説明

カメラ

【課題】ライブビュー表示等の第2撮影準備状態においてシャッタの動作を行う場合に、高速で駆動でき、タイムラグを短くしたカメラを提供する。
【解決手段】ライブビュー表示モードに入ると、シャッタ先幕マグネットの吸着を解除し(S5)、シャッタ先幕を走行させ、CCD221から出力に基づいてライブビュー表示を行う(S7)。このときシャッタ後幕マグネットはオン(吸着状態)を保持し、シャッタ開放状態を保つ。AFスイッチがオンとなり(S11)、TTL位相差AFによる測距を行う場合でも、シャッタ後幕は開放状態を保ち、シャッタチャージの負荷を減少させ、タイムラグを短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに関し、詳しくは、シャッタが閉鎖した第1撮影準備状態と、シャッタが開放した第2撮影準備状態の2つの状態を有するカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ライブビュー表示機能を有するカメラが知られており、例えば、特許文献1には、可動反射ミラーを撮影光路から退避させるとともにフォーカルプレーンシャッタを全開状態にして被写体像を撮像素子に導き、それによって得られた被写体像を連続的に液晶モニタに表示するようにしたライブビュー可能なデジタル一眼レフカメラが開示されている。この特許文献1に開示のカメラでは、フォーカススイッチがオンとなると、可動反射ミラーを撮影光路中に挿入させ、いわゆるTTL位相差AFによって焦点ズレ量の検出を行い、この焦点ズレ量に基づいて焦点調節を行っている。焦点調節動作が終わると、可動反射ミラーを撮影光路から退避させ、ライブビュー表示を再開している。
【特許文献1】特開2005−20397号公報
【0003】
ライブビュー表示中に自動焦点調節動作を行った場合の電源消費について図6を用いて説明する。図6において、横軸は時間の経過を示し、縦軸は電力を示す。ライブビュー表示中に(図中の(6))、AFスイッチがオンとなると、自動焦点調節動作を開始する。まず、可動反射ミラーをダウンし撮影光学系の光路中に挿入し(挿入状態)、またシャッタのバネ等の付勢部材のチャージを行う(図中の「ミラーダウン シャッタチャージ」)。このときの電源供給はE1となっている。続いて、測光、測距および演算を行う(図中の(1))。すなわち、可動反射ミラーを介して被写体光束を測距センサが受光し、撮影光学系の焦点ズレ量を求める。また、測光センサで被写体輝度を測光する。
【0004】
測距・演算等が終わると、続いて、シャッタマグネットをオンし、すなわちシャッタ先幕および後幕を保持するマグネットを吸着状態にする(図中の(4))。そして、可動反射ミラーを上昇位置に移動させると共に(退避状態、図中の「ミラーアップ」)、撮影レンズを合焦位置に向けて駆動する(図中の(2))。ミラーアップが終わると、ライブビュー表示を再開する(図中の(6))。これら一連の動作、すなわち、AFスイッチがオンとなってから、ライブビュー表示を再開するまでに、種々の処理を実行するのに時間t1を要していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ライブビュー表示中にTTL位相差AFを行う場合には、その前後で、可動反射ミラーのダウンとアップを行わなければならず、測距に時間がかかってしまっていた。つまり、シャッタが閉鎖した第1撮影準備状態(例えば、光学ファインダでの観察状態)と、シャッタが開放した第2撮影準備状態(例えば、ライブビュー表示状態)の2つの状態を持つカメラにおいて、第2撮影準備状態において測距等を行う場合には、ほぼ1シーケンス分の可動反射ミラーとシャッタ動作が必要となるために、タイムラグが長くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、ライブビュー表示等の第2撮影準備状態においてシャッタの動作を行う場合に、高速で駆動でき、タイムラグを短くしたカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため第1の発明に係わるカメラは、撮影光学系と、上記撮影光学系からの光束を撮影可能な撮像手段と、上記撮影光学系と上記撮像手段との間に配置されたフォーカルプレーンシャッタユニットと、上記シャッタユニットを駆動可能な駆動ユニットと、を有し、上記シャッタが閉鎖した状態の第1の撮影準備状態と、上記シャッタが開放した状態の第2の撮影準備状態が選択可能なカメラにおいて、上記第2の撮影準備状態中にシャッタ駆動を行う場合には、上記シャッタの開放を維持した状態にて、上記駆動ユニットを駆動する。
【0008】
第2の発明に係わるカメラは、上記第1の発明において、上記シャッタの後幕マグネットへの通電を継続することによって、開放を維持する。
また、第3の発明に係わるカメラは、上記第1の発明において、上記第2の撮影準備状態は、カメラがライブビュー状態である。
【0009】
上記目的を達成するため、第4の発明に係わるカメラは、撮影光学系と、上記撮影光学系からの光束を撮影可能な撮像手段と、上記撮影光学系と上記撮像手段の間に配置されたフォーカルプレーンシャッタユニットと、上記シャッタユニットを駆動可能な駆動ユニットと、上記撮影光学系からの光束を用いて測距が可能な測距ユニットと、上記撮影光学系からの光束を反射可能な挿入状態と、上記撮影光学系からの光束から退避した退避状態とに移動可能な反射部材とを有し、上記反射部材が挿入状態かつ上記シャッタが閉鎖した状態の第1の撮影準備状態と、上記反射部材が退避状態かつ上記シャッタが開放した状態の第2の撮影準備状態が選択可能なカメラにおいて、上記第2の撮影準備状態中に測距動作を行う場合には、上記シャッタの開放を維持した状態にて上記駆動ユニットを駆動する。
【0010】
第5の発明に係わるカメラは、上記第4の発明において、上記第2の撮影準備状態は、カメラがライブビュー状態である。
また、第6の発明に係わるカメラは、上記第4の発明において上記第1の撮影準備状態は、測距が可能な状態である。
さらに、第7の発明に係わるカメラは、上記第4の発明において、上記駆動ユニットは、上記シャッタユニットに加えて上記反射部材の駆動を行う。
さらに、第8の発明に係わるカメラは、上記第4の発明において、上記第1の撮影準備状態は、上記反射部材が挿入状態であり、直ちに上記測距が可能な状態である。
【0011】
上記目的を達成するため、第9の発明に係わるカメラは、撮影光学系と、上記撮影光学系からの光束を撮影可能な撮像手段と、上記撮影光学系と上記撮像手段との間に配置されたフォーカルプレーンシャッタユニットと、上記シャッタユニットを駆動可能な駆動ユニットと、を有し、上記シャッタが閉鎖した状態の第1の撮影準備状態と、上記シャッタが開放した状態の第2の撮影準備状態が選択可能なカメラにおいて、上記第2の撮影準備中にTTL位相差AFを行う場合には、上記シャッタを開放したままの状態で、上記駆動ユニットを駆動する。
【0012】
上記目的を達成するため、第10の発明に係わるカメラは、撮影光学系と、上記撮影光学系からの光束を撮影可能な撮像手段と、上記撮影光学系とファインダ光学系の間に配置した反射部材と、上記反射部材を駆動可能な反射部材駆動ユニットとを有し、上記シャッタが閉鎖した状態の第1の撮影準備状態と、上記シャッタが開放した状態の第2の撮影準備状態が選択可能なカメラにおいて、上記第2の撮影準備中に上記反射部材の駆動を行う場合には、上記シャッタを開放したままの状態で、上記駆動ユニットを駆動する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ライブビュー表示等の第2撮影準備状態においてシャッタの動作を行う場合に、高速で駆動でき、タイムラグを短くしたカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に従って本発明を適用したデジタル一眼レフカメラを用いて好ましい一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わるデジタル一眼レフレックスカメラの内部機構について、撮影レンズの光軸方向に沿った内部構成ブロック図である。
【0015】
交換レンズ100の内部に配置された撮影光学系101の光軸上であって、カメラ本体200のミラーボックス内に可動反射ミラー201が配置されている。この可動反射ミラー201は、被写体光束をペンタプリズム207等のファインダ光学系に反射するために撮影光学系101の光軸に対して45度傾いた反射位置と、被写体像を撮像素子ユニット24中のCCD(Charge Coupled Device)221(図2参照)に導くために、撮影光路から退避した退避位置とに回動可能となっている。
【0016】
可動反射ミラー201の回動軸は図1の紙面に対して垂直方向に沿っている。この可動反射ミラー201によって、上方に被写体光束を反射する。なお、本実施形態では、上方に反射しているが、これに限らず、カメラ本体の右方でも左方でも、被写体光束の反射方向は機構部材や光学部材の配置上、最も適切になるように選択してよい。
【0017】
可動反射ミラー201の反射光軸上にフォーカシングスクリーン205が配置されている。これは撮影光学系101による被写体光束を結像させるための結像面であり、可動反射ミラー201からの距離が撮像ユニット24中のCCD221と等価な位置に配設されている。フォーカシングスクリーン205の上方には、被写体像を左右反転させるためのペンタプリズム207が配置されている。ペンタプリズム207の後方には、接眼レンズ209が配置されており、撮影者は接眼部側から接眼レンズ209を覗いて被写体像の確認を行うことができる。ペンタプリズム207および接眼レンズ209によってファインダユニットが構成される。
【0018】
可動反射ミラー201の中央付近はハーフミラーで構成されており、この可動反射ミラー201の背面には、ハーフミラー部を透過した被写体光束を反射するための測距用サブミラー203が設けられている。このサブミラー203は、可動反射ミラー201に対して回動可能であり、可動反射ミラー201が撮影光路から退避し、被写体光束が撮像ユニット24のCCD221に入射しているときには、ハーフミラー部を覆う位置に回動し、可動反射ミラー201が図示の如き被写体像観察位置(挿入状態)にあるときには、可動反射ミラー201に対して起き上がって開となり測距ユニット21に被写体光束の一部を反射可能となる位置にある。
【0019】
サブミラー203の反射光路上に測距用センサを含むTTL位相差方式の測距回路217(図2参照)を含む測距ユニット21が配置されており、測距ユニット21によって、撮影光学系101によって結像される被写体像の焦点ズレ量を検出する。
【0020】
可動反射ミラー201の後方には、フォーカルプレーンシャッタ213(図2)を含むシャッタユニット23が配置されている。シャッタユニット23の後方にはCCD221を含む撮像ユニット24が配置されており、撮影レンズによって結像される被写体像を電気信号に光電変換する。
【0021】
撮像ユニット24の背面側には電気回路等の回路基板25が配置されている。また、カメラ本体200の背面であってユーザーが観察しやすい位置に液晶モニタ26が配置されている。液晶モニタ26はライブビュー表示、記録済みの画像データの再生表示および各種メニューモード等の各種表示を行う。なお、液晶モニタ26はカメラ本体200の背面に配置されるが、撮影者が観察できる位置であれば、背面に限らないし、また液晶に限らず有機ELディスプレイ等、他の表示装置でも構わない。さらに、固定式に限らず、可動式のモニタであってもよい。
【0022】
次に、図2を用いて、本実施形態に係わるデジタル一眼レフカメラの電気系を主とする全体構成を説明する。本実施形態に係わるデジタル一眼レフカメラは、交換レンズ100とカメラ本体200は別体で構成されており、両者は通信接点300にて電気的に接続されている。なお、交換レンズ100とカメラ本体200を一体に構成することも可能である。
【0023】
交換レンズ100の内部には、焦点調節および焦点距離調節用の撮影光学系101と、開口量を調節するための絞り103が配置されている。撮影光学系101はレンズ駆動機構107によって駆動され、絞り103は絞り駆動機構109によって駆動されるよう接続されている。
【0024】
レンズ駆動機構107、絞り駆動機構109はそれぞれレンズCPU111に接続されており、このレンズCPU111は通信接点300を介してカメラ本体200に接続されている。レンズCPU111は交換レンズ100内の制御を行うものであり、レンズ駆動機構107を制御してピント合わせや、ズーム駆動を行うとともに、絞り駆動機構109を制御して絞り値制御を行う。
【0025】
カメラ本体200内には、前述したように可動反射ミラー201、サブミラー203、フォーカシングスクリーン205、ペンタプリズム207、接眼レンズ209が配置されている。可動反射ミラー201はミラー駆動機構219によって駆動されている。ペンタプリズム207の出射側には被写体像観察用の接眼レンズ209が配置され、この脇であって被写体像の観察に邪魔にならない位置に測光センサ211が配置されている。フォーカシングスクリーン205、ペンタプリズム207、接眼レンズ209はファインダ光学系の一部を構成している。
【0026】
また、上述したように、可動ミラー201の背面にはサブミラー203が設けられており、このサブミラー203の反射方向に測距センサを含む測距回路217が配置されている。さらに、可動ミラー201の後方には、フォーカルプレーンタイプのシャッタ213が配置されており、このシャッタ213はシャッタ駆動機構215によって駆動制御される。また、シャッタ213の後方には撮像素子としてのCCD221が配置されており、撮影光学系101によって結像される被写体像を電気信号に光電変換する。なお、本実施形態では撮像素子としてCCDを用いているが、これに限らずCMOS(Complementary Metal Oxide
Semiconductor)等の二次元撮像素子を使用できることはいうまでもない。
【0027】
CCD221はCCD駆動回路223に接続され、このCCD駆動回路223によってアナログデジタル変換(AD変換)がなされる。CCD駆動回路223はCCDインターフェース225を介して画像処理回路227に接続されている。この画像処理回路227は色補正、ガンマ(γ)補正、コントラスト補正といった各種の画像処理を行う。また、液晶モニタ26におけるライブビュー表示用の画像データの生成も行う。
【0028】
画像処理回路227は、ASIC(Application Specific Integrated
Circuit 特定用途向け集積回路)271内のデータバス261に接続されている。このデータバス261には、画像処理回路227の他、ボディCPU229、圧縮伸張回路231、フラッシュメモリ制御回路233、SDRAM制御回路236、入出力回路239、通信回路241、記録媒体制御回路243、ビデオ信号出力回路247、スイッチ検出回路253が接続されている。
【0029】
データバス261に接続されているボディCPU229は、このデジタル一眼レフカメラのフローを制御するものである。またデータバス261に接続されている圧縮伸張回路231はSDRAM237に記憶された画像データをJPEGやTIFFで圧縮したり、逆に伸張するための回路である。なお、画像圧縮はJPEGやTIFFに限らず、他の圧縮方法も適用できる。
【0030】
データバス261に接続されているフラッシュメモリ制御回路233は、フラッシュメモリ(Flash Memory)235に接続され、このフラッシュメモリ235は、一眼レフカメラのフローを制御するためのプログラムが記憶されており、ボディCPU229はこのフラッシュメモリ235に記憶されたプログラムに従ってデジタル一眼レフカメラの制御を行う。なお、フラッシュメモリ235は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。
【0031】
SDRAM237は、SDRAM制御回路236を介してデータバス261に接続されており、このSDRAM237は、画像処理回路227によって画像処理された画像データまたは圧縮伸張回路231によって圧縮または伸張された画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリである。
【0032】
上述の測光センサ211、シャッタ駆動機構215、測距回路217およびミラー駆動機構219に接続される入出力回路239は、データバス261を介してボディCPU229等の各回路とデータの入出力を制御する。レンズCPU111と通信接点300を介して接続された通信回路241は、データバス261に接続され、ボディCPU229等とのデータのやりとりや制御命令の通信を行う。
【0033】
データバス261に接続された記録媒体制御回路243は、記録媒体245に接続され、この記録媒体245への画像データ等の記録の制御を行う。記録媒体245は、xDピクチャーカード(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリカード(登録商標)またはメモリスティック(登録商標)等の書換え可能な記録媒体のいずれかが装填可能となるように構成され、カメラ本体200に対して着脱自在となっている。その他、通信接点を介してハードディスクを接続可能に構成してもよい。
【0034】
データバス261に接続されたビデオ信号出力回路247は液晶モニタ駆動回路249を介して液晶モニタ26に接続される。ビデオ信号出力回路247は、SDRAM237、記録媒体245に記憶された画像データを、液晶モニタ26に表示するためのビデオ信号に変換するための回路である。
【0035】
シャッタレリーズ釦の第1ストローク(半押し)や第2ストローク(全押し)を検出するスイッチ(1stレリーズスイッチ、2ndレリーズスイッチ)、ライブビュー表示を指示するスイッチ、再生モードを指示するスイッチ、液晶モニタ26の画面でカーソルの動きを指示するするスイッチ、撮影モードを指示するスイッチ、選択された各モード等を決定するOKスイッチ等の各種スイッチ255およびレンズ着脱検出スイッチ257は、スイッチ検出回路253を介してデータバス261に接続されている。
【0036】
次に、レリーズ釦が半押しされ、続いて全押しされ撮影動作を行うときの必要な電力量について、図3を用いて説明する。図中、横軸は時間の経過を示し、縦軸は電力量を表す。レリーズ釦が半押しされ、1stレリーズスイッチがオンとなると、測光・測距・演算を行う(図中の(1))。すなわち、測光素子211の出力に基づいて測光が行われ、測距回路217の出力に基づいて測距が行われ、ボディCPU229によって測光と測距の演算が行われる。
【0037】
なお、この図3は、シャッタ213の閉鎖状態で光学ファインダを介して被写体像を観察している状態において、1stレリーズスイッチがオンとなった状態を示している。シャッタ213が開放した状態でライブビュー表示によって被写体像を観察している状態において、1stレリーズスイッチがオンとなる場合には、それ以前から、シャッタ後幕保持用のマグネットは通電状態となっている。
【0038】
続いて、レンズ駆動が行われる(図中の(2))。このレンズ駆動は、測距演算結果に基づく焦点ズレ量に応じて撮影光学系101が合焦位置に達するように、レンズCPU111を介してレンズ駆動機構107が撮影光学系101を駆動する。レンズ駆動が終わるとスタンバイ状態となり(図中の(3))、光学ファインダ内表示等を行う。
【0039】
撮影者が構図を決定し、レリーズ釦の全押しを行うと、すなわち2ndレリーズスイッチがオンとなると、撮影動作に入る。まず、フォーカルプレーンシャッタ213の先幕と後幕を保持するシャッタマグネットに通電する(図中の(4))。なお、ライブビュー表示状態で2ndレリーズスイッチがオンとなった場合には、それ以前より後幕保持用シャッタマグネットは通電状態であることから、これに加えて先幕保持用シャッタマグネットに通電する。マグネットの通電開始から少し遅れて、ミラーアップと絞込みを開始する(図中の「ミラーアップ」および「絞込み」)。
【0040】
ミラーアップは、ミラー駆動機構219を介して可動反射ミラー201を、撮影光学系101の光路中に挿入した状態(挿入状態)から、光路から退避した状態(退避状態)に回動させる。また、絞込みは、開放状態から露光演算で求めた絞り値もしくは手動設定絞り値まで、レンズCPU111を介して絞り駆動機構109が絞り103を駆動する。
【0041】
続いて、シャッタ先幕保持用のシャッタマグネットの吸着が解除されると、シャッタ先幕が走行を開始して露光が開始され、CCD221上に被写体像が結像する(図中の(5))。所定の露光時間が経過すると、シャッタ後幕保持用のシャッタマグネットの吸着が解除され、シャッタ後幕が走行を開始し、露光が終了する。
【0042】
露光が終了すると、ミラーダウンおよびシャッタチャージ、画像データの読み出し、絞りリセットを開始する(図中に同名のラベルで表示)。絞りリセットは、絞込み状態から開放絞り値まで、レンズCPU111を介して絞り駆動機構109が絞り103を駆動する。画像データ読み出しは、CCD221で光電変換された信号電荷をCCD駆動回路223によって読み出し、CCDインターフェース回路225、画像処理回路227等によって画像データとして読み出し処理する。
【0043】
ミラーダウンは、ミラー駆動機構219を介して可動反射ミラー201を、撮影光学系101の光路から退避した状態(退避状態)から、光路中に挿入した状態(挿入状態)に回動させる。シャッタチャージは、シャッタ先幕および後幕を付勢する弾性部材のチャージである。また、ミラーダウン動作時にも、可動反射ミラー201を上昇方向(退避状態)に付勢された弾性部材をバネチャージしている。これらの弾性部材をチャージするために、ミラーダウンおよびシャッタチャージ時には、供給電力がE1と大きくなる。
【0044】
なお、絞りリセット、画像データ読み出し、ミラーダウンおよびシャッタチャージを同時に行うことから、それぞれに供給できる電力は、供給可能上限電力を越えない程度に配分されている。このような従来の電力の配分でライブビュー表示中のAF動作を行うと、前述したように時間t1となり、露光に要する時間(正確には、図3中の(5)にかかる撮像のための時間を除く)ta+tbと、略同じになってしまう。
【0045】
次に、ライブビュー表示中に、AFスイッチが操作されTTL位相差AFによる自動焦点調節を行う場合に必要な電力量について、図4を用いて説明する。図中、横軸は時間の経過を示し、縦軸は電力量を表す。AFスイッチが操作され、オンとなる前は、ライブビュー表示がなされている(図中の(6))。ライブビュー表示は、CCD221によって周期的に画像データを取得し、これを液晶モニタ26に被写体像の観察用として表示するものである。なお、AFスイッチとしては、レリーズ釦の半押しに応答するスイッチ、フォーカスロック釦に連動するスイッチ、またはAF操作指令専用釦に連動するスイッチ等が利用できる。
【0046】
ライブビュー表示に入ると、前述したように、シャッタ213の後幕保持用マグネットは、通電されており(図中の(7))、マグネット通電のために電力量E3が供給されている。この電力量E3は、図中には誇張して描いてあるが、大体、30mA〜40mA程度であり、シャッタ213や可動反射ミラー201のチャージに要する電力量に比較する微々たる量である。
【0047】
撮影者が被写体に対してピント合わせを行わせるべくAFスイッチを操作すると(図4中の「AF SW オン」)、ミラーダウンおよびシャッタチャージを行う(図4の「ミラーダウン シャッタチャージ」)。このときは、後幕保持用マグネットに通電したまま、シャッタ213を開放状態で可動反射ミラー201をダウンさせ(挿入状態)、シャッタチャージをおこなっている。このため、後幕走行用の付勢部材のチャージに要する電力量が少なくてすむことから、このときの電力量E2は、通常の撮影時におけるミラーダウン・シャッタチャージに要する電力量E1より少なくても済む。また、マグネット保持用の電力量E4は、電力量E3の約半分で済む。
【0048】
ミラーダウンとシャッタチャージが終わると、続いて、測光・測距・演算を、1stレリーズスイッチがオンしたとき(図3参照)と同様に行う。続いて、レンズ駆動(図4中の(2))、ミラーアップ(図4中の「ミラーアップ」)、シャッタマグネットのオン(図4中の(4))を行う。これらが終わると、ライブビュー表示を再開する(図4中の(6))。
【0049】
従来のライブビュー表示中のAF動作の実行には、撮影時と同様の電力が供給されるために、AF動作に時間t1(t1≒ta+tb)を要していた(図6参照)。これに対して、本実施形態においては、ライブビュー表示中は、後幕保持用のマグネットに通電し、後幕を開放状態に保持していることから、ライブビュー表示中のAF動作の実行にあたって、ミラーダウン時のシャッタチャージに要する電力量はE2で済む。すなわち、電力を供給される負荷装置側の負荷量が減ることから、電力量E2でも動作の高速化を図ることができ、AFスイッチがオンとなってからライブビュー表示を再開するまでのAF動作に要する時間を時間t2(t2<t1)まで短縮することができる。
【0050】
次に、ライブビュー表示中のAF動作の実行について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。ライブビュー表示モードを指示する操作部材が操作されると、ライブビュー表示モードになる。ライブビュー表示モードに入ると、まず、フォーカルプレーンシャッタ213のシャッタ先幕と後幕をそれぞれ保持するシャッタ先幕マグネットおよびシャッタ後幕マグネットをオンとする(S1)。
【0051】
この後、可動反射ミラー201をアップ、すなわち退避状態の位置に移動させる(S3)。続いて、シャッタ先幕マグネットの吸着を解除し、シャッタ先幕を走行させ、シャッタ213の開放を行う(S5)。
【0052】
次に、ライブビュー撮像および表示を行う(S7)。すなわち、この状態では、可動反射ミラー201は退避しており、またシャッタ213も開放状態であることから、撮影光学系101を通過した被写体光束は遮るものがなく、CCD221上に結像する。このCCD221から画像データを取得し、液晶モニタ26にライブビュー表示を行う。
【0053】
続いて、ライブビュー表示を継続するか否かの判定を行う(S9)。ライブビュー表示を停止するために操作部材が操作されたか否かの判定である。判定の結果、続行する場合には、次に、AFスイッチがオンか否かの判定を行う(S11)。判定の結果、AFスイッチがオンとなっていなかった場合には、ステップS7に戻り、ライブビュー表示を続行する。
【0054】
判定の結果、AFスイッチがオンであった場合(図4のT11のタイミング)には、撮像を停止する(S13)。すなわち、CCD221による画像データの取得を停止する。続いて、最終フレームを静止画像として液晶モニタ26に表示する(S15)。AF動作中もCCD221から画像データを取得し、表示すると、画像が乱れ見苦しいため、最終画像でフリーズ表示している。
【0055】
続いて、ミラーダウンおよびシャッタチャージを開始する(S19、図4のT11のタイミング)。ミラーダウンおよびシャッタチャージは、可動反射ミラー201を退避状態から挿入状態に移動させると共に、シャッタ213の弾性部材等のチャージを行う。なお、シャッタ213の後幕を保持しているシャッタマグネットの吸着は保持されているので、シャッタ後幕は開放状態のままである。
【0056】
ミラーダウンおよびシャッタチャージが終わると、測距を行う(S21、T12のタイミング)。測距は前述したのと同様、サブミラー203によって反射された被写体光束を用いてTTL位相差測距により行う。また、測光も同様に行う。測距が終わると、シャッタ先幕保持用のシャッタマグネットを吸着保持すべくオンする(S23、T13のタイミング)。なお、後幕保持用のシャッタマグネットは、ステップS1においてオンとなったまま、吸着保持している。
【0057】
また、少し遅れて可動反射ミラー201のアップ動作、すなわち退避状態となるように可動反射ミラー201を駆動する(S25、T14のタイミング)。同時に、測距結果に基づいて撮影光学系101を合焦位置に向けて駆動する。ミラーアップが終わると、ライブビュー表示を再開すべくステップS5に戻り、前述の動作を実行する(T15のタイミング)。
【0058】
ステップS9における判定の結果、ライブビュー表示を終了する場合には、CCD221による撮像と、液晶モニタ26におけるライブビュー表示を停止する(S31)。そして、シャッタ213の後幕マグネットをオフし、シャッタ後幕を走行させてシャッタ213を閉鎖する(S33)。続いて、ミラーダウンおよびシャッタチャージを行う(S35)。
【0059】
以上、説明したように、本実施形態においては、シャッタが閉鎖した第1撮影準備状態(例えば、光学ファインダでの観察状態)と、シャッタが開放した第2撮影準備状態(例えば、ライブビュー表示状態)の2つの状態を持つカメラにおいて、第2撮影準備状態において測距等を行う場合には、第2の撮影準備状態中にシャッタ駆動を行う場合には、シャッタの開放を維持した状態にて、駆動ユニットを駆動している。このため、シャッタチャージに要する負荷が小さくなり、その結果、シャッタ213のシャッタチャージを高速に駆動することができ、AF動作を実行するにあたってタイムラグを短くすることができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、ライブビュー表示中にAFスイッチがオンとなった場合、ミラーダウンおよびシャッタチャージ(S19)、および測距後のミラーアップ(S25)の際に、供給する電力量は撮影時における対応する動作の電力量と同じ通常電力量を供給していた。しかし、少なくともいずれか1つのステップにおいて、供給電力量を増加させることにより、AF動作のさらなる高速化を図ることができる。
【0061】
また、本実施形態においては、シャッタ213のシャッタチャージと、可動反射ミラー201のダウンを一緒に行っていたが、別々のタイミングで行ってもよく、その場合には、シャッタ213および可動反射ミラー201のうちのいずれか一方のみにおいて駆動方式を変更するようにしても勿論かまわない。
【0062】
さらに、本実施形態においては、電力は直流電流で供給していたが、パルス電流でもよく、この場合には、駆動方式の変更に応じて平均的な電力量が変わるようにすればよい。さらに、測距ユニット21へはサブミラー203によって被写体光束が導かれていたが、ハーフミラー等によって。被写体光束を導くようにしても勿論かまわない。
【0063】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係わるデジタル一眼レフカメラにおいて、撮影レンズの光軸方向に沿った内部構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るデジタル一眼レフカメラの主として電気系の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わるデジタル一眼レフカメラの撮影動作時における必要な電力量を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わるデジタル一眼レフカメラのライブビュー表示中にAF動作時を行なう場合の必要な電力量を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるデジタル一眼レフカメラのライブビュー表示動作のフローチャートである。
【図6】従来のデジタル一眼レフカメラのライブビュー表示中にAF動作時を行なう場合の必要な電力量を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
21・・・測距ユニット、23・・・シャッタユニット、24・・・撮像ユニット、25・・・回路基板、26・・・液晶モニタ、100・・・交換レンズ、101・・・撮影光学系、103・・・絞り、107・・・光学系駆動機構、109・・・絞り駆動機構、111・・・レンズCPU、200・・・カメラ本体、201・・・可動反射ミラー、203・・・サブミラー、205・・・フォーカシングスクリーン、207・・・ペンタプリズム、211・・・測光センサ、213・・・フォーカルプレーンシャッタ、215・・・シャッタ駆動機構、217・・・測距回路、219・・・ミラー駆動機構、221・・・CCD、223・・・CCD駆動回路、225・・・CCDインターフェース、227・・・画像処理回路、229・・・ボディCPU(シーケンスコントローラ)、231・・・圧縮伸張回路、233・・・フラッシュメモリ制御回路、235・・・フラッシュメモリ、236・・・SDRAM制御回路、237・・・SDRAM、239・・・入出力回路、241・・・通信回路、243・・・記録媒体制御回路、245・・・記録媒体、247・・・ビデオ信号出力回路、249・・・液晶モニタ駆動回路、253・・・スイッチ検出回路、255・・・各種スイッチ、257・・・レンズ着脱検出スイッチ、261・・・データバス、271・・・ASIC、300・・・通信接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と、
上記撮影光学系からの光束を撮影可能な撮像手段と、
上記撮影光学系と上記撮像手段との間に配置されたフォーカルプレーンシャッタユニットと、
上記シャッタユニットを駆動可能な駆動ユニットと、
を有し、上記シャッタが閉鎖した状態の第1の撮影準備状態と、上記シャッタが開放した状態の第2の撮影準備状態が選択可能なカメラにおいて、
上記第2の撮影準備状態中にシャッタ駆動を行う場合には、上記シャッタの開放を維持した状態にて、上記駆動ユニットを駆動することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
上記シャッタの後幕マグネットへの通電を継続することによって、開放を維持することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
上記第2の撮影準備状態は、カメラがライブビュー状態であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
撮影光学系と、
上記撮影光学系からの光束を撮影可能な撮像手段と、
上記撮影光学系と上記撮像手段の間に配置されたフォーカルプレーンシャッタユニットと、
上記シャッタユニットを駆動可能な駆動ユニットと、
上記撮影光学系からの光束を用いて測距が可能な測距ユニットと、
上記撮影光学系からの光束を反射可能な挿入状態と、上記撮影光学系からの光束から退避した退避状態とに移動可能な反射部材と、
を有し、
上記反射部材が挿入状態かつ上記シャッタが閉鎖した状態の第1の撮影準備状態と、上記反射部材が退避状態かつ上記シャッタが開放した状態の第2の撮影準備状態が選択可能なカメラにおいて、
上記第2の撮影準備状態中に測距動作を行う場合には、上記シャッタの開放を維持した状態にて上記駆動ユニットを駆動することを特徴とするカメラ。
【請求項5】
上記第2の撮影準備状態は、カメラがライブビュー状態であることを特徴とする請求項4に記載のカメラ。
【請求項6】
上記第1の撮影準備状態は、測距が可能な状態であることを特徴とする請求項4に記載のカメラ。
【請求項7】
上記駆動ユニットは、上記シャッタユニットに加えて上記反射部材の駆動を行うことを特徴とする請求項4に記載のカメラ。
【請求項8】
上記第1の撮影準備状態は、上記反射部材が挿入状態であり、直ちに上記測距が可能な状態であることを特徴とする請求項4に記載のカメラ。
【請求項9】
撮影光学系と、
上記撮影光学系からの光束を撮影可能な撮像手段と、
上記撮影光学系と上記撮像手段との間に配置されたフォーカルプレーンシャッタユニットと、
上記シャッタユニットを駆動可能な駆動ユニットと、
を有し、上記シャッタが閉鎖した状態の第1の撮影準備状態と、上記シャッタが開放した状態の第2の撮影準備状態が選択可能なカメラにおいて、
上記第2の撮影準備中にTTL位相差AFを行う場合には、上記シャッタを開放したままの状態で、上記駆動ユニットを駆動することを特徴とするカメラ。
【請求項10】
撮影光学系と、
上記撮影光学系からの光束を撮影可能な撮像手段と、
上記撮影光学系とファインダ光学系の間に配置した反射部材と、
上記反射部材を駆動可能な反射部材駆動ユニットと、
を有し、上記シャッタが閉鎖した状態の第1の撮影準備状態と、上記シャッタが開放した状態の第2の撮影準備状態が選択可能なカメラにおいて、
上記第2の撮影準備中に上記反射部材の駆動を行う場合には、上記シャッタを開放したままの状態で、上記駆動ユニットを駆動することを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−122557(P2009−122557A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298737(P2007−298737)
【出願日】平成19年11月18日(2007.11.18)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】