説明

アーム型搬送装置

【課題】アーム型搬送装置とは別の場所に設置したアライナー等に逐一搬送対象物を搬送することなく、搬送対象物の中心位置を検出可能なアーム型搬送装置を提供する。
【解決手段】正円形搬送対象物Wを保持する第一のリンク21を回転軸C1を介して水平面内で回動可能となるようにベース部材たる第二のリンク22に取り付けたアーム機構2と、前記第二のリンク22に前記回転軸C1とともに取り付けられ、取り付け位置に応じて定まる検出位置Seに正円形搬送対象物Wのエッジが位置したことを検出するエッジ検出部3と、前記第二のリンク22に対する前記第一のリンク21の回転角度θを検出する回転角度検出部27と、正円形搬送対象物Wのエッジがエッジ検出部3を通過した際に回転角度検出部27で検出された対応する回転角度θに基づいて前記リンク21に対する正円形搬送対象物Wの中心位置を算出する中心位置算出部41とを具備して構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能なリンクを有するアーム型搬送装置に係り、特にウェーハのような正円形搬送対象物の中心位置を検出し、位置ずれを補正する機能を適正化したアーム型搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等の薄い正円形搬送対象物を製造工程に従って搬送する搬送装置が知られている。その中でも、関節部を介して複数のリンクを回転可能に直列接続して構成され、各関節部を回転駆動することで、所定ピッチで搬送対象物を収納した収納ケースから搬送対象物を一枚ずつ取り出して搬送するアーム型搬送装置がある。
【0003】
正円形搬送対象物を処理装置に搬送する際、一般的な搬送システムでは、正円形搬送対象物の位置のずれを補正し、適正に搬送対象物を搬送するために、アライナーと呼ばれる装置を用いて、位置合わせが行われている。位置合わせをする方向はX及びY方向とアライナーの回転軸方向のθ方向の3方向である。
【0004】
特許文献1には、正円形搬送対象物の位置合わせをする手段として、X及びY方向、θ方向のずれを検出し、位置合わせをする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−222611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法だと、搬送中、アーム型搬送機とは別の場所に設置したアライナー上でしか、正円形搬送対象物の中心の位置を検出することができず、正円形搬送対象物搬送の際には、一旦アライナーのところへ正円形搬送対象物を搬送し、位置合わせをしてから、また、取り出して目的とする場所に運ぶことになり、アライナーへの搬送時間と位置合わせをする分、時間が掛かってしまうという問題点があった。
【0007】
また、特許文献1を含む一般的なアライナーは各方向の位置ずれ量を検出後、X及びY方向、回転方向にそれぞれに設けられた起動軸で検出したずれを補正するので、アライナー一つに対して、3つの駆動軸を設けなければならず、コストが掛かるという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような問題を解消し、短時間に正円形搬送対象物の中心位置を検出することを可能にするとともに、検出した正円形搬送対象物の中心位置に基づいて、正円形搬送対象物の位置ずれを判定するアーム型搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明のアーム型搬送装置は、正円形搬送対象物を保持するリンクを回転軸を介して水平面内で回動可能となるようにベース部材に取り付けたアーム機構と、前記ベース部材に前記回転軸とともに取り付けられ取り付け位置に応じて定まる検出位置に正円形搬送対象物のエッジが位置したことを検出するエッジ検出部と、前記ベース部材に対する前記リンクの回転角度を検出する回転角度検出部と、正円形搬送対象物のエッジが前記エッジ検出部を通過した際に回転角度検出部で検出された対応する回転角度に基づいて前記リンクに対する正円形搬送対象物の中心位置を算出する中心位置算出部とを具備することを特徴とする。
【0011】
このように構成すると、正円形搬送対象物を保持したリンクをベース部材のエッジ検出部に通過させるだけで、アーム型搬送装置とは別に設置されたアライナー等に逐一搬送して搬送対象物の位置合わせをする必要がなく、回転角度検出部と中心位置算出部とから正円形搬送対象物の中心位置座標を算出することができるので、搬送及び位置合わせの時間を大幅に短縮し、コストも大幅に削減することが可能となる。
【0012】
さらに、正円形搬送対象物が本来あるべき中心位置座標からの位置ずれを判定するためには、前記中心位置算出部で算出される中心位置に基づいて正円形搬送対象物の位置ずれを検出する中心位置ずれ判定部を具備し、この中心位置ずれ判定部が、あらかじめ与えられた基準中心位置と、リンクに載置された測定すべき正円形搬送対象物に対して前記中心位置算出部に算出させたときの実中心位置とに基づいて、前記基準中心位置から前記実中心位置までの中心位置ずれを判定するように構成しておくと好適である。
【発明の効果】
【0013】
以上説明した本発明によれば、正円形搬送対象物をリンク基端部側に設けられたエッジ検出部に通過させるだけで、アライナー等に逐一搬送して、正円形搬送対象物の位置合わせをしなくても、正円形搬送対象物の中心位置座標を算出することができるため、搬送及び位置合わせの時間を大幅に短縮し、コストも大幅に削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るアームを示す斜視図。
【図2】同アーム型搬送装置の動作を示す斜視図。
【図3】同アームのエッジ検出部を示す拡大斜視図。
【図4】同アームの動作を模式的に示す平面図。
【図5】エッジを通過し終えた時の正円形搬送対象物のエッジと中心位置の関係を示すx−y座標図。
【図6】リンク回動時の正円形搬送対象物の動きを示す模式図。
【図7】正円形搬送対象物の中心位置ずれを判定する機能を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態のアーム型搬送装置はロボットアームタイプのもので、図1及び図4に示すように、円盤状をなす半導体ウェーハ等の正円形搬送対象物Wを保持するエンドエフェクタとも呼ばれる第一のリンク21を含む複数のリンク21・22・23を関節部24・25・26を介して水平
面内で回動可能に接続して構成されたアーム機構2と、第一のリンク21に保持される正円形搬送対象物Wのエッジを検出するためのエッジ検出部3と、アーム機構2における各々の関節部24・25・26の回動駆動を制御することで、第一のリンク21で保持した正円形搬送対象物Wを所望の位置に搬送する制御部4とを有している。
【0017】
アーム機構2は、図1及び図4に示すように、先端側で正円形搬送対象物Wを保持する第一のリンク21と、第一のリンク21の基端部21bを先端部22aに水平面内で回動可能に接続した第二のリンク22と、第二のリンク22の基端部22bを先端部23aに水平面内で回動可能に接続した第三のリンク23と、第三のリンク23の基端部23bを水平面内で回動可能に支持する基台20とを有する。第一のリンク21は、平面視略Y字状且つ板状をなし、正円形搬送対象物Wの周縁に対応する形状の段差部21cが上面に形成されている。段差部21cは、搬送対象物が置かれる載置面であり、外周側よりも内周側を低く形成されることで、搬送対象物を保持する機能を発揮している。第一のリンク21の基端部21b及び第二のリンク22の先端部22aは、互いに鉛直方向に沿った回転軸C1回りに水平面内で回動可能に接続されて第一の関節部24を構成している。これと同様に、第二のリンク22の基端部22b及び第三のリンク23の先端部23a、第三のリンク23の基端部23b及び基台20も互いに鉛直方向に沿った回転軸C2・C3回りに水平面内で回動可能に接続されてそれぞれ第二の関節部25、第三の関節部26を構成している。これら各々の関節部24・25・26は、モータ等を用いた動力部Mにより、他の関節部と独立して回動駆動して各リンク21・23・24の角度θを変更可能に構成されている(図4参照)。
【0018】
前記制御部4は、CPU、メモリ及びインターフェイスを具備する通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されて、制御信号を各モータに出力するためのプログラムが格納されており、CPUは適宜このプログラムを読み出して実行し、第一のリンク21に保持された正円形搬送対象物Wを目的位置に搬送する。
【0019】
このような制御において、正円形搬送対象物Wの中心位置がエンドエフェクタである第一のリンク21上の正規の位置からずれていると、第一のリンク21の先端を所要の軌道に沿って目的の位置に移動させても、正円形搬送対象物Wが目的の位置に搬送されないという事態が生じる。
【0020】
そこで、本実施形態はさらに、正円形搬送対象物Wの中心位置を検出すべく、第一のリンク21に保持される正円形搬送対象物Wのエッジを検出するためのエッジ検出部3と、第一のリンク21の回転角度を検出するためのエンコーダ等の回転角度検出部27と、これらの検出部3、27における検出値に基づいて正円形搬送対象物Wの中心位置を算出する中心位置算出部41と、前記中心位置算出部41により得られた中心位置座標を基にあるべき中心位置からのずれを判定する中心位置ずれ判定部42とを設けている。
【0021】
図3に示すように正円形搬送対象物Wのエッジを検出するための前記エッジ検出部3は、発光素子30及び受光素子31からなる光電センサ等のように、取り付け位置に応じた検出位置Seで正円形搬送対象物Wのエッジを検出するもので、発光素子30及び受光素子31を結ぶ光の通路である検出位置Seを正円形搬送対象物Wが通過して、発光素子30から受光素子31に向かう光が遮光されるか否かに応じて正円形搬送対象物Wのエッジを検出する。このエッジ検出部3は、図1〜図4に示すように、前記アーム機構2を構成する複数のリンク21・22・23のうち第一のリンク21よりも基端側にあるベース部材たる第二のリンク22の基端部22bに取り付けてあり、図2及び図4に示すように、前記エッジ検出部3を取り付けた第二のリンク22に対し第一のリンク21が近づく方向に第一の関節部24を回動駆動した場合に、第一のリンク21に正円形搬送対象物Wのエッジが検出位置Seを通過して検出できるようにエッジ検出部3の取り付け位置が設定されていて、そのデータを信号S1として制御部3に出力する。さらに、前記エッジ検出部3は、関節部24・25・26を回動駆動した際に、複数のリンク21・22・23に干渉しないように、その取り付け位置が設定されている。すなわち、エッジ検出部3は、各々のリンク21・22・23の回転軌道を避けた位置に取り付けられているとも言える。
【0022】
また、前記回転角度検出部27は、図2において、正円形搬送対象物Wを保持する第一のリンク21を回転駆動するために基端側にある第二のリンク22の先端部22aに設けた軸モータ28に付設されていて、第二のリンク22に対する第一のリンク21の回転角度を検出し、図1左上のブロック図に示されるように、そのデータを信号E1として制御部4に出力する。
【0023】
そして、前記中心位置算出部41は、第一のリンク21を第2のリンク22に対して回転させながら正円形搬送対象物Wをエッジ検出部3に通過させ、これによって正円形搬送対象物Wの中心位置を検出する。
【0024】
この中心位置算出部41は、制御部4のメモリに書き込まれた以下のような演算プログラムによって構成され、この演算プログラムが制御部4で実行されることによって中心位置算出部41としての機能を発揮する。
【0025】
その演算は、エッジを2回検出することによって得られる当該エッジ座標とそれらに対応する第一のリンクの回転角度を制御部4より読み込むエッジ位置記憶ステップと、それらの情報を基に正円形搬送対象物Wの中心位置座標を算出し、得られた中心位置座標を前記制御部4に記憶させる中心位置算出ステップとを備える。
【0026】
まず、エッジ位置記憶ステップから説明する。
【0027】
図6において、正円形搬送対象物Wを保持した第一のリンク21は回転軸C1中心に時計回りに(正円形搬送対象物Wはエッジ検出部3の向かって左側から右側に通過)回動するとし、エッジ検出部3の検出位置Seはy軸上にあるとする。
【0028】
図6(a)はエッジ検出部3がオン(以下、センサオンと称する)になった時(エッジ検出部3が正円形搬送対象物Wを検出し始めた時)で、後で補足説明するが、この時の第一のリンク21の第二のリンク22に対する回転角度をθとする。
【0029】
図6(b)はエッジ検出部3がセンサオフになった時(センサが正円形搬送対象物Wを検出し終わった時)で、(x,y)はエッジ検出部3が正円形搬送対象物Wを検出し始めた時のエッジの移動先の座標で、(x,y)はエッジ検出部3が正円形搬送対象物Wを検出し終わった時のエッジの座標である。この時の第一のリンク21の第二のリンク22に対する回転角度をθとする。
【0030】
前述の補足説明であるが、第一のリンク21の第二のリンク22に対する前記回転角度とは、図4(b)に示されるように、第一のリンク21と第二のリンク22が、両リンクの関節部24を介して一直線に配置された時をθ=0度とした時の、第一のリンク21が前記関節部24を時計回りに回転した時の回転角度を指す。
【0031】
ただし、この角度は一つの設定例であるので、これに限らず、θ=0度とする位置は任意に選べ、反時計回りを回転角度の正の方向とすることもできる。
【0032】
ここで、図6におけるθ1、θは、第二のリンク22の先端部22aに設けられた軸モータ28に付設された回転角度検出部27から制御部4へ信号E1(図1参照)として出力される。
【0033】
これらの情報は、前記制御部4にて記憶され、前記中心位置算出部41は、エッジを2回検出することによって得られた当該2つのエッジ座標(x,y)、(x,y)と対応する第一のリンクの第二のリンク22に対する回転角度θ、θを収集して、予め記憶されている中心位置算出のための以下アルゴリズムを具現したプログラムを制御部4に実行させる。
【0034】
図5は正円形搬送対象物Wのエッジを2回目に検出し終えた時の正円形搬送対象物Wの位置をx−y座標で表したものであるが、(x,y)はエッジ検出終了時の座標で前記エッジ検出部3の検出位置Seと一致する。(x,y)はその時のエッジを検出し始めた点の移動先の座標で、(a,b)は正円形搬送対象物Wの中心位置座標である。
【0035】
ここにおいて、原点Oは図1及び図2で示される第一のリンク21の回転軸C1であり、第一のリンク21の原点Oからセンサの検出位置Seまでの距離をRとし、正円形搬送対象物Wの半径をrとする。
【0036】
センサ作動中の第一のリンク21の第二のリンク22に対する回転角度量は
θ=θ−θ
【0037】
θ:センサオフ時(エッジ検出部3が正円形搬送対象物Wを検出し終わった時)
【0038】
θ:センサオン時(エッジ検出部3が正円形搬送対象物Wを検出し始めた時)
であり、図5及び図6(b)で示すように、エッジ検出部3が正円形搬送対象物Wを検出し終えた時(センサオフ時)の正円形搬送対象物Wの検出位置座標は
(x,y)=(0,R)としたとき、
(x,y)=(Rsinθ,Rcosθ)
で表される。
【0039】
正円形搬送対象物Wを表す円の式は
(x−a)+(y−b)=rであるので、

となる。
【0040】
ここで、
(x,y)=(0,R)
(x,y)=(Rsinθ,Rcosθ)を代入して

とすると、


となり、θ、R、rは既知の値であるから、センサが正円形搬送対象物Wを検出し終えた時(センサオフ時)の正円形搬送対象物Wの中心座標(a,b)が中心位置算出部41により算出される。
【0041】
この中心座標は第一のリンク21の回転軸を原点O、エッジを検出し終わった時の座標(x,y)を(0,R)としたときの座標であるので、中心位置算出部41はエッジを2回検知することによって得られた情報のうち、実際には正円形搬送対象物Wのエッジを検出し終わった時の座標(x,y)を基準にして、その時の実際の正円形搬送対象物Wの中心位置座標を算出する。
【0042】
以上に述べたアルゴリズムを具現したプログラムを中心位置算出部41が実行したら、得られた中心位置座標を前記制御部4のメモリに記憶させ、中心位置算出ステップを終了するように構成されている。
【0043】
そして、前記中心位置ずれ判定部42では、上記中心位置算出部41を利用して、正円形搬送対象物Wが本来あるべき中心位置からの位置ずれを以下のアルゴリズムを具現したプログラムを実行することによって判定するようにしている。
【0044】
位置ずれを検出するために、まず、基準点を求める。本実施例ではその基準点を正円形搬送対象物Wが正規にずれなく第一のリンク21に保持されているときの正円形搬送対象物Wの中心位置が、第一のリンク21の回転軸O(C1)からこのリンクの先端部に向かって左右対称になるように伸びたリンク21の中心線上に位置し(例えば図1、図4、図6等の状態を参照)、正円形搬送対象物Wの搬送先である例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)などへの搬送に支障がない位置とした。
【0045】
基準点となる基準中心位置は、元々のロボットの設置条件とロボットの各部の寸法から計算で求められ、ティーチング等でその基準中心位置座標を設定しておく。
【0046】
また、この方法に限らず、前記中心位置ずれ判定部42が、ずれがなく正規に第一のリンク21に載置された正円形搬送対象物Wに対し上記中心位置算出ステップを中心位置算出部41に実行させることにより基準中心位置座標を算出させることも可能である。
【0047】
このようにして算出させた基準中心位置座標をあらかじめ制御部4のメモリに記憶させておき、位置ずれを知りたい正円形搬送対象物Wの実中心位置を中心位置算出部41に実行させる。
【0048】
そして、図7に示すように、第一のリンク21にずれて載置された正円形搬送対象物Wの実中心位置座標を(a,b)、基準中心位置座標を(a,b)とすると、前記中心位置ずれ判定部42は、互いの座標の差分である(Δx,Δy)=(a−a,b−b)を中心位置ずれとして判定するようにしている。
【0049】
なお、前記基準中心位置座標を制御部4のメモリに正円形搬送対象物Wの識別データとともに記憶させておくと、識別データを入力或いは選択するだけで、実基準位置のみを算出すれば足りることとなる。
【0050】
以上のように本実施形態に係るアーム型搬送装置は、正円形搬送対象物Wを保持する第一のリンク21を回転軸C1を介して水平面内で回動可能となるようにベース部材たる第二のリンク22に取り付けたアーム機構2と、前記第二のリンク22に前記回転軸C1とともに取り付けられ、取り付け位置に応じて定まる検出位置Seに正円形搬送対象物Wのエッジが位置したことを検出するエッジ検出部3と、前記第二のリンク22に対する前記第一のリンク21の回転角度θを検出する回転角度検出部27と、正円形搬送対象物Wのエッジがエッジ検出部3を通過した際に回転角度検出部27で検出された対応する回転角度θに基づいて前記リンク21に対する正円形搬送対象物Wの中心位置を算出する中心位置算出部41とを具備するように構成したので、正円形搬送対象物Wを保持した第一のリンク21をベース部材である第二のリンク22のエッジ検出部3に通過させるだけで、アーム型搬送装置とは別に設置されたアライナー等に逐一搬送して正円形搬送対象物Wの位置合わせをする必要がなく、回転角度検出部27と中心位置算出部41とから正円形搬送対象物Wの中心位置座標を算出できるので、搬送及び位置合わせの時間を大幅に短縮し、コストも大幅に削減することが可能となる。
【0051】
また、前記中心位置算出部41で算出される中心位置に基づいて正円形搬送対象物Wの位置ずれを検出する中心位置ずれ判定部42を具備し、この中心位置ずれ判定部42が、あらかじめ与えられた基準中心位置{座標(a,b)}と、第一のリンク21に載置された測定すべき正円形搬送対象物Wに対して前記中心位置算出部41に算出させたときの実中心位置{座標(a,b)}とに基づいて、前記基準中心位置から前記実中心位置までの中心位置ずれを判定するようにしているので、リンク21に載置したままで正円形搬送対象物Wの中心位置の位置ずれを判定することができ、アライナーで回転軸方向の補正をする必要がないものについては、正円形搬送対象物Wのリンク21に対する位置ずれを制御部4からの指令に従いリンク21で補正しながらFOUP等の搬送対象物搬送先に正円形搬送対象物Wを搬送することができるため、搬送及び位置合わせの時間を大幅に短縮し、コストも大幅に削減することが可能となる。
【0052】
また、アライナーで回転軸方向の補正が必要なものについては、当該一方向のずれのみを検出するためにアライナーへ搬送して位置あわせをすればよいので、X軸、Y軸、回転軸方向全てについてアライナーで位置あわせをする場合に比較して動作時間の短縮をすることが可能となる。
【0053】
さらに、その後、一旦採用された基準中心位置座標を制御部4のメモリに識別データとともに記憶させることで、その後違う種類の搬送物を搬送して、再び前記と同一の正円形搬送対象物Wを搬送させる場合には、再度エッジを検出し中心位置座標を算出させなくても、前記メモリで記憶された基準中心位置座標を制御部4に読み込ませればよいので、さらに簡便で高い搬送処理効率を付与することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
例えば、本実施形態では、エッジ検出部3は、第二のリンク22に取り付けられているが、第一のリンク21よりも基端側のリンクであれば、これに限定されず、例えば第三のリンク23に取り付けてもよい。本実施形態においてアーム機構は、三つのリンク21〜23を水平面内で回動可能に接続して構成しているが、二つ又は四つ以上のリンクを接続して構成したものでもよい。
【0056】
さらに、本実施形態では、センサとして透過式の光電センサを用いているが、反射式の光電センサを用いてもよい。反射式光電センサならば、アーム端でなく、アーム内部に埋め込み設置可能である。
【0057】
さらにまた、上記に述べた軌道補正は、複数のリンクを回転可能に直列接続して構成されるアーム機構を備えた搬送装置に適用しているが、これ以外のアーム機構を用いた搬送装置にも適用可能である。例えば、複数のリンクを並列接続したパラレルマニピュレータ等の搬送装置が挙げられる。
【0058】
その他、本実施形態では、ウェーハ等の正円形搬送対象物を第一のリンク(エンドエフェクタ)に載置することで正円形搬送対象物を保持するように構成しているが、真空吸着やメカチャック等で保持するように構成してもよい。
【0059】
上記以外にも、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0060】
2…アーム機構
3…エッジ検出部
21…第一のリンク
22…第二のリンク(ベース部材)
27…回転角度検出部(エンコーダ)
41…中心位置算出部
42…中心位置ずれ判定部
C1…回転軸
Se…検出位置
W…正円形搬送対象物(ウェーハ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正円形搬送対象物を保持するリンクを回転軸を介して水平面内で回動可能となるようにベース部材に取り付けたアーム機構と、
前記ベース部材に前記回転軸とともに取り付けられ、取り付け位置に応じて定まる検出位置に正円形搬送対象物のエッジが位置したことを検出するエッジ検出部と、
前記ベース部材に対する前記リンクの回転角度を検出する回転角度検出部と
正円形搬送対象物のエッジが前記エッジ検出部を通過した際に回転角度検出部で検出された対応する回転角度に基づいて前記リンクに対する正円形搬送対象物の中心位置を算出する中心位置算出部とを具備することを特徴とするアーム型搬送装置。
【請求項2】
前記中心位置算出部で算出される中心位置に基づいて正円形搬送対象物の位置ずれを検出する中心位置ずれ判定部を具備するものであって、この中心位置ずれ判定部は、あらかじめ与えられた基準中心位置と、リンクに載置された測定すべき正円形搬送対象物に対して前記中心位置算出部に算出させたときの実中心位置とに基づいて、前記基準中心位置から前記実中心位置までの中心位置ずれを判定することを特徴とする請求項1に記載のアーム型搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−93396(P2013−93396A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233562(P2011−233562)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】