説明

ガラス窓の視界を確保する方法

【課題】本発明は、冷温環境から暖温環境に頻繁にもたらされる状況にあるガラス窓に関して、該ガラス窓を加熱しないで、ガラス窓の視界を確保する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】ガラス窓の視界を確保する方法であり、該ガラス窓が複数枚のガラス板が対向してなる多重ガラス構造を有し、且つガラス窓閉時に冷温環境にさらされるガラス板表面に被膜が形成されてなるものとし、該被膜を少なくとも平均分子量400〜5000のポリオキシアルキレン系ポリオール、及び疎水性ポリオールを用いて重合されたウレタン樹脂からなるものとし、該疎水性ポリオールをアクリルポリオール、水酸基価が10〜200mgKOH/gのポリエステルポリオールから選べるものとすることで、ガラス窓開放時に該被膜が被膜に接した水を吸水し、開放されたガラス窓を閉じた際に被膜が被膜中に吸水された水を放出して、被膜が吸水可能な状態とせしめること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス窓を有する物品に関し、ガラス窓の視界を確保する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス窓は、内部へ採光できるため建築用途、車両用途、容器や機器の窓などで広く用いられている。ガラス窓を使用することで、その内部の視認が確保される。例えば、ガラス窓を有する冷蔵庫又は冷凍庫は、ガラス窓を通じて、冷蔵室又は冷凍室内が視認できるので、スーパーマーケットやコンビニエンスストアー等の小売業界で広く用いられている。
【0003】
ガラス窓の片側が冷温環境にさらされると、ガラス窓の視認を妨げる結露が発生することがある。そして、冷温環境が氷点下であると該結露は凍結されたものとして現れることがあり、ガラス窓の視認性確保は一層難しいものとなる。
【0004】
複層ガラス等の複数枚のガラス板が対向してなる多重ガラス構造を有するガラス窓は、単板のガラス窓より断熱性に優れることから、結露の発生を抑制することに効果を奏する。かくして、ガラス窓の片側が冷温環境となる環境下では、ガラス窓として、多重ガラス構造を有するガラス窓が広く採用されている。特に、冷蔵庫や冷凍庫の窓としての使用頻度には特筆すべきものがある。
【0005】
しかしながら、これらガラス窓は、多くのケースで、可動可能な装置、例えば、扉、蓋、戸等に組み込まれて使用される。ガラス窓が開放されたとき、冷蔵室、冷凍室等の冷温環境に接していたガラス板表面は、冷却された状態で暖温環境にもたらされることになるので、該表面には結露が生じやすくなる。これは、ガラス窓密閉後の視認の妨げをもたらす。これを解決するために、特許文献1は、該ガラス板面を加熱するガラスユニットシステムを開示している。
【特許文献1】特表2002−513507号公報
【特許文献2】特開平11−63793号公報
【特許文献3】特開2000−309068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガラス窓の視界を確保する技術に関しては、依然として次の課題点が残されていると考えられる。
【0007】
1)ガラス窓を加熱して結露を防止する方式は、エネルギーをより消耗することとなるので、省エネルギー化の観点から望ましい方式ではないこと。
【0008】
2)ガラス窓の加熱と冷蔵室又は冷凍室の保冷とは相反する要求事項なので、室内の保冷特性に悪影響を及ぼす可能性があること。
【0009】
これらを解決するためには、ガラス窓を加熱することなしに視認を妨げる結露がない状態とされなければならない。本発明は、ガラス窓を加熱しないで、ガラス窓の視界を確保する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ガラス窓の結露を防止する方法として、特許文献2及び3では、吸水機能を有するフィルム基材を使用することを開示している。しかしながら、フィルムを、多重ガラス構造を有するガラス窓の冷蔵室又は冷凍室に接する面に適用しようとすると、次の技術的な問題点があることがわかった。なぜなら、これらは、ショーケースの外側面に使用することを想定し、吸水機能が設計されたものであるからである。
【0011】
ガラス窓の冷蔵室又は冷凍室に接する面は、ガラス窓開閉の度に、冷温の環境が変化する。ドア開放時に、吸水機能を有するフィルム基材が吸水し、再度、窓が密閉されたときに、吸水された水が放出しなければ、いずれは、該フィルム基材は吸水限界に達し、吸水機能を奏しなくなり、結露を発生するようになる。ドア開閉時に被膜が吸水可能な状態としておくためには、窓密閉時に被膜から水が効率的に脱水される必要があり、これに見合った被膜を設計する必要が生じる。
【0012】
本発明は、該設計思想に見合った被膜を見出し、ガラス窓の視界を確保する方法を見いだすに至った。すなわち、本発明のガラス窓の視界を確保する方法は、該ガラス窓が複数枚のガラス板が対向してなる多重ガラス構造を有するものとし、ガラス窓閉時に冷温環境にさらされるガラス板表面に被膜が形成されており、該被膜を少なくとも平均分子量400〜5000のポリオキシアルキレン系ポリオール、及び疎水性ポリオールを用いて重合されたウレタン樹脂からなるもとし、該疎水性ポリオールを平均分子量500〜5000のアクリルポリオール、及び平均分子量500〜5000で水酸基価が10〜200mgKOH/gのポリエステルポリオールから選べる少なくとも一種を用いてなるものとすることで、ガラス窓開放時に該被膜が被膜に接した水を吸水し、開放されたドアガラスを閉じた際に被膜が被膜中に吸水された水を放出して、被膜が吸水可能な状態とせしめることを特徴とする。
【0013】
複層ガラスに代表される多重ガラス構造の物品は、単板のガラス板と比較して断熱性が優れる。断熱性が良いことで、冷温環境にあったガラス板表面が暖温環境にもたらされた場合に、却って、ガラス板表面が冷却された状態で保持されやすくなる。本発明では、ガラス窓の冷温環境に接するガラス板面に上記被膜を形成することで、ガラス窓の開閉作業を繰り返してもガラス窓の視界を妨げる結露の発生を抑制しやすくさせた。
【0014】
上記被膜が、ガラス窓の開閉作業を繰り返してもガラス窓の視界を妨げる結露の発生を抑制しやすくすることに奏功する理由、すなわちガラス密閉時に被膜からの水の脱水を効率的に行えることの理由は、吸水性を有する樹脂としては、剛直な構造、すなわち架橋密度の高い構造を有するからだと考えられる。
【0015】
ウレタン樹脂の重合時に原料のポリオールに平均分子量400〜5000のポリオキシアルキレン系ポリオール、及び疎水性ポリオールを平均分子量500〜5000のアクリルポリオール、及び平均分子量500〜5000で水酸基価が10〜200mgKOH/gのポリエステルポリオールから選べる少なくとも一種とすることで、吸水性が良く、架橋密度が高いウレタン樹脂とせしめる。
【0016】
この剛直な構造が、水が吸脱するときの経路を安定的に提供し、水の脱水がスムーズになるのだと推察される。尚、本発明では、平均分子量は、原則、数平均分子量のことを意味する。また、冷温環境は、好ましくは、15℃以下、より好ましくは、10℃以下、さらに好ましくは5℃以下で、より好ましくは5℃〜−30℃である。さらには、暖温環境は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上で、より好ましくは15℃〜40℃である。
【0017】
「開放されたガラス窓を密閉した際に被膜が被膜中に吸水された水を放出することで被膜が吸水可能な状態とせしめること」を効率化し、ガラス窓の開閉作業を繰り返してもガラス窓の視界を妨げる結露の発生の抑制を推進していくためにも、前記した被膜は、吸水率が10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%とすることが好ましい。
【0018】
該範囲とした理由は、吸水率が10重量%未満では、ガラス窓の開閉作業を繰り返したとき、ガラス窓の視界を妨げる結露が発生しやすくなり、40重量%超では、被膜の硬度を低くせざるを得ない場合が多いからである。ガラス窓は、清掃するために払拭する頻度が多く、被膜の硬度が低いと、被膜に傷がつきやすく、ガラス窓の視認性に悪影響を及ぼす。
【0019】
また、ポリオキシアルキレン系ポリオールの数平均分子量が400未満の場合は、水を吸収する能力が低く、数平均分子量が5000を超える場合は、被膜の強度が低下しやすくなる。
【0020】
本発明では、特に前記ポリオキシアルキレン系ポリオールが、ポリエチレングリコールの場合、吸水性と得られる被膜の強度を考慮し、数平均分子量が400〜2000、好ましくは500〜1600とすることが好ましい。
【0021】
ポリエチレングリコールのオキシエチレン鎖は、水を吸収する機能や低温時でも被膜中に吸水された水の放出性能に優れている。水を吸収する機構は、オキシエチレン鎖の酸素部が水を結合水として取り込むことで発現する。低温時でも水を放出する機構は、オキシエチレン鎖に吸収された水は結合水として存在するため氷点下環境においても凍らず、過冷却水として被膜中に存在するため、氷点下環境でも湿度が低い状態であれば、被膜に吸収した水を効率的に脱水することが可能となる。
【0022】
かくして、氷点下環境での結露抑制効果を考慮するとオキシエチレン鎖を有するポリエチレングリコールを使用することが好ましく、平均分子量が400未満の場合、水を結合水として吸収する能力が低く、平均分子量が2000を超える場合は、塗布剤の硬化不良や膜強度の低下等の不具合が生じやすくなる。
【0023】
また、水が被膜に吸水した後に被膜から水を放出する場合、樹脂の骨格が硬いと、樹脂内の網目構造が確保されるため、水を吸収したオキシエチレン鎖から水を放出するときの水の経路が明確になり、被膜への吸水と脱水がスムーズになる。この硬い骨格の樹脂を得るには、疎水性ポリオールとして平均分子量500〜5000、好ましくは1000〜4000、より好ましくは1500〜3500のアクリルポリオール、及び平均分子量500〜5000、好ましくは500〜4000、より好ましくは550〜3000で水酸基価が10〜200mgKOH/g、好ましくは50〜200mgKOH、より好ましくは100〜200mgKOHのポリエステルポリオールから選べる少なくとも一種を用いることが好ましい。これらポリオールを用いて重合されたウレタン樹脂には、剛直な構造がもたらされることから、水が吸脱するときの経路を安定的に提供し、水の脱水がスムーズとせしめることに奏する。
【0024】
該アクリルポリオールは、平均分子量500〜5000とすることが好ましい。平均分子量が500未満の場合は、樹脂の網目構造が小さくなり水を放出するときの水の経路が狭くなり、脱水する能力が低くなりやすい。一方、平均分子量が5000を超える場合は、被膜の強度が低下しやすくなる。
【0025】
また、該ポリエステルポリオールは、平均分子量500〜5000で水酸基価が10〜200mgKOH/gとすることが好ましい。該ポリオールの場合、この数値範囲外とすると、樹脂の網目構造が小さくなることや、被膜の剛直性の低下等の理由により、水を放出するときの水の経路が狭くなり、脱水する能力が低下しやすくなる。
【0026】
さらに本発明では、被膜の表面にスリップ性をもたせて、清掃時等の払拭作業性を向上させるために、被膜がさらに架橋単位としてジメチルシロキサンユニット(Si(CHO)の数が5〜300である直鎖状ポリジメチルシロキサンを有することが好ましい。
【0027】
ここで、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンにおいてジメチルシロキサンユニット(Si(CHO)の数を5〜300としたのは、ジメチルシロキサンユニット数が5未満、又は300超の場合、直鎖状ポリジメチルシロキサンを架橋単位としてウレタン樹脂中に導入することが難しくなるからである。
【0028】
この理由として次のことが考えられる。ジメチルシロキサンユニット数が5未満の場合、被膜のスリップ性向上に効果が無く、他方、300超の場合、直鎖状ポリジメチルシロキサンのウレタン結合が形成されるべき部位が相対的に低いものとなるため、樹脂形成時に直鎖状ポリジメチルシロキサンが架橋単位として樹脂中に取り込まれなく可能性が高くなり、結果、得られた被膜は、直鎖状ポリジメチルシロキサンが溶出しやすいものとなる。
【0029】
そして、前記した被膜のスリップ性、清掃時等の払拭作業性の向上させる効果を考慮すると、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、被膜に対して、重量濃度で0.05〜3.0重量%添加されることが好ましい。
【0030】
さらに本発明では、被膜の膜厚が、3μm以上60μm以下とされている。被膜の吸水量は、膜厚にも依存する傾向があるので、被膜にある程度の吸水量を確保できるようにするためには、その膜厚は3μm以上とすることが好ましい。他方、厚い膜を形成しようとすると、被膜の製造に不利な条件をもたらす。そのため、その膜厚は60μm以下とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
ガラス窓に可逆的な吸脱水性を呈する被膜を有するため、該被膜が被膜に接した水を吸水し、湿度が低い状態であれば、被膜中に吸収された水が被膜から効率的に放出する。かくして、被膜が吸水可能な状態になりやすく、ガラス窓の視界が保たれるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明のガラス窓の例を図面で説明する。図1は、本発明のガラス窓の一例の要部を説明する断面図である。ガラス窓は複数枚のガラス板3が対向してなる多重ガラス構造を有し、周辺にスペーサー5を配置することで内部空間6が形成される。ガラス窓2は、被膜4とガラス板3とを有している。スペーサー5とガラス板3との間は、接着剤を用いて気密構造、又は水密構造が形成されることが好ましい。ガラス窓1は密閉状態となったとき、被膜4は冷温環境にさらされる。このような状態となる代表的な例は、ガラス窓1が冷蔵庫や冷凍庫の扉に使用された場合である。
【0033】
ガラス板3は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスや、無アルカリガラス、硼ケイ酸塩ガラス等からなるものを使用でき、自動車用、建築用、及び産業用ガラス等に通常用いられている板ガラスで、フロート法、デュープレックス法、ロールアウト法等に製造されるものを使用することが特に好ましい。ガラス種としては、クリアガラス、グリーンガラス、ブロンズガラス等の各種着色ガラスやUV、IRカットガラス、電磁遮蔽ガラス等の各種機能性ガラス、網入りガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス等防火ガラスに供し得るガラス、風冷強化ガラス、化学強化ガラス、合わせガラスを使用できる。前記した無機系のガラス以外にも、プラスチック製のガラス等も使用されうる。
【0034】
ガラス板3の板厚は特に制限されないが、0.1mm以上10mm以下が好ましく、特には0.2mm以上5.0mm以下が好ましい。
【0035】
スペーサー5は、ガラス板3が対向してなる多重ガラス構造として断熱性能を高めるために、ある程度の空間を設けるために使用されるもので、使用される材料に特に制限はなく、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂等の汎用の樹脂によるものや、金属製のもの、エンジニアリングプラスチック等が使用される。
【0036】
内部空間6には乾燥空気または窒素ガスが封入される構成が一般的であるが、内部空間にヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の不活性ガスをそれぞれ封入することで断熱性能を高めることができる。
【0037】
被膜4は、ポリオキシアルキレン鎖を含んだポリウレタンを有する被膜が使用される。ポリウレタンは、ウレタン特有の弾性を有しているので、他の樹脂と比べて、耐磨耗性に優れているからである。経済性を考慮すると被膜は、樹脂単独とすることが好ましい。
【0038】
ポリウレタンは、イソシアネートプレポリマーとポリオールとを反応させて得られ、ポリオールを適宜選択することで被膜の機能を設定でき、イソシアネートプレポリマー、ポリオール、及びその他の化学種、及び/又はそれらの反応物を有する塗布剤をガラス板表面にスピンコート法、ディップコート法、フローコート法、カーテンコート法等の公知の塗布手段により塗布し、硬化させることで被膜を得ることができる。このとき、ガラス基材にはプライマー層を形成させてもよい。
【0039】
前記イソシアネートプレポリマーには、ジイソシアネート、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発原料としたビウレット及び/又はイソシアヌレート構造を有する3官能のポリイソシアネートを使用できる。当該物質は、耐候性、耐薬品性、耐熱性があり、特に耐候性に対して有効である。又、当該物質以外にも、ジイソフォロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(メチルシクロヘキシル)ジイソシアネート及びトリレンジイソシアネート等も使用することができる。
【0040】
前記イソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数は、ポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1倍量〜3倍量、より好ましくは1.2倍量〜2.5倍量となるように調整することが好ましい。1倍量未満の場合は、塗布剤の硬化性が悪化するとともに、形成された膜は軟らかく、耐候性、耐溶剤性、耐薬品性等の耐久性が低下する。一方、3倍量を超える場合は、過剰硬化により、被膜の製造が困難になる。
【0041】
ポリオキシアルキレン系ポリオールのような被膜に吸水性をもたせる吸水性ポリオールは、分子内の水酸基がイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基と反応してウレタン結合を生じ、ポリウレタンに吸水性の性状を導入することができる。
【0042】
吸水飽和時の被膜の吸水率が、好適には15重量%以上となるように、吸水性ポリオールの使用量を調整し、被膜中の吸水性ポリオール由来の吸水成分量を調整する。該吸水性成分は、オキシアルキレン系のポリオール由来のものを使用でき、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖等を有することが好ましく、吸水性に優れるオキシエチレン鎖を有するポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0043】
ポリエチレングリコールを使用する場合は、吸水性と得られる被膜の強度を考慮し、数平均分子量を400〜2000とすることが好ましい。
【0044】
また、疎水性ポリオールは、被膜の耐水性及び耐摩耗性を向上させることができ、さらに被膜内の網目構造を確保し、水を吸収したオキシエチレン鎖から水を放出するときの水の経路が明確になり、被膜への吸水と脱水がスムーズすることができる。前記疎水性ポリオールにはアクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールであることが好ましい。
【0045】
アクリルポリオールの場合、可撓性と耐擦傷性の両方を併せ持ち、被膜の吸水性の機能を低下させにくく、結果、被膜の耐水性及び耐摩耗性を向上させることができる。これに加え、アクリルポリオールは、被膜を形成するための塗布剤を基材に塗布した際の膜厚偏差を均一化するレベリング工程を短縮化させることに奏功する。このため、冷凍および冷蔵ショーケースに適した平坦な膜表面を得るためにはこのアクリルポリオールを使用することが好ましい。
【0046】
前記ポリオキシアルキレン系ポリオール及び前記疎水性ポリオールとの比は、被膜は吸水率が10〜40重量%となるように調整される。例えば、ポリエチレングリコールとアクリルポリオールの場合、重量比で「ポリエチレングリコール:アクリルポリオール=50:50〜70:30」となる成分比とすることが好ましい。
【0047】
疎水性ポリオール由来の疎水成分は、被膜の吸水率が上記した範囲となるように導入し、好ましくは、「JIS K5600(1999年)」に準拠して得られる被膜の鉛筆硬度が被膜の吸水飽和時において、HB乃至Hとなるように導入することが好ましい。これは、被膜の硬度が低いと、冷凍および冷蔵ショーケース清掃等の払拭作業性が難しくなるためである。
【0048】
また、前記した清掃等の払拭作業性を考慮すると、両側末端にイソシアネート基と反応可能な官能基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサンを被膜中に導入することができる。被膜中に好適に導入される直鎖状ポリジメチルシロキサンは、被膜を形成する樹脂中の架橋単位として導入することができる。
【0049】
該イソシアネート基と反応可能な官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフィノ基、スルホ基等の電気陰性度の大きな酸素、窒素、硫黄に結合した活性水素を含む官能基を使用することができる。この中で、取扱いの容易さ、塗布剤としたときのポットライフ、得られる被膜の耐久性を考慮すると、イソシアネート基と反応可能な官能基としてはヒドロキシ基を使用することが好ましい。
【0050】
また、ガラス板に塗布剤を塗布して被膜を形成する場合、基材と被膜との密着性を向上させるためにシランカップリング剤を有する液を前記塗布剤の塗布前に塗布しておくことが好ましい。適切なシランカップリング剤としてはアミノシラン、メルカプトシラン及びエポキシシランが挙げられる。好ましいのはγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等である。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例および比較例で得られた被膜が形成された物品に対し、以下に示す方法により品質評価を行った。
【0052】
〔被膜の吸水率〕:湿度50%、温度55℃の環境で12時間保持後、同湿度にて温度25℃の環境で12時間保持したときの被膜が形成された物品の重量(a)を測定し、被膜に43℃飽和水蒸気を5分間接触させ、その後、すぐに被膜表面の水膜を払拭後に物品の重量(b)を測定し、[b−a]/[a−(ガラス板の重量)]×100(%)の計算式で得られた値を吸水飽和時の吸水率とした。即ち、吸水率は被膜の重量に対する吸水可能な水分量を重量百分率で表したものである。尚、ここでの(a)値は、被膜が吸水していない状態のものに相当する。
【0053】
〔被膜に吸水された水の脱水速度〕:上記ようにして得られた吸水飽和状態の被膜に関し、湿度50%、温度25℃の環境においたときに上記重量(b)から上記重量(a)までに到達する時間が3分以内のものを水の脱水性に優れる被膜として合格(○)、これを満たさないものを不合格(×)とした。
【0054】
〔被膜の結露抑制効果〕:"JIS S 4030眼鏡用くもり止め剤試験法"に準拠して43℃に設定した温水からの飽和水蒸気中に1分間保持した時の曇り具合と、保持後に常温(23℃、湿度63%)中に取り出したときの呼気による曇り具合を観察する。この操作を1サイクルとして30サイクル行い、膜の外観に異常がなく曇りが発生しないものを合格(〇)、曇りが発生したものを不合格(×)とした。
【0055】
〔被膜の冷凍環境での結露抑制効果〕:−25℃に設定した冷凍庫内に30分保持した後、常温(23℃、湿度63%)中に取り出したときの外観、曇り具合、呼気による曇りを観察する。この操作を1サイクルとして10サイクル行い、膜の外観に異常がなく曇りが発生にしないものを合格(○)、曇りが発生したものを不合格(×)とした。
【0056】
〔耐トラバース磨耗性〕:膜表面に荷重4.9N/4cm2でネル(綿300番)を5000往復させた時の外観と呼気防曇性を測定し、異常なきものを合格(○)、異常があったものを不合格(×)とした。
【0057】
〔鉛筆硬度〕:"JIS K 5600 塗料一般試験方法"に準拠して、鉛筆で膜表面を5回引っ掻き、膜の破れが2回未満であった鉛筆を鉛筆硬度とした。該鉛筆硬度は耐擦傷性の指標とすることができる。
【0058】
〔耐水性〕:40±2℃の水中に24時間浸漬させ、浸漬後に外観に異常がないもの、及び呼気によって曇りが発生しなかったもの、並びに鉛筆硬度の低下が1ランク以内であるものを(〇)、2ランク以上低下するものを不合格(×)とした。
【0059】
〔スリップ性〕:"JIS K 7125 プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法"に準拠して、接触面積40cm2(一辺の長さ6.3cm)の正方形の滑り片を200g荷重で被膜上に乗せ、スリップ性を測定した。尚、滑り片の底面(供試体との接地面)は、実使用での布払拭を想定してネル(綿300番)で覆った。
【0060】
ここで、測定値より導かれた静摩擦係数において、被膜が吸水していない状態で0.8以下、被膜が吸水飽和状態で0.9以下のものを合格(○)、これを満たさないものを不合格(×)とした。
【0061】
尚、試験される被膜が樹脂単独でなる場合、耐トラバース磨耗性、鉛筆硬度、耐水性、及びスリップ性の評価結果は、樹脂の剛直性を評価するものとして代用してもよい。
【0062】
〔被膜への水滴の接触角〕:被膜への水滴の接触角については、“JISR 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」”に準拠して測定した。100mm角に切断した試験片を、湿度50%、温度55℃の環境で12時間保持後、同湿度にて温度25℃の環境で12時間保持することで、被膜が吸水されていない状態の試験片とした。該試験片を協和界面化学製接触角計(CA−2型)に設置し、被膜上に2μlの水を滴下させて、水滴の接触角を測定した。又、同試験片の被膜に43℃飽和水蒸気を5分間接触させ、被膜を吸水飽和状態し、該試験片を前記接触角計に設置し、被膜上に2μlの水を滴下させて、水滴の接触角を測定した。
【0063】
〔被膜の膜厚測定〕:試料作製の際に基材の一部にマスキングフィルム(商品名「SPV−400X」日東電工製)を貼付しておき、被膜が形成された物品を作製した後、マスキングフィルムを剥がす。そして、被膜と基材とで形成される段差部分を高精度微細形状測定器(SUREFCORDER ET 4000A 小坂研究所製)で測定することにより、被膜の膜厚を測定した。
【0064】
実施例1
(被膜を形成するための塗布剤の調製)
イソシアネート基を有するイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネート(商品名「N3200」住友バイエルウレタン製)を塗布剤Aとした。
【0065】
平均分子量1000のポリエチレングリコール、及び平均分子量3000で水酸基価33mgKOH/gのアクリルポリオールを50重量%有する溶液(「デスモフェンA450BA」;住化バイエルウレタン社製)を準備し、ポリエチレングリコールとアクリルポリオールの重量比が「ポリエチレングリコール:アクリルポリオール=60:40」となるように混合し、これを塗布剤Bとした。
【0066】
塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.6倍量となるように、100gの塗布剤Bに対し、33gの塗布剤Aを添加混合し、ウレタン成分総量が35重量%となるように塗布剤A及び塗布剤Bの混合物に希釈溶媒として酢酸イソブチルを添加混合し、被膜を形成するための塗布剤を調製した。
【0067】
(ガラス板表面への被膜の形成)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(LS−3150、信越シリコーン社製)を、90重量%のエタノールと10重量%のイソプロピルアルコールからなる変性アルコール(エキネンF−1、キシダ化学社製)で1重量%となるように溶液を調製した。次に該溶液を吸収したセルロース繊維からなるワイパー(商品名「ベンコット」、型式M−1、50mm×50mm、小津産業製)で、フロート法によって得られた100mm×100mm(3.5mm厚)のガラス板の表面を払拭することで該溶液を塗布し、室温状態にて乾燥後、水道水を用いてワイパーで膜表面を水洗することで、ガラス板を準備した。
【0068】
該ガラス板に上記で得られた被膜を形成するための塗布剤をスピンコートにより塗布し、該被塗布ガラス板を約100℃で約30分間熱処理することにより、膜厚56μmの被膜が形成されたガラス板を得た。
【0069】
上記方法で得られた被膜は、表1に示すように、各種性能が優れたものであることが確認された。
【0070】
【表1】

【0071】
実施例2
実施例1での塗布剤Bの調製での各成分の重量比が「ポリエチレングリコール:アクリルポリオール=50:50」となるように混合し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.8倍量となるように、100gの塗布剤Bへの塗布剤Aの添加混合量を35gとした以外は実施例1と同様の操作を行い膜厚27μmの被膜が形成されたガラス板を得た。
【0072】
上記方法で得られた被膜は、表1に示すように、各種性能が優れたものであることが確認された。
【0073】
実施例3
実施例1での塗布剤Bの調製での各成分の重量比が「ポリエチレングリコール:アクリルポリオール=70:30」となるように混合し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、2.0倍量となるように、100gの塗布剤Bへの塗布剤Aの添加混合量を30gとした以外は実施例1と同様の操作を行い膜厚33μmの被膜が形成されたガラス板を得た。
【0074】
上記方法で得られた被膜は、表1に示すように、各種性能が優れたものであることが確認された。
【0075】
実施例4
実施例1でのウレタン成分総量が35重量%である塗布剤A及び塗布剤Bの混合物にジメチルシロキサンユニットの数が7の両末端ヒドロキシ直鎖状ポリジメチルシロキサン(商品名「DMS−S12」アヅマックス製)をウレタン成分総量に対して1.0重量%添加した以外は実施例1と同様の操作を行い膜厚20μmの被膜が形成されたガラス板を得た。
【0076】
上記方法で得られた被膜は、表1に示すように、各種性能が優れたものであることが確認された。
【0077】
実施例5
ジメチルシロキサンユニットの数が243の両末端ヒドロキシ直鎖状ポリジメチルシロキサン(商品名「DMS−S27」アヅマックス社製)を用いた以外はすべて実施例4と同様の操作を行い膜厚8μmの被膜が形成されたガラス板を得た。
【0078】
上記方法で得られた被膜は、表1に示すように、各種性能が優れたものであることが確認された。
【0079】
実施例6
実施例1での塗布剤Bの調製で、アクリルポリオールの代わりに疎水性を呈するポリオールとして平均分子量1400で水酸基価124mgKOH/gのポリカーボネートポリオールを80重量%有する溶液(商品名「PC−61」日本ポリウレタン社製)を使用し、各成分の混合比を「ポリエチレングリコール:ポリカーボネートポリオール=60:40」となるように混合し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.7倍量となるように、100gの塗布剤Bに対し、73gの塗布剤Aを添加混合量した以外は実施例1と同様の操作で行い、膜厚40μmの被膜が形成されたガラス板を得た。
【0080】
上記方法で得られた被膜は、表1に示すように、各種性能が優れたものであることが確認された。
【0081】
実施例7
実施例1での塗布剤Bの調製で、アクリルポリオールの代わりに疎水性を呈するポリオールとして平均分子量550で水酸基価198mgKOH/gのポリカプロラクトントリオール(商品名「プラクセル308」ダイセル化学工業製)を使用し、各成分の混合比を「ポリエチレングリコール:ポリカプロラクトントリオール=60:40」となるように混合し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.6倍量となるように、100gの塗布剤Bに対し、64gの塗布剤Aを添加混合量した以外は実施例1と同様の操作で行い、膜厚30μmの被膜が形成されたガラス板を得た。
【0082】
上記方法で得られた被膜は、表1に示すように、各種性能が優れたものであることが確認された。
【0083】
比較例1
塗布剤Bにて、ポリエチレングリコールを使用しないでアクリルポリオールのみを使用し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.6倍量となるように、100gの塗布剤Bに対し、18gの塗布剤Aを添加混合量した以外は実施例1と同様の操作で行い、膜厚11μmの被膜が形成されたガラス板を得た。
【0084】
上記方法で得られた被膜は、表1に示すように、表1に示すように、結露抑制効果を全く示さないものであった。
【0085】
比較例2
塗布剤Bにて、アクリルポリオールを使用しないでポリエチレングリコールのみを使用し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.4倍量となるように、100gの塗布剤Bに対し、51gの塗布剤Aを添加混合した以外は、実施例1と同様の操作を行い、膜厚28μmの被膜が形成されたガラス板を得た。
【0086】
上記方法で得られた被膜は、表1に示すように、耐トラバース磨耗性試験において布が膜面に付着し外観不良になると共に、スリップ性が劣っており、膜表面には、べとつき感があった。また、〔被膜に吸水された水の脱水速度〕試験において、水が脱水されるまで、6分間要し吸脱水の応答性の悪い被膜でもあった。
【0087】
比較例3
実施例1での塗布剤Bの調製での各成分の重量比が「ポリエチレングリコール:アクリルポリオール=25:75」となるように混合し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.4倍量となるように、100gの塗布剤Bへの塗布剤Aの添加混合量を20gとした以外は実施例1と同様の操作を行い、膜厚15μmの被膜が形成されたガラス板を得た。
【0088】
上記方法で得られた被膜は、表1に示すように、結露抑制効果が劣るものであった。
【0089】
比較例4
実施例1での塗布剤Bの調製で、アクリルポリオールの代わりに疎水性を呈するポリオールとして平均分子量300で水酸基価305mgKOH/gのポリカプロラクトントリオール(商品名「プラクセル305」ダイセル化学工業製)を使用し、各成分の混合比を「ポリエチレングリコール:ポリカプロラクトントリオール=60:40」となるように混合し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.8倍量となるように、100gの塗布剤Bに対し、73gの塗布剤Aを添加混合量した以外は実施例1と同様の操作で行い、膜厚19μmの被膜が物品を得た。
【0090】
上記方法で得られた物品は、表1に示すように、結露抑制効果が劣るものであり、また、膜が脆く、耐トラバース磨耗性試験において膜が傷つき外観不良となった。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の冷蔵庫又は冷凍庫のガラス窓の一例の要部を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 ガラス窓
2 被膜が形成されたガラス板
3 ガラス板
4 被膜
5 スペーサー
6 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス窓の視界を確保する方法であり、該ガラス窓が複数枚のガラス板が対向してなる多重ガラス構造を有し、且つガラス窓閉時に冷温環境にさらされるガラス板表面に被膜が形成されてなるものとし、該被膜を少なくとも平均分子量400〜5000のポリオキシアルキレン系ポリオール、及び疎水性ポリオールを用いて重合されたウレタン樹脂からなるものとし、該疎水性ポリオールを平均分子量500〜5000のアクリルポリオール、平均分子量500〜5000で水酸基価が10〜200mgKOH/gのポリエステルポリオールから選べる少なくとも一種とすることで、ガラス窓開放時に該被膜が被膜に接した水を吸水し、開放されたガラス窓を閉じた際に被膜が被膜中に吸水された水を放出して、被膜が吸水可能な状態とせしめることを特徴とするガラス窓の視界を確保する方法。
【請求項2】
被膜の吸水率は10〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載のガラス窓の視界を確保する方法。
【請求項3】
ポリオキシアルキレン系ポリオールが、平均分子量が400〜2000のポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガラス窓の視界を確保する方法。
【請求項4】
前記被膜がさらに架橋単位としてジメチルシロキサンユニット(Si(CHO)の数が5〜300である直鎖状ポリジメチルシロキサンを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3にいずれかに記載のガラス窓の視界を確保する方法。
【請求項5】
被膜の膜厚が3〜60μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のガラス窓の視界を確保する方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−242219(P2009−242219A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156485(P2008−156485)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】