説明

コイン精米機

【課題】 一回の精米できる玄米量を制限する形態では、料金分の運転時間が経過して自動停止したときに、少量の玄米が玄米ホッパ内に残留していると、運転再開の操作が行い難く、多量の玄米と、料金を新に供給して精米運転をもう一回行わなければならず、経費と時間を要し、操作が煩雑、面倒である。
【解決手段】 玄米ホッパ3の供給口を開閉する供給蓋22は、この閉鎖位置をロックする蓋ロック機構23を有して、精米運転はこの供給蓋22を閉鎖位置にロックした状態で行い、料金供給による精米運転の完了後は、玄米ホッパ3の残量玄米の検出によってコインメック33に精米料金を供給することにより、前記供給蓋22をロックした状態のままで精米運転を再開可能に構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コイン精米機の運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一回の精米運転で精米できる玄米量を制限することによって白米ホッパのオーバフロー等を防止するコイン精米機の技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2010ー37556(第1頁、図1)。
【特許文献2】特開2003ー181309(第4頁、図4)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイン精米機において、白米ホッパに取出される白米の量がオーバフローしないようにするために、一回の精米できる玄米量を制限する形態では、料金分の運転時間が経過して自動停止したときに、少量の玄米が玄米ホッパ内に残留する場合がある。
【0005】
本発明は、このような残留米を合理的に処理することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、玄米ホッパ(3)に玄米を供給し、コインメック(33)に料金を供給して精米機(6)で料金応分の精米運転を行うコイン精米機において、玄米ホッパ(3)の供給口を開閉する開閉蓋(22)は、この閉鎖位置をロックするロック機構(23)を有して、精米運転はこの開閉蓋(22)を閉鎖位置にロックした状態で行い、料金供給による精米運転の完了後は、玄米ホッパ(3)の残留玄米の検出時、若しくは精米機(6)の前工程にあって玄米を一時貯留する精米ホッパ(27)の残留玄米検出時に、コインメック(33)に料金を追加して供給することにより、開閉蓋(22)をロックした状態のままで精米運転を再開可能とすることを特徴とするコイン精米機の構成とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、運転再開時の制御におけるコインメック(33)への追加料金は、追加可能とする限度額を設定することを特徴とする請求項1記載のコイン精米機とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、精米運転が開始されると玄米ホッパ3の開閉蓋22は蓋ロック機構23のロック作動によって開かないため、追加玄米の供給により精米を無制限に行わせて白米ホッパ7がオーバフローすることを防止できる。
【0009】
しかし、精米運転時間の経過による精米完了後に玄米ホッパ3に玄米が残留するときは、精米料金をコインメック33に追加供給することによって、玄米ホッパ3を開閉蓋22で閉鎖した状態のままで精米運転を行わせることができる。このとき玄米ホッパ3に対して玄米の供給を追加することができないため、当初投入した玄米の量も変わらず、従って、白米ホッパ7がオーバフロー状態となることを防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、精米運転完了後に玄米ホッパ3に残留玄米があるときは、追加料金を投入可能とする限度額を設定することで、利用者が必要以上の金額を投入する損失を防止することができる。又、不必要に長時間にわたって空運転状態に放置されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】コイン精米機の正面図。
【図2】その外観正面図と、左右側面図、及び平面図。
【図3】その平面図。
【図4】その玄米供給室部の側面図。
【図5】その精米室部の側面図。
【図6】精米工程を示すブロック図。
【図7】その精米制御のブロック図。
【図8】その一部制御のフローチャート。
【図9】その選別排出室部の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面に基づいて、箱型の精米筐体1は、内部に石抜機4や、精米機6を主体とする昇降機5や、玄米ホッパ3、白米ホッパ7、除糠用のサイクロン21、及びこれらに付随するコンベアや、各機駆動用のモータ等が配置される。精米筐体1内は、略左右に区切られて、中央部には精米室19を形成し、この左手側には玄米供給室20を、又、右手側には糠室8を形成する。
【0013】
このうち、玄米供給室20の下部には、石抜機4を設置し、この上側に玄米ホッパ3を位置させ、玄米ホッパ3の上方には玄米投入室46を形成し、玄米投入室46の正面側に玄米投入口2を形成する。玄米投入口2から持込みの玄米袋をのぞませて玄米を玄米ホッパ3に供給する。玄米ホッパ3の上面には手で開閉できる玄米開閉蓋22を設け、閉鎖状態をロック機構23によってロック可能の構成としている。
【0014】
玄米ホッパ3には供給された玄米の有無や、又は玄米量等を検出する玄米センサ24や、この玄米ホッパ3から直下の石抜機4へ玄米を流下供給させる玄米供給口25等を設ける。
【0015】
中央部の精米室19部には、精米機6の上方に精米ホッパ27を設けて、昇降機5で揚穀した玄米を収容して精米機6へ供給する。精米ホッパ27には第二玄米センサ27aを設けている。この精米室19の正面側壁部には機外へ開放する精米取出口28を形成して、この精米取出口28の下部に白米ホッパ7を設けて、この白米ホッパ7上に精米機6の精米口29をのぞませて、この精米口29から排出される白米を白米ホッパ7内に受けて収容する。この白米ホッパ7の下端にはホッパ口30を下向きに開口して、このホッパ口30の下側を受けるようにシュート状に形成した白米取出シャッタ31をシャッタ軸周りに回動して、前後水平状の閉鎖位置から、前下り傾斜して開口する開口位置へ切替回動するように構成している。この白米取出シャッタ31は、適宜の深さに形成して、このシャッタ31底面で受けた白米をこの開口部から袋ホルダに吊下げた袋に流下させて収容することができる。
【0016】
中央部の精米室19の白米ホッパ7から上側部には、操作パネル32を形成し、この操作パネル32の外側には、コインメック33や、精米白度を選択指定する白度選択スイッチ34等が配置され、裏側にコントローラ48が設けられている。
【0017】
右手側の糠室8には、精米機6底部のブロワー35で吸引搬送される糠をサイクロン21で分離して、この下側に配置の糠袋36に収容する。この糠袋36は複数袋前後に配置して、サイクロン21から補集された糠をオーガ41で搬送しながら各糠袋36に収容することができ、各糠袋36が一杯になると、正面のドア37を開けて出し入れして袋替作業することができる。
【0018】
次に精米運転の概要について説明する。
玄米ホッパ3に玄米を供給し、コインメック33に精米料金を供給して料金応分の精米運転を行うコイン精米機において、玄米ホッパ3の供給口を開閉する開閉蓋22は、閉鎖位置でロックする蓋ロック機構23を有して、精米運転はこの開閉蓋22を閉鎖位置にロックした状態で行い、料金供給による精米運転の完了後は、玄米センサ24又は第二玄米センサ27aの残量玄米の検出によってコインメック33に精米料金を供給することにより、開閉蓋22をロックした状態のままで精米運転を再開可能とする運転制御装置の構成とする。
【0019】
精米運転の順序について図8に基づいて説明すると、精米するときは、まずコインメック33に精米しようとする玄米量に応じた精米料金(例えば300円)を供給する。すると開閉蓋22の蓋ロック機構23が解除されるため、この開閉蓋22を開いて、玄米ホッパ3に精米しようとする目的量の玄米(例えば20キログラム)を供給する。そして開閉蓋22を閉じるとロック機構23が作動してロックされ、操作パネルの精白度選択スイッチ34を選択可能となる。そして、所望の精白度(例えば上白)を選択することによって精米運転が開始される。
【0020】
玄米ホッパ3の玄米は順次石抜機4に供給され、石抜き処理がなされる。そして、昇降機5を経て精米ホッパ27で一時貯留される。そして、第二玄米センサ27aが玄米有りを検出するとロータリバルブ27bにより精米機6に玄米が供給されて精米運転が開始され、白米ホッパ7に精白米が貯留される。そして、利用者は精米運転が終了すると白米取り出しシャッタ31を操作して精白米を取り出す。
【0021】
運転時間中に玄米センサ24が玄米無しを検出すると終了動作工程に入り、石抜機4の残米処理を行なってから運転終了となる。
この開閉蓋22は、精米料金に応じた精米時間の運転が終っても閉鎖状態にロックされている。この精米料金に応じた精米運転が完了した後は、玄米ホッパ3内に残留玄米があることを玄米センサ24が検出するか、又は第二玄米センサ27aが精米ホッパ27内に玄米有りを検出すると、コインメック33にこの残留玄米量に応じた精米料金を供給したときに、開閉蓋22を閉鎖ロックした状態のままで精米運転を再開する。この追加料金は投入可能料金、すなわち精米運転開始時に投入できる額より低い限度額又は最小単位の投入金額を上限として設定されている(例えば100円)。この限度額以上の料金分については受け付けずに返却する。そして追加精米料金分に応じた精米時間が経過すると、この追加の精米運転が停止する。玄米センサ23又は第二玄米センサによって残留玄米を検出されないときは、精米運転終了と判定し、初期状態に戻る。
【0022】
このように精米運転は、コインメック33に投入された精米料金に応じた運転時間にわたって行われて、この精米運転中はもとより運転時間の経過後も玄米ホッパ3の開閉蓋22は開かないため、玄米の追加供給を行うことはできず、従って、1回の運転で連続して玄米を供給して白米ホッパ7がオーバフローすることを防止できる。そして、精米時間経過により精米運転が完了した後に、玄米ホッパ3内に残留玄米があるときは、これを玄米センサ24又は第二玄米センサ27aで検出すること等によって、この残留量に応じた応分の精米料金をコインメック33に追加供給することによって、開閉蓋22を閉めたままの状態で新たに玄米を追加供給することはなく精米運転を再開することができる。
【0023】
次に石抜機4の詳細構成について説明する。
石抜機4は、小さな揺上突子や、噴気孔等を配置形成した揺動選別盤43を、揺動リンクで架台上に吊り下げて揺動駆動可能に構成する。この揺動選別盤43面は、手前正面側の玄米投入口2の側を上位にし、奥側背面側を下位にする状態に、即ち、手前側上りで奥側下がりの形態に傾斜させて設定したものである。
【0024】
この揺動選別盤43の下側にはブロワー44を設けて、このブロワー44から吹き出す風圧をこの選別盤43の下側面に噴き当てることによって、揺動選別盤43の噴気孔からこの選別盤43面上へ噴風させながら、玄米等の被選別物を浮上させて、これらの揺動選別作用を補助する形態である。
【0025】
この揺動選別盤43の上面に供給される玄米を揺動選別することによって、比重選別作用により石礫類が下層に沈み玄米がこの上層に位置される。そしてこの上層部の玄米がこの揺動選別盤43の傾斜下端部側に形成の玄米選別口部13へ揺動移動されて排出される。比重の大きい石礫や、この石礫を含む一部の玄米等が傾斜上端側の石選別口部17、及び残米排出口部13等の形成される選別排出室51側へ排出される。
【0026】
これら石選別口部17と残米排出口部13は、同じ位置に形成されていて、抵抗板としての石抜シャッタ41を選別盤43面よりも適宜高く突出させることによって、通常の揺動選別時ではこの排出口部17に選別されてくる石礫類は下層に位置させ、玄米やわら屑等をこの上側の上層部に位置させてた状態となる。このような選別状態では上層部の玄米が増加するに伴って、この選別盤43の傾斜方向への玄米流動が行われて玄米選別口部12へ排出されるが、このよう同選別板43の傾斜上端部側下層部に沈積している石礫類はこの石抜シャッタ41によって滞留された状態にある。
【0027】
従って、この石礫を排出するときは、石抜シャッタ41を短時間にわたって開くことによって、この揺動選別盤43の傾斜上端縁部に溜っている石礫を選別排出室51へ取り出すことができる形態である。このときこの石礫層に混入している一部の玄米も一緒に排出される。
【0028】
このような石抜機4の各選別口部13、14、17の下側には、玄米シュート15、残米シュート16、及び石抜シュート18等を配置する。また、このうちの残米シュート16と石抜シュート18との間には切換弁42を設けて、石抜シャッタ41の作動によって、選別残米を排出するときは切換弁42を残米シュート15側へ流下させるように切り換え、また、石礫を排出するときはこの切換弁42を石抜シュート18側へ流下させるように切り換える。
【0029】
揺動選別盤43の手前側端部に、石選別口部17、及び残米排出口部14の外周部を覆うように形成する選別排出室51を設け、この選別排出室51の下部に、切換弁42が横方向の弁軸54の周りに前後に回動可能に設けられて、この排出室51の下方前部に配置の残米シュート16と、下方後部に配置の石抜シュート18とに切換えて流下案内する形態である。
【0030】
揺動選別盤43上端部の石抜シャッタ41や、この切換弁42は、玄米ホッパ3の玄米センサ24による玄米無しの検出によって、コントローラ48からの出力により電磁機構等を介して作動される。揺動選別によってこの選別盤43の上端部に揺り上げられた下層には石礫が沈んで滞溜しているが、石抜シャッタ41が開かれることによって、この滞溜していた石礫がこの石選別口部17から選別排出室51へ排出落下される。このとき切換弁52は、石抜シュート18側へ流下案内するように切替えられていて、排出される石礫を石抜室12の石溜器9内へ流下案内する。このような石抜選別された石礫を排出する排出作用が完了すると、石抜切換弁42が残米シュート16側へ流下案内するように切替えられて、石礫排出後の揺動選別盤43面上を玄米選別口部13側へ選別されないで、この揺動選別盤43面上に残留している玄米を、この選別排出室51へ排出させて、切替弁52の切替によって、この排出室51の残米排出口部14から残米シュート16を流下させて昇降機5の残米口47へ供給させる。
【0031】
残米排出口部14の下側には、残米シュート16の入口部に磁石52を設けて、この残米シュート16へ流下される残米に混入する金属異物を、この磁石52に吸着して除去するものである。この磁石52や、切換弁42等を設ける排出室51の手前外側部には、前カバー53を着脱して、これら磁石52や、切換弁42の状況を簡単に点検することができる。
【0032】
石抜機4の玄米シュート16に排出される玄米は、この石抜室12の奥側から右隣に配置の昇降機5の玄米口45に流入されて、この昇降機5を経て精米室19の精米ホッパ27へ揚穀供給される。又、石抜機4の直下には、石抜室12を適宜の高さに形成して、手前側の引出口10を上方に位置する玄米投入口2の下方に形成して、この引出口10を開閉する扉11を設けている。この石抜室12内に前後方向へ摺動自在の石溜器9を設けて、石抜シュート18から落下案内される石礫類を受けて収容する。この石溜器9を引出口10から手前外側へ引出して石礫の排出処理を行うことができる。
【0033】
又、残米排出口部14から残米シュート16を経て流下される玄米は、昇降機5下端部の手前側に形成の玄米口47にのぞませて設け、この昇降機5へ流入されて精米機6へ搬送されて精米される形態である。又、昇降機5は、左側の玄米供給室20と中央部の精米室19との間の仕切部に位置して構成されて、この玄米供給室20側の石抜機4から取り出された玄米を受けて揚穀しながら精米室19側の精米機6へ最短距離で搬送供給する。
【0034】
石抜機4で石抜選別されて、精米機6で精米された精米は、除糠作用を受けて白米として精米口29から白米取出シャッタ31の閉鎖された白米ホッパ7に流下収容される。この精米運転が、供給された精米料金に応じた時間にわたって行われて、この運転時間が経過すると、石抜機4や、精米機6、及び昇降機5等各部装置を自動停止する。
【0035】
精米運転が行われた後に白米ホッパ7に取出された白米を、このホッパくち30にのぞませた袋に収容するために、この白米ホッパ7の白米取出シャッタ31を開操作する。この白米取出シャッタ31を水平状に回動させてホッパ口30の下端縁を閉鎖するときは、この白米ホッパ4のホッパ口30がこの白米取出シャッタ31のシャッタ底面によって閉鎖されて、白米の流出袋詰供給を行うことができない。
【符号の説明】
【0036】
1 箱体
2 玄米投入口
3 玄米ホッパ
4 石抜機
5 昇降機
6 精米機
7 白米ホッパ
8 糠室
9 石溜器
10 引出口
11 扉
12 石抜室
13 玄米選口部
14 残米派出口部
15 玄米シュート
16 残米シュート
17 石抜選別口部
18 石抜シュート
19 精米室
20 玄米供給室
24 玄米センサ
43 揺動選別盤
45 玄米口
47 残米口
49 台枠
50 据付穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米ホッパ(3)に玄米を供給し、コインメック(33)に料金を供給して精米機(6)で料金応分の精米運転を行うコイン精米機において、前記玄米ホッパ(3)の供給口を開閉する開閉蓋(22)は、この閉鎖位置をロックするロック機構(23)を有して、精米運転はこの開閉蓋(22)を閉鎖位置にロックした状態で行い、料金供給による精米運転の完了後は、玄米ホッパ(3)の残留玄米の検出時、若しくは精米機(6)の前工程にあって玄米を一時貯留する精米ホッパ(27)の残留玄米検出時に、コインメック(33)に料金を追加して供給することにより、開閉蓋(22)をロックした状態のままで精米運転を再開可能とすることを特徴とするコイン精米機。
【請求項2】
運転再開時の制御におけるコインメック(33)への追加料金は、追加可能とする限度額を設定することを特徴とする請求項1記載のコイン精米機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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