説明

ウエハカセット、半導体製造システム、及び半導体装置の製造方法

【課題】設備機器側でのウエハマッピングを省くことが可能なウエハカセット、半導体製造システム、及び半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】カセット本体2と、カセット本体2に設けられ、ウエハWが収まる複数のスロットSを画定する複数のスロット区分板3と、複数のスロットSのそれぞれにウエハWが存在するか否かについてのスロット情報Dsを出力するウエハセンサ4と、少なくともスロット情報Dsを含んだカセット情報Dcが格納される記憶部7と、外部の設備機器33a〜33dと記憶部7との間の通信を媒介する通信部8とを有するウエハカセット1による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハカセット、半導体製造システム、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置の製造工程では、1ロットの製品ウエハをウエハカセットに入れ、製品ウエハに対する処理をカセット単位で管理することが多い。この場合、オペレータは、製品ウエハを処理する前に、ウエハカセット内の製品ウエハをどの設備機器で処理すべきかを事前に確認する必要がある。通常は、ウエハカセットに貼付されたバーコードをオペレータがバーコードリーダで読み取ることで、そのウエハカセットのロット番号を読み出し、このロット番号から使用すべき設備機器を確認することができる。
【0003】
このように確認をした後は、オペレータが半導体製造装置等の設備機器にウエハカセットを入れ、製品ウエハに対する処理を開始することになる。
【0004】
このとき、ウエハカセット内の全てのスロットにウエハが存在するとは限らない。例えば、前の工程で不良となったウエハが廃棄され、ウエハカセットに空きスロットがある場合がある。
【0005】
そのため、設備機器で成膜等の処理を行う前には、カセット内のどのスロットに空きがあるかを調べるためのウエハマッピングと呼ばれる作業が設備機器内で自動的に行われる。そして、ウエハマッピングにより確認された空きスロットの位置と、不良ウエハを廃棄した際に工場内のデータベースに格納しておいた空きスロットの位置情報とが一致するかを確認する。
【0006】
これにより空きスロットの位置に間違いがないと確認された後に、設備機器内での処理がスタートする。
【0007】
しかしながら、ウエハマッピングは、レーザ光源を機械的に昇降させながらウエハカセット中のウエハにレーザを照射し、その透過光の有無で空きスロットの位置を把握するものであるから、レーザ光源の昇降運動によってマッピング時間が長くなってしまう。
【0008】
マッピング時間は設備機器の種類によっても異なるが、半導体製造装置等の真空装置では10分程度を要する場合もあり、製品ウエハの処理時間の短縮化を阻害する一因となる。また、設備機器が測定装置の場合は、真空装置よりは速やかにマッピングをすることが可能ではあるが、それでもマッピング時間を短縮することが望まれる。
【0009】
更に、上記のようにバーコードを用いウエハカセットの管理では、オペレータがバーコードリーダを用いて個々のカセットを読み取っていかなければならず、オペレータの負担が増大する。また、バーコードの読み取りに必要な時間の分だけ処理時間が長くなると供に、オペレータの作業ミスも誘発する恐れがあり、改善が望まれる。
【0010】
なお、本発明に関連する技術が次の特許文献1〜3に開示されている。
【特許文献1】特開平11−214495号公報
【特許文献2】特開2006−19540号公報
【特許文献3】特開平11−274275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、設備機器側でのウエハマッピングを省くことが可能なウエハカセット、半導体製造システム、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によれば、カセット本体と、前記カセット本体に設けられ、半導体ウエハが収まる複数のスロットを画定する複数のスロット区分板と、前記複数のスロットのそれぞれに前記半導体ウエハが存在するか否かについてのスロット情報を出力するウエハセンサと、少なくとも前記スロット情報を含んだカセット情報が格納される記憶部と、外部の設備機器と前記記憶部との間の通信を媒介する通信部とを有するウエハカセットが提供される。
【0013】
また、本発明の別の観点によれば、記憶部が設けられたウエハカセットを受け入れると供に、前記記憶部との間で通信を行う複数の設備機器と、ネットワークを介して各々の前記設備機器と通信を行う統括制御部とを有し、前記記憶部に、前記ウエハカセットの複数のスロットのそれぞれに半導体ウエハが存在するか否かについてのスロット情報を含んだカセット情報が格納され、前記統括制御部が、前記ネットワークと前記設備機器を介して前記カセット情報を読み出して、前記ウエハカセットにおける空きスロットの位置を管理する半導体製造システムが提供される。
【0014】
そして、本発明の他の観点によれば、ウエハカセットに設けられたウエハセンサを用いて、該ウエハカセットの複数のスロットのそれぞれに半導体ウエハが存在するか否かについてのスロット情報を含んだカセット情報を取得するステップと、前記ウエハカセットに設けられた記憶部に、前記カセット情報を格納するステップとを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウエハカセットにウエハセンサを設けることにより、スロットに半導体ウエハが存在するか否かについてのスロット情報を取得するため、設備機器側でウエハマッピングを行わなくても空きスロットの位置を把握することができると供に、設備機器側でのウエハマッピングを省略することにより半導体ウエハの処理時間を短縮することができる。
【0016】
また、ウエハカセットが備える記憶部にロット番号等を格納することで、ロット番号等の情報を含んだバーコードをウエハカセットに貼付する必要がなくなるので、オペレータが行うバーコードの読み取り作業を省くことができ、オペレータの負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(1)第1実施形態
本実施形態では、ウエハカセットについて説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るウエハカセット1の一部切り欠き斜視図である。
【0020】
このウエハカセット1は、1ロット(例えば25枚)のシリコンウエハWを収容するものであって、カセット本体2と、シリコンウエハWを納める複数のスロットSを画定する複数のスロット区分板3とを備える。
【0021】
カセット本体2とスロット区分板3の材料は特に限定されず、金属又は樹脂でこれらを構成し得る。
【0022】
また、収容するシリコンウエハWのサイズも特に限定されず、6インチ、8インチ、及び12インチ等のシリコンウエハWの大きさに応じ、ウエハカセット1を適宜設計すればよい。
【0023】
スロットSは、収容するシリコンウエハの枚数、すなわち1ロット分だけ設けられ、例えばA側から順にスロット1、スロット2、・・・スロット25のように昇順のスロット番号で特定される。
【0024】
スロット区分板3にはシリコンウエハWの存在を認識するウエハセンサ4が設けられる。ウエハセンサ4としては、例えば、光電センサ、レーザセンサ、超音波センサ、近接センサ、及び接触センサのいずれかを使用し得る。
【0025】
ウエハセンサ4は、図示のように、同一のスロットSを確定する左右のスロット区分板3の両方に設け、両方のウエハセンサ4がシリコンウエハWを認識したときに、当該スロットSにシリコンウエハが存在すると識別させるのが好ましい。このようにすると、左右のうち一方のウエハセンサ4だけがシリコンウエハWを認識しているときは、一枚のシリコンウエハWが隣接する二つのスロットにずれて入っていると認識することができる。
【0026】
このウエハカセット1は、1ロットのシリコンウエハWを収容した状態で、成膜装置や測定装置等の設備機器に受け入れられる。その設備機器内では、図1のA側を下にしてウエハカセット1がカセットステージに載置され、設備機器内の搬送ロボットがシリコンウエハWをフェイスアップの状態で搬送する。
【0027】
図2は、図1のA側から見たウエハカセット1の側面図である。
【0028】
カセット本体4には、図示のように、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリよりなる記憶部7と、通信部8と、電源端子9とが設けられる。
【0029】
これら各部7〜9の機能について、図3を参照しながら説明する。
【0030】
図3は、外部の設備機器のカセットステージ20上に載置された状態でのウエハカセット1の断面図である。
【0031】
記憶部7は、信号線10を介してウエハセンサ4に接続されており、ウエハセンサ4から出力されたスロット情報を格納する。スロット情報とは、複数のスロットのそれぞれにシリコンウエハが存在するか否かについての情報である。
【0032】
また、通信部8は、カセットステージ20の信号端子21と記憶部7との間の通信を媒介するものであり、アンテナ又は接触端子で構成される。
【0033】
通信部8としてアンテナを用いる場合は、無線で信号端子21と通信が行われることになる。アンテナは、カセット本体2に埋め込むことで防水構造となるので、カセット1を水洗する場合に通信部8が水によって故障するのを防止できる。
【0034】
また、このようにアンテナで無線により通信をする場合は、通信部8を図1のB側の側面に設けるようにしてもよい。
【0035】
一方、通信部8として接触端子を用いる場合には、信号端子21と通信部8とを接触させることで、有線で通信が行われる。
【0036】
そして、電源端子9は、カセットステージ20が備える電源端子22から電力を受けて、電源線12(図2参照)を介してウエハセンサ4に電力を供給するために使用される。
【0037】
このようなウエハカセット1では、シリコンウエハWが存在するスロットと存在しないスロットをウエハセンサ4が識別して、識別結果がスロット情報Dsとして記憶部7に格納される。その識別には機械的な動作が伴わないので、スロット情報Dsを瞬時に取得することができる。したがって、従来設備機器側で行われていたウエハマッピングが不要となり、ウエハマッピングに要していた時間を削減することが可能となって、シリコンウエハの処理時間を短縮化することができる。
【0038】
また、半導体工場内でこのウエハカセット1を使用するには、既存の設備機器に信号端子21と電源端子22のみを増設すればよいので、設備機器に大掛かりな改造をせずに、既存の製造ラインにこのウエハカセット1を手軽に導入できる。
【0039】
なお、カセットステージ20に代えて、オペレータが行う作業台に各端子21、22を設けても、上記と同様にしてスロット情報Dsを記憶部7に格納することができる。
【0040】
(2)第2実施形態
本実施形態では、第1実施形態で説明したウエハカセット1を利用した半導体製造システムについて説明する。
【0041】
図4は、本実施形態に係る半導体製造システムのブロック図である。
【0042】
このシステム30は、第1〜第4の設備機器33a〜33dと、工場内ネットワーク32を介して各々の設備機器33a〜33dと通信を行う工場サーバ等の統括制御部31とを有する。
【0043】
このうち、工場内ネットワーク32としては、例えばLAN(Local Area Network)を使用することができる。
【0044】
一方、設備機器33a〜33dは、例えば、成膜装置等の半導体製造装置や、製品用のシリコンウエハをウエハカセット1に入れた状態で保管する製品ストッカである。
【0045】
また、このシステム30では、オペレータが各設備機器33a〜33dでの処理状況等を確認するための情報端末34がネットワーク32に接続される。
【0046】
図5は、このシステム30を用いた半導体装置の製造方法のフローチャートである。
【0047】
その最初のステップP1では、ウエハメーカから購入したシリコンウエハの周縁部にレーザでロット番号とウエハ番号を刻印する。このような作業はナンバリングと呼ばれる。
【0048】
ロット番号は1ロットのシリコンウエハに共通の番号であるのに対し、ウエハ番号は、1ロット内のシリコンウエハを識別する番号であって、典型的には1〜25の番号である、このようなロット番号とウエハ番号により、工場内を流れる複数枚のシリコンウエハの中から一枚のシリコンウエハを特定することができる。
【0049】
但し、第1実施形態で説明したような、スロット情報Dsを持ったウエハカセット1を使用する場合は、後述のようにナンバリングを省いてもよい。
【0050】
次に、ステップP2に移り、ウエハカセット1(図1参照)に1ロットのシリコンウエハWを収める。そして、不図示の作業台の上にウエハカセット1を載せる。ウエハカセット1は、その作業台から電源端子9(図3参照)を介して電力を受け、それによりウエハセンサ4が各スロットにシリコンウエハWが存在するか否かを認識し、スロット情報Dsを含んだカセット情報Dcを取得する。
【0051】
図6は、このカセット情報Dcを模式的に示す図である。
【0052】
これに示されるように、スロット情報Dsは、ウエハカセット1の各スロット1〜25にシリコンウエハが存在するかどうかについての情報を有する。同図では、シリコンウエハが存在するスロットの横の欄に模式的に○を付してある。シリコンウエハが存在しない場合には、その欄に×が付されることになる。このようなスロット情報Dsを参照することにより、ウエハカセット1の空きスロットの位置を確認することができる。
【0053】
次に、ステップP3に移り、このようにして取得したカセット情報Dcを記憶部7に格納する。
【0054】
更に、本ステップでは、ウエハカセット1の通信部8を介して、収容されているシリコンウエハのロット番号を、スロット情報Dsと供にカセット情報Dcとして記憶部7に格納する。この作業は、例えば、通信部8に接続された作業台の端子を通じて、オペレータにより行われる。
【0055】
次に、ステップP4に移り、オペレータが第1の設備機器33aにウエハカセット1を載置する。第1の設備機器33aは、ウエハカセット1との通信に成功したときに、ウエハカセット1を受け入れたと認識する。
【0056】
次いで、ステップP5に移り、ウエハカセット1を受け入れたと認識した第1の設備機器33aが、ネットワーク32を介して統括制御部31と通信を行う。これにより、統括制御部31は、ネットワーク32を介して記憶部7に格納されているカセット情報Dcを読み出す。
【0057】
ここで、カセット情報Dcは、比較的規模の小さな情報であるため、小容量のネットワーク32を介して読み出すことが可能であり、既存のネットワーク32を有効活用することができる。
【0058】
そして、カセット情報Dcの読み出しに成功した統括制御部31は、カセット情報Dcに含まれているロット番号に応じた処理条件を第1の設備機器33aに出力する。
【0059】
続いて、ステップP6に移り、第1の設備機器33aが上記の処理条件に従ってシリコンウエハWに処理を行う。
【0060】
このとき、ウエハカセット1の空きスロットの位置は既にステップP3でスロット情報Dsとして取得してある。したがって、第1の設備機器33a側でウエハマッピングを行う必要がなく、その分だけ半導体装置の製造時間を短縮できる。
【0061】
第1の設備機器33aが成膜装置のような枚葉式の半導体製造装置の場合は、ステップP6はサブステップP9〜P11に分けられる。
【0062】
このうち、サブステップP9では、第1の設備機器33aに設けられた搬送ロボットを用いて、ウエハカセット1のスロットSからシリコンウエハWを一枚取り出す。
【0063】
次いで、サブステップP10に移り、上記の条件に従って、第1の設備機器33aのチャンバ等においてシリコンウエハWに対して成膜等の処理を行う。
【0064】
そして、サブステップP11に移り、第1の設備機器33aに設けられた搬送ロボットを用いて、処理を終了したシリコンウエハWを元と同じスロットSに戻す。
【0065】
このように、あるスロットSを出たシリコンウエハWが処理後に同じスロットSに戻るのであれば、シリコンウエハをスロット番号で特定することができるので、ステップP1で説明したナンバリングが不要となり、ウエハメーカから購入したナンバリングの施されていないシリコンウエハWをそのまま使用することができる。
【0066】
以上により、ステップP6を終了する。
【0067】
次に、ステップP7に移り、第1の設備機器33aが、処理を終えたシリコンウエハの処理条件を、カセット情報Dcに含めてカセット1の記憶部7に格納する。
【0068】
図7は、格納された処理条件を模式的に表す図である。
【0069】
この例では、第1の設備機器33aで実際に行われた処理条件A1〜A25が、スロット番号に対応してカセット情報Dcに追加されている。第1の設備機器33aがCVD装置の場合、処理条件A1〜A25の各々には、例えばシリコンウエハWに成膜を行った際の反応ガス流量、基板温度、成膜時間等が格納される。
【0070】
次いで、ステップP8に移り、ウエハセンサ4を用いてスロット情報Dsを再び取得し、記憶部7に格納されているカセット情報Dcのスロット情報Dsを更新する。基本的には、第1の設備機器33aで処理を行う前と後では、個々のシリコンウエハWは同じスロットに収められるので、本ステップでスロット情報Dsの内容が変更されることは殆どない。しかし、稀にではあるが、設備機器33a側の不具合等でシリコンウエハWが元とは異なるスロットに戻された場合には、処理前と異なるスロット情報Dsに更新されることもある。
【0071】
次に、ステップP12に移り、統括制御部31が、ネットワーク32と第1の設備機器33aを介してウエハカセット1と通信を行い、記憶部7に格納されているカセット情報Dcを読み出す。そして、カセット情報Dc中のスロット情報Dsを参照して、統括制御部31がウエハカセット1にける空きスロットの位置を確認する。
【0072】
以上により、第1の設備機器33a内でのウエハカセット1と統括制御部31との通信を終える。
【0073】
この後は、オペレータが第1の設備機器33aからウエハカセット1を取り出し、次の設備機器、例えば第2の設備機器33b〜第3の設備機器33dのいずれかにウエハカセット1を搬送する。
【0074】
搬送の後、これらの設備機器33b〜設備機器33dは、ウエハカセット1との通信を試みる。そして、通信が成功し、カセット情報Dcの読み出しに成功した場合には、ネットワーク32を介してその旨を統括制御部31に通知する。これを受けて、統括制御部31は、読み出しに成功した設備機器に現在ウエハカセット1が存在することを認識できる。このような認識作業を統括制御部31が工場内の設備機器33a〜33dを通じて行うことにより、オペレータの手作業を介在させずに、ウエハカセット1の工場内での所在をオートマチックに追跡することが可能となる。
【0075】
なお、この追跡の結果、予め定められたのとは異なる流れでウエハカセット1に対して処理が行われていることが判明した場合には、統括制御部31がアラームを出してその旨をオペレータに伝え、オペレータが設備機器に対して処理の中止等の指示を出す。
【0076】
以上説明した本実施形態によれば、ステップP2、P8において、ウエハカセット1に設けられたウエハセンサ4により各スロットにシリコンウエハWがあるかどうかを認識し、その結果をスロット情報Dsとして記憶部7に格納する。この認識には、設備機器側でレーザ光源を昇降させるといった機械的な動作が伴わないので、従来例に係るレーザ光源を用いたウエハマッピングよりも極めて短時間に行うことができる。
【0077】
また、統括制御部31がカセット情報Dcからロット番号を読み出すことで、ステップP5においてロット番号に応じた処理条件を設備機器33a〜33dに出力することができる。
【0078】
したがって、その処理条件をオペレータが設備機器33a〜33dに手入力する手間が省けるようになり、作業時間が短縮されると供に、オペレータの作業ミスを防止できる。
【0079】
更に、ウエハカセット1にロット番号を示すバーコードを貼付しなくても、上記のようにカセット情報Dcからロット番号を読み出すことができるので、オペレータがロット番号を確認するためにバーコードリーダでバーコードを読まなくて済み、オペレータの更なる作業軽減が図れる。
【0080】
しかも、バーコードの読み取りに必要な時間を省けるので、ウエハ処理時間が短縮されると供に、読み取り作業中等に発生するオペレータの作業ミスを防止できる。
【0081】
また、図7に示したように、設備機器33a〜33dで行われた処理条件をカセット情報Dcに含めて格納することで、その処理条件を履歴として残すこともできる。
【0082】
図8は、その履歴DHを含むカセット情報Dcについて模式的に示す図である。この例では、第1及び第3の設備機器33a、33cで実際に行われた処理条件が、スロット番号と各設備機器33a、33cに対応して履歴DHとして格納されている。
【0083】
このような履歴DHを参照することで、個々のシリコンウエハWに対して設計通りの条件で処理が行われたかどうかを確認することができる。
【0084】
以下に、本発明の特徴を付記する。
【0085】
(付記1) カセット本体と、
前記カセット本体に設けられ、半導体ウエハが収まる複数のスロットを画定する複数のスロット区分板と、
前記複数のスロットのそれぞれに前記半導体ウエハが存在するか否かについてのスロット情報を出力するウエハセンサと、
少なくとも前記スロット情報を含んだカセット情報が格納される記憶部と、
外部の設備機器と前記記憶部との間の通信を媒介する通信部と、
を有することを特徴とするウエハカセット。
【0086】
(付記2) 前記ウエハセンサは、前記複数のスロット区分板の各々に設けられたことを特徴とする付記1に記載のウエハカセット。
【0087】
(付記3) 前記通信部はアンテナであり、
前記通信を前記アンテナを介して無線で行うことを特徴とする付記1に記載のウエハカセット。
【0088】
(付記4) 前記アンテナは、前記カセット本体に埋め込まれたことを特徴とする付記3に記載のウエハカセット。
【0089】
(付記5) 前記通信部は接触端子であり、
前記通信を前記接触端子を介して有線で行うことを特徴とする付記1に記載のウエハカセット。
【0090】
(付記6) 前記記憶部に、前記設備機器で処理を終えた前記半導体ウエハの処理条件が、該半導体ウエハが収められた前記スロットに対応して、前記カセット情報に含めて格納されることを特徴とする付記1に記載のウエハカセット。
【0091】
(付記7) 前記記憶部に、複数の前記設備機器において前記半導体ウエハに行われた処理の処理条件が、履歴として前記カセット情報に含めて格納されることを特徴とする付記6に記載のウエハカセット。
【0092】
(付記8) 前記カセット情報には、前記半導体ウエハのロット番号が含まれていることを特徴とする付記1に記載のウエハカセット。
【0093】
(付記9) 記憶部が設けられたウエハカセットを受け入れると供に、前記記憶部との間で通信を行う複数の設備機器と、
ネットワークを介して各々の前記設備機器と通信を行う統括制御部とを有し、
前記記憶部に、前記ウエハカセットの複数のスロットのそれぞれに半導体ウエハが存在するか否かについてのスロット情報を含んだカセット情報が格納され、
前記統括制御部が、前記ネットワークと前記設備機器を介して前記カセット情報を読み出して、前記ウエハカセットにおける空きスロットの位置を管理することを特徴とする半導体製造システム。
【0094】
(付記10) 前記ウエハカセットにウエハセンサが設けられ、前記半導体ウエハが存在するスロットと存在しないスロットを前記ウエハセンサが識別して、識別結果が前記スロット情報として前記記憶部に格納されることを特徴とする付記9に記載の半導体製造システム。
【0095】
(付記11) 前記設備機器は、前記カセット情報の読み出しに成功した旨を前記統括制御部に通知し、
前記統括制御部は、前記通知により前記ウエハカセットが前記設備機器に存在すると認識することにより前記ウエハカセットの所在を追跡することを特徴とする付記9に記載の半導体製造システム。
【0096】
(付記12) 前記カセット情報には、前記ウエハカセット内に収容されている前記半導体ウエハのロット番号が含まれており、
前記統括制御部は、前記ロット番号に応じた処理条件を前記設備機器に出力し、
前記設備機器は、前記処理条件に従って前記半導体ウエハに対して処理を行うことを特徴とする付記9に記載の半導体製造システム。
【0097】
(付記13) 前記設備機器は、該設備機器で処理を終えた半導体ウエハの処理条件を、前記記憶部に格納されている前記カセット情報に追加することを特徴とする付記12に記載の半導体製造システム。
【0098】
(付記14) ウエハカセットに設けられたウエハセンサを用いて、該ウエハカセットの複数のスロットのそれぞれに半導体ウエハが存在するか否かについてのスロット情報を含んだカセット情報を取得するステップと、
前記ウエハカセットに設けられた記憶部に、前記カセット情報を格納するステップと、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0099】
(付記15) 設備機器に前記ウエハカセットを受け入れて、該設備機器側でのウエハマッピングを省いて、該設備機器において前記半導体ウエハに対して処理を行うステップを更に有することを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
【0100】
(付記16) 前記半導体ウエハに対して処理を行うステップは、
前記スロットから前記半導体ウエハを一枚取り出すステップと、
前記半導体ウエハを前記設備機器において処理するステップと、
前記処理の後に、前記半導体ウエハを元と同じスロットに戻すステップを有し、
前記半導体ウエハとしてナンバリングの施されていない半導体ウエハを用いることを特徴とする付記15に記載の半導体装置の製造方法。
【0101】
(付記17) 前記設備機器において前記処理を終えた半導体ウエハの処理条件を、前記カセット情報に含めて前記記憶部に格納するステップを更に有することを特徴とする付記15に記載の半導体装置の製造方法。
【0102】
(付記18) 前記処理を異なる前記設備機器において複数回行い、前記処理条件を、履歴として前記カセット情報に含めて前記記憶部に格納することを特徴とする付記17に記載の半導体装置の製造方法。
【0103】
(付記19) 前記記憶部に前記カセット情報を格納するステップにおいて、前記ウエハカセット内に収容されている前記半導体ウエハのロット番号を、前記スロット情報と供に前記カセット情報として前記記憶部に格納することを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るウエハカセットの一部切り欠き斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係るウエハカセットの側面図である。
【図3】図3は、外部の設備機器のカセットステージ上に載置された状態での本発明の第1実施形態に係るウエハカセットの断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係る半導体製造システムのブロック図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体製造システムを用いた半導体装置の製造方法のフローチャートである。
【図6】図6は、カセット情報を模式的に示す図である。
【図7】図7は、カセット情報に含めて格納された処理条件を模式的に表す図である。
【図8】図8は、履歴を含むカセット情報について模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0105】
1…ウエハカセット、2…カセット本体、3…スロット区分板、4…ウエハセンサ、7…記憶部、8…通信部、9…電源端子、10…信号線、12…電源線、20…カセットステージ、21…信号端子、22…電源端子、30…半導体製造システム、31…統括制御部、32…工場内ネットワーク、33a〜33b…第1〜第4の設備機器、34…情報端末、Dc…カセット情報、Ds…スロット情報、DH…履歴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセット本体と、
前記カセット本体に設けられ、半導体ウエハが収まる複数のスロットを画定する複数のスロット区分板と、
前記複数のスロットのそれぞれに前記半導体ウエハが存在するか否かについてのスロット情報を出力するウエハセンサと、
少なくとも前記スロット情報を含んだカセット情報が格納される記憶部と、
外部の設備機器と前記記憶部との間の通信を媒介する通信部と、
を有することを特徴とするウエハカセット。
【請求項2】
前記記憶部に、前記設備機器で処理を終えた前記半導体ウエハの処理条件が、該半導体ウエハが収められた前記スロットに対応して、前記カセット情報に含めて格納されることを特徴とする請求項1に記載のウエハカセット。
【請求項3】
記憶部が設けられたウエハカセットを受け入れると供に、前記記憶部との間で通信を行う複数の設備機器と、
ネットワークを介して各々の前記設備機器と通信を行う統括制御部とを有し、
前記記憶部に、前記ウエハカセットの複数のスロットのそれぞれに半導体ウエハが存在するか否かについてのスロット情報を含んだカセット情報が格納され、
前記統括制御部が、前記ネットワークと前記設備機器を介して前記カセット情報を読み出して、前記ウエハカセットにおける空きスロットの位置を管理することを特徴とする半導体製造システム。
【請求項4】
前記設備機器は、前記カセット情報の読み出しに成功した旨を前記統括制御部に通知し、
前記統括制御部は、前記通知により前記ウエハカセットが前記設備機器に存在すると認識することにより前記ウエハカセットの所在を追跡することを特徴とする請求項3に記載の半導体製造システム。
【請求項5】
前記カセット情報には、前記ウエハカセット内に収容されている前記半導体ウエハのロット番号が含まれており、
前記統括制御部は、前記ロット番号に応じた処理条件を前記設備機器に出力し、
前記設備機器は、前記処理条件に従って前記半導体ウエハに対して処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の半導体製造システム。
【請求項6】
ウエハカセットに設けられたウエハセンサを用いて、該ウエハカセットの複数のスロットのそれぞれに半導体ウエハが存在するか否かについてのスロット情報を含んだカセット情報を取得するステップと、
前記ウエハカセットに設けられた記憶部に、前記カセット情報を格納するステップと、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
設備機器に前記ウエハカセットを受け入れて、該設備機器側でのウエハマッピングを省いて、該設備機器において前記半導体ウエハに対して処理を行うステップを更に有することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−158600(P2009−158600A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332931(P2007−332931)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】