アンテナとこれを用いたアンテナ付モジュール
【課題】小型のアンテナ付のモジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】導線の外部に絶縁体皮膜を有した線材を巻回して形成された空芯コイル13aの下方の開口側を基板12に装着し、上方の開口20には、この開口20を塞ぐように絶縁性の封口樹脂板19を設け、この封口樹脂板19と空芯コイル13aとで囲まれた空間は中空空間21とし、この中空空間21内に電子部品3Aを収納させることにより、小型化を実現するものである。
【解決手段】導線の外部に絶縁体皮膜を有した線材を巻回して形成された空芯コイル13aの下方の開口側を基板12に装着し、上方の開口20には、この開口20を塞ぐように絶縁性の封口樹脂板19を設け、この封口樹脂板19と空芯コイル13aとで囲まれた空間は中空空間21とし、この中空空間21内に電子部品3Aを収納させることにより、小型化を実現するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空芯コイルを用いたアンテナとこれを用いたアンテナ付モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のアンテナ付モジュールについて、図面を用いて説明する。図5は従来の高周波モジュールの側面図である。図5において、従来のアンテナ付モジュール1は、基板2の表面2a側に複数個の電子部品3と中空コイルよりなるアンテナ4とが装着されている。ここでアンテナ4は電子部品3で構成される高周波回路に接続されている。なお、これら電子部品3やアンテナ4ははんだによって基板2へ接続されている。
【0003】
次にアンテナ4は空芯コイルで形成され、導線が下方へ導出される導出部5を有し、この導出部5の先端には、基板2の表面2aに対して平行となるように折り曲げられた端子部6を有している。なおコイル4に用いられる導線は、表面に絶縁皮膜が処理されたものであり、端子部6において、皮膜が剥離された皮膜不形成部としている。
【0004】
そして、基板2の表面2a上には、端子部6と対応する位置に接続導体7が設けられ、この接続導体7上にアンテナ4が装着されて、はんだによって接続される。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平6−36938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらこのような従来のアンテナ付モジュール1では、アンテナ4が実装された領域には電子部品3を実装できず、小型化しにくくなるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、小型のアンテナ付モジュールが提供できるようにすることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そしてこの目的を達成するために本発明のアンテナは、中空コイルの一方の開口側を基板へ装着するとともに、他方の開口側には開口を塞ぐように絶縁性の封口部を設け、これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は封口部と中空コイルとで囲まれた空間を中空としたアンテナであり、封口部と中空コイルとで囲まれた中空領域に電子部品を実装することができる。従って、アンテナによって電子部品の装着に規制が発生する領域が小さくできるので、小型のアンテナ付モジュールを実現できるという効果がある。
【0010】
また、封口部を設けているので、この封口部を吸着すれば、市販の実装機などで、容易に中空のアンテナを基板へ実装できる。従って生産性が良好なアンテナモジュールを実現できる。
【0011】
さらに、封口部は絶縁物としているので、この封口部の上方に電子部品を配置させてもショートなどが発生し難くなる。従って、このようなアンテナを用いて高周波モジュールを例えば、カプセル内に収納するような場合、アンテナの上方にも電子部品を近接して配置することもできるので、カプセルを小型化できるという効果も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施の形態1)
近年、内臓疾患の早期発見のためにファイバー型の内視鏡が使用されている。しかしながら、このようなファイバー型の内視鏡は、検査時に被験者の苦痛を伴うことがあり、また小腸などのように検査不可能な部位がある。そこで近年このような課題を解決するために、カプセル型の内視鏡が提案されている。
【0013】
そして本実施の形態におけるアンテナ付モジュールは、そのカプセル内視鏡などに用いられるものであり、カプセル内に収納されるものである。そしてこのカプセルが口から飲み込まれて、体内を通過しながら、人体に装着された外部アンテナと送信、あるいは受信を行う。そのために、アンテナ付モジュールにはアンテナと、高周波回路とを含んでいる。このようなカプセル内視鏡は、カプセルが大きいと飲み込むことが困難となるので、特に小型化が要求されることとなる。
【0014】
以下、本実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態におけるアンテナ付モジュール11の断面図であり、図2は、同アンテナ付モジュール11に用いるアンテナコイルの下面図であり、図3は、同アンテナ付モジュール11において電子部品実装状態での基板上面図である。
【0015】
図1から図3において基板12は厚みが0.5mmであり、その外形は円形形状をなしている。これは、カプセルの断面形状は一般的に円筒形であるので、基板12の外形はカプセルの断面形状に沿った円形とすることで、狭いカプセル内を有効利用するものである。
【0016】
この基板12の一方の表面12aには、複数個の電子部品3Aと、アンテナ13とが装着されている。そして基板12上には、装着された電子部品3Aによって送受信回路が形成される。そしてこの送受信回路の入出力には、アンテナ13が電気的に接続されている。なお本実施の形態においては、電子部品3を一方の表面12aに対してのみ装着したが、これは両面に装着しても良い。さらに、アンテナ13を基板12の表裏の双方に装着しても良い。この場合、一方のアンテナ13を送信用として用い、他方のアンテナ(図示せず)を受信用として用いることも可能となる。このようにすれば、送信と受信とにおいてそれぞれの周波数を異ならせることも可能である。
【0017】
次にアンテナ13について詳細に説明する。図1、図2において、アンテナ13は、中空の空芯コイル13a(中空コイルの一例として用いた)を用いている。空芯コイル13aの線材は、銅線の表面にポリプロピレンなどの樹脂皮膜(絶縁皮膜の一例として用いた)が形成された導線を巻回することで、形成されている。
【0018】
ここで、アンテナ13として空芯コイル13aを用いているのは、このアンテナ付モジュール11が例えばカプセル内視鏡として使用された場合、アンテナ付モジュール11はボタン電池などによって駆動される。そして本実施の形態におけるアンテナ付モジュール11は、3.3mAの電流を使用し、ボタン電池で全体の内視鏡として約8時間の稼動しかできない。そこで、本実施の形態ではアンテナ13として空芯コイル13aを用いている。これは、空芯コイル13aはQ値が高いことにより、ロスが小さくなり、消費電力も小さくなるためである。
【0019】
そしてこの空芯コイル13aの終端部13bには、導出線部14が設けられる。この導出線部14は、終端部13bから空芯コイル13aの軸線と略平行であり、かつ空芯コイル13aの外周面に沿って導出されている。さらに、導出線部14の先端から約1mmまでの間には、樹脂皮膜が剥離された絶縁皮膜不形成部15が形成されている。一方、この空芯コイル13aの終端部13cにも絶縁皮膜不形成部15が形成されている。なお、本実施の形態において絶縁皮膜不形成部15は、基板12に設けられた半円状のスルーホール孔16(図3に示す)へ挿入され、接続導体17とはんだ18によって接続される。そのために終端部13c側の絶縁皮膜不形成部15は、基板12に対して挿入する方向へ先端が下方へと折り曲げられている。
【0020】
このように、絶縁皮膜不形成部15はスルーホール孔16に挿入されて、はんだ18で接続されるので、アンテナコイル13と基板12との間の接続のために必要な基板12の面積は小さくても良い。つまり、基板12の上面12aにおける電子部品3の実装可能領域を広くできる。従って、基板12を小型にでき、アンテナ付モジュール11を小型化できる。
【0021】
そして封口樹脂板19(封口部の一例として用いた)が、空芯コイル13aの終端部13b側の開口部20を塞ぐようにして設けられる。これによりこの封口樹脂板19の表面を吸着できることとなるので、汎用の実装機を用いて容易に基板12へアンテナ13を装着することができる。なお、本実施の形態における封口樹脂板19は、ポリプロピレン樹脂を用い、その厚みは約0.6mmとしている。
【0022】
このようにすることによって、封口樹脂板19と空芯コイル13aで囲まれた領域に中空空間21が形成されることとなる。そこで電子部品3が、アンテナコイル13の中空空間21内に収納されるように配置しておく。また空芯コイル13aの内径は、基板12の直径に対して線材の太さ分だけ大きな直径としておく。このようにすることにより、アンテナコイル13は元来電子部品3を実装できない外周近傍の領域に配置されることとなるので、基板12における電子部品3の実装可能な領域が狭くなり難くなる。つまり、電子部品3の実装可能な面積を大きくできる訳である。従って、その分基板12を小型化することができるので、アンテナ付モジュール11を小型化できることとなる。
【0023】
また、封口樹脂板19によって空芯コイル13aの上部の線材が覆われるので、この封口樹脂板19上に、映像処理回路などのような他の回路(図示なし)を近接、あるいは接触した状態で配置することも可能となる。従って、狭いカプセル内を有効的に利用することが可能となり、カプセル内視鏡を小型化できる。そしてこれは、被験者がカプセルを飲み込む時の苦痛を緩和できるという効果を奏することとなる。
【0024】
なお本実施の形態では、アンテナ13を空芯コイル13aにより形成したが、これは、フレキシブル基板上に形成した導体パターンによって形成しても良い。この様な場合においては、フレキシブル基板を筒状に丸めてアンテナ内に中空空間を形成させる。そしてこのようにして形成されたアンテナを基板12上に装着するとか、あるいは基板12の側面外周に巻き付ける。これによって、電子部品3は中空空間内で構成されるので、電子部品3の実装領域は狭くなり難い。
【0025】
ここでフレキシブル基板を用いた場合においても、上側開口部を覆う封口樹脂板19を設けておく。ただし、フレキシブル基板は柔らかいので、筒状の樹脂体の外周あるいは内周に貼り付けられることによって、体裁を維持している。このように封口樹脂板19を有しているので、汎用の実装機を用いて容易に吸着実装できる。従って非常に生産性が良くなる。
【0026】
本実施の形態では、絶縁皮膜不形成部15を基板12のスルーホール孔16へ挿入したが、図3における、基板12の上面12aに接続導体(図示せず)を形成し、この接続導体へ絶縁皮膜不形成部15を装着しても良い。この場合、図4に示すように、空芯コイル13Aの導出線部14Aの先端は、基板12の上面12aと平行となるように折り曲げられる。これにより絶縁皮膜不形成部15と接続導体とが平行となる。そして、アンテナが絶縁皮膜不形成部15と接続導体17とが対向するように装着されて、半田付けされる。このとき、接続導体17と絶縁皮膜不形成部15との間の接触面積を大きくできるので、この間でのはんだ付け強度を大きくできる。
【0027】
また、図1の封口樹脂板19に代え、薄い封口板19Aを用いている。この封口板19Aは、絶縁皮膜不形成部15と接続導体との半田付けのリフロー熱に耐えることができる材料であれば良い。ここでは例えば厚みが約0.1〜0.2mmのポリプロピレン板を、金型などを用いて基板12の外形寸法とほぼ同じ寸法に加工している。このように封口板19Aの加工が容易であるので、低価格なアンテナコイルを実現できる。そして、封口板19Aと空芯コイル13Aとは、接着剤33によって固定される。
【0028】
また、絶縁皮膜不形成部15が、空芯コイル13A本体と接触しないように隙間34を設けることが重要である。これによってクリームはんだのフラックス成分が、空芯コイル13Aの本体部分に付着し難く、空芯コイル13Aの絶縁皮膜などに亀裂・ピンホールなどを発生し難くなる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明にかかるアンテナ付モジュールは、小型化できるという効果を有し、カプセル内視鏡等に用いられる高周波送受信装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態におけるアンテナ付モジュールの断面図
【図2】同、アンテナコイルの下面図
【図3】同、基板の上面図
【図4】本発明の他の実施の形態におけるアンテナモジュールの側面図
【図5】従来のアンテナモジュールの側面図
【符号の説明】
【0031】
12 基板
13 アンテナ
13a 空芯コイル
13b 終端部
13c 終端部
14 導出線部
15 絶縁皮膜不形成部
19 封口樹脂板
20 開口
21 中空空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、空芯コイルを用いたアンテナとこれを用いたアンテナ付モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のアンテナ付モジュールについて、図面を用いて説明する。図5は従来の高周波モジュールの側面図である。図5において、従来のアンテナ付モジュール1は、基板2の表面2a側に複数個の電子部品3と中空コイルよりなるアンテナ4とが装着されている。ここでアンテナ4は電子部品3で構成される高周波回路に接続されている。なお、これら電子部品3やアンテナ4ははんだによって基板2へ接続されている。
【0003】
次にアンテナ4は空芯コイルで形成され、導線が下方へ導出される導出部5を有し、この導出部5の先端には、基板2の表面2aに対して平行となるように折り曲げられた端子部6を有している。なおコイル4に用いられる導線は、表面に絶縁皮膜が処理されたものであり、端子部6において、皮膜が剥離された皮膜不形成部としている。
【0004】
そして、基板2の表面2a上には、端子部6と対応する位置に接続導体7が設けられ、この接続導体7上にアンテナ4が装着されて、はんだによって接続される。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平6−36938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらこのような従来のアンテナ付モジュール1では、アンテナ4が実装された領域には電子部品3を実装できず、小型化しにくくなるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、小型のアンテナ付モジュールが提供できるようにすることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そしてこの目的を達成するために本発明のアンテナは、中空コイルの一方の開口側を基板へ装着するとともに、他方の開口側には開口を塞ぐように絶縁性の封口部を設け、これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は封口部と中空コイルとで囲まれた空間を中空としたアンテナであり、封口部と中空コイルとで囲まれた中空領域に電子部品を実装することができる。従って、アンテナによって電子部品の装着に規制が発生する領域が小さくできるので、小型のアンテナ付モジュールを実現できるという効果がある。
【0010】
また、封口部を設けているので、この封口部を吸着すれば、市販の実装機などで、容易に中空のアンテナを基板へ実装できる。従って生産性が良好なアンテナモジュールを実現できる。
【0011】
さらに、封口部は絶縁物としているので、この封口部の上方に電子部品を配置させてもショートなどが発生し難くなる。従って、このようなアンテナを用いて高周波モジュールを例えば、カプセル内に収納するような場合、アンテナの上方にも電子部品を近接して配置することもできるので、カプセルを小型化できるという効果も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施の形態1)
近年、内臓疾患の早期発見のためにファイバー型の内視鏡が使用されている。しかしながら、このようなファイバー型の内視鏡は、検査時に被験者の苦痛を伴うことがあり、また小腸などのように検査不可能な部位がある。そこで近年このような課題を解決するために、カプセル型の内視鏡が提案されている。
【0013】
そして本実施の形態におけるアンテナ付モジュールは、そのカプセル内視鏡などに用いられるものであり、カプセル内に収納されるものである。そしてこのカプセルが口から飲み込まれて、体内を通過しながら、人体に装着された外部アンテナと送信、あるいは受信を行う。そのために、アンテナ付モジュールにはアンテナと、高周波回路とを含んでいる。このようなカプセル内視鏡は、カプセルが大きいと飲み込むことが困難となるので、特に小型化が要求されることとなる。
【0014】
以下、本実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態におけるアンテナ付モジュール11の断面図であり、図2は、同アンテナ付モジュール11に用いるアンテナコイルの下面図であり、図3は、同アンテナ付モジュール11において電子部品実装状態での基板上面図である。
【0015】
図1から図3において基板12は厚みが0.5mmであり、その外形は円形形状をなしている。これは、カプセルの断面形状は一般的に円筒形であるので、基板12の外形はカプセルの断面形状に沿った円形とすることで、狭いカプセル内を有効利用するものである。
【0016】
この基板12の一方の表面12aには、複数個の電子部品3Aと、アンテナ13とが装着されている。そして基板12上には、装着された電子部品3Aによって送受信回路が形成される。そしてこの送受信回路の入出力には、アンテナ13が電気的に接続されている。なお本実施の形態においては、電子部品3を一方の表面12aに対してのみ装着したが、これは両面に装着しても良い。さらに、アンテナ13を基板12の表裏の双方に装着しても良い。この場合、一方のアンテナ13を送信用として用い、他方のアンテナ(図示せず)を受信用として用いることも可能となる。このようにすれば、送信と受信とにおいてそれぞれの周波数を異ならせることも可能である。
【0017】
次にアンテナ13について詳細に説明する。図1、図2において、アンテナ13は、中空の空芯コイル13a(中空コイルの一例として用いた)を用いている。空芯コイル13aの線材は、銅線の表面にポリプロピレンなどの樹脂皮膜(絶縁皮膜の一例として用いた)が形成された導線を巻回することで、形成されている。
【0018】
ここで、アンテナ13として空芯コイル13aを用いているのは、このアンテナ付モジュール11が例えばカプセル内視鏡として使用された場合、アンテナ付モジュール11はボタン電池などによって駆動される。そして本実施の形態におけるアンテナ付モジュール11は、3.3mAの電流を使用し、ボタン電池で全体の内視鏡として約8時間の稼動しかできない。そこで、本実施の形態ではアンテナ13として空芯コイル13aを用いている。これは、空芯コイル13aはQ値が高いことにより、ロスが小さくなり、消費電力も小さくなるためである。
【0019】
そしてこの空芯コイル13aの終端部13bには、導出線部14が設けられる。この導出線部14は、終端部13bから空芯コイル13aの軸線と略平行であり、かつ空芯コイル13aの外周面に沿って導出されている。さらに、導出線部14の先端から約1mmまでの間には、樹脂皮膜が剥離された絶縁皮膜不形成部15が形成されている。一方、この空芯コイル13aの終端部13cにも絶縁皮膜不形成部15が形成されている。なお、本実施の形態において絶縁皮膜不形成部15は、基板12に設けられた半円状のスルーホール孔16(図3に示す)へ挿入され、接続導体17とはんだ18によって接続される。そのために終端部13c側の絶縁皮膜不形成部15は、基板12に対して挿入する方向へ先端が下方へと折り曲げられている。
【0020】
このように、絶縁皮膜不形成部15はスルーホール孔16に挿入されて、はんだ18で接続されるので、アンテナコイル13と基板12との間の接続のために必要な基板12の面積は小さくても良い。つまり、基板12の上面12aにおける電子部品3の実装可能領域を広くできる。従って、基板12を小型にでき、アンテナ付モジュール11を小型化できる。
【0021】
そして封口樹脂板19(封口部の一例として用いた)が、空芯コイル13aの終端部13b側の開口部20を塞ぐようにして設けられる。これによりこの封口樹脂板19の表面を吸着できることとなるので、汎用の実装機を用いて容易に基板12へアンテナ13を装着することができる。なお、本実施の形態における封口樹脂板19は、ポリプロピレン樹脂を用い、その厚みは約0.6mmとしている。
【0022】
このようにすることによって、封口樹脂板19と空芯コイル13aで囲まれた領域に中空空間21が形成されることとなる。そこで電子部品3が、アンテナコイル13の中空空間21内に収納されるように配置しておく。また空芯コイル13aの内径は、基板12の直径に対して線材の太さ分だけ大きな直径としておく。このようにすることにより、アンテナコイル13は元来電子部品3を実装できない外周近傍の領域に配置されることとなるので、基板12における電子部品3の実装可能な領域が狭くなり難くなる。つまり、電子部品3の実装可能な面積を大きくできる訳である。従って、その分基板12を小型化することができるので、アンテナ付モジュール11を小型化できることとなる。
【0023】
また、封口樹脂板19によって空芯コイル13aの上部の線材が覆われるので、この封口樹脂板19上に、映像処理回路などのような他の回路(図示なし)を近接、あるいは接触した状態で配置することも可能となる。従って、狭いカプセル内を有効的に利用することが可能となり、カプセル内視鏡を小型化できる。そしてこれは、被験者がカプセルを飲み込む時の苦痛を緩和できるという効果を奏することとなる。
【0024】
なお本実施の形態では、アンテナ13を空芯コイル13aにより形成したが、これは、フレキシブル基板上に形成した導体パターンによって形成しても良い。この様な場合においては、フレキシブル基板を筒状に丸めてアンテナ内に中空空間を形成させる。そしてこのようにして形成されたアンテナを基板12上に装着するとか、あるいは基板12の側面外周に巻き付ける。これによって、電子部品3は中空空間内で構成されるので、電子部品3の実装領域は狭くなり難い。
【0025】
ここでフレキシブル基板を用いた場合においても、上側開口部を覆う封口樹脂板19を設けておく。ただし、フレキシブル基板は柔らかいので、筒状の樹脂体の外周あるいは内周に貼り付けられることによって、体裁を維持している。このように封口樹脂板19を有しているので、汎用の実装機を用いて容易に吸着実装できる。従って非常に生産性が良くなる。
【0026】
本実施の形態では、絶縁皮膜不形成部15を基板12のスルーホール孔16へ挿入したが、図3における、基板12の上面12aに接続導体(図示せず)を形成し、この接続導体へ絶縁皮膜不形成部15を装着しても良い。この場合、図4に示すように、空芯コイル13Aの導出線部14Aの先端は、基板12の上面12aと平行となるように折り曲げられる。これにより絶縁皮膜不形成部15と接続導体とが平行となる。そして、アンテナが絶縁皮膜不形成部15と接続導体17とが対向するように装着されて、半田付けされる。このとき、接続導体17と絶縁皮膜不形成部15との間の接触面積を大きくできるので、この間でのはんだ付け強度を大きくできる。
【0027】
また、図1の封口樹脂板19に代え、薄い封口板19Aを用いている。この封口板19Aは、絶縁皮膜不形成部15と接続導体との半田付けのリフロー熱に耐えることができる材料であれば良い。ここでは例えば厚みが約0.1〜0.2mmのポリプロピレン板を、金型などを用いて基板12の外形寸法とほぼ同じ寸法に加工している。このように封口板19Aの加工が容易であるので、低価格なアンテナコイルを実現できる。そして、封口板19Aと空芯コイル13Aとは、接着剤33によって固定される。
【0028】
また、絶縁皮膜不形成部15が、空芯コイル13A本体と接触しないように隙間34を設けることが重要である。これによってクリームはんだのフラックス成分が、空芯コイル13Aの本体部分に付着し難く、空芯コイル13Aの絶縁皮膜などに亀裂・ピンホールなどを発生し難くなる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明にかかるアンテナ付モジュールは、小型化できるという効果を有し、カプセル内視鏡等に用いられる高周波送受信装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態におけるアンテナ付モジュールの断面図
【図2】同、アンテナコイルの下面図
【図3】同、基板の上面図
【図4】本発明の他の実施の形態におけるアンテナモジュールの側面図
【図5】従来のアンテナモジュールの側面図
【符号の説明】
【0031】
12 基板
13 アンテナ
13a 空芯コイル
13b 終端部
13c 終端部
14 導出線部
15 絶縁皮膜不形成部
19 封口樹脂板
20 開口
21 中空空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線の外部に絶縁皮膜を有した線材を巻回して形成した中空コイルと、この中空コイルの一方の終端部と他方の終端部の少なくとも一方に設けられた絶縁皮膜不形成部と、前記中空コイルの少なくとも一方の開口を塞ぐように設けられた絶縁性の封口部とを有し、この封口部と中空コイルとで囲まれた領域を中空空間としたアンテナ。
【請求項2】
基板と、この基板に装着された電子部品およびアンテナを備え、前記アンテナは、少なくとも一つの電子部品の周りを囲うように前記基板に装着された中空コイルと、この中空コイルの基板とは反対側の開口を塞ぐように設けられた絶縁性の封口部を有し、前記電子部品は前記封口部と中空コイルとで囲まれた中空空間内に収納されたアンテナ付モジュール。
【請求項3】
基板には、中空コイルの少なくとも一方の終端部に形成した絶縁膜不形成部が挿入される孔を設けるとともに、この孔部分に前記絶縁膜不形成部を電気的に接続した請求項2に記載のアンテナ付モジュール。
【請求項4】
基板表面には、中空コイルの少なくとも一方の終端部に形成した絶縁体不形成部に対応した位置に接続導体を形成し、この接続導体に前記絶縁体不形成部を電気的に接続した請求項2に記載のアンテナ付モジュール。
【請求項5】
封口部は、封口板で形成し、この封口板と前記中空コイルとは接着部材で固定した請求項2に記載のアンテナ付モジュール。
【請求項1】
導線の外部に絶縁皮膜を有した線材を巻回して形成した中空コイルと、この中空コイルの一方の終端部と他方の終端部の少なくとも一方に設けられた絶縁皮膜不形成部と、前記中空コイルの少なくとも一方の開口を塞ぐように設けられた絶縁性の封口部とを有し、この封口部と中空コイルとで囲まれた領域を中空空間としたアンテナ。
【請求項2】
基板と、この基板に装着された電子部品およびアンテナを備え、前記アンテナは、少なくとも一つの電子部品の周りを囲うように前記基板に装着された中空コイルと、この中空コイルの基板とは反対側の開口を塞ぐように設けられた絶縁性の封口部を有し、前記電子部品は前記封口部と中空コイルとで囲まれた中空空間内に収納されたアンテナ付モジュール。
【請求項3】
基板には、中空コイルの少なくとも一方の終端部に形成した絶縁膜不形成部が挿入される孔を設けるとともに、この孔部分に前記絶縁膜不形成部を電気的に接続した請求項2に記載のアンテナ付モジュール。
【請求項4】
基板表面には、中空コイルの少なくとも一方の終端部に形成した絶縁体不形成部に対応した位置に接続導体を形成し、この接続導体に前記絶縁体不形成部を電気的に接続した請求項2に記載のアンテナ付モジュール。
【請求項5】
封口部は、封口板で形成し、この封口板と前記中空コイルとは接着部材で固定した請求項2に記載のアンテナ付モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−194703(P2007−194703A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8450(P2006−8450)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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