説明

コンタクトプローブユニット及びその製造方法

【課題】コンタクトプローブを容易に装着でき、装着時のトラブルを極力低減できる構造のコンタクトプローブユニットを提供する。
【解決手段】金属導体2及び胴体部Aの外径が異なる一組のコンタクトプローブ1a,1bと、それぞれをガイドするためのガイド穴が異なる径で設けられた少なくとも2枚のガイドプレート20,30とを備えたプローブユニット10であって、一方のガイドプレート30に設けられたガイド穴31a,31bは、外径の異なるコンタクトプローブ1a,1bそれぞれの胴体部Aを通過させてガイドするものであり、他方のガイドプレート20に設けられたガイド穴21a,21bは、外径の異なるコンタクトプローブ1a,1bそれぞれの先端の金属導体2のみを通過させてガイドするものであるとともに、小さい径で形成されたガイド穴21bは、大きい外径からなるコンタクトプローブ1bの金属導体2を通過させない大きさで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に電子部品や基板などの導通検査に用いる検査用のコンタクトプローブユニット及びその製造方法に関する。更に詳しくは、コンタクトプローブユニットに装着されたコンタクトプローブの先端を被測定体に接触させて電気特性を測定する方式の検査ユニットにおいて、コンタクトプローブを容易に装着でき、装着時のトラブルを極力低減できる構造を有するコンタクトプローブユニット、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等に使用される高密度実装基板、又は、パソコン等に組み込まれるBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)等のICパッケージ基板等、様々な回路基板が多く用いられている。このような回路基板は、実装の前後の工程において、例えば直流抵抗値の測定や導通検査等が行われ、その電気特性の良否が検査されている。電気特性の良否の検査は、電気特性を測定する検査装置に接続された検査装置用治具(以下、「コンタクトプローブユニット」という。)を用いて行われ、例えば、コンタクトプローブユニットに装着されたピン形状のプローブ(本願では「コンタクトプローブ」という。)の先端を、その回路基板の電極(以下「被測定体」ともいう。)に接触させることにより行われている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
図4は、従来のコンタクトプローブユニットの例を示す概略図である。図4に示すコンタクトプローブユニット110は、複数本から数千本のコンタクトプローブ101a,101bと、コンタクトプローブ101a,101bのリード線150側を案内するガイド穴131(131a,131b)付きガイドプレート130(130a,130b)と、コンタクトプローブ101a,101bの端部102aがプリント基板112に形成された電極(被測定体)111に接するようにコンタクトプローブ101a,101bの電極側を案内するガイド穴121(121a,121b)付きガイドプレート120と、を少なくとも備えている。使用されるコンタクトプローブ101a,101bは、ばね性を有した直線状の金属導体102が絶縁被膜103で被覆された胴体部と、その絶縁被膜103が剥離処理されて金属導体102が露出した両端部とで構成されている。コンタクトプローブ101a,101bの両端については、プリント基板112上の電極111に接触する端部102aと、検査装置側のリード線150に接触する端部102bとで構成されている。
【0004】
電気特性の検査は、コンタクトプローブユニット110とプリント基板112上の電極111とを相対的に上下させ、ばね性のコンタクトプローブ101a,101bがたわむことによる弾性力を利用して電極111に所定の圧力で押し当てることにより行われる。このとき、コンタクトプローブ101a,101bは電極111に押し当てられた力によってたわみ、その端部102bはリード線150に強く接触し、電極111からの電気信号がそのリード線150を通って検査装置(図示しない。)に送られる。なお、図4中、符号130のガイドプレートは2枚のガイドプレート130a,130bで構成され、符号120のガイドプレートは1枚で構成され、符号140はリード線を保持する保持板を示している。
【0005】
このコンタクトプローブユニット110においては、ガイドプレート130に設けられたガイド穴131は、コンタクトプローブ101a,101bの胴体部の直径よりも大きく形成され、一方、ガイドプレート120に設けられたガイド穴121は、コンタクトプローブ101a,101bの胴体部の直径よりも小さい直径で形成され且つ金属導体102の直径よりも大きい直径で形成されている。したがって、コンタクトプローブユニット110へのコンタクトプローブ101a,101bのセッティングは、ガイドプレート130に設けられたガイド穴131(131a,131b)にコンタクトプローブ101a,101bを挿入することにより行われ、その後その先端側にある絶縁被膜103の端面103aがガイドプレート120のガイド穴121(121a,121b)の縁に引っかかることにより、コンタクトプローブ101a,101bを保持し、落下を防いでいる。
【0006】
ところで、プリント基板に作製した配線の導通を正確に検査する場合には、4端子法測定を行うことが好ましく、特に多層配線基板のように配線形態が複雑なものは、4端子法測定による正確な測定が要求される。そうした4端子法測定をコンタクトプローブ101a,101bで行おうとすると、図4に例示するように、半田バンプ等の電極111に2本一組のコンタクトプローブ101a,101bを同時に接触させなければならず、そのためには、2本のコンタクトプローブ101a,101bの間隔を短くする必要がある。こうしたコンタクトプローブユニット110では、上下に配置されたガイドプレート130,120がそれぞれ有する各ガイド穴131,121間のブリッジ132,122の長さ(幅のこと。)を短くすれば、2本のコンタクトプローブ101a,101bの間隔を短くすることができる。
【特許文献1】特開2002−131334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、各ガイド穴131,121間のブリッジ132,122の長さを短くした場合、次のような問題が生じる。
【0008】
すなわち、コンタクトプローブ101a,101bをコンタクトプローブユニット110に装着する場合には、先ず、1本目のコンタクトプローブ101aを上方に配置されたガイドプレート130aのガイド穴131aに挿入し、引き続きもう一つのガイドプレート130bのガイド穴131aに挿入する。こうして、1本目のコンタクトプローブ101aを、下方に配置されたガイドプレート120のガイド穴121aに向かうようにする。しかし、上記のように、2つのガイド穴121a,121b間のブリッジ122の長さが短くなっているので、コンタクトプローブ101aを下方のガイド穴121aに挿入しようとすると、コンタクトプローブ101aの端部102aが、挿入しようとするガイド穴121aの隣のガイド穴121bに入ってしまう。こうした現象が生じると、次にガイド穴131bに挿入した2本目のコンタクトプローブ101bは、入るべきガイド穴121bに入れることができず、また、1本目のコンタクトプローブ101aが邪魔をして空いているガイド穴121aにも挿入することもできない。
【0009】
こうした不具合は、コンタクトプローブユニット110の製造を極めて煩雑かつ不効率にする。特に、コンタクトプローブ101a,101bが僅かでも曲がっている場合には、そうした誤挿入が生じる可能性が高い。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コンタクトプローブユニットに装着されたコンタクトプローブの先端を被測定体に接触させて電気特性を測定する方式の検査ユニットにおいて、コンタクトプローブを容易に装着でき、装着時のトラブルを極力低減できる構造を有するコンタクトプローブユニットを提供することにある。また、本発明の他の目的は、そうしたコンタクトプローブユニットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明のコンタクトプローブユニットは、ピン形状の金属導体の外周に絶縁被膜を有する胴体部と、前記金属導体の両端に絶縁被膜を有しない端部とを有し、当該金属導体及び当該胴体部の外径が異なる一組のコンタクトプローブと、前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれをガイドするためのガイド穴が異なる径で設けられた少なくとも2枚のガイドプレートと、を少なくとも備え、前記ガイドプレートのガイド穴に挿入された前記コンタクトプローブそれぞれの先端を被測定体に接触させて電気特性を測定する方式のコンタクトプローブユニットであって、
前記少なくとも2枚のガイドプレートは一定の距離をもって固定され、当該ガイドプレートのうち、一方のガイドプレートに設けられたガイド穴は、前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれの胴体部を通過させてガイドするものであり、他方のガイドプレートに設けられたガイド穴は、前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれの先端で露出する金属導体のみを通過させてガイドするものであるとともに、小さい径で形成されたガイド穴は、前記大きい外径からなるコンタクトプローブの金属導体を通過させない大きさで形成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、金属導体のみを通過させるガイド穴が形成されたガイドプレートにおいて、小さい径で形成されたガイド穴は、大きい外径からなるコンタクトプローブの金属導体を通過させない大きさで形成されているので、そのガイド穴には大きい外径からなるコンタクトプローブの金属導体が入らない。その結果、大きい外径からなるコンタクトプローブを少なくとも2枚のガイドプレートに挿入した後に小さい外径からなるコンタクトプローブを少なくとも2枚のガイドプレートに挿入する手順でコンタクトプローブを装着すれば、最初に挿入した大きい外径からなるコンタクトプローブ先端の金属導体は、誤ったガイド穴に入り込むことがなく、挿入しようとするガイド穴に確実に挿入することができるので、従来のような問題、すなわち、2本目のコンタクトプローブを入るべきガイド穴に入れることができず、空いているガイド穴にも挿入することができないという問題が生じない。したがって、この発明によれば、上記の構造形態を有するので、コンタクトプローブユニットの製造を極めて効率的に行うことができ、さらに、コンタクトプローブが僅か曲がっていたとしても、誤挿入が生じる可能性はない。
【0013】
本発明のコンタクトプローブユニットの好ましい態様として、前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれをガイドするガイド穴間のブリッジ長さが、15μm以上100μm以下の範囲であり、前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれをガイドするガイド穴の穴径の差が、13μm以上50μm以下の範囲であるように構成する。
【0014】
この発明によれば、ガイド穴間のブリッジ長さと両ガイド穴の穴径の差が上記範囲内であるように構成すれば、誤ったガイド穴にコンタクトプローブが入らないようにすることができる。
【0015】
本発明のコンタクトプローブユニットの好ましい態様として、前記被測定体に接触する側のコンタクトプローブ先端の形状が、平坦形状又は略半球形状であるように構成する。
【0016】
この発明によれば、コンタクトプローブ先端の形状を平坦形状又は略半球形状とすれは、コンタクトプローブの先端が誤ったガイド穴に臨んだ場合であっても、その誤ったガイド穴に嵌ることがないので特に好ましい。
【0017】
上記課題を解決するための本発明のコンタクトプローブユニットの製造方法は、ピン形状の金属導体の外周に絶縁被膜を有する胴体部と前記金属導体の両端に絶縁被膜を有しない端部とを有し、当該金属導体及び当該胴体部の外径が異なる一組のコンタクトプローブと、前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれをガイドするためのガイド穴が異なる穴径で設けられた少なくとも2枚のガイドプレートとを少なくとも備え、前記ガイドプレートのガイド穴に挿入された前記コンタクトプローブそれぞれの先端を被測定体に接触させて電気特性を測定する方式のコンタクトプローブユニットの製造方法であって、
前記外径が異なるコンタクトプローブそれぞれをガイド穴に挿入する工程において、前記ガイド穴を有するガイドプレートを、上方に少なくとも1枚配置するとともに下方に少なくとも1枚配置し、次いで、前記外径が太い方のコンタクトプローブを、上方の少なくとも1枚のガイドプレートに設けられた大きい径のガイド穴に挿入した後、下方の少なくとも1枚のガイドプレートに設けられた大きい径のガイド穴に挿入し、次いで、前記外径が細い方のコンタクトプローブを、上方の少なくとも1枚のガイドプレートに設けられた小さい径のガイド穴に挿入した後、下方の少なくとも1枚のガイドプレートに設けられて前記外径が太い方のコンタクトプローブの金属導体を通過させない小さい径のガイド穴に挿入する、ことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、下方の少なくとも1枚のガイドプレートには、外径が太い方のコンタクトプローブの金属導体を通過させない小さい径のガイド穴が設けられているので、外径が太い方のコンタクトプローブを、上下のガイドプレートに設けられた所定のガイド穴に挿入することができる。その結果、その後にガイド穴に挿入する外径の細いコンタクトプローブも、上下のガイドプレートに設けられた所定のガイド穴に挿入することができる。こうした本発明によれば、異なる外径のコンタクトプローブを誤ることなく所定のガイド穴に挿入することができるので、コンタクトプローブユニットの製造を極めて効率的に行うことができ、さらに、コンタクトプローブが僅か曲がっていたとしても、誤挿入が生じる可能性はない。
【0019】
本発明のコンタクトプローブユニットの製造方法の好ましい態様として、前記外径が太い方のコンタクトプローブを下方に配置されたガイドプレートのガイド穴に挿入するとき、当該ガイドプレートに振動を与えるように構成する。
【0020】
この発明によれば、ガイドプレートに振動を与えた状態で、外径が太い方のコンタクトプローブを下方に配置されたガイドプレートのガイド穴に挿入すれば、コンタクトプローブの先端が誤ったガイド穴に臨んだ場合であっても、その先端は振動によってガイドプレート上を移動して所定のガイド穴に入ることができる。その結果、コンタクトプローブが僅か曲がっていて所定のガイド穴にすぐに入らないような場合であっても、振動により所定のガイド穴に容易に入れることができるので、コンタクトプローブユニットの製造を極めて効率的に行うことができる。
【0021】
本発明のコンタクトプローブユニットの製造方法の好ましい態様として、前記被測定体に接触する側のコンタクトプローブ先端の形状が、平坦形状又は略半球形状であるように構成する。
【0022】
この発明によれば、上記同様、コンタクトプローブの先端が誤ったガイド穴に臨んだ場合であっても、その誤ったガイド穴に嵌ることがない。
【発明の効果】
【0023】
本発明のコンタクトプローブユニットによれば、小さい径で形成されたガイド穴には大きい外径からなるコンタクトプローブの金属導体が入らないように構成されているので、大きい外径からなるコンタクトプローブを少なくとも2枚のガイドプレートに挿入した後に小さい外径からなるコンタクトプローブを少なくとも2枚のガイドプレートに挿入する手順でコンタクトプローブを装着すれば、最初に挿入した大きい外径からなるコンタクトプローブ先端の金属導体は、誤ったガイド穴に入り込むとがなく、挿入しようとするガイド穴に確実に挿入することができる。その結果、従来のような問題、すなわち、2本目のコンタクトプローブを入るべきガイド穴に入れることができず、空いているガイド穴にも挿入することができないという問題が生じない。よって、この発明によれば、僅か曲がったコンタクトプローブを用いた場合であっても、コンタクトプローブユニットの製造を、誤挿入なく極めて効率的に行うことができる。
【0024】
本発明のコンタクトプローブユニットの製造方法によれば、外径が太い方のコンタクトプローブを、上下のガイドプレートに設けられた所定のガイド穴に挿入することができるので、その後にガイド穴に挿入する外径の細いコンタクトプローブも、上下のガイドプレートに設けられた所定のガイド穴に挿入することができる。その結果、コンタクトプローブユニットの製造を、誤挿入なく極めて効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明のコンタクトプローブユニット及びその製造方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0026】
[コンタクトプローブユニット]
図1は、本発明のコンタクトプローブユニットの一例を示す構成図である。また、図2は、ガイドプレートに形成されたガイド穴の一例を示す平面図(A)とA−A´断面図(B)である。また、図3は、本発明のコンタクトプローブユニットに装着されるコンタクトプローブの先端形状の好ましい例を示す断面図である。
【0027】
本発明のコンタクトプローブユニット(以下、「プローブユニット10」と略す。)は、図1に示すように、金属導体2及び胴体部Aの外径が異なる一組のコンタクトプローブ(以下、「プローブ1a,1b」と略す。)と、ガイド穴21,31(21a,21b,31a,31b)が異なる径で設けられた少なくとも2枚のガイドプレート20,30とを少なくとも備え、そのガイドプレート20,30のガイド穴21,31に挿入されたプローブ1a,1bそれぞれの先端2aを被測定体11に接触させて電気特性を測定する方式のプローブユニットである。
【0028】
そして、本発明のプローブユニット10は、上記少なくとも2枚のガイドプレート20,30が一定の距離をもって固定されており、そのガイドプレート20,30のうち、一方(図1においては上側又はリード線側ともいう。)のガイドプレート30(30a,30b)に設けられたガイド穴31a,31bは、前記外径の異なるコンタクトプローブ1a,1bそれぞれの胴体部Aを通過させてガイドするものであり、他方(図1においては下側又は被測定体側ともいう。)のガイドプレート20に設けられたガイド穴21a,21bは、前記外径の異なるコンタクトプローブ1a,1bそれぞれの先端部Bで露出する金属導体2のみを通過させてガイドするものであるとともに、小さい径で形成されたガイド穴は21b、大きい外径からなるコンタクトプローブ1aの金属導体2を通過させない大きさで形成されている。以下、本発明の構成について詳しく説明する。
【0029】
(コンタクトプローブ)
プローブ1は、図1に示すように、ピン形状の金属導体2の外周に絶縁被膜3を有する胴体部Aと、金属導体2の両端に絶縁被膜3を有しない端部Bとを有し、その金属導体2及び胴体部Aの外径が異なる一組のプローブである。そして、このプローブ1の両端に加重を与えてたわませることにより、被測定体11に対する接触圧力を得て電気特性を測定することができる。なお、図1において、金属導体2の下側の端部2aは、プリント基板12に形成された電極11に接触する端部であり、金属導体2の上側の端部2bは、検査装置側に配置されて検査装置(図示しない)のリード線50に接触する端部である。なお、絶縁被膜3の剥離端面3aは、下側端部2a側の絶縁被膜3の加工端面であり、図1の下側に配置されたガイドプレート20のガイド穴21a,21bに当たってプローブ1a,1bがそのガイド穴21a,21bから抜け落ちないように保持するように作用する。
【0030】
金属導体2としては、高い導電性と高い弾性率を有する金属線(「金属ばね線」ともいう。)が用いられる。金属導体2に用いられる金属としては、広い弾性域を持つ金属を挙げることができ、例えばベリリウム銅等の銅合金、タングステン、レニウムタングステン、鋼(例えば高速度鋼:SKH)等を好ましく用いることができる。こうした金属導体2は、通常、上記の金属が所定の径の線状導体となるまで冷間又は熱間伸線等の塑性加工を施して得ることができる。
【0031】
本発明においては、金属導体2及び胴体部Aの外径が異なる2本一組のプローブ1a,1bを有するので、その一組のプローブ1を構成する各金属導体2としては、太い外径の金属導体と細い外径の金属導体が用いられる。一組のプローブ1a,1bは被測定体である電極11に同時に接触することから、各金属導体2の外径は電極11の大きさを考慮して選択され、通常、20μm以上400μm以下、好ましくは25μm以上200μm以下、特に好ましくは25μm以上100μm以下の範囲内から選択することができる。こうした範囲内で異なる外径からなる2本の金属導体2は、後述する下側ガイドプレート20に設けられた径の異なるガイド穴21a,21bに、所定のクリアランスを持って入れることができるように調整されるとともに、太い方の金属導体2は径の小さいガイド穴21bに入らない太さになるように調整される。
【0032】
より具体的には、下側ガイドプレート20に設けられたガイド穴21a,21bの径と、それぞれのガイド穴に入る金属導体2の外径とのクリアランスについては特に制限されないが、通常10μm前後、例えば8μm〜15μm程度の範囲で設定される。なお、このクリアランスの範囲は、径の絶対値が小さいほど小さい値になることは言うまでもないが、その値が小さすぎると挿入がきつくなり、その値が大きすぎるとガタツキが生じ易いので、径の絶対値によって上記範囲内で最適値を設定することが好ましい。
【0033】
こうしたクリアランスを考慮するとともに、ガイド穴21a,21bの加工に例えば±3μm程度の加工誤差が生じ得ることを考慮すれば、太い方の金属導体2が小さいガイド穴21bに入らないようにするためには、2本の金属導体2の外径の差は、通常13μm以上であり、好ましくは15μm以上である。なお、その外径の差の上限は特に限定されないが、あまりに差が大きすぎると、被測定体である電極11に対する接触圧力が各金属導体2で大きく異なってしまうという難点があるため、上限としては例えば50μm程度が好ましい。
【0034】
金属導体2の電極11側の端部2aの形状としては、平坦形状、略半球形状、円錐形状、釣鐘形状、台形形状等、種々の形態を挙げることができるが、図3に示すように、平坦形状又は略半球形状の端面であることが好ましい。こうした平坦形状又は略半球形状の端面を有する金属導体2は、他の円錐形状、釣鐘形状、台形形状の端面を有する金属導体のように先端がガイド穴21a,21bに入り込んで抜け難くなるようなことが少なく、その先端が誤ったガイド穴に臨んだ場合であっても、その誤ったガイド穴に嵌ることがないので特に好ましい。こうした端面は、例えばエメリー紙を用いた研削加工や、ダイヤモンドホイールを用いた研削加工等工によって形成される。なお、ここでいう略半球形状とは、正確な半球や略半球を含むとともに、いわゆるアール端面(所定の曲率半径で形成された端面のこと。)を含む。そのアール端面については、金属導体2の半径以上のアールで先端形状が加工されていればよく、そのアールが大きくなれば平坦形状に近づくので、金属導体2の先端形状は、金属導体2の半径以上から平坦形状までであることが好ましい。
【0035】
また、プローブ1a,1bがガイドプレート20,30のガイド穴21a,21b,31a,31bに引っかかることなく挿入し易くするという観点からは、金属導体2の真直度が高いことが好ましく、具体的には真直度が曲率半径Rで1000mm以上であることが好ましい。真直度の高い金属導体2は、絶縁被膜3が設けられる前に予め直線矯正処理しておくか、後述のように絶縁被膜3が設けられた長尺の金属導体2を直線矯正処理することにより得ることができる。ここでの直線矯正処理は、例えば回転ダイス式直線矯正装置等によって行われる。
【0036】
また、プローブ1a,1bの両端から露出した金属導体2には、その金属導体2と、電極11ないしリード線50との接触抵抗の上昇を抑制するために、めっき層が設けられていてもよい。めっき層を形成する金属としては、ニッケル、金、ロジウム等の金属や金合金等の合金を挙げることができる。めっき層は、単層であってもよいし複層であってもよい。複層のめっき層としては、ニッケルめっき層上に金めっき層が形成されたものを好ましく挙げることができる。また、めっき層は、露出した金属導体2のみに設けられていてもよいし、絶縁被膜3の下を含む金属導体2の全体に形成されていてもよい。
【0037】
絶縁被膜3は、上記の金属導体2上に設けられて、被測定体11の電気特性を検査する際のプローブ同士の接触を防いで短絡を防止するように作用する。この絶縁被膜3は、金属導体2上、すなわち金属導体2の外周上に長手方向に亘って設けられていればよく、直接設けられていてもよいし、他の層を介して設けられていてもよい。
【0038】
絶縁被膜3は、絶縁性を有する被膜であれば特に限定されないが、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂から選ばれるいずれか1種又は2種以上であることが好ましい。なお、通常は1種の樹脂により形成される。これらの樹脂からなる絶縁被膜は耐熱性が異なるので、検査の際に発生する熱を考慮して任意に選択することができる。例えば、より耐熱性が要求される場合には、絶縁被膜3がポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等で形成されることが好ましい。
【0039】
絶縁被膜3の厚さは、(1)電気絶縁性を確保できる程度の厚さであること、及び、(2)電極11側の端面3aが下側ガイドプレート20のガイド穴21a,21bに当接してプローブ1a,1bがガイド穴21a,21bを通過して落下しない厚さであること、等を条件として設定される。なお、後述の連続塗布法で絶縁被膜3を形成する場合には、金属導体2の直径とも関係する。そうした厚さとしては、例えば5μm以上30μm以下の範囲内で適宜設定され、一例として金属導体2の直径が40μm〜100μmの範囲にある場合、その厚さは5μm〜20μmの範囲であることが好ましい。
【0040】
こうした絶縁被膜3が形成されたコンタクトプローブ1a,1bの胴体部Aは、上記直径の金属導体2の外周に上記厚さの絶縁被膜3を形成した後の外径となるが、特にプリント基板の電極11を被測定体として測定する場合には、その外径が40μm以上140μm以下であることが好ましい。
【0041】
絶縁被膜3の形成手段は特に限定されないが、連続塗布法により焼付けエナメル被膜として形成されることが好ましい。焼付けエナメル被膜は、塗料の塗布と焼付けの繰り返しによる連続工程で形成されるので、生産性がよく、金属導体2との間の密着性が高く且つ被膜強度をより高いものとすることができる。
【0042】
こうしたコンタクトプローブ1a,1bは、所定の直径に加工した長尺の金属導体2上に、連続焼付法等によって絶縁被膜3を形成した後、所定の長さに切断し、その後、両端の絶縁被膜3を剥離処理して得ることができる。両端の剥離処理としては、レーザー照射による剥離処理やストリッパー等を用いた機械的な剥離処理を挙げることができるが、金属導体2へのダメージが少なく、且つ剥離端面がガイド穴21a,21bに引っ掛かり易いように「立てる」ことができるという観点から、エキシマレーザー照射による絶縁被膜3の剥離が好ましい。その後、両端を上記端面形状に研削加工することにより、本発明を構成するコンタクトプローブ1a,1bを作製する。なお、研削加工は、切断工程と剥離工程との間で行ってもよい。また、絶縁被膜3の除去は、両端を研削加工する前に行ってもよいし後に行ってもよい。また、絶縁被膜3の除去を端面の研削加工後に行う場合には、その絶縁被膜3の除去はめっき工程の前に行ってもよいし後に行ってもよい。
【0043】
こうしたコンタクトプローブ1a,1bの長さは特に限定されないが、通常、10mm〜40mmの範囲である。また、コンタクトプローブ1a,1bの端部2a,2bで露出する金属導体2の長さとして、電極11側(下側)の長さは、例えば1mm〜4mm程度であることが好ましく、リード線側(上側)の長さは、例えば0.05mm〜2mm程度であることが好ましい。特に電極11側(下側)は、下側に配置されたガイドプレート20を貫通し、さらに電極11に接触する長さである必要がある。
【0044】
(ガイドプレート)
次に、ガイドプレート20,30について説明する。ガイドプレート20,30は、図1に示すように、少なくとも2枚のプレートで構成され、それぞれのガイドプレート20,30には、外径の異なるプローブ1a,1bそれぞれをガイドするためのガイド穴21,31(21a,21b,31a,31b)が設けられている。そして、そのガイド穴21,31(21a,21b,31a,31b)は、異なる径(R,R)で設けられている。
【0045】
ガイドプレート20,30は、リード線側(上側)に1枚配置され、電極11側(下側)に1枚配置された計2枚からなるものであってもよいし、例えば図1に示すように、リード線側(上側)に2枚配置され、電極11側(下側)に1枚配置された、計3枚からなるものであってもよいし、さらにそれより多くてもよい。各ガイドプレート20,30は、それぞれ一定の距離をもって固定されている。なお、「一定の距離」とは、例えば図1に示す3枚のガイドプレートの間隔が均等であることではなく、3枚のガイドプレート同士が平行になっていることを意味するものである。平行になっているガイドプレート20,30の間隔としては、例えば図1に示す上側のガイドプレート30a,30b間の距離の一例としては、2mm程度を例示できる。また、図1に示す上側のガイドプレート30bと、下側ガイドプレート20との間の距離は、コンタクトプローブ1a,1bの長さに関係するが、例えばコンタクトプローブ1a,1bの長さが後述の実施例のように20mmである場合には、15mm程度を例示できる。
【0046】
リード線側(上側)に設けられたガイドプレート30は、電極11側(下側)に設けられたガイドプレート20と協働してコンタクトプローブ1a,1bを所定の電極11に接触するように導くものであり、1枚でも2枚以上であってもよいが、図1に示すように、2枚のものが好ましく、2枚のガイドプレート30a,30bを例えば2mmの間隔で配置することが好ましい。
【0047】
各ガイドプレート30a,30bには、異なる径(R,R)のガイド穴31a,31bが設けられており、各ガイド穴31a,31bには、そのガイド穴31a,31bに対応した外径からなるコンタクトプローブ1a,1bが挿入される。すなわち、そのガイド穴31a,31bは、コンタクトプローブ1a,1bが挿入されるものであるので、ガイド穴31a,31bの径(R,R)は、コンタクトプローブ1a,1bの胴体部Aの直径よりも大きい。詳しくは、そのガイド穴31a,31bは、コンタクトプローブ1a,1bの外径に所定のクリアランスを加えた径で形成されている。そのクリアランスとは、コンタクトプローブ1a,1bの欄で説明したように、通常10μm前後、例えば8μm〜15μm程度の範囲で設定される。
【0048】
ガイド穴31a,31bのうち、大きい径(R)のガイド穴31aは、太い径のコンタクトプローブ1aを通過させるものであり、一方、小さい径(R)のガイド穴31bは、細い径のコンタクトプローブ1bを通過させるものである。したがって、各ガイド穴31a,31bの径(R,R)は、コンタクトプローブ1a,1bの外径に上記クリアランスを加えた直径で形成され、例えば、50μm以上150μm以下の範囲で形成されている。なお、上記のように、太い方の金属導体2と細い方の金属導体2の外径は、通常、20μm以上400μm以下、好ましくは25μm以上200μm以下、特に好ましくは25μm以上100μm以下の範囲内から選択され、且つ、その外径の差は、通常13μm以上であり、好ましくは15μm以上であるので、2つのガイド穴31a,31bの直径(R,R)は、この金属導体2に絶縁被膜厚を加えた胴体部Aの外径に前記クリアランスを加えた値となり、また、2つのガイド穴31a,31bの直径の差(R−R)も、通常13μm以上であり、好ましくは15μm以上である。ガイド穴間のブリッジ長さWと両ガイド穴31a,31bの穴径の差(R−R)が上記範囲内であるように構成すれば、誤ったガイド穴にコンタクトプローブ1a,1bが入らないようにすることができる。
【0049】
一方、電極側(下側)に設けられたガイドプレート20も、上記同様、リード線側(上側)に設けられたガイドプレート30と協働してコンタクトプローブ1a,1bを所定の電極11に接触するように導くものであり、1枚でも2枚以上であってもよいが、図1に示すように、1枚のものが好ましい。
【0050】
そのガイドプレート20には、異なる径(R,R)のガイド穴21a,21bが設けられており、各ガイド穴21a,21bには、そのガイド穴21a,21bに対応した外径からなるコンタクトプローブ1a,1bが挿入される。すなわち、そのガイド穴21a,21bは、金属導体2のみが挿入されるものであるので、ガイド穴21a,21bの径(R,R)は、コンタクトプローブ1a,1bの端部Bの直径よりも大きい。詳しくは、そのガイド穴21a,21bは、コンタクトプローブ1a,1bを構成する金属導体2の外径に所定のクリアランスを加えた径で形成されている。そのクリアランスとは、コンタクトプローブ1a,1bの欄で説明したように、通常10μm前後、例えば8μm〜15μm程度の範囲で設定される。
【0051】
ガイド穴21a,21bのうち、大きい径(R)のガイド穴21aは、太い径の金属導体2を通過させるものであり、一方、小さい径(R)のガイド穴21bは、太い径の金属導体2は通過できず、細い径の金属導体2のみを通過させるものである。したがって、各ガイド穴21a,21bの径(R,R)は、外径の異なるそれぞれの金属導体2の外径に上記クリアランスを加えた直径で形成され、例えば、40μm以上120μm以下の範囲で形成されている。なお、上記のように、太い方の金属導体2と細い方の金属導体2の外径は、通常、20μm以上400μm以下、好ましくは25μm以上200μm以下、特に好ましくは25μm以上100μm以下の範囲内から選択され、且つ、その外径の差は、通常13μm以上であり、好ましくは15μm以上であるので、2つのガイド穴21a,21bの直径は、この金属導体2の外径に前記クリアランスを加えた値となり、また、2つのガイド穴21a,21bの直径の差(R−R)も、通常13μm以上であり、好ましくは15μm以上である。ガイド穴間のブリッジ長さWと両ガイド穴21a,21bの穴径の差(R−R)が上記範囲内であるように構成すれば、誤ったガイド穴にコンタクトプローブ1a,1bが入らないようにすることができる。
【0052】
図2は、径の異なるガイド穴が形成されたガイドプレート20,30の一例を示している。図2に示すように、各ガイドプレート20,30に形成された径(R,R)の異なる2つのガイド穴21a,21b,31a,31bは、そのガイド穴間のブリッジ22,32の長さWが15μm以上100μm以下の範囲となるように隣接して設けられている。そのブリッジ22,32の長さWが15μm未満では、その間隔が小さすぎて穴あけ加工が難しい。一方、ブリッジ22,32の長さWが100μmを超えると、その間隔が大きすぎて1つの電極11にコンタクトプローブ1a,1bを同時に接触させることができないことがある。
【0053】
なお、上側のガイドプレート30におけるブリッジ32の長さWは、厳密には、下側ガイドプレート20におけるブリッジ22の長さとは同じではない、すなわち、上側のガイドプレート30に形成されるガイド穴31a,31bは、下側ガイドプレート20に形成されるガイド穴21a,21bと中心座標が同じであり且つコンタクトプローブの胴体部Aが挿入されるものであるため、下側ガイドプレート20よりもブリッジ32の長さは小さいものとなる。したがって、下側ガイドプレート20のブリッジ22の長さWの下限値15μmは、上側のガイドプレート30に形成するガイド穴31a,31bの穴あけ加工を考慮して主に設定されている。
【0054】
また、図2に示すように、ガイドプレート20,30においては、隣接するガイド穴を開ける部位がザグリ形状となっていることが好ましい。このザグリ形状は、ガイドプレート20,30の上面から0.1mm〜2mmの深さ範囲でザグリ加工して得ることができる。ザグリの深さは形成するガイド穴の穴径に応じて設定する。例えば、ドリル等による穴あけ加工を行う場合には、ガイドプレート20の厚さはガイド穴21a,21b,31a,31bの穴径の10倍以内であることが好ましいので、そうした厚さとなるようにザグリの深さを設定することが好ましい。
【0055】
こうしたザグリ形状の大きさは特に限定されないが、2つのガイド穴の径とブリッジの長さWとを加えた長さの1.3倍程度で形成されていることが好ましい。このザグリ形状は、ガイド穴を空ける部位のガイドプレート20の厚さを薄くするので、特にドリル等による穴あけ加工を容易にすることができる。また、コンタクトプローブ1a,1bを所定のガイド穴に挿入しようとする際においては、コンタクトプローブ1a,1bを所定のガイド穴が形成されたザグリ部に入り易くするという効果がある。
【0056】
本発明のプローブユニットには、下側のガイドプレート20を振動させる振動装置(図示しない)が設けられていることが好ましい。この振動装置は、外径が太い方のコンタクトプローブ1aを下側のガイドプレート20のガイド穴21aに挿入するときに動作させる。ガイドプレート20に振動を与えた状態で、外径が太い方のコンタクトプローブ1aのガイド穴21aへの挿入動作を行えば、コンタクトプローブ1aの端部2aが誤ったガイド穴21bに臨んだ場合であっても、その端部2aは振動によってガイドプレート20上を移動して所定のガイド穴21aに入ることができる。その結果、コンタクトプローブ1aが僅か曲がっていて所定のガイド穴21aにすぐに入らないような場合であっても、プローブユニットの製造を極めて効率的に行うことができるという効果がある。なお、振動装置としては、神鋼電機株式会社製 バイブレートリ パッカ VP−4D等を一例として挙げることができる。
【0057】
また、本発明のプローブユニット10は、上記2本一組のコンタクトプローブ(コンタクトプローブ組ともいう。)を多数有するものである。コンタクトプローブ組の数は特に限定されないが、測定対象となるプリント基板の電極の配置形態に応じて数と位置が決まる。
【0058】
以上説明したコンタクトプローブ1a,1bとガイドプレート20,30とで構成され本発明のコンタクトプローブユニット10によれば、金属導体2のみを通過させるガイド穴21a,21b,31a,31bが形成されたガイドプレート20,30において、小さい径で形成されたガイド穴21b,31bは、大きい外径からなるコンタクトプローブ1aの金属導体2を通過させない大きさで形成されているので、そのガイド穴21b,31bには大きい外径からなるコンタクトプローブ1aの金属導体2が入らない。その結果、大きい外径からなるコンタクトプローブ1aを少なくとも2枚のガイドプレート20,30に挿入した後に小さい外径からなるコンタクトプローブ1bを少なくとも2枚のガイドプレート20,30に挿入する手順で2本のコンタクトプローブ1a,1bを装着すれば、最初に挿入した大きい外径からなるコンタクトプローブ1a先端の金属導体2は、誤ったガイド穴21b,31bに入り込むとがなく、挿入しようとするガイド穴21a,31aに確実に挿入することができるので、従来のような問題、すなわち、2本目のコンタクトプローブ1bを入るべきガイド穴21b,31bに入れることができず、空いているガイド穴にも挿入することができないという問題が生じない。したがって、この発明によれば、コンタクトプローブユニット10の製造を極めて効率的に行うことができ、さらに、コンタクトプローブ1a,1bが僅か曲がっていたとしても、誤挿入が生じる可能性はない。
【0059】
[製造方法]
次に、コンタクトプローブ1a,1bをガイドプレート20,30に挿入して本発明のプローブユニット10を製造する方法について説明する。本発明のプローブユニット10の製造方法は、上記本発明のプローブユニット10の製造方法であって、外径が異なるコンタクトプローブ1a,1bそれぞれをガイド穴に挿入する工程において、ガイド穴を有するガイドプレート20,30を、上方に少なくとも1枚配置するとともに下方に少なくとも1枚配置し、次いで、外径が太い方のコンタクトプローブ1aを、上方の少なくとも1枚のガイドプレート30に設けられた大きい径のガイド穴31aに挿入した後、下方の少なくとも1枚のガイドプレート20に設けられた大きい径のガイド穴21aに挿入し、次いで、外径が細い方のコンタクトプローブ1bを、上方の少なくとも1枚のガイドプレート30に設けられた小さい径のガイド穴31bに挿入した後、下方の少なくとも1枚のガイドプレート20に設けられて外径が太い方のコンタクトプローブ1aの金属導体2を通過させない小さい径のガイド穴21bに挿入する。
【0060】
本発明の製造方法は、こうした手順で行われるので、外径が太い方のコンタクトプローブ1aを、上下のガイドプレート20,30に設けられた所定のガイド穴21a,31aに挿入することができる。その結果、その後にガイド穴に挿入する外径の細いコンタクトプローブ1bも、上下のガイドプレート20,30に設けられた所定のガイド穴21b,31bに挿入することができる。こうした本発明によれば、異なる外径のコンタクトプローブ1a,1bを誤ることなく所定のガイド穴に挿入することができるので、プローブユニット10の製造を極めて効率的に行うことができ、さらに、コンタクトプローブ1a,1bが僅か曲がっていたとしても、誤挿入が生じる可能性はない。
【0061】
また、上述したように、下側のガイドプレート20を振動させる振動装置(図示しない)が設けられている場合、外径が太い方のコンタクトプローブ1aを下側のガイドプレート20のガイド穴21aに挿入するときにその振動装置を動作させて振動を与えれば、コンタクトプローブ1aの端部2aが誤ったガイド穴21bに臨んだ場合であっても、その端部2aは振動によってガイドプレート20上を移動して所定のガイド穴21aに入ることができる。その結果、コンタクトプローブ1aが僅か曲がっていて所定のガイド穴21aにすぐに入らないような場合であっても、プローブユニットの製造を極めて効率的に行うことができる。
【0062】
なお、外径が太い方のコンタクトプローブ1aの端部2aが誤ったガイド穴21bに臨んだ場合であっても、コンタクトプローブ先端の形状を平坦形状又は略半球形状であるように構成すれば、その誤ったガイド穴21bに嵌ることがない。
【0063】
[コンタクトプローブユニットを用いた電気特性の検査方法]
次に、上述した本発明のプローブユニット10を用いた電気特性の検査方法について説明する。
【0064】
本発明のプローブユニット10は、プリント基板等の被測定体の電気特性の良否の検査に利用される。プローブユニット10は、複数組から数千組のコンタクトプローブ組と、そのコンタクトプローブ組を検査装置のリード線50にガイドするとともに例えば半田バンプ等の電極11に接触するようにガイドするガイドプレート20,30とを備えている。
【0065】
プローブユニット10と電極11は、電気特性を検査する際、コンタクトプローブ1a,1bと電極11とが対応するように位置制御される。電気特性の検査は、プローブユニット10を上下させ、コンタクトプローブ1a,1bの弾性力を利用して電極11にコンタクトプローブの先端(端部2a)を所定の圧力で押し当てることにより行われる。このとき、コンタクトプローブは、その後端(端部2b)はリード線50に接触し、電極11からの電気信号がそのリード線50を通って検査装置(図示しない。)に送る。なお、図1中、符号40はリード線用の保持板を示している。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
太い方のコンタクトプローブ1aとして、金属導体2の径が0.055mmで、絶縁被膜3を形成した後の胴体部Aの外径が0.070mmで、長さが20mmであるものを準備した。また、細い方のコンタクトプローブ1bとして、金属導体2の径が0.040mmで、絶縁被膜3を形成した後の胴体部Aの外径が0.055mmで、長さが20mmであるものを準備した。なお、いずれの場合も、電極側の金属導体先端の形状を、平坦形状とした。
【0068】
次に、コンタクトプローブ1a,1bを最初に挿入する方のガイドプレート30aとして、穴径が0.080mmと0.065mmの2つのガイド穴31a,31bを有し、そのガイド穴31a,31bの間のブリッジ32の長さWが50μmとなるように加工された厚さ1mmのものを準備し、さらに、同じ構造からなるガイドプレート30bを、2mmの隙間を有するようにその下側に平行に配置した。また、これら2枚のガイドプレート30a,30bに引き続いてコンタクトプローブ1a,1bを挿入するガイドプレート20として、穴径が0.065mmと0.050mmの2つのガイド穴21a,21bを有し、そのガイド穴21a,21bの間のブリッジ22の長さWが65μmとなるように加工された厚さ1mmのものを準備した。
【0069】
こうした2本一組のコンタクトプローブ1a,1bをガイドプレート20,30a,30bに挿入し、プローブユニット10製造した。このプローブユニット10は、太い方のコンタクトプローブ1bの金属導体2の外径が0.055mmであるので、その金属導体2をガイドプレート20のガイド穴に挿入する際、その金属導体2は穴径0.050mmのガイド穴21bには入らずに、穴径0.065mmのガイド穴21aにのみ入るので、誤って隣接するガイド穴21bに入るという事故は発生しない。続いて、細い方のコンタクトプローブ1bの金属導体2の外径は0.040mmであるので、その金属導体2をガイドプレート20のガイド穴に挿入する際には、既に穴径0.065mmのガイド穴21aは塞がれているため、その金属導体2は穴径0.050mmのガイド穴21bのみに入り、従来のような問題は発生しなかった。
【0070】
(実施例2)
実施例1において、下側のガイドプレート20に振動装置である神鋼電機株式会社製 バイブレートリ パッカ VP−4Dを設けた他は、実施例1と同様のプローブユニット10を作製した。このプローブユニット10の作製においては、コンタクトプローブ1 a,1bを下側ガイドプレート20に挿入する際に、特に太い方のコンタクトプローブ1aの挿入を速やかに行うことができた。
【0071】
(実施例3)
実施例1において、電極側の金属導体先端を、それぞれの金属導体の半径と同じアールで形成した。それ以外は実施例1と同様のプローブユニット10を作製した。このプローブユニット10の作製においては、実施例1と同様、問題なく行うことができた。
【0072】
(比較例1)
図4に示すように、コンタクトプローブ101a,101bとして、金属導体102の径が0.055mmで、絶縁被膜103を形成した後の胴体部Aの外径が0.070mmで、長さが20mmであるものを準備した。なお、いずれの場合も、電極側の金属導体先端の形状を、平坦形状とした。
【0073】
次に、コンタクトプローブ101a,101bを最初に挿入する方のガイドプレート130aとして、穴径が0.080mmの2つのガイド穴131a,131bを有し、そのガイド穴131a,131bの間のブリッジ132の長さWが50μmとなるように加工された厚さ1mmのものを準備し、さらに、同じ構造からなるガイドプレート130bを、2mmの隙間を有するようにその下側に平行に配置した。また、これら2枚のガイドプレート130a,130bに引き続いてコンタクトプローブ101a,101bを挿入するガイドプレート120として、穴径が0.065mmの2つのガイド穴121a,121bを有し、そのガイド穴121a,121bの間のブリッジ22の長さWが65μmとなるように加工された厚さ1mmのものを準備した。
【0074】
こうした2本一組のコンタクトプローブ101a,101bをガイドプレート120,130a,130bに挿入し、プローブユニット110製造した。このプローブユニット110は、一方のコンタクトプローブ101aの金属導体102をガイドプレート120のガイド穴121aに挿入する際、その金属導体102は穴径0.065mmのガイド穴121aに必ず入るとは限らず、隣の穴径0.065mmのガイド穴121bに入ることもあり、誤って隣接するガイド穴121bに入るという事故が発生した。続いて、他のコンタクトプローブ101bの金属導体102をガイドプレート120のガイド穴120bに挿入する際には、既に穴径0.070mmのガイド穴121bは塞がれていることがあり、さらに空いているガイド穴121aに入れようとしても、間違って挿入されたコンタクトプローブ101aが邪魔して入れることができないという問題が発生した。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明のコンタクトプローブユニットの一例を示す構成図である。
【図2】ガイドプレートに形成されたガイド穴の一例を示す平面図と断面図である。
【図3】本発明のコンタクトプローブユニットに装着されるコンタクトプローブの先端形状の好ましい例を示す断面図である。
【図4】従来のコンタクトプローブユニットの例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0076】
1a,1b コンタクトプローブ
2 金属導体
2a,2b 端部
3 絶縁被膜
3a 絶縁被膜の端面
10 プローブユニット
11 電極
12 プリント基板
20 被測定体側(下側)のガイドプレート
21a,21b ガイド穴
22 ブリッジ
30,30a,30b リード線側(上側)のガイドプレート
31a,31b ガイド穴
32 ブリッジ
40 リード線用の保持板
50 リード線
A 胴体部
B 端部
R1,R2 ガイド穴の径
W ブリッジの長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン形状の金属導体の外周に絶縁被膜を有する胴体部と、前記金属導体の両端に絶縁被膜を有しない端部とを有し、当該金属導体及び当該胴体部の外径が異なる一組のコンタクトプローブと、
前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれをガイドするためのガイド穴が異なる径で設けられた少なくとも2枚のガイドプレートと、を少なくとも備え、
前記ガイドプレートのガイド穴に挿入された前記コンタクトプローブそれぞれの先端を被測定体に接触させて電気特性を測定する方式のコンタクトプローブユニットであって、
前記少なくとも2枚のガイドプレートは一定の距離をもって固定され、当該ガイドプレートのうち、
一方のガイドプレートに設けられたガイド穴は、前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれの胴体部を通過させてガイドするものであり、
他方のガイドプレートに設けられたガイド穴は、前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれの先端で露出する金属導体のみを通過させてガイドするものであるとともに、小さい径で形成されたガイド穴は、大きい外径からなるコンタクトプローブの金属導体を通過させない大きさで形成されていることを特徴とするコンタクトプローブユニット。
【請求項2】
前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれをガイドするガイド穴間のブリッジ長さが、15μm以上100μm以下の範囲であり、
前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれをガイドするガイド穴の穴径の差が、13μm以上50μm以下の範囲である、請求項1に記載のコンタクトプローブユニット。
【請求項3】
前記被測定体に接触する側のコンタクトプローブ先端の形状が、平坦形状又は略半球形状である、請求項1又は2に記載のコンタクトプローブユニット。
【請求項4】
ピン形状の金属導体の外周に絶縁被膜を有する胴体部と前記金属導体の両端に絶縁被膜を有しない端部とを有し、当該金属導体及び当該胴体部の外径が異なる一組のコンタクトプローブと、前記外径の異なるコンタクトプローブそれぞれをガイドするためのガイド穴が異なる穴径で設けられた少なくとも2枚のガイドプレートとを少なくとも備え、前記ガイドプレートのガイド穴に挿入された前記コンタクトプローブそれぞれの先端を被測定体に接触させて電気特性を測定する方式のコンタクトプローブユニットの製造方法であって、
前記外径が異なるコンタクトプローブそれぞれをガイド穴に挿入する工程において、
前記ガイド穴を有するガイドプレートを、上方に少なくとも1枚配置するとともに下方に少なくとも1枚配置し、次いで、
前記外径が太い方のコンタクトプローブを、上方の少なくとも1枚のガイドプレートに設けられた大きい径のガイド穴に挿入した後、下方の少なくとも1枚のガイドプレートに設けられた大きい径のガイド穴に挿入し、次いで、
前記外径が細い方のコンタクトプローブを、上方の少なくとも1枚のガイドプレートに設けられた小さい径のガイド穴に挿入した後、下方の少なくとも1枚のガイドプレートに設けられて前記外径が太い方のコンタクトプローブの金属導体を通過させない小さい径のガイド穴に挿入する、
ことを特徴とするコンタクトプローブユニットの製造方法。
【請求項5】
前記外径が太い方のコンタクトプローブを下方に配置されたガイドプレートのガイド穴に挿入するとき、当該ガイドプレートに振動を与える、請求項4に記載のコンタクトプローブユニットの製造方法。
【請求項6】
前記被測定体に接触する側のコンタクトプローブ先端の形状が、平坦形状又は略半球形状である、請求項4又は5に記載のコンタクトプローブユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−74963(P2009−74963A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244919(P2007−244919)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000003414)東京特殊電線株式会社 (173)
【Fターム(参考)】