説明

コンタクトボード及びその構成部品

【課題】高さのバラツキを吸収でき、接続の信頼性等を向上できるコンタクトボード及びその構成部品等を提供する。
【解決手段】ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるコンタクトボードの一部を構成するメンブレンリングであって、リングに張り渡されたメンブレン2の一方の面にバンプ3を有するとともに、メンブレン2の他方の面にパッド4を有するメンブレンリングにおいて、
前記パッド4の断面形状を凹状としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトボード及びその構成部品等に関し、特に、ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるコンタクトボードとして好適に使用できるコンタクトボード及びその構成部品やそれらの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ上に多数形成された半導体ディバイスの検査は、プローブカードによる製品検査(電気的特性試験)と、その後に行われる信頼性試験であるバーンイン試験に大別される。
バーンイン試験は、固有欠陥のある半導体ディバイス、あるいは製造上のばらつきから、時間とストレスに依存する故障を起こすディバイスを除くために行われるスクリーニング試験の一つである。プローブカードによる検査が製造したディバイスの電気的特性試験であるのに対し、バーンイン試験は熱加速試験と言える。
【0003】
バーンイン試験は、プローブカードによって1チップ毎に行われる電気的特性試験の後に、ウエハをダイシングによりチップに切断し、パッケージングしたものについて一つずつバーンイン試験を行う通常の方法(1チップバーンインシステム)ではコスト的に実現性に乏しい。そこで、ウエハ上に多数形成された半導体ディバイスのバーンイン試験を一括して行うためのバーンインボード(コンタクトボード)の開発及び実用化が進められている(特許文献1:特開平7−231019号公報)。バーンインボードを用いたウエハ・一括バーンインシステムは、コスト的に実現可能性が高い他に、ベアチップ出荷及びベアチップ搭載といった最新の技術的な流れを実現可能にするためにも重要な技術である。
【0004】
図14にバーンインボードの具体例を示す。
バーンインボードは、図14に示すように、多層配線基盤20上に、異方性導電ゴムシート30を介して、メンブレンリング10を固定した構造を有する。
メンブレンリング10は、被検査素子と直接接触するコンタクト部分を受け持つ。メンブレンリング10においては、リング1に張り渡されたメンブレン2の一方の面にはバンプ3が、他方の面にはパッド4が形成されている。メンブレンリング10においては、ウエハ40上の各半導体チップの周縁又はセンターライン上に形成されたパッド(約600〜1000ピン程度)に対応して、この数にチップ数を乗じた数のバンプ3がメンブレン2上に形成されている。
多層配線基盤20はメンブレン2上に孤立する各バンプ3にパッド4を介して所定のバーンイン試験信号を付与するための配線をムライト系セラミクス基板等の上に有する。多層配線基盤20は配線が複雑であるため多層配線構造を有する。
異方性導電ゴムシート30は、主面と垂直な方向にのみ導電性を有する弾性体であり、多層配線基盤20上の端子とメンブレン2上のパッド4とを電気的に接続する。異方性導電ゴムシート30は、その表面に形成された凸部でメンブレン2上のパッド4に当接することで、半導体ウエハ40表面の凹凸及びバンプ3の高さのバラツキを吸収し、半導体ウエハ上のパッドとメンブレン2上のバンプ3とを確実に接続する。
【特許文献1】特開平7−231019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したバーンインボード及びその構成部品等には次に示す問題がある。
【0006】
第1に、従来、メンブレンリングと異方性導電ゴムシートの組合せで、半導体ウエハ上のパッドやメンブレン上のバンプ3の高さのバラツキをある程度吸収することはできるが、隣接するバンプ間の間隔が狭くなる(狭ピッチになる)と図15(特に(b))に示すように、フレキシブル性を発揮できず高さのバラツキを吸収できなくなり、接触不良を生じる。
【0007】
第2に、コンタクトボード及びその構成部品等にあっては、接続の信頼性等を向上させるため、さらなる改良を施す必要がある。
【0008】
本発明は上述した背景の下になされたものであり、高さのバラツキを吸収できるコンタクトボード及びその構成部品等の提供を第一の目的とする。
また、接続の信頼性等をさらに向上できるコンタクトボード及びその構成部品等の提供を第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、以下に示す構成としてある。
【0010】
(構成1)ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるコンタクトボードの一部を構成するメンブレンリングであって、リングに張り渡されたメンブレンの一方の面に各半導体デバイスに接触させるバンプを有するとともに、メンブレンの他方の面にパッドを有し、メンブレンを貫通して形成されたバンプホールを介して前記バンプと前記パッドとを接続した構造を有するメンブレンリングにおいて、前記メンブレンにおける隣接するバンプ間のメンブレンに切り込みを設けたことを特徴とするメンブレンリング。
【0011】
(構成2)前記切り込みを、レーザーによって設けたことを特徴とする構成1記載のメンブレンリング。
【0012】
(構成3)ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるコンタクトボードの一部を構成するメンブレンリングであって、リングに張り渡されたメンブレンの一方の面に各半導体デバイスに接触させるバンプを有するとともに、メンブレンの他方の面にパッドを有し、メンブレンを貫通して形成されたバンプホールを介して前記バンプと前記パッドとを接続した構造を有するメンブレンリングにおいて、前記パッドの断面形状を凹状としたことを特徴とするメンブレンリング。
【0013】
(構成4)ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるコンタクトボードの一部を構成するメンブレンリングであって、リングに張り渡されたメンブレンの一方の面に各半導体デバイスに接触させるバンプを有するとともに、メンブレンの他方の面にパッドを有し、メンブレンを貫通して形成されたバンプホールを介して前記バンプと前記パッドとを接続した構造を有するメンブレンリングにおいて、前記パッドの断面形状を凹状とするとともに、該パッドの凹状部分に異方性導電ゴム片、導電性ゴム片、又は非導電性ゴム片を介在させたことを特徴とするメンブレンリング。
【0014】
(構成5)前記パッドがCuからなり、前記バンプがNi又はNi合金からなり、前記メンブレンがポリイミドからなることを特徴とする構成1乃至4記載のメンブレンリング。
【0015】
(構成6)前記パッド及び/又は前記バンプの表面に、金、Au−Co合金、ロジウム、パラジウム及びこれらを含む合金のうちのいずれかからなる膜を形成したことを特徴とする構成1乃至5記載のメンブレンリング。
【0016】
(構成7)構成1乃至6記載の構造を有するメンブレンリングと、多層配線基板とからなることを特徴とするコンタクトボード。
【0017】
(構成8)構成1乃至6記載の構造を有するメンブレンリングと、リングの径を異とする複数の配線用メンブレンリングからなることを特徴とするフレキシブルコンタクトボード。
【0018】
(構成9)ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるコンタクトボードの一部を構成するメンブレンリングであって、リングに張り渡されたメンブレンの一方の面に各半導体デバイスに接触させるバンプを有するとともに、メンブレンの他方の面にパッドを有し、メンブレンを貫通して形成されたバンプホールを介して前記バンプと前記パッドとを接続した構造を有するメンブレンリングにおいて、前記バンプの表面に凹凸を設けたことを特徴とするメンブレンリング。
【0019】
(構成10)ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるコンタクトボードの一部を構成するメンブレンリングであって、リングに張り渡されたメンブレンの一方の面に各半導体デバイスに接触させるバンプを有するとともに、メンブレンの他方の面にパッドを有し、メンブレンを貫通して形成されたバンプホールを介して前記バンプと前記パッドとを接続した構造を有するメンブレンリングにおいて、リング材料が、下記条件式を満たすことを特徴とするメンブレンリング。

(リングの熱膨張率−シリコンの熱膨張率)×10−6×(ウエハの半径×10)×(測定温度(バーンイン試験温度)−製造温度(接着時温度))<|(ウエハのパッド寸法/2)−(アライメント精度)|
【0020】
(構成11)ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるコンタクトボードの一部を構成するメンブレンリングの形成方法において、導電性金属層が形成されたフィルムとリングとを接着する際に、嫌気性接着剤又は好気性接着剤を用い、所定温度に加熱した後、酸素を遮断するか又は酸素を供給して接着を行うことを特徴とするメンブレンリングの形成方法。
【0021】
(構成12)多層配線基板の最上層のパッドを形成する際に、薄い導電性金属層を形成し、導電性金属層上にレジストを塗布し、パッドを形成する部分のレジストを露光、現像によって除去し、前記導電性金属にメッキ用電極の一方を接続して電気メッキを行いパッドを形成する工程と、レジストを除去後、パッドの下部以外の部分の導電性金属をエッチングにより除去する工程と、を有することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【0022】
(構成13)多層配線基板を構成するガラス基板に素子付け用の貫通孔を形成する際に、貫通孔の上下の周縁に面取り加工を施したことを特徴とする多層配線基板。
【0023】
(構成14)多層配線基板の形成工程において、多層配線層形成後のガラス基板の反りを防止する処理を施す工程を有することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【0024】
(作用)
構成1によれば、図1(コンタクト前)に示すように、メンブレン2における隣接するバンプ3間に切り込み5を設けることで、隣接する各バンプ3を独立させ、図2(コンタクト後)に示すようにして、バンプ3やパッド41の高さのバラツキを吸収することが可能となる。なお、図2(a)ではウエハ40上のパッド41の高さのバラツキを吸収する様子を示しているが、バンプ3の高さにバラツキがある場合も同様に吸収できる。
【0025】
構成2によれば、切り込みをレーザーによって設けることで、精度良くかつ簡単に低コストでメンブレンに切り込みを設けることが可能となる。
【0026】
構成3によれば、図3(a)(コンタクト前)に示すように、パッド4の断面形状を凹状とすることで、図3(b)(コンタクト後)に示すように、コンタクト時にパッド4の凹部の窪みの分だけ、高さのバラツキを吸収することが可能となる。
【0027】
構成4によれば、図5に示すように、パッド4の断面形状を凹状とすることで、構成3と同様に高さのバラツキを吸収することが可能となる。また、パッド4の凹状部分に異方性導電ゴム片、導電性ゴム片、又は非導電性ゴム片などのゴム片6を介在させることで、より弾力性を付与することができる。
【0028】
構成5では、パッド、バンプ、メンブレンについて品質及びコスト等の観点から現在のところ好ましい材料を示している。
【0029】
構成6では、パッド及び/又はバンプの表面に、これらの金属膜を形成することで、コンタクト抵抗を低減するとともに、化学的耐久性を高めることができる。
【0030】
構成7では、構成1乃至6記載の構造を有するメンブレンリングと、多層配線基板とでコンタクトボードを構成することで、高さのバラツキを吸収することが可能なコンタクトボードが得られる。また、このコンタクトボードは、バーンインボード以外の用途に適用可能である。
【0031】
構成8によれば、次の作用がある。
第1に、従来の多層配線基板の代わりに配線用のメンブレンリングを使用している、すなわち、バーンインボード全体を複数のメンブレンリングで構成することで、フレキシブル性やクッション性が高くなり、したがって、コンタクトの圧力が全面で均一になり、また、バンプやパッドの高さのバラツキにも構造的に対応できる。さらに、一部のメンブレンリング(例えばコンタクト用のメンブレンリング)あるいは全てのメンブレンリングの構造を、構成1乃至4に記載の高さのバラツキを吸収可能な構造とすることで、バンプやパッドの高さのバラツキをより吸収しやすくなる。
第2に、構造が簡単で、製造コストが安い(約5分の1以下にできる)。
第3に、各メンブレンリングに分解できるので、欠陥の修正が容易で、修正が困難な場合であっても欠陥のあるメンブレンリングだけ交換できる。
第4に、バーンインボード以外の用途に適用可能である。
【0032】
構成9によれば、バンプ表面に凹凸を設けることで、相手のパッドに食い込みやすく、接触時に滑ることがなく、接触抵抗を低減でき、良好な接触状態が得られる。したがって、コンタクトボードの接続の信頼性向上等に寄与できる。
【0033】
構成10によれば、所定の条件式を満たすリング材料を用いることで、ウエハ−メンブレンリング−多層配線基板間の位置ずれの問題を回避できる。したがって、コンタクトボードの接続の信頼性向上等に寄与できる。
【0034】
構成11によれば、メンブレンリングの形成に際して、導電性金属層が形成されたフィルムとリングとを接着する接着剤としてこれらの接着剤を用いることで、厳密に所定の温度に到達した時点(所望の熱膨張を果たした時点)で、接着剤を硬化させて接着でき、硬化温度を厳密に制御できる。したがって、コンタクトボードの接続の信頼性向上等に寄与できる。
【0035】
構成12によれば、多層配線基板の最上層のパッドを形成する際に、薄い導電性金属層を形成し、導電性金属層上にレジストを塗布し、パッドを形成する部分のレジストを露光、現像によって除去し、前記導電性金属にメッキ用電極の一方を接続して電気メッキを行いパッドを形成することによって、パッドの寸法精度が高く、面内の寸法バラツキが少ない。また、パッドの表面に電気メッキによる金の厚メッキや、金コバルト合金メッキ等が可能になり、パッドの機械的強度を増すことができる。したがって、コンタクトボードの接続の信頼性向上等に寄与できる。
【0036】
構成13によれば、多層配線基板を構成するガラス基板に素子付け用の貫通孔を形成する際に、貫通孔の上下の周縁に面取り加工を施すことで、貫通孔の形成に伴って貫通孔の上下の周縁に生じる凸部を除去できる。また、貫通孔に金属膜をスパッタ法やめっき法で形成する際の形成が容易かつ確実となり、断線がなくスルーホール導通の信頼性が向上する。さらに、貫通孔に素子を半田付けする際にも、面取りによる溝があるため半田が基板表面よりはみ出すことがない。したがって、コンタクトボードの接続の信頼性向上等に寄与できる。
【0037】
構成14によれば、多層配線基板の形成工程において、多層配線層形成後のガラス基板の反りを防止する処理を施すことで、多層配線基板の平坦性を向上できる。したがって、コンタクトボードの接続の信頼性向上等に寄与できる。
【0038】
(発明の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0039】
実施の形態1
(1)メンブレンリングの作製
メンブレンリングの作製工程
メンブレンリングの作製方法について、図6を参照して説明する。
【0040】
まず、図6(a)に示すように、平坦度の高いアルミニウム板11上に厚さ5mmの均一の厚さのシリコンゴムシート12を置く。
その一方で、例えば、厚さ18μmの銅箔と、厚さ25μmのポリイミドフィルムを貼り合せた構造のフィルム13、あるいは厚さ25μmのポリイミドフィルム上に、スパッタ法又はめっき法で銅を厚さ18μmで成膜したフィルム13を準備する。
なお、フィルム13の材料、形成方法、厚さ等は適宜選択できる。例えば、厚さ25μm(12〜50μm)程度のポリイミドフィルムや、厚さ0.3mm(0.1〜0.5mm)程度のシリコンゴムシートを使用できる。フィルムの形成方法もコーティング法で形成したり、市販のフィルム又はシートを利用したりできる。さらに、銅箔にポリイミド前駆体をキャスティングした後、ポリイミド前駆体を加熱して乾燥及び硬化させて、銅箔とポリイミドフィルムを貼り合せた構造のフィルムを形成することもできる。また、フィルムの一方の面に複数の導電性金属を順次成膜して、フィルムの一方の面に積層構造を有する導電性金属層を形成した構造のものを使用することもできる。
なお、ポリイミドフィルムと銅との間には、両者の接着性を向上させること、及び膜汚染を防止することを目的として、特に図示しないが薄いNi膜等を形成してもよい。
【0041】
次いで、上記シリコンゴムシート12上に、銅箔とポリイミドフィルムを貼り合せた構造のフィルム13を銅箔側を下にして均一に展開した状態で吸着させる。この際、シリコンゴムシート12にフィルム13が吸着する性質を利用し、しわやたわみが生じないように、空気層を追い出しつつ吸着させることで、均一に展開した状態で吸着させる。
【0042】
次に、内径220mmφ、外径240mmφ、厚さ2mmの円形のSiCリング14の接着面に熱硬化性接着剤15を薄く均一に、50〜100μm程度の厚さで塗布し、フィルム13上に置く。ここで、熱硬化性接着剤15としては、バーンイン試験の設定温度80〜150℃よりも0〜50℃高い温度で硬化するものを使用する。本実施の形態では、ボンドハイチップHT−100L(主剤:硬化剤=4:1)(コニシ(株)社製)を使用した。
さらに、平坦性の高いアルミニウム板(重さ約2.5kg)を重石として、リング14上に載せる(図示せず)。
【0043】
上記準備工程を終えたものをバーンイン試験の設定温度(80〜150℃)以上の温度(例えば200℃、2.5時間)で加熱して前記フィルム13と前記リング14を接着する(図(6b))。
この際、シリコンゴムシート12の熱膨張率はフィルム13の熱膨張率よりも大きいので、シリコンゴムシート12に吸着したフィルム13はシリコンゴムシート12と同じだけ熱膨張する。すなわち、フィルム13を単にバーンイン試験の設定温度(80〜150℃)以上の温度で加熱した場合に比べ、より熱膨張する。このようにテンションの大きい状態で、熱硬化性接着剤15が硬化し、フィルム13とリング14が接着される。また、シリコンゴムシート12上のフィルム13は、しわやたわみ、ゆるみなく均一に展開した状態で吸着されているので、フィルム13にしわやたわみ、ゆるみなく、リング14にフィルム13を接着することができる。さらに、シリコンゴムシート12は平坦性が高く、弾力性を有するので、リング14の接着面に、均一にむらなくフィルム13を接着することができる。
なお、熱硬化性接着剤を使用しない場合、フィルムが収縮し、張力が弱まる他に、接着剤の硬化時期が場所によってばらつくため、リングの接着面に均一にむらなく接着ができない。
【0044】
上記加熱接着工程を終えたものを常温まで冷却し、加熱前の状態まで収縮させる。その後、カッターでリング14の外周に沿ってリング14の外側のフィルム13を切断除去する(図6(c))。その後、表面を良く洗浄する。
【0045】
なお、上記メンブレンリングの作製工程において、SiCリングの代わりに、SiN、SiCN、インバーニッケルや、その他のSiに近い熱膨張率を有し強度の高い材料からなるリングを用いてもよい。
また、リングは、シリコンウエハのサイズ、シリコンウエハ上のパッドサイズ、及びウエハ−メンブレンリング−多層配線基板間のアライメント精度に応じて要求される熱膨張率の値が異なるので、その場合は下記条件式を満たすリング材料を用いることが好ましい。
【0046】
(リングの熱膨張率−シリコンの熱膨張率)×10−6×(ウエハの半径×10)×(測定温度(バーンイン試験温度)−製造温度(接着時温度))<|(ウエハのパッド寸法/2)−(アライメント精度)|
【0047】
上記関係を満たすと、バーンイン試験時(加熱時)に、メンブレンリング上のバンプとウエハ上のパッドとが非接触とならない程度にメンブレンリングの膨張によるシリコンウエハ上のパッドとの位置ずれの最大値が小さく、かつ、多層配線基板上のパッドがシリコンウエハ上のパッド内に収まり、良好な接触が得られる。上記関係を満たすリング材料としては、クロム、銅、タングステン、ニッケル、モリブデン、アルミニウムブロンズ、ステライト、ステンレス鋼、ニッケル鋼、モネルメタル、燐青銅などの各種金属、酸化チタン、酸化アルミニウム、SiO2などのセラミクス、各種ガラス(低膨張ガラス、石英を含む)などが挙げられる。
なお、リング材料と多層配線基板の基板材料とを、同じ材料とすると、メンブレンリングと多層配線基板の膨張率が同一であるので、膨張率の差によるずれは生じず、膨張率の差によるずれを回避できる。
【0048】
また、上記メンブレンリングの作製工程において、アルミニウム板の代わりに、テフロン板(テフロンは登録商標)を用いてもよい。
さらに、シリコンゴムシートの代わりに、粘着性を持たせたフッ素ゴムを用いてもよい。
また、熱硬化性接着剤として、他の市販の各種熱硬化性接着剤を用いてもよい。例えば、エイブルボンド736等を使用できる。
さらに、熱硬化性接着剤の代わりに、嫌気性接着剤(テトラエチレングリコールジメタクリル酸エステルなど)を用い、バーンイン試験の設定温度以上の所定の温度に達した時点で、真空にするか窒素をパージして酸素を遮断し、嫌気性接着剤を硬化させて、フィルム13とリング14を接着することもできる。同様に、 好気性接着剤を用い、酸素をパージして、フィルム13とリング14を接着することもできる。これらの場合、厳密に所定の温度に到達した時点(所望の熱膨張を果たした時点)で、接着剤を硬化させて接着でき、硬化温度を厳密に制御できる。熱硬化性接着剤を用いた場合は、熱硬化性接着剤の硬化温度に多少分布(幅)があるため、平均値としての硬化温度(例えば150℃)に到達する前に部分的に硬化してしまい、硬化温度の厳密な制御が難しい。
【0049】
メンブレンリングの加工工程
次に、上記で作製したメンブレンリングを加工してバンプ及びパッドを形成する工程について説明する。
図7にメンブレンリングの加工工程を説明するための要部断面図を示す。なお、図7では、メンブレンにリングが接着されているが、リングの図示は省略する。
【0050】
まず、図7(a)に示す、上記で作製したメンブレンリングにおける銅箔とポリイミドフィルムを貼り合せた構造のフィルム13の銅箔(Cu)上に、図7(b)に示すように、電気めっきにより、Niを0.3μm(0.1〜3μm)めっきした後、その上にAuを0.5μm(0.3〜0.5μm)で形成して、Au/Ni/Cu/ポリイミドフィルム積層膜構造を形成する。
なお、無電解めっきでNi膜、Au膜を形成することもできるが、無電解めっきは膜を厚付けできず、密着力及び強度が弱いため、電気めっきを適用してNi膜、Au膜を形成するのが好ましい。
【0051】
次いで、図7(c)に示すように、ポリイミドフィルムの所定位置に、エキシマレーザを用いて、直径が約30μmのバンプホールを形成する。
【0052】
次に、図7(d)に示すように、最上層のAu膜の表面がめっきされないようにするために、レジスト等の保護膜を、電極として使用するAu膜の一部を除く全面に約2〜3μmの厚さで塗布して、Au膜を保護する。
なお、Au膜上に保護膜を塗布する以外にも、治具を使用してNi膜を保護することもできる。
【0053】
次いで、前記最上層のAu膜に電極の一方を接続し、ポリイミドフィルム側にNiあるいはNi合金の電気めっきを行う。この電気めっきにより、めっきは図7(d)に示すバンプホールを埋めるようにして成長した後、ポリイミドフィルムの表面に達すると、等方的に広がってほぼ半球状に成長し、NiまたはNi合金からなるバンプ(ポリイミドフィルム表面からの高さ20μm、径70μm)が形成される。
続いて、バンプの表面に膜厚1〜2μmのAuからなる電気めっき層を形成する。このように、バンプを形成した直後にバンプ表面に酸化しない金属を含む膜を形成することで、バンプ表面の酸化を回避し、酸化膜の除去工程が不要となる。
その後、特に図示しないが、前記保護膜を剥離する。
【0054】
次に、図7(e)に示すように、最上層のAu膜上に新たにレジスト(ヘキスト社製:AZ1350)を全面に塗布し、90℃で30分間ベークした後、パッドを形成する部分以外のレジストをフォトマスクを用いて露光し、現像によって除去し、パッド形成部の上部にレジストパターンを形成する。
【0055】
次いで、図7(f)に示すように、Au膜をヨウ素・ヨウ化カリウム水溶液にてエッチングし、Ni膜及びCu膜を40ボーメ度塩化第二鉄水溶液にてエッチングを行い、よくリンスした後、前記レジストを剥離して、図7(g)に示すように、パッドを形成する。なお、エッチングはスプレー方式を使用するとサイドエッチングが少なく、望ましい。
【0056】
その後、ポリイミドフィルムの所定位置(バンプ間)に、エキシマレーザ等を用いて、幅約0.1〜30μm、長さ約50〜300μmの切り込み(図示せず)を形成する。
なお、切り込みは、レーザー加工、エッチング法、カッターによる切断などの方法によっても形成できる。
【0057】
以上の工程を経て、リングに張り渡されたメンブレンの一方の面にバンプを有するとともに、メンブレンの他方の面にパッドを有し、メンブレンの所定位置に切り込みを有するメンブレンリングが作製される。
【0058】
なお、上記メンブレンリングの加工工程において、以下に示す方法等を用いて、バンプ表面に凹凸を設けることができる。
第1に、バンプの表面を研磨する方法がある。例えば、表面研磨セラミック(表面粗さ5μm程度)などからなる研磨シート又は研磨基板を用いて、バンプの表面を研磨する。これにより、バンプの表面が粗くなり、接触(コンタクト)時に滑ることなく、良好な接触状態が得られる。
第2に、図8に示すように、単一のバンプを形成すべき中心から外れた位置に複数のバンプホールを形成し、複数のバンプ3a,3bで単一のバンプを構成することで、表面に凹凸があり、相手のパッドに食い込みやすく、接触抵抗を低減できる。なお、図9に示すように、複数のバンプ3a,3bを離して形成しても良い。
第3に、図10に示すように、バンプ側にレジストを塗布し(図10(a))、アッシングによりバンプ3の頂部を露出させ(図10(b))、エッチングによってバンプ3の頂部をキザキザ状にすることもできる(図10(c)、(d))。
【0059】
(2)多層配線基板の作製
次に、多層配線基板の製造方法について図11を参照して説明する。なお、説明を容易にするため3層構造の多層配線基板を作製する場合について説明するが、3層構造に限られず、任意の積層数とすることができる。
【0060】
まず、図11(a)に示すように、表面を平らに研磨した厚さ約3〜5mm、サイズ320mm角のガラス基板21(Siと膨張率が同じか又はSiと膨張率が近いガラス基板)の片面に、スパッタ法にて、Crを約300オングストローム、Cuを約2.5μmの膜厚にてそれぞれ成膜する。次いで、Cu表面上に電解めっきにより、Ni膜を約0.3μmの膜厚にて形成する。なお、Ni膜をスパッタにて形成することも可能である。
【0061】
続いて、所定のフォトリソグラフィー工程(レジストコート、露光、現像、エッチング)を行い、Ni/Cu/Cr多層配線層を、図11(b)に示すようにパターニングして、第1配線層22(第1配線パターン)を形成する。詳しくは、塩化第2鉄水溶液等のエッチング液を使用して、Ni/Cu/Cr多層膜をエッチングすることによりパターニングを行い、レジスト剥離液を用いてレジストを剥離し、水洗後、乾燥させる。
【0062】
次いで、第1配線パターン上に感光性ポリイミド前駆体(例えば、旭化成社製パイメルポリイミド前駆体など)を用いて、ポリイミド絶縁層23を形成し、このポリイミド絶縁層23上にフォトリソグラフィーにて図11(c)に示すようにコンタクトホール25を形成する。詳しくは、ポリイミド前駆体に対し、350℃における3時間の焼き付け、ベーク、加熱が行われ(キュアされ)、前記ポリイミド前駆体が完全にポリイミド化された後、その表面を、軽く酸素プラズマに曝す。これによって、ポリイミド絶縁層の表面に凹凸が形成され、ドライエッチングにてポリイミド絶縁層表面を約0.1μm程度の粗さにすることにより、その表面積を広げ、アンカー効果にて、次工程にて形成される第2配線層との密着力を高めるとともに、コンタクトホール内のポリイミド、現像液等の残さ等の有機物を酸化し除去することができる。
【0063】
そして、多層配線基板を、例えば、98%硫酸を使用して硫酸:水=1:10で混合して作成した、1/10硫酸水溶液に浸漬し、コンタクトホール底部に露出するNi膜表面に存在する酸化物を除去した後、Ni膜を触媒として無電解めっきを行い、図11(d)に示すように、コンタクトホール25の底部にAuを約0.1μmの膜厚にて形成する。つまり、無電解めっきによるAu膜形成においては、AuがNi膜表面に選択的に析出し、他の部分には析出しないというメリットがあり、この性質を利用して、コンタクトホール底部のみにAuを析出させて、その後乾燥が行われている。
【0064】
その後、多層配線基板を、表面酸化層を除去するため多層配線基板を酸にてソフトエッチングした後、水にて洗浄(リンス)して、約100℃にて乾燥を行う。このとき、コンタクトホール底部に形成されているAu膜は耐酸化性が高いために、容易に高温乾燥を行うことができる。
【0065】
次いで、図11(e)に示すように、第2配線層における、Ni/Cu/Crの多層構造を有する金属膜を、第1配線層22と同様にして、図4(a)の工程を再度行うことにより形成し、電解めっきによりAu膜を約0.3μmの膜厚にて形成する。
【0066】
最後に、エッチングにより、Au/Ni/Cu/Cr多層膜を所定のパターンにパターニングすることによって、図11(f)に示すように第2配線層24が形成される。
【0067】
上記多層配線基板によれば、第1配線層と第2配線層とを接続するコンタクトホールの底部にAu膜を形成しているので、全てのコンタクトホール(例えば8700箇所)について酸化による接続不良を生ずることがなく、かつ、コンタクト抵抗を低減できる。
また、最終的な多層配線基板の最表面にAuが形成されているため、耐酸化性が強く、多層配線基板の信頼性を向上することができる。さらに、最表面のAuは電解めっきにて形成しているため、合金によって形成することもできるので、さらに硬度をあげることができ、コンタクタとして使用しても強度が高いため、信頼性を向上することができる。
【0068】
なお、上記多層配線基板の形成工程において、多層配線層形成後のガラス基板(厚さ3〜5mm)の反り(例えばポリイミド4層で80μm位反る)をなくすため、以下の処理を施すことができる。
第1に、あらかじめ、ガラス基板の裏面に、表面に形成する多層配線層の厚さと同程度の厚さの絶縁層をコートしておく。
第2に、ガラス基板表面を化学強化し、研磨等により表裏の化学強化層の深さに差異を持たせることによって、多層配線層形成後のガラス基板に反りが生じないようにする。
第3に、ガラス基板の裏面に引っ張り応力が出るように金属膜を形成する。
【0069】
また、上記多層配線基板の形成工程において、多層配線基板の最上層におけるパッドの形成を、パッドを形成する部分以外の部分にレジストパターンを形成し、このレジストパターンの間に、電気メッキによりパッドを形成する方法で行うことができる。この方法によると、パッドの寸法精度が高く、面内の寸法バラツキが少ない。これは、パッドの寸法がレジストパターンで規制されるためであり、レジストパターンはマスク寸法に忠実に高い寸法精度で形成できるからである。また、パターニング前であるので、パッドの表面に電気メッキによる金の厚メッキや、金コバルト合金メッキ、ロジウムメッキ等が可能になり、パッドの機械的強度を増すことができる。
【0070】
さらに、上記多層配線基板において、ガラス基板等にドリル等で素子付け用の貫通孔(0.3〜0.5mmφ程度)を形成する際に、図12(a)に示すように、貫通孔の上下の周縁に面取り加工を施すことが好ましい。これにより、ドリルによる穴あけに伴って貫通孔の上下の周縁に生じる凸部を除去できる。また、貫通孔に金属膜をスパッタ法やめっき法で形成する際の形成が容易となり、断線がなくスルーホール導通の信頼性が向上する。さらに、図12(b)に示すように、貫通孔に素子を半田付けする際にも、面取りによる溝があるため半田が基板表面よりはみ出すことがない。
【0071】
また、上記多層配線基板において、ガラス基板として、HOYA社製NA35,HOYA社製NA40,HOYA社製NA45,HOYA社製SD1,HOYA社製SD2,パイレックス(登録商標),コーニング社製7059などのSiと熱膨張率がほぼ同じ(熱膨張係数が0.6〜5PPM)の範囲内のものを用いることができる。
【0072】
(3)バーンイン試験
次に、バーンイン試験について説明する。
バーンイン試験は、図14に示すように、バキュームチャック(図示せず)上に載せたSiウエハ40上に、メンブレンリング10、異方性導電ゴムシート30、多層配線基板20の順に載せ、全体を吸着固定してウエハ40上の各デバイスを多層配線基板20にプリントボード(図示せず)を介して接続したテスターに評価していく。
その結果、メンブレンリング10による高さのバラツキの吸収性能が高く、コスト面、耐久性面でも優れており、十分に実用性があることが確認された。また、従来に比べ高さのバラツキの吸収性能が高いためメンブレンリングにおけるバンプ間の間隔を狭くすることができた。
【0073】
実施の形態2
メンブレンリングに切り込みを形成せず、パッドの断面形状を図3に示す凹状としたこと以外は実施の態様1と同様にしてメンブレンリングを作製し、バーンイン試験を行った。なお、図4(a)に示すように、パッド4上にラインアンドスペース(好ましくは10〜30μm間隔)のレジストパターンを形成し、これにより図4(b)に示すようにパッド4に凹部を形成した。
その結果、メンブレンリングによる高さのバラツキの吸収性能が高いことが確認された。
【0074】
実施の形態3
メンブレンリングに切り込みを形成せず、図5に示すように、パッドの断面形状を凹状とするとともに、このパッドの凹状部分に異方性導電ゴム片、導電性ゴム片、又は非導電性ゴム片を介在させたこと以外は実施の態様1及び2と同様にしてメンブレンリングを作製し、バーンイン試験を行った。
その結果、メンブレンリングによる高さのバラツキの吸収性能が高いことが確認された。
【0075】
実施の形態4
図13に示すように、実施の形態1で作製したメンブレンリング10と、実施の形態1と同様の方法で作製したリングの径を異とする複数の配線用メンブレンリング16、17からなるフレキシブルコンタクトボード18を作製した。
上記フレキシブルコンタクトボードは、フレキシブル性(クッション性)が高く、コンタクトの圧力が全面で均一になり、また、バンプやパッドの高さのバラツキにも構造的に対応でき、したがって、密着不良による接続不良が生じない。また、構造が簡単で、製造コストが約5分の1以下にできる。さらに、各メンブレンリングに分解できるので、欠陥の修正が容易であり、修正が困難な場合であっても欠陥のあるメンブレンリングだけ容易に交換できる。
なお、説明を容易にするため3層構造の場合について説明したが、3層構造に限られず、任意のリング数とすることができる。
【0076】
実施の形態5
多層配線基板の最上層のパッドを以下のプロセスで形成した。
【0077】
まず、絶縁層上に、スパッタ法にて、Crを約300オングストローム、Cuを約0.5μmの膜厚にてそれぞれ成膜する。
次いで、レジスト(シプレイ社製マイクロポジットSJR5740)を14μmの厚みで塗布し、110℃で6分間ベークした後、所定のマスクを用いて露光し、現像して、パッドを形成する部分以外の部分にレジストパターンを形成する。 次に、レジストパターン内を希硫酸にて10秒間処理する。
その後、直ちに、硫酸銅水溶液系のめっき層内で、Cuを約13μmの膜厚で厚めっきし、さらに、Niを約0.3μmの膜厚でめっきし、Auを約0.5μmの膜厚で順次めっきする(いずれも電気めっき)。
最後に、レジストを剥離し、最初にスパッタ法で付けた薄いCu/Cr膜をエッチングする。このとき、Cu/Cr膜は薄いのでエッチングに要する時間は10秒程度と短く、また、パッドの表面はAuがあるので保護される。
【0078】
上記多層配線基板によれば、パッドの寸法精度が高く、面内の寸法バラツキが少ない。また、パッドの表面に電気メッキによる金の厚メッキや、金コバルト合金メッキ等が可能になり、パッドの機械的強度を増すことができる。
【0079】
本発明は、上記実施の態様に限定されず、本発明の範囲内で適宜変形実施できる。
【0080】
例えば、パッド、バンプ、メンブレン等の材料及び形成方法等は、上記実施の態様に限定されない。
【0081】
具体的には、バンプの形成材料としては、導電性が良く安価で形成が容易であるとともに耐久性が良いという観点からはニッケル(Ni)もしくはニッケル合金等が好ましいが、これに限定されない。また、バンプホールの形成方法も特に制限されないが、精度や経済性を考慮するとレーザー又はフォトリソグラフィー法を用いて形成することが好ましい。
【0082】
パッド(導電層)の形成材料、形成方法、厚さ等は適宜選択できる。導電性が良く安価で形成が容易であるという観点からは銅(Cu)が好ましい。また、パッドはCu、Ni、Cr、Al、Au、Agなど複数の金属層の積層構造とすることができる。パッド(導電層)の形成方法としては、スパッタ法や蒸着法などの成膜法や、無電解メッキや電気メッキなどのメッキ法、あるいは、銅箔を接着する方法などを利用できる。パッド(導電層)の厚さは、レーザーによって穴のあかない程度の薄さ(2〜5μm程度)以上であればよいが、耐久性が必要なため5〜35μm程度が望ましい。
【0083】
また、パッド表面及びバンプ表面に、Auめっきの代わりにAu−Co合金による電気めっきを施すこともできる。この場合、AuよりもAu−Co合金の方がバンプ及びパッド表面の摩耗が少ない。すなわち、バンプのAuめっきは電気めっきなので、合金を形成することができ、純金では軟らかすぎるので、合金にすることにより硬度を上げることができる。また、Au、Au−Co合金のかわりに、バラジウム、ロジウムもしくはそれら金属を含む合金を形成しても同様の効果を得ることができる。電気めっきは、無電解めっきに比べ、めっきを短時間で行うことができ、機械的強度及び密着力が強く剥がれにくい。また、めっきの膜厚を厚く形成することができるため、被接触部分との付着性(コンタクト性)が良い。
【0084】
本発明のコンタクトボードやメンブレンリングの用途は特に制限されない。例えば、バーンインボードとしての用途以外に、プローブカード用の多層配線基盤、プリントボード、MCM基盤等に代表される高密度多層配線基盤、多層TAB、FPCなどの用途に使用できる。
【0085】
(発明の効果)
本発明のコンタクトボード及びその構成部品等は、高さのバラツキの吸収性能に優れる。
【0086】
また、本発明のコンタクトボード及びその構成部品等によれば、接続の信頼性等を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明のメンブレンリングの一態様を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の縦断面図、(c)は(a)の横断面図である。
【図2】本発明のメンブレンリングのコンタクト後の様子を説明するための図であり、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。
【図3】本発明のメンブレンリングの他の態様を説明するための断面図である。
【図4】メンブレンリングの加工工程の一部を示す断面図である。
【図5】本発明のメンブレンリングの他の態様を説明するための断面図である。
【図6】本発明の実施態様におけるメンブレンリングの形成工程を説明するための断面図である。
【図7】本発明の実施態様におけるメンブレンリングの加工工程を説明するための要部断面図である。
【図8】メンブレンリングにおけるバンプの他の態様を示す要部断面図である。
【図9】メンブレンリングにおけるバンプの他の態様を示す要部断面図である。
【図10】メンブレンリングにおけるバンプの他の態様及び製造方法を説明するための要部断面図である。
【図11】本発明の実施態様における多層配線基板の製造工程を説明するための要部断面図である。
【図12】多層配線基板の他の態様を説明するための要部断面図である。
【図13】本発明の実施の態様におけるフレキシブルコンタクトボードの概略を示す断面図である。
【図14】バーンインボード及びバーンイン試験を説明するための図である。
【図15】従来のメンブレンリングによるコンタクト後の様子を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の縦断面図、(c)は(a)の横断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 リング
2 メンブレン
3 バンプ
4 パッド
5 切り込み
6 ゴム片
10 メンブレンリング
11 アルミニウム板
12 シリコンゴムシート
13 フィルム
14 リング
15 熱硬化性接着剤
16 配線用メンブレンリング
17 配線用メンブレンリング
18 フレキシブルコンタクトボード
20 多層配線基盤
30 異方性導電ゴムシート
40 シリコンウエハ
41 ウエハ上のパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるコンタクトボードの一部を構成するメンブレンリングであって、
リングに張り渡されたメンブレンの一方の面に各半導体デバイスに接触させるバンプを有するとともに、メンブレンの他方の面にパッドを有し、メンブレンを貫通して形成されたバンプホールを介して前記バンプと前記パッドとを接続した構造を有するメンブレンリングにおいて、
前記パッドの断面形状を凹状としたことを特徴とするメンブレンリング。
【請求項2】
ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるコンタクトボードの一部を構成するメンブレンリングであって、
リングに張り渡されたメンブレンの一方の面に各半導体デバイスに接触させるバンプを有するとともに、メンブレンの他方の面にパッドを有し、メンブレンを貫通して形成されたバンプホールを介して前記バンプと前記パッドとを接続した構造を有するメンブレンリングにおいて、
前記パッドの断面形状を凹状とするとともに、該パッドの凹状部分に異方性導電ゴム片、導電性ゴム片、又は非導電性ゴム片を介在させたことを特徴とするメンブレンリング。
【請求項3】
前記パッドがCuからなり、前記バンプがNi又はNi合金からなり、前記メンブレンがポリイミドからなることを特徴とする請求項1又は2記載のメンブレンリング。
【請求項4】
前記パッド及び/又は前記バンプの表面に、金、Au−Co合金、ロジウム、パラジウム及びこれらを含む合金のうちのいずれかからなる膜を形成したことを特徴とする請求項1乃至3記載のメンブレンリング。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の構造を有するメンブレンリングと、多層配線基板とからなることを特徴とするコンタクトボード。
【請求項6】
請求項1乃至5記載の構造を有するメンブレンリングと、リングの径を異とする複数の配線用メンブレンリングからなることを特徴とするフレキシブルコンタクトボード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−292781(P2007−292781A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165880(P2007−165880)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【分割の表示】特願平10−222285の分割
【原出願日】平成10年7月22日(1998.7.22)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】