a〜eの内、最下部の貯湯温度センサ31eは所定量以上の給湯が行われた際に貯湯タンク1下部の湯水の温度を検出して給水温度を検出し給水温度センサとして作動するものである。
【0015】
32は浴室等に設けられるリモートコントローラで、給湯機に関する各種の情報(給湯設定温度、ふろ設定温度、残湯量、給湯機の作動状態等)を表示する表示部33と、給湯設定温度、ふろ設定温度、ふろ設定湯量等を設定操作するための設定スイッチ34と、浴槽12へふろ設定湯量の湯張りを指示する湯張りスイッチ35と、浴槽水をふろ熱交換器13で循環加熱させる追焚きスイッチ36と、高温差し湯運転を指示する高温差し湯スイッチ37と、ふろ設定温度の湯を一定量足し湯する足し湯スイッチ38と、給水あるいは低温の湯を一定量差し水する差し水スイッチ39とを備えている。
【0016】
40は給湯温度センサ8、給湯流量センサ9、ふろ温度センサ18、水位センサ19、外気温度センサ26、入水温度センサ29、沸き上げ温度センサ30、貯湯温度センサ31a〜eの検出値が入力され、ふろ循環ポンプ15、湯張り弁17、圧縮機21、減圧器23、送風機25、加熱循環ポンプ28の作動を制御すると共に、リモートコントローラ32と通信可能に接続された制御手段である。この制御手段40は、予め給湯機の作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、時計機能を有しているものである。
【0017】
そして、この制御手段40には、水位センサ19によって浴槽12内への人の入浴を検知すると、ふろ循環ポンプ15を駆動して浴槽水を加熱する入浴追焚き運転を行うと共に、所定時間のカウントを開始し、所定時間のカウント中は人の入浴の検知を禁止あるいは以後の入浴追焚き運転を禁止する入浴追焚き制御手段41が設けられている。
【0018】
次に、この一実施形態の作動について図2のフローチャートに基づいて説明する。
リモートコントローラ32の湯張りスイッチ35が操作されると、湯張り弁17を開いて給湯混合弁5でふろ設定温度に調節した湯を浴槽12へ湯張りする。ふろ設定湯量を湯張りしたことを給湯流量センサ9でカウントすると、湯張り弁17を閉じて湯張りを完了する(ステップS1)。
【0019】
そして、入浴追焚き制御手段41は湯張り完了と同時に所定時間のカウントを開始し、このカウント値が所定時間に達すると(ステップS2でYes)、水位センサ19の検出値を監視し、浴槽12への人の入浴があるかどうかを検知する(ステップS3)。このとき、入浴追焚き制御手段41は、現在の水位センサ19の検出値と、30秒前の水位センサ19の検出値とを比較し、一定水位以上上昇していたら人が入浴したと判断するようにしている。
【0020】
入浴追焚き制御手段41は、人の入浴を検知したら、ふろ循環ポンプ15を駆動して、浴槽水をふろ熱交換器13で加熱する追焚き運転を開始し、ふろ温度センサ18で検出する浴槽水の温度がふろ設定温度よりも1〜2℃程度高い追焚き設定温度に到達したら追焚き運転を停止し(ステップS4)、所定時間のカウントをリセットして0からカウントを再開し(ステップS5)、再度ステップS2へ戻るようにしている。
【0021】
ここで、前記の所定時間は一旦ふろ設定温度または追焚き設定温度に達した浴槽水がぬるく感じない下限の温度まで降温するであろう時間が予め設定されているもので、所定時間のカウントアップ前の浴槽水の温度があまり低くない状態においては人が入浴しても入浴追焚きが開始されず、過剰な追焚き運転を行わせることがなく、また、所定時間のカウントアップ後は浴槽水の温度が少し低下しているため、人が入浴したことが検知されたら直ぐに追焚き運転を行って浴槽水を昇温するので快適に入浴することが可能となる。
【0022】
ここで、ステップS2以降のいずれかのタイミングでリモートコントローラ32の追焚きスイッチ36が操作されると、直ちにステップS6からステップS4へ移行し、ふろ循環ポンプ15を駆動して、浴槽水をふろ熱交換器13で加熱する追焚き運転を開始し、ふろ温度センサ18で検出する浴槽水の温度がふろ設定温度よりも1〜2℃程度高い追焚き設定温度に到達したら追焚き運転を停止し(ステップS4)、所定時間のカウントをリセットして0からカウントを再開し(ステップS5)、再度ステップS2へ戻るようにしている。
【0023】
また、ステップS2以降のいずれかのタイミングでリモートコントローラ32の高温差し湯スイッチ37が操作されると、直ちにステップS7からステップS8へ移行し、湯張り弁17を開いて給湯混合弁5で予め定められた高温差し湯設定温度(例えば60℃)に調節した湯を予め設定された量だけ浴槽12へ供給し、その後湯張り弁17を閉じて高温差し湯運転を完了する(ステップS9)。そして、所定時間のカウントをリセットして0からカウントを再開し(ステップS5)、再度ステップS2へ戻るようにしている。
【0024】
このように、追焚き運転あるいは高温差し湯運転を行った際は、追焚き運転あるいは高温差し湯運転を行って浴槽水が昇温された後に入浴があった場合、従来は所定時間のカウントが終了しているために図3中の一点鎖線で示すように入浴検知によって入浴追焚き運転が行われて浴槽水の温度が過剰に昇温されてしまうこととなるが、この実施形態においては、追焚き運転あるいは高温差し湯運転を行った後に所定時間をリセットするので、図3中の実線で示すように浴槽水の温度が高い間は入浴検知しても入浴追焚きが行われないため、過剰に浴槽水を昇温してしまうことがないと同時に、昇温のための無駄なエネルギーを使うことがなく、省エネ性が向上する。
【0025】
また、無駄な追焚き運転が行われないため、貯湯式ヒートポンプ給湯機においては、ふろ追焚きの熱源となる貯湯タンク1の貯湯温水の熱量が消費されないため、追焚きによる中温水の発生を抑制し、その結果、中温水をヒートポンプ式加熱手段20で沸き上げることに起因するCOP(加熱効率)の悪化も抑制することができる。
【0026】
ここで、ステップS2以降のいずれかのタイミングでリモートコントローラ32の足し湯スイッチ39あるいは差し水スイッチ40が操作された場合は、制御手段41は足し湯運転あるいは差し水運転を行うが、入浴追焚き制御手段42は所定時間のカウントをリセットしないようにしている。
【0027】
このように、足し湯運転や差し水運転を行った後は、浴槽水の温度が昇温されていないため、入浴検知された際に直ちに入浴追焚き運転を行って、入浴者が快適に入浴できるようにしているものである。
【0028】
なお、この実施形態においては追焚きスイッチ36、高温差し湯スイッチ37を別々のスイッチとして説明したが、これに限らず、いずれか一方のスイッチのみとしたり、一つの昇温スイッチとして構成し、貯湯タンク1内の残湯量、スイッチ操作時の時間帯、あるいは沸き上げ目標温度の高低などの昇温スイッチが操作された際の状況に応じて追焚き運転か高温差し湯運転の何れか一方を自動的に選択して実行する構成としてもよいものである。
【0029】
なお、本発明は貯湯式ヒートポンプ給湯機を例に説明したが、これに限定されず要旨を変更しない範囲で改変が可能なもので、例えば電気温水器や石油給湯機であっても良いものである。
【符号の説明】
【0030】
12 浴槽
13 ふろ熱交換器
14 ふろ循環回路
15 ふろ循環ポンプ
16 湯張り管
19 水位センサ
36 追焚きスイッチ(昇温スイッチ)
37 高温差し湯スイッチ(昇温スイッチ)
38 足し湯スイッチ
39 差し水スイッチ
41 入浴追焚き制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の湯を循環加熱するふろ熱交換器と、浴槽と前記ふろ熱交換器とを循環可能に接続するふろ循環回路と、浴槽水を前記ふろ循環回路に循環させるふろ循環ポンプと、浴槽内の水位を検出する水位センサと、浴槽へ湯を供給する湯張り管と、浴槽水の昇温を指示する昇温スイッチと、前記水位センサによって浴槽内への人の入浴を検知すると、前記ふろ循環ポンプを駆動して浴槽水を加熱する入浴追焚き運転を行うと共に、入浴追焚き運転の終了時に所定時間のカウントを開始し、前記所定時間のカウント中は入浴追焚き運転を禁止し、前記所定時間のカウント後は入浴追焚き運転を実行可能とする入浴追焚き制御手段とを備え、前記入浴追焚き制御手段は、前記昇温スイッチが操作された場合に、所定時間のカウントをリセットするようにしたことを特徴とするふろ給湯機。
【請求項2】
前記昇温スイッチが操作されると、前記湯張り管から高温の湯を供給して昇温するか、または、前記ふろ循環ポンプを駆動して浴槽水を循環加熱するか、いずれか一方の動作を行うことを特徴とする請求項1記載のふろ給湯機。
【請求項3】
前記浴槽へふろ設定温度の湯を足す足し湯運転、または、前記浴槽へ低温の湯水を供給する差し水運転を行った場合は、所定時間のカウントをリセットしないようにしたことを特徴とする請求項2記載のふろ給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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