説明

アシストロボット制御装置

【課題】使用者のリハビリまたは力増幅の用途において、必要な部位に必要なだけアシストトルクを与える。
【解決手段】アシストロボット制御装置120は、状態検出値に基づいて推定器ゲインを推定する推定器ゲイン演算器121と、状態検出値と推定器ゲインに基づいて状態推定誤差を算出する状態推定誤差演算器122と、状態推定誤差に基づいて使用者トルク推定値を算出する使用者トルク推定器123と、使用者トルク推定値に基づいて動作補助またはリハビリ治療に必要なアシストトルクを算出し、関節モータがアシストトルクを発生するようなモータ電流を出力するアシストトルク演算器124と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着した使用者の動作を補助する、またはリハビリ治療するアシストロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明で対象としているアシストロボットとは、複数のリンクと関節から構成される機構と、関節を駆動する複数のモータを備え、装着した使用者の動作を補助する、またはリハビリ治療するロボットを指す。
【0003】
図4は、関連するアシストロボット制御装置を備えたアシストロボットである。アシストロボットは、動作補助装置410と、駆動源411と、関節角度検出手段412と、生体信号検出手段413と、相対力検出手段414と、制御装置415と、電力増幅手段416と、を備える。なお、装着者420がアシストロボットを使用するものとして説明する。
【0004】
動作補助装置410は上述のアシストロボットであり、装着者420から関節角度、筋電位、相対力を入力し、装着者420に対してアシスト力を出力する。
【0005】
駆動源411は、電力増幅手段416からの駆動電流に基づいてアシスト力を発生して装着者420に出力し、駆動電流検出値を制御装置415に出力する。
【0006】
関節角度検出手段412は、関節角度を検出し、関節角度検出値として制御装置415に出力する。
【0007】
生体信号検出手段413は、装着者420に発生する筋力に応じた筋電位を検出し、筋電位検出値として制御装置415に出力する。
【0008】
相対力検出手段414は、動作補助装置410に作用する相対力を検出し、相対力検出値として制御装置415に出力する。
【0009】
制御装置415は、駆動源411からの駆動電流検出値と、関節角度検出手段412からの関節角度検出値と、生体信号検出手段413からの筋電位検出値と、相対力検出手段414からの相対力検出値とに基づいて、装着者420の動力学パラメータを同定し、動力学パラメータを代入した運動方程式を用いて、制御信号を出力する。
【0010】
電力増幅手段416は、制御装置415から制御信号を増幅し、駆動電流を出力する。
【0011】
関連するアシストロボット制御装置は、上述の仕組みにより装着者420の動力学パラメータを考慮した動作の補助を実施する(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−204426号公報(第25頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
関連するアシストロボット制御装置を、傷病により失われた四肢の力を回復させるリハビリ治療に使用する場合、使用者の特定の関節が発生できるトルクの回復度合いを考慮する仕組みが無いため回復度合いに適した治療を実施できず、十分なリハビリ効果を得ることができない場合があった。また、リハビリ治療を含む一般的な用途において、筋電位など複数の検出器の情報を必要とするため、安価で小型、軽量なアシストロボットを実現できない問題があった。
【0014】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、アシストロボットを着用した使用者が各関節周りに発生するトルクを、安価な関節角度検出器のみを備えた場合にも精度良く推定でき、使用者のリハビリまたは力増幅の用途において無駄なく必要な部位に必要なだけアシストトルクを与えることができるアシストロボット制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかるアシストロボット制御装置は、複数のリンクと関節から構成される機構と前記関節を駆動する複数のモータを備え、装着した使用者の動作を補助するまたはリハビリ治療するアシストロボットの動作を、関節角度などの状態検出値に基づいて制御するアシストロボット制御装置であって、前記状態検出値に基づいて、推定器ゲインを算出する推定器ゲイン演算器と、前記状態検出値と前記推定器ゲインに基づいて前記状態推定誤差を算出する状態推定誤差演算器と、前記状態推定誤差に基づいて、前記アシストロボットを装着する使用者の各関節が発生するトルクである使用者トルク推定値を算出する使用者トルク推定器と、前記使用者トルク推定値に基づいて動作補助またはリハビリ治療に必要なアシストトルクを算出し、前記関節モータが前記アシストトルクを発生するようなモータ電流を出力するアシストトルク演算器と、を備える。
これにより、アシストロボットを着用した使用者が各関節周りに発生するトルクを、安価な関節角度検出器のみを備えた場合にも精度良く推定できる。
【発明の効果】
【0016】
リハビリまたは力増幅の用途において、無駄なく必要な部位に必要なだけアシストトルクを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1にかかるアシストロボット制御装置の機能ブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかるアシストロボット機構の部分図である。
【図3】実施の形態2にかかるシミュレーションにおける膝トルクの時間変化の図である。
【図4】関連するアシストロボット制御装置を備えたアシストロボットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、アシストロボット制御装置の機能ブロック図である。本実施の形態では、まず図1を用いて本発明のアシストロボット制御装置の機能構成の概要を説明し、次に機能の詳細を説明する。なお、図1において、矢印は信号の流れを表し、太い実線は機械的結合を表し、点線は関連の強い機能ブロックの集まりを示す。
【0019】
アシストロボット110は、関節モータ111と、アシストロボット機構112と、状態検出器113と、を備える。アシストロボット110は、使用者130が装着することにより、使用者130の動作を補助するロボットである。
アシストロボット制御装置120は、推定器ゲイン演算器121と、状態推定誤差演算器122と、使用者トルク推定器123と、アシストトルク演算器124と、を備える。アシストロボット制御装置120は、アシストロボット110からの状態検出値に基づいて、アシストロボット110へのモータ電流を出力する電子制御系である。
【0020】
関節モータ111は、後述のアシストロボット制御装置120からのモータ電流に従って、後述のアシストロボット機構112に関節を駆動する。
【0021】
アシストロボット機構112は、回転可能な関節を介して連結された複数のリンクから構成され、使用者130が装着できる形状を有する機構である。アシストロボット機構112は、関節モータ111によって駆動される。
【0022】
状態検出器113は、関節の角度などの状態量を検出し、状態検出値として出力する。
【0023】
推定器ゲイン演算器121は、アシストロボット110からの状態検出値に基づいて、後述の状態推定誤差演算器122の演算に使用するパラメータである推定器ゲインを演算し出力する。
【0024】
状態推定誤差演算器122は、アシストロボット110からの状態検出値と、推定器ゲイン演算器121からの推定器ゲインとに基づいて、状態検出値とその時間微分値の推定値である状態推定値を演算し、状態推定誤差を演算し出力する。
【0025】
使用者トルク推定器123は、状態推定誤差演算器122からの状態推定誤差に基づいて使用者130が発生する使用者トルクを推定し、使用者トルクの推定値として出力する。アシストトルク演算器は、使用者トルク推定器123からの使用者トルク推定値に基づいて、アシストロボット110の用途に応じて必要なアシストトルクを演算し、必要なアシストトルクをアシストロボット110が発生するようなモータ電流を出力する。
【0026】
使用者130は、人、犬、猫、馬などを含む脊椎動物であり、加齢などにより力の増幅が必要、または怪我などから回復するためにリハビリが必要なものである。
【0027】
ここで、アシストロボット制御装置120は、ASIC、プログラマブル電子システムなどとして実現することができる。
【0028】
以下、図1の各ブロックの動作原理を導出し、機能の詳細を説明する。
【0029】
図2を用いて、アシストロボット機構112の運動方程式を導出する。図2は、実施の形態1を示すアシストロボット機構の部分図である。図2において、太い直線はリンク、太い円は関節を表す。
【0030】
図2において、アシストロボット機構112は、k−1リンク201と、第k−1関節202と、第kリンク203と、第k関節204を備える。関節角度と、アシストトルクと、使用者トルクは、それぞれ反時計回りを正としている。
【0031】
第kリンク203の運動方程式は式(1)と導出される。
【0032】
【数1】

【0033】
ただし、式(1)における記号の意味は以下のとおりである。Jは第k関節204周りの第iリンク慣性モーメント[kg・m]、Dは第k粘性摩擦係数[N・m・s/rad]、Tckは第k関節204のクーロン摩擦の大きさ[N・m]、θは第k関節角度[rad]、Takは第kアシストトルク(第k関節204のアシストトルク)[N・m]、Tuiは、第i使用者トルク(第iリンクに使用者130から印加されるトルク)[N・m]。
【0034】
式(1)において、第k関節204周りの第iリンク慣性モーメントJは設計値および関節角度より既知である。第k関節204の粘性摩擦係数Dおよび第k関節204のクーロン摩擦の大きさTckは、出荷前の計測により既知であるとする。
【0035】
式(2)に示す状態変数を導入する。
【0036】
【数2】

【0037】
式(2)を用いて、式(1)は、式(3)及び式(4)と書き換えられる。
【0038】
【数3】

【0039】
【数4】

【0040】
第k関節角度x1kは状態検出器113により検出され、第k関節角速度x2kは第k関節角度x1kの時間微分値として得ると仮定し、第k使用者トルクTukを推定するため、式(5)と式(6)の状態推定器を導入する。
【0041】
【数5】

【0042】
【数6】

【0043】
ただし、式(6)における記号の意味は以下のとおりである。Lは推定器ゲイン。
【0044】
式(3)乃至式(6)を用いて、状態推定誤差方程式は式(7)および式(8)と導出できる。
【0045】
【数7】

【0046】
【数8】

【0047】
ただし、式(7)及び式(8)における記号の意味は以下の通りである。
【数9】

は、第k関節角度推定誤差[rad]、
【数10】

は、第k関節角速度推定誤差[rad/s]。
【0048】
式(7)及び式(8)の平衡点は状態推定誤差の1階時間微分を0とすることにより、式(9)および式(10)と求められる。
【0049】
【数11】

【0050】
【数12】

【0051】
式(7)および式(8)で表される系のシステム行列のジャコビアンは式(11)と導出できる。
【0052】
【数13】

【0053】
ジャコビアン行列Jの式(9)および式(10)で表される平衡点における固有値は式(12)および式(13)と表される。
【0054】
【数14】

【0055】
【数15】

【0056】
第k推定器ゲインL、第k関節204周りの第iリンク慣性モーメントJ、第k粘性摩擦係数Dは正数であるので、式(12)および式(13)に示す固有値sk+およびsk−は以下のように分類できる。
【0057】
場合1:式(12)および式(13)の平方根内の値が0以上ならば、sk+およびsk−は負の整数。
場合2:式(12)および式(13)の平方根内の値が0未満ならば、sk+およびsk−は負の実部を持つ複素共役。
【0058】
上述のように、固有値(12)及び(13)は負の実部を持つため、推定誤差は式(9)および式(10)で表される平衡点に収束する。
【0059】
上述の場合1において、推定誤差は単調に平衡点に収束し、場合2において振動的に平衡点に収束する。単調な収束が望ましいアシストロボット110の用途においては、推定器ゲイン演算器121において、場合1の条件を満足するように推定器ゲインを演算する。振動的な収束が望ましい用途においては、推定器ゲイン演算器121において場合2の条件を満足するように推定器ゲインを演算する。
【0060】
式(9)を使用者トルクについて解くと式(14)が得られる。
【0061】
【数16】

【0062】
式(14)より、式(15)が得られる。
【0063】
【数17】

【0064】
ただし、式(15)における記号の意味は以下のとおりである。
【数18】

は、第k使用者トルク推定値(第k使用者トルクの推定値)[N・m]。
【0065】
使用者トルク推定器123は、式(15)を用いて第k使用者トルク推定値
【数19】

を演算する。
【0066】
式(15)は、第k関節角速度の絶対値に依存しないため、状態検出器113に安価な角度検出器(たとえば、ポテンショメータ)を用い、関節角速度は直接検出せず、関節角度から演算により求める場合、第k使用者トルク推定値
【数20】

を精度よく得ることができる。
【0067】
以下、アシストロボット110の用途ごとに、アシストトルク演算器124の構成例を示す。
【0068】
アシストロボット110を、傷病により失われた四肢の力を回復させるリハビリ治療の用途に使用する場合、第k関節204に対して式(16)に示す第kアシストトルクTakを適用することができる。
【0069】
【数21】

【0070】
ただし、式(16)における記号の意味は以下のとおりである。Tnkは使用者130の第k関節が傷病前に生成できたトルク[N・m]。
【0071】
式(16)によると、使用者130の第k関節の回復が進むにつれて、アシストロボット110が補助する割合が減少し、完全に回復した時点で第kアシストトルクが0[N・m]となる。
【0072】
さらに、上記リハビリ治療に置いて歩行などの反復動作を実施する場合、その1周期において式(16)に示す第kアシストトルクTakを適用し、2周期以降に式(17)に示す第kアシストトルクTakを適用することにより、第k使用者トルクTukが滑らかな関数となるため第k関節への負担のより少ないリハビリ治療を実施できる。
【0073】
【数22】

【0074】
ただし、式(17)における記号の意味は以下の通りである。Tはリハビリ動作の1周期[s]。
【0075】
アシストロボット110を、使用者130の力の増幅の用途に使用する場合、第k関節204に対して式(18)に示す第kアシストトルクTakを適用することができる。
【0076】
【数23】

【0077】
ただし、式(18)における記号の意味は以下の通りである。nは第k使用者トルクの増幅率。
【0078】
式(18)によると、第k関節において使用者130が実際に発生した第k使用者トルクTukのn倍のトルクを発生することができる。この第k使用者トルクの増幅率nは、使用者130がどの部位にどれくらい余分に力が必要かに応じて、使用者130が任意に設定できるようにする。たとえば、膝を屈伸する筋肉が加齢によって弱った場合、膝の曲げ伸ばし動作をより補助するようにnを設定すればよい。
【0079】
上述のように、アシストロボット制御装置120において、推定器ゲイン演算器121は、状態推定誤差が単調に平衡点に収束するのが望ましいか、振動的に平衡点に収束するのが望ましいかに応じて上述の場合1または場合2の条件を満足するように第k推定器ゲインLを演算する。状態推定誤差演算器122は、式(7)および式(8)の推定誤差方程式に基づいて状態推定誤差を演算する。使用者トルク推定器123は、式(15)に基づいて第k使用者トルク推定値
【数24】

を演算する。アシストトルク演算器124は、アシストロボット110の用途に応じて、式(16)、または式(17)、または式(18)に基づいて第kアシストトルクTakを演算し、関節モータ111に第kアシストトルクTakを発生させるようなモータ電流を出力する。
【0080】
このように、本発明によると、アシストロボットを着用した使用者が各関節周りに発生するトルクを、安価な関節角度検出器のみを備えた場合にも精度良く推定でき、使用者のリハビリまたは力増幅の用途において無駄なく必要な部位に必要なだけアシストトルクを与えることができる。
【0081】
実施の形態2
本実施の形態では、本発明のシミュレーション結果を示す。シミュレーションに用いた数値は以下のとおりである。
=0.24[m]、l=0.38[m]、l=0.46[m]、J=3.0×10−3[kg・m]、J=3.9×10−2[kg・m]、J=1.2×10−1[kg・m]、T2min=−7[N・m]、T2max=7[N・m]。
【0082】
ただし、上述の記号の意味は以下のとおりである。lは足長さ[m]、lは脛長さ[m]、lは大腿部長さ[m]、Jは足の重心周り慣性モーメント[kg・m]、Jは脛の重心周り慣性モーメント[kg・m]、Jは大腿部の重心周り慣性モーメント[kg・m]、T2minはリハビリ時に使用者が膝を曲げる方向に生成できる膝トルクの限界値[N・m]、T2maxはリハビリ時に使用者が膝を伸ばす方向に生成できる膝トルクの限界値[N・m]。
【0083】
シミュレーションに用いた値は、DOTHS-801 430, "Investigation Of Inertial Properties Of The human Body", U.S. Department Of Transportation, National Highway Traffic Safety Administration, March 1975に記載の、人体実測値の平均値を用いた。本シミュレーションにおいて、歩行訓練を通じて膝の機能を回復するリハビリ治療を模擬している。
【0084】
図3は、実施の形態2を示すシミュレーションにおける、膝トルクの時間変化である。図3において、破線は使用者が傷病前に歩行時に発生していた膝トルク(以下、「所望の膝トルク」と呼ぶ)、実線はリハビリ治療時に使用者が発生できる膝トルクの推定値(以下、「使用者トルク推定値」と呼ぶ)、一点鎖線はアシストトルクである。ここで、所望の膝トルクは、Dr.Ben Stansfield, University of Strathclydeによる歩行実測データに基づいている。
【0085】
使用者トルク推定値は実際の使用者トルクに一致しており、使用者トルク推定器123における式(15)を用いた使用者トルクの推定が精度良く実施できていることがわかる。また、アシストトルク演算器124が式(16)を用いて算出したアシストトルクと使用者トルクの推定値の加算値が所望の膝トルクになっていることから、膝の回復の度合いに応じた必要なアシストトルクによって歩行訓練を補助できていることが分かる。
【0086】
このように、本発明によると、使用者130の膝の回復の度合いに応じてリハビリ治療に必要なアシストトルクを与えることができる。
【0087】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0088】
例えば、上記の実施の形態において、歩行が困難となった使用者の膝のリハビリ治療の1例を示したが、膝を使用者の他の部位に置き換え、歩行を他の動作に置き換えることにより、使用者の運動機能回復のためのリハビリ治療全般にも適用することが可能である。
【0089】
したがって本発明によると、加齢などにより日常生活の活動において力の増幅が必要な場合及び、介護や救助のための力の増幅が必要な場合に、安価な関節角度検出器のみを備えたアシストロボットにより必要な部位に必要なだけアシストトルクを与えることができる。
【0090】
より具体的には、傷病により失われた四肢の力を回復させるリハビリ治療に使用する場合、各部位の回復に必要なアシストトルクを無駄なく与え、効果的にリハビリ治療することができる。
【0091】
また、傷病により失われた四肢の力を回復させるリハビリ治療において、歩行などの反復作業を実施する場合、治療する関節への負担のより少ないリハビリ治療を実施できる。
【0092】
また、使用者の力増幅の用途において、無駄なく必要な部位に必要なだけアシストトルクを与えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明によると、アシストロボットを着用した使用者が各関節周りに発生するトルクを安価な関節角度検出器のみを備えた場合にも精度良く推定でき、使用者のリハビリができるので、リハビリ装置、救助作業用ロボットスーツ、歩行補助ロボット、介護装置など、医療、介護、力の増幅が必要な作業に使用する装置全般に広く適用できる。
【符号の説明】
【0094】
110 アシストロボット
111 関節モータ
112 アシストロボット機構
113 状態検出器
120 アシストロボット制御装置
121 推定器ゲイン演算器
122 状態推定誤差演算器
123 使用者トルク推定器
124 アシストトルク演算器
130 使用者
201 リンク
202 関節
203 リンク
204 関節
410 動作補助装置
411 駆動源
412 関節角度検出手段
413 生体信号検出手段
414 相対力検出手段
415 制御装置
416 電力増幅手段
420 装着者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクと関節から構成される機構と前記関節を駆動する複数のモータを備え、装着した使用者の動作を補助するまたはリハビリ治療するアシストロボットの動作を、関節角度などの状態検出値に基づいて制御するアシストロボット制御装置であって、
前記状態検出値に基づいて、推定器ゲインを算出する推定器ゲイン演算器と、
前記状態検出値と前記推定器ゲインに基づいて前記状態推定誤差を算出する状態推定誤差演算器と、
前記状態推定誤差に基づいて、前記アシストロボットを装着する使用者の各関節が発生するトルクである使用者トルク推定値を算出する使用者トルク推定器と、
前記使用者トルク推定値に基づいて動作補助またはリハビリ治療に必要なアシストトルクを算出し、前記関節モータが前記アシストトルクを発生するようなモータ電流を出力するアシストトルク演算器と、を備える、
アシストロボット制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−94502(P2013−94502A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241608(P2011−241608)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】