説明

オーディオ処理装置及びオーディオファイル情報提示方法

【課題】楽曲がリリースされたおよその年代に基づいて、オーディオファイルを容易に見つけ出すことのできる「オーディオ処理装置及びオーディオファイル情報提示方法」を提供する。
【解決手段】再生制御ウインドウにおいて、スライダ3033が移動操作されたならば、移動操作後にスライダ3033が位置する全年代選択スクロールバー3032の上下方向位置範囲に対応する年範囲に含まれる年をリリース年とするタグ情報を含んだオーディオファイル153の楽曲情報を、よりリリース年が新しいものがより上に位置するように配置したリストを、楽曲情報エリア3034に表示する(a)。そして、楽曲情報エリア3034上で、楽曲情報の選択を受け付け、再生制御ボタン群301の操作に応じて、選択されている楽曲情報に対応するオーディオファイル153の再生制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録されたオーディオファイルを処理するオーディオ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に記録されたオーディオファイルを処理するオーディオ処理装置としては、たとえば、記録媒体に記録したオーディオファイルを、オーディオファイルにオーディオデータが格納されている楽曲のアーティストやジャンルやリリース年毎にグループ化すると共に、ユーザのグループの指定に従って指定されたグループに属する各楽曲を順次再生するオーディオ再生装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002-23771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
HDDなどの記憶媒体の大容量化に伴い、オーディオ再生装置においても膨大な数の楽曲を記憶媒体に記録可能となってきている。
そして、このために、ユーザが、再生したい楽曲のアーティストやアルバムやリリース年度などの楽曲情報を正確に憶ええていない場合には、当該楽曲を、記憶媒体に記憶した膨大な数の楽曲のうちから探し出すことが極めて困難となっている。
一方、一般的にユーザは、楽曲のアーティストやアルバムなどを正確に覚えていない又は初めから知らない場合であっても、楽曲がリリースされたおおよその年代は、その楽曲と他の思い出との結びつきなどに基づいて把握していることが多い。
そこで、本発明は、ユーザが、所望の楽曲を、当該所望の楽曲がリリースされたおよその年代に基づいて、容易に見つけ出して利用することのできるオーディオ処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題達成のために、本発明は、各々楽曲のオーディオデータを格納すると共に、当該楽曲のリリース年を含む当該楽曲に関する情報である楽曲情報が設定されたオーディオファイルを記録した記録媒体から、前記オーディオファイルを読み出し処理するオーディオ処理装置に、スクロールバーを表示し、当該スクロールバーに対するユーザのスクロール操作に応じて、対象年範囲として設定する年の範囲を順次的に切り替える対象年範囲設定手段と、前記対象年範囲に含まれるリリース年を含む楽曲情報が設定されている楽曲のオーディオデータを格納したオーディオファイルの楽曲情報の少なくとも一部の一覧を表示する一覧表示手段と、前記一覧上で選択されたオーディオファイルを処理する処理手段とを備えたものである。
【0005】
このようなオーディオ処理装置によれば、ユーザは、スクロールバーに対するスクロール操作によって、容易に所望の年にリリースされた楽曲のオーディオファイルの情報の一覧を、年代順に閲覧することができる。したがって、ユーザは、所望の楽曲を、当該所望の楽曲がリリースされたおよその年代に基づいて、容易に見つけ出して利用することができるようになる。
【0006】
ここで、このようなオーディオ処理装置は、前記対象年範囲設定手段において、スクロールバー上の各領域を各々年の範囲に対応づけると共に、前記各領域を当該領域に対応づけられた年の範囲に含まれるリリース年を含む楽曲情報が設定されている楽曲のオーディオデータを格納したオーディオファイルの数の大小のレベルに応じた表示形態で表示し、前記スクロール操作によって選択されるスクロールバー上の領域に対応づけられた年の範囲を前記対象年範囲として設定するように構成してもよい。
【0007】
このようにすることにより、ユーザはスクロールバーの表示より、各年にリリースされたオーディオファイルの記録媒体への記憶状況を直接的に把握することができるようになる。
また、以上の各オーディオ処理装置には、さらに、ユーザからの検索要求に応じて、前記対象年範囲に含まれるリリース年を含む楽曲情報が設定されている楽曲のオーディオデータを格納したオーディオファイルを検索する検索手段を備えるようにしてもよい。
このようにすることにより、スクロールバーの利便性をさらに向上することができる。
また、以上の各オーディオ処理装置の処理手段を、前記一覧上で選択されたオーディオファイルを再生する手段として、当該オーディオ処理装置をオーディオ再生装置として構成するようにしてもよい。
また、前記課題達成のために、本発明は、各々楽曲のオーディオデータを格納すると共に、当該楽曲のリリース年を含む当該楽曲に関する情報である楽曲情報が設定された、複数のオーディオファイルに関する情報を提示するオーディオファイル情報提示方法として、スクロールバーを表示し、当該スクロールバーに対するユーザのスクロール操作に応じて、対象年範囲として設定する年の範囲を順次的に切り替えるステップと、前記対象年範囲に含まれるリリース年を含む楽曲情報が設定されている楽曲のオーディオデータを格納したオーディオファイルの楽曲情報の少なくとも一部の一覧を表示するステップとを備えたオーディオファイル情報提示方法を提供する。
【0008】
このようなオーディオファイル情報提示方法によれば、ユーザは、スクロールバーに対するスクロール操作によって、容易に所望の年にリリースされた楽曲のオーディオファイルの情報の一覧を年代順に閲覧することができる。したがって、ユーザは、所望の楽曲を、当該所望の楽曲がリリースされたおよその年代に基づいて、容易に見つけ出して利用することができるようになる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、ユーザは、所望の楽曲を、当該所望の楽曲がリリースされたおよその年代に基づいて、容易に見つけ出して利用することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、自動車に搭載される車載オーディオ装置への適用を例にとり説明する。
図1に、本実施形態に係る車載オーディオ装置の構成を示す。
図示するように、車載オーディオ装置1は、オーディオ処理装置11、表示装置12、スピーカやオーディオアンプ装置などのオーディオ出力装置13、移動電話網などであるWAN2を介して楽曲サーバ3に接続するための移動電話端末などである無線通信装置14、HDD15、CDDA161用のドライブ装置であるCDドライブ16、入力装置17とを有している。
【0011】
そして、オーディオ処理装置11は、CPU111、メモリ112、表示装置12に接続する表示インタフェース113、オーディオ出力装置13に接続するオーディオ出力インタフェース114、無線通信装置14に接続する通信インタフェース115、HDD15に接続するHDDインタフェース116、CDドライブ16に接続するCDドライブインタフェース117、入力装置17に接続する入力インタフェース118と、以上の各部を接続するバス119とを備えている。ここで、表示インタフェース113、オーディオ出力インタフェース114、通信インタフェース115、HDDインタフェース116、CDドライブインタフェース117、入力インタフェース118は、各々接続する装置と、オーディオ処理装置11との間との入出力を処理するものである。
【0012】
一方、WAN2に接続した楽曲サーバ3は、楽曲を格納したオーディオファイルを蓄積した楽曲ファイルデータベース31、WAN2を介した車載オーディオ装置1からの要求などに応じて楽曲ファイルデータベース31に格納されたオーディオファイルを検索する楽曲検索エンジン32、楽曲ファイルデータベース31に蓄積されているオーディオファイルをWAN2を介して車載オーディオ装置1に配信する楽曲ファイルサーバ33とを備えている。
【0013】
さて、車載オーディオ装置1のオーディオ処理装置11のHDD15には予めコンピュータプログラムが格納されており、CPU111のHDD15に記憶されたコンピュータプログラムの実行により、オーディオ処理装置11上に図2に示す機能構成が実現される。
すなわち、図2に示すように、オーディオ処理装置11は、機能的には、オペレーティングシステム201と、オペレーティングシステム201上のアプリケーションプロセスであるミュージックプレイヤ202とを有する。そして、ミュージックプレイヤ202は、メイン制御部2021、ダウンロード処理部2022、再生処理部2023、リッピング処理部2024を有する。
【0014】
次に、車載オーディオ装置1のHDD15には、前述したコンピュータプログラムの他、CDDB151と、プレイリスト152と、オーディオファイル153が格納されている。
ここで、CDDB151は、各CDDA161の種類(アルバム)毎に、当該CDDA161に記録されている各楽曲のアルバム名やアーティスト名やタイトルやジャンルやリリース年などの属性情報を、CDDA161のTOC(Table Of Contents)情報に対応づけて登録したデータベースである。また、オーディオファイル153は、楽曲のオーディオデータを格納したファイルであり、オーディオファイル153中にはファイル名等が記述されたファイル情報とオーディオデータと共に、楽曲のアルバム名やアーティスト名やタイトルやジャンルやリリース年などのデータを示す文字情報であるタグ情報が格納されている。なお、このようなタグ情報としては、MP3(MPEG 1 AUDIO LAYER-3)フォーマットのオーディオファイル153で利用されている、ID3タグ情報などが知られている。また、プレイリスト152は、このようなオーディオファイル153の、ユーザによって設定等されたグループを定義したものであり、当該グループを単位としてオーディオファイル153を再生するためなどに用いられる。
【0015】
次に、CDDA161には、TOC情報と、各々が一つの楽曲の楽曲データであるオーディオトラックが記録されている。TOC情報は、CDDA161に記録されているオーディオトラックの数や各オーディオトラックの長さ等を示しており、したがって、実質上、CDDA161の種類(アルバム)毎に異なる値を持つ。そして、このため、このTOC情報は、CDDA161の種類(アルバム)を識別するための識別情報として利用することができる。
【0016】
そして、このようなオーディオ処理装置11の機能構成において、オペレーティングシステム201は、ミュージックプレイヤ202の各部の、HDD15に格納されたプレイリスト152やオーディオファイル153やCDDB151や、CDDA161に記録されたTOC情報やオーディオトラックに対するアクセスや、表示装置12や入力装置17やオーディオ出力装置13や無線通信装置14との間の入出力を制御する。
【0017】
以下、このような車載システムにおけるミュージックプレイヤ202の動作について説明する。
ミュージックプレイヤ202のメイン制御部2021は、ユーザからの要求操作に応じて、リッピング処理と楽曲再生処理を行う。
そして、リッピング処理では、リッピング処理部2024に、CDDA161のオーディオトラックのオーディオデータを格納したオーディオファイル153をHDD15上に作成させる処理を行う。すなわち、この処理においてリッピング処理部2024は、CDDA161のオーディオトラックの各々について、当該オーディオトラックからオーディオデータを読み出して、MP3やAACなどの所定の符号化アリゴリズムに従って予め設定されたビットレートの符号化オーディオデータに符号化すると共に、CDDA161のTOC情報でCDDB151を探索して求まる当該オーディオトラックの楽曲のアルバム名やアーティスト名やタイトルやジャンルやリリース年などのデータを示すタグ情報を生成する。そして、符号化したオーディオデータと生成したタグ情報を含めたオーディオファイル153を生成し、HDD15に格納する。
【0018】
次に、メイン制御部2021は、楽曲再生処理を以下のように行う。
まず、メイン制御部2021は、適時、プレイリスト順表示モードと年代順表示モードとの二つのモードのうちのいずれかのモードの選択をユーザから受付け、選択されたモードを表示モードとして設定する。
そして、表示モードとして、プレイリスト順表示モードが設定されている場合には、HDD15に格納されているプレイリスト152の一覧を表示装置12に表示すると共に、ユーザから一覧上でのプレイリスト152の選択を受付、選択されたプレイリスト152が規定するグループに含まれる各オーディオファイル153を順次HDD15から読み出して、読み出した各オーディオファイル153について、再生処理部2023にオーディオファイル153内のオーディオデータを復号してオーディオ出力装置13から出力する再生処理を行わせる。
【0019】
一方、表示モードとして、年代順表示モードが設定されている場合には、まず、図3aに示す再生制御ウインドウを表示装置12に表示する。
ここで、図示するように再生制御ウインドウには、再生/前方スキップ再生/後方スキップ再生などの再生動作を制御するための再生制御ボタン群301と、検索ボタン302と、再生するオーディオファイル153の選択を受け付けるためのオーディオファイル選択エリア303とが設けられている。
【0020】
そして、メイン制御部2021は、図4に示す年代順リスト表示処理によって、オーディオファイル選択エリア303の表示を制御する。
すなわち、メイン制御部2021は、この処理で、まず、オーディオファイル選択エリア303に図3aに示す表示スパン切替ボタン3031を表示する(ステップ400)。そして、次に、HDD15に格納されている各オーディオファイル153を、オーディオファイル153に含まれるタグ情報が示すリリース年の順にソートする(ステップ402)。リリース年が同じオーディオファイル153については、タグ情報が示すアーティスト名やタイトルなどの予め定めた第2の項目の値に従ってソートする。
【0021】
そして、オーディオファイル選択エリア303に図3aに示す全年代選択スクロールバー3032を選択スクロールバーとして表示する(ステップ404)。ここで、図3aに示すように、全年代選択スクロールバー3032は、10年ごとの目盛を備えた、上方ほど現在に近い年が対応づけられるように、上下方向各位置に年を対応づけたバー(ものさし)であり、このバーに沿ってユーザが移動操作可能なスライダ3033を備えている。また、このバーの上下方向各位置の表示色が、その位置に対応する年をリリース年とするタグ情報を含んだオーディオファイル153の数が多いほど濃い色となるように、当該バーは表示される。
【0022】
さて、図4に戻り、全年代選択スクロールバー3032を選択スクロールバーとして表示したならば、図3aに示すように、スライダ3033が位置する選択スクロールバーの上下方向位置範囲に対応する年範囲に含まれる年をリリース年とするタグ情報を含んだオーディオファイル153の楽曲情報を、ステップ402で行ったソート順に従ってよりリリース年が新しいものがより上に位置するように配置したリストを、楽曲情報エリア3034に表示する(ステップ406)。ここで、オーディオファイル153の楽曲情報としては、そのオーディオファイル153のタグ情報に含まれるタイトルやアルバムやアーティストやジャンルなどを用いる。なお、楽曲情報のリストの全てが楽曲情報エリア3034に収まりきらない場合には、楽曲情報エリア3034における楽曲情報のリストは、リストスクロールバー30341を用いたユーザのスクロール操作に応じてスクロール表示できるように表示する。この結果、たとえば、選択スクロールバーとして表示されている全年代選択スクロールバー3032の'97と'98に対応する位置にスライダ3033が位置している場合には、1997年と1998年にリリースされた楽曲のオーディオファイル153の楽曲情報が、よりリリース年の新しいものより順に楽曲情報エリア3034にリスト表示される。
【0023】
次に、楽曲情報を表示したならば、ユーザのスライダ3033の移動操作の発生(ステップ408)と、表示スパン切替ボタン3031のユーザ操作の発生(ステップ410)を監視する。
そして、スライダ3033の移動操作が発生したならば(ステップ408)、移動操作方向に応じてスライダ3033を選択スクロールバー上で上下に移動し(ステップ416)、ステップ406に戻って、移動後のスライダ3033の選択スクロールバーの上下方向位置範囲に対応する年範囲に含まれる年をリリース年とするタグ情報を含んだオーディオファイル153の楽曲情報のリストの表示に、楽曲情報エリア3034の表示を更新し、ステップ408、410の監視を行う。この結果、たとえば、ユーザによって、スライダ3033が、選択スクロールバーとして表示されている全年代選択スクロールバー3032の'81と'82に対応する位置に移動された場合には、楽曲情報エリア3034の表示は、1981年と1982年にリリースされた楽曲のオーディオファイル153の楽曲情報が、よりリリース年の新しいものより順にリスト表示されたものに変化する。
【0024】
一方、表示スパン切替ボタン3031のユーザ操作が発生した場合には(ステップ410)、現在選択スクロールバーとして全年代選択スクロールバー3032を表示しているかどうかを調べ(ステップ412)、全年代選択スクロールバー3032を表示している場合には、10年毎の年代のうちの、スライダ3033の位置に対応する年範囲のうちの最近の年を含む年代を対象年代とし、全年代選択スクロールバー3032の表示を消去すると共に、図4bに示す各年選択スクロールバー3035を選択スクロールバーとして表示する(ステップ414)。すなわち、たとえば、選択スクロールバーとして全年代選択スクロールバー3032を表示しており、全年代選択スクロールバー3032の'97と'98に対応する位置にスライダ3033が位置しているときに、表示スパン切替ボタン3031のユーザ操作が発生したならば、1997年を含む1990年代についての各年選択スクロールバー3035を選択スクロールバーとして表示する。
【0025】
ここで、図4bに示すように、各年選択スクロールバー3035は、対応する10年毎の年代に含まれる各年の目盛を備えた、上方ほど現在に近い年が対応づけられるように、上下方向各位置に年を対応づけたバー(ものさし)であり、前述したスライダ3033は、このバーに沿ってユーザが移動操作可能なように設けられている。また、このバーの上下方向各位置の表示色が、その位置に対応する年をリリース年とするタグ情報を含んだオーディオファイル153の数が多いほど濃い色となるように、当該バーは表示される。なお、選択スクロールバーを全年代選択スクロールバー3032から各年選択スクロールバー3035に切り替えた場合には、切り替え前の全年代選択スクロールバー3032上のスライダ3033の位置に対応する年のうちの最近年に対応する、切り替え後の各年選択スクロールバー3035の位置にスライダ3033を自動配置するようにする。
【0026】
さて、このように各年選択スクロールバー3035を選択スクロールバーとして表示したならば、ステップ406に戻って、スライダ3033の選択スクロールバーの上下方向位置範囲に対応する年範囲に含まれる年をリリース年とするタグ情報を含んだオーディオファイル153の楽曲情報のリストの表示に、楽曲情報エリア3034の表示を更新し、ステップ408、410の監視を行う。この結果、たとえば、スライダ3033が、選択スクロールバーとして表示されている各年選択スクロールバー3035の'95に対応する位置にある場合には、楽曲情報エリア3034の表示は、1995年にリリースされた楽曲のオーディオファイル153の楽曲情報がリスト表示されたものに変化する。
【0027】
また、このように各年選択スクロールバー3035を選択スクロールバーとして表示した後に、スライダ3033がユーザによって移動操作された場合には(ステップ408)、移動操作に応じてスライダ3033が移動され(ステップ416)、移動後のスライダ3033に対応する各年選択スクロールバー3035上の位置に対応する年をリリース年とするタグ情報を含んだオーディオファイル153の楽曲情報のリストの表示に、楽曲情報エリア3034の表示は更新される(ステップ406)ことになる。結果、たとえば、ユーザがスライダ3033を、選択スクロールバーとして表示されている各年選択スクロールバー3035の'97に対応する位置に移動した場合には、楽曲情報エリア3034の表示は、1997年にリリースされた楽曲のオーディオファイル153の楽曲情報がリスト表示されたものに変化する。
【0028】
次に、表示スパン切替ボタン3031のユーザ操作が発生した場合に(ステップ410)、現在選択スクロールバーとして全年代選択スクロールバー3032を表示していない場合(ステップ412)、すなわち、現在選択スクロールバーとして各年選択スクロールバー3035を表示している場合には、ステップ404に戻って、各年選択スクロールバー3035に代えて、選択スクロールバーとして全年代選択スクロールバー3032を表示し、ステップ406以降の処理を前述のように行う。なお、選択スクロールバーを各年選択スクロールバー3035から全年代選択スクロールバー3032に切り替えた場合には、切り替え前の各年選択スクロールバー3035上のスライダ3033の位置に対応する年が、にスライダ3033に対応する年範囲の最近年となる、切り替え後の全年代選択スクロールバー3032の位置にスライダ3033を自動配置するようにする。
【0029】
以上、メイン制御部2021が、再生制御ウインドウのオーディオファイル選択エリア303の表示を制御するために行う年代順リスト表示処理について説明した。
さて、メイン制御部2021は、このようにして表示したオーディオファイル選択エリア303の楽曲情報エリア3034上で楽曲情報の選択を受け付ける。そして、楽曲情報エリア3034上で、いずれかの楽曲情報が選択されている状態において、再生制御ボタン群301の操作が発生した場合には、選択されている楽曲情報に対応するオーディオファイル153の発生した操作に応じた再生制御を再生処理部2023を用いて行う。すなわち、たとえば、再生制御ボタン群301の操作によって楽曲の再生がユーザから指示されたならば、楽曲情報エリア3034上で選択されている楽曲情報に対応するオーディオファイル153を読み出し、再生処理部2023に、読み出したオーディオファイル153内のオーディオデータを復号してオーディオ出力装置13から出力する再生処理を行わせる。
【0030】
また、メイン制御部2021は、検索ボタン302がユーザによって操作された場合には、図5aに示す検索ウインドウを表示する。
図示するように、検索ウインドウには、オーディオファイル153を検索するための検索条件を入力するための入力ボックス501と、検索実行ボタン502が設けられている。ここで、入力ボックス501としては、リリース年、アーティスト、アルバム、ジャンル、タイトルなどの各項目の検索条件を入力するための入力ボックス501を設ける。また、メイン制御部2021は、検索ウインドウを表示するときに、リリース年の入力ボックス501に、スライダ3033が位置する選択スクロールバー上の位置に対応する年または年範囲を自動入力する。
【0031】
そして、メイン制御部2021は、入力ボックス501への検索条件の入力を受け付けると共に、検索実行ボタン502が操作されたならば、当該時点までに入力ボックス501に入力された検索条件を含めた検索要求を、ダウンロード処理部2022に、無線通信装置14、WAN2を介して楽曲サーバ3に発行させる。
【0032】
楽曲サーバ3の楽曲検索エンジン32は、検索要求を受け取ると楽曲ファイルデータベース31から、検索要求に含まれる検索条件にマッチするオーディオファイルを検索し、検索したオーディオファイルの識別子と楽曲情報を検索結果として応答する。
WAN2、無線通信装置14、ダウンロード処理部2022を介して、楽曲サーバ3から検索結果を受け取ったメイン制御部2021は、図5bに示すようなダウンロードウインドウを表示し、ダウンロードウインドウの検索結果表示エリア503に、受け取った検索結果が示す各オーディオファイルの楽曲情報を、図4a、bに示したオーディオファイル選択エリア303の選択スクロールバーと楽曲情報エリア3034による楽曲情報の提示形態と同様の提示形態で表示し、ユーザによる、ダウンロードするオーディオファイルの楽曲情報の選択を受け付ける。なお、図示した例では、楽曲情報エリア3034の、各楽曲情報の表示の先頭位置に設けたチェックボックスによってダウンロードするオーディオファイルの楽曲情報の選択を受け付けている。
【0033】
そして、いずれかの楽曲情報が選択された状態でダウンロードボタン504が操作されたならば、選択されている楽曲情報に対応するオーディオファイルの識別子を含むダウンロード要求を、ダウンロード処理部2022に、無線通信装置14、WAN2を介して楽曲サーバ3に発行させる。
【0034】
楽曲サーバ3の楽曲ファイルサーバ33は、ダウンロード要求を受け取ると、ダウンロード要求に含まれる識別子が示すオーディオファイルを楽曲データベースより読み出し、ダウンロード要求発行元の車載オーディオ装置1のダウンロード処理部2022に送信する。
【0035】
WAN2、無線通信装置14を介して、楽曲ファイルサーバ33よりオーディオファイルを受信したダウンロード処理部2022は、受信した各オーディオファイルをHDD15に格納する。
以上、本発明の実施形態について説明した。
このように、本実施形態によれば、ユーザは、選択スクロールバーに対するスクロール操作によって、容易に所望の年にリリースされた楽曲のオーディオファイルのタイトルやアーティストやアルバムなどの楽曲情報の一覧を年代順に閲覧することができる。したがって、ユーザは、所望の楽曲を、当該所望の楽曲がリリースされたおよその年代に基づいて、容易に見つけ出して再生等利用することができるようになる。また、選択スクロールバーの各位置が、HDD15に記録されている当該位置に対応する年にリリースされた楽曲のオーディオファイル数に応じた色で表示されるので、ユーザはスクロールバーの表示より、各年にリリースされたオーディオファイル153のHDD15への記憶状況を直接的に把握することができるようになる。
【0036】
ところで、図4a、bで示した、選択スクロールバーとして表示する全年代選択スクロールバー3032や各年選択スクロールバー3035は、以下のように設けるようにしてもよい。すなわち、図6aに全年代選択スクロールバー3032の場合を例にとり示すように、選択スクロールバーの各年に対応する上下方向範囲の大きさを、その年をリリース年とするオーディオファイル153の数に比例した大きさとすると共に、スライダ3033の上下方向の長さを、楽曲情報エリア3034に楽曲情報を表示可能なオーディオファイル153の数に相当する選択スクロールバー上の上下方向長さと同じ長さとする。また、楽曲情報エリア3034には、スライダ3033の位置に対応する選択スクロールバー上の範囲に相当する、前述のようにソートしたオーディオファイル列上の範囲のオーディオファイル153の楽曲情報を表示するようにする。
【0037】
または、図4a、bで示した、選択スクロールバーとして表示する全年代選択スクロールバー3032や各年選択スクロールバー3035上で移動するスライダ3033は、以下のように設けるようにしてもよい。すなわち、図6bに全年代選択スクロールバー3032上にスライダ3033を表示した場合を例にとり示すように、スライダ3033の上下方向の長さを、スライダ3033に対応する選択スクロールバー上の範囲に対応する、前述のようにソートしたオーディオファイル列上の範囲のオーディオファイル153の数が、楽曲情報エリア3034に楽曲情報を表示可能なオーディオファイル153の数と同じとなるように変化させる。また、楽曲情報エリア3034には、スライダ3033の位置に対応する選択スクロールバー上の範囲に相当する、前述のようにソートしたオーディオファイル列上の範囲のオーディオファイル153の楽曲情報を表示するようにする。この結果、その年範囲をリリース年とするオーディオファイル数が多い年範囲に対応する全年代選択スクロールバー3032上の位置に移動されると、スライダ3033は601に示すように上下方向に小さくなり、その年月日範囲をリリース年とするオーディオファイル数が少ない年範囲に対応する全年代選択スクロールバー3032上の位置に移動されると、スライダ3033は602に示すように上下方向に大きくなることになる。
【0038】
これらのようにすることにより、ユーザは、スライダ3033と選択スクロールバーの表示より直接的に、楽曲情報エリア3034に楽曲情報が表示されるオーディオファイル153のリリース年を制御、把握できるようになる。
なお、以上で示した年代順リスト表示処理によるオーディオファイル153にオーディオデータが格納された楽曲の楽曲情報を提示する技術は、オーディオファイル153を再生するオーディオ再生装置のみならず、オーディオファイル153を処理する任意の装置に同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る車載オーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るオーディオ処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車載オーディオ装置の表示画面例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るオーディオ処理装置が行う年代順リスト表示処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る車載オーディオ装置の表示画面例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車載オーディオ装置の表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1…車載オーディオ装置、2…WAN、3…楽曲サーバ、11…オーディオ処理装置、12…表示装置、13…オーディオ出力装置、14…無線通信装置、15…HDD、16…CDドライブ、17…入力装置、31…楽曲ファイルデータベース、32…楽曲検索エンジン、33…楽曲ファイルサーバ、111…CPU、113…表示インタフェース、114…オーディオ出力インタフェース、115…通信インタフェース、116…HDDインタフェース、117…CDドライブインタフェース、118…入力インタフェース、119…バス、151…CDDB、152…プレイリスト、153…オーディオファイル、161…CDDA、201…オペレーティングシステム、202…ミュージックプレイヤ、301…再生制御ボタン群、302…検索ボタン、303…オーディオファイル選択エリア、501…入力ボックス、502…検索実行ボタン、503…検索結果表示エリア、504…ダウンロードボタン、2021…メイン制御部、2022…ダウンロード処理部、2023…再生処理部、2024…リッピング処理部、3031…表示スパン切替ボタン、3032…全年代選択スクロールバー、3033…スライダ、3035…年選択スクロールバー、3034…楽曲情報エリア、30341…リストスクロールバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲のオーディオデータを格納すると共に、当該楽曲のリリース年を含む当該楽曲に関する情報である楽曲情報が設定されたオーディオファイルを複数記録した記録媒体から、前記オーディオファイルを読み出し処理するオーディオ処理装置であって、
スクロールバーを表示し、当該スクロールバーに対するユーザのスクロール操作に応じて、対象年範囲として設定する年の範囲を順次的に切り替える対象年範囲設定手段と、
前記対象年範囲に含まれるリリース年を含む楽曲情報が設定されている楽曲のオーディオデータを格納したオーディオファイルの楽曲情報の少なくとも一部の一覧を表示する一覧表示手段と、
前記一覧上で選択されたオーディオファイルを処理する処理手段とを有することを特徴とするオーディオ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のオーディオ処理装置であって、
前記対象年範囲設定手段は、スクロールバー上の各領域を各々年の範囲に対応づけると共に、前記各領域を当該領域に対応づけられた年の範囲に含まれるリリース年を含む楽曲情報が設定されている楽曲のオーディオデータを格納したオーディオファイルの数の大小のレベルに応じた表示形態で表示し、前記スクロール操作によって選択されるスクロールバー上の領域に対応づけられた年の範囲を前記対象年範囲として設定することを特徴とするオーディオ処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のオーディオ処理装置であって、
ユーザからの検索要求に応じて、前記対象年範囲に含まれるリリース年を含む楽曲情報が設定されている楽曲のオーディオデータを格納したオーディオファイルを検索する検索手段を有することを特徴とするオーディオ処理装置。
【請求項4】
請求項1または2記載のオーディオ処理装置であって、
前記処理手段は、前記一覧上で選択されたオーディオファイルを再生することを特徴とするオーディオ処理装置。
【請求項5】
楽曲のオーディオデータを格納すると共に、当該楽曲のリリース年を含む当該楽曲に関する情報である楽曲情報が設定されたオーディオファイルに関する情報を、複数の前記オーディオファイルについて一括して提示するオーディオファイル情報提示方法であって、
スクロールバーを表示し、当該スクロールバーに対するユーザのスクロール操作に応じて、対象年範囲として設定する年の範囲を順次的に切り替えるステップと、
前記対象年範囲に含まれるリリース年を含む楽曲情報が設定されている楽曲のオーディオデータを格納したオーディオファイルの楽曲情報の少なくとも一部の一覧を表示するステップとを有することを特徴とするオーディオファイル情報提示方法。
【請求項6】
コンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
スクロールバーを表示し、当該スクロールバーに対するユーザのスクロール操作に応じて、対象年範囲として設定する年の範囲を順次的に切り替えるステップと、
各々楽曲のオーディオデータを格納すると共に、当該楽曲のリリース年を含む当該楽曲に関する情報である楽曲情報が設定された、複数のオーディオファイルのうちの、前記対象年範囲に含まれるリリース年を含む楽曲情報が設定されている楽曲のオーディオデータを格納したオーディオファイルの楽曲情報の少なくとも一部の一覧を表示するステップとを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−213748(P2007−213748A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35641(P2006−35641)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】