説明

カバーレイ用ドライフィルム、カバーレイ、フレキシブルプリント配線板、及びフレキシブルプリント配線板の製造方法

【課題】カバーレイ用ドライフィルムの耐折性、電気絶縁性、はんだ耐熱性、耐折り曲げ性等を向上させ、かつ非ハロゲンの高い難燃性を付与する。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)合成ゴム、(E)ホスファゼン化合物、(F)ポリリン酸塩化合物及び(G)無機充填剤を必須成分とし、(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、 (E)成分を3〜10質量部、(F)成分を5〜30質量部含有する非ハロゲン難燃性樹脂組成物からなる層を、支持フィルム上に有するカバーレイ用ドライフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーレイ用ドライフィルム、カバーレイ、フレキシブルプリント配線板、及びフレキシブルプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話やデジタルカメラ等のように高機能化や小型・薄型・軽量化が要求される電子機器にフレキシブルプリント配線板が多く採用されている。特に、フレキシブルプリント配線板は可撓性や耐折性に優れていることから、それらの電子機器の屈曲部や接続部周辺で使用されている。
【0003】
例えば、携帯電話の液晶表示モジュールでは、液晶表示パネル内の各サブピクセルを駆動するためのドライブを構成する半導体チップと、その駆動を制御する制御部とを接続するためにフレキシブルプリント配線板が使用されている。ここでは、一般に、フレキシブルプリント配線板は液晶表示パネルの一片の近傍で折り曲げられ、他端がバックライトを挟んでフレームの背面側に配置されるように実装されている。
【0004】
このような液晶表示モジュールにおいては、液晶表示モジュールの薄型化の要求に伴い、バックライトが薄型化する傾向にある。このため、フレキシブルプリント配線板の折り曲げ半径が小さくなってきている。フレキシブルプリント配線板の折り曲げ半径が小さくなると、そのスプリングバック力(折り曲げに抗して拡開しようとする応力)により、フレキシブルプリント配線板は液晶表示パネルの背面側に膨らもうとする力が働く。その結果、液晶表示パネルや液晶表示モジュールの浮き上がりという問題が生じてきた。
【0005】
ところで、フレキシブルプリント配線板には、基板表面に形成された回路パターンを外部環境から保護したり、電子部品をプリント配線板に表面実装する際に行われるはんだ付け工程において、不必要な部分にはんだが付着しないように保護したりするために、弾性率の高いポリイミドフィルムと接着剤層からなるカバーレイと称する保護層が設けられている。上記スプリングバック力による問題は、このポリイミドフィルムに起因するものである。
【0006】
また、液晶表示モジュールや撮像モジュールのように光の漏洩により不具合が起こるおそれのあるデバイスに使用されるフレキシブルプリント配線板は、表面の光反射率が低いことが望まれる。このため、例えば、ポリイミドフィルムの表面に黒色インキを印刷することがあるが、このインキ層によってスプリングバック力がさらに増加し、折り曲げるとクラックが発生するおそれがあった。
【0007】
そこで、ポリイミドフィルムを支持基材として有しない接着シートでカバーレイを形成した基板が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このような支持基材のない、いわゆるドライフィルム型のカバーレイ材を用いたフレキシブルプリント配線板は、耐折性が著しく低下するという問題があった。また、上記接着シートでは、難燃性を発現するためにハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂を使用しており、環境への適合性の点でも課題があった。
【0008】
非ハロゲンの難燃性を付与する方法はこれまでにも種々提案されている。その代表的な方法は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属化合物、リン酸エステル、ポリ燐塩化合物等のリン系難燃剤、メラミン系化合物等の窒素系難燃剤等の非ハロゲン系難燃剤を使用する方法である。しかし、これらの難燃剤を使用した場合、カバーレイに要求される電気絶縁性、はんだ耐熱性、耐折り曲げ性等の特性と、難燃性を両立させることが困難であったり、難燃剤が表面にブリードアウトする等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−133704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記したように、支持基材を有しない接着シート、すなわちドライフィルム型のカバーレイ材料を用いたフレキシブルプリント配線板は、低スプリングバック性に優れているが、耐折性が著しく低下するという問題があった。また、非ハロゲンの難燃性を有するドライフィルム型のカバーレイ材料を実現しようとすると、カバーレイに要求される電気絶縁性、はんだ耐熱性、耐折り曲げ性等の特性が低下したり、難燃剤がブリードアウトするという問題を生じた。
【0011】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、ドライフィルムの特徴を有しながら、耐折性、電気絶縁性、はんだ耐熱性、耐折り曲げ性等のカバーレイに要求される特性に優れ、かつ非ハロゲンの高い難燃性を有するカバーレイ用ドライフィルム、そのようなカバーレイ用ドライフィルムを用いたカバーレイ及びフレキシブルプリント配線板、さらに、そのようなフレキシブルプリント配線板を製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)合成ゴム、(E)ホスファゼン化合物、(F)ポリリン酸塩化合物及び(G)無機充填剤を必須成分とし、前記(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、前記(E)成分を3〜10質量部、前記(F)成分を5〜30質量部含有する非ハロゲン難燃性樹脂組成物からなる層を、支持フィルム上に有することを特徴とするカバーレイ用ドライフィルムが提供される。
【0013】
本発明の他の一態様によれば、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)合成ゴム、(E)ホスファゼン化合物、(F)ポリリン酸塩化合物及び(G)無機充填剤を必須成分とし、前記(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、前記(E)成分を3〜10質量部、前記(F)成分を5〜30質量部含有する非ハロゲン難燃性樹脂組成物を含むことを特徴とするカバーレイが提供される。
【0014】
本発明の他の一態様によれば、ポリイミド層上に直接又は接着剤層を介して銅層を備えるフレキシブルプリント配線板であって、前記銅層の表面に、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)合成ゴム、(E)ホスファゼン化合物、(F)ポリリン酸塩化合物及び(G)無機充填剤を必須成分とし、前記(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、前記(E)成分を3〜10質量部、前記(F)成分を5〜30質量部含有する非ハロゲン難燃性樹脂組成物を含むカバーレイを備えることを特徴とするフレキシブルプリント配線板が提供される。
【0015】
本発明の他の一態様によれば、ポリイミドフィルムからなる基材の一方の主面に回路を形成する工程と、前記回路の表面に、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)合成ゴム、(E)ホスファゼン化合物、(F)ポリリン酸塩化合物及び(G)無機充填剤を必須成分とし、前記(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、前記(E)成分を3〜10質量部、前記(F)成分を5〜30質量部含有する非ハロゲン難燃性樹脂組成物からなる層を、支持フィルム上に有するカバーレイ用ドライフィルムを、前記非ハロゲン難燃性樹脂組成物層側を前記回路側に向けて重ね合わせ加熱加圧するとともに、前記支持フィルムを除去してカバーレイを形成する工程とを有することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ドライフィルムの特徴を有しながら、耐折性、電気絶縁性、はんだ耐熱性、耐折り曲げ性等のカバーレイに要求される特性に優れ、かつ非ハロゲンの高い難燃性を有するカバーレイ用ドライフィルム、並びに、そのようなカバーレイ用ドライフィルムを用いたカバーレイ及びフレキシブルプリント配線板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態のフレキシブルプリント配線板の一例を示す断面図である。
【図2】一実施形態のフレキシブルプリント配線板の他の例を示す断面図である。
【図3】一実施形態のフレキシブルプリント配線板のさらに他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
(非ハロゲン難燃性樹脂組成物)
まず、本発明に用いられる非ハロゲン難燃性樹脂組成物について説明する。
本発明に用いられる非ハロゲン難燃性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)合成ゴム、(E)ホスファゼン化合物、(F)ポリリン酸塩化合物及び(G)無機充填剤を必須成分として含有するものである。
【0020】
(A)成分のエポキシ樹脂は、非ハロゲン系であって、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものである。かかる条件を満たすものであれば、分子構造、分子量等に制限されることなく使用される。具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル系の変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
(B)成分のエポキシ樹脂硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているフェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤等が使用されるが、なかでも、下記一般式で表されるビス−p−アミノベンゾアート化合物が好ましい。
【化1】

式中、m及びnは、それぞれ独立に、1〜12の整数であって、かつm×nが6〜20である数である。このようなビス−p−アミノベンゾアート化合物を使用することにより、ポリイミドフィルムがなくても、良好な機械的強度を有し、かつ可撓性にも優れるカバーレイ用ドライフィルムを得ることができる。m×nの値が6未満であると可撓性が不十分となり、材料のハンドリング性、反り等の特性が低下する。また、m×nの値が20を超えると、樹脂の反応性を低下させ、耐熱性等が損なわれる。このようなビス−p−アミノベンゾアート化合物の市販品を例示すると、例えば、エラスマー1000(イハラケミカル社製 商品名;アミン当量309.5、m×n=13.6、Mw=1238)等が挙げられる。
【0022】
ビス−p−アミノベンゾアート化合物以外に使用される硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂系硬化剤として、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、アミノ変性ノボラック型フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸等が挙げられる。また、アミン系硬化剤として、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。その他、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、ポリアミド樹脂、アミンイミド、ポリアミン塩等も使用される。エポキシ樹脂硬化剤は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
この(B)成分のエポキシ樹脂硬化剤の配合量は、(A)成分のエポキシ当量、樹脂組成物の硬化状態、特性のバランス等を考慮して決められるが、通常、(A)成分1当量に対して0.3〜1.2当量であり、好ましくは0.5〜1.0当量である。配合量が0.3当量以上であれば、可撓性、耐折り曲げ性等の特性の向上効果が発揮されるとともに、エポキシ樹脂が十分に硬化し、はんだ耐熱性、絶縁信頼性等が良好となる。一方、1.2当量以下の場合には組成物が十分に硬化し、はんだ耐熱性等の信頼性が損なわれることがない。
【0024】
(C)成分の硬化促進剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化促進剤として知られているものが使用される。具体例としては、例えば、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−エチル−4′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2′−メチルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等のジアザビシクロ化合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p‐メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2‐ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン等の有機ホスフィン化合物等が挙げられる。その他、ジシアンアミド、三フッ化硼素アミン錯塩、硼フッ化錫、硼フッ化亜鉛等の硼フッ化物、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等のオクチル酸塩等も使用される。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
この(C)成分の硬化促進剤の配合量は、硬化促進性と硬化後の樹脂の物性のバランス等の点から、(A)成分のエポキシ樹脂100質量部に対し、好ましくは、0.01〜5質量部であり、より好ましくは、0.3〜2質量部である。
【0026】
(D)成分の合成ゴムとしては、例えば、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンメチルアクリレートアクリロニトリルゴム、ブタジエンゴム、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、ビニル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ポリビニルブチラール等が使用される。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
この(D)成分の合成ゴムの配合量は、(A)〜(D)成分全体の、好ましくは、5〜30質量%、より好ましくは、10〜20質量%である。配合量が5質量%未満では、ポリイミドとの接着力が十分に得られないおそれがあり、逆に、30質量%を超えると、電気的特性等が低下する。
【0028】
(E)成分のホスファゼン化合物としては、実質的にハロゲンを有さないものであれば特に制限されることなく使用される。難燃性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性等の点からは、融点が80℃以上であるものが好ましく、融点が90℃以上であるものがより好ましい。好ましいホスファゼン化合物の具体例としては、下記一般式(1)または(2)で表わされるホスファゼン化合物が挙げられる。
【化2】

【化3】

【0029】
式(1)および(2)中、Xは基−N=P(OPh)または基−N=P(O)OPh)であり、Yは基−N=P(OPh)または基−N=P(O)(OPh)である。また、Phはフェニル基であり、mは3〜25の整数、nは3〜10,000の整数である。これらのホスファゼン化合物は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
この(E)成分のホスファゼン化合物の配合量は、(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、3〜10質量部であり、好ましくは、5〜7質量部である。配合量が3質量部未満では、所期の難燃性が得られず、逆に、10質量部を超えると、ドライフィルムあるいはカバーレイの表面にブリードアウトする問題を生じる。
【0031】
(F)成分のポリリン酸塩化合物としては、例えば、ポリリン酸のアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。ポリリン酸としては、例えば、一般式:HO(HPO)H(式中、nは2以上の整数である。)で表わされる直鎖状縮合リン酸(例えば、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、ペンタポリリン酸等)、一般式:(HPO)(式中、mは2以上の整数である。)で表わされる環状縮合リン酸(トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸等)等が挙げられる。
【0032】
(F)成分のポリリン酸塩化合物としては、なかでも、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレムが好ましい。ちなみにメラムは、メラミン2分子からアンモニア1分子が脱離して縮合した1,3,5−トリアジン誘導体であり、メレムは、メラミン2分子からアンモニア2分子が脱離して縮合した1,3,5−トリアジン誘導体である。これらのポリリン酸塩化合物は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
この(F)成分のポリリン酸塩化合物の配合量は、(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、5〜30質量部であり、好ましくは、15〜25質量部である。配合量が5質量部未満では、所期の難燃性が得られず、逆に、30質量部を超えると、ドライフィルムあるいはカバーレイの耐折り曲げ性等が低下する。
【0034】
(G)成分の無機充填剤としては、従来、カバーレイに使用されているものであれば特に制限されることなく使用される。具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物、タルク、シリカ、アルミナ等が挙げられる。これらの無機充填剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの無機充填剤は、折り曲げ時の耐クラック性等の点から、平均粒径が0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。無機充填剤の平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布装置を用いて測定することができる。
【0035】
この(G)成分の無機充填剤の配合量は、組成物中の全固形分量を基準として、5〜30質量%の範囲が好ましく、10〜20質量%の範囲がより好ましい。配合量が5質量%未満では、十分な難燃性が得られないおそれがあり、逆に、30重量%を超えると、耐クラック性が低下するおそれがある。
【0036】
本発明に用いられる非ハロゲン難燃性樹脂組成物には、上記(A)〜(G)成分の他、カバーレイの着色のため、(H)着色剤、例えば、無機系及び有機系顔料、有機系染料等を配合することができる。
【0037】
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウム錫オキサイド)系色素、ATO(アンチモン錫オキサイド)系色素等が挙げられる。有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、インダンスレンブルー系色素、イソインドリノン系色素、ウオッチング系色素、パーマネント系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスラン系色素、スレン系色素等が挙げられる。
【0038】
これらの着色剤は、目的とする色相に調整するため、1種以上を適宜選択して使用することができる。例えば、黒色着色には、カーボンブラック等、青色着色には、フタロシアニン系色素、インダンスレンブロー系色素等、赤色着色には、キナクリドン系色素、ウオッチング系色素、パーマネント系色素、アンシラキノン系色素、ペリレン系色素、及び縮合アゾ系色素等が使用される。
【0039】
特に、液晶表示モジュール、撮像モジュール等の遮光性が求められる用途には、(H)着色剤として黒色顔量の使用が好ましい。好ましい黒色顔料の具体例としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、チタンブラック、無機顔料ヘマタイト、ペリレンブラック、またはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。なかでも、カーボンブラック、チタンブラック、またはこれらの混合物が好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。カーボンブラックは、一次粒子径が小さいものが一般に黒度・着色力に優れることから適している。具体的には、一次粒子径は、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることがより一層好ましい。但し、一次粒子径が10nmより小さいと凝集するようになるため、10nm以上であることが好ましい。また、チタンブラックは、チタンの酸化または二酸化チタンの還元により得られるもので、例えば、二酸化チタンと一酸化チタン及び/または窒化チタンを構成成分とする黒色顔料である。
【0040】
この(H)成分の着色剤の配合量は、組成物中の全固形分量を基準として、0.1〜10質量%の範囲が好ましく、0.5〜3質量%の範囲がより好ましい。配合量が0.1質量%未満では、十分な着色効果が得られないおそれがあり、逆に、10重量%を超えると、フレキシブルプリント配線板との密着力が低下するおそれがある。
【0041】
なお、顔料を配合する場合、顔料は分散剤により分散されていることが好ましい。分散剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、各種官能基を導入した樹脂等が使用される。
【0042】
黒色顔料を含有する非ハロゲン難燃性樹脂組成物を用いたカバーレイ用ドライフィルムを使用したフレキシブルプリント配線板は、液晶表示モジュール、撮像モジュール等の遮光性が要求される用途に用いた場合、カバーレイ形成後の遮光用黒色インクの印刷工程を省くことができる。この結果、生産性及び環境適合性に優れたものとなり、また、板厚を薄くすることができることから、スプリングバック力の低減につながり、良好な耐折り曲げ性が得られる。
【0043】
本発明に用いられる非ハロゲン難燃性樹脂組成物には、上記(A)〜(H)成分の他、必要に応じて、かつ本発明の効果を阻害しない範囲で、各種添加剤、例えば、有機質充填剤、劣化防止剤等をさらに配合することができる。
【0044】
また、非ハロゲン難燃性樹脂組成物には、加工法に適した粘度とするために溶媒を添加することができる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
このような非ハロゲン難燃性樹脂組成物は公知の方法を適用して調製することができる。例えば、上記(A)〜(G)成分、および必要に応じて配合される各種成分を、ポットミル、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ホモジナイザー、スーパーミル、またはライカイ機等の公知の混練機を用いて、室温あるいは加熱下において混練することにより調製することができる。なお、配合成分のうち、溶媒に不溶な成分、少なくとも(F)成分のポリリン酸塩化合物は、耐クラック性の低下を防止する点から、混練によりその粒径が10μm以下となるようにすることが好ましい。
【0046】
(カバーレイ用ドライフィルム)
本発明のカバーレイ用ドライフィルムは、必要に応じて溶媒により適当な粘度に調整した上記非ハロゲン難燃性樹脂組成物を、支持フィルム上に公知の方法により塗布し、乾燥させることにより得られる。具体的には、支持フィルム上に、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の塗布方法により塗布し、乾燥処理し、半硬化状態とすることにより得られる。支持フィルムとしては、片面に離型剤層を設けた、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル等のプラスチックフィルムが使用される。この支持フィルムの厚みは、ハンドリング性の点から、通常10〜50μm、好ましくは25〜38μmである。
【0047】
また、非ハロゲン難燃性樹脂組成物は、カバーレイに要求されるはんだ耐熱性、回路埋め込み性等の特性を考慮して、乾燥後の厚みが15〜50μmとなるように塗布することが好ましい。より好ましくは25〜35μmである。
【0048】
さらに、支持フィルム上の非ハロゲン難燃性樹脂組成物の塗布面側は、表面処理により、0.3〜5μmの表面粗さ(Ra:算術平均粗さ)を有するようにすることが好ましく、0.5〜3μmであるとより好ましい。表面処理方法としては、例えば、サンドブラスト処理、ケミカルマット処理、練り込みマット処理等の方法を用いることができる。
【0049】
上記したような表面粗さ(Ra)が0.3〜5μmの支持フィルム上に離型剤層を設け、さらに上記非ハロゲン難燃性樹脂組成物を塗布し、乾燥処理して得られたカバーレイ用ドライフィルムを、後述する方法で、フレキシブルプリント配線板の回路形成面に成形した後、支持フィルムを剥離することにより、支持フィルムの表面粗さ(Ra)が転写されたカバーレイ表面を得ることができる。このようにカバーレイ表面を粗面化することにより、表面の光反射率の低いフレキシブルプリント配線板を得ることができる。これは、粗面化されたカバーレイに入射した光は、表面で吸収及び乱反射するため、受光部に戻ってくる光の量が、表面が平滑なカバーレイに比べ少なくなるからと考えられる。なお、光透過率では、表面が粗面化されたカバーレイと表面が平滑なカバーレイの間に、差は認められない。表面が粗面化されたカバーレイを備えたフレキシブルプリント配線板は、液晶表示モジュールや撮像モジュールのように光の漏洩により不具合が起こるおそれのあるデバイスに用いるフレキシブルプリント配線板として有用である。
【0050】
(フレキシブルプリント配線板)
【0051】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記のカバーレイ用ドライフィルムを用いてカバーレイを形成することにより製造することができる。具体的には、例えば、ポリイミドフィルムの片面又は両面に銅箔を熱ロールで貼り合わせ、回路形成したフレキシブルプリント配線板の回路形成面に、予め所定箇所に穴を明けた上記カバーレイ用ドライフィルムを、非ハロゲン難燃性樹脂組成物層側を配線パターン形成面に向けて重ね合わせ、熱プレスにより、130〜180℃、好ましくは150〜170℃の温度、及び5〜50MPa、好ましくは15〜35MPaの圧力で加熱加圧する。なお、熱プレスに先立って支持フィルムは予め剥がしておく。これにより、配線パターン上に上記カバーレイ用ドライフィルムからなるカバーレイが形成されたフレキシブルプリント配線板が得られる。
【0052】
また、このフレキシブルプリント配線板に熱硬化性樹脂組成物を介して補強板を重ね合わせ、加熱加圧成形するという通常の方法により補強板付きフレキシブルプリント配線板を製造することができる。
【0053】
さらに、本発明のフレキシブルプリント配線板に熱硬化性樹脂組成物を介してフレキシブル銅張積層板等を重ね合わせ、加熱加圧成形し、スルーホールを形成し、スルーホールメッキを行った後、所定の回路を形成するという通常の方法により、多層フレキシブルプリント配線板を製造することができる。
【0054】
多層フレキシブルプリント配線板は、例えば、図1〜図3に示すように、片面または両面に回路を形成したフレキシブル銅張積層板と上記のカバーレイ用ドライフィルムを重ね合せ、加熱加圧して一体化することにより製造することもできる。
すなわち、図1の多層フレキシブルプリント配線板10は、片面フレキシブル銅張積層板1に回路2を形成して得られた片面フレキシブルプリント配線板3をカバーレイ用ドライフィルム4を介して積層し、さらにそれらの両面にカバーレイ用ドライフィルム4を重ね合せ、加熱加圧して一体化した例である。図2の多層フレキシブルプリント配線板20は、両面フレキシブル銅張積層板5に回路2を形成して得られた両面フレキシブルプリント配線板6をカバーレイ用ドライフィルム4を介して積層し、さらにそれらの両面にカバーレイ用ドライフィルム4を重ね合せ、加熱加圧して一体化した例である。図3の多層フレキシブルプリント配線板30は、両面フレキシブル銅張積層板5に回路2を形成して得られた両面フレキシブルプリント配線板6の両面に、カバーレイ用ドライフィルム4を介して片面フレキシブルプリント配線板3を積層し、さらにそれらの両面にカバーレイ用ドライフィルム4を重ね合せ、加熱加圧して一体化した例である。
【0055】
本発明のカバーレイ用ドライフィルムは、耐マイグレーション性にも耐折り曲げ性にも優れているため、上記のように層間接着部にも屈曲部にも使用することができる。
【実施例】
【0056】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示すものとする。
【0057】
[カバーレイ用ドライフィルムの製造]
(製造例1)
カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴムとしてニポール1072(日本ゼオン社製 商品名、ニトリル含量27)200部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてエピコート1001(油化シェル社製 商品名、エポキシ当量470)320部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂としてYDCN−703P(東都化成社製 商品名、エポキシ当量210)147部、フェノールノボラック樹脂としてBRG558(昭和高分子社製 商品名、水酸基価106)146部、フェノキシホスファゼンオリゴマーとしてSPB−100(大塚化学社製 商品名、燐含有率13%)65質量部、ポリリン酸メラミンとしてPHOSMEL200(日産化学社製 商品名、燐含有率12%)163部、劣化防止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(川口化学社製)1部、水酸化アルミニウムとしてH−42I(昭和電工社製 商品名)100部、及び硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.5部からなる混合物に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)及びメチルエチルケトン(混合質量比30:70)を加えて固形分40%の樹脂組成物を調製した。
【0058】
上記樹脂組成物を三本ロールにて混練し、溶剤に不溶の成分の粒径が10μm以下となるように調製した後、この調製物を、片面に離型剤層が設けられた厚さ38μmの離型剤付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである38E−CTR2(藤森工業社製 商品名)の、離型剤層側の面に、乾燥後の厚さが25μmとなるようにロールコーターで塗布し、加熱乾燥してカバーレイ用ドライフィルムAを作製した。
【0059】
(製造例2)
フェノキシホスファゼンオリゴマーのSPB−100(商品名)の配合量を24部とし、かつポリリン酸メラミンのPHOSMEL200(商品名)の配合量を203部とした以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムBを作製した。
【0060】
(製造例3)
フェノキシホスファゼンオリゴマーのSPB−100(商品名)の配合量を82部とし、かつポリリン酸メラミンのPHOSMEL200(商品名)の配合量を122部とした以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムCを作製した。
【0061】
(製造例4)
フェノキシホスファゼンオリゴマーのSPB−100(商品名)の配合量を82部とし、かつポリリン酸メラミンのPHOSMEL200(商品名)の配合量を41部とした以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムDを作製した。
【0062】
(製造例5)
フェノキシホスファゼンオリゴマーのSPB−100(商品名)の配合量を54部とし、かつポリリン酸メラミンのPHOSMEL200(商品名)の配合量を244部とした以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムEを作製した。
【0063】
(製造例6)
フェノキシホスファゼンオリゴマーとしてSPB−100(商品名)に代えてSPE−100(大塚化学社製 商品名、燐含有率13%)を用いた以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムFを作製した。
【0064】
(製造例7)
ポリリン酸メラミンとしてPHOSMEL200(商品名)に代えてMPP−B(三和ケミカル社製 商品名、燐含有率13%))を用いた以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムGを作製した。
【0065】
(製造例8)
ポリリン酸メラミンとしてPHOSMEL200(商品名)に代えてMELAPUR200(チバジャパン社製 商品名、燐含有率13%)を用いた以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムHを作製した。
【0066】
(製造例9)
ポリリン酸メラミンのPHOSMEL200(商品名)に代えて、ピロリン酸メラミンのプラネロンNP(三井化学ファイン社製 商品名、燐含有率14%)を用いた以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムIを作製した。
【0067】
(製造例10)
フェノキシホスファゼンオリゴマーを未配合とした以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムJを作製した。
【0068】
(製造例11)
フェノキシホスファゼンオリゴマーを未配合とし、かつポリリン酸メラミンのPHOSMEL200(商品名)の配合量を326部とした以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムKを作製した。
【0069】
(製造例12)
フェノキシホスファゼンオリゴマーのSPB−100(商品名)の配合量を122部とした以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムLを作製した。
【0070】
(製造例13)
ポリリン酸メラミンを未配合とした以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムMを作製した。
【0071】
(製造例14)
フェノキシホスファゼンオリゴマーのSPB−100(商品名)の配合量を122部とし、かつポリリン酸メラミンを未配合とした以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムNを作製した。
【0072】
(製造例15)
ポリリン酸メラミンのPHOSMEL200(商品名)の配合量を326部とした以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムOを作製した。
【0073】
(製造例16)
樹脂組成物に対し、溶剤に不溶の成分の粒径が10μm以下となるような三本ロールによる混練を行わなかった以外は製造例1と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムPを作製した。
【0074】
(製造例17)
カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴムとしてニポール1072(日本ゼオン社製 商品名、ニトリル含量27%)200部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてエピコート1001(油化シェル社製 商品名、エポキシ当量470)320部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂としてYDCN−703P(東都化成社製 商品名、エポキシ当量210)147部、硬化剤としてビス−p−アミノベンゾアート、エラスマー1000(イハラケミカル社製 商品名、アミン当量309)170部、ジアミノジフェニルスルホン、セイカキュアS(和歌山精化社製 商品名、アミン当量62)43部、フェノキシホスファゼンオリゴマーとしてSPB−100(大塚化学社製 商品名、燐含有率13%)65質量部、ポリリン酸メラミンとしてPHOSMEL200(日産化学社製 商品名、燐含有率12%)163部、劣化防止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(川口化学社製)1部、水酸化アルミニウムとしてH−42I(昭和電工社製 商品名)100部、黒色顔料としてCAB−LX905(東洋インキ社製 商品名;カーボン含有量5%、平均一次粒子径0.25μm)450部、及び硬化促進剤として三フッ化ホウ素モノメチルアミン錯体(ステラケミファ社製)2部からなる混合物に溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)及びメチルエチルケトン(混合質量比30:70)を加えて固形分40%の樹脂組成物を調製した。
【0075】
上記樹脂組成物を三本ロールにて混練し、溶剤に不溶の成分の粒径が10μm以下となるように調製した後、この調製物を、片面艶消しタイプの厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフイルムであるトレファンYM17S(東レ社製 商品名、表面粗さ(Ra)=0.8〜1.2μm)のマット(表面処理)面側に、乾燥後の厚さが25μmとなるようにロールコーターで塗布し、加熱乾燥してカバーレイ用ドライフィルムQを作製した。
【0076】
(製造例18)
フェノキシホスファゼンオリゴマーとしてSPB−100(商品名)に代えてSPE−100(大塚化学社製 商品名、燐含有率13%)65部を用いた以外は製造例17と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムRを作製した。
【0077】
(製造例19)
ポリリン酸メラミンのPHOSMEL200(商品名)の配合量を200部とし、かつフェノキシホスファゼンオリゴマーのSPB−100(商品名)を未配合とした以外は製造例17と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムSを作製した。
【0078】
(製造例20)
ポリリン酸メラミンとしてPHOSMEL200(商品名)に代えてMPP−B(三和ケミカル社製 商品名、燐含有率13%)163部を用いた以外は製造例17と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムTを作製した。
【0079】
(製造例21)
フェノキシホスファゼンオリゴマーのSPB−100(商品名)の配合量を200部とし、かつポリリン酸メラミンのPHOSMEL200(商品名)を未配合とした以外は製造例17と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムUを作製した。
【0080】
(製造例22)
黒色顔料のCAB−LX905(商品名)を未配合とするとともに、片面艶消しタイプの厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフイルムであるトレファンYM17S(商品名)に代えて、片面に離型剤層が設けられた厚さ38μmの離型剤付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである38E−CTR2(藤森工業社製 商品名、表面粗さ(Ra)=0.2μm以下)を使用した以外は製造例17と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムVを作製した。
【0081】
(製造例23)
片面艶消しタイプの厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフイルムであるトレファンYM17S(商品名)に代えて、片面に離型剤層が設けられた厚さ38μmの離型剤付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである38E−CTR2(商品名)を使用した以外は製造例17と同様にして樹脂組成物を調製し、さらにこれを用いて厚さ25μmのカバーレイ用ドライフィルムWを作製した。
【0082】
(製造例24)
製造例17と同様にして調製した樹脂組成物を、片面艶消しタイプの厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフイルムであるトレファンYM17S(商品名)のマット(表面処理)面側に、乾燥後の厚さが75μmとなるようにロールコーターで塗布し、加熱乾燥してカバーレイ用ドライフィルムXを作製した。
【0083】
上記製造例1〜24のカバーレイ用ドライフィルムA〜Xの製造に用いた樹脂組成物の組成(溶媒を除く)を表1〜3に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

【0087】
[フレキシブルプリント配線板の製造]
(実施例1)
カバーレイ用ドライフィルムAを、予め回路形成したフレキシブル銅張積層板MC−18−25−00−FR(新日鉄化学社製 商品名;銅箔厚さ18μm、ポリイミドフィルム厚さ25μm)の表面に重ね合わせ、離型剤付きPETフィルムを剥離した後、熱プレスにより、温度160℃、圧力4MPaで1時間加熱加圧して接着し、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0088】
(実施例2)
カバーレイ用ドライフィルムBを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0089】
(実施例3)
カバーレイ用ドライフィルムCを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0090】
(実施例4)
得られたカバーレイ用ドライフィルムDを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0091】
(実施例5)
カバーレイ用ドライフィルムEを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0092】
(実施例6)
カバーレイ用ドライフィルムFを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0093】
(実施例7)
カバーレイ用ドライフィルムGを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0094】
(実施例8)
カバーレイ用ドライフィルムHを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0095】
(実施例9)
カバーレイ用ドライフィルムIを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0096】
(比較例1)
カバーレイ用ドライフィルムJを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0097】
(比較例2)
カバーレイ用ドライフィルムKを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0098】
(比較例3)
カバーレイ用ドライフィルムLを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0099】
(比較例4)
カバーレイ用ドライフィルムMを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
(比較例5)
カバーレイ用ドライフィルムNを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0100】
(比較例6)
カバーレイ用ドライフィルムOを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0101】
(比較例7)
カバーレイ用ドライフィルムPを用いて実施例1と同様にして、評価用のドライフィルム型カバーレイ付きフレキシブル配線板を作製した。
【0102】
(実施例10)
厚さ25μmのポリイミドフィルムの両面に厚さ18μmの銅箔を設けたフレキシブル両面銅張積層板のEspanex MB 18−25−18 FRG(新日鉄化学社製、商品名)を用い、その両面に回路を形成した後、各回路形成面(第1および第2の回路形成面)にカバーレイ用ドライフィルムQ及びカバーレイ用ドライフィルムVをそれぞれ重ね合わせ、熱プレスにより、温度160℃、圧力4MPaで1時間加熱加圧して接着し、評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0103】
(実施例11)
一方の回路形成面にカバーレイ用ドライフィルムQに代えてカバーレイ用ドライフィルムRを重ね合わせた以外は、実施例10と同様にして評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0104】
(実施例12)
一方の回路形成面にカバーレイ用ドライフィルムQに代えてカバーレイ用ドライフィルムSを重ね合わせた以外は、実施例10と同様にして評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0105】
(実施例13)
一方の回路形成面にカバーレイ用ドライフィルムQに代えてカバーレイ用ドライフィルムTを重ね合わせた以外は、実施例10と同様にして評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0106】
(実施例14)
フレキシブル両面銅張板のEspanex MB 18−25−18 FRG(商品名)を用い、その両面に回路を形成した後、一方の回路形成面にカバーレイ用ドライフィルムQを重ね合わせ、熱プレスにより、温度160℃、圧力4MPaで1時間加熱加圧して接着した。次いで、他方の回路形成面に150メッシュポリエステルスクリーンを用いたスクリーン印刷により感光性液状カバーレイKSR−800(京セラケミカル社製、商品名)を20〜30μmの厚さに全面塗布し、80℃の熱風乾燥機で30分間乾燥させて塗膜を形成した。
【0107】
この塗膜にレジストパターンのネガフィルムを接触させ、紫外線照射露光装置を用いて紫外線を照射した(露光量400mJ/cm2)後、1%濃度の炭酸ナトリウム水溶液を約0.1〜0.15MPaの圧力で1分間スプレーで現像し、未露光部を溶解除去し、さらに150℃×60分の条件で熱硬化させることによって感光性樹脂層を形成し、評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0108】
(実施例15)
フレキシブル両面銅張板のEspanex MB 18−25−18 FRG(商品名)を用い、その両面に回路を形成した後、一方の回路形成面にカバーレイ用ドライフィルムQを重ね合わせ、熱プレスにより、温度160℃、圧力4MPaで1時間加熱加圧して接着した。次いで、他方の回路形成面にポリイミドフィルムカバーレイTFA−560−1215(京セラケミカル社製、商品名)を積層し、一体化させて評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0109】
(実施例16)
一方の回路形成面にカバーレイ用ドライフィルムQに代えてカバーレイ用ドライフィルムWを重ね合わせた以外は、実施例10と同様にして評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0110】
(実施例17)
一方の回路形成面にカバーレイ用ドライフィルムQに代えてカバーレイ用ドライフィルムVを重ね合わせた以外は、実施例10と同様にして評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0111】
(実施例18)
一方の回路形成面にカバーレイ用ドライフィルムQに代えてカバーレイ用ドライフィルムUを重ね合わせた以外は、実施例10と同様にして評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0112】
(実施例19)
一方の回路形成面にカバーレイ用ドライフィルムQに代えてカバーレイ用ドライフィルムXを重ね合わせた以外は、実施例15と同様にして評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0113】
(比較例8)
フレキシブル両面銅張板のEspanex MB 18−25−18 FRG(商品名)を用い、その両面に回路を形成した後、両回路形成面にポリイミドフィルムカバーレイTFA−560−1215(商品名)を積層し、一体化させて評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0114】
(比較例9)
ポリイミドフィルムカバーレイTFA−560−1215(商品名)を積層した上に、さらに熱硬化型印刷インク黒色インクCCR−1200B(アサヒ化研社製、商品名)を15μm厚さに印刷した以外は、比較例8と同様にして評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0115】
(比較例10)
ポリイミドフィルムカバーレイTFA−560−1215(商品名)を積層した上に、さらに熱硬化型印刷インク黒色インクCCR−1200B(商品名)を15μm厚さに印刷するとともに、他方の回路形成面に、ポリイミドフィルムカバーレイTFA−560−1215(商品名)の積層に代えて、150メッシュポリエステルスクリーンを用いたスクリーン印刷により感光性液状カバーレイKSR−800(商品名)を20〜30μmの厚さに全面塗布し、80℃の熱風乾燥機で30分間乾燥させて塗膜を形成し、この塗膜にレジストパターンのネガフィルムを接触させ、紫外線照射露光装置を用いて紫外線を照射した(露光量400mJ/cm2)後、1%濃度の炭酸ナトリウム水溶液を約0.1〜0.15MPaの圧力で1分間スプレーで現像し、未露光部を溶解除去し、さらに150℃×60分の条件で熱硬化させることによって感光性樹脂層を形成した以外は、比較例8と同様にして評価用のフレキシブル配線板を作製した。
【0116】
上記実施例及び比較例で得られた評価用のフレキシブル配線板について、耐ブリードアウト性、スティフネス性、耐折り曲げ性、MIT耐折性、はんだ耐熱性、耐マイグレーション性及び難燃性を評価した。また、上記実施例10〜19及び比較例8〜10で得られた評価用のフレキシブル配線板については、さらに、光透過率及び光反射率、表面粗さ(Ra)、ガラス基板への実装性を測定・評価した。各特性の測定及び評価方法は下記の通りである。これらの結果を表4〜6に示す。
【0117】
[耐ブリードアウト性]
評価用フレキシブルプリント配線板を121℃、85%RHの条件で超加速高温高湿寿命試験(HAST)槽内に100時間晒した後、各配線板の表面を光学顕微鏡(100倍)により観察し、ブリードの発生の有無を調べ、次の基準により評価した。
○…ブリードなし、×…ブリード発生
[スティフネス性]
評価用フレキシブルプリント配線板から1cm×10cmの大きさの測定試料を切り出し、長さ方向に対して半分に折り返し、端部から5mm内側の上下の間隔を2mmとしたときの反発荷重をプッシュ・プル・ゲージで測定した。
[耐折り曲げ性]
評価用フレキシブルプリント配線板に、ハゼ折りによる180°折り曲げを繰り返し、目視及び光学顕微鏡(200倍)による観察でカバーレイにクラックが発生するまでの回数を測定した。
[MIT耐折性]
JIS C 6471 8.2に準拠し、MIT耐折性試験機により、R(曲率半径)0.38mm、荷重4.9Nで試料が破断するまでの回数を測定し、次の基準により評価した。
○…300回以上、△…100回以上300回未満、×…100回未満
【0118】
[はんだ耐熱性]
評価用フレキシブルプリント配線板から25mm×25mmの大きさの試験片を切り出し、JIS C 6481に準拠して、300℃のはんだ浴上に、試験片を30秒間浮かべ、カバーレイの膨れ、剥がれ及び変色の有無を目視で観察し、次の基準により評価した。
○…変化なし、×…膨れ、剥がれまたは変色が発生
[耐マイグレーション性]
フレキシブルプリント配線板に160μmピッチ(ライン/スペース=80μm/80μm)に櫛型回路を形成し、この回路に、温度85℃、湿度85%RHの条件下で100Vの直流電圧を印加し、1000時間後に外観を観察してデンドライトの発生の有無を調べ、次の基準により評価した。
○…変化なし、×…デンドライトが発生
[難燃性]
UL94VTM−0難燃性規格に準拠して難燃性を測定し、次の基準により評価した。
○…UL94VTM−0規格を満足する
×…UL94VTM−0規格を満足しない(試料が燃焼)
【0119】
[光透過率、光反射率]
U−best V−570(JASCO社製)により、500nm(可視光領域)の光の透過率を測定した。また、透過率10%以下のサンプルについて、同様に500nmの光の反射率を測定した。
【0120】
[表面粗さ(Ra)]
表面粗さ測定機SE−3300(小坂研究所社製)を用い、第1回路形成面側に形成されたカバーレイの表面粗さ(Ra)を測定した。
【0121】
[ガラス基板への実装性]
評価用フレキシブル配線板の一端とガラス基板の一辺とを固着し、第1回路形成面側が内側となるようにして折り曲げ、ガラス基板の背面に両面テープで固着した。このフレキシブル配線板が固着されたガラス基板の表裏を金属板にて固定し、温度サイクル試験(−25℃/125℃、各30分保持)を1000サイクル実施した後、フレキシブル配線板の折り曲げ部を目視で確認し、次の基準により評価した。
○…変化なし、×…膨らみまたは撓みが発生
【0122】
【表4】

【0123】
【表5】

【0124】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明のカバーレイ用ドライフィルム、カバーレイ及びフレキシブルプリント配線板は、可撓性、耐折性、電気絶縁性、はんだ耐熱性、耐折り曲げ性等に優れるとともに、非ハロゲンの高い難燃性を有するため、特に薄型化、低スプリングバック性が要求されるフレキシブルプリント配線板の用途に好適である。
【符号の説明】
【0126】
1…片面フレキシブル銅張積層板、2…回路、3…片面フレキシブルプリント配線板、4…カバーレイ用ドライフィルム、5…両面フレキシブル銅張積層板、6…両面フレキシブルプリント配線板、10,20,30…多層フレキシブルプリント配線板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)合成ゴム、(E)ホスファゼン化合物、(F)ポリリン酸塩化合物及び(G)無機充填剤を必須成分とし、前記(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、前記(E)成分を3〜10質量部、前記(F)成分を5〜30質量部含有する非ハロゲン難燃性樹脂組成物からなる層を、支持フィルム上に有することを特徴とするカバーレイ用ドライフィルム。
【請求項2】
前記(A)〜(D)成分中の前記(D)成分の割合が10〜30質量%であることを特徴とする請求項1記載のカバーレイ用ドライフィルム。
【請求項3】
組成物中の全固形分量を基準として、前記(G)成分を5〜30質量%含有することを特徴とする請求項1または2記載のカバーレイ用ドライフィルム。
【請求項4】
前記(F)成分の粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のカバーレイ用ドライフィルム。
【請求項5】
前記(E)成分が、下記一般式(1)または(2)で表わされるホスファゼン化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のカバーレイ用ドライフィルム。
【化1】

(式中、Phはフェニル基を示し、mは3〜25の整数を示す。)
【化2】

(式中、Xは基−N=P(OPh)または基−N=P(O)OPh)を示し、Yは基−N=P(OPh)または基−N=P(O)(OPh)を示し(ここで、Phはフェニル基を示す)、Phはフェニル基を示し、nは3〜10,000の整数を示す。)
【請求項6】
前記(E)成分が、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム及びポリリン酸メレムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のカバーレイ用ドライフィルム。
【請求項7】
前記(B)成分が、下記一般式で表わされるビス−p−アミノベンゾアート化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のカバーレイ用ドライフィルム。
【化3】

(式中、m及びnは、それぞれ独立に、1〜12の整数であって、かつm×nが6〜20である数を示す。)
【請求項8】
前記非ハロゲン難燃性樹脂組成物が、(H)着色剤をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のカバーレイ用ドライフィルム。
【請求項9】
前記(H)成分が、一次粒子径0.01〜1μmのカーボンブラックであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のカバーレイ用ドライフィルム。
【請求項10】
前記支持フィルムは、0.3〜5μmの表面粗さ(Ra)を有し、この表面に前記非ハロゲン難燃性樹脂組成物からなる層を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のカバーレイ用ドライフィルム。
【請求項11】
(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)合成ゴム、(E)ホスファゼン化合物、(F)ポリリン酸塩化合物及び(G)無機充填剤を必須成分とし、前記(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、前記(E)成分を3〜10質量部、前記(F)成分を5〜30質量部含有する非ハロゲン難燃性樹脂組成物を含むことを特徴とするカバーレイ。
【請求項12】
0.3〜5μmの表面粗さ(Ra)を有することを特徴とする請求項11記載のカバーレイ。
【請求項13】
ポリイミド層上に直接又は接着剤層を介して銅層を備えるフレキシブルプリント配線板であって、
前記銅層の表面に、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)合成ゴム、(E)ホスファゼン化合物、(F)ポリリン酸塩化合物及び(G)無機充填剤を必須成分とし、前記(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、前記(E)成分を3〜10質量部、前記(F)成分を5〜30質量部含有する非ハロゲン難燃性樹脂組成物を含むカバーレイを備えることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項14】
ポリイミドフィルムからなる基材の一方の主面に回路を形成する工程と、
前記回路の表面に、(A)エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)合成ゴム、(E)ホスファゼン化合物、(F)ポリリン酸塩化合物及び(G)無機充填剤を必須成分とし、前記(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対し、前記(E)成分を3〜10質量部、前記(F)成分を5〜30質量部含有する非ハロゲン難燃性樹脂組成物からなる層を、支持フィルム上に有するカバーレイ用ドライフィルムを、前記非ハロゲン難燃性樹脂組成物層側を前記回路側に向けて重ね合わせ加熱加圧するとともに、前記支持フィルムを除去してカバーレイを形成する工程と
を有することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−233883(P2011−233883A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86190(P2011−86190)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】