コンタクトプローブ及びソケット
【課題】従来と比較してコンタクトピッチを狭めることの可能なコンタクトプローブ及びソケットを提供する。
【解決手段】フランジ部14は、X方向から見ると先端側円柱部19よりも幅が狭く、Y方向から見ると先端側円柱部19よりも幅が広い。X方向に突出したフランジ部14を有する隣り合うコンタクトプローブ100は、X方向と45°を成す方向あるいはY方向に並べて配置される。隣り合うコンタクトプローブ100は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びない部分同士が対面するため、従来よりもコンタクトピッチを狭めることができる。
【解決手段】フランジ部14は、X方向から見ると先端側円柱部19よりも幅が狭く、Y方向から見ると先端側円柱部19よりも幅が広い。X方向に突出したフランジ部14を有する隣り合うコンタクトプローブ100は、X方向と45°を成す方向あるいはY方向に並べて配置される。隣り合うコンタクトプローブ100は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びない部分同士が対面するため、従来よりもコンタクトピッチを狭めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体集積回路等の被測定デバイスの検査に使用するコンタクトプローブ及びソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路等の検査対象物の検査を行う場合において、検査対象物と測定器側の検査用基板とを電気的に接続するために、コンタクトプローブが一般的に使用される。
【0003】
図17は、従来のコンタクトプローブ800を絶縁支持体831で支持したソケット900の正断面図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)を示す。なお、本図において、各コンタクトプローブ800の第1プランジャー801及び第2プランジャー802は、非断面で示している。
【0004】
本図に示すソケット900は、ケルビン測定用である。ケルビン測定とは、電流供給用プローブ及び電圧監視用プローブを検査対象物5の電極、例えば電極バンプ5aに当接させて電気的特性を測定するものである(必要に応じて下記特許文献1参照)。ソケット900では、相互に同一構成の2本のコンタクトプローブ800の一方を電流供給用プローブ、他方を電圧監視用プローブとする。
【0005】
各コンタクトプローブ800は、第1プランジャー801と、第2プランジャー802と、スプリング803と、チューブ804とを備える。第1プランジャー801は検査対象物5との接続部品であり、第2プランジャー802は検査用基板6(図示しない測定機器に接続される)との接続部品である。第1プランジャー801のフランジ部812は、先端側円柱部824よりも大径の円板形状であって、図17(A)に示す状態でのコンタクトプローブ800の抜止めのため及び先端側円柱部824の突出長を揃えるために設けられる。先端側円柱部824の先端面は、分割山形状(ここでは8分割)であり、外周に中心から等角度間隔で山の頂点が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−45986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図17に示すコンタクトプローブ800では、フランジ部812が隣のコンタクトプローブ800側に出っ張るため、隣り合うコンタクトプローブ800の先端側円柱部824同士を近づけて配置することができない。このため、以下に説明するコンタクトピッチを小さくすることができない。
【0008】
図18(A)は、図17(B)のA-A'矢視図である。図18(B)は、図17(B)のB-B'断面図である。図19は、図17の第1プランジャー801の先端周辺部拡大図である。これらの図を参照し、隣り合うコンタクトプローブ800のコンタクトピッチP1について説明する。
【0009】
コンタクトピッチP1は、次式で示される。
P1=E+(F×2)+(G×2)+(H×2) …式1
E:絶縁支持体831の最小肉厚
F:絶縁支持体831とフランジ部812の側面との隙間
G:フランジ部812と先端側円柱部824との半径差
H:先端側円柱部824の側面(隣の先端側円柱部824と最も距離が近い側面)から先端面の山の頂点までの距離。※距離は、隣り合うコンタクトプローブ800同士を結ぶ方向に沿う距離である。先端側円柱部824の回転角度次第ではゼロになることもあるが、ここでは最大距離(図18(A)の状態)とする。
【0010】
上記のとおり、フランジ部812の出っ張りは、コンタクトピッチP1に直接影響しており、狭ピッチ化の妨げとなっている。なお、上記の長さE〜HのうちEとFは、設計上ゼロにすることは不可能である。
【0011】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、従来と比較してコンタクトピッチを狭めることの可能なコンタクトプローブ及びソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、コンタクトプローブである。このコンタクトプローブは、
一方が検査対象物との接続用で、他方が検査用基板との接続用であり、相互に電気的に接続される第1及び第2プランジャーと、
前記第1及び第2プランジャーを互いに離れる方向に付勢するように前記第1及び第2プランジャーに対して設けられたスプリングとを備え、
前記第1プランジャーは、先端側円柱部と、先端から所定距離だけ基端側に存在するフランジ部とを有し、
前記フランジ部は、軸方向から見て、前記先端側円柱部の側面の一部から外側に延びる一方、当該一部を除く部分からは外側に延びない。
【0013】
第2の態様のコンタクトプローブは、第1の態様のコンタクトプローブにおいて、前記フランジ部は、軸方向から見て、前記先端側円柱部の側面の相互に対向する2箇所から外側に延びる一方、当該2箇所を除く部分からは外側に延びないものである。
【0014】
第1又は第2の態様のコンタクトプローブにおいて、前記第1プランジャーは、前記フランジ部と前記先端側円柱部との間に、前記フランジ部の先端側端面と接し且つ前記先端側円柱部よりも径が小さい小径部を有するとよい。
【0015】
本発明の第3の態様は、ソケットである。このソケットは、
第1の態様のコンタクトプローブを複数本絶縁支持体で支持してなるソケットであって、少なくとも一部の隣り合うコンタクトプローブは、先端側円柱部の側面のうち軸方向から見てフランジ部が外側に延びない部分同士が対面する。
【0016】
本発明の第4の態様も、ソケットである。このソケットは、
第2の態様のコンタクトプローブを軸方向から見た向きを揃えて複数本絶縁支持体で支持してなるソケットであって、
各コンタクトプローブの前記フランジ部は、前記2箇所から外側に先細りに延び、
任意のコンタクトプローブ及び前記任意のコンタクトプローブに最も近いコンタクトプローブを相互に結ぶ方向と、前記任意のコンタクトプローブの先端側円柱部の側面のうち軸方向から見てフランジ部が外側に延びる2箇所同士を結ぶ方向とが約45°の角度を成すように、複数本のコンタクトプローブが軸方向から見て縦横に配列されている。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フランジ部は、軸方向から見て、プランジャの先端側円柱部の側面の一部から外側に延びる一方、当該一部を除く部分からは外側に延びないため、2つのコンタクトプローブを、先端側円柱部の側面のうち軸方向から見てフランジ部が外側に延びない部分同士が対面するように配置することで、従来と比較してコンタクトピッチを狭めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコンタクトプローブを絶縁支持体で支持したソケットの正断面図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)を示す。
【図2】図1(B)のK-K'断面図。
【図3】(A)は図1(B)のC-C'矢視図、(B)は図1(B)のD-D'断面図、(C)は第1プランジャーを先端方向から見た矢視図。
【図4】図1の第1プランジャーの先端周辺部拡大断面図。
【図5】(A)は図1に示す絶縁支持体の第2層を軸方向から見た矢視図、(B)は(A)のB-B'断面図、(C)は(A)のC-C'断面図。
【図6】隣り合うコンタクトプローブの配置例1を示す、Z方向から見た説明図。
【図7】隣り合うコンタクトプローブの配置例2を示す、Z方向から見た説明図。
【図8】図6に示す配置例1に基づく、多数個のコンタクトプローブの行列配置例1を示す、Z方向から見た説明図。
【図9】図7に示す配置例2に基づく、多数個のコンタクトプローブの行列配置例2を示す、Z方向から見た説明図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るコンタクトプローブの形状説明図であり、(A)は一部を断面とした正面図、(B)は右側面図、(C)は底面図、(D)は(A)のX-X'断面図。
【図11】同コンタクトプローブを絶縁支持体で支持したソケットの断面図。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るコンタクトプローブを絶縁支持体で支持したソケットの説明図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)、(C)は(B)のK-K'断面図。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係るコンタクトプローブを絶縁支持体で支持したソケットのY方向から見た断面図。
【図14】同コンタクトプローブのフランジ部の拡大斜視図。
【図15】第1の実施の形態の絶縁支持体の第1層及び第2層の分割位置のバリエーション説明図。
【図16】第2の実施の形態の絶縁支持体の第1層及び第2層の分割位置のバリエーション説明図。
【図17】従来のコンタクトプローブを絶縁支持体で支持したソケットの正断面図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)。
【図18】(A)は、図17(B)のA-A'矢視図。(B)は、図17(B)のB-B'断面図。
【図19】図17の第1プランジャーの先端周辺部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコンタクトプローブ100を絶縁支持体31で支持したソケット30の正断面図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)を示す。図2は、図1(B)のK-K'断面図である。これらの図において、各コンタクトプローブ100の第1及び第2プランジャー1,2は、非断面で示している。図3(A)は、図1(B)のC-C'矢視図である。図3(B)は、図1(B)のD-D'断面図である。図3(C)は、第1プランジャー1を先端方向から見た矢視図である。図4は、図1の第1プランジャー1の先端周辺部拡大図である。
【0022】
本実施の形態のソケット30は、ケルビン測定用であり、相互に同一構成の2本のコンタクトプローブ100の一方を電流供給用プローブ、他方を電圧監視用プローブとする。コンタクトプローブ100の軸方向をZ軸方向、後述のフランジ部14が突出する方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向の双方と垂直な方向をY軸方向とする直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)を、図1(A)等に示すように定義する。
【0023】
コンタクトプローブ100は、第1プランジャー1と、第2プランジャー2と、スプリングとしてのコイルスプリング3と、チューブ4とを同軸に備える。第1プランジャー1は、検査対象物5との接続部品である。第2プランジャー2は、検査用基板6との接続部品である。銅又は銅合金等の導電性金属体であるチューブ4は、第1及び第2プランジャー1,2を摺動自在に保持するもので、第1及び第2プランジャー1,2の基端側とコイルスプリング3とを内部に収容する。例えばピアノ線やステンレス線等の一般的な導体金属材質で形成されたコイルスプリング3は、第1及び第2プランジャー1,2を互いに離れる方向に付勢するように第1及び第2プランジャー1,2に対して設けられ、第1及び第2プランジャー1,2に検査対象物5及び検査用基板6との接触力を与える。検査対象物5は、例えば電極が所定間隔で配列された半導体集積回路であり、図示の場合、電極バンプ5aが所定間隔で配列されたものである。検査用基板6は、測定器側に接続される電極パッド(図示せず)を電極バンプ5aに対応して所定間隔で有するものである。
【0024】
銅又は銅合金等の導電性金属体である第1プランジャー1は、基端側から順に、基端側円柱部11と、第1小径部12と、第2小径部13と、フランジ部14と、第3小径部17と、先端側円柱部19とを有する。同じく銅又は銅合金等の導電性金属体である第2プランジャー2は、基端側から順に、基端側円柱部21と、小径部22と、先端側円柱部29とを有する。コイルスプリング3は、第1及び第2プランジャー1,2の基端側円柱部11,21の端面間に設けられ、各端面に離間方向の付勢力を与える。円筒状のチューブ4は、軸方向の異なる2箇所の中間部側面に、リング状に内側に凹んだ絞り部401,402を第1及び第2プランジャー1,2の抜止めのために有する。
【0025】
第1プランジャー1において、基端側円柱部11は、絞り部401の内径よりも大径である。円柱状の第1小径部12は、絞り部401の内径よりも小径である。軸方向について第1小径部12の存在範囲内に絞り部401が位置する。したがって、基端側円柱部11が絞り部401に引っ掛かり、第1プランジャー1はチューブ4からの抜けが防止される。円柱状の第2小径部13は、絞り部401の内径よりも大径であり、常に一部がチューブ4内部に位置する。
【0026】
フランジ部14は、図3(B)及び図3(C)等に示すように、先端側円柱部19よりも大径の円板の側面を、軸方向(Z方向)から見て例えば略菱形となるように4面カットした形状である。なお、本図の例では、軸方向から見てフランジ部14のX方向両端の頂点に相当する側面部分14a,14bは、カットされずに円弧面となっている。換言すれば、フランジ部14は、4つの平面である側面141〜144を有し、側面141〜144(及びそれらと同一平面の延長面)で囲まれた領域が軸方向から見て略菱形となる形状である。そして、フランジ部14は、図1(A)に示すように、X方向から見ると、先端側円柱部19よりも幅が狭く、かつ先端側円柱部19の存在幅内にある、すなわち先端側円柱部19の側面よりも外側に(軸方向と垂直な方向に)延びない。他方、図2に示すように、Y方向から見ると、先端側円柱部19よりも幅が広く、かつ先端側円柱部19の側面よりも外側に(軸方向と垂直な方向に)延びる(突出する)。すなわち、図3(C)に示すように、フランジ部14は、軸方向から見て、先端側円柱部19の側面の一部19b,19cから外側に延びる一方、当該一部19b,19cを除く部分からは外側に延びない。なお、図3(C)に示すように、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びる一部19b,19cの範囲は、それぞれ軸方向から見て中心角θが90°以内であるとよい。また、フランジ部14は、軸方向から見て、中心軸からX方向に行くほど幅が狭くなるように延びる(先細に延びる)とよい。
【0027】
円柱状の第3小径部17は、基端がフランジ部14の先端側端面と連なる。先端側円柱部19は、基端側円柱部11、第2小径部13及び第3小径部17よりも大径であり、また第2プランジャー2の基端側円柱部21及び先端側円柱部29よりも大径である。さらに、先端側円柱部19は、チューブ4と同径である。先端側円柱部19の先端は、検査対象物5の電極バンプ5aと接触する接触部19aとなっている。接触部19aは、分割山形状(ここでは8分割)であり、外周に中心から等角度間隔(ここでは45°間隔)で山の頂点が存在する。なお、図3(A)では、山の稜線(凸部の稜線)を図示する一方、谷線の図示は省略している。
【0028】
第2プランジャー2において、基端側円柱部21は、絞り部402の内径よりも大径である。円柱状の小径部22は、絞り部402の内径よりも小径である。軸方向について小径部22の存在範囲内に絞り部402が位置する。したがって、基端側円柱部21が絞り部402に引っ掛かり、第2プランジャー2はチューブ4からの抜けが防止される。先端側円柱部29は、絞り部402の内径よりも大径であり、基端側が部分的にチューブ4内部に位置する。先端側円柱部29の先端は、検査用基板6の電極パッド(不図示)と接触する接触部29aとなっている。接触部29aは、例えば円錐形状である。
【0029】
ソケット30は、コンタクトプローブ100を複数本平行に配置するための空洞部32を所定間隔で有する絶縁支持体31を備え、それらの各空洞部32にコンタクトプローブ100を挿入配置したものである。具体的には、第1プランジャー1、第2プランジャー2、コイルスプリング3及びチューブ4を一体的に組み立ててコンタクトプローブ100を構成したものを、絶縁支持体31の空洞部32に挿入配置する。なお、絶縁支持体31は、コンタクトプローブ100を空洞部32内に組み込むために、第1層31a及び第2層31bに分割された構造となっている。
【0030】
空洞部32両端部(上下端部)の開口側摺動支持部33,34は第1及び第2プランジャー1,2の先端側円柱部19,29をそれぞれ摺動自在に支持(嵌合)する。空洞部32の開口側摺動支持部33,34を除く中間部35は、第1層31a及び第2層31bの境界付近を除き開口側摺動支持部33と同径である(又は同径以下でもよい)が、第2層31bの第1層31aが接合される側(開口側摺動支持部33側)が図2に示すようにX方向に広げられており、また、開口側摺動支持部34よりも大径である。開口側摺動支持部33は、フランジ部14に係合してコンタクトプローブ100の抜け出しを規制する。開口側摺動支持部34は、チューブ4よりも小径であり、コンタクトプローブ100の一端に係合してチューブ4の抜け出しを規制する。
【0031】
ソケット30において、隣り合うコンタクトプローブ100は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びない部分(図3(C)において符号19b,19cで示す部分以外の部分)同士が対面する。本実施の形態では、隣り合うコンタクトプローブ100のコンタクトピッチP2は、次式で示される(図3(A)及び図4参照)。
P2=E+(F×2) …式2
E:絶縁支持体31の最小肉厚
F:絶縁支持体31と先端側円柱部19の側面との隙間
【0032】
式2で示す本実施の形態のコンタクトピッチP2は、式1で示した従来のコンタクトピッチP1よりも、ΔP=(G×2)+(H×2)の分だけ狭くなっている。その第1の理由は、本実施の形態では、隣り合うコンタクトプローブ100は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びない部分同士が対面するため、従来のコンタクトピッチP1における式1のG(フランジ部と先端側円柱部の半径差)に相当するものをゼロにできたことによる。第2の理由は、本実施の形態では、フランジ部14が第1プランジャー1の回り止めとなるため、図3(A)に示すように、隣り合うコンタクトプローブ100の先端側円柱部19の接触部19aを、山の頂点同士が最短距離となるような角度に保持でき、従来のコンタクトピッチP1における式1のH(先端側円柱部19の側面から先端面の山の頂点までの距離)に相当するものをほぼゼロにできたことによる。
【0033】
図5(A)は、図1に示す絶縁支持体31の第2層31bを軸方向から見た矢視図である。図5(B)は、図5(A)のB-B'断面図である。図5(C)は、図5(A)のC-C'断面図である。メイン孔部311は、図1に示す第1及び第2プランジャー1,2の基端側、コイルスプリング3、チューブ4を収容するものである。メイン孔部311のX方向両側にメイン孔部311と連なって存在する所定深さのフランジ用穴部312,313は、メイン孔部311よりも小径で、フランジ部14のうち軸方向から見て先端側円柱部19の側面から外側に延長した部分がZ方向に移動する空間を確保する。加工順序としては、まずフランジ用穴部312,313の加工後に、メイン孔部311を加工する。加工には一般的な汎用ドリルを使用可能である。
【0034】
図6は、隣り合うコンタクトプローブ100(最も近い2つのコンタクトプローブ100)の配置例1を示す、Z方向から見た説明図である。図7は、隣り合うコンタクトプローブ100(最も近い2つのコンタクトプローブ100)の配置例2を示す、Z方向から見た説明図である。図8は、図6に示す配置例1に基づく、多数個のコンタクトプローブ100の行列配置例1を示す、Z方向から見た説明図である。図9は、図7に示す配置例2に基づく、多数個のコンタクトプローブ100の行列配置例2を示す、Z方向から見た説明図である。なお、図8及び図9では、接触対象となる電極バンプ5aの行列を二点鎖線で示している。
【0035】
図6に示す配置例1は、図1に示したものと同様であり、X方向に突出したフランジ部14を有するコンタクトプローブ100をY方向に並べた例である。図7に示す配置例2は、X方向に突出したフランジ部14を有するコンタクトプローブ100をX方向と45°(Y方向とも45°)を成す方向に並べた例である。配置例1及び2のいずれも、コンタクトピッチP3は式2のコンタクトピッチP2と同じ長さである。他方、電極バンプ5aの最小配置ピッチは、配置例1及び2で互いに異なる。
【0036】
図8に示すように、配置例1に基づくコンタクトプローブ100の行列配置の場合、電極バンプ5aの最小配置ピッチP4は、P4=P3×2である。これに対し、図9に示すように、配置例2に基づくコンタクトプローブ100の行列配置の場合、電極バンプ5aの最小配置ピッチP5は、P5=P3×2/√2であり、配置例1に基づく最小配置ピッチP4よりも約30%狭ピッチ化できる。見方を変えれば、電極バンプ5aの配置ピッチが同じであれば、配置例2は、配置例1の場合よりも大径の第1プランジャー1を配置可能で好ましい。なお、狭ピッチ化のためには、フランジ部14が中心軸からX方向に行くほど軸方向から見て幅が狭くなる形状であるとよい。
【0037】
ソケット30を使用して検査を行う場合、ソケット30は検査用基板6上に位置決め載置され、この結果、コイルスプリング3が所定長だけ縮んで第2プランジャー2の先端側円柱部29の接触部29aが検査用基板6の電極パッドに弾接する。半導体集積回路等の検査対象物5が無い状態では、第1プランジャー1はフランジ部14が開口側摺動支持部33で規制されるまで突出方向に移動しており、先端側円柱部19の突出量は最大となっている。検査対象物5がソケット30の絶縁支持体31に対して所定の間隔で対向配置されることにより、先端側円柱部19は後退してコイルスプリング3はさらに圧縮され、その結果、先端側円柱部19は検査対象物5の電極バンプ5aに弾接する。この状態で検査対象物5の検査が実行される。
【0038】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0039】
(1) 隣り合うコンタクトプローブ100は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びない部分同士が対面するため、従来よりもコンタクトピッチを狭めることが可能となる。
【0040】
(2) フランジ部14が第1プランジャー1の回り止めとなるため、隣り合うコンタクトプローブ100の先端側円柱部19の接触部19aを、山の頂点同士が最短距離となるような角度に保持できる。このことも、従来と比較してコンタクトピッチを狭める点で有利である。
【0041】
(3) 図5で既述のとおり、絶縁支持体31bの孔加工は通常のドリル(汎用ドリル)を用いることができるため、特殊な孔加工(エンドミル等を用いた孔加工)は不要でコスト安かつ製造容易である。
【0042】
(4) フランジ部14が先端側円柱部19よりも小径の第3小径部17に形成されるため、すなわち、フランジ部14の先端側端面が第3小径部17の基端と接するため、フランジ部14の加工時に生じるバリが先端側円柱部19よりも外側に突出することを防止できる。すなわち、絶縁支持体31と先端側円柱部19の側面との隙間は極力小さく設計するため、先端側円柱部19よりも外側に突出するバリの発生を防止しなければならないところ、本実施の形態では先端側円柱部19よりも小径な第3小径部17からフランジ部14が立ち上がるため、そうしたバリの発生を好適に防止できる。
【0043】
(第2の実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施の形態に係るコンタクトプローブ200の形状説明図であり、(A)は一部を断面とした正面図、(B)は右側面図、(C)は底面図、(D)は(A)のX-X'断面図である。図11は、同コンタクトプローブを絶縁支持体31で支持したソケット30の断面図である。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0044】
第1プランジャー1は、先端側円柱部19の基端側にフランジ部14を形成したものである。先端側円柱部19の基端側端面から、所定深さに渡って穴部197が形成される。穴部197内にコイルスプリング3と第2プランジャー2の基端側円柱部21が位置する。穴部197は、開口側が例えばかしめ加工で小径化されており、つまり先端側円柱部19の基端がかしめられてかしめ部19dが形成され、基端側円柱部21の抜けが防止される。コイルスプリング3は、基端側円柱部21の端面と穴部197の底面との間に設けられ、各端面に離間方向の付勢力を与える。第1プランジャー1、第2プランジャーおよびコイルスプリング3でコンタクトプローブ200を構成している。なお、本実施の形態では、フランジ部14の可動空間を絶縁支持体31の第1層31aに穴加工で形成しているが、穴加工の方法は図5で説明したのと同様である。複数のコンタクトプローブ200の配列は、第1の実施の形態と同じでよい。
【0045】
本実施の形態も、第1の実施の形態と同様にコンタクトピッチを狭くすることが可能である。また、チューブ4が不要な点で第1の実施の形態よりも部品点数を削減できる。なお、先端側円柱部19のうちフランジ部14の先端側端面との接点から所定長の範囲を小径化することで、先端側円柱部19よりも外側に突出するバリの発生を第1の実施の形態と同様に防止できる。
【0046】
(第3の実施の形態)
図12は、本発明の第3の実施の形態に係るコンタクトプローブ300(チューブレスタイプ)を絶縁支持体31で支持したソケットの説明図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)、(C)は(B)のK-K'断面図である。コンタクトプローブ300の第1プランジャー1は、図1等に示す第1の実施の形態の基端側円柱部11、第1小径部12、第2小径部13をチューブ4と略同径の基端側円柱部411に置き換え、基端側円柱部411の基端側端面の中央部からそれより小径の棒状部412を軸方向に突出させた構成である。基端側円柱部411の基端側端面の縁部にはコイルスプリング3が当接する。棒状部412はコイルスプリング3の内側に延びる。コンタクトプローブ300の第2プランジャー2は、第1の実施の形態の基端側円柱部21、小径部22をチューブ4と略同径の基端側円柱部421に置き換え、基端側円柱部421の基端側端面の中央部からそれより小径の棒状部422を軸方向に突出させた構成である。基端側円柱部421の基端側端面の縁部にはコイルスプリング3が当接する。棒状部422はコイルスプリング3の内側に延びる。コイルスプリング3は、第1の先端側円柱部19よりも小径で、基端側円柱部411,421の基端側端面に離間方向の付勢力を与える。第1プランジャー1、第2プランジャー2およびコイルスプリング3がコンタクトプローブ300を構成している。複数のコンタクトプローブ300の配列は、第1の実施の形態と同じでよい。
【0047】
(第4の実施の形態)
図13は、本発明の第4の実施の形態に係るコンタクトプローブ400を絶縁支持体31で支持したソケットのY方向から見た断面図である。本図において、コンタクトプローブ400の第1及び第2プランジャー1,2は、非断面で示している。図14は、コンタクトプローブ400のフランジ部14の拡大斜視図である。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0048】
本実施の形態では、フランジ部14の上面145,146がZ軸方向と例えば45°を成すテーパ状になっている。また、フランジ部14の上面145,146と係合する開口側摺動支持部33の係合面33a,33bは、フランジ部14の上面145,146と平行となるように面取り(例えば45°)が設けられている。本実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、絶縁支持体31aを組み付けする際、第1プランジャー1の先端側円柱部19の先端角部が引っ掛かりにくくなり、組立性が良好となる。また、フランジ部14の上面145,146と開口側摺動支持部33の係合面33a,33bとの接触面積は、それらがZ軸方向と垂直な場合よりも大きくすることができ、結果、接触面圧を下げ接触面へのダメージを防ぐことができる。
【0049】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0050】
図15(A)〜(C)は、第1の実施の形態の絶縁支持体31の第1層31a及び第2層31bの分割位置のバリエーション説明図である。図15(A)は第1の実施の形態と同様であり、図15(B)では第1層31aにフランジ部14の可動空間を形成し、図15(C)では第1層31a及び第2層31bに跨ってフランジ部14の可動空間を形成している。
【0051】
図16(A)〜(C)は、第2の実施の形態の絶縁支持体31の第1層31a及び第2層31bの分割位置のバリエーション説明図である。図16(A)は第2の実施の形態と同様であり、図16(B)では第2層31bにフランジ部14の可動空間を形成し、図16(C)では第1層31a及び第2層31bに跨ってフランジ部14の可動空間を形成している。
【0052】
実施の形態における基端側円柱部11,21は、円柱形に限らず、球形あるいは楕円球形であってもよい。
【0053】
フランジ部14を軸方向から見た形状は、長方形であってもよい。また、フランジ部14は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見て1箇所のみから外側に延びる形状であってもよい。実施の形態のように2箇所から外側に延びるほうがバランスがよくて好ましいが、1箇所のみから外側に延びる場合も抜止めや回り止めの機能を実現することは可能である。また、特定の2本のコンタクトプローブのコンタクトピッチを狭める場合、フランジ部14は2面カットであってもよい。すなわち、図3(B)の側面141,142(他方のコンタクトプローブに面しない側面)の加工は行わず、円弧面を残してもよい。
【0054】
先端側円柱部19の端面は、分割山形状に限らず、軸方向と垂直な平面であってもよいし、特許文献1の図2に示されるプランジャー24のような先端形状であってもよい。
【0055】
ケルビン測定用の一組のコンタクトプローブは、同一形状でなくてよく、例えば電流供給用のコンタクトプローブを電圧監視用のものよりも大径にしてもよい。
【0056】
コンタクトプローブ及びソケットの用途はケルビン測定に限らず、電極バンプ5aがコンタクトプローブと同数存在するものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 第1プランジャー
2 第2プランジャー
3 コイルスプリング
4 チューブ
5 検査対象物
5a 電極バンプ
6 検査用基板
14 フランジ部
19,29 先端側円柱部
30 ソケット
31 絶縁支持体
100,200,300 コンタクトプローブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体集積回路等の被測定デバイスの検査に使用するコンタクトプローブ及びソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路等の検査対象物の検査を行う場合において、検査対象物と測定器側の検査用基板とを電気的に接続するために、コンタクトプローブが一般的に使用される。
【0003】
図17は、従来のコンタクトプローブ800を絶縁支持体831で支持したソケット900の正断面図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)を示す。なお、本図において、各コンタクトプローブ800の第1プランジャー801及び第2プランジャー802は、非断面で示している。
【0004】
本図に示すソケット900は、ケルビン測定用である。ケルビン測定とは、電流供給用プローブ及び電圧監視用プローブを検査対象物5の電極、例えば電極バンプ5aに当接させて電気的特性を測定するものである(必要に応じて下記特許文献1参照)。ソケット900では、相互に同一構成の2本のコンタクトプローブ800の一方を電流供給用プローブ、他方を電圧監視用プローブとする。
【0005】
各コンタクトプローブ800は、第1プランジャー801と、第2プランジャー802と、スプリング803と、チューブ804とを備える。第1プランジャー801は検査対象物5との接続部品であり、第2プランジャー802は検査用基板6(図示しない測定機器に接続される)との接続部品である。第1プランジャー801のフランジ部812は、先端側円柱部824よりも大径の円板形状であって、図17(A)に示す状態でのコンタクトプローブ800の抜止めのため及び先端側円柱部824の突出長を揃えるために設けられる。先端側円柱部824の先端面は、分割山形状(ここでは8分割)であり、外周に中心から等角度間隔で山の頂点が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−45986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図17に示すコンタクトプローブ800では、フランジ部812が隣のコンタクトプローブ800側に出っ張るため、隣り合うコンタクトプローブ800の先端側円柱部824同士を近づけて配置することができない。このため、以下に説明するコンタクトピッチを小さくすることができない。
【0008】
図18(A)は、図17(B)のA-A'矢視図である。図18(B)は、図17(B)のB-B'断面図である。図19は、図17の第1プランジャー801の先端周辺部拡大図である。これらの図を参照し、隣り合うコンタクトプローブ800のコンタクトピッチP1について説明する。
【0009】
コンタクトピッチP1は、次式で示される。
P1=E+(F×2)+(G×2)+(H×2) …式1
E:絶縁支持体831の最小肉厚
F:絶縁支持体831とフランジ部812の側面との隙間
G:フランジ部812と先端側円柱部824との半径差
H:先端側円柱部824の側面(隣の先端側円柱部824と最も距離が近い側面)から先端面の山の頂点までの距離。※距離は、隣り合うコンタクトプローブ800同士を結ぶ方向に沿う距離である。先端側円柱部824の回転角度次第ではゼロになることもあるが、ここでは最大距離(図18(A)の状態)とする。
【0010】
上記のとおり、フランジ部812の出っ張りは、コンタクトピッチP1に直接影響しており、狭ピッチ化の妨げとなっている。なお、上記の長さE〜HのうちEとFは、設計上ゼロにすることは不可能である。
【0011】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、従来と比較してコンタクトピッチを狭めることの可能なコンタクトプローブ及びソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、コンタクトプローブである。このコンタクトプローブは、
一方が検査対象物との接続用で、他方が検査用基板との接続用であり、相互に電気的に接続される第1及び第2プランジャーと、
前記第1及び第2プランジャーを互いに離れる方向に付勢するように前記第1及び第2プランジャーに対して設けられたスプリングとを備え、
前記第1プランジャーは、先端側円柱部と、先端から所定距離だけ基端側に存在するフランジ部とを有し、
前記フランジ部は、軸方向から見て、前記先端側円柱部の側面の一部から外側に延びる一方、当該一部を除く部分からは外側に延びない。
【0013】
第2の態様のコンタクトプローブは、第1の態様のコンタクトプローブにおいて、前記フランジ部は、軸方向から見て、前記先端側円柱部の側面の相互に対向する2箇所から外側に延びる一方、当該2箇所を除く部分からは外側に延びないものである。
【0014】
第1又は第2の態様のコンタクトプローブにおいて、前記第1プランジャーは、前記フランジ部と前記先端側円柱部との間に、前記フランジ部の先端側端面と接し且つ前記先端側円柱部よりも径が小さい小径部を有するとよい。
【0015】
本発明の第3の態様は、ソケットである。このソケットは、
第1の態様のコンタクトプローブを複数本絶縁支持体で支持してなるソケットであって、少なくとも一部の隣り合うコンタクトプローブは、先端側円柱部の側面のうち軸方向から見てフランジ部が外側に延びない部分同士が対面する。
【0016】
本発明の第4の態様も、ソケットである。このソケットは、
第2の態様のコンタクトプローブを軸方向から見た向きを揃えて複数本絶縁支持体で支持してなるソケットであって、
各コンタクトプローブの前記フランジ部は、前記2箇所から外側に先細りに延び、
任意のコンタクトプローブ及び前記任意のコンタクトプローブに最も近いコンタクトプローブを相互に結ぶ方向と、前記任意のコンタクトプローブの先端側円柱部の側面のうち軸方向から見てフランジ部が外側に延びる2箇所同士を結ぶ方向とが約45°の角度を成すように、複数本のコンタクトプローブが軸方向から見て縦横に配列されている。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フランジ部は、軸方向から見て、プランジャの先端側円柱部の側面の一部から外側に延びる一方、当該一部を除く部分からは外側に延びないため、2つのコンタクトプローブを、先端側円柱部の側面のうち軸方向から見てフランジ部が外側に延びない部分同士が対面するように配置することで、従来と比較してコンタクトピッチを狭めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコンタクトプローブを絶縁支持体で支持したソケットの正断面図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)を示す。
【図2】図1(B)のK-K'断面図。
【図3】(A)は図1(B)のC-C'矢視図、(B)は図1(B)のD-D'断面図、(C)は第1プランジャーを先端方向から見た矢視図。
【図4】図1の第1プランジャーの先端周辺部拡大断面図。
【図5】(A)は図1に示す絶縁支持体の第2層を軸方向から見た矢視図、(B)は(A)のB-B'断面図、(C)は(A)のC-C'断面図。
【図6】隣り合うコンタクトプローブの配置例1を示す、Z方向から見た説明図。
【図7】隣り合うコンタクトプローブの配置例2を示す、Z方向から見た説明図。
【図8】図6に示す配置例1に基づく、多数個のコンタクトプローブの行列配置例1を示す、Z方向から見た説明図。
【図9】図7に示す配置例2に基づく、多数個のコンタクトプローブの行列配置例2を示す、Z方向から見た説明図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るコンタクトプローブの形状説明図であり、(A)は一部を断面とした正面図、(B)は右側面図、(C)は底面図、(D)は(A)のX-X'断面図。
【図11】同コンタクトプローブを絶縁支持体で支持したソケットの断面図。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るコンタクトプローブを絶縁支持体で支持したソケットの説明図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)、(C)は(B)のK-K'断面図。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係るコンタクトプローブを絶縁支持体で支持したソケットのY方向から見た断面図。
【図14】同コンタクトプローブのフランジ部の拡大斜視図。
【図15】第1の実施の形態の絶縁支持体の第1層及び第2層の分割位置のバリエーション説明図。
【図16】第2の実施の形態の絶縁支持体の第1層及び第2層の分割位置のバリエーション説明図。
【図17】従来のコンタクトプローブを絶縁支持体で支持したソケットの正断面図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)。
【図18】(A)は、図17(B)のA-A'矢視図。(B)は、図17(B)のB-B'断面図。
【図19】図17の第1プランジャーの先端周辺部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコンタクトプローブ100を絶縁支持体31で支持したソケット30の正断面図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)を示す。図2は、図1(B)のK-K'断面図である。これらの図において、各コンタクトプローブ100の第1及び第2プランジャー1,2は、非断面で示している。図3(A)は、図1(B)のC-C'矢視図である。図3(B)は、図1(B)のD-D'断面図である。図3(C)は、第1プランジャー1を先端方向から見た矢視図である。図4は、図1の第1プランジャー1の先端周辺部拡大図である。
【0022】
本実施の形態のソケット30は、ケルビン測定用であり、相互に同一構成の2本のコンタクトプローブ100の一方を電流供給用プローブ、他方を電圧監視用プローブとする。コンタクトプローブ100の軸方向をZ軸方向、後述のフランジ部14が突出する方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向の双方と垂直な方向をY軸方向とする直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)を、図1(A)等に示すように定義する。
【0023】
コンタクトプローブ100は、第1プランジャー1と、第2プランジャー2と、スプリングとしてのコイルスプリング3と、チューブ4とを同軸に備える。第1プランジャー1は、検査対象物5との接続部品である。第2プランジャー2は、検査用基板6との接続部品である。銅又は銅合金等の導電性金属体であるチューブ4は、第1及び第2プランジャー1,2を摺動自在に保持するもので、第1及び第2プランジャー1,2の基端側とコイルスプリング3とを内部に収容する。例えばピアノ線やステンレス線等の一般的な導体金属材質で形成されたコイルスプリング3は、第1及び第2プランジャー1,2を互いに離れる方向に付勢するように第1及び第2プランジャー1,2に対して設けられ、第1及び第2プランジャー1,2に検査対象物5及び検査用基板6との接触力を与える。検査対象物5は、例えば電極が所定間隔で配列された半導体集積回路であり、図示の場合、電極バンプ5aが所定間隔で配列されたものである。検査用基板6は、測定器側に接続される電極パッド(図示せず)を電極バンプ5aに対応して所定間隔で有するものである。
【0024】
銅又は銅合金等の導電性金属体である第1プランジャー1は、基端側から順に、基端側円柱部11と、第1小径部12と、第2小径部13と、フランジ部14と、第3小径部17と、先端側円柱部19とを有する。同じく銅又は銅合金等の導電性金属体である第2プランジャー2は、基端側から順に、基端側円柱部21と、小径部22と、先端側円柱部29とを有する。コイルスプリング3は、第1及び第2プランジャー1,2の基端側円柱部11,21の端面間に設けられ、各端面に離間方向の付勢力を与える。円筒状のチューブ4は、軸方向の異なる2箇所の中間部側面に、リング状に内側に凹んだ絞り部401,402を第1及び第2プランジャー1,2の抜止めのために有する。
【0025】
第1プランジャー1において、基端側円柱部11は、絞り部401の内径よりも大径である。円柱状の第1小径部12は、絞り部401の内径よりも小径である。軸方向について第1小径部12の存在範囲内に絞り部401が位置する。したがって、基端側円柱部11が絞り部401に引っ掛かり、第1プランジャー1はチューブ4からの抜けが防止される。円柱状の第2小径部13は、絞り部401の内径よりも大径であり、常に一部がチューブ4内部に位置する。
【0026】
フランジ部14は、図3(B)及び図3(C)等に示すように、先端側円柱部19よりも大径の円板の側面を、軸方向(Z方向)から見て例えば略菱形となるように4面カットした形状である。なお、本図の例では、軸方向から見てフランジ部14のX方向両端の頂点に相当する側面部分14a,14bは、カットされずに円弧面となっている。換言すれば、フランジ部14は、4つの平面である側面141〜144を有し、側面141〜144(及びそれらと同一平面の延長面)で囲まれた領域が軸方向から見て略菱形となる形状である。そして、フランジ部14は、図1(A)に示すように、X方向から見ると、先端側円柱部19よりも幅が狭く、かつ先端側円柱部19の存在幅内にある、すなわち先端側円柱部19の側面よりも外側に(軸方向と垂直な方向に)延びない。他方、図2に示すように、Y方向から見ると、先端側円柱部19よりも幅が広く、かつ先端側円柱部19の側面よりも外側に(軸方向と垂直な方向に)延びる(突出する)。すなわち、図3(C)に示すように、フランジ部14は、軸方向から見て、先端側円柱部19の側面の一部19b,19cから外側に延びる一方、当該一部19b,19cを除く部分からは外側に延びない。なお、図3(C)に示すように、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びる一部19b,19cの範囲は、それぞれ軸方向から見て中心角θが90°以内であるとよい。また、フランジ部14は、軸方向から見て、中心軸からX方向に行くほど幅が狭くなるように延びる(先細に延びる)とよい。
【0027】
円柱状の第3小径部17は、基端がフランジ部14の先端側端面と連なる。先端側円柱部19は、基端側円柱部11、第2小径部13及び第3小径部17よりも大径であり、また第2プランジャー2の基端側円柱部21及び先端側円柱部29よりも大径である。さらに、先端側円柱部19は、チューブ4と同径である。先端側円柱部19の先端は、検査対象物5の電極バンプ5aと接触する接触部19aとなっている。接触部19aは、分割山形状(ここでは8分割)であり、外周に中心から等角度間隔(ここでは45°間隔)で山の頂点が存在する。なお、図3(A)では、山の稜線(凸部の稜線)を図示する一方、谷線の図示は省略している。
【0028】
第2プランジャー2において、基端側円柱部21は、絞り部402の内径よりも大径である。円柱状の小径部22は、絞り部402の内径よりも小径である。軸方向について小径部22の存在範囲内に絞り部402が位置する。したがって、基端側円柱部21が絞り部402に引っ掛かり、第2プランジャー2はチューブ4からの抜けが防止される。先端側円柱部29は、絞り部402の内径よりも大径であり、基端側が部分的にチューブ4内部に位置する。先端側円柱部29の先端は、検査用基板6の電極パッド(不図示)と接触する接触部29aとなっている。接触部29aは、例えば円錐形状である。
【0029】
ソケット30は、コンタクトプローブ100を複数本平行に配置するための空洞部32を所定間隔で有する絶縁支持体31を備え、それらの各空洞部32にコンタクトプローブ100を挿入配置したものである。具体的には、第1プランジャー1、第2プランジャー2、コイルスプリング3及びチューブ4を一体的に組み立ててコンタクトプローブ100を構成したものを、絶縁支持体31の空洞部32に挿入配置する。なお、絶縁支持体31は、コンタクトプローブ100を空洞部32内に組み込むために、第1層31a及び第2層31bに分割された構造となっている。
【0030】
空洞部32両端部(上下端部)の開口側摺動支持部33,34は第1及び第2プランジャー1,2の先端側円柱部19,29をそれぞれ摺動自在に支持(嵌合)する。空洞部32の開口側摺動支持部33,34を除く中間部35は、第1層31a及び第2層31bの境界付近を除き開口側摺動支持部33と同径である(又は同径以下でもよい)が、第2層31bの第1層31aが接合される側(開口側摺動支持部33側)が図2に示すようにX方向に広げられており、また、開口側摺動支持部34よりも大径である。開口側摺動支持部33は、フランジ部14に係合してコンタクトプローブ100の抜け出しを規制する。開口側摺動支持部34は、チューブ4よりも小径であり、コンタクトプローブ100の一端に係合してチューブ4の抜け出しを規制する。
【0031】
ソケット30において、隣り合うコンタクトプローブ100は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びない部分(図3(C)において符号19b,19cで示す部分以外の部分)同士が対面する。本実施の形態では、隣り合うコンタクトプローブ100のコンタクトピッチP2は、次式で示される(図3(A)及び図4参照)。
P2=E+(F×2) …式2
E:絶縁支持体31の最小肉厚
F:絶縁支持体31と先端側円柱部19の側面との隙間
【0032】
式2で示す本実施の形態のコンタクトピッチP2は、式1で示した従来のコンタクトピッチP1よりも、ΔP=(G×2)+(H×2)の分だけ狭くなっている。その第1の理由は、本実施の形態では、隣り合うコンタクトプローブ100は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びない部分同士が対面するため、従来のコンタクトピッチP1における式1のG(フランジ部と先端側円柱部の半径差)に相当するものをゼロにできたことによる。第2の理由は、本実施の形態では、フランジ部14が第1プランジャー1の回り止めとなるため、図3(A)に示すように、隣り合うコンタクトプローブ100の先端側円柱部19の接触部19aを、山の頂点同士が最短距離となるような角度に保持でき、従来のコンタクトピッチP1における式1のH(先端側円柱部19の側面から先端面の山の頂点までの距離)に相当するものをほぼゼロにできたことによる。
【0033】
図5(A)は、図1に示す絶縁支持体31の第2層31bを軸方向から見た矢視図である。図5(B)は、図5(A)のB-B'断面図である。図5(C)は、図5(A)のC-C'断面図である。メイン孔部311は、図1に示す第1及び第2プランジャー1,2の基端側、コイルスプリング3、チューブ4を収容するものである。メイン孔部311のX方向両側にメイン孔部311と連なって存在する所定深さのフランジ用穴部312,313は、メイン孔部311よりも小径で、フランジ部14のうち軸方向から見て先端側円柱部19の側面から外側に延長した部分がZ方向に移動する空間を確保する。加工順序としては、まずフランジ用穴部312,313の加工後に、メイン孔部311を加工する。加工には一般的な汎用ドリルを使用可能である。
【0034】
図6は、隣り合うコンタクトプローブ100(最も近い2つのコンタクトプローブ100)の配置例1を示す、Z方向から見た説明図である。図7は、隣り合うコンタクトプローブ100(最も近い2つのコンタクトプローブ100)の配置例2を示す、Z方向から見た説明図である。図8は、図6に示す配置例1に基づく、多数個のコンタクトプローブ100の行列配置例1を示す、Z方向から見た説明図である。図9は、図7に示す配置例2に基づく、多数個のコンタクトプローブ100の行列配置例2を示す、Z方向から見た説明図である。なお、図8及び図9では、接触対象となる電極バンプ5aの行列を二点鎖線で示している。
【0035】
図6に示す配置例1は、図1に示したものと同様であり、X方向に突出したフランジ部14を有するコンタクトプローブ100をY方向に並べた例である。図7に示す配置例2は、X方向に突出したフランジ部14を有するコンタクトプローブ100をX方向と45°(Y方向とも45°)を成す方向に並べた例である。配置例1及び2のいずれも、コンタクトピッチP3は式2のコンタクトピッチP2と同じ長さである。他方、電極バンプ5aの最小配置ピッチは、配置例1及び2で互いに異なる。
【0036】
図8に示すように、配置例1に基づくコンタクトプローブ100の行列配置の場合、電極バンプ5aの最小配置ピッチP4は、P4=P3×2である。これに対し、図9に示すように、配置例2に基づくコンタクトプローブ100の行列配置の場合、電極バンプ5aの最小配置ピッチP5は、P5=P3×2/√2であり、配置例1に基づく最小配置ピッチP4よりも約30%狭ピッチ化できる。見方を変えれば、電極バンプ5aの配置ピッチが同じであれば、配置例2は、配置例1の場合よりも大径の第1プランジャー1を配置可能で好ましい。なお、狭ピッチ化のためには、フランジ部14が中心軸からX方向に行くほど軸方向から見て幅が狭くなる形状であるとよい。
【0037】
ソケット30を使用して検査を行う場合、ソケット30は検査用基板6上に位置決め載置され、この結果、コイルスプリング3が所定長だけ縮んで第2プランジャー2の先端側円柱部29の接触部29aが検査用基板6の電極パッドに弾接する。半導体集積回路等の検査対象物5が無い状態では、第1プランジャー1はフランジ部14が開口側摺動支持部33で規制されるまで突出方向に移動しており、先端側円柱部19の突出量は最大となっている。検査対象物5がソケット30の絶縁支持体31に対して所定の間隔で対向配置されることにより、先端側円柱部19は後退してコイルスプリング3はさらに圧縮され、その結果、先端側円柱部19は検査対象物5の電極バンプ5aに弾接する。この状態で検査対象物5の検査が実行される。
【0038】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0039】
(1) 隣り合うコンタクトプローブ100は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見てフランジ部14が外側に延びない部分同士が対面するため、従来よりもコンタクトピッチを狭めることが可能となる。
【0040】
(2) フランジ部14が第1プランジャー1の回り止めとなるため、隣り合うコンタクトプローブ100の先端側円柱部19の接触部19aを、山の頂点同士が最短距離となるような角度に保持できる。このことも、従来と比較してコンタクトピッチを狭める点で有利である。
【0041】
(3) 図5で既述のとおり、絶縁支持体31bの孔加工は通常のドリル(汎用ドリル)を用いることができるため、特殊な孔加工(エンドミル等を用いた孔加工)は不要でコスト安かつ製造容易である。
【0042】
(4) フランジ部14が先端側円柱部19よりも小径の第3小径部17に形成されるため、すなわち、フランジ部14の先端側端面が第3小径部17の基端と接するため、フランジ部14の加工時に生じるバリが先端側円柱部19よりも外側に突出することを防止できる。すなわち、絶縁支持体31と先端側円柱部19の側面との隙間は極力小さく設計するため、先端側円柱部19よりも外側に突出するバリの発生を防止しなければならないところ、本実施の形態では先端側円柱部19よりも小径な第3小径部17からフランジ部14が立ち上がるため、そうしたバリの発生を好適に防止できる。
【0043】
(第2の実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施の形態に係るコンタクトプローブ200の形状説明図であり、(A)は一部を断面とした正面図、(B)は右側面図、(C)は底面図、(D)は(A)のX-X'断面図である。図11は、同コンタクトプローブを絶縁支持体31で支持したソケット30の断面図である。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0044】
第1プランジャー1は、先端側円柱部19の基端側にフランジ部14を形成したものである。先端側円柱部19の基端側端面から、所定深さに渡って穴部197が形成される。穴部197内にコイルスプリング3と第2プランジャー2の基端側円柱部21が位置する。穴部197は、開口側が例えばかしめ加工で小径化されており、つまり先端側円柱部19の基端がかしめられてかしめ部19dが形成され、基端側円柱部21の抜けが防止される。コイルスプリング3は、基端側円柱部21の端面と穴部197の底面との間に設けられ、各端面に離間方向の付勢力を与える。第1プランジャー1、第2プランジャーおよびコイルスプリング3でコンタクトプローブ200を構成している。なお、本実施の形態では、フランジ部14の可動空間を絶縁支持体31の第1層31aに穴加工で形成しているが、穴加工の方法は図5で説明したのと同様である。複数のコンタクトプローブ200の配列は、第1の実施の形態と同じでよい。
【0045】
本実施の形態も、第1の実施の形態と同様にコンタクトピッチを狭くすることが可能である。また、チューブ4が不要な点で第1の実施の形態よりも部品点数を削減できる。なお、先端側円柱部19のうちフランジ部14の先端側端面との接点から所定長の範囲を小径化することで、先端側円柱部19よりも外側に突出するバリの発生を第1の実施の形態と同様に防止できる。
【0046】
(第3の実施の形態)
図12は、本発明の第3の実施の形態に係るコンタクトプローブ300(チューブレスタイプ)を絶縁支持体31で支持したソケットの説明図であり、(A)は待機状態(スプリング開放状態)、(B)はケルビン測定状態(スプリング圧縮状態)、(C)は(B)のK-K'断面図である。コンタクトプローブ300の第1プランジャー1は、図1等に示す第1の実施の形態の基端側円柱部11、第1小径部12、第2小径部13をチューブ4と略同径の基端側円柱部411に置き換え、基端側円柱部411の基端側端面の中央部からそれより小径の棒状部412を軸方向に突出させた構成である。基端側円柱部411の基端側端面の縁部にはコイルスプリング3が当接する。棒状部412はコイルスプリング3の内側に延びる。コンタクトプローブ300の第2プランジャー2は、第1の実施の形態の基端側円柱部21、小径部22をチューブ4と略同径の基端側円柱部421に置き換え、基端側円柱部421の基端側端面の中央部からそれより小径の棒状部422を軸方向に突出させた構成である。基端側円柱部421の基端側端面の縁部にはコイルスプリング3が当接する。棒状部422はコイルスプリング3の内側に延びる。コイルスプリング3は、第1の先端側円柱部19よりも小径で、基端側円柱部411,421の基端側端面に離間方向の付勢力を与える。第1プランジャー1、第2プランジャー2およびコイルスプリング3がコンタクトプローブ300を構成している。複数のコンタクトプローブ300の配列は、第1の実施の形態と同じでよい。
【0047】
(第4の実施の形態)
図13は、本発明の第4の実施の形態に係るコンタクトプローブ400を絶縁支持体31で支持したソケットのY方向から見た断面図である。本図において、コンタクトプローブ400の第1及び第2プランジャー1,2は、非断面で示している。図14は、コンタクトプローブ400のフランジ部14の拡大斜視図である。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0048】
本実施の形態では、フランジ部14の上面145,146がZ軸方向と例えば45°を成すテーパ状になっている。また、フランジ部14の上面145,146と係合する開口側摺動支持部33の係合面33a,33bは、フランジ部14の上面145,146と平行となるように面取り(例えば45°)が設けられている。本実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、絶縁支持体31aを組み付けする際、第1プランジャー1の先端側円柱部19の先端角部が引っ掛かりにくくなり、組立性が良好となる。また、フランジ部14の上面145,146と開口側摺動支持部33の係合面33a,33bとの接触面積は、それらがZ軸方向と垂直な場合よりも大きくすることができ、結果、接触面圧を下げ接触面へのダメージを防ぐことができる。
【0049】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0050】
図15(A)〜(C)は、第1の実施の形態の絶縁支持体31の第1層31a及び第2層31bの分割位置のバリエーション説明図である。図15(A)は第1の実施の形態と同様であり、図15(B)では第1層31aにフランジ部14の可動空間を形成し、図15(C)では第1層31a及び第2層31bに跨ってフランジ部14の可動空間を形成している。
【0051】
図16(A)〜(C)は、第2の実施の形態の絶縁支持体31の第1層31a及び第2層31bの分割位置のバリエーション説明図である。図16(A)は第2の実施の形態と同様であり、図16(B)では第2層31bにフランジ部14の可動空間を形成し、図16(C)では第1層31a及び第2層31bに跨ってフランジ部14の可動空間を形成している。
【0052】
実施の形態における基端側円柱部11,21は、円柱形に限らず、球形あるいは楕円球形であってもよい。
【0053】
フランジ部14を軸方向から見た形状は、長方形であってもよい。また、フランジ部14は、先端側円柱部19の側面のうち軸方向から見て1箇所のみから外側に延びる形状であってもよい。実施の形態のように2箇所から外側に延びるほうがバランスがよくて好ましいが、1箇所のみから外側に延びる場合も抜止めや回り止めの機能を実現することは可能である。また、特定の2本のコンタクトプローブのコンタクトピッチを狭める場合、フランジ部14は2面カットであってもよい。すなわち、図3(B)の側面141,142(他方のコンタクトプローブに面しない側面)の加工は行わず、円弧面を残してもよい。
【0054】
先端側円柱部19の端面は、分割山形状に限らず、軸方向と垂直な平面であってもよいし、特許文献1の図2に示されるプランジャー24のような先端形状であってもよい。
【0055】
ケルビン測定用の一組のコンタクトプローブは、同一形状でなくてよく、例えば電流供給用のコンタクトプローブを電圧監視用のものよりも大径にしてもよい。
【0056】
コンタクトプローブ及びソケットの用途はケルビン測定に限らず、電極バンプ5aがコンタクトプローブと同数存在するものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 第1プランジャー
2 第2プランジャー
3 コイルスプリング
4 チューブ
5 検査対象物
5a 電極バンプ
6 検査用基板
14 フランジ部
19,29 先端側円柱部
30 ソケット
31 絶縁支持体
100,200,300 コンタクトプローブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が検査対象物との接続用で、他方が検査用基板との接続用であり、相互に電気的に接続される第1及び第2プランジャーと、
前記第1及び第2プランジャーを互いに離れる方向に付勢するように前記第1及び第2プランジャーに対して設けられたスプリングとを備え、
前記第1プランジャーは、先端側円柱部と、先端から所定距離だけ基端側に存在するフランジ部とを有し、
前記フランジ部は、軸方向から見て、前記先端側円柱部の側面の一部から外側に延びる一方、当該一部を除く部分からは外側に延びない、コンタクトプローブ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンタクトプローブにおいて、前記フランジ部は、軸方向から見て、前記先端側円柱部の側面の相互に対向する2箇所から外側に延びる一方、当該2箇所を除く部分からは外側に延びない、コンタクトプローブ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンタクトプローブにおいて、前記第1プランジャーは、前記フランジ部と前記先端側円柱部との間に、前記フランジ部の先端側端面と接し且つ前記先端側円柱部よりも径が小さい小径部を有する、コンタクトプローブ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のコンタクトプローブを複数本絶縁支持体で支持してなるソケットであって、少なくとも一部の隣り合うコンタクトプローブは、先端側円柱部の側面のうち軸方向から見てフランジ部が外側に延びない部分同士が対面する、ソケット。
【請求項5】
請求項2に記載のコンタクトプローブを軸方向から見た向きを揃えて複数本絶縁支持体で支持してなるソケットであって、
各コンタクトプローブの前記フランジ部は、前記2箇所から外側に先細りに延び、
任意のコンタクトプローブ及び前記任意のコンタクトプローブに最も近いコンタクトプローブを相互に結ぶ方向と、前記任意のコンタクトプローブの先端側円柱部の側面のうち軸方向から見てフランジ部が外側に延びる2箇所同士を結ぶ方向とが約45°の角度を成すように、複数本のコンタクトプローブが軸方向から見て縦横に配列されている、ソケット。
【請求項1】
一方が検査対象物との接続用で、他方が検査用基板との接続用であり、相互に電気的に接続される第1及び第2プランジャーと、
前記第1及び第2プランジャーを互いに離れる方向に付勢するように前記第1及び第2プランジャーに対して設けられたスプリングとを備え、
前記第1プランジャーは、先端側円柱部と、先端から所定距離だけ基端側に存在するフランジ部とを有し、
前記フランジ部は、軸方向から見て、前記先端側円柱部の側面の一部から外側に延びる一方、当該一部を除く部分からは外側に延びない、コンタクトプローブ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンタクトプローブにおいて、前記フランジ部は、軸方向から見て、前記先端側円柱部の側面の相互に対向する2箇所から外側に延びる一方、当該2箇所を除く部分からは外側に延びない、コンタクトプローブ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンタクトプローブにおいて、前記第1プランジャーは、前記フランジ部と前記先端側円柱部との間に、前記フランジ部の先端側端面と接し且つ前記先端側円柱部よりも径が小さい小径部を有する、コンタクトプローブ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のコンタクトプローブを複数本絶縁支持体で支持してなるソケットであって、少なくとも一部の隣り合うコンタクトプローブは、先端側円柱部の側面のうち軸方向から見てフランジ部が外側に延びない部分同士が対面する、ソケット。
【請求項5】
請求項2に記載のコンタクトプローブを軸方向から見た向きを揃えて複数本絶縁支持体で支持してなるソケットであって、
各コンタクトプローブの前記フランジ部は、前記2箇所から外側に先細りに延び、
任意のコンタクトプローブ及び前記任意のコンタクトプローブに最も近いコンタクトプローブを相互に結ぶ方向と、前記任意のコンタクトプローブの先端側円柱部の側面のうち軸方向から見てフランジ部が外側に延びる2箇所同士を結ぶ方向とが約45°の角度を成すように、複数本のコンタクトプローブが軸方向から見て縦横に配列されている、ソケット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
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【図4】
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【図6】
【図7】
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【図11】
【図12】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−149927(P2012−149927A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7332(P2011−7332)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】
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