説明

アクチュエータ

本発明は、プレート型のアクチュエータに関し、アクチュエータにおいて定常音波を励起させるための少なくとも2つの発生器を備える。アクチュエータは、少なくとも2つの主面と主面に対して垂直に延在する対称面Sとを含む。発生器は、対称面Sに対して対称に配置され、アクチュエータの実質的に平坦な第一の側面領域に配置される。アクチュエータはさらに、被駆動要素に対して摩擦接触するように設けられた少なくとも一つの摩擦要素および/または少なくとも一つの摩擦層を有する。第一の側面領域は、アクチュエータにおいて励起された定常音波の波長に実質的に対応する長さLを有する。本発明によれば、アクチュエータの第二の側面領域の長さBは、アクチュエータにおいて励起された定常音波の波長より大きく、励起された定常音波の波長の半分の倍数に等しくない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関し、好ましくはプレートの形状の圧電アクチュエータに関する。アクチュエータは、アクチュエータにおいて定常音波を励起させるための少なくとも2つの発生器を含む。アクチュエータは、少なくとも2つの主面と、主面に対して垂直に延在する対称面Sとを有する。発生器は、この対称面に対して対称に配置され、アクチュエータの実質的に平坦な第一の側面領域に配置される。少なくとも一つの摩擦要素および/または少なくとも一つの摩擦層が、被駆動要素と摩擦接触するように設けられる。第一の側面領域は、アクチュエータにおいて励起される定常音波の波長に実質的に対応する長さLを有する。
【背景技術】
【0002】
このような矩形圧電プレート形のアクチュエータは、ドイツ出願公開DE102004024656A1により公知である。アクチュエータにおいて励起された定常音波は、アクチュエータの2つの長い表面に沿って伝搬する。なぜなら、上記の表面の長さが定常音波の共振長に相当するためである。このモータのアクチュエータの歪みは、このアクチュエータの縦方向の対称面に対して対称に起こる。これは、モータのアクチュエータが、内部摩擦によって縦方向の対称面に対して対称に加熱されることを意味する。摩擦要素が配置されていないアクチュエータの面は、摩擦要素が配置されている面と全く同じように加熱される。このような理由から、内部摩擦によってアクチュエータ内に明瞭なエネルギー損失が起こる。
【0003】
対応するモータにおいてアクチュエータが使用されると、アクチュエータが外から支持される点、すなわち接着点または支持点において、外部摩擦が生じる。ここでもアクチュエータの振動がかなり速いことから、上記の外部摩擦によって、さらなる熱が少なくとも部分的にアクチュエータ内に導入される結果となる。
【0004】
アクチュエータの内部摩擦および外部摩擦によって引き起こされる機械的損失により、アクチュエータの全体的な振動速度が落ち、その結果として、アクチュエータによって駆動される要素の動作速度も落ちる。これにより、対応するモータの効率が落ちる。同時に、内部摩擦および外部摩擦によって引き起こされるアクチュエータの加熱が機械的損失につながり、その結果として、アクチュエータの動作の信頼性が落ちる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、作動時における内部摩擦と外部摩擦を明らかに減らし、自己加熱が少なく、効率の向上およびより良好な動作信頼性を実現するアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、冒頭で言及した種類のアクチュエータにおいて、さらにアクチュエータの第二の側面領域の長さBが、アクチュエータにおいて励起される定常音波の波長よりも大きく、励起される定常音波の波長の半分の倍数に等しくならないように形成することにより、達成される。
【0007】
アクチュエータは、第一の側面領域の縦振動における第二モードの共振周波数に実質的に対応する周波数を以て、少なくとも一つの発生器が作動して振動するように電気的に制御されるのが好ましい。この結果、第一の側面領域の長さLに対応する長さを有する音波が、第一の側面領域またはその表面(共振面)に沿って伝搬する。
【0008】
第二の側面領域の長さBは、アクチュエータにおいて励起される波の波長の半分の倍数に対応しないので、音波は第二の側面領域またはその表面に沿って伝搬しない。この周波数では、第二の側面領域の表面は、共振面に相当しない(非共振面)。
【0009】
これは、共振面に位置するアクチュエータの質点が、非共振面に位置する質点よりも大きな平均振幅を有することを意味する。本発明によるアクチュエータの場合、アクチュエータの共鳴振動が起こる共振領域は、結果として実質的に特定することができる。アクチュエータの非共振領域は、この共振領域の外に位置する。共振領域内において、質点における平均振動振幅は、アクチュエータの他の領域よりも大きい。これにより、内部摩擦によって引き起こされる機械的損失または加熱は、非共振領域の方が共振領域よりも小さいといえる。
【0010】
本発明によるアクチュエータが非共振領域の所定の場所または点に支持または固定される場合、この面における質点の振動速度が低いため、外部摩擦による機械的損失は減少する。
【0011】
内部摩擦および外部摩擦による機械的損失が非共振領域において減少するため、アクチュエータの全体的な加熱が減り、その結果として、有効性の向上および動作信頼性の向上が達成される。
【0012】
さらなる利点として、所与の共振長Lに関して、本発明によるアクチュエータは、ドイツ公報DE102004024656A1による技術から公知のアクチュエータよりも大きさがかなり小さい。このような状況により、アクチュエータにおける機械的損失が同様に減少する。
【0013】
所与の励起電圧において、機械的損失を減らすことによって摩擦要素の振動速度を速くすることができる。これにより、アクチュエータにより駆動される要素の動作速度を高めることができる。結果として、対応するモータの効率が上がる。
【0014】
本発明のアクチュエータにおいては、内部摩擦および外部摩擦による機械的損失を減少させることによって、アクチュエータの電気入力インピーダンスの活性成分がこのインピーダンスの容量性成分に比例して減少する。これにより、アクチュエータの入力容量の充電電流および容量性電流が、アクチュエータを流れる電流の活性成分に比例して減少する。
【0015】
これら両方によって、アクチュエータの電気的励起に使用される電力増幅器における損失が低くなり、その結果として、電力増幅器におけるトランジスタの加熱が減少する。これにより、本発明によるアクチュエータでは、他の慣用の分離フィルタを使用することなく、例えば、音波発生器を直接的にブリッジ電力増幅器に接続することができる。これにより、電気的励起装置の構成が簡素化され、同装置の加熱が減少し、モータの動作信頼性が向上する。
【0016】
本発明によるアクチュエータの好ましい形態は、従属請求項の対象である。
第二の側面領域は、以下の要件のうち少なくとも一つを満たすと都合が良い。
【0017】
a)第二の側面領域は、少なくとも部分的に湾曲している。
b)第二の側面領域は、少なくとも1つの凹部および/または少なくとも1つの凸部を含む。
【0018】
c)第二の側面領域は、少なくとも部分的に平坦である。
d)第二の側面領域は、第一の側面領域とは別に配列される2つ以上の平坦部からなる。
【0019】
e)第二の側面領域は、平坦部と湾曲部とからなる。
アクチュエータのこのような形態により、設計の可能性が広がり、例えば、アクチュエータが構成または使用される形状的または構造的状態に対して選択的に適合させることができる。これに関連し、第二の側面領域を単一の面または複数の面として構成することが考えられる。多面構成の場合、第二の側面領域が一連の平坦部と湾曲部とを有することがさらに考えられる。
【0020】
特に、ここでアクチュエータが以下の要件のうち少なくとも一つを満たすと都合が良い。
【0021】
a)上から見て、アクチュエータは、円形部分または楕円形部分の形成を有する。
b)上から見て、アクチュエータは、二等辺台形の形状を有する。
【0022】
これらの幾何学的形状は、製造が比較的容易である。
第二の側面領域の上には少なくとも1つの点があり、この点から第一の側面領域と対称面Sとの交点への距離が、アクチュエータにおいて励起される波の波長の半分に実質的に対応すると、より都合が良い。これにより、モータの効率が向上する。
【0023】
摩擦要素および/または摩擦層は、以下の要件のうち少なくとも一つを満たすとさらに都合が良い。
【0024】
a)摩擦要素および/または摩擦層の配置は、対称面Sに対して対称である。
b)摩擦要素および/または摩擦層の配置は、第一の側面領域の全体に沿う。
【0025】
これにより、アクチュエータの設計可能性が広がる。
作動時において超音波範囲でアクチュエータの振動を行うと、より好ましい。これにより、アクチュエータの適用範囲が広がる。
【0026】
同様に、アクチュエータを単層または多層とし、層が圧電材料、好ましくは圧電セラミック材料からなると都合が良い。単層構造は、比較的実施しやすい。多層構造の場合、電気的励起電圧を単層構造の場合よりもかなり小さくすることができる。一般に、圧電材料は比較的高い(逆性の)圧電効果を有し、特に効果的である。
【0027】
本発明は、さらに上述の好都合な実施例のいずれか1つに係るアクチュエータを少なくとも1つ有するモータに関する。モータは、被駆動要素と、電気的励起装置とをさらに有する。
【0028】
これに関連し、モータが4つのアクチュエータを有し、アクチュエータの各々が二等辺台形の形状であり、これらがマルタ十字架を形成するように配置されると都合が良い。ここで、アクチュエータが接続要素によって互いに接続され、接続要素が少なくとも部分的に各アクチュエータの第二の側面領域に接触していると都合が良い。接続部材は、遮音材料を有する、好ましくは遮音材料からなると都合が良い。遮音材料は、酸化物セラミックまたはアクチュエータと同じ材料からなることが好ましい。これにより、特に効果的かつ動作信頼性の高いモータが得られる。
【0029】
モータのアクチュエータは、フィードバック要素を有すると都合が良い。好ましい構成においては、フィードバック要素の出力は、入力電圧の第一の調波のためのフィルタに接続される。これにより、モータのアクチュエータのための励起電圧の周波数を最適に設定することができる。
【0030】
同様に、モータの電気的励起装置は、以下の要件のうち少なくとも1つを満たすと都合が良い。
【0031】
a)電気的励起装置は、アクチュエータにおいて右に傾斜する非対称定常波または左に傾斜する非対称定常波を励起するための発生器の1つに電気的励起装置を接続するために使用される切換えスイッチを有する。
【0032】
b)電気的励起装置は、周期的な非対称電圧を供給し、発生器は逆相で互いに接続されている。
【0033】
c)電気的励起装置は、1つの発生器または両方の発生器に対して直接的に、または昇圧器(Aufspanntransformator)を用いて接続された半ブリッジ電力増幅器またはブリッジ電力増幅器を有する。
【0034】
d)電気的励起装置は、出力が電力増幅器の入力に接続された電圧励起用の制御発生器を有する。制御発生器の制御入力は、相検出器の出力に接続される。この相検出器の測定入力は、電力増幅器の出力に対して直接的に、またはフィルタを用いて接続され、支持入力は、フィードバック回路要素の出力に対して直接的に、または第一の調波のフィルタを用いて接続される。
【0035】
e)電気的励起装置は、電力増幅器の電圧供給のためのPWM制御部を有する。
f)電気的励起装置は、第一の調波のための1つまたは2つのフィルタと、相検出器と、電気的励起装置のための制御発生器と、電力増幅器の供給電圧のPWM制御部のPWM変調器とをソフトウェアで実施するためのデジタル演算ユニットを有する。
【0036】
切換えスイッチは、被駆動要素の動きの方向を変更することを可能にする。1つの発生器または両方の発生器に対して直接的に、または昇圧器によって接続された半ブリッジ電力増幅器またはブリッジ電力増幅器を設けることにより、電気的励起装置における損失が大幅に減少する。制御発生器を上述の方法によって設けることで、励起電圧の周波数を安定させることができる。電力増幅器の供給電圧のためのPWM制御部を電気的励起装置に配備することにより、被駆動要素の動作速度を制御することができる。上述の方法によってデジタル演算ユニットを設けることにより、電気的励起装置の電気回路構成が簡素化される。
【0037】
被駆動要素の位置または動作速度のためのエンコーダを被駆動要素に設け、被駆動要素の位置または動作速度のためのデジタル制御部を電気的励起装置に配備すると都合が良い。被駆動要素の位置または動作速度のためのデジタル制御部を、デジタル演算ユニットのソフトウェアにより実施すると都合が良い。この方法により、モータの機能を正確に制御することができる。
【0038】
本発明の好ましい更なる構成は、従属請求項の組み合わせまたはその一部により得られる。
【0039】
概略的であって、尺度どおりでない態様で以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】摩擦要素を有する本発明に係るアクチュエータを含むモータを示す図である。
【図2】摩擦層を有する本発明に係るアクチュエータを含むモータを示す図である。
【図3】斜視図(描写13)および上面図(描写14)における本発明に係るアクチュエータの実施例を示す図である。
【図4】描写18:本発明に係る単層アクチュエータの断面図であり、描写19:本発明に係る多層アクチュエータの断面図である。
【図5】描写22、25、および26:本発明に係るアクチュエータの実施例を示す図である。
【図6】描写28および29:湾曲した第二の側面領域を有する本発明に係るアクチュエータを示す図である。
【図7】描写32および33:複数の平坦部が形成された第二の側面領域を有する本発明に係るアクチュエータを示す図である。
【図8】描写34:第一の側面領域の全体に沿って摩擦層が配置された本発明に係るアクチュエータを示す図であり、描写35:対称的に配置された摩擦要素を有する本発明に係るアクチュエータを示す図である。
【図9】描写36および37:上面視において台形形状を有する本発明に係るアクチュエータを示す図である。
【図10】描写41:上面視において台形形状を有する本発明に係るアクチュエータを示す図であり、描写42:接続要素を用いて互いに音響的に接続された、描写41の本発明に係る4つのアクチュエータの配置を示す図である。
【図11】描写45:実質的に三角形状を有し、接続要素によって互いに接続された本発明に係る4つのアクチュエータの配置を示す上面図であり、描写46:描写45の配置を示す斜視図である。
【図12】描写47:接続要素によって接続され、摩擦層を有する本発明に係る4つのアクチュエータの配置を示す上面図であり、描写48:描写47の配置を示す斜視図である。
【図13】円盤形状を有する被駆動要素を回転駆動させるための本発明に係るアクチュエータを有するモータを示す図である。
【図14】互いに対向して配置され、その間に配置された棒状の被駆動要素を動かすための本発明に係る2つのアクチュエータを有するモータを示す図である。
【図15】各々が摩擦要素を有する本発明に係る4つのアクチュエータを含むモータの実施例を示す図である。
【図16】各々が摩擦要素を有する、本発明に係る4つのアクチュエータを含むモータのさらなる実施例を示す図である。
【図17】各々が摩擦層を有する、本発明に係る4つのアクチュエータを含むモータの実施例である。
【図18】モータのアクチュエータに対する電気的励起装置の接続を説明するためのブロック図である。
【図19】描写54:非励起状態(unerregten Zustand)における本発明に係るアクチュエータの上面図である。描写55および56:異なる時点において描写54の本発明に係る励起されたアクチュエータが変形した状態を示す図である。
【図20】描写57:基底状態において台形形状を有する本発明に係るアクチュエータの上面図であり、描写58および59:異なる時点において描写57の本発明に係る励起したアクチュエータが変形した状態を説明するための図である。
【図21】モータの機能的原理を説明するための図である。
【図22】音響的に分離された本発明に係る複数のアクチュエータに対する電気的励起装置の接続を説明するためのブロック図である。
【図23】互いに音響的に接続された本発明に係る複数のアクチュエータに対する電気的励起装置の接続を説明するためのブロック図である。
【図24】電気的励起装置の実施例を示すブロック図である。
【図25】電気的励起装置のさらなる実施例を示すブロック図である。
【図26】本発明に係るアクチュエータに対する電気的励起装置の接続を示すためのブロック図であって、発生器が逆相で接続された状態(描写75)または異なる極性を有する状態(描写79)を示す図である。
【図27】モータのさらなる機能的原理を説明するための図である。
【図28】電気的励起装置のさらなる実施例を示すブロック図である。
【図29】電気的励起装置のさらなる実施例を示すブロック図である。
【図30】描写88〜描写91:本発明に係るアクチュエータのフィードバック要素の実施例を示すブロック図である。
【図31】第一の調波のためのフィルタに対するフィードバック要素の接続を示すブロック図である。
【図32】相検出器の設置について説明するためのブロック図である。
【図33】電気的励起装置のさらなる実施例を示すブロック図である。
【図34】電気的励起装置のさらなる実施例を示すブロック図である。
【図35】電気的励起装置のさらなる実施例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1および図2は、本発明に係るアクチュエータを有するモータの変形例を示す。モータは、それぞれアクチュエータ1を有する。アクチュエータ1は、2つの定常音波発生器2を有する圧電プレートとして構成され、摩擦要素3(図1)または摩擦層4(図2)が設けられる。摩擦要素3または摩擦層4は、ばね要素6を用いて、被駆動要素5に対して押し当てられる。被駆動要素5は、2つ(図1)または1つ(図2)のボールベアリング7によって保持され、可動な態様で支持される。取付要素9は、ハウジング8に対してアクチュエータ1が動かないように、アクチュエータ1を所定位置に固定する。
【0042】
アクチュエータ1は、2つの主面10と、第一の側面領域11と、第二の側面領域12とを含む。第一の側面領域11の面は共振面に相当し、第二の側面領域12の面は非共振面に相当する。第一の側面領域は平坦な形状を有する、すなわち、対応面が平坦である。第一の側面領域または共振面の長さはLである。第二の側面領域12は曲面を有し、平坦ではない。第二の側面領域または非共振面の長さはBである。共振面11の長さLは、アクチュエータ1において励起された音波の波長に等しい。非共振面12の長さBは、アクチュエータ1において励起された音波よりも長く、励起された波の波長の半分の倍数とは等しくない。
【0043】
摩擦要素3(図1)および摩擦層4(図2)は、アクチュエータ1の非共振面11の上に配置される。すなわち、いずれの場合においても、主面10に対して垂直に延在する(図示しない)対称面Sに対して対称となる。定常波発生器2も、同様に上述の対称面(S)の2つの面に対して対称に配置される。
【0044】
図3に示される本発明に係るアクチュエータの実施例によれば、共振面11に対して垂直な方向におけるアクチュエータ1の寸法Lは変更され、図3の描写14に示されるように、値L1、L2、L3を伴って延在する。アクチュエータ1において励起された波の共振は、長さLを有する第一の側面領域または共振面に沿って引き起こされる。この共振は、アクチュエータ1の共振領域23を含む。共振長Lと共振領域23とによって、アクチュエータ1の主な共振長および共振領域が形成される。本発明は、1つの共振長Lおよび1つの共振領域23のみが存在するアクチュエータ1の構造的設計を提供する。アクチュエータ1の厚さhは、例えば共振長Lの5分の1から10分の1よりも小さい。アクチュエータ1は、共振面11の中央部に延在して共振面11および主面10に対して垂直な面Sに対して対称となるように適用される。図3の描写13および描写14において、線pは、面Sとアクチュエータ1との交差線を示す。
【0045】
図4の描写18によれば、各定常音波発生器2は、励起電極層15と、一般電極層16と、これらの間に設けられる圧電セラミック層17とを含む三層構造を有することができる。図4の描写19に示されるように、各定常波発生器2は、多数の層15、16、17が交互に設けられた多層構造を有してもよい。ここで、2つの一般電極16を組み合わせて1つの一般電極としてもよい。電極15と電極16との間の圧電セラミック層17の分極は、これらの電極に対して垂直に延在する。図4の矢印は、分極方向を示す。電極15と電極16とは、接続点または接続線20および21によって励起電圧または対応する電子機器に接続される。
【0046】
図5の描写22によれば、アクチュエータ1の幾何学的形状は、アクチュエータ1において励起された波の波長の半分に等しい共振長Hをアクチュエータが有するように形成してもよい。アクチュエータ1の共振領域24は、長さHで囲う領域にある。長さHは、アクチュエータ1の突出部分の高さに等しくすることができる。アクチュエータ1は、さらに2つの更なる共振長Gを有することができる(図5の描写25および描写26を参照)。長さGは、アクチュエータにおいて励起される波の波長の半分に等しくなるように選択される。この場合、アクチュエータ1は、2つのさらなる共振領域27を有する。
【0047】
アクチュエータ1の第二の側面領域または非共振領域12は、図6の描写28による円形または円弧の幾何学的形状を有する部分を含むことができる。図6の描写29によれば、非共振面12は、楕円形状または長円形状を有することもできる。共振面12は、さらに非角形状を有することができる。
【0048】
図7の描写32および描写33に示される非共振面12は、各々が長さnおよびmを有する複数の平坦面30および31によって形成される多面(折れ線)形状をさらに有することができる。この場合、非共振面12の長さBは、全ての面30および31の長さnおよびmの和である。これにより、長さBはアクチュエータ1で励起された音波の長さよりも大きくなり、かつ各長さnおよびmは励起された波の半分に等しくならないと言える。
【0049】
図8の描写34および描写35に示されるように、非共振面12は、長さcおよびgを有する1つ以上の筒状、長円状、または他の形状の非角面32および33と、長さnおよびmを有する複数の平坦面30および31とによって形成される多面(折れ線)形状を有することができる。これにより、長さBは、アクチュエータ1において励起される音波の波長より大きくなり、かつ各長さn、m、c、gは、アクチュエータ1において励起される波の波長の半分に等しくならない。
【0050】
図9の描写36および37に示されるように、本発明に係るアクチュエータ1は、同様に二等辺台形の形状を有することができる。このようなアクチュエータ1は、2つの前面38と、長い側面39と、短い側面40とを有する。このようなアクチュエータの高さHは、励起される波の波長の半分に等しい。このようなアクチュエータ1に関しては、2つの変形例が考えられる。第一の場合として、図9の描写36によれば、長い側面39は共振面であるのに対して、非共振面は、2つの前面38と短い側面40とによって形成される。第二の場合として、図9の描写37によれば、短い側面40は共振面11である。ここで、非共振面は、2つの前面38と長い側面39とによって形成される。
【0051】
図10の描写41は、長い側面39が共振面11を形成する不等辺四角形のアクチュエータ1の上面図である。図10の描写42によれば、例えば、4つのアクチュエータは、対応するドライブまたはモータへの使用のために、接続要素43によって音響的に互いに接続することができる。この場合、長い側面39は共振面11である。接続要素43は、ポリマー材料などの遮音材料から製造することができる。接続要素43は、酸化物セラミックまたは圧電セラミックなどの導音材料から製造することもできる。アクチュエータと接続要素43との接続は、側面40に対する接着または溶接によって行うことができる。接続要素43は、一体型の部品として製造されるアクチュエータ装置44の製造過程において、プレス加工によって製造することもできる。
【0052】
図11の描写45および描写46は、実質的に三角形状を有する4つのアクチュエータ1を含むアクチュエータ装置44を示し、各アクチュエータ1はそれぞれの共振面11に摩擦要素3を有する。摩擦要素3は、対称面(図示せず)に対して対称となるように共振面11の中央部に配置される。
【0053】
図12の描写47および描写48は、実質的に三角形状を有する4つのアクチュエータ1を同様に含むアクチュエータ装置44を示し、各アクチュエータ1は、ぞれぞれの共振面11上に摩擦層4を有する。この場合、摩擦層4は、共振面11の全長さLに渡って延在する。
【0054】
図13は、短い側面40によって共振面11が形成され、台形の態様である本発明に係るアクチュエータ1を有するモータを示す。このモータの被駆動要素5は、円盤の形状を有する。
【0055】
図14に示されるモータは、互いに対向して配置された2つのアクチュエータ1を有する。
【0056】
図15は、図11のアクチュエータ装置44を有するモータを示し、4つの摩擦要素3に対して、個々に駆動される4つの要素5が押し当てられている。
【0057】
図16は、図11のアクチュエータ装置を有するモータを示し、被駆動要素5は、互いに対となってU字ばね要素6により接続されている。
【0058】
図17は、図12のアクチュエータ装置を有するモータを示し、U字ばね要素は、ガイドレール49として構成され、このガイドレール49に沿ってプラットフォーム50が移動する。
【0059】
図18は、電気的励起装置51とモータのアクチュエータ1との接続を説明するためのブロック図である。励起装置は、定常音波発生器2の1つに対する接続に使用される切換えスイッチ52と1つ以上の制御入力53とを有する。アクチュエータ1の定常波発生器2の1つを励起するために、電気的励起装置51は、モータの作動周波数Fに等しい周波数を持つ交流電圧Uをもたらす。この電圧は、正弦曲線、不等辺四角形、または矩形の形状を有することができる。
【0060】
図19の描写54は、図8の描写34のアクチュエータに対応する形状を有するアクチュエータ1を概略的に示す。図19の描写55および56は、定常波発生器2(描写54の斜線部)によって励起が行われる間におけるアクチュエータの最大の変形状態を示す。
【0061】
図20の描写57は、図9の描写36のアクチュエータに対応する形状を有するアクチュエータ1を概略的に示す。図20の描写58および描写59は、定常波発生器2(描写57のアクチュエータの斜線部)によって励起が行われる間のアクチュエータの最大の変形状態を示す。
【0062】
図21は、共振面11上に点60を有する本発明に係るアクチュエータ1の拡大詳細図である。アクチュエータ1が定常波発生器2(斜線部)によって励起されると、この点60は、線形軌道61または円形もしくは楕円形軌道62の上を移動する。
【0063】
図22のブロック図は、電気的励起装置51と十字架形状に配置された4つのアクチュエータ1との接続を示し、アクチュエータ1は、互いに音響的に分離される、または互いに弱い力で接続される。
【0064】
図23のブロック図は、互いに音響的に接続された4つのアクチュエータ1を含む図11、図12、図15、図16、および図17のアクチュエータ装置44と電気的励起装置51との接続を示す。
【0065】
電気的励起装置51は、半ブリッジまたはブリッジ電力増幅器63を有することができる。電力増幅器63のある出力、または出力64および65は、直接的にまたは昇圧器66によってアクチュエータ1の定常音波発生器2に接続される。
【0066】
電力増幅器63は、線形増幅器またはスイッチング電力増幅器として構成することができる。電力増幅器63の入力67または出力68は、制御入力72を有する制御発生器71のある出力または出力69および70に接続することができる。出力69に作用する信号周波数は、制御入力72を用いて調整される。制御発生器71は、電圧を調整された制御発生器として構成することができ、またはデジタルで調整された制御発生器を含むことができる。このため、制御発生器71は、制御入力72によってアナログ信号またはデジタル信号を用いて制御することができる。電力増幅器63は、供給電圧Eとの接続のために別個の入力73を有することができる。
【0067】
図26の描写75を参照すると、アクチュエータ1の定常波発生器2は、逆相で接続され、電気的励起装置74に接続されている。この場合、電気的励起装置74は、矩形または鋸歯形状、または図26の描写76および描写77に示される以外の他の形態の非対称電圧+Uまたは−Uを有することができる。
【0068】
このような電気的励起装置74は、制御入力78を有する。制御入力78によって、電圧の形状は、線yに対して鏡写しの形状で、時間軸tに対して平行な状態で変更することができる。電圧+Uまたは−Uの周波数は、周波数Fに等しい。
【0069】
図26の描写79に示されるように、定常波発生器2の逆相接続は、電極15および電極16をクロスさせて接続することによって、または圧電セラミックの別個に配列された分極によってもたらされる。
【0070】
図27の描写80は、共振面11に質点60を有する本発明に係るアクチュエータ1の中央部分を示す。逆相で接続された2つの定常波発生器2を用いてアクチュエータ1を制御する際、描写83に示されるように、この点は線形軌道81または若干湾曲した軌道82の上を−xからxへ移動する。軌道は、面Sおよび線pに対して対称に延在する。
【0071】
図27の描写84は、質点60の移動の時系列の変化を示す。これによれば、一方向へ移動する間、質点60は時間t1をかけて距離2xを進み、他の方向への移動は、時間t2をかけて進む。これは、質点60が移動方向に応じて異なる速度(v1およびv2)で移動することを意味する。
【0072】
図28および図29によれば、電気的励起装置74は、非対称電圧を提供する発生器85を含む。非対称電圧の形状は、制御入力78を用いて鏡写しの形状に変更することができ、その周波数は制御入力72によって調整することができる。発生器85は、電圧が調整された発生器として構成することができる、またはデジタルで調整された制御発生器を含むことができる。このため、制御発生器85は、制御入力72によるアナログ信号またはデジタル信号を用いて調整することができる。
【0073】
図30の描写88から91によれば、アクチュエータ1は、出力87を有するフィードバック要素86を含むことができる。フィードバック要素の信号電圧Uは、出力87において提供される。図30の描写88によれば、フィードバック要素86は、定常波発生器2に直列で接続されたアクチュエータ1を含むことができる。この場合、抵抗器92、コンデンサ93、またはインダクタ94は、フィードバック要素に相当する。これらの部品は、個別の状態、対の状態、または他の組み合わせにより接続することができる。
【0074】
図30の描写89によれば、アクチュエータ1の電極15または16は、フィードバック要素としても機能することができる。
【0075】
図30の描写90によれば、フィードバック要素86として構成されるさらなる予備電極95は、アクチュエータ1に配置することができる。
【0076】
図30の描写91によるさらなる変形例においては、フィードバック要素86として構成される予備圧電要素96は、アクチュエータ1の上に配置することができる。
【0077】
図31によれば、励起装置51および74において、フィードバック要素86は、出力電圧Uの第一の調波のフィルタ97に接続することができる。フィルタ97は、簡易なLCバンドフィルタに相当し、低周波数のための活性フィルタまたは活性バンドフィルタとして構成することができる。フィルタ97は、デジタルフィルタとすることもできる。フィルタ97の役割は、フィードバック要素の電圧Uの第一の調波を取り除くことである。フィルタ97の出力には、正弦曲線の電圧Uが表れる。
【0078】
電気的励起装置51および74は、支持入力99と測定入力100とを有する相検出器98(図32を参照)をさらに含むことができる。アクチュエータ1の定常派発生器2を励起する電圧である励起電圧U、またはこの電圧と同調する電圧は、支持入力99に印加される。電圧UまたはUは、測定入力100に印加される。相検出器98は、立ち上がり電圧UおよびUを形成するコンパレータ101および102を含むことができる。相検出器98は、その出力において、電圧UとUとの間の相移行φの角度に関する情報を含むアナログまたは個別の信号をもたらす。
【0079】
図33は、本発明に係るアクチュエータ1を有する1つのモータのための励起装置を示すブロック図である。電気的励起装置51および74は、モータの始動および停止に使用される制御入力105を有する電源スイッチ104を含むことができる。電気的励起装置51および74は、フィルタ97と同様に、電圧Uの第一の調波のためのフィルタ106をさらに含むことができる。
【0080】
図34によれば、電気的励起装置51および74は、電力増幅器63の電圧Eのための制御部107を含むことができる。このような制御部は、電力増幅器109を有するPWM変調器108を含むことができる。変調器108は、アナログまたはデジタル制御入力110と同期入力111とを有することができる。PWMパルスの幅は、制御入力110により変更される。電力増幅器109は、フィルタ112を含む。
【0081】
第一の調波のためのフィルタ97および106、相検出器98、制御発生器71および75、およびPWM変調器108は、デジタル演算ユニット113の対応するプログラミングによって実施することができる。デジタル演算ユニット113は、集積DSPマイクロプロセッサ回路または集積FPGAマイクロプロセッサ回路とすることができる。
【0082】
図35によれば、本発明によるアクチュエータによって駆動されるモータの要素は、位置または速度エンコーダ114を有することができ、電気的励起装置51および74は、被駆動要素5の位置または速度のための制御部115を含むことができる。制御部115は、基準入力116と、移動方向を制御するための出力117と、被駆動要素5の移動速度を制御するための出力118とを有することができる。他の変形例において、出力117と出力118とは互いに接続することができる。制御部115は、たとえば、DSPまたはFPGAのような別個のデジタルコンピュータ組立体として構成することができる。制御部116は、さらにデジタル演算ユニット113であってもよい。
【0083】
本発明に係るアクチュエータの制御は、原理として2つの方法により行うことができる。
【0084】
第一の機能的原理によれば、電気的励起装置51は、定常音波発生器2の1つに設けられる励起電極層15および一般電極層16に対して励起交流電圧Uを印加する。逆圧電効果により、電極15と電極16との間に形成される電界は、圧電セラミック層17に影響を与え、アクチュエータ1の変形を引き起こす。変形振幅の大きさは、電界強度によって定められ、電界強度は、電圧Uのレベルおよび圧電セラミック層17の厚さに依存する。
【0085】
電圧Uのレベルは、定常波発生器2を複数の部分、すなわち複数の層(たとえば、多層構造)に分割することによって、必要に応じて減少させることができる。
【0086】
励起電圧Uの周波数Fは、共振面11の縦振動における第二のモードの共振周波数に対応する周波数Fに等しくなるように選択することができる、または、周波数Fはこの周波数Fに近づけることができる。周波数F(F)において、長さLに等しい長さを有する音波は、アクチュエータ1の共振面11に沿って伝搬する。
【0087】
共振面12は、この周波数においては共振面に相当しないため(長さBがアクチュエータ1で励起された波の波長の半分の倍数でない)、この場合においても、音波はこの面に沿って伝搬しない。
【0088】
これは、共振面11に位置するアクチュエータ1の質点の平均振幅が、非共振面12上に存在する質点の平均振幅よりも大きいことを意味する。これにより、アクチュエータ1の共鳴振動が起こる一方の共振領域23は、本発明に係るアクチュエータ1において実質的に特定される。アクチュエータ1の非共振領域は、この共振領域23の外に位置する。
【0089】
周波数Fは、式F=N/Lによって概算することができる。Nは、圧電セラミックの種類およびアクチュエータ1の形状にある程度依存する周波数定数である。図8の描写34に示され、PIセラミック社によって製造されている圧電セラミックPIC181からなるアクチュエータについては、L=50mm、n=8mm、c=60mm、およびh=10mm、N=4694.9kHzmmである。
【0090】
本発明に係るアクチュエータ1は、対称面S(p)に対して対称に構成され、定常音波発生器2は、この面Sおよびこの面の両側に対して対称に配置される。
【0091】
考察されるこの場合においては、電気的励起電圧Uは一方の定常波発生器2のみに印加されるため、この定常波発生器2が配置される場所のみにおいてアクチュエータ1を変形させる。この変形の結果として、音波はアクチュエータ1内で引き起こされる。アクチュエータ1は、定常波発生器2が配置される場所および電気的励起電圧Uが印加されない場所への音波の伝搬に対抗する。
【0092】
結果として、非対称定常波がアクチュエータ1において形成される。非対称波が伝搬することによって、共振面11の中心部に存在するアクチュエータ1の質点は、傾斜した線形軌道61または楕円軌道62の上を移動する(図21に示される質点60)。共振面11に対する軌道61および62の傾斜角度は、アクチュエータ1の形状に依存する。図21は、共振面11に向かって傾斜した軌道61および62が上昇する音波を示し、これらは右傾波ということができる。
【0093】
本発明に係るアクチュエータ1は、共振面11の中央側に配置されたさらなる共振長Hまたは2つのさらなる共振長G(図5の描写22、25、および26)を有することができる。図19の描写55および描写56は、長さGに対してさらに共振が発生したアクチュエータ1の変形を示す。さらなる共振と基本的な共振とが併せて励起されることによって、図21に示される楕円軌道62がより幅広くなるように様々に変化させることができる。
【0094】
摩擦要素3または摩擦層4は、共振面11において対称面S(p)に対して対称に配置される。これにより、摩擦要素3の質点または摩擦層4の質点が類似の軌道61および62の上を移動する。
【0095】
摩擦要素3または摩擦層4が傾斜した軌道61または楕円軌道62の上を移動することによって、図21において矢印で示される被駆動要素5の動きが引き起こされる。
【0096】
定常波発生器2の切換えスイッチ52を切り替えることにより、右傾定常波(図20、21)または左傾定常波(図示せず)をアクチュエータ1内にもたらすことができる。この態様で、被駆動要素5の移動方向を逆転させることができる。
【0097】
第二の機能的原理によれば、両方の定常波発生器2は同相で接続される。これにより、電気的励起装置74により提供される非対称電圧+U(または−U)は、両方の定常波発生器2(図26の描写75から77)に印加される。電圧Uの周波数は、共振面11に沿った縦方向の波における第二モードの共振周波数に対応する周波数Fと等しくなるように選択される。この電圧の影響により、質点60(図27の描写80および83)は、線形軌道81または若干湾曲した軌道82の上を移動する。
【0098】
定常波発生器2が逆相で接続され、異なる長さL、L1、L2、L3(図3を参照)を有するアクチュエータ1に対して非対称電圧が作用することにより、質点60の移動が時間の経過とともに非対称となる。図27の描写84に示されるように、この非対称は、質点60が期間の前半(t1、v1)において期間の後半(t2、v2)よりも早く移動する点において表わされる。アクチュエータ1の摩擦要素3もまた、同様に移動する。
【0099】
時間経過に伴う非対称な質点60の移動は、励起電圧+U(または−U)の調波の大部分において長さ(L1、L2、L3)が共振長に相当するという事実により説明することができる。
【0100】
摩擦要素3と被駆動要素5との間の摩擦接触が非線形であることにより、図27の矢印に示される方向に被駆動要素5を押す力が引き起こされる。
【0101】
切換えスイッチ78によって電圧の形状+Uが鏡写しの形状−U(図26の描写75から描写77)に変化することにより、力の作用方向が変わる、すなわち、被駆動要素5の移動方向の変化が引き起こされる。
【0102】
上述の機能的原理の両方は、少なくとも図6から図10に示されるアクチュエータの種類に対して適用される。
【0103】
本発明に係るアクチュエータは、被駆動要素5が縦方向の移動または回転動作を行うモータに使用することができる。
【0104】
長い側面39が長さLを有する共振面11を形成する二等辺台形(図9の描写36および図19の描写57)としてアクチュエータ1が構成される場合、アクチュエータ1は、図20の描写58および描写59に示される態様で振動する。この場合、側面39と前面38との間の角度として、45°を選択することができる(図10の描写41を参照)。
【0105】
モータは、例えば、マルタ十字架を形成するように配置された本発明に係るアクチュエータ1を4つ有することができる(図10の描写42)。この場合、アクチュエータ1は、音響的に分離することができる。
【0106】
アクチュエータは、さらに導電材料を有する、または導電材料からなる接続要素43を用いて互いに音響的に接続することができる。この場合、4つのアクチュエータ1の全ては、一体型アクチュエータのように振動する、音響的に結合したアクチュエータ装置44を形成する(図10の描写42を参照)。
【0107】
上記のアクチュエータ装置44は、側面39の各々に摩擦要素3を有することができる(図11の描写45および描写46を参照)。
【0108】
この様なアクチュエータ装置44を有するモータは、個別に駆動される被駆動要素5(図15参照)または対となって結合された被駆動要素5(図16参照)を有することができる。
【0109】
個別に駆動される被駆動要素5を有するモータのアクチュエータ装置44に設けられた定常波発生器2は、図22に示されるように励起装置5に接続することができる。
【0110】
アクチュエータ装置44は、側面39に摩擦層4をさらに有することができる(図12の描写47および描写48を参照)。
【0111】
このようなアクチュエータ装置44を有するモータは、プラットフォーム50の移動をもたらす、対となって接続された被駆動要素5を含むことができる。このようなモータは、図17の矢印に示されるように、プラットフォーム50の二軸移動を可能とする。
【0112】
図16および図17に示されるような、対で接続された被駆動要素5を有するモータのアクチュエータ装置44に設けられた定常波発生器2は、図23に示されるような態様で励起装置51に接続することができる。
【0113】
半ブリッジ電力増幅器63は、電気的励起装置51、74(図24、図25、図28および図29参照)に使用することができる。
【0114】
電力増幅器63の出力64および65は、アクチュエータ1の定常音波発生器2に対して直接的または昇圧器66によって接続することができる。電力増幅器63により提供される電気的励起電圧Uは、正弦曲線、不等辺四角形、または矩形の形状を有することができる。
【0115】
電気的励起電圧Uの形状は、発生器71および85によってもたらされる。この電圧の周波数Fは、制御入力72に付与されるアナログまたはデジタル信号によって調整することができる。
【0116】
図24、図25、図28、図29に示されるように、電圧Uは、アクチュエータ1の定常波発生器2の電極15、16に対して直接的に印加することができる。
【0117】
電気的励起装置51および74は、フィードバック要素86を有することができる。電圧Uの相に対する第一の調波の相が周波数Fの位置を反映する電圧Uは、フィードバック要素86の出力87に設けられる。
【0118】
実際に電圧Uは常に正弦曲線の形状を有するわけではないことから、電気的励起装置51および74は、第一の調波97のためのフィルタを有することができ、このフィルタがフィードバック要素86の出力に接続される。非正弦曲線電圧Uは、フィルタ97の入力に印加され、電圧Uと同じ周波数を有する正弦曲線電圧は、その出力に表れる。
【0119】
電圧Uと電圧Uとの間の相の違いを定めるために、電気的励起装置は、相検出器98(図32および33を参照)を有することができる。相検出器98は、出力103にアナログまたはデジタル信号を付与し、この信号は、電圧Uと電圧Uとの間の相の違いを示す。この信号は、発生器71および85の制御入力72に到達する。この信号により、発生器71および85により提供される電圧の周波数が常に周波数F(F)と等しくなる。これにより、モータの動作を幅広い温度範囲において安定させることができる。
【0120】
電気的励起装置51、74には、図34に示されるように、電力増幅器の供給電圧EのためのPWM制御部107を設けることができる。アナログまたはデジタル信号がPWM変調器108の入力110に付与されると、電力増幅器63の入力73に表れる電圧Eが変化する。これにより、電圧Uの振幅が変化する。これにより、アクチュエータ1の励起レベルが変化し、その結果、被駆動構成要素5の移動速度が変化する。
【0121】
フィルタ97、106、相検出器98、制御発生器71、85、およびPWM変調器108のの機能は、デジタル演算ユニット113に記憶されたプログラムによって実施することができる。
【0122】
被駆動要素5には、位置または速度エンコーダ114を設けることができる。さらに、電気的励起装置51、74には、被駆動構成要素5の位置または速度のためのデジタル制御部115を設けることができる(図35参照)。制御部115は、別個のデジタルユニットとして、またはデジタル演算ユニットのプログラム部として実施することができる。
【0123】
モータの励起装置がエンコーダ114および制御部115を含む場合、被駆動要素5を高い精密性をもって配置することができる、または高い正確性をもって速度を定めることができる。
【0124】
本発明に係るアクチュエータ1は、アクチュエータ1の領域23のみが共振動作を行うように構成される。アクチュエータ1の残りの領域は、共振動作を行わない。これは、領域23の質点の平均振動振幅がアクチュエータ1の他の領域の平均振動振幅よりも大きいことを意味する。アクチュエータ1のこの領域における内部摩擦による機械的損失は、領域23における機械的損失よりも小さい。本発明に係るモータのアクチュエータ1は、共振長Lが同じであるなら、DE102004024656A1公報により公知のモータのアクチュエータよりも小さい容量とを有する。これにより、アクチュエータ1の機械的損失をさらに減らすことができる。これに基づき、アクチュエータ1の内部摩擦による全体的な機械的損失は、他の公知のモータのアクチュエータの内部摩擦による損失より小さい。
【0125】
内部摩擦による損失を減らすことで、同じ励起電圧において、摩擦要素3の振動速度、すなわち被駆動要素5の移動速度を高めることができる。結果として、対応するモータの効率性が向上する。第二の側面領域12は非共振面に相当するため、この面の質点の振動速度は、公知のモータのアクチュエータ面の質点の速度よりも低い。結果として、対応するモータに使用される際に、アクチュエータ1の取付要素9で起こる外部摩擦による機械的損失が減る。内部摩擦による損失を減らすことにより、アクチュエータ1および対応するモータにおける加熱もまた減少する。内部摩擦および外部摩擦による損失を下げることにより、本発明に係るアクチュエータ1の電気的入力インピーダンスの活性成分の減少が、このインピーダンスの容量性成分に比例して引き起こされる。これにより、アクチュエータ1の入力容量の充電電流および容量性電流が、アクチュエータ1を介して流れる電流の活性成分に比例して減少する。両方が電力増幅器内における損失を減らし、その結果、電旅行増幅器のトランジスタの加熱が減る。本発明により実行されるアクチュエータにおいて、音波の発生器をブリッジ電力増幅器に(分離フィルタを設けることなく)直接的に接続することができる。これにより、電気的励起装置の構成が簡易化され、電気的励起装置の加熱が減り、アクチュエータの動作性能が向上する。結果として、適用領域が拡大する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート形のアクチュエータ(1)であって、アクチュエータ(1)の定常音波を励起させるための少なくとも2つの発生器(2)を備え、アクチュエータ(1)は、少なくとも2つの主面(10)と主面に対して垂直に延在する対称面Sとを含み、発生器は対称面Sに対して対称に配置され、アクチュエータ(1)の実質的に平坦な第一の側面領域(11)に配置され、アクチュエータ(1)はさらに、被駆動要素(5)に対して摩擦接触するように設けられた少なくとも一つの摩擦要素(3)および/または少なくとも一つの摩擦層(4)を有し、第一の側面領域(11)は、アクチュエータ(1)において励起される定常音波の波長に実質的に対応する長さLを有し、
アクチュエータ(1)の第二の側面領域(12)の長さBは、アクチュエータ(1)において励起される定常音波の波長より大きく、励起された定常音波の波長の半分の倍数に等しくない、アクチュエータ。
【請求項2】
第二の側面領域(12)は、少なくとも部分的に湾曲し、好ましくは少なくとも1つの凹部および/または少なくとも1つの凸部を含む、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
第二の側面領域(12)は少なくとも部分的に平坦であり、好ましくは第一の側面領域(11)とは別に配列される2つ以上の平坦部を含む、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
第二の側面領域(12)の上には少なくとも1つの点があり、この点から第一の側面領域(11)と対称面Sと交点への距離は、アクチュエータにおいて励起される波の波長の半分に実質的に対応する、請求項1から3のいずれか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項5】
摩擦要素(3)および/または摩擦層(4)は、対称面Sに対して対称に配置され、好ましくは第一の側面領域(11)の全体に沿って配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項6】
作動時において超音波範囲で振動を行う、請求項1から5のいずれか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項7】
単一の層または複数の層を有し、層は、圧電材料、より好ましくは圧電セラミック材料からなる、請求項1から6のいずれか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項8】
被駆動要素(5)と電気的励起装置(51,74)とをさらに有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の少なくとも1つのアクチュエータ(1)を有する、モータ。
【請求項9】
モータは、各々が二等辺台形の形状を有する4つのアクチュエータ(1)を有し、これらのアクチュエータ(1)は、マルタ十字架を形成するように配置される、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
アクチュエータ(1)は、接続要素(43)によって互いに接続され、接続要素(43)は、少なくとも部分的に各アクチュエータ(1)の第二の側面領域(12)に接触する、請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
接続要素(43)は、遮音材料を有し、好ましくは遮音材料からなり、遮音材料は、好ましくは酸化物セラミックまたはアクチュエータ(1)と同じ材料からなる、請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
アクチュエータ(1)は、フィードバック要素(86)を有する、請求項8から11のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項13】
電気的励起装置(51,74)は、周期的な非対称電圧を供給し、発生器(2)は、逆相で互いに接続される、請求項8から12のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項14】
被駆動要素(5)は、被駆動要素(5)の位置または速度のためのエンコーダ(114)を有し、電気的励起装置(51,74)には、被駆動要素(5)の位置または移動速度のためのデジタル制御部(115)が設けられる、請求項8から13のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項15】
被駆動要素(5)の位置または移動速度のためのデジタル制御部(115)は、デジタル演算ユニット(113)におけるソフトウェアにより実施される、請求項14に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公表番号】特表2013−509849(P2013−509849A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535629(P2012−535629)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/DE2010/001254
【国際公開番号】WO2011/050784
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(505257752)フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー (11)
【Fターム(参考)】