説明

コンバインのフラッシャーランプ取付構造

【課題】方向指示器用のフラッシャーランプを、省スペース且つ少ない部材で、機体側に取り付け可能なコンバインを提供すること課題としている。
【解決手段】機体側方位置にある脱穀部9上部を覆う天板11上にフラッシャーランプ19a,19bと、脱穀部9内の送塵量を調節する送塵量調節レバー14とを設けたコンバインにおいて、上記送塵量調節レバー14基端側を支持する部材又は送塵寮調節レバー14の少なくとも一部を覆うレバーケース16にフラッシャーランプ19a,19bを取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインのフラッシャーランプ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀部内部の排塵量を調節する調節レバーを、脱穀部を覆う脱穀天板上に設けた特許文献1に示す技術が公知となっている。図5は、従来の脱穀部上面の拡大斜視図であり、上記脱穀天板51上には、脱穀部内部の送塵量を調節する調節レバー52がレバーケース53とともに布設されている。この調節レバー52は運転席左側にあってオペレーターが回動操作できる位置に配置されている。
【0003】
また、自脱コンバインに、方向指示器となるフラッシャーランプを取り付ける場合、該フラッシャーランプは機体の前方、左右側方及び後方の何れからでも確認できる位置に取り付ける必要がある。そして、フラッシャーランプを機体右側と機体左側とに同数取り付けて点面タイミングを容易に揃えられるように構成にすることが一般的である。
【特許文献1】特開平8−37901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自脱コンバインの右側は、機体右側面の形状との関係で、フラッシャーランプを少なくとも2個、通常は3個取り付ける必要がある。それに対応して機体左側にもフラッシャーランプを2乃至3個取り付ける必要があるが、機体左側には前方に穀稈刈り取り用の前処理部が迫っており、脱穀部より前方にフラッシャーランプを取り付けるスペースが確保しずらい。小型のコンバインではこの問題が特に顕著に現れる。
【0005】
また、前処理部後方の脱穀部を覆う脱穀天板上にフラッシャーランプを設け、且つ脱穀部の送塵量を調節する上記調節レバーも脱穀天板上に設ける場合には、脱穀天板の上面や周面にレバーケースや左フラッシャーランプを突設するため、この部分の凹凸が多くなり、天板の開閉や上面スペースを介した各種のメンテナンス作業等の障害になるほか、部品点数や組付工数も増えるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記課題を解決するフラッシャーランプを提供するもので、第1に機体側方位置にある脱穀部9上部を覆う天板11上にフラッシャーランプ19a,19bと、脱穀部9内の送塵量を調節する送塵量調節レバー14とを設けたコンバインにおいて、上記送塵量調節レバー14基端側を支持する部材又は送塵寮調節レバー14の少なくとも一部を覆うレバーケース16にフラッシャーランプ19a,19bを取り付けたことを特徴としている。
【0007】
第2に、レバーケース16の運転席4側上面を運転席4側に向かって下降傾斜させたことを特徴としている。
【0008】
第3に、送塵量調節レバー14の回動位置を表示する表示部18をレバーケース16の運転席4側の外周面に設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
以上のように構成される本発明のコンバインのフラッシャーランプ取付構造によれば、送塵量調節レバーの少なくとも一部を覆うレバーケースにフラッシャーランプを取り付けるため、上記の各種部材の取付スペースを広くとる必要がなくなり、且つ天板上の凹凸部も少なくなり、天板の開閉や上面スペースを介した各種のメンテナンス作業等が容易になるとともに、部品点数や組付工数も減るという効果がある。また、天板も凹凸部の少ないスッキリとした外観になり、コンバインの見栄えも良くなる。
【0010】
また、例えば、脱穀部上部を覆う天板が運転席側に向かって回動自在に支持され、籾排出用の排出オーガが上記天板上方に配置されたコンバインにおいても、レバーケースの運転席側の上面が運転席に向かって下降傾斜し、天板回動時に上記排出オーガを避けるように形成されているため、上記天板の回動角を大きくとることが可能になる。
【0011】
さらに、送塵量調節レバーの回動位置を表示する表示部をレバーケースの運転席側の外周面に設け、表示部が運転席側を向くように配置されるため、運転席からの表示部の視認が容易になるとともに、送塵量調節レバーの位置調節も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1、2はコンバインの全体側面図及び全体斜視図を示し、走行機体1は前方に穀稈の引起し及び刈取を行う前処理部2を昇降揺動自在に取り付け、下部にクローラからなる走行部3を備えている。機体1の進行方向右側前方には運転席4を備え、その後方にはグレンタンク8が設置されている。運転席4の前方及び側方には運転席パネル6,7が設けられている。
【0013】
機体1の進行方向左側には脱穀部9が設けられ、該脱穀部9上方には脱穀部9を覆う脱穀天板11が略水平に且つ回動開閉自在に設置されており、脱穀天板の回動に伴って脱穀部内の扱胴及び排ワラ搬送装置等(図示しない)も一体回動する。なお、扱胴や排ワラ搬送装置等とは別に、脱穀天板のみが回動するような構成にしてもよい。天板11の前方には前処理部2の上部後方を覆って運転席4側への塵の飛散を防止する角皿状の防塵カバー12が機体1側に固定して取り付けられている。
【0014】
また機体1の右側後部にはグレンタンク8からの籾を機外に排出する排出オーガ13の基端部が水平回動及び上下揺動可能に取り付けられ、排出オーガ13は不使用時には中間で折畳まれて運転席4左方の機体1中央部寄りに下降揺動された状態で前後方向姿勢に収納固定されている。
【0015】
前記脱穀天板11の上面前方位置には、図3に示されるように、脱穀部9内部の送塵量調節部(図示しない)の調節操作を行う調節レバー14が水平方向に回動自在に設けられている。15は調節レバー14の回動位置を位置決めするレバーガイドである。上記調節レバー14の軸支された基端部側は、横長のボックス状のレバーケース16によってカバーされており、調節レバー14の操作端はレバーケース16の前方右コーナー側に形成されたレバー窓17より斜め前方(運転席方向)に突出している。
【0016】
上記レバーケース16は脱穀天板11の上面に取り付けられており、左端側が高く上面は右端に向かって下降傾斜面16aを形成しており、その終端とレバー窓17との間に形成される縦方向の側方周面には調節レバー14の回動位置(回動量)、即ち送塵の調節量を示す目盛からなる表示部18がシール貼着等により設けられている。
【0017】
また、前記レバーケース16の正面左側上部には左前方フラッシャーランプ19aが、左側面上部には左側方フラッシャーランプ19bが取り付け等によって設けられている。さらに、走行機体1上面の後端左側には左後方フラッシャーランプ19cが設けられている。
【0018】
機体左側に設けられた上記3つのフラッシャーランプ19a,19b,19cに対応して、機体右側にも3つのフラッシャーランプ20a,20b,20cが設けられている。右前方フラッシャーランプ20aは運転席4の前方の運転席パネル6右端部下側に取り付けられ、右側方フラッシャーランプ20bは機体右側面の前側下部に設けられ、右後方フラッシャーランプ20cは走行機体1上面の後端右側に設置されている。
【0019】
そして左前方フラッシャーランプ19a及び左側方フラッシャーランプ19bは、機体前方や側方からでも視認できるようにするため、前方の防塵カバー12の上面より高位置に突出する高さとなっている。特に、小型のコンバインの場合では、前処理再上昇時に扱ぎ深さ搬送装置が高くなるので、防塵カバー12を脱穀天板11よりも高い位置に設置しなければならない。これに対応してフレッシャーランプ19a,19bの取付高さもさらに上方にする必要がある。なお、レバーケース16のフラッシャーランプ19a,19bの電気配線はレバーケース16内部を利用して行われる。
【0020】
本発明のフラッシャーランプ取付構造によれば、フラッシャーランプ19a、19bの取付部材がレバーケース16と兼用されているため、メンテナンス作業その他の作業スペースとなる脱穀上面の突起物も少なくなり、フラッシャーランプ19a、19bも他の突起物に妨げられることなく容易に扱われるほか、部品点数やこの部分の組立工数も少なくなる等の利点がある。そして狭いスペースにも2つのフラッシャーランプ19a,19b、レバーケース16及び調節レバー14を設けることができる。
【0021】
また、調節レバー14の回動位置の表示部18もレバーケース16の運転席4側に向いたケース周面に設けられているので、運転4側に向いていない略水平なレバーケース53上面に設けるよりも、オペレーターによる目視確認が容易になる。その他、レバーケース16の上面が運転席側に向って下降した傾斜面16aを備えているため、図1の矢印a方向に天板11を上向きに回動させて開いた時も、例えば図4に示す場合のように排出オーガー13その他の運転席4側の突起物との干渉も少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のフラッシャーランプ取付構造を応用したコンバインの全体側面図である。
【図2】本発明のフラッシャーランプ取付構造を応用したコンバインの全体斜視図である。
【図3】本発明の要部を示す脱穀部上面の拡大斜視図である。
【図4】脱穀天板を開いた時の状態を示す前方左方向拡大斜視図である。
【図5】従来の脱穀部上面の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
4 運転席
9 脱穀部
11 脱穀天板(天板)
14 調節レバー(送塵量調整レバー)
16 レバーケース
18 表示部
19a 左前方フラッシャーランプ(フラッシャーランプ)
19b 左側方フラッシャーランプ(フラッシャーランプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体側方位置にある脱穀部(9)上部を覆う天板(11)上にフラッシャーランプ(19a),(19b)と、脱穀部(9)内の送塵量を調節する送塵量調節レバー(14)とを設けたコンバインにおいて、上記送塵量調節レバー(14)基端側を支持する部材又は送塵寮調節レバー(14)の少なくとも一部を覆うレバーケース(16)にフラッシャーランプ(19a),(19b)を取り付けたコンバインのフラッシャーランプ取付構造。
【請求項2】
レバーケース(16)の運転席(4)側上面を運転席(4)側に向かって下降傾斜させた請求項1のコンバインのフラッシャーランプ取付構造。
【請求項3】
送塵量調節レバー(14)の回動位置を表示する表示部(18)をレバーケース(16)の運転席(4)側の外周面に設けた請求項1又は2のコンバインのフラッシャーランプ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−86250(P2008−86250A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270213(P2006−270213)
【出願日】平成18年9月30日(2006.9.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】