説明

アルカン水酸化に関連する蛋白質およびそれをコードする遺伝子並びにこれらを用いたアルカンジオールの製造方法

【課題】CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子をクローニングし、タンパク質を特定し、遺伝子を宿主で発現し、組換体を用いて微生物変換系を構築して種々のアルカンおよびアルコールの水酸化方法を提供すること。
【解決手段】CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子、およびAcinetobacter sp. OC4株のフェレドキシン遺伝子とフェレドキシンリダクターゼ遺伝子を含む組み換えベクター、これらの遺伝子またはこの組み換えベクターを含む形質転換体。この形質転換体の存在下でアルカンまたはアルコールを水酸化させることを含む、アルコールまたはアルカンジオールの製造方法。前記形質転換体を培養し、培養物から上記タンパク質を採取することを含む、タンパク質の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカン水酸化に関連する蛋白質およびそれをコードする遺伝子並びにこれらを用いたアルカンジオールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カンジダ(Candida)に属する酵母については、炭素源をノルマルアルカンとして培養すると、α,ωアルカンジオール経由でα,ωジカルボン酸を生産することが知られている(非特許文献1)。カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)における研究によると、ノルマルアルカンはまず1-アルコールに酸化される。この反応はシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(CYP52)とシトクロムP450NADPHリダクターゼによって触媒される(非特許文献2)。さらにこの1-アルコールは脂肪酸アルコールオキシダーゼ(FAO)と脂肪酸アルデヒドオキシダーゼによってカルボン酸まで代謝される(非特許文献3)。また、このようなω酸化産物である1-アルコールは、同じω酸化経路によってα,ωアルカンジオールに変換される。カンジダ・トロピカリスのFAO破壊株は、α,ωアルカンジオールを蓄積することが示唆されている(特許文献1)。
【0003】
一方、アルカンを代謝利用できる細菌類は、炭素源をノルマルアルカンとして培養すると、ω酸化経路によってこれを代謝する。ノルマルアルカンはまず1-アルコールに酸化されるが、この反応はAlkB type alkane hydroxylase(AH)とその電子伝達系であるルブレドキシンとルブレドキシンリダクターゼ、もしくはチトクロームP450ファミリーの1つであるCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ(CYP153)とその電子伝達系であるフェレドキシンとフェレドキシンリダクターゼによって触媒される(非特許文献4,5)。さらにこの1-アルコールはアルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼによってカルボン酸にまで代謝されることが知られている(非特許文献6)。しかし、1-アルコールまたは2-アルコールの末端を酸化してα,ωアルカンジオールに変換する細菌由来酵素、もしくはアルカンや1-アルコールまたは2-アルコールなどの炭水化物を代謝してα,ωアルカンジオールを生産する細菌類についての報告はない。
【0004】
また、直鎖脂肪酸の亜末端酸化(ω-1酸化、ω-2酸化など)についてもいくつかの報告がなされているが、直鎖アルコールの亜末端酸化については数例の研究に限られている。例えば、カエルあるいはテンジクネズミの肝臓ミクロソーム由来P450による1-ドデカノールなどのω-1酸化(非特許文献7,8)、Bacillus megaterium由来P450による1-ドデカノールなどのω-1、ω-2、ω-3酸化(非特許文献9)などが報告されている。しかし、2-アルコールを基質とし、その末端を酸化してα,ω-1アルカンジオールに変換する酵素、もしくは2-アルコールなどの炭水化物を代謝してα,ω-1アルカンジオールを生産する生物についての報告はない。
【非特許文献1】Shiio I. Microbial production of long-Chain dicarboxylic acids from n-alkanes. Agric. Biol. Chem. 1971 35 2033-2042.
【非特許文献2】Craft DL, Madduri KM, Eshoo M, Wilson CR. Identification and characterization of the CYP52 family of Candida tropicalis ATCC 20336, important for the conversion of fatty acids and alkanes to alpha,omega-dicarboxylic acids. Appl Environ Microbiol. 2003 69(10):5983-91.
【非特許文献3】Eschenfeldt WH, Zhang Y, Samaha H, Stols L, Eirich LD, Wilson CR, Donnelly MI. Transformation of fatty acids catalyzed by cytochrome P450 monooxygenase enzymes of Candida tropicalis. Appl Environ Microbiol. 2003 69(10):5992-9.
【特許文献1】特表2002−506650号公報(P2002−506650A)
【非特許文献4】Fujii T, Narikawa T, Takeda K, Kato J. Biotransformation of various alkanes using the Escherichia coli expressing an alkane hydroxylase system from Gordonia sp. TF6. Biosci Biotechnol Biochem. 2004 68(10):2171-7.
【非特許文献5】Maier T, Forster HH, Asperger O, Hahn U. Molecular characterization of the 56-kDa CYP153 from Acinetobacter sp. EB104. Biochem Biophys Res Commun. 2001 286(3):652-8.
【非特許文献6】van Beilen JB, Panke S, Lucchini S, Franchini AG, Rothlisberger M, Witholt B. Analysis of Pseudomonas putida alkane-degradation gene clusters and flanking insertion sequences: evolution and regulation of the alk genes. Microbiology. 2001 147(6):1621-30.
【非特許文献7】Miura Y. ω- and (ω-1)-Hydroxylation of 1-dodecanol by frog liver microsomes Lipids, 1981 16 721-725
【非特許文献8】Miura Y, Hisaki H, Siems W, and Oda S. Hydroxylation of fatty acids and alcohols by hepatic Microsomal cytochrome P-450 system from the Mongolian gerbil. Lipids, 1987 22 987-993
【非特許文献9】Miura Y, and Fulco AJ. ω-1, ω-2 and ω-3 Hydroxylation of long-chain fatty acids, amides and alcohols by a soluble enzymes system from Bacillus megaterium. Biochimica et Biophysica Acta, 1975 388 305-317
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アルカンジオールはプラスチック原料の1つとして重要である。α,ωアルカンジオールは酵母によって生産できる可能性は考えられるが、バイオプロセスによってより有利にアルカンジオールを生産するためには、細菌由来の酵素を用いた微生物変換系が望まれる。
【0006】
本発明の目的は、αアルカンモノオールからα,ωアルカンジオールを生産できる酵素、その遺伝子、およびこれらを用いたαアルカンモノオールからα,ωアルカンジオールを製造する方法を提供することにある。
【0007】
本発明者らは、以前分離しアルカン水酸化能を有することを見出した微生物である、ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子をクローニングし、かつその遺伝子によりコードされるタンパク質を特定するとともに、前記遺伝子をアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のフェレドキシン遺伝子とフェレドキシンリダクターゼ遺伝子と共に大腸菌のような宿主で過不足なく発現し、得られた組換体を用いた微生物変換系により、種々のアルカンおよびアルコールを水酸化できることを見いだして、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の通りである。
[1]下記の何れかのアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(1)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;
(2)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;または
(3)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列
[2]下記の何れかの塩基配列を有する遺伝子。
(1)配列表の配列番号2に記載の646番〜1995番の塩基配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼをコードする塩基配列;
(2)配列表の配列番号2に記載の646番〜1995番の塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有する塩基配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;または
(3)配列表の配列番号2に記載の646番〜1995番の塩基配列からなるDNAに対して相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列
[3]ゴルドニア(Gordonia)属に属する微生物に由来する遺伝子である、[1]または[2]に記載の遺伝子。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の遺伝子を含む組み換えベクター。
[5]アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のフェレドキシンをコードする遺伝子およびフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子をさらに含む[4]に記載の組み換えベクター。
[6][1]〜[3]のいずれかに記載の遺伝子または[4]または[5]に記載の組み換えベクターを含む形質転換体。
[7]宿主が大腸菌である[6]に記載の形質転換体。
[8][6]または[7]に記載の形質転換体の存在下で、原料アルカンまたはアルコールを水酸化させてモノオールまたはジオールを得ることを含む、アルコールの製造方法。
[9]形質転換体が[1]〜[3]のいずれかに記載の遺伝子とアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のフェレドキシンをコードする遺伝子およびフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子を含む組み換えベクターを含むものである[8]に記載の製造方法。
[10]原料アルコールがモノオールであり、生成するアルコールがジオールである[8]または[9]に記載の製造方法。
[11]原料アルコールが炭素数6〜10の1-アルカノールまたは2-アルカノールである[8]または[9]に記載の製造方法。
[12]原料アルコールが2-オクタノールであり、ジオールとして1,7-オクタンジオールを得るか、
または原料アルコールが1-ヘプタノールであり、ジオールとして1,7-ヘプタンジオールを得る[8]または[9]に記載の製造方法。
[13]下記の何れかのアミノ酸配列を有するタンパク質。
(1)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;
(2)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;または
(3)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列
[14][4]に記載の組み換えベクターを含む形質転換体を培養し、培養物から[13]に記載のタンパク質を採取することを含む、[13]に記載のタンパク質の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組換体を用いた微生物変換系を用いれば、酵素系または微生物系を用いてαアルカンモノオールからα,ωアルカンジオールを生産することができる。さらに、これまで解析困難であったバクテリアのCYP153アルカン水酸化機構の解析が容易になるばかりか、酵素改変等も可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明者らは、既に報告されている微生物である、ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子をクローニングした。ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成15年5月29日付けでゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6として寄託されている(FERM P-19376)。
【0011】
また、本発明者らは、アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のアルカン水酸化機構の構成成分全てをコードする遺伝子を既にクローニングした。そのアミノ酸配列および塩基配列を配列表の配列番号1および2に示す。アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに平成17年8月11日付けでアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4として寄託されている(NITE P-125)。
【0012】
1.CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ関連遺伝子
本発明者らは、ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼおよびそれをコードする遺伝子を取得した。
【0013】
即ち、本発明の遺伝子は、下記の何れかのアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子である。
(1)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;
(2)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;または
(3)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列
【0014】
本発明の遺伝子の具体例としては、下記の何れかの塩基配列を有する遺伝子を挙げられる。
(1)配列表の配列番号2に記載の646番〜1995番の塩基配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼをコードする塩基配列;
(2)配列表の配列番号2に記載の646番〜1995番の塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有する塩基配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;または
(3)配列表の配列番号2に記載の646番〜1995番の塩基配列からなるDNAに対して相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列
【0015】
本発明において「CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ」とは、直鎖アルカンの末端を酸化するチトクロームP450ファミリーに属する酵素であり、「CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性」とは、直鎖アルカンの末端を酸化する酵素活性を意味する。「CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性」及びおよび「CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性」を有するタンパク質の活性は、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ、フェレドキシン、フェレドキシンリダクターゼ、NADPH、及び基質となるアルカンを適当な緩衝液に懸濁し、28℃等で変換反応を行った後、生成したアルコールをガスクロマトグラフィー(GC)等で検出することにより評価できる。
【0016】
CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ関連遺伝子の説明における「1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
【0017】
CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ関連遺伝子の説明における「配列表の配列番1に記載のアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列」における相同性は、80%以上であれば特に限定されないが、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上である。
【0018】
CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ関連遺伝子の説明における「1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有する塩基配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から60個、好ましくは1から30個、より好ましくは1から20個、さらに好ましくは1から10個、特に好ましくは1から5個程度を意味する。
【0019】
CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ関連遺伝子の説明における「ストリンジェンな条件下でハイブリダイズする」とは、DNAをプローブとして使用し、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAの塩基配列を意味し、例えば、コロニーあるいはプラーク由来のDNAまたは該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0Mの塩化ナトリウム存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2×SSC溶液(1×SSC溶液は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNA等を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、モレキュラークローニング第2版等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0020】
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、プローブとして使用するDNAの塩基配列と一定以上の相同性を有するDNAが挙げられ、例えば80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは93%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するDNAが挙げられる。
【0021】
本発明のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ関連遺伝子の取得方法は特に限定されない。本明細書中の配列表の配列番号1に記載したアミノ酸配列および配列番号2に記載した塩基配列の情報に基づいて適当なプローブやプライマーを調製し、それらを用いてゴルドニア(Gordonia)属に属する微生物のDNAライブラリーをスクリーニングすることにより本発明のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ関連遺伝子を単離することができる。DNAライブラリーは、本発明のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ関連遺伝子を発現している微生物から常法により作製することができる。
【0022】
PCR法により本発明のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ関連遺伝子を取得することもできる。上記した微生物由来のDNAライブラリーを鋳型として使用し、配列番号2に記載した646番〜1995番の塩基配列を増幅できるように設計した1対のプライマーを用いてPCRを行う。PCRの反応条件は適宜設定することができ、例えば、94℃で30秒間(変性)、55℃で30秒〜1分間(アニーリング)、72℃で2分間(伸長)からなる反応工程を1サイクルとして、例えば30サイクル行った後、72℃で7分間反応させる条件などを挙げることができる。次いで、増幅されたDNA断片を、大腸菌等の宿主で増幅可能な適切なベクター中にクローニングすることができる。
【0023】
上記したプローブまたはプライマーの調製、DNAライブラリーの構築、DNAライブラリーのスクリーニング、並びに目的遺伝子のクローニングなどの操作は当業者に既知であり、例えば、Molecular Cloning:A laboratory Mannual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY.,1989(以下、モレキュラークローニング第2版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38,John Wiley & Sons(1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)等に記載の方法に準じて行うことができる。
【0024】
また、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;並びに配列表の配列番号2に記載の塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有する塩基配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を有する遺伝子(以下、これらの遺伝子を変異遺伝子と称する)については、配列番号1に記載のアミノ酸配列および配列番号2に記載の塩基配列の情報に基づいて、化学合成、遺伝子工学的手法または突然変異誘発などの当業者に既知の任意の方法で作製することができる。
【0025】
例えば、配列表の配列番号2に記載の646番〜1995番の塩基配列を有するDNAに対し、変異原となる薬剤と接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的手法等を用いて行うことができる。遺伝子工学的手法の1つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、モレキュラークローニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー等に記載の方法に準じて行うことができる。
【0026】
本発明のタンパク質は、下記の何れかのアミノ酸配列を有するタンパク質である。
(1)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;
(2)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;または
(3)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;
【0027】
本発明のタンパク質はCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質である。CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質の存在下では、直鎖アルカンの末端を酸化することができる。本発明のタンパク質のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性は、前述の方法により測定できる。
【0028】
本発明のタンパク質の取得方法は特に制限されず、化学合成により合成したタンパク質でもよいし、遺伝子組み換え技術により作製した組み換えタンパク質でもよい。
【0029】
組み換えタンパク質を作製する場合には、先ず、本明細書の上記に記載した当該タンパク質をコードする遺伝子(DNA)を取得する。このDNAを適当な発現系に導入することにより、本発明のタンパク質を産生することができる。発現系でのタンパク質の発現については本明細書中後記する。
【0030】
本発明の遺伝子は適当なベクター中に挿入して使用することができる。本発明で用いるベクターの種類は特に限定されず、例えば、自立的に複製するベクター(例えばプラスミド等)でもよいし、あるいは、宿主細胞に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体と共に複製されるものであってもよい。
【0031】
好ましくは、本発明で用いるベクターは発現ベクターである。発現ベクターにおいて本発明の遺伝子は、転写に必要な要素(例えば、プロモーター等)が機能的に連結されている。プロモーターは宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。
【0032】
細菌細胞で作動可能なプロモーターとしては、バチルス・ステアロテルモフィルス・マルトジェニック・アミラーゼ遺伝子(Bacillus stearothermophilus maltogenic amylase gene)、バチルス・リケニホルミス・α−アミラーゼ遺伝子(Bacillus licheniformis alpa-amylase gene)、バチルス・アミロリケファチエンス・BANアミラーゼ遺伝子(Bacillus amyloliquefaciens BAN amylase gene)、バチルス・サブチリス・アルカリプロテアーゼ遺伝子(Bacillus subtilis alkaline protease gene)もしくはバチルス・プミルス・キシロシダーゼ遺伝子(Bacillus pumilus xylosidase gene)の各プロモーター、またはファージ・ラムダのPRもしくはPLプロモーター、大腸菌のlac、trcもしくはtacプロモーターなどが挙げられる。
【0033】
哺乳動物細胞で作動可能なプロモーターの例としては、SV40プロモーター、MT−1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター、またはアデノウイルス2主後期プロモーターなどがある。昆虫細胞で作動可能なプロモーターの例としては、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーター、オートグラファ・カリホルニカ・ポリヘドロシス塩基性タンパクプロモーター、バキュウロウイルス即時型初期遺伝子1プロモーター、またはバキュウロウイルス39K遅延型初期遺伝子プロモーター等がある。酵母宿主細胞で作動可能なプロモーターの例としては、酵母解糖系遺伝子由来のプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター、TPI1プロモーター、ADH2−4cプロモーターなどが挙げられる。糸状菌細胞で作動可能なプロモーターの例としては、ADH3プロモーターまたはtpiAプロモーターなどがある。
【0034】
また、本発明の遺伝子は必要に応じて、適切なターミネーターに機能的に結合されてもよい。本発明の組み換えベクターは更に、ポリアデニレーションシグナル(例えばSV40またはアデノウイルス5E1b領域由来のもの)、転写エンハンサー配列(例えばSV40エンハンサー)などの要素を有していてもよい。
【0035】
本発明の組み換えベクターは更に、該ベクターが宿主細胞内で複製することを可能にするDNA配列を具備してもよく、その一例としてはSV40複製起点(宿主細胞が哺乳類細胞のとき)が挙げられる。
【0036】
本発明の組み換えベクターはさらに選択マーカーを含有してもよい。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはシゾサッカロマイセス・ポンベTPI遺伝子等のようなその補体が宿主細胞に欠けている遺伝子、または例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシンもしくはヒグロマイシンのような薬剤に対する耐性遺伝子を挙げることができる。本発明の遺伝子、プロモーター、および所望によりターミネーターおよび/または分泌シグナル配列をそれぞれ連結し、これらを適切なベクターに挿入する方法は当業者に周知である。
【0037】
本発明の組み換えベクターは、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼをコードする遺伝子に加えて、アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のフェレドキシンをコードする遺伝子およびフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子を含むことができる。フェレドキシン遺伝子およびフェレドキシンリダクターゼ遺伝子は、それぞれが、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子とともに発現し得る状態であれば、どのような状態で組み換えベクターに含まれていてもよい。この本発明の組み換えベクターを後述のように、大腸菌等の宿主に導入し、この宿主を培養することで、前記3つの遺伝子をともに発現させることで、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を得ることができる。
【0038】
フェレドキシン遺伝子およびフェレドキシンリダクターゼ遺伝子は、アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株の遺伝子に限定されるものではなく、例えばアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) HP2株等の近縁種の遺伝子を用いることも可能である。アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) HP2株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに平成17年8月11日付けでアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) HP2として寄託されている(NITE P-124)。
【0039】
尚、上記で用いるCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子は、配列番号2の遺伝子以外の変異型のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子であることもできる。
【0040】
本発明の遺伝子または組み換えベクターを適当な宿主に導入することによって形質転換体を作製することができる。
【0041】
本発明の遺伝子または組み換えベクターを導入される宿主細胞は、本発明の遺伝子を発現できれば任意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌および高等真核細胞等が挙げられる。
【0042】
細菌細胞の例としては、バチルスまたはストレプトマイセス等のグラム陽性菌または大腸菌等のグラム陰性菌が挙げられる。これら細菌の形質転換は、プロトプラスト法、または公知の方法でコンピテント細胞を用いることにより行えばよい。
【0043】
本発明の形質転換体およびそれを用いた組み換えタンパク質の製造
哺乳類細胞の例としては、HEK293細胞、HeLa細胞、COS細胞、BHK細胞、CHL細胞またはCHO細胞等が挙げられる。哺乳類細胞を形質転換し、該細胞に導入されたDNA配列を発現させる方法も公知であり、例えば、エレクトロポーレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等を用いることができる。
【0044】
酵母細胞の例としては、サッカロマイセスまたはシゾサッカロマイセスに属する細胞が挙げられ、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはサッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)等が挙げられる。酵母宿主への組み換えベクターの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。
【0045】
他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばアスペルギルス、ニューロスポラ、フザリウム、またはトリコデルマに属する細胞である。宿主細胞として糸状菌を用いる場合、DNA構築物を宿主染色体に組み込んで組換え宿主細胞を得ることにより形質転換を行うことができる。DNA構築物の宿主染色体への組み込みは、公知の方法に従い、例えば相同組換えまたは異種組換えにより行うことができる。
【0046】
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、タンパク質を発現させることができる(例えば、Baculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manua1;およびカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Bio/Technology,6,47(1988)等に記載)。
【0047】
バキュロウイルスとしては、例えば、ヨトウガ科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)等を用いることができる。
【0048】
昆虫細胞としては、Spodopterafrugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf21〔バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクターズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W. H. Freeman and Company)、ニューヨーク(New York)、(1992)〕、Trichoplusianiの卵巣細胞であるHighFive(インビトロジェン社製)等を用いることができる。
【0049】
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法またはリポフェクション法等を挙げることができる。
【0050】
上記の形質転換体は、導入された遺伝子の発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中で培養する。形質転換体の培養物から、本発明のタンパク質を単離精製するには、通常のタンパク質の単離、精製法を用いればよい。
【0051】
例えば、本発明のタンパク質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常のタンパク質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)セファロース等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、SP-SepharoseFF(アマシャムバイオサイエンス社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィ一法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
【0052】
本発明は、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子、およびアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のフェレドキシン遺伝子とフェレドキシンリダクターゼ遺伝子を1つの宿主に導入した形質転換体を用い、この形質転換体の存在下で原料アルカンまたはアルコールを水酸化させることで、モノオールまたはジオールを得る、アルコールまたはアルカンジオールの製造方法を包含する。CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ、フェレドキシン遺伝子およびフェレドキシンレダクターゼ遺伝子を1つの宿主に導入した形質転換体は、前述の本発明のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ関連遺伝子、アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のフェレドキシン遺伝子(配列番号2および15の261〜548番)とフェレドキシンリダクターゼ遺伝子(配列番号2および16の1995〜3188番)を、例えば、大腸菌、枯草菌、放線菌等の宿主に常法によって導入することで得ることができる。
【0053】
上記形質転換体は、より具体的には以下のように得ることができる。例えば、エレクトロポレーション法は以下のように行うことができる。外来遺伝子が挿入されたプラスミドをコンピテント細胞の懸濁液に加え、この懸濁液をエレクトロポレーション法専用のキュベットに入れ、そのキュベットに高電圧の電気パルスをかける。その後SOC培地で培養し、平板寒天培地上で形質転換体を単離する。得られた形質転換体の存在下でアルカンまたはアルコールを水酸化させる。
【0054】
本発明の形質転換体で水酸化できるアルカンは、炭素数5〜15、好ましくは炭素数6〜10の直鎖状のアルカンであるか、または、シクロアルカンであることもでき、シクロアルカンは、例えば、炭素数6〜8のシクロアルカンであることができる。直鎖状アルカンの例としては、例えば、n-ヘキサン(1-ヘキサノール)、n-ヘプタン(1-ヘプタノール)、n-オクタン(1-オクタノール)、n-ノナン(1-ノナノール)、n-デカン(1-デカノール)等を挙げることができる。シクロアルカンとしては、例えば、シクロヘキサン(シクロヘキサノール)等、を挙げることができる。尚、括弧内は水酸化生成物であるアルコールである。また本発明の形質転換体で水酸化できるアルコールは、炭素数6〜10の1-アルカノールまたは2-アルカノールである。例えば、1-ヘプタノール(1,7-ヘプタンジオール)や2-オクタノール(1,7-オクタンジオール) 等、を挙げることができる。尚、括弧内は水酸化生成物であるアルカンジオールである。
【0055】
形質転換体の存在下でアルカンまたはアルコールを水酸化させる条件は、以下の通りである。まず形質転換体中のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子、およびアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のフェレドキシン遺伝子とフェレドキシンリダクターゼ遺伝子を菌体内で発現させる。この当該酵素が発現した菌体を基質であるアルカンまたはアルコールと反応させる。アルカンとの反応温度は、形質転換体の至適温度を考慮して、適宜決定できる。また、アルカンまたはアルコールとの反応時間も、アルカンまたはアルコールのモノオールまたはジオールへの変換率(反応の進行度合い)等を考慮して、適宜決定することができる。さらに、アルカンまたはアルコールとの反応は、バッチ式でも連続式でも、いずれの形式でも実施することができる。アルカンまたはアルコールとの反応には、アルカンまたはアルコール水酸化活性に必要なFeをさらに添加しておくことが好ましい。Feは、例えば硫酸鉄7水和物(FeSO4・7H2O)等の化合物を反応系に添加する事で供給できる。
【0056】
生成したアルコール(モノオールまたはジオール)の単離および精製は、例えば、溶媒抽出法および蒸留法により行うことができる。但し、溶媒抽出法および蒸留法に限定される意図はない。溶媒抽出法および蒸留法は、例えば、以下のようにして行うことができる。反応液に酢酸エチルやアルカン等の有機溶媒を加えて攪拌し、アルコールを抽出する。このとき、反応液に塩類(塩化ナトリウム等)や酸類(塩酸等)を加えて反応液のイオン強度を高めるとアルコールの有機溶媒への抽出率が向上するこので好ましい。その後、用いた溶媒とアルコールの沸点の差を利用して蒸留し、目的のアルコールを精製することができる。
【0057】
[実施例]
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
例1
ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株のCYP153アルカンCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子のクローニング
ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株(FERM P-19376)をL-brothを用いて28℃で3日間培養し、染色体DNAをISOPLANT(NIPPON GENE)を用いて調製した。次にプライマーAox-F1とプライマーAox-R1を作製した(表1)。これらとLA Taq(TaKaRa)を用い、TF6株のgenome DNAをテンプレートにして、PCR反応を行った。反応条件は98℃ 20秒,55℃ 30秒,68℃ 30秒の25cycleで行った。この結果、約300bpのDNA断片が増幅した。これをシークエンスした結果、ここに存在する遺伝子のコードする蛋白質は、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼに相同性を有していた。そこでこの遺伝子断片の周辺領域を取得し、シークエンスするために、Inverse PCRを行った(Ochman,H.,Gerber,A.S., and Hartl, D. L. Geneticapplications of an inverse polymerase chain reaction. Genetics,120,621-623(1988))。TF6株の染色体DNAを制限酵素Mlu Iで消化し、T4DNA ligaseを用いて自己連結反応を行った。これをテンプレートDNAとして、約300bpのDNA断片の塩基配列から作製したプライマーAox-F2とプライマーAox-R2(表1)とを用いてPCRを行った。反応条件は98℃ 20秒,68℃ 5分の30cycleで行った。これらのPCR産物をpT7BlueT-vector(Novagen)に連結してDNAシークエンスを行った。
【0058】
【表1】

【0059】
ここで明らかになったDNA約2.5Kbpのさらに周辺領域をシークエンスするために、再度Inverse PCRを行った。TF6株の染色体DNAを制限酵素BamHIで消化し、自己連結反応を行ったものをテンプレートDNAとして、プライマーAox-F3とプライマーAox-R3(表1)とを用いてPCRを行った。反応条件は98℃ 20秒,68℃ 4分の30cycleで行った。これらのPCR産物をpT7 BlueT-vectorに連結してDNAシークエンスを行った。
【0060】
ここで明らかになったDNA配列3485bpを配列表の配列番号2に示した。このDNA断片上にはそのコードする蛋白質がAlcanivorax borkumensis のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼに66%の相同性を示すCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子aoxAが存在していた。
【0061】
例2
ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼをコードする遺伝子の発現および1?アルカノールの微生物変換
ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼをコードする遺伝子(aoxA)と共に、Acinetobacter sp. OC4株(NITE P-125)のフェレドキシンとフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子を大腸菌で発現させるためのプラスミドを構築した。
【0062】
はじめに、既に報告されているAcinetobacter sp. OC4株のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ、フェレドキシンおよびフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子(ACCESSION No. AB221118)が載ったプラスミドを作製した。Primer N-NcoFとPrimer N-HindRを作製した(表1)。これらとLA Taq(TaKaRa)を用い、Acinetobacter sp. OC4株のgenome DNAをテンプレートにして、PCR反応を行った。反応条件は98℃ 20秒,68℃ 2分の30cycleで行った。この結果、約3200bpのDNA断片が増幅し、これを制限酵素NcoIとHindIIIとで消化した。これをpTrcHisA(Invitrogen)のNcoI‐HindIII部位に連結したものをpAfrNoxAとした。
【0063】
ここで作製したプラスミドを鋳型としてAcinetobacter sp. OC4株のフェレドキシンおよびフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子を電子伝達系として利用し、aoxAを大腸菌で発現させる発現プラスミドを作製した。プライマーAox-F4とプライマーAox-R4とを作製し(表1)、これらとLA Taq(TaKaRa)を用い、TF6株のgenome DNAをテンプレートにして、PCR反応を行った。反応条件は98℃ 20秒,68℃ 2分の30cycleで行った。この結果、約1368bpのDNA断片が増幅し、これを制限酵素XbaIとHpaIとで消化した(Fragment A)。一方、Primer Aox-F5とPrimer Aox-R5とを作製し(表1)、これらとLA Taq(TaKaRa)を用い、pAfrNoxAをテンプレートにして、PCR反応を行った。反応条件は98℃ 20秒,68℃ 7分の23cycleで行った。この結果、約5KbpのDNA断片が増幅し、これをBLK Kit (TaKaRa)を用いて平滑化し(Fragment B)、さらに制限酵素XbaIで消化した(Fragment C)。Fragment AとFragment Cとを互いに連結したものをpAfrAoxAとした。また、Fragment Bを自己連結反応を行い、フェレドキシンおよびフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子のみを発現させるプラスミドpBlueを構築した。pAfrAoxAの遺伝子配置図を、pAfrNoxAの遺伝子配置図とともに図1にします。また、pAfrAoxAの遺伝子の塩基配列は配列番号2に示す。
【0064】
尚、pAfrAoxAの遺伝子(配列番号2)において、フェレドキシンをコードする遺伝子は261〜548番(549〜551番が終止コドン)であり、フェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子は1995〜3188番(3189〜3191番が終止コドン)である。フェレドキシンをコードする遺伝子は配列番号15に示し、フェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子は配列番号16に示す。
【0065】
例3
ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼをコードする遺伝子(aoxA)と共に、Acinetobacter sp. OC4株のフェレドキシンとフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子を大腸菌で発現させ、この株を用いて各種アルカンの微生物変換を行った。
【0066】
pAfrAoxA、およびpBlueをそれぞれE.coli TOP10(Invitrogen)に導入した。これらの株のシングルコロニーそれぞれを、アンピシリンナトリウム(150μg/ml)を含むL-培地3mlに植菌し、28℃で24時間培養した後、菌体を集菌し、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0)1.5mlを加え懸濁したものを菌体懸濁液とした。これら菌体懸濁液1.5mlに20%グリセロール溶液15μl、100mg/ml FeSO4・7H2O 1.5μl、および各種アルカン500μlを加え、遠沈管にて28℃で19時間振とう培養した。2N HCl 300μl、少量のNaCl,および各種アルカン500μlを加え、28℃で10分間振とうした後、28℃、3,500rpmで遠心分離した上清をGaschromatography-massspectrometry(GC-MS)で分析した。使用した装置はPerkin Elmer社製のTurbomass Gold型GC-MS装置であり、その操作条件は以下の通りである。反応産物(アルコール類)はその保持時間および質量スペクトルを市販標準品と比較し、それらの一致度から同定した。
【0067】
カラム:TC-WAX(GL Sciences社製キャピラリーカラム、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム(20ml/分で、19:1のスプリット)
カラム温度:5℃/分で120℃から160℃、10℃/分で180℃、180℃で7分、10℃/分で230℃、230℃で3分
インジェクター温度:260℃
ディテクター温度:250℃
試料注入量:1μl
【0068】
なお、反応産物の定量はGC-MSと同様の条件でShimadzu社製のGC-17A型GC装置を用いて行った(検出器は水素炎イオン化検出器を使用)。この結果を表2に示した。E.coli TOP10 pAfrAoxA株は炭素数5から炭素数15の直鎖アルカンおよび炭素数5から炭素数8のシクロアルカンをそれぞれ対応するアルコールに変換した。一方、ネガティブコントロールのE.coli TOP10pBlue株を用いた微生物変換反応では、全てのアルカノールは検出されなかった。
【0069】
【表2】

アルカン相中の生成物量はガスクロマトグラフィー分析により測定した。
【0070】
例4
2-ヘプタノール水酸化による1,7-ヘプタンジオールの生産
ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼをコードする遺伝子(aoxA)と共に、アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のフェレドキシンとフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子を大腸菌で発現させ、この株を用いて1-ヘプタノールの微生物変換反応を試みた。pAfrAoxA、およびpBlueをそれぞれE.coli JM109(TaKaRa)に導入した。これらの株のシングルコロニーそれぞれをアンピシリンナトリウム(150μg/ml)を含むL-培地3mlに植菌し、28℃で24時間培養した後、菌体を集菌し、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0)1.5mlを加え懸濁したものを菌体懸濁液とした。
【0071】
菌体懸濁液1.5mlに100mg/ml FeSO4・7H2O 1.5μlを加え、さらに1-ヘプタノール1.5μlを加え、28℃で24時間振とう培養した。2N HCl 300μl、塩化ナトリウム少量、および酢酸エチル1mlを加え、攪拌後、28℃、3,500rpmで遠心分離した上清をGC-MSで分析した。使用した装置はPerkin Elmer社製のTurbomass Gold型GC-MS装置であり、その操作条件は以下の通りである。反応産物(アルカンジオール類)はその保持時間および質量スペクトルを市販標準品と比較し、それらの一致度から同定した。
【0072】
カラム:TC-WAX(GL Sciences社製キャピラリーカラム、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム(20ml/分で、19:1のスプリット)
カラム温度:5℃/分で120℃から160℃、10℃/分で180℃、180℃で7分、10℃/分で230℃、230℃で10分
インジェクター温度:260℃
ディテクター温度:250℃
試料注入量:1μl
【0073】
なお、反応産物の定量はGC-MSと同様の条件でShimadzu社製のGC-17A型GC装置を用いて行った(検出器は水素炎イオン化検出器を使用)。E.coli JM109 pAfrNoxA株では抽出液中に2.5μg/mlの1,7?ヘプタンジオールを、E.coli JM109 pAfrAoxA株では抽出液中に4.9μg/mlの1,7?ヘプタンジオールを得た。E.coli JM109 pBlue株では1,7?ヘプタンジオールは得られなかった。E.coli JM109 pAfrAoxA株を用いた変換物のGC-MS分析の結果を図2に示した。
【0074】
例5
2-オクタノールの水酸化による1,7-オクタンジオールの生産
ゴルドニア・エスピー(Gordonia sp.) TF6株のCYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼをコードする遺伝子(aoxA)と共に、Acinetobacter sp. OC4株のフェレドキシンとフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子を大腸菌で発現させ、この株を用いて2−オクタノールの微生物変換反応を試みた。pAfrAoxA、およびpBlueをそれぞれE.coli TOP10(Invitrogen)に導入した。これらの株のシングルコロニーそれぞれをアンピシリンナトリウム(150μg/ml)を含むL-培地3mlに植菌し、28℃で24時間培養した後、さらにアンピシリンナトリウム(150μg/ml)を含むL-培地50mlに植菌し、28℃で24時間培養した。菌体を集菌し、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0)5mlを加え懸濁したものを菌体懸濁液とした。
【0075】
菌体懸濁液1.5mlに100mg/ml FeSO4・7H2O 1.5μlと20%グリセロール15μlを加え、さらにDMSOで10倍に希釈した2-オクタノールを5μl加え、28℃で24時間振とう培養した。2N HCl 300μl、塩化ナトリウム少量、および酢酸エチル1mlを加え、攪拌後、28℃、3,500rpmで遠心分離した上清をGC-MSで分析した。使用した装置はPerkin Elmer社製のTurbomass Gold型GC-MS装置であり、その操作条件は以下の通りである。反応産物(アルカンジオール類)はその保持時間および質量スペクトルをNIST Mass Spectral Databaseと比較し、それらの一致度から同定した。
【0076】
カラム:TC-WAX(GL Sciences社製キャピラリーカラム、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム(20ml/分で、19:1のスプリット)
カラム温度:5℃/分で120℃から160℃、10℃/分で180℃、180℃で7分、10℃/分で230℃、230℃で10分
インジェクター温度:260℃
ディテクター温度:250℃
試料注入量:1μl
【0077】
なお、反応産物の定量はGC-MSと同様の条件でShimadzu社製のGC-17A型GC装置を用い、1,7?オクタンジオールの検量線から計算した(検出器は水素炎イオン化検出器を使用)。E.coli TOP10 pAfrAoxA株では抽出液中に157μg/mlの1,7?オクタンジオールを得た。E.coli TOP10 pBlue株では1,7?オクタンジオールは得られなかった。E.coli TOP10 pAfrAoxA株を用いた変換物のGC-MS分析の結果を図3に示した。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、アルカンジオールの製造分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】pAfrAoxAの遺伝子配置図を示す。
【図2】例4における、E.coli JM109 pAfrAoxA株を用いた変換物のGC-MS分析の結果を示す。
【図3】例5における、E.coli TOP10 pAfrAoxA株を用いた変換物のGC-MS分析の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の何れかのアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(1)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;
(2)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;または
(3)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列
【請求項2】
下記の何れかの塩基配列を有する遺伝子。
(1)配列表の配列番号2に記載の646番〜1995番の塩基配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼをコードする塩基配列;
(2)配列表の配列番号2に記載の646番〜1995番の塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有する塩基配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列;または
(3)配列表の配列番号2に記載の646番〜1995番の塩基配列からなるDNAに対して相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列
【請求項3】
ゴルドニア(Gordonia)属に属する微生物に由来する遺伝子である、請求項1または2に記載の遺伝子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の遺伝子を含む組み換えベクター。
【請求項5】
アシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のフェレドキシンをコードする遺伝子およびフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子をさらに含む請求項4に記載の組み換えベクター。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の遺伝子または請求項4または5に記載の組み換えベクターを含む形質転換体。
【請求項7】
宿主が大腸菌である請求項6に記載の形質転換体。
【請求項8】
請求項6または7に記載の形質転換体の存在下で、原料アルカンまたはアルコールを水酸化させてモノオールまたはジオールを得ることを含む、アルコールの製造方法。
【請求項9】
形質転換体が請求項1〜3のいずれか1項に記載の遺伝子とアシネトバクター・エスピー(Acinetobacter sp.) OC4株のフェレドキシンをコードする遺伝子およびフェレドキシンリダクターゼをコードする遺伝子を含む組み換えベクターを含むものである請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
原料アルコールがモノオールであり、生成するアルコールがジオールである請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項11】
原料アルコールが炭素数6〜10の1-アルカノールまたは2-アルカノールである請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項12】
原料アルコールが2-オクタノールであり、ジオールとして1,7-オクタンジオールを得るか、
または原料アルコールが1-ヘプタノールであり、ジオールとして1,7-ヘプタンジオールを得る請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項13】
下記の何れかのアミノ酸配列を有するタンパク質。
(1)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;
(2)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列;または
(3)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ活性を有するアミノ酸配列
【請求項14】
請求項4に記載の組み換えベクターを含む形質転換体を培養し、培養物から請求項13に記載のタンパク質を採取することを含む、請求項13に記載のタンパク質の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2007−74959(P2007−74959A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265474(P2005−265474)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、生物機能を活用した生産プロセスの基盤技術開発/微生物遺伝資源ライブラリーの開発、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(000001915)メルシャン株式会社 (48)
【Fターム(参考)】