説明

コンバイン

【課題】排出される穀粒量と、穀粒タンクに貯留する穀粒量に対する塵量の比率とを求め、求めた塵量の割合及び排出される穀粒量に基づいて、塵の発生を防止する制御を行うか又は排出される穀粒量を低減させる制御を行う。
【解決手段】塵センサ50にて脱穀装置2内に発生した塵量を検出し、投口センサ23bにて投口23aから穀粒タンク4へ送出される穀粒量(投口量)を検出して、検出された塵量と投口量との比率を求める。また排出量センサ34にて排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量(ロス量)を検出する。前記比率と前記ロス量とに基づいて、塵の発生を防止する制御を行うか又はロス量を低減させる制御を行う構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀稈から分離した穀粒量及び塵の量に基づいて、排出される穀粒量を制御するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
圃場での収穫作業を行う場合には、穀稈の刈取り及び脱穀並びに穀粒の回収を行うコンバインを使用することが多い。コンバインは、クローラの走行中に刈刃にて穀稈を刈取り、刈取った穀稈を扱胴へ搬送して脱穀する。そして扱胴の下方に配置してあるチャフシーブにて、穀稈から分離した稈及び穀粒の選別を行い、選別された穀粒をチャフシーブから漏下させる。漏下した穀粒は、スクリューを介して穀粒タンクに回収される。一方チャフシーブの下方に配置してある唐箕の起風作用によって、チャフシーブから漏下する細かな塵埃はコンバインの後部に設けてある排塵口から排出される。また穀粒の一部も塵埃と共に排塵口から排出される。
【0003】
穀稈の刈取量が増加すると穀稈から分離する穀粒量が増加し、排塵口から排出される穀粒量も増加する。このため穀稈の刈取量が増加した場合には、穀粒タンクへの穀粒の回収量を増加させることが望ましい。そこで穀粒量を検出するグレン損失検出器を排塵口に配置し、該グレン損失検出器にて検出された穀粒量が増加した場合に、チャフシーブを開いて、穀粒タンクへの穀粒の回収量を増加させるコンバインが以前から提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のコンバインにあっては、チャフシーブに油圧シリンダを連結してあり、該油圧シリンダには、圧油の給排を切り替える電磁弁が連結してある。該コンバインは、グレン検出器の出力が示す値と排塵口から排出されることが許容される穀粒量(以下許容ロス量という)とを比較し、排塵口から排出される穀粒量(以下ロス量という)が許容ロス量を超過した場合に前記電磁弁の作動を制御して、ロス量を許容ロス量よりも小さくしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−234714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のコンバインにおいては、脱穀によって発生した塵の量(以下塵量という)に拘わらず、グレン損失検出器にて検出されたロス量が前記許容ロス量を超過した場合にチャフシーブを開くので、多量の塵がチャフシーブを漏下して、穀粒タンクに回収されることがある。このため穀粒タンクに貯留する穀粒量に対する塵量の比率が増大し、選別精度が大幅に低下する虞がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排出される穀粒量と、穀粒タンクに貯留する穀粒量に対する塵量の比率とを求め、求めた塵量の比率及び排出される穀粒量に基づいて、塵の発生を防止する制御を行うか又は前記ロス量を低減させる制御を行うことができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンバインは、走行部と、該走行部の走行中に穀稈を刈り取る刈取部と、該刈取部にて刈り取られた穀稈を脱穀する脱穀装置と、該脱穀装置から排出される穀粒量を調整する調整手段と、前記脱穀装置にて脱穀された穀粒が貯留する貯留部とを備えるコンバインにおいて、前記脱穀装置から排出される所定時間あたりの穀粒量を検出する排出量検出手段と、前記脱穀装置内の塵量を検出する塵量検出手段と、該塵量検出手段にて検出された塵量と前記貯留部に貯留する所定時間あたりの穀粒量との比率を算出する算出手段と、該算出手段にて算出された比率と前記排出量検出手段にて検出された穀粒量とに基づいて、前記調整手段の作動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、脱穀装置から排出される穀粒量(ロス量)及び所定時間あたりに収穫される穀粒量と脱穀装置内の塵量との比率を求め、求めた比率及びロス量に応じて塵の発生を防止する制御を行うか又はロス量を低減させる制御を行う。
【0010】
本発明に係るコンバインは、前記走行部の速度を検出する速度検出手段を備え、前記算出手段は、前記塵量検出手段にて検出された塵量と前記速度検出手段にて検出された速度との比率を算出することを特徴とする。
【0011】
本発明においては、貯留部に貯留する穀粒量は走行部の速度に比例するため、速度と塵量との比率を算出し、算出した比率に応じて塵の発生を防止する制御を行うか又は前記ロス量を低減させる制御を行う。
【0012】
本発明に係るコンバインは、前記脱穀装置から前記貯留部へ穀粒を搬送する搬送手段と、該搬送手段にて搬送される所定時間あたりの穀粒量を検出する搬送量検出手段とを備え、前記算出手段は、前記塵量検出手段にて検出された塵量と前記搬送量検出手段にて検出された穀粒量との比率を算出することを特徴とする。
【0013】
本発明においては、貯留部に貯留する穀粒量は搬送手段にて搬送される穀粒量に直接的に反映されるため、搬送手段にて搬送される所定時間あたりの穀粒量を検出することによって、貯留部に貯留される穀粒量を精度良く検出することができる。そこで検出した穀粒量と塵量との比率を算出し、算出した比率に応じて塵の発生を防止する制御を行うか又は前記ロス量を低減させる制御を行う。
【0014】
本発明に係るコンバインは、前記脱穀装置は円筒形の扱胴を有しており、前記調整手段は前記扱胴の周囲に配置してある送塵弁を備え、該送塵弁の開閉を行う弁駆動源と、前記算出手段にて算出された比率が所定範囲内にあるか否かを判定する比率判定手段と、前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲内にあるか否かを判定する排出量判定手段とを備え、前記制御手段は、前記比率判定手段にて、前記算出手段にて算出された比率が前記所定範囲外にあると判定された場合であって、前記排出量判定手段にて、前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記所定範囲内にあると判定されたときに、前記送塵弁が開くように前記弁駆動源を駆動させる手段を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、収穫される穀粒量と脱穀装置内の塵量との比率について所定範囲を設定し、収穫される穀粒量と脱穀装置内の塵量との比率が所定範囲内にある場合には、選別精度は悪化していないと判定する。また前記排出量検出手段にて検出された穀粒量について所定範囲を設定し、検出された穀粒量が所定範囲内にある場合には、前記ロス量は前記許容ロス量を超過していないと判定する。収穫される穀粒量と脱穀装置内の塵量との比率が所定範囲外にあると判定され、排出量検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲内にあると判定された場合には、選別精度が悪化している一方で前記ロス量は前記許容ロス量を超過していないので、前記送塵弁を開いて、穀稈から分離した稈が扱胴に滞留する時間を短縮し、扱胴にて稈が粉砕され、多量の塵が発生することを防止する。
【0016】
本発明に係るコンバインは、前記制御手段は、前記比率判定手段にて、前記算出手段にて算出された比率が前記所定範囲内にあると判定された場合であって、前記排出量判定手段にて、前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記所定範囲外にあると判定されたときに、前記送塵弁が閉じるように前記弁駆動源を駆動させる手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、貯留部に貯留される穀粒量と脱穀装置内の塵量との比率が所定範囲内にあり、且つ検出された穀粒量が所定範囲外にある場合には、選別精度は悪化していない一方で前記ロス量は前記許容ロス量を超過しているので、前記送塵弁を閉じて、扱胴から送出される穀粒量を低減し、ロス量の低減を図る。
【0018】
本発明に係るコンバインは、前記制御装置は、前記比率判定手段にて前記算出手段にて算出された比率が前記所定範囲外にあると判定された場合であって、前記排出量判定手段にて前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記所定範囲外にあると判定されたときに、前記走行部を強制的に減速させる手段を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、収穫される穀粒量と脱穀装置内の塵量との比率が所定範囲外にあると判定され、排出量検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあると判定された場合には、選別精度が悪化し且つロス量が許容ロス量を超過している。この場合には脱穀装置に過剰に穀稈が供給されていると考えられるので、前記走行部を強制的に減速させて、穀稈の刈取量を減少させ、ロス量の低減及び塵の発生の防止を図る。
【0020】
本発明に係るコンバインは、前記比率判定手段にて前記算出手段にて算出された比率が前記所定範囲外にあると判定された場合に、前記算出手段にて算出された比率が前記所定範囲外にあることを報知する手段を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、収穫される穀粒量と脱穀装置内の塵量との比率が所定範囲外にあると判定された場合に選別精度が悪化していることを報知して、選別精度を向上させるための操作、例えば穀稈の扱深さ及び刈り取られた穀稈の姿勢を調整する操作を行うことをユーザに促す。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るコンバインにあっては、貯留部に貯留される穀粒量と脱穀装置内の塵量との比率及び前記ロス量を求め、求めた比率及びロス量に応じて塵の発生を防止する制御を行うか又はロス量を低減させる制御を行うので、ロス量の減少と選別精度の向上との調和を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態に係るコンバインの外観斜視図である。
【図2】刈取部にて刈り取った穀稈をフィードチェンへ搬送する搬送機構を示す模式図である。
【図3】脱穀装置の内部構成を略示する側面断面図である。
【図4】塵センサの構成を示す模式図である。
【図5】エンジンの駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
【図6】キャビン内のダッシュボードパネルに設けてあるスイッチ群の略示正面図である。
【図7】操作レバーの略示正面図である。
【図8】表示部の略示正面図である。
【図9】送塵弁の伝動機構を示す略示平面図である。
【図10】送塵弁の前後方向に対する角度と前記送塵弁角度設定スイッチとの関係を説明する説明図である。
【図11】制御部の構成を示すブロック図である。
【図12】閾値Pと許容値設定スイッチの出力電圧との関係を示す関数f、及び閾値Qと許容値設定スイッチの出力電圧との関係を示す関数gを示すグラフである。
【図13】閾値Rと投口から穀粒タンクへ送出される穀粒量(投口量D)との関係を示す関数x〜関数z及び閾値Sと投口量Dとの関係を示す関数kを示すグラフである。
【図14】制御部が実行する送塵弁の動作制御等の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】制御部が実行する送塵弁の動作制御等の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】制御部が実行する送塵弁の動作制御等の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】制御部が実行する送塵弁の動作制御等の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態に係るコンバインの変形例1における脱穀装置の内部構成を略示する側面断面図である。
【図19】実施の形態に係るコンバインの変形例2における脱穀装置の内部構成を略示する側面断面図である。
【図20】実施の形態に係るコンバインの変形例3における脱穀装置の内部構成を略示する側面断面図である。
【図21】実施の形態に係るコンバインの変形例4における脱穀装置の内部構成を略示する側面断面図である。
【図22】実施の形態に係るコンバインの変形例5における脱穀装置の内部構成を略示する側面断面図である。
【図23】実施の形態に係るコンバインの変形例6における脱穀装置の内部構成を略示する側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明を実施の形態に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの外観斜視図である。
図において1は走行クローラであり、該走行クローラ1の上側に脱穀装置2が設けてある。該脱穀装置2の前側に、刈取り穀稈と非刈取り穀稈とを区別する分草板3a、穀稈を刈取る刈刃3b、及び穀稈を引き起こす引起し装置3cを備える刈取部3が設けてある。前記脱穀装置2の左側には穀粒を収容する穀粒タンク4を設けてあり、前記脱穀装置2の右部には穀稈を搬送するフィードチェン5を設けてある。該フィードチェン5には穀稈を挟持する挟持部材6が対向している。前記フィードチェン5の始端部付近には縦搬送装置7を配設してある。また前記穀粒タンク4には、穀粒タンク4から穀粒を排出する筒状の排出オーガ4aを取り付けてあり、穀粒タンク4の前側にはキャビン8を設けてある。
【0025】
走行クローラ1の駆動によって機体は走行する。機体の走行によって刈取部3に穀稈が取り込まれ、刈り取られる。刈り取られた穀稈は縦搬送装置7、フィードチェン5及び挟持部材6を介して脱穀装置2に搬送され、脱穀装置2内にて脱穀される。
【0026】
図2は刈取部3にて刈り取った穀稈をフィードチェン5へ搬送する搬送機構を示す模式図である。
引起し装置3cの後方に、穀稈の下部を搬送する下部搬送チェン71、穀稈の上部を搬送する第1上部搬送チェン72、及び穀稈の穂先を搬送する穂先搬送チェン73が上下に並設してある。下部搬送チェン71の後方に縦搬送チェン74が上下に配設してあり、図中矢印にて示す如く、縦搬送チェン74はその上端部を回転中心にして上下に回動することができるようにしてある。また上部搬送チェン72及び穂先搬送チェン73の後方であって、縦搬送チェン74の上方に第2上部搬送チェン75が配設してある。また縦搬送チェン74と第2上部搬送チェン75との間には補助搬送チェン76が配設してある。
【0027】
刈取部3にて刈り取られた穀稈は、下部搬送チェン71、第1上部搬送チェン72及び穂先搬送チェン73にて搬送される。下部搬送チェン71、第1上部搬送チェン72及び穂先搬送チェン73の搬送速度比を適切に調整することで、搬送途中に穀稈の姿勢が横向きになる。横向きになった穀稈は、縦搬送チェン74、第2上部搬送チェン75及び補助搬送チェン76によって、フィードチェン5へ送られる。このとき縦搬送チェン74を上方へ回動させると、脱穀装置2における扱深さは浅くなり、縦搬送チェン74を下方へ回動させると、脱穀装置2における扱深さは深くなる。
【0028】
図3は脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
図3に示すように、脱穀装置2の前側上部に穀稈を脱穀するための扱室10が設けてある。該扱室10内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の扱胴11が軸架してあり、該扱胴11は軸回りに回動可能となっている。扱胴11の周面には多数の扱歯12、12、・・・12を螺旋状に取り付けてある。前記扱胴11の下側に、前記扱歯12、12、・・・12と協働して稈を揉みほぐすクリンプ網15が配置してある。前記扱胴11は後述するエンジン40の駆動力によって回動し、穀稈を脱穀する。
【0029】
前記扱室10の上壁に四つの送塵弁10a、10a、10a、10aが前後方向に沿って並設してあり、該送塵弁は扱室10の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0030】
扱室10の後部には処理室13が連設してある。該処理室13内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の処理胴13bが軸架してあり、該処理胴13bは軸回りに回動可能となっている。処理胴13bには多数の扱歯13c、13c、・・・、13cを螺旋状に取り付けてある。前記処理胴13bの下側には扱歯13c、13c、・・・、13cと協働して稈を揉みほぐす処理網13dを配置してある。前記処理胴13bはエンジン40の駆動力によって回動し、扱室10から送出された稈及び穀粒から穀粒を分離する処理を行う。処理室13の後端部下側には排出口13eを開設してある。
【0031】
前記処理室13の上壁に四つの処理胴弁13a、13a、13a、13aが前後方向に沿って並設してあり、該処理胴弁13a、13a、13a、13aは処理室13の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0032】
前記クリンプ網15の下側には、穀粒及び稈の選別を行う揺動選別装置16を設けてある。該揺動選別装置16は、穀粒及び稈を均一化すると共に比重選別を行う揺動選別盤17と、該揺動選別盤17の後側に設けてあり、穀粒及び稈の粗選別を行うチャフシーブ18と、該チャフシーブ18の後側に設けてあり、稈に混入した穀粒を落下させるためのストローラック19とを備える。該ストローラック19は図示しない複数の透孔を有している。また前記揺動選別盤17の前部には揺動アーム21が連結してある。該揺動アーム21は前後に揺動するように構成されている。この揺動アーム21の揺動によって揺動選別装置16は揺動し、稈及び穀粒の選別が行われる。
【0033】
揺動選別装置16は、前記チャフシーブ18の下側に設けてあり、穀粒及び稈の精選別を行うグレンシーブ20を更に備える。該グレンシーブ20の下方に、前部が後部よりも下に位置するように傾斜した一番穀粒板22が設けてあり、該一番穀粒板22の前側に、穀粒を前記穀粒タンク4に送給する一番スクリュー23が設けてある。前記グレンシーブ20から一番穀粒板22に落下した穀粒は前記一番スクリュー23に向けて滑落する。一番スクリュー23は穀粒タンク4へ延設されており、滑落した穀粒は一番スクリュー23よって搬送され、一番スクリュー23の終端に設けてある投口23aから穀粒タンク4へ送出される。投口23aには、投口23aから穀粒タンク4へ送出される所定時間あたりの穀粒量(投口量)を検出する投口センサ23bが設けてある。投口センサ23bは圧電素子を備えており、投口センサ23bに穀粒が当接することによって、投口センサ23bから前記投口量を示す電圧信号が出力される。
【0034】
前記一番穀粒板22の後部に、後部が前部よりも下に位置するように傾斜した傾斜板24が連設してある。該傾斜板24の後端部に、前部が後部よりも下に位置するように傾斜した二番穀粒板25が連設してある。該二番穀粒板25と前記傾斜板24との連結部分の上側に稈及び穀粒を搬送する二番スクリュー26が設けてある。
前記ストローラック19の透孔から傾斜板24又は二番穀粒板25に落下した落下物は前記二番スクリュー26に向けて滑落する。滑落した落下物は、二番スクリュー26によって前記扱胴11の左側に設けてある処理ロータ14に搬送され、処理ロータ14にて脱穀処理される。
【0035】
前記一番スクリュー23よりも前方であって、前記揺動選別盤17よりも下方に、後方に向けて送風する唐箕27が設けてある。該唐箕27と前記一番スクリュー23との間に二つの整流板28、28を配設してある。
【0036】
前記二番穀粒板25の後端部に通路板36が連ねてある。該通路板36の上方には下部吸引カバー30が設けてある。該下部吸引カバー30及び通路板36の間は塵埃が排出される排気通路37になっている。
【0037】
下部吸引カバー30の上方に上部吸引カバー31が設けてある。該上部吸引カバー31及び下部吸引カバー30の間に、稈を吸引排出する軸流ファン32を配設してある。該軸流ファン32の後方には排塵口33を設けてある。前記唐箕27の動作によって発生した気流は、前記整流板28、28によって整流された後に、前記揺動選別装置16を通過して、前記排塵口33及び排気通路37に至る。
【0038】
排塵口33及び排気通路37には、圧電素子を備える二つの排出量センサ34、34が配してある。排塵口33及び排気通路37から、穀粒が排出され、排出量センサ34、34に当接する。このとき排出量センサ34、34の圧電素子から電圧信号が出力され、排塵口33及び排気通路37から排出される所定時間あたりの穀粒量(ロス量)が検出される。なお排出量センサ34、34は圧電素子を有するセンサに限るものではなく、発光素子及び受光素子を有する光センサを排出量センサ34として使用し、発光素子及び受光素子の間を通過する所定時間あたりの穀粒量を検出しても良い。また発信器及び受信機を有する超音波センサを排出量センサ34として使用し、発信器及び受信機の間を通過する所定時間あたりの穀粒量を検出しても良い。
【0039】
前記上部吸引カバー31の上側であって、前記処理室13の下方に、前部が後部よりも下に位置するように傾斜した流下樋35が設けてある。前記処理室13の排出口13eから排出された排出物は流下樋35を滑落して前記ストローラック19に落下する。
【0040】
前記チャフシーブ18の上側には、塵量を検出する塵センサ50が設けてある。前記投口センサ23bにて検出された穀粒量と塵センサ50にて検出された穀粒量との比に基づいて、前記送塵弁10a、10a、10a、10aの開閉が行われ、扱室10の後部へ送出する稈及び穀粒の量が調節される。
【0041】
図4は塵センサ50の構成を示す模式図である。塵センサ50は下端部を前方へ折り曲げたL状の検出板51を備えている。L状の検出板51の上端部は脱穀装置2の適所に、枢軸52を介して取り付けられている。塵センサ50は、枢軸52の回動に応じて出力電圧が変動するポテンショメータ53を備えている。脱穀装置2内にて発生する塵量に比例して塵の高さhは大きくなり、図4に示すように、塵の高さhに比例して枢軸の回動角度θも大きくなる。このため塵センサ50は、ポテンショメータ53の出力電圧に基づいて回動角度θを求め、脱穀装置2内にて発生する塵量を検出するようにしてある。
【0042】
前述した走行クローラ1の駆動、刈取部3の刈取動作、扱胴11の回動、処理胴13bの回動、揺動選別装置16の揺動及び唐箕27の起風動作はエンジン40の駆動力によって行われる。図5はエンジン40の駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
【0043】
図5に示すように、エンジン40はHST(Hydro Static Transmission)41を介して走行ミッション42に連結してある。HST41は油圧ポンプ(図示せず)と、該油圧ポンプに供給される作動油の流量及び油圧ポンプの圧力を調整する機構(図示せず)と、該機構を制御する変速回路41aとを有している。変速回路41aは後述する制御部100(図11参照)からの入力信号に基づいて、前記機構を制御し、走行クローラ1の変速を行うようにしてある。
【0044】
走行ミッション42は、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するギヤ(図示せず)を有している。走行ミッション42には、ホール素子を有する車速センサ43を設けてある。該車速センサ43は、前記ギヤの回転数に基づいて機体の車速を検出し、検出した車速を示す信号を出力するようにしてある。
【0045】
前記エンジン40は電磁式の脱穀クラッチ44を介して、前記扱胴11及び処理胴13bに連結してあり、また偏心クランク45に連結してある。該偏心クランク45は前記揺動アーム21に連結してある。偏心クランク45の駆動により前記揺動選別装置16が揺動する。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27に連結してある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44及び電磁式の刈取クラッチ46を介して前記刈取部3に連結してある。
【0046】
走行ミッション42を介してエンジン40の駆動力が走行クローラ1に伝達され、機体が走行する。また刈取クラッチ46を介して刈取部3にエンジン40の駆動力が伝達し、刈取部3にて穀稈が刈取られる。
【0047】
脱穀クラッチ44を介して前記扱胴11にエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11にて穀稈は脱穀される。また脱穀クラッチ44を介して処理胴13bにエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11にて脱穀された稈及び穀粒から穀粒が分離される。
【0048】
また前記揺動選別装置16には、脱穀クラッチ44及び偏心クランク45を介してエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11から漏下した稈及び穀粒並びに処理室13の排出口13eから排出された稈及び穀粒の選別が行われる。また脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27にエンジン40の駆動力が伝達し、揺動選別装置16にて選別された稈及び穀粒を唐箕27による起風作用によって排塵口33及び排気通路37から排出する。
【0049】
以上の構成によって、刈取部3にて刈り取られた穀稈は脱穀装置2にて脱穀され、穀稈から分離した穀粒は選別を受けて穀粒タンク4に収容される。穀粒の選別の調整は、前記キャビン8に配設されている穀粒の選別を調整するためのスイッチ群をユーザが操作することによって行われる。
【0050】
図6はキャビン8内のダッシュボードパネルに設けてあるスイッチ群の略示正面図である。図6に示すように、刈取スイッチ80、送塵弁角度設定スイッチ81、関数選択スイッチ82、許容値設定スイッチ83、及び搬送比設定スイッチ84がダッシュボードパネルに並設してある。
【0051】
刈取スイッチ80は正面側に突出した円柱形をなしている。刈取スイッチ80は押圧によって押し下げられた状態で固定される。また押し下げられた状態で押圧されることによって、刈取スイッチ80に内蔵してある弾性部材(図示せず)の弾性力により元の位置に復帰する。刈取スイッチ80が押し下げられた場合に前記刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44が継合し、刈取スイッチ80が復帰した場合に刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44が切断されるようにしてある。
【0052】
送塵弁角度設定スイッチ81は、正面側に突出した軸回りに回動可能な円柱状をなしている。送塵弁角度設定スイッチ81の正面には、図6に示すように、三角形の目印を付してある。また送塵弁角度設定スイッチ81の周囲には1〜5の番号を付してある。前記目印を1〜5の番号に合わせて、送塵弁10a、10a、10a、10aの角度を5段階に設定するようにしてある(以下送塵弁角度設定スイッチ81にて設定された角度を設定角度rという)。送塵弁角度設定スイッチ81の内部には、図示しないポテンショメータが内蔵されており、設定角度rに応じた電圧信号を後述する制御部100へ出力するようにしてある。
【0053】
関数選択スイッチ82は、正面側に突出した軸回りに回動可能な円柱状をなしている。関数選択スイッチ82の正面には図6に示すように、三角形の目印を付してある。また関数選択スイッチ82の周囲には1〜3の数字を付してある。前記目印を1〜3の数字のいずれかに合わせて、投口23aから穀粒タンク4へ送出される穀粒量と塵量との比率を示す閾値(閾値R)との関係を示す三つの関数x〜z(後述する図13参照)から一の関数を選択する。関数選択スイッチ82の内部には、図示しないポテンショメータが内蔵されており、ポテンショメータの出力電圧に応じて、関数x〜zが選択される。
【0054】
許容値設定スイッチ83は、正面側に突出した軸回りに回動可能な円柱状をなしている。許容値設定スイッチ83の正面には三角形の目印を付してある。また許容値設定スイッチ83の周囲には、一方から他方に向かうに従って縮幅される円弧形の図形を付してある。前記目印を円弧形の図形の任意の位置に合わせて、前記排出口13eから排出されることが許容される穀粒量の値(閾値P)を設定する。許容値設定スイッチ83の内部には、図示しないポテンショメータが内蔵されており、許容値設定スイッチ83を左側に回動させるとポテンショメータの出力電圧が小さくなり、右側に回動させるとポテンショメータの電圧が大きくなる。
【0055】
搬送比設定スイッチ84は、正面側に突出した軸回りに回動可能な円柱状をなしている。搬送比設定スイッチ84の正面には三角形の目印を付してある。また搬送比設定スイッチ84の周囲には、一方から他方に向かうに従って縮幅される円弧形の図形を付してある。前記目印を円弧形の図形の任意の位置に合わせて、下部搬送チェン71に対する第1上部搬送チェン72及び穂先搬送チェン73の搬送速度比を設定する。許容値設定スイッチ83の内部には、図示しないポテンショメータが内蔵されている。許容値設定スイッチ83を左側に回動させるとポテンショメータの出力電圧が小さくなり、前記搬送速度比が大きくなる。一方、許容値設定スイッチ83を右側に回動させるとポテンショメータの出力電圧が大きくなり、前記搬送速度比が小さくなる。
【0056】
キャビン8には、ユーザが刈取部3等に対する操作を行う操作レバー90が更に設けてある。
図7は操作レバー90の略示正面図である。操作レバー90は、縦搬送チェン74の上下位置を調整して、扱深さを調整する扱深さ調整スイッチ91と、刈取部3の上下位置を調整する刈取位置調整スイッチ92と、予め設定した位置に刈取部3を移動させるための刈取部設定スイッチ93と、図示しない車体水平制御機構を操作するUFO操作レバー94とを備える。ユーザは必要に応じてこれらを操作し、刈取部3の位置及び穀稈の扱深さ等を調整する。
【0057】
キャビン8には、ユーザに必要な情報を報知するための表示部95が設けてある。
図8は表示部95の略示正面図である。表示部95は表示パネル95aを備えている。表示パネル95aには必要に応じて情報が表示される。例えば図8に示す如く、「塵の比率が増大しています」、「搬送比は適切ですか?」、「扱深さは適切ですか?」と表示する。これにより塵の比率の増大に応じた操作、例えば搬送比設定スイッチ84及び扱深さ調整スイッチ91の操作を行うことをユーザに促すことができる。
【0058】
次に前記送塵弁10a、10a、10a、10aを動作させる伝動機構について説明する。図9は送塵弁10a、10a、10a、10aの伝動機構を示す略示平面図である。
【0059】
前記複数の送塵弁10a、10a、10a、10aは扱胴11と扱室10の上壁との間に前後方向に沿って並設してあり、互いに対向している。図9に示すように、扱室10の上壁に四つの送塵弁軸65、65、65、65が設けてあり、該送塵弁軸65は円筒形の扱胴11の径方向に沿って扱室10の内側に突出している。前記送塵弁10a、10a、10a、10aは送塵弁軸65、65、65、65にそれぞれ枢着している。
【0060】
各送塵弁10a、10a、10a、10aの一側部には、図9に示すように、前後方向に延びる杆体64が、上下方向を軸長方向とした四つの枢軸66、66、66、66を介して連結してある。
【0061】
また前記送塵弁10aに略直角な伝動杆63が送塵弁10aの送塵弁軸65付近から延出している。伝動杆63の延出端にクランクロッド61の一端部が、上下方向に沿う枢軸62を介して連結してある。クランクロッド61の他端部はクランク60に連結してある。該クランク60は減速機67を介してモータM1に連結している。
【0062】
モータM1が正回転した場合には、図9中の実線矢印によって示すように、クランク60が一方向に回動し、クランクロッド61が一方向に移動する。クランクロッド61の移動によって伝動杆63が前記枢軸62を中心にして一方向に回動し、伝動杆63を連結してある送塵弁10aが送塵弁軸65を中心にして一方向に回動する。該送塵弁10aの回動によって前記杆体64が前方に移動し、図9中の実線矢印によって示すように、他の送塵弁10a、10a、10aも連動して、送塵弁軸65、65、65を中心にして一方向へ回動する。
【0063】
扱胴11の周面に沿って、後方へ向かって螺旋状に移動する稈及び穀粒は、送塵弁10a、10a、10a、10aの一方向への回動によって、図9中の実線矢印によって示すように、送塵弁10a、10a、10a、10aに当接して前方へ跳ね返り、扱室10における稈及び穀粒の送出量は減少する。
【0064】
モータM1が逆回転した場合には、図9中の破線矢印によって示すように、クランク60が他方向に回動し、クランクロッド61が他方向に移動する。クランクロッド61の移動によって伝動杆63が前記枢軸62を中心にして他方向に回動し、伝動杆63を連結してある送塵弁10aが送塵弁軸65を中心にして他方向に回動する。該送塵弁10aの回動によって前記杆体64が後方に移動し、図9中の破線矢印によって示すように、他の送塵弁10a、10a、10aも連動して、送塵弁軸65、65、65を中心にして他方向へ回動する。
【0065】
送塵弁10a、10a、10a、10aの他方向への回動によって、扱胴11の周面に沿って螺旋状に移動する稈及び穀粒は、図9中の破線矢印によって示すように、送塵弁10a、10a、10a、10aに当接して後方へ跳ね返り、扱室10における稈及び穀粒の送出量は増加する。
【0066】
モータM1にはロータリエンコーダE1が設けてある。モータM1は、制御部100から与えられる動作指令に従って駆動され、またモータM1の回転数及び回転方向がロータリエンコーダE1によって検出される。制御部100には、前記送塵弁角度設定スイッチ81の電圧信号が入力され、ロータリエンコーダE1によって検出されたモータM1の回転数及び回転方向を示す値が入力される。
【0067】
図10は送塵弁10aの前後方向に対する角度と前記送塵弁角度設定スイッチ81との関係を説明する説明図である。図中α1 〜α5 は、送塵弁角度設定スイッチ81の1〜5の番号に対応する送塵弁10aの前後方向に対する角度を示しており、前記設定角度rはα1 〜α5 のいずれかに設定される。角度α1 〜α5 は、角度α1 を下限値とし、角度α5 を上限値としてこの順に大きくなる。送塵弁10aの前後方向に対する角度が大きくなるに従って、扱室10における稈及び穀粒の送出量は減少する。
制御部100は、送塵弁10aの前後方向に対する角度を前記送塵弁角度設定スイッチ81にて設定された角度α1 〜α5 に一致させるべくモータM1に動作指令を発し、ロータリエンコーダE1によるモータM1の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、モータM1を駆動制御する。
【0068】
制御部100は、脱穀装置2内の塵量を低減させる処理及び排塵口33から排出される穀粒を低減するための処理を所定条件下において実行する。図11は制御部100の構成を示すブロック図である。
【0069】
制御部100は、脱穀装置2内の塵量の低減及び排塵口33から排出される穀粒を低減するための処理を所定条件下において実行する。
制御部100は内部バス100gにより相互に接続されたCPU100a、ROM100b、RAM100c、及びEEPROM100dを備えている。CPU100aはROM100bに記憶された制御プログラムをRAM100cに読み込み、該制御プログラムに従って、送塵弁10a及びHST41の動作等を制御する。
【0070】
図11に示すように、制御部100は、モータM1に係る送塵弁駆動回路100gを更に備えており、CPU100aに制御された送塵弁駆動回路100gが駆動指令をモータM1へ出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、HST41の変速回路41aに変速指令を出力する。また制御部100は、出力インタフェース100fを介して刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44に継断信号を出力する。また制御部100は、出力インタフェース100fを介して、表示部95に所定の表示を行うことを示す信号を出力する。
【0071】
刈取スイッチ80、送塵弁角度設定スイッチ81、関数選択スイッチ82、車速センサ43、排出量センサ34、許容値設定スイッチ83、ロータリエンコーダE1、塵センサ50及び投口センサ23bの各出力信号は入力インタフェース100eを介して制御部100に入力されている。
【0072】
図12は閾値Pと許容値設定スイッチ83の出力電圧との関係を示す関数f、及び閾値Qと許容値設定スイッチ83の出力電圧との関係を示す関数gを示すグラフである。
EEPROM100dには許容値設定スイッチ83の任意の出力電圧と閾値Pとの関係を示す関数fと、許容値設定スイッチ83の任意の出力電圧と閾値Qとの関係を示す関数gとが記憶してある。図12に示すように、任意の出力電圧Va に対する閾値Qは、任意の出力電圧Va に対する閾値P以下になる。また関数f及び関数gにおいて、前記出力電圧の増減に応じて前記閾値P及び閾値Qはそれぞれ減増する。
【0073】
図13は閾値Rと投口23aから穀粒タンク4へ送出される穀粒量(投口量D)との関係を示す関数x〜関数z及び閾値Sと投口量Dとの関係を示す関数kを示すグラフである。
EEPROM100dには閾値Rと投口量Dとの関係を示す関数x、y、z及び閾値Sと投口量Dとの関係を示す関数kが記憶してある。図13に示すように、任意の投口量Dに対する閾値Sは任意の投口量Dに対する閾値R以下になる。また関数x〜関数zにおいて、投口量Dの増減に応じて前記閾値R及び閾値Sはそれぞれ増減する。なお図13においては、関数選択スイッチ82によって関数xが選択された場合を示している。
【0074】
またEEPROM100dにおいては、ロータリエンコーダE1によるモータM1の回転数及び回転方向を示す値をCPU100aにて積算して求めた送塵弁10aの角度を示す値が、変数である送塵弁角度θa に格納してある。またEEPROM100dには穀稈を刈取ることができる機体の速度の下限値Vminが記憶してある。
【0075】
図14〜図17は制御部100が実行する送塵弁10aの動作制御等の処理手順を示すフローチャートである。
【0076】
制御部100のCPU100aは、刈取スイッチ80からオン信号を取込むまで待機する(ステップS1:NO)。刈取スイッチ80からオン信号を取り込んだ場合には(ステップS1:YES)、CPU100aは許容値設定スイッチ83の出力を取込み(ステップS2)、EEPROM100dにアクセスして関数f及び関数gを参照し、閾値P及び閾値Qを設定する(ステップS3)。次にCPU100aは、関数選択スイッチ82の出力を取込み(ステップS4)、EEPROM100dにアクセスして関数x〜関数zから一の関数を選択する。次にCPU100aは、投口センサ23bによって検出された投口量Dを取込む(ステップS5)。そして選択した関数x〜関数zに投口量Dを適用して閾値Rを求めると共に、関数kに投口量Dを適用して閾値Sを求める(ステップS6)。次にCPU100aは、塵センサ50によって検出された塵量E1 を取込む(ステップS7)。そしてCPU100aは、塵センサ50によって検出された塵量E1 を投口量Dで除算し、塵の比率A1 を算出する(ステップS8)。次にCPU100aは、算出した塵の比率A1 が閾値R以上であるか否か判定する(ステップS9)。塵の比率A1 が閾値R以上である場合には(ステップS9:YES)、穀粒量センサ34によって検出されたロス量F1 を取込む(ステップS10)。
【0077】
そしてCPU100aは、ロス量F1 が閾値P以上であるか否かを判定する(ステップS11)。ロス量F1 が閾値P未満である場合は(ステップS11:NO)、CPU100aはEEPROM100dにアクセスして、送塵弁角度θa が角度α1 以下であるか否かを判定する(ステップS12)。送塵弁角度θa が角度α1以下である場合には(ステップS12:YES)、CPU100aは、塵の比率が増大していることを表示する信号を表示部95へ出力する(ステップS13)。塵の比率が増大していることを表示する信号を表示部95へ出力することによって、表示部95の表示パネル95aにて、塵の比率が増大していることが表示される(図8参照)。このときユーザは搬送比設定スイッチ84及び扱深さ設定スイッチ91を操作して、塵量を低減するための操作を必要に応じて行うことができる。そしてCPU100aは後述するステップS15へ処理を進める。
【0078】
送塵弁角度θa が角度α1 を超過している場合(ステップS12:NO)、すなわち送塵弁角度θa がαn (n=2〜5)である場合には、CPU100aは、送塵弁駆動回路86へ逆回転信号を出力し(ステップS14)、ロータリエンコーダE1によるモータM1の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、送塵弁角度θa がαn-1 になるまでモータM1を正回転させる。そしてCPU100aは内蔵されているタイマ(図示せず)を使用して、所定時間が経過するまで待機する(ステップS15:NO)。該所定時間は送塵弁10aの角度を小さくした時から塵量が減少するまでに必要と推定される時間に相当する。
【0079】
所定時間が経過した場合に(ステップS15:YES)、CPU100aは、塵センサ50によって検出された塵量E2 を取込む(ステップS16)。そしてCPU100aは、塵量E2 を投口量Dで除算し、塵の比率A2 を算出する(ステップS17)。次にCPU100aは、塵の比率A2 が閾値S未満であるか否か判定する(ステップS18)。塵の比率A2 が閾値S以上である場合は(ステップS18:NO)、CPU100aはステップS12へ処理を戻す。塵の比率A2 が閾値S未満である場合は(ステップS18:YES)、CPU100aはステップS4へ処理を戻す。
【0080】
ロス量F1 が閾値P以上である場合は(ステップS11:YES)、CPU100aは車速センサ43にて検出された速度Vを取込む(ステップS19)。そしてCPU100aは、EEPROM100dにアクセスして検出した速度Vが下限値Vmin以上であるか否かを判定する(ステップS20)。速度Vが下限値Vmin以上である場合は(ステップS20:YES)、CPU100aは表示部95へ減速することを表示する信号を出力し(ステップS21)、CPU100aは減速指令を変速回路41aへ出力する(ステップS22)。そしてCPU100aはステップS4へ処理を戻す。
【0081】
速度Vが下限値Vmin未満である場合は(ステップS20:NO)、CPU100aは送塵弁角度θa が角度α1 以下であるか否かを判定する(ステップS23)。送塵弁角度θa が角度α1以下である場合には(ステップS23:YES)、CPU100aは、クリンプ網15の目詰まり及びフィードチェン5と挟持部材6との間の挟持圧力が不足していること等の機器異常を表示する信号を表示部95へ出力し(ステップS26)、ステップS4へ処理を戻す。
【0082】
送塵弁角度θa が角度α1を超過している場合(ステップS23:NO)、すなわち送塵弁角度θa がαn (n=2〜5)である場合には、CPU100aは、送塵弁駆動回路86へ逆回転信号を出力し(ステップS24)、ロータリエンコーダE1によるモータM1の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、送塵弁角度θa がαn-1 になるまでモータM1を正回転させる。そしてCPU100aはタイマを使用して、所定時間が経過するまで待機する(ステップS25:NO)。該所定時間は送塵弁10aの角度を小さくした時から塵量が減少するまでに必要と推定される時間に相当する。所定時間が経過した場合に(ステップS25:YES)、CPU100aはステップS4へ処理を戻す。
【0083】
塵の比率A1 が閾値R未満である場合には(ステップS9:NO)、CPU100aは表示部95にて機器異常を表示しているか否かを判定する(ステップS27)。表示部95にて機器異常を表示していない場合には(ステップS27:NO)、CPU100aは後述するステップS29へ処理を進める。表示部95にて機器異常を表示している場合には(ステップS27:YES)、CPU100aは機器異常の表示を終了する信号を表示部95へ出力する(ステップS28)。そしてCPU100aは表示部95にて塵の比率が増大していることを表示しているか否かを判定する(ステップS29)。表示部95にて塵の比率が増大していることを表示していない場合には(ステップS29:NO)、CPU100aは後述するステップS31へ処理を進める。表示部95にて塵の比率が増大していることを表示している場合には(ステップS29:YES)、CPU100aは塵の比率の増大の表示を終了する信号を表示部95へ出力する(ステップS30)。
【0084】
そしてCPU100aは、穀粒量センサ34によって検出されたロス量F2 を取込む(ステップS31)。次にCPU100aは、取込んだロス量F2 が閾値P以上であるか否かを判定する(ステップS32)。ロス量F2 が閾値P未満である場合には(ステップS32:NO)、CPU100aはステップS4へ処理を戻す。
【0085】
ロス量F2 が閾値P以上である場合には(ステップS32:YES)、CPU100aは送塵弁角度θa が角度α5 以上であるか否かを判定する(ステップS33)。送塵弁角度θa が角度α5 以上である場合には(ステップS33:YES)、CPU100aは後述するステップS38へ処理を進める。送塵弁角度θa が角度α5未満である場合には(ステップS33:NO)、すなわち送塵弁角度θa がαm (m=1〜4)である場合には、CPU100aは、送塵弁駆動回路86へ正回転信号を出力し(ステップS34)、ロータリエンコーダE1によるモータM1の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、送塵弁角度θa がαm+1 になるまでモータM1を正回転させる。そしてCPU100aはタイマを使用して、所定時間が経過するまで待機する(ステップS35:NO)。該所定時間は送塵弁10aの角度を大きくした時からロス量が減少するまでに必要と推定される時間に相当する。
【0086】
所定時間が経過した場合に(ステップS35:YES)、CPU100aは、穀粒量センサ34によって検出されたロス量F3 を取込む(ステップS36)。次にCPU100aは、取込んだロス量F3 が閾値Q未満であるか否かを判定する(ステップS37)。ロス量F3 が閾値Q未満である場合には(ステップS37:YES)、CPU100aはステップS4へ処理を戻す。
【0087】
ロス量F3 が閾値Q以上である場合には(ステップS37:NO)、CPU100aは車速センサ43によって検出された速度Vを取込む(ステップS38)。そしてCPU100aは、取込んだ速度Vが下限値Vmin以上であるか否かを判定する(ステップS39)。速度Vが下限値Vmin未満である場合は(ステップS39:NO)、CPU100aはステップS4へ処理を戻す。
速度Vが下限値Vmin以上である場合は(ステップS39:YES)、CPU100aは表示部95へ減速することを表示する信号を出力し(ステップS40)、CPU100aは減速指令を変速回路41aへ出力する(ステップS41)。そしてCPU100aはステップS4へ処理を戻す。
【0088】
実施の形態に係るコンバインにあっては、排出量センサ34にて検出された穀粒量(ロス量)及び穀粒タンク4に貯留する穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率を求め、求めた比率及びロス量に応じて塵の発生を防止する制御を行うか又はロス量を低減させる制御を行う。
【0089】
また投口センサ23bにて検出された穀粒量は、穀粒タンク4に貯留する穀粒量に直接的に反映されるため、投口センサ23bにて穀粒量を検出することによって、穀粒タンク4に貯留する穀粒量を精度良く検出することができる。そのため投口センサ23bにて検出された穀粒量に基づいて、穀粒タンク4に貯留する穀粒量と塵量との比率を算出することで、塵の発生を防止する制御を行うか又は前記ロス量を低減させる制御を行うかの判定を精度良く行うことができる。
【0090】
また穀粒タンク4に貯留する穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率について所定範囲を設定し、穀粒タンク4に貯留する穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率が所定範囲内にある場合には、選別精度は悪化していないと判定する。また前記排出量センサ34にて検出された穀粒量について所定範囲を設定し、検出された穀粒量が所定範囲内にある場合には、前記ロス量は前記許容ロス量を超過していないと判定する。穀粒タンク4に貯留する穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率が所定範囲外にあると判定され、排出量センサ34にて検出された穀粒量が所定範囲内にあると判定された場合には、選別精度が悪化している一方で前記ロス量は前記許容ロス量を超過していないので、前記送塵弁10aを開いて、穀稈から分離した稈が扱胴11に滞留する時間を短縮し、扱胴11にて稈が粉砕され、多量の塵が発生することを防止する。
【0091】
また穀粒タンク4に貯留する穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率が所定範囲内にあり、且つ排出量センサ34にて検出された穀粒量が所定範囲外にある場合には、選別精度は悪化していない一方で前記ロス量は前記許容ロス量を超過しているので、前記送塵弁10aを閉じて、扱胴11から送出される穀粒量を低減し、ロス量の低減を図る。
【0092】
また穀粒タンク4に貯留する穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率が所定範囲外にあると判定され、排出量センサ34にて検出された穀粒量が所定範囲外にあると判定された場合には、選別精度が悪化し且つロス量が許容ロス量を超過している。この場合には脱穀装置2に過剰に穀稈が供給されていると考えられるので、前記走行クローラ1を強制的に減速させて、穀稈の刈取量を減少させ、ロス量の低減及び塵の発生の防止を図る。
【0093】
また穀粒タンク4に貯留する穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率が所定範囲外にあると判定された場合に選別精度が悪化していることを報知して、選別精度を向上させるための操作、例えば搬送比設定スイッチ84及び扱深さ設定スイッチ91の操作を行うことをユーザに促す。
【0094】
なお実施の形態に係るコンバインにあっては、投口センサ23bにて検出された所定時間あたりの穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率を、穀粒タンク4に収穫される穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率として算出しているが、穀粒タンク4に貯留する穀粒量と車速センサ43にて検出された速度とは比例関係にあるので、車速センサ43にて検出された速度と脱穀装置2内の塵量との比率を、穀粒タンク4に貯留する穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率として算出しても良い。すなわちステップS8(ステップS17)において塵センサ50にて検出された塵量E1 (塵量E2 )と投口センサ23bにて検出された投口量Dとの比率A1 (比率A2 )を算出し、ステップS9(ステップS18)において、算出した比率A1 (比率A2 )を閾値R(閾値S)と比較するところを、塵センサ50にて検出された塵量E1 (塵量E2 )と車速センサ43にて検出された速度との比率を算出し、算出した比率を閾値R(閾値S)と比較しても良い。この場合、既存の車速センサ43を用いて前記比率を算出するので、コンバインの構成の簡素化を図ることができる。
【0095】
また実施の形態に係るコンバインにおいては、脱穀装置2内の塵量を投口センサ23bにて検出された穀粒量で除算して、投口センサ23bにて検出された穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率を算出しているが、その逆数を投口センサ23bにて検出された穀粒量と脱穀装置2内の塵量との比率として良い。この場合、前記各閾値及び判定処理を該逆数に対応させて変更することは言うまでもない。また実施の形態に係るコンバインは、塵の比率が増大していること及び機器に異常が発生していることを表示部95にて表示するが、キャビン8内にランプ又はブザーを設けて、塵の比率が増大している場合又は機器に異常が発生している場合に、該ランプを点灯させるか又はブザーを鳴らす構成としても良い。
【0096】
なお投口センサ23bに代えて、穀粒タンク4に貯留した穀粒量の総量を検出する重量センサを設け、該重量センサにて検出された穀粒量と閾値とを比較しても良いが、凹凸の大きな圃場をコンバインが走行し、コンバインの姿勢が急激に変化した場合に、穀粒タンク4内にて穀粒が偏在し、前記重量センサにて正確に穀粒量を検出することができない虞がある。実施の形態に係るコンバインにおいては、投口センサ23b及び排出量センサ34にて所定時間あたりの穀粒量を検出しているので、凹凸の大きな圃場をコンバインが走行し、コンバインの姿勢が急激に変化する場合であっても、コンバインの姿勢の変化の影響は投口センサ23b及び排出量センサ34にて検出される検出値へほとんど波及しない。
【0097】
次に実施の形態に係るコンバインの変形例について説明する。
図18は実施の形態に係るコンバインの変形例1における脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
図18に示す如く、ストローラック19の下方に、圧電素子を備える塵センサ51が配してある。塵センサ51は、ストローラック19から漏下した塵が塵センサ51に当接したときに、圧電素子から電圧信号が出力され、所定時間あたりの塵量を検出する構成にしてある。塵センサ51にて検出された塵量に基づいて、前述した脱穀装置2内の塵量を低減させる処理及び排塵口33から排出される穀粒を低減するための処理が行われる。なお塵センサ51は圧電素子を有するセンサに限るものではなく、発光素子及び受光素子を有する光センサを塵センサ51として使用し、発光素子及び受光素子の間を通過する塵量を検出しても良い。また発信器及び受信機を有する超音波センサを塵センサ51として使用し、発信器及び受信機の間を通過する塵量を検出しても良い。
【0098】
図19〜図23は実施の形態に係るコンバインの変形例2〜6における脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
変形例2においては、図19に示す如く、排出量センサ34がクリンプ網15と揺動選別装置16との間に配置してある。該排出量センサ34はクリンプ網15から漏下した穀粒量を検出する。前記制御部100は、該排出量センサ34にて検出された穀粒量に基づいて、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求めるようにしてある。例えば、クリンプ網15から漏下する穀粒量と排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量との関係を示す関数に、排出量センサ34による検出値を適用して、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求める。
【0099】
変形例3においては、図20に示す如く、クリンプ網15の下方であって、クリンプ網15よりも後側に排出量センサ34が配してある。該排出量センサ34は、扱胴11から落下した穀粒量を検出する。前記制御部100は、該排出量センサ34にて検出された穀粒量に基づいて、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求めるようにしてある。例えば、扱胴11から落下する穀粒量と排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量との関係を示す関数に、排出量センサ34による検出値を適用して、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求める。
【0100】
変形例4においては、図21に示す如く、グレンシーブ20の横に排出量センサ34が配してある。該排出量センサ34はグレンシーブ20から横溢した穀粒量を検出する。前記制御部100は、該排出量センサ34にて検出された穀粒量に基づいて、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求めるようにしてある。例えば、グレンシーブ20から横溢する穀粒量と排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量との関係を示す関数に、排出量センサ34による検出値を適用して、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求める。
【0101】
変形例5においては、図22に示す如く、処理ロータ14の下方に排出量センサ34が配してある。処理ロータ14は図示しない排出口を備え、該排出口から穀粒が排出される。前記排出量センサ34は、処理ロータ14から排出された穀粒量を検出する。前記制御部100は、該排出量センサ34にて検出された穀粒量に基づいて、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求めるようにしてある。例えば、処理ロータ14から排出される穀粒量と排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量との関係を示す関数に、排出量センサ34による検出値を適用して、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求める。
【0102】
変形例6においては、図23に示す如く、処理室13の排出口13eの下方に排出量センサ34が配してある。該排出量センサ34は排出口13eから排出された穀粒量を検出する。前記制御部100は、排出量センサ34にて検出された穀粒量に基づいて、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求めるようにしてある。例えば、排出口13eから排出される穀粒量と排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量との関係を示す関数に、排出量センサ34による検出値を適用して、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量を求める。
【0103】
なお実施の形態に係るコンバイン及びその変形例に使用されているロータリエンコーダ又はポテンショメータは、位置検出器の例示であって、ロータリエンコーダ又はポテンショメータに変えて、レゾルバ等の他の位置検出器を使用しても良い。
【符号の説明】
【0104】
1 走行クローラ(走行部)
2 脱穀装置
3 刈取部
4 穀粒タンク(貯留部)
10a 送塵弁(調整手段)
11 扱胴
23 一番スクリュー(搬送手段)
23b 投口センサ(搬送量検出手段)
33 排塵口
34 排出量センサ(排出量検出手段)
43 車速センサ(速度検出手段)
50、51 塵センサ(塵量検出手段)
65 送塵弁軸
100 制御部
100a CPU
100b ROM
100c RAM
100d EEPROM
100e 入力インタフェース
100f 出力インタフェース
100g 内部バス
M1 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部と、該走行部の走行中に穀稈を刈り取る刈取部と、該刈取部にて刈り取られた穀稈を脱穀する脱穀装置と、該脱穀装置から排出される穀粒量を調整する調整手段と、前記脱穀装置にて脱穀された穀粒が貯留する貯留部とを備えるコンバインにおいて、
前記脱穀装置から排出される所定時間あたりの穀粒量を検出する排出量検出手段と、
前記脱穀装置内の塵量を検出する塵量検出手段と、
該塵量検出手段にて検出された塵量と前記貯留部に貯留する所定時間あたりの穀粒量との比率を算出する算出手段と、
該算出手段にて算出された比率と前記排出量検出手段にて検出された穀粒量とに基づいて、前記調整手段の作動を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記走行部の速度を検出する速度検出手段を備え、
前記算出手段は、前記塵量検出手段にて検出された塵量と前記速度検出手段にて検出された速度との比率を算出することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記脱穀装置から前記貯留部へ穀粒を搬送する搬送手段と、
該搬送手段にて搬送される所定時間あたりの穀粒量を検出する搬送量検出手段とを備え、
前記算出手段は、前記塵量検出手段にて検出された塵量と前記搬送量検出手段にて検出された穀粒量との比率を算出することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記脱穀装置は円筒形の扱胴を有しており、
前記調整手段は前記扱胴の周囲に配置してある送塵弁を備え、
該送塵弁の開閉を行う弁駆動源と、
前記算出手段にて算出された比率が所定範囲内にあるか否かを判定する比率判定手段と、
前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲内にあるか否かを判定する排出量判定手段とを備え、
前記制御手段は、前記比率判定手段にて、前記算出手段にて算出された比率が前記所定範囲外にあると判定された場合であって、前記排出量判定手段にて、前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記所定範囲内にあると判定されたときに、前記送塵弁が開くように前記弁駆動源を駆動させる手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のコンバイン。
【請求項5】
前記制御手段は、前記比率判定手段にて、前記算出手段にて算出された比率が前記所定範囲内にあると判定された場合であって、前記排出量判定手段にて、前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記所定範囲外にあると判定されたときに、前記送塵弁が閉じるように前記弁駆動源を駆動させる手段を備えることを特徴とする請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記制御装置は、前記比率判定手段にて前記算出手段にて算出された比率が前記所定範囲外にあると判定された場合であって、前記排出量判定手段にて前記排出量検出手段にて検出された穀粒量が前記所定範囲外にあると判定されたときに、前記走行部を強制的に減速させる手段を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記比率判定手段にて前記算出手段にて算出された比率が前記所定範囲外にあると判定された場合に、前記算出手段にて算出された比率が前記所定範囲外にあることを報知する手段を備えることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一つに記載のコンバイン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2010−187640(P2010−187640A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38340(P2009−38340)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】