説明

コンバインの前処理部への動力伝達装置

【課題】 コンバインの前処理部の搬送装置が詰まったときに、その詰まりを搬送装置を逆転駆動させることによって解消するコンバインの前処理部への動力伝達装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 コンバインの走行機体2の前部に、穀稈を引起こし、刈取り、刈取られた穀稈を後方の脱穀装置5に搬送する搬送装置を備えた前処理部3を装備し、変速装置26で変速された動力を前処理部3に伝達する駆動系に動力を断接するクラッチ、及び、正転動力を伝達する正転用一方向クラッチ30を備えた正転用伝動装置34を介装して、前処理部3を走行速度と比例した速度で同調駆動するように構成したコンバインの前処理部3への動力伝達装置であって、正転用伝動装置34と並列に逆転動力を伝達するための逆転用伝動装置35を設けるとともに、逆転動力を入り切りするクラッチ43を備えてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの出力を正逆転伝動可能な変速装置を設け、この変速装置による変速により、駆動側プーリに一方向クラッチを備えたベルト伝動装置を介して前処理部に走行速度と比例した速度で同調駆動するように構成したコンバインの前処理部への動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインの前処理部への動力伝達装置として、穀稈を引起こす穀稈引起こし装置、引起こされた穀稈の株元部を刈取る刈取り装置、刈取られた穀稈を後方の脱穀装置に搬送する搬送装置を備えた前処理部を走行機体の前部に装備し、エンジンからの動力を正逆転並びに変速可能な変速装置を設け、この変速装置で変速された動力を走行装置に伝達するとともに、前記変速装置で変速された動力を前処理部に伝達する駆動系に動力を断接するクラッチ、及び、正転用一方向クラッチを備えた駆動側プーリと、被動側プーリとにベルトを巻回した正転用ベルト伝動装置を介装して、前記前処理部に走行速度と比例した速度で同調駆動するように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記従来技術では、一筋の刈取りを終えて走行機体を旋回させるときに後進する必要あるときに変速装置を逆転させたとしても正転用一方向クラッチによって前処理部には逆転駆動力が作用しないから、刈取り搬送中の搬送装置は機体後進時に一時停止するだけで、逆駆動はしないから、搬送中の穀稈を逆戻ししないで搬送することができるものである。
【特許文献1】特開2007−28980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、穀稈搬送中に詰まりが生じたときには、前処理部の駆動を停止させて、作業者が手作業で詰まっている穀稈を取り除かなければならず、多大な手間のかかるものであった。
【0005】
本発明の目的は、機体を後進させるための駆動力を利用して、一時的に前処理部を逆転することによって詰まりを解消することのできる動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に係る発明では、穀稈を引起こす穀稈引起こし装置、引起こされた穀稈の株元部を刈取る刈取り装置、刈取られた穀稈を後方の脱穀装置に搬送する搬送装置を備えた前処理部を走行機体の前部に装備し、エンジンからの動力を正逆転並びに変速可能な変速装置を設け、この変速装置で変速された動力を走行装置に伝達するとともに、変速装置で変速された動力を前処理部に伝達する駆動系に動力を断接するクラッチ、及び、正転動力を伝達する正転用一方向クラッチを備えた正転用伝動装置を介装して、前処理部に走行速度と比例した速度で同調駆動するように構成したコンバインの前処理部への動力伝達装置であって、正転用伝動装置と並列に、逆転動力を伝達するための逆転用伝動装置を設けるとともに、逆転動力を入り切りするクラッチを備えてあることを特徴とする。
【0007】
請求項1に係る発明によると、常時は逆転動力を入り切りするクラッチを切っておくことにより、前進での刈取り作業中は、通常の刈取り作業が行えるとともに、圃場の畦際で後進するときは、逆転用伝動装置からは動力は伝動されず、正転用伝動装置へ伝達される逆転動力も正転用伝動装置に備えた一方向クラッチにより伝動されず、後進時に前処理部が逆駆動されることはないので、後進により刈取った搬送中の穀稈を圃場に放出してしまうような不都合はない。
搬送装置で搬送されている穀稈が詰まったときは、機体を一旦停止させて走行系の伝動を断ち、前処理部に対して逆転動力を入り切りするクラッチを入れて、前記変速装置を後進側に変速することにより、前処理部の逆転用伝動装置を介して前処理部に逆転駆動力を伝達することができるから、これにより穀稈の詰まりが生じた搬送装置を逆転させて詰まりを解消することができる。
例えば、搬送装置を少し逆転させて停止させることにより(逆転動力を入り切りするクラッチを切り側に操作したり、変速装置を中立位置に操作する)、搬送装置での穀稈の詰まり(噛み込み)が弱くなるので、この状態で作業者が搬送装置に詰まった穀稈を容易に
手で抜き取ることができる。又、搬送装置を少し逆転させて停止させることにより、搬送
装置に詰まった穀稈が自然に搬送装置から離れて落下することもある。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、逆転用伝動装置に逆転動力を伝達する一方向クラッチを備えたものである。
【0009】
請求項2に係る発明によると、逆転動力を入り切りするクラッチに加えて、逆転用伝動装置に逆転動力を伝達する一方向クラッチを備えている。これにより、逆転動力を入り切りするクラッチを入れた状態において、変速装置を正転させると、正転用伝動装置を介して前処理部及び搬送装置が正転し(逆転用伝動装置において、逆転動力を伝達する一方向クラッチにより正転動力が遮断される)、変速装置を逆転させると、逆転用伝動装置を介して前処理部及び搬送装置が逆転する(正転用伝動装置において、正転用一方向クラッチにより逆転動力が遮断される)。このように、前処理部及び搬送装置を正転及び逆転させることにより、搬送装置に詰まった穀稈が自然に搬送装置から離れて落下するような状態が期待できる。
通常の刈取りにおいて、逆転動力を入り切りするクラッチを切っておくことにより、逆転動力を伝達する一方向クラッチにより正転動力が遮断されると言う状態が生じなくなるので、逆転動力を伝達する一方向クラッチに掛かる負荷が小さくなり、逆転動力を伝達する一方向クラッチの耐久性を向上させることができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の発明において、逆転用伝動装置を伝動ベルトを備えたベルト伝動装置に構成し、逆転動力を入り切りするクラッチは、逆転用伝動装置に備えたテンションクラッチである。
【0011】
逆転用伝動装置をベルト伝動装置とし、これにテンションクラッチを備えているので、簡易な構造で、前処理部に動力を伝達するクラッチ付きの伝動装置を構成することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3に記載の発明において、変速装置で変速された動力を前処理部に伝達する駆動系に動力を断接するクラッチは、正転用及び逆転用伝動装置よりも伝動上手側に設けたミッションケース内に設けている。
【0013】
前処理部への動力を断接するクラッチをミッションケース内に設けたことにより、当該前処理用のクラッチの入り切りにより、刈取り作業中には前処理部を駆動させ、圃場間の移動時などの非作業には前処理部への動力を断って安全に移動することができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1〜3に記載の発明において、正転用伝動装置を伝動ベルトを備えたベルト伝動装置に構成し、変速装置で変速された動力を前処理部に伝達する駆動系に動力を断接するクラッチは、正転用伝動装置に備えたテンションクラッチである。
【0015】
正転用伝動装置をベルト伝動装置とし、これにテンションクラッチを備えているので、簡易な構造で、前処理部に動力を伝達するクラッチ付きの伝動装置を構成することができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5に記載の発明において、搬送装置を株元挟持搬送装置と穂先係止搬送装置とで構成するとともに、正転用伝動装置の伝動下手側に穂先係止搬送装置への動力の伝達を断つクラッチを設けたものである。
【0017】
穀稈の詰まりは通常株元部の搬送装置に生じる。他方、穂先係止搬送装置は、通常穀稈を係止しながら搬送するための係止爪を備えているが、係止爪は搬送領域では突出させて穀稈を係止し、非搬送領域(裏側)では、搬送チェーンに沿う姿勢に倒伏させて移動させる起伏爪であり、その構成上、係止搬送装置を逆転させると係止爪の逆起伏がうまくいかずに係止爪を破損させてしまう虞がある。
【0018】
請求項6の発明によれば、穂先係止搬送装置への動力の伝達を断つクラッチを設けてあるので、詰まりが発生して、前処理部を逆駆動させるときに、前記クラッチを切り操作することにより、穂先係止搬送装置を駆動させないで、他の前処理部の装置類を逆駆動させるので、逆駆動によって装置を破損させることなく、詰まりを解消することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1に、自脱型のコンバインの前部の側面図が、また、図2にその平面図がそれぞれ示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の前部に6条刈り仕様の前処理部3が昇降自在に連結されるとともに、走行機体2に運転部4、脱穀装置5及び穀粒回収タンク6等が搭載された構造となっている。
【0020】
前処理部3には伝動ケースを兼用した前処理部フレーム10が備えられており、この前処理部フレーム10の後端基部が、走行機体2の前端部に立設された支持台11の上部に横向きの支点Pを中心として上下揺動可能に連結支持されるとともに、油圧シリンダ12で上下に駆動揺動されるようになっている。前処理部フレーム10には、植立穀稈を所定の刈取り姿勢に引起こす引起こし装置13、引起こした植立穀稈を切断するバリカン型の刈取り装置14、刈取った穀稈を後方に軽く掻き込む補助搬送ベルト15、穀稈の株元を後方に掻き込み搬送する回転パッカ16、穀稈を2条づつ刈幅内の中間部位に搬送して合流する3組の合流搬送装置17,18,19、及び合流された穀稈を脱穀装置5の横外側に備えられたフィードチェーン7の始端部にまで搬送する供給搬送装置20等が支持されている。
【0021】
機体左側の前記合流搬送装置17は、左2条の穀稈の株元を挟持搬送する株元挟持搬送装置17aと穂先を係止搬送する穂先係止搬送装置17bとで構成され、中央部の前記合流搬送装置18は、中2条用の株元挟持搬送装置18aと穂先係止搬送装置18bとで構成され、また、右側の前記合流搬送装置19は、右2条用の株元挟持搬送装置19aと穂先係止搬送装置19bとから構成されている。そして、各株元挟持搬送装置17a、18a,19aの前端に前記補助搬送ベルト15および回転パッカ16がそれぞれ装備されるとともに、2条単位で臨設する回転パッカ16同士が噛み合い連動されている。
【0022】
前記供給搬送装置20は、右2条の合流箇所近くからフィードチェーン7の前方まで延出された穂先係止搬送装置21と、前記合流搬送装置17,18,19の合流箇所から後方に延出された株元挟持搬送装置22と、フィードチェーン7の前方に配備された横回し型の中継搬送装置23とから構成されており、合流搬送装置17,18,19で合流された穀稈を立姿勢で受取り、後方上方に搬送しながら穀稈を横倒れ姿勢に変更し、フィードチェーン7の始端部に横倒れ姿勢で受け渡す機能を発揮する。
【0023】
ここで、前記株元挟持搬送装置22は、前部支点を中心に上下揺動して搬送終端位置を稈長方向に変更することで、フィードチェーン7への穀稈受け渡し位置を稈長方向に変更して脱穀装置5への穀稈挿入長さを変更調節する扱き深さ調節機能が備えられている。
【0024】
上記のように構成された前処理部3の伝動構造の概略が図3に示されている。
前記運転部4における座席下方に配備されたエンジン25からの動力は2系統に分岐され、その一方の分岐動力が走行用主変速装置としての静油圧式無段変速装置(HST)26にベルト伝達され、その変速動力がミッションケース27でギヤ変速されて左右のクローラ走行装置1に伝達される。静油圧式無段変速装置26は運転部4に備えた主変速レバー28に機械連係されており、この主変速レバー28を中立位置から前方あるいは後方に操作することで零速発進と前進あるいは後進への無段変速を行うことができるようになっている。また、エンジン動力の他方の分岐動力は脱穀装置5にベルト伝達され、フィードチェーン7と脱穀および選別用の各作動機構が駆動される。
【0025】
前記静油圧式無段変速装置26から走行系に伝動される変速出力の一部がミッションケース27に備えられたPTO軸29に分岐伝達され、このPTO軸29の回転動力が一方向クラッチ30,31を備えたベルト式伝動装置32を介して取り出されて前処理部3に伝達される。
【0026】
前処理部3おける前記前処理部フレーム10の基端部には、前処理部3の支点Pと同芯にカウンタ軸33が横架されており、このカウンタ軸33にPTO軸29からの前記動力がベルト式伝動装置32に伝達される。カウンタ軸33に伝達された動力の一部は、前処理部フレーム10の内部を通して前処理部前部に伝達され、引起こし装置13、刈取り装置14、補助搬送ベルト15、回転パッカ16、合流流搬送装置17,18,19及び供給搬送装置20の株元挟持搬送装置22が駆動される。また、カウンタ軸33に伝達された動力の一部が軸端部から上方に取り出されて、供給搬送装置20の穂先係止搬送装置21と中継搬送装置23が駆動される。
【0027】
前記ベルト式伝動装置32は、刈取り作業時に動力を伝達するための正転用伝動装置34と、穀稈の詰まりが発生したり、メンテナンスを行うときに逆転駆動させる逆転用伝動装置35とからなる。
図4、図5に示すように、正転用伝動装置34及び逆転用伝動装置35は、それぞれPTO軸29に設けた駆動側プーリ36,37と、カウンタ軸33に設けた被動側プーリ38,39と、駆動側プーリ36,37と被動側プーリ38,39とにそれぞれ巻回したベルト40,41と、ベルト40,41を押圧・押圧解除して駆動側プーリ36,37から被動側プーリ38,39への動力を断接するベルトテンションクラッチ42,43とで構成されている。
【0028】
図5、図6に示すように、正転用伝動装置34の駆動側プーリ36には、刈取り作業を行う正転時にのみ動力を伝達し、逆転時は駆動側プーリ36を回転させない一方向クラッチ30を設けており、逆転用伝動装置35の駆動側プーリ37には、穀稈の詰まりが発生したり、メンテナンスを行うときに前処理部3の搬送装置を逆転駆動させ、正転時には駆動側プーリ37を回転させない一方向クラッチ31を設けている。
【0029】
図7に示すように、前処理部3のフレーム10に内蔵した伝動軸44からベベルギヤ45,46を介して、搬送装置の一つである株元挟持搬送装置18aの挟持用チェーンを巻回する駆動スプロケット47と穂先係止搬送装置18bの係止用チェーンを巻回する駆動スプロケット48へ動力と伝達するように構成されている。穂先係止搬送装置18bの駆動スプロケット48に対しては、レバー49を切換えて、図外の係止部に係合させて位置保持することにより、動力を断つ状態と動力を伝動する状態とに入り切りできる穂先搬送用のクラッチ50を備えている。これと同様な穂先搬送用のクラッチ50は、他の穂先係止搬送装置17b,19b,21にも設けてある。
【0030】
従って、収穫作業での前進走行においては、逆転用伝動装置35のベルトテンションクラッチ43を切るとともに、正転用伝動装置34のベルトテンションクラッチ42を入り状態にして、静油圧式無段変速装置26を前進操作すると、PTO軸29からの出力が正転用伝動装置34を介して前処理部3の各部に伝達され、静油圧式無段変速装置26を増速操作するに連れてPTO軸29からの出力が走行速度と正比例して高速となり、前処理部3の各部が走行速度と同調した速度で駆動されることになる。
【0031】
刈取り作業中に搬送中の穀稈が搬送装置に詰まった場合は、一旦走行を停止し、図外の走行用の副変速装置を中立にした状態で、正転用伝動装置34のベルトテンションクラッチ42を切るとともにレバー49の操作で必要な穂先係止搬送装置17b,18b,19b,21のクラッチ50を切り操作し、逆転用伝動装置35のベルトテンションクラッチ43を入り状態にして、静油圧式無段変速装置26を後進側に微小操作すると、PTO軸29からの出力が逆転用伝動装置35を介して前処理部3の各部の搬送装置が逆転駆動されて、詰まりを解消することができる。これでも穀稈が取り除くことができないときは、正転用伝動装置34のベルトテンションクラッチ42を入れて、静油圧式無段変速装置26を前後に微小作動させれば、搬送装置が小刻みに前後動して、咬み込んだ穀稈を振るい落とすことができ、詰まりを解消しやすくなる。
【0032】
〔別の実施の形態〕
(1)上記実施の形態では、逆転用伝動装置35の駆動側プーリ37に一方向クラッチ31を設けたが、この一方向クラッチ31は省略してもよい。
(2)正転用伝動装置34及び逆転用伝動装置35としては、ベルト伝動の他、チェーンで伝動する装置、ギヤで伝動する装置、その他べベルギヤ等を備えた軸伝動構造であってもよい。
(3)正転用伝動装置34の動力を断つクラッチとしては、テンションクラッチ43に代えて、ミッションケース内に摩擦クラッチや噛み合いクラッチとして設けてもよく、又、テンションクラッチ43に加えてミッションケース内に上記クラッチを設けてもよい。
(4)逆転用伝動装置35のクラッチとしては、テンションクラッチ43に代えて、駆動側プーリ36と37の間に噛み合いクラッチを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】刈取り部の平面図
【図3】伝動系統図
【図4】ベルト式伝動装置の側面図
【図5】一方向クラッチを備えた駆動側プーリの縦断正面図
【図6】一方向クラッチを備えた駆動側プーリの縦断側面図
【図7】搬送装置の駆動部を示す一部縦断面図
【符号の説明】
【0034】
1 走行装置
3 前処理部
5 脱穀装置
13 引起こし装置
14 刈取り装置
17,18,19 合流搬送装置
20 供給搬送装置
21 穂先係止搬送装置
22 株元挟持搬送装置
23 中継搬送装置
25 エンジン
26 静油圧式無段変速装置
27 ミッションケース
30,31 一方向クラッチ
34 正転用伝動装置
35 逆転用伝動装置
40,41 伝動ベルト
42,43 ベルトテンションクラッチ
50 クラッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を引起こす穀稈引起こし装置、引起こされた穀稈の株元部を刈取る刈取り装置、刈取られた穀稈を後方の脱穀装置に搬送する搬送装置を備えた前処理部を走行機体の前部に装備し、エンジンからの動力を正逆転並びに変速可能な変速装置を設け、この変速装置で変速された動力を走行装置に伝達するとともに、前記変速装置で変速された動力を前処理部に伝達する駆動系に動力を断接するクラッチ、及び、正転動力を伝達する正転用一方向クラッチを備えた正転用伝動装置を介装して、前記前処理部を走行速度と比例した速度で同調駆動するように構成したコンバインの前処理部への動力伝達装置において、
前記正転用伝動装置と並列に逆転動力を伝達するための逆転用伝動装置を設けるとともに、逆転動力を入り切りするクラッチを備えてあることを特徴とするコンバインの前処理部への動力伝達装置。
【請求項2】
前記逆転用伝動装置に逆転動力を伝達する一方向クラッチを備えている請求項1記載のコンバインの前処理部への動力伝達装置。
【請求項3】
前記逆転用伝動装置を伝動ベルトを備えたベルト伝動装置に構成し、逆転動力を入り切りする前記クラッチは、前記逆転用伝動装置に備えたテンションクラッチである請求項1または2記載のコンバインの前処理部への動力伝達装置。
【請求項4】
前記変速装置で変速された動力を前処理部に伝達する駆動系に動力を断接するクラッチは、前記正転用及び逆転用伝動装置よりも伝動上手側に設けたミッションケース内に設けている請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバインの前処理部への動力伝達装置。
【請求項5】
前記正転用伝動装置を伝動ベルトを備えたベルト伝動装置に構成し、前記変速装置で変速された動力を前処理部に伝達する駆動系に動力を断接するクラッチは、前記正転用伝動装置に備えたテンションクラッチである請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバインの前処理部への動力伝達装置。
【請求項6】
前記搬送装置を株元挟持搬送装置と穂先係止搬送装置とで構成するとともに、前記正転用伝動装置の伝動下手側に前記穂先係止搬送装置への動力の伝達を断つクラッチを設けてある請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンバインの前処理部への動力伝達装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−240211(P2009−240211A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90309(P2008−90309)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】