説明

オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックとそれを用いた道路側溝

【課題】オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック10において、側溝を流れる雨水面に浮遊するごみや土砂等がオーバーフロー管に流入する防止する。
【解決手段】U字形側溝ブロック10のオーバーフロー管27を取り付けた側壁11側に、第1の堰き板30と第2の堰き板40を取り付ける。第1の堰き板30は上端31がオーバーフロー管27より上位に位置していて第2の堰き板40はその下端41と底板13との間に隙間42を形成しており、上端は第1の堰き板30の上端31よりも上位に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックとそれを用いた道路側溝に関する。
【背景技術】
【0002】
降雨時に車道や歩道に雨水が滞留しないように、道路に沿って多数のU字形側溝ブロックを配置した道路側溝が設置される。また、道路側溝に急速に流入した雨水が道路側溝を溢れ出て道路が冠水してしまうのを防止する等の目的で、道路側溝に流入する雨水の一部を地中に設置した雨水浸透槽や雨水貯留槽などに一時的に流入させることも行われる。
【0003】
道路側溝を流れる雨水の一部を雨水浸透槽などに流入させるために、通常、道路に沿って配置した多数のU字形側溝ブロックの一部に、オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックを配置することが行われており、その一例が特許文献1に記載されている。このオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックは、断面がU字形状であり、側溝ブロックの一側壁の上端部に排水孔が形成され、そこにオーバーフロー管の取水口を接続するようにしている。雨水量が少ないときには、雨水はU字形側溝ブロックの底面に沿って流れ、多くなったときに、雨水の一部が、側壁上端部に形成した排水孔からオーバーフロー管を通して地中に設けた貯留浸透槽などに流入する。
【0004】
また、地中に貯留浸透槽を設置する場合に、樹脂材料からなる貯水空間形成部材を多段に積み上げ、その周囲を透水シートで覆って貯留槽あるいは浸透槽とすることも知られている(例えば、特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−169902号公報
【特許文献2】特開2008−8075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックは、一時的な雨水の増加に適切に対処できるものと期待される。しかし、排水孔を側壁上部に設けただけの形態であり、水面に浮遊するごみや土砂等がオーバーフロー管に流入しやすく、オーバーフロー管に詰まりを生じさせたり、オーバーフロー管を介して当該浮遊物を浸透浸透槽などへ流入させてしまう恐れがある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックにおいて、側溝を流れる雨水面に浮遊するごみや土砂等がオーバーフロー管に流入するのを確実に阻止することができる側溝ブロックを開示することを課題とする。また、オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックを一部に備えた道路側溝を開示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックは、一方の側壁に排水孔が形成されていて、該排水孔に前記オーバーフロー管の取水口が接続しており、該排水孔が形成された前記一方の側壁には、前記排水孔の上流側と下流側の適所に両端を固定した第1の堰き板が取り付けられており、前記第1の堰き板の前記一方の側壁側とは反対の側には前記一方の側壁に両端を固定した第2の堰き板が前記第1の堰き板と間隔を置いて取り付けられており、前記第1の堰き板はその下端がU字形側溝ブロックの底面に達しており上端は前記排水孔よりも上位の位置に達しており、前記第2の堰き板はその下端はU字形側溝ブロックの底面に達してなく上端は前記第1の堰き板の上端よりも上位に位置していることを特徴とする。
【0009】
好ましい態様において、本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックは、前記一方の側壁が側方に膨出した区画を一部に有しており、前記側方に膨出した区画に前記排水孔および第1と第2の堰き板が形成されている。
【0010】
本発明による道路側溝は、U字形側溝ブロックの複数個を連続して配置した道路側溝であって、一部のU字形側溝ブロックとして1個または複数個の本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックが配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックおよび道路側溝では、雨水の量が少なく、その水面レベルが前記第1の堰き板の上端のレベルに達していないときは、雨水は、U字形側溝ブロック内をそのまま下流に向けて流れていく。
【0012】
雨水の量が多くなり、その水面が第1の堰き板の上端のレベルを超えると、超えた分の雨水すなわちオーバーフローした雨水は、第1の堰き板と側壁との間の空間に流入する。流入した雨水は、側壁に形成した排水孔を通ってオーバーフロー管に入り込み、そこから例えば雨水浸透槽や雨水貯留槽あるいは浸透桝などに流入する。
【0013】
本発明のオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックは、前記第1の堰き板の内側、すなわち側壁とは反対の側に、第2の堰き板を有しており、その堰き板の下端とU字形側溝ブロックの底面との間には隙間が形成されている。そのために、前記第1の堰き板と側壁との間の空間に流入する雨水は、必ず、U字形側溝ブロックの底面近くに位置する前記隙間を通過することとなる。それにより、雨水面に浮遊するごみや土砂は第2の堰き板によって堰き止められ、第1の堰き板と側壁との間の空間に流入する雨水は、それら浮遊物が含まれない清浄な雨水となる。
【0014】
上記した側方に膨出した区画に排水孔および第1の第2の堰き板が形成されている形態のオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックを用いる場合には、道路側溝の全長にわたって、道路側溝を形成する他のU字形側溝ブロックと同じ水路断面を確保することができ、オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックの箇所において、道路側溝の流路抵抗が大きくなることはなく、上流のU字形側溝ブロックから雨水が溢流してしまうのを、確実に回避することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、側溝を流れる雨水面に浮遊するごみや土砂等がオーバーフロー管に流入するのを確実に阻止することができるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックが得られる。また、本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックを道路側溝の一部に備えることにより、オーバーフローした雨水を貯留する浸透浸透槽などに浮遊物が入り込むのを確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックを一部に備えた道路側溝を説明するため概略図。
【図2】図2(a)はオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックの平面図、図2(b)は図2(a)のb−b線に沿う断面図。
【図3】オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック〜断面とともに示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明を一実施の形態に基づき説明する。
図1において、Aは道路側溝を示し、道路側溝Aをオーバーフローした雨水が、地中に埋設された貯水浸透槽B、または浸透桝または貯留浸透桝の管理桝Cに、流入管Dを通って流入するようになっている。貯水浸透槽Bは、前記した特許文献1または2に記載されるような、従来から用いられている貯水浸透槽であってよく、管理桝も同様に従来知られた管理桝であってよい。従って、貯水浸透槽Bおよび管理桝Cの説明は省略する。
【0018】
道路側溝Aは、従来知られたU字形側溝ブロック1と、本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック10との適数を、路線方向に接続することによって構成されている。図では、そのような道路側溝Aの一部のみを示しており、実際には、多数個のU字形側溝ブロック1を接続して形成される長さの長い道路側溝中に、ある間隔をおいて、本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック10が、適数配置される。
【0019】
図2および図3を参照して、本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック10の一例を説明する。オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック10は、左右の側壁11,12と底板13を有し、側壁11,12の上端は水平方向のフランジ14,15とされている。そして、一方の側壁11は、該側壁11よりもさらに側方に膨出した区画20を有している。
【0020】
該膨出した区画20は、側壁11から外側に延びる第1の縦壁21と、該第1の縦壁21から所要距離だけ離れた位置でやはり側壁11から外側に延びる第2の縦壁22と、前記第1の縦壁21の先端と第2の縦壁22の先端とを繋ぐ第3の側壁23と、前記第1の縦壁21と第2の縦壁22と第3の側壁23との下端部を閉鎖する底板延長部24とで構成されている。すなわち、図示のように、膨出した区画20は、U字形側溝ブロック10の水路側と上面側が開放し、底面と他の側面が閉鎖した形状をなしている。また、省略可能であるが、図示の例では、前記第1の縦壁21と第2の縦壁22と第3の側壁23の上端には、前記した水平方向のフランジ14に連続する第2のフランジ25が形成されている。
【0021】
なお、図では、全体として直方体状に側方に膨出した区画20を描いているが、U字形側溝ブロック10の水路側と上面側が開放し、底面と他の側面が閉鎖した形状であることを条件に、全体形状および大きさ等は任意である。
【0022】
U字形側溝ブロック10には、前記した第3の側壁23の適所に、ここでは下端近傍に排水孔26が形成されており、該排水孔26にはオーバーフロー管27の取水口が接続している。なお、前記排水孔26は、所要の排水量を確保できるように、横長のものであることが望ましい。
【0023】
U字形側溝ブロック10は、さらに、前記第1の縦壁21に一端を固着し、第2の縦壁22に他端を固着した状態で、第1の堰き板30と第2の堰き板40が形成されている。図示されるように、第1の堰き板30の下端部は前記底板延長部24まで達しており、その上端部31は、膨出した区画20の上端位置よりは低い位置であって前記した排水孔26よりも上位の位置まで達している。
【0024】
第2の堰き板40は、第1の堰き板30の第3の側壁23側とは反対の側において、第1の堰き板30と所定距離だけ間隔を置いて取り付けられており、その上端部は膨出した区画20の上端位置まで達している。そして、その下端部41は前記底板延長部24までは達してなく、第2の堰き板40と底板延長部24との間には、所定高さの隙間42が形成されている。
【0025】
上記のオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック10を一部に備えた道路側溝Aにおいて、雨水の量が少なく、その水面レベルが第1の堰き板30の上端31のレベルに達していないときは、上流のU字形側溝ブロック1から流れ込む雨水は、U字形側溝ブロック10内をそのまま下流に位置するU字形側溝ブロック1に流れていく。その間にも、雨水は第2の堰き板40と底板延長部24との間の隙間42を通って、第1の堰き板30と第2の堰き板40との間の領域には入り込んでいる。
【0026】
雨水の量が多くなると、水面のレベルは第1の堰き板30の上端31にまで達する。そして、それ以上に水面のレベルが高くなると、超えた分の雨水すなわちオーバーフローした雨水は、第1の堰き板30の上端31を乗り越えて、第1の堰き板30と第3の側壁と23の間の空間に流入し、流入した雨水は、第3の側壁に形成した排水孔26を通ってオーバーフロー管27に入り込む。そして、前記したように、そこから例えば雨水浸透槽Bや管理桝Cなどに流入する。それにより、道路側溝Aから雨水が溢流して道路面に流れ出すのが防止される。
【0027】
本発明のオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック10は、前記のように、第1の堰き板30の内側、すなわちU字形側溝ブロック10の主水路側に第2の堰き板40を有し、第2の堰き板40とU字形側溝ブロック10の底板13の間には隙間42が形成されている。したがって、第1の堰き板30と側壁(第3の側壁23)との間の空間に流入する雨水は前記隙間42を通過することとなり、雨水表面に浮遊するごみや土砂は第2の堰き板40によって堰き止められる。結果として、第1の堰き板30と側壁(第3の側壁23)との間の空間に流入する雨水は、それら浮遊物が含まれない清浄な雨水となるので、オーバーフロー管27に浮遊物が入り込むのを確実に阻止することができる。
【0028】
なお、上記の例では、オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック10は、側方に膨出した区画20を一体に有するものとしたが、このような膨出した区画20を設けずに、従来知られたU字形側溝ブロック1の一方の側壁に、排水孔26,第1堰き板30,第2の堰き板40を形成してもよい。その場合には、第1堰き板30と第2の堰き板40はU字形側溝ブロック1の水路内に膨出した形状、例えば、円筒状、楕円筒状、角柱状等、となる。
【0029】
本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック10は、従来のU字形側溝ブロック1と同様にコンクリート造であってもよい。しかし、製造の容易さから、ステンレス鋼材や樹脂材料で作ることが望ましい。その場合、前記した膨出した区画20と残りの部分とを別々に作り、溶着等により一体化するようにしてもよい。
【0030】
さらに、オーバーフロー管27内にごみ等の固形物が入り込むのをさらに防止するために、第1の堰き板30と第2の堰き板40との間の通路にゴミよけ用のスクリーンを取り付けるようにしてもよい。
【0031】
さらに、U字形側溝ブロック1、本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック10、およびその側壁よりもさらに側方に膨出した区画20内にごみ等の固形物が入り込むのを防止するために、それぞれの上面側の開放部を覆う蓋を取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
A…道路側溝、
B…貯水浸透槽、
C…管理桝、
D…流入管、
1…U字形側溝ブロック、
10…本発明によるオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック、
11,12…左右の側壁、
13…底板、
20…側壁よりもさらに側方に膨出した区画、
21…第1の縦壁、
22…第2の縦壁、
23…第3の側壁、
24…底板延長部、
26…排水孔、
27…オーバーフロー管、
30…第1の堰き板、
40…第2の堰き板、
31…第1の堰き板の上端部、
41…第2の堰き板の下端部、
42…第2の堰き板と底板(底板延長部)の間の隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックであって、
一方の側壁には排水孔が形成されていて、該排水孔に前記オーバーフロー管の取水口が接続しており、
該排水孔が形成された前記一方の側壁には、前記排水孔の上流側と下流側の適所に両端を固定した第1の堰き板が取り付けられており、
前記第1の堰き板の前記一方の側壁側とは反対の側には前記一方の側壁に両端を固定した第2の堰き板が前記第1の堰き板と間隔を置いて取り付けられており、
前記第1の堰き板はその下端がU字形側溝ブロックの底面に達しており上端は前記排水孔よりも上位の位置に達しており、
前記第2の堰き板はその下端はU字形側溝ブロックの底面に達してなく上端は前記第1の堰き板の上端よりも上位に位置している、
ことを特徴とするオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック。
【請求項2】
請求項1に記載のオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックであって、前記一方の側壁は側方に膨出した区画を一部に有しており、前記側方に膨出した区画に前記排水孔および第1と第2の堰き板が形成されていることを特徴とするオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロック。
【請求項3】
U字形側溝ブロックの複数個を連続して配置した道路側溝であって、一部のU字形側溝ブロックとして1個または複数個の請求項1または2に記載のオーバーフロー管を備えたU字形側溝ブロックを配置したことを特徴とする道路側溝。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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