説明

コンバインの刈取装置

【課題】搬送装置を構成する左右一対の突起付き搬送用ベルトに挟持されて搬送される穀稈が、搬送用ベルト後端に達すると、後方へ勢いよく投げ出されて、プラットホーム外に落下し、ヘッドロスとなることがあった。
【解決手段】左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置32と、該搬送装置32の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置32を構成する左右一対の突起60La・60Ra付き搬送用ベルト60L・60Rを前後方向に平面視でハ字状に配置し、左右の搬送用ベルト60L・60Rの間に形成される搬送経路55を後方へ向けて左右へ広がるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、コンバインの前部に刈取ユニットを複数装着してなる刈取装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインにおいて、機体前部に設けられる刈取装置のプラットホームの前端に掻込リールと刈刃を設ける代わりに、大豆などを刈り取るロークロップヘッダ装置として複数の刈取ユニットからなる刈取装置を装着する構成は公知となっている。この刈取装置の刈取ユニットは、デバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃などからなり、搬送装置には、左右一対の下搬送用ベルトと該下搬送用ベルトの上方に配置される上搬送用ベルトとを備え、デバイダで分草された穀稈を左右の下搬送用ベルト及び上搬送用ベルトに付設した突起で取り込み、挟持して後方のプラットホーム内に横設された横送りオーガまで搬送するように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−259714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の刈取装置においては、刈取ユニットの搬送装置を構成する左右一対の下搬送用ベルト及び上搬送用ベルトが左右平行に配置されて、左右の下搬送用ベルトと上搬送用ベルトによりそれぞれ形成される搬送経路の左右幅が一定となるように構成されていた。そのため、左右の下搬送用ベルトと上搬送用ベルトにより挟持されて搬送される穀稈が、搬送経路を搬送用ベルトの突起でしっかりと挟持されながら後方へ搬送されることになり、搬送用ベルト後端に達すると、後方へ勢いよく投げ出されて、プラットホーム外に落下し、ヘッドロスとなることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置を構成する左右一対の突起付き搬送用ベルトを前後方向に平面視でハ字状に配置し、左右の搬送用ベルトの間に形成される搬送経路を後方へ向けて左右へ広がるように構成したものである。
【0006】
請求項2においては、前記左右の搬送用ベルトに付設した突起を互いに上下にずらして配置したものである。
【0007】
請求項3においては、左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置を構成する左右一対の突起付き搬送用ベルトを前後方向にねじり形状に配置し、左右の搬送用ベルトの間に形成される搬送経路を後方へ向けて左右へ広がるように構成したものである。
【0008】
請求項4においては、前記左右の搬送用ベルトの前後中途部にそれぞれガイドローラを設け、該ガイドローラにより搬送用ベルトをガイドして、左右の搬送用ベルトの間に形成される搬送経路を途中から後方へ向けて左右へ広がるように構成したものである。
【0009】
請求項5においては、左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置を左右一対の突起付き下搬送用ベルトと該下搬送用ベルト上に平行に配設した突起付き上搬送用ベルトから構成し、左右の下搬送用ベルトを左右平行に配置して、左右の下搬送用ベルトの間に形成される搬送経路をその左右幅が一定となるように構成するとともに、左右の上搬送用ベルトを前後方向に平面視でハ字状に配置し、左右の上搬送用ベルトの間に形成される搬送経路を後方へ向けて左右へ広がるように構成したものである。
【0010】
請求項6においては、左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置を左右一対の下搬送用ベルトと該下搬送用ベルト上に平行に配設した突起付き上搬送用ベルトから構成し、下搬送用ベルトを幅広に構成する一方、上搬送用ベルトを幅狭に構成したものである。
【0011】
請求項7においては、左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置を平ベルトからなる搬送用ベルトから構成し、該搬送用ベルトに複数の抜孔を設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、左右の搬送用ベルトの突起に挟持されて搬送される穀稈は搬送経路を後方に搬送される従って突起から徐々に放されることになり、搬送用ベルト後端に達した穀稈が後方へ勢いよく投げ出されることを防止することができる。したがって、穀稈を搬送装置からプラットホーム内の横送りオーガへ確実に搬送することができるので、ヘッドロスを低減することができる。
【0014】
請求項2においては、穀稈を突起により確実に取り込み、挟持して搬送することができる。よって、穀稈のこぼれを低減することができる。
【0015】
請求項3においては、搬送用ベルトの突起に挟持されて搬送される穀稈は搬送経路を後方に搬送される従って突起から徐々に放されることになり、搬送用ベルト後端に達した穀稈が後方へ勢いよく投げ出されることを防止することができる。したがって、穀稈を搬送装置からプラットホーム内の横送りオーガへ確実に搬送することができるので、ヘッドロスを低減することができる。
【0016】
請求項4においては、穀稈を、搬送用ベルト前端で突起により確実に取り込み、搬送用ベルト後端でプラットホーム外へ勢いよく投げ出すことなく、プラットホーム内の横送りオーガに確実に搬送することができる。これにより、穀稈のこぼれの低減とヘッドロスの低減を図ることができる。
【0017】
請求項5においては、穀稈を下搬送用ベルト及び上搬送用ベルト前端で突起及び突起により確実に取り込み、下搬送用ベルト及び上搬送用ベルト後端でプラットホーム外へ勢いよく投げ出すことなく、プラットホーム内の横送りオーガに確実に搬送することができる。これにより、穀稈のこぼれの低減とヘッドロスの低減を図ることができる。
【0018】
請求項6においては、例えば穀稈の稈長が短い場合でも、幅広の下搬送用ベルトにより穀稈を確実に挟持してプラットホーム内の横送りオーガまで搬送でき、ヘッドロスを低減することができる。また、茎葉が広がりをもっていたりした場合でも、突起付きの幅狭の上搬送用ベルトで穀稈の上部を挟持して搬送できるので、裂莢を低減することができる。つまり、搬送装置の穀稈の種類や状態に対する適応性を改善することができる。
【0019】
請求項7においては、穀稈の搬送過程において、搬送用ベルト上から土を落下させることができるので、穀粒の汚損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの側面図、図2は同じく平面図、図3は刈取ユニットの側面図、図4は搬送装置の平面図、図5は同じく正面図、図6は搬送装置の別実施例を示す斜視図、図7は搬送装置の別実施例を示す斜視図、図8は搬送装置の別実施例を示す平面図、図9は搬送装置の別実施例を示す斜視図、図10は搬送装置の別実施例を示す斜視図、図11は搬送装置の別実施例を示す斜視図、図12は搬送装置の別実施例を示す斜視図、図13は(a)(b)突起の別実施例を示す正面図である。
【0021】
まず、本発明に係る刈取装置を適用したコンバインの全体構成について、図1と図2を用いて説明する。なお、本実施例においては、大豆用コンバインを用いて説明する。
【0022】
クローラ式走行装置1・1上には機体フレーム2が戴置され、該機体フレーム2上に脱穀装置3が搭載されている。そして、脱穀装置3の側方に穀粒タンク4が搭載され、該穀粒タンク4の前方に運転部5が配設されている。また、脱穀装置3の前方には刈取装置6が設けられている。
【0023】
さらに、前記脱穀装置3の下方には、揺動選別装置7が配置され、該揺動選別装置7の下方に横設された一番コンベアよりバケット式の揚穀コンベア8を介して、揺動選別装置7で選別された一番物などの精粒が穀粒タンク4に搬送されて貯留されるようになっている。該穀粒タンク4の下部には、スクリュー式の搬出コンベアが軸装され、該搬出コンベアの終端部が、その後部に立設したバケット式昇降機である穀粒排出装置9下部に受継ぎケースを介して連通されている。
【0024】
そして、前記穀粒排出装置9の上部に中継搬送装置10を介してコンベア式排出装置11の基部が連通され、該コンベア式排出装置11により穀粒タンク4内の穀粒が外部に排出されるようになっている。該コンベア式排出装置11は、昇降回動及び旋回可能に構成されている。
【0025】
次に、前記刈取装置6について説明する。
【0026】
図1、図2に示すように、刈取装置6は、複数の、本実施例では三つの刈取ユニット20・20・20、プラットホーム21、横送りオーガ22、フィーダハウス23などから構成されており、前記脱穀装置3に連通されたフィーダハウス23の前端にプラットホーム21が固設され、プラットホーム21内に横送りオーガ22が横設されている。そして、プラットホーム21の前端に左右方向に並設された刈取ユニット20・20・20がそれぞれ装着され、該刈取ユニット20・20・20で刈り取られ且つ後方に搬送された刈取穀稈が横送りオーガ22により後方へ送り出され、フィーダハウス23に内装された搬送コンベア24により脱穀装置3へ搬送されるように構成されている。また、フィーダハウス23と機体フレーム2との間にはシリンダ25が介装され、該シリンダ25の伸縮作動により刈取装置6は昇降可能とされている。
【0027】
前記刈取ユニット20は、図3に示すように、支持フレーム50の前端に平面視V字状に分草杆を備えるデバイダ31・31と、該デバイダ31・31で分草された穀稈の葉茎部を後上方に搬送する搬送装置32と、該搬送装置32により搬送される穀稈の茎部を搬送始端部側の地面近くにおいて切断する刈刃35などからなり、プラットホーム21のフレーム26前端に固設されたメインフレーム36に取り付けられている。
【0028】
前記メインフレーム36上には左右方向に延伸するフレーム42が横設され、該フレーム42の左右両側に支持体43・43が立設されている。支持体43・43間には刈取ユニット20の駆動軸44が軸架され、該駆動軸44を外嵌する伝動パイプが支持体43・43に対して回動自在に枢支されている。
【0029】
前記伝動パイプの中途部には適宜間隔をあけてギヤケース46・46が設けられ、該ギヤケース46・46から上方に伝動軸47・47を内装した支持パイプ48・48が立設されている。該支持パイプ48・48の上端には搬送フレーム49・49が固設され、該搬送フレーム49・49上に搬送装置32が前低後高となるように設けられている。また、ギヤケース46・46には支持フレーム50・50の後端が固設され、前方に延出された該支持フレーム50・50の前端にデバイダ31・31が取り付けられている。
【0030】
次に、前記刈取ユニット20の搬送装置32について説明する。
【0031】
図3及び図4に示すように、前記搬送装置32は左右一対の搬送用ベルト60L・60Rから構成されている。左右の搬送用ベルト60L・60Rは、幅広の無端帯からなり、搬送フレーム49の後部で前記伝動軸47・47に軸支された駆動プーリ61・61と、前部で軸62・62に軸支された従動プーリ63・63との間に巻回されて、回転可能に構成されている。そして、前記駆動プーリ61・61が従動プーリ63・63の斜め後方に配置され、左右の搬送用ベルト60L・60Rが前後方向に平面視「ハ」字状に配置されて、これらの搬送用ベルト60L・60Rの間に形成される搬送経路55が後方へ向けて左右に広がるように構成されている。
【0032】
図5に示すように、前記左右の搬送用ベルト60L・60Rには、それぞれ前後方向に一定長さの突起60La・60Raが所定間隔ごとに付設されている。このようにして構成される突起60La・60La・・・列及び突起60Ra・60Ra・・・列は上下2段に設けられ、左右の搬送用ベルト60L・60Rの突起60La・60Raが互いに対向するように搬送経路55に向かって突出されている。
【0033】
前記左搬送用ベルト60Lに付設された上段(下段)の各突起60Laは、右搬送用ベルト60Rに付設された上段(下段)の各突起60Raよりも上方に所定間隔をあけて位置するように配置されている。つまり、左右の搬送用ベルト60Lの突起60Laと右搬送用ベルト60Rの突起60Raとが上下にずれて配置されている。
【0034】
なお、本実施例では、左搬送用ベルト60Lの上側突起60La・60La・・・列と下側突起60La・60La・・・列とがともに、右搬送用ベルト60Rの上側突起60Ra・60Ra・・・列と下側突起60Ra・60Ra・・・列よりもそれぞれ上方に位置するように構成されているが、左搬送用ベルトの下側突起列のみが右搬送用ベルト60Rの下側突起列よりも下方に位置するように構成したり、右搬送用ベルトの上側突起列と下側突起列とがともに、左搬送用ベルトの上側突起列と下側突起列よりもそれぞれ上方に位置するように構成したりすることもできる。
【0035】
このような構成において、互いに向かい合わせて配置した左右の搬送用ベルト60L・60Rをそれぞれ反対方向に回転させることで、デバイダ31・31により案内された穀稈は左右の搬送用ベルト60L・60Rに付設された突起60La・60Raにより後方へ取り込まれ、該突起60La・60Raで挟持された状態で搬送経路55に沿って搬送される過程において刈刃35により切断される。そして、切断後の穀稈は搬送経路55を後方に搬送されるに従って突起60La・60Raから徐々に放され、搬送用ベルト60L・60R後端に達すると、プラットホーム21内の横送りオーガ22に投げ出されることになる。
【0036】
以上のように、左右の搬送用ベルト60L・60Rに付設した突起60La・60Raを互いに上下にずらして配置したので、突起60La・60Raにより穀稈を確実に取り込み、挟持して搬送することができる。よって、穀稈のこぼれを低減することができる。また、左右一対の搬送用ベルト60L・60Rを平面視「ハ」状に配置し、搬送用ベルト60L・60Rの間に形成される搬送経路55を後方へ向けて左右へ広がるように構成したので、搬送用ベルト60L・60Rの突起60La・60Raに挟持されて搬送される穀稈は搬送経路55を後方に搬送される従って突起60La・60Raから徐々に放されることになり、搬送用ベルト60L・60R後端に達した穀稈が後方へ勢いよく投げ出されることを防止することができる。したがって、搬送装置32で穀稈を取り込み、後方へ搬送してプラットホーム21内の横送りオーガ22へ確実に送り出すことができるため、ヘッドロスを低減することができる。
【0037】
また、図6に示される構成では、搬送装置32は左右一対の搬送用ベルト65L・65Rから構成されている。左右の搬送用ベルト65L・65Rは、幅広の無端帯からなり、搬送フレーム49の前部で駆動軸66・66に軸支された駆動プーリ67・67と、後部で軸68・68に軸支された従動プーリ69・69との間に巻回されて、回転可能に構成されている。ここで、駆動軸66・66が左右平行に配置される一方、従動プーリ69・69の軸68・68が駆動プーリ67・67の駆動軸66・66に対して所定角度傾斜して支承されて、左右の搬送用ベルト65L・65Rは後方に向かってねじられるように構成されて、搬送用ベルト65L・65Rの間に形成される穀稈の搬送経路70が後方へ向かって左右へ広がるように構成されている。なお、搬送経路70の左右幅は搬送用ベルト65L・65Rのねじれ形状を変化させることで調節可能である。
【0038】
前記左右の搬送用ベルト65L・65Rには、それぞれ前後方向に一定長さの突起65La・65Raが所定間隔ごとに付設されている。このようにして構成される突起65La・65La・・・列及び突起65Ra・65Ra・・・列は上下2段に設けられ、左右の搬送用ベルト65L・65Rの突起65La・65Raが互いに対向するように搬送経路70に向かって突出されている。
【0039】
このような構成において、互いに向かい合わせて配置した左右の搬送用ベルト65L・65Rを伝達軸47から伝達される駆動力によってそれぞれ反対方向に回転させることで、デバイダ31・31により案内された穀稈は左右の搬送用ベルト65L・65Rに付設された突起65La・65Raにより後方へ取り込まれ、該突起65La・65Raで挟持されて後方へと搬送される。そして、この搬送過程において、穀稈は搬送経路70を後方に搬送されるに従って突起65La・65Raから徐々に放され、搬送用ベルト65L・65R後端に達すると、プラットホーム21内の横送りオーガ22に投げ出されることになる。
【0040】
以上のように、左右一対の突起付き搬送用ベルト65L・65Rを前後方向にねじり形状に配置し、左右の搬送用ベルト65L・65Rの間に形成される搬送経路70を後方へ向けて左右へ広がるように構成したので、搬送用ベルト65L・65Rの突起65La・65Raに挟持されて搬送される穀稈は搬送経路70を後方に搬送される従って突起65La・65Raから徐々に放されることになり、搬送用ベルト65L・65R後端に達した穀稈が後方へ勢いよく投げ出されることを防止することができる。したがって、穀稈を搬送装置32からプラットホーム21内の横送りオーガ22へ確実に搬送することができるので、ヘッドロスを低減することができる。
【0041】
また、図7に示される構成では、搬送装置32は前記搬送用ベルト65L・65Rの前後中途部にガイドローラ73を備えている。ガイドローラ73・73を軸支する軸74・74は、駆動プーリ67・67の駆動軸66・66と平行に、且つ互いに左右平行に配置され、搬送用ベルト65L・65Rの間に形成される穀稈の搬送経路70が、駆動プーリ67・67とガイドローラ73・73との間では左右幅が一定に構成され、ガイドローラ73・73と従動プーリ69・69との間では後方に向けて左右に広がるように構成されている。
【0042】
ガイドローラ73・73は、駆動プーリ67・67と従動プーリ69・69との間において任意の位置に配置可能とされ、その配置位置によって搬送用ベルト65R・65Lにより形成される搬送経路70の左右幅を調節可能としている。なお、ガイドローラを複数設け、搬送経路70の左右幅を適宜調節可能に構成することもできる。
【0043】
このような構成において、互いに向かい合わせて配置した左右の搬送用ベルト65L・65Rを伝達軸47から伝達される駆動力によってそれぞれ反対方向に回転させることで、デバイダ31・31により案内された穀稈は左右の搬送用ベルト65L・65Rに付設された突起65La・65Raにより後方へ取り込まれ、該突起65La・65Raでしっかりと挟持された状態で、ガイドローラ73・73が配置された搬送用ベルト65L・65Rの前後中途部まで搬送される。その後、穀稈は搬送経路70を後方に搬送されるに従って突起65La・65Raから徐々に放され、搬送用ベルト65L・65R後端に達すると、プラットホーム21内の横送りオーガ22に投げ出されることになる。
【0044】
以上のように、前記左右の搬送用ベルト65L・65Rの前後中途部にそれぞれガイドローラ73・73を設け、該ガイドローラ73・73により搬送用ベルト65L・65Rをガイドして、左右の搬送用ベルトの間に形成される搬送経路70を途中から後方へ向けて左右へ広がるように構成したので、穀稈を搬送用ベルト65L・65R前端で突起65La・65Raにより確実に取り込み、搬送用ベルト65L・65R後端でプラットホーム21外へ勢いよく投げ出すことなく、プラットホーム21内の横送りオーガ22に確実に搬送することができる。これにより、穀稈のこぼれの低減とヘッドロスの低減を図ることができる。
【0045】
また、図8に示される構成では、搬送装置32は左右一対の下搬送用ベルト81L・81R及び上搬送用ベルト82L・82Rから構成され、下搬送用ベルト81L・81R上方に上搬送用ベルト82L・82Rを平行に配置している。左右の下搬送用ベルト81L・81Rは無端帯からなり、搬送フレーム49の前部で駆動軸83・83に軸支された駆動プーリと、後部で軸85・85に軸支された従動プーリ86・86との間にそれぞれ巻回されて、回転可能に構成されている。そして、下搬送用ベルト81L・81Rとの間に形成される下搬送経路80aが、その左右幅が一定となるように構成されている。
【0046】
左右の上搬送用ベルト82L・82Rは無端帯からなり、搬送フレーム49の前部で駆動軸83・83に軸支された駆動プーリ87・87と、後部で前記軸85・85よりも外側に配置された軸88・88に軸支された従動プーリ89・89との間にそれぞれ巻回されて、回転可能に構成されている。そして、前後方向に平面視「ハ」字状に配置され、これらの上搬送用ベルト82L・82Rの間に形成される上搬送経路80bが後方へ向けて左右に広がるように構成されている。本実施例では、左右の上搬送用ベルト82L・82Rの前後中途部に、軸90・90に軸支されたガイドローラ91・91がそれぞれ備えられ、上搬送用ベルト82L・82Rの間に形成される上搬送経路80bが、駆動プーリ87・87とガイドローラ91・91との間では左右幅が一定に構成され、ガイドローラ91・91と従動プーリ89・89との間では後方に向けて左右に広がるように構成されている。
【0047】
前記ガイドローラ91・91は、駆動プーリ87・87と従動プーリ89・89との間において任意の位置に配置可能とされ、その配置位置により上搬送用ベルト82R・82Lにより形成される上搬送経路80bの左右幅を調節可能としている。なお、駆動プーリ87・87を左右方向の任意の位置に配置可能として、その配置位置により上搬送経路80bの左右幅を調節可能とすることもできる。
【0048】
前記左右の下搬送用ベルト81L・81Rには、それぞれ前後方向に一定長さの突起81La・81Raが所定間隔ごとに付設されている。同様に、左右の上搬送用ベルト82L・82Rにもそれぞれ前後方向に一定長さの突起82La・82Raが所定間隔ごとに付設されている。左右の下搬送用ベルト81L・81Rの突起81La・81Raは互いに対向するように下搬送経路80aに向かって突出され、左右の上搬送用ベルト82L・82Rの突起82La・82Raは互いに対向するように上搬送経路80bに向かって突出されている。
【0049】
このような構成において、互いに向かい合わせて配置した左右の上搬送用ベルト81L・81R及び下搬送用ベルト82L・82Rを伝達軸47から伝達される駆動力によってそれぞれ反対方向に回転させることで、デバイダ31・31により案内された穀稈はその下部を左右の下搬送用ベルト81L・81Rに付設された突起81La・81Raで、その上部を左右の上搬送用ベルト82L・82Rに付設された突起82La・82Raで後方へ取り込まれて、上部及び下部ともしっかりと挟持された状態で、ガイドローラ91・91が配置された上搬送用ベルト82L・82Rの前後中途部まで搬送される。その後、穀稈は、その下部が下搬送用ベルト81L・81Rの突起81La・81Raでしっかりと挟持されたまま、その上部が上搬送経路80aを後方に搬送されるに従って突起65La・65Raから徐々に放されるように搬送され、下搬送用ベルト81L・81R及び上搬送用ベルト82L・82R後端に達すると、プラットホーム21内の横送りオーガ22に投げ出されることになる。
【0050】
したがって、搬送装置32を左右一対の突起81La・81Ra付き下搬送用ベルト81L・81Rと該下搬送用ベルト81L・81R上に平行に配設した突起突起82La・82Ra付き上搬送用ベルト82L・82Rから構成し、左右の下搬送用ベルト81L・81Rを左右平行に配置して、左右の下搬送用ベルト81L・81Rの間に形成される下搬送経路80aをその左右幅が一定となるように構成するとともに、左右の上搬送用ベルト82L・82Rを前後方向に平面視でハ字状に配置し、左右の上搬送用ベルト82L・82Rの間に形成される上搬送経路80bを後方へ向けて左右へ広がるように構成したので、穀稈を下搬送用ベルト81L・81R及び上搬送用ベルト82L・82R前端で突起81La・81Ra及び突起82La・82Raにより確実に取り込み、下搬送用ベルト81L・81R及び上搬送用ベルト82L・82R後端でプラットホーム21外へ勢いよく投げ出すことなく、プラットホーム21内の横送りオーガ22に確実に搬送することができる。これにより、穀稈のこぼれの低減とヘッドロスの低減を図ることができる。
【0051】
また、図9に示される構成では、搬送装置32は左右一対の下搬送用ベルト93L・93R及び上搬送用ベルト94L・94Rからなり、左右の下搬送用ベルト93L・93Rを幅広の無端帯から、上搬送用ベルト94L・94Rを幅狭の無端帯から構成し、下搬送用ベルト93L・93R上方に上搬送用ベルト94L・94Rを平行に配置している。
【0052】
左右の下搬送用ベルト93L・93Rは、搬送フレーム49の後部で伝動軸47・47に軸支された駆動プーリ95・95と、前部で軸96・96に軸支された従動プーリ97・97との間にそれぞれ巻回されて、回転可能に構成されている。そして、下搬送用ベルト81L・81Rとの間に形成される下搬送経路100aが、その左右幅が一定となるように構成されている。
【0053】
左右の上搬送用ベルト94L・94Rは、搬送フレーム49の後部で伝動軸47・47に軸支された駆動プーリ98・98と、後部で軸96・96に軸支された従動プーリ99・99との間にそれぞれ巻回されて、回転可能に構成されている。そして、上搬送用ベルト94L・94Rの間に形成される上搬送経路100bが、駆動プーリ87・87とガイドローラ91・91との間では左右幅が一定となるように構成されている。
【0054】
前記左右の上搬送用ベルト94L・94Rにはそれぞれ前後方向に一定長さの突起94La・94Raが所定間隔ごとに付設されている。左右の下搬送用ベルト81L・81Rの突起81La・81Raは互いに対向する良いうに上搬送経路100bに向かって突出されている。
【0055】
このような構成において、互いに向かい合わせて配置した左右の下搬送用ベルト93L・93R及び上搬送用ベルト94L・94Rを伝達軸47から伝達される駆動力によってそれぞれ反対方向に回転させることで、デバイダ31・31により案内された穀稈は下部を幅広の下搬送用ベルト93L・93Rで挟持される一方、上部を上搬送用ベルト94L・94Rの突起94La・94Raで挟持されて、後方へ搬送される。
【0056】
以上のように、搬送装置32を幅広の下搬送用ベルト93L・93Rと突起94La・94Ra付きの幅狭の上搬送用ベルト94L・94Rとから構成したので、例えば穀稈の稈長が短い場合でも、幅広の下搬送用ベルト93L・93Rにより穀稈を確実に挟持してプラットホーム21内の横送りオーガ22まで搬送でき、ヘッドロスを低減することができる。また、茎葉が広がりをもっていたりした場合でも、突起付きの幅狭の上搬送用ベルト94L・94Rで穀稈の上部を挟持して搬送できるので、裂莢を低減することができる。つまり、搬送装置32の穀稈の種類や状態に対する適応性を改善することができる。
【0057】
また、図10に示される構成では、搬送装置32は平ベルトからなる搬送用ベルト105で構成されている。搬送用ベルト105は、水平方向に軸架された駆動軸106・106に軸支された駆動プーリ107・107と、水平軸108・108に軸支された従動プーリ109・109との間に巻回されて、回転可能に構成されている。
【0058】
前記搬送用ベルト105には所定間隔ごとに抜孔105aが設けられ、抜孔105aから搬送用ベルト105上の土が落下するように構成されている。なお、図11に示すように、搬送用ベルト105の前部下面に土落部110を設けたり、搬送用ベルト105の後部下面にスクレーパを配設したりすることもできる。
【0059】
したがって、穀稈の搬送過程において、搬送用ベルト105上から土を落下させることができるので、穀粒の汚損を防止することができる。また、図12に示すように、搬送用ベルト105に抜孔105aに加えて、所定間隔ごとに突起111を設けることで、穀稈の取り込み性能の向上を図ることもできる。
【0060】
また、前述の搬送装置32などにおいて、搬送用ベルトに付設される突起を、図13(a)及び(b)に示すように、搬送用ベルト114に固設された本体115a・116aより放射状に突出する複数の突出部材115b・116bからなる突起115・116とすることで、径が細い穀稈の搬送も可能となり、穀稈のこぼしを減少させてヘッドロスを低減することができる。また、突起115はゴムから構成されるので、互いに向かい合わせて配置した左右の搬送用ベルト114・114に形成される搬送経路の左右幅を小さくして、突起115・116の挟持力を向上させるように構成した場合に、突起115による穀稈の損傷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】刈取ユニットの側面図。
【図4】搬送装置の平面図。
【図5】同じく正面図。
【図6】搬送装置の別実施例を示す斜視図。
【図7】搬送装置の別実施例を示す斜視図。
【図8】搬送装置の別実施例を示す平面図。
【図9】搬送装置の別実施例を示す斜視図。
【図10】搬送装置の別実施例を示す斜視図。
【図11】搬送装置の別実施例を示す斜視図。
【図12】搬送装置の別実施例を示す斜視図。
【図13】(a)(b)突起の別実施例を示す正面図。
【符号の説明】
【0062】
6 刈取装置
20 刈取ユニット
31 デバイダ
32 搬送装置
55 搬送経路
60L・60R 搬送用ベルト
60La・60Ra 突起
65L・65R 搬送用ベルト
65La・65Ra 突起
70 搬送経路
73 ガイドローラ
80a 下搬送経路
80b 上搬送経路
81L・81R 下搬送用ベルト
81La・81Ra 突起
82L・82R 上搬送用ベルト
82La・82Ra 突起
93L・93R 下搬送用ベルト
94L・94R 上搬送用ベルト
94La・94Ra 突起
105 搬送用ベルト
105a 抜孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置を構成する左右一対の突起付き搬送用ベルトを前後方向に平面視でハ字状に配置し、左右の搬送用ベルトの間に形成される搬送経路を後方へ向けて左右へ広がるように構成したことを特徴とするコンバインの刈取装置。
【請求項2】
前記左右の搬送用ベルトに付設した突起を互いに上下にずらして配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの刈取装置。
【請求項3】
左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置を構成する左右一対の突起付き搬送用ベルトを前後方向にねじり形状に配置し、左右の搬送用ベルトの間に形成される搬送経路を後方へ向けて左右へ広がるように構成したことを特徴とするコンバインの刈取装置。
【請求項4】
前記左右の搬送用ベルトの前後中途部にそれぞれガイドローラを設け、該ガイドローラにより搬送用ベルトをガイドして、左右の搬送用ベルトの間に形成される搬送経路を途中から後方へ向けて左右へ広がるように構成したことを特徴とする請求項3に記載のコンバインの刈取装置。
【請求項5】
左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置を左右一対の突起付き下搬送用ベルトと該下搬送用ベルト上に平行に配設した突起付き上搬送用ベルトから構成し、左右の下搬送用ベルトを左右平行に配置して、左右の下搬送用ベルトの間に形成される搬送経路をその左右幅が一定となるように構成するとともに、左右の上搬送用ベルトを前後方向に平面視でハ字状に配置し、左右の上搬送用ベルトの間に形成される搬送経路を後方へ向けて左右へ広がるように構成したことを特徴とするコンバインの刈取装置。
【請求項6】
左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置を左右一対の下搬送用ベルトと該下搬送用ベルト上に平行に配設した突起付き上搬送用ベルトから構成し、下搬送用ベルトを幅広に構成する一方、上搬送用ベルトを幅狭に構成したことを特徴とするコンバインの刈取装置。
【請求項7】
左右一対のデバイダと、該デバイダの後方に配設する搬送装置と、該搬送装置の下方に配設する刈刃とを一つの刈取ユニットとして、該刈取ユニットを複数備えるコンバインの刈取装置において、前記搬送装置を平ベルトからなる搬送用ベルトから構成し、該搬送用ベルトに複数の抜孔を設けたことを特徴とするコンバインの刈取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−14668(P2006−14668A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195954(P2004−195954)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】