説明

コンバイン

【課題】ディーゼルパティキュレートフィルタを簡単に組付けることができるものでありながら、ディーゼルパティキュレートフィルタの温度管理等の取扱い性を向上できるようにしたコンバインを提供するものである。
【解決手段】ディーゼルエンジン20を搭載した走行機体1と左右の走行クローラ2と刈取装置と脱穀装置5とを備えたコンバインにおいて、ディーゼルエンジン20に付設した冷却ファン77からの冷却風の影響を受けない位置にディーゼルパティキュレートフィルタ65を配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置によって圃場の未刈り穀稈を刈取り、刈取った穀稈を脱穀装置によって脱穀するコンバインに係り、より詳しくは、ディーゼルエンジンを搭載したコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車両としてのトラクタ等において、走行機体に搭載されたディーゼルエンジンの排気ガス排出径路中に、ディーゼルパティキュレートフィルタ又はNOx触媒等が設けられ、ディーゼルエンジンから排出された排気ガスが、ディーゼルパティキュレートフィルタ又はNOx触媒等によって浄化処理されるようにした技術がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−31955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
刈取装置や脱穀装置を備えたコンバインでは、運転席の下方にディーゼルエンジンを設けた場合、刈取装置や脱穀装置等の作業部と、走行用のミッションケースとに、ディーゼルエンジンの動力を短距離で伝達するように構成していた。例えば、運転席から離れた脱穀装置の上方や、走行機体の下方等に排気管を延長させることによって、脱穀装置の上方や走行機体の下方にディーゼルパティキュレートフィルタを設けるスペースを簡単に確保できるが、ディーゼルパティキュレートフィルタの温度管理が面倒になる等の問題があった。
【0004】
本発明の目的は、ディーゼルパティキュレートフィルタ等を簡単に組付けることができるものでありながら、ディーゼルパティキュレートフィルタの温度管理等の取扱い性を向上できるようにしたコンバインを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のコンバインは、ディーゼルエンジンを搭載した走行機体と、左右の走行クローラと、刈取装置と、脱穀装置とを備えたコンバインにおいて、前記ディーゼルエンジンに付設した冷却ファンからの冷却風の影響を受けない位置にディーゼルパティキュレートフィルタを配置したものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記ディーゼルエンジンに付設した水冷用のラジエータに対して、前記ディーゼルエンジンを挟んで、前記ディーゼルパティキュレートフィルタを配置したものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記ディーゼルエンジンと前記刈取装置との間に前記ディーゼルパティキュレートフィルタを配置したものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記ディーゼルエンジンの出力部の上方に前記ディーゼルパティキュレートフィルタを配置したものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記ディーゼルエンジンと前記脱穀装置との間で、前記ディーゼルパティキュレートフィルタから上方に向けて排気管を延長させて、NOx触媒が内蔵可能なマフラーを、前記排気管の延長途中に配置したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ディーゼルエンジンを搭載した走行機体と、左右の走行クローラと、刈取装置と、脱穀装置とを備えたコンバインにおいて、前記ディーゼルエンジンに付設した冷却ファンからの冷却風の影響を受けない位置にディーゼルパティキュレートフィルタを配置したから、前記冷却ファンからの冷却風の影響を受けることなく、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの温度を管理できる。例えば、前記ディーゼルパティキュレートフィルタにて捕集された未燃焼物の燃焼処理用の加熱手段等を不要にでき、前記ディーゼルパティキュレートフィルタ等を簡単に組付けることができるものでありながら、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの温度管理等の取扱い性を向上できる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、前記ディーゼルエンジンに付設した水冷用のラジエータに対して、前記ディーゼルエンジンを挟んで、前記ディーゼルパティキュレートフィルタを配置したものであるから、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの設置に際して、前記ラジエータを考慮する必要がない。また、前記ラジエータの設置に際して、前記ディーゼルパティキュレートフィルタを考慮する必要がない。前記ディーゼルエンジンと前記刈取装置との間で、前記ディーゼルエンジンに近接させて、簡単な支持構造にて、前記ディーゼルパティキュレートフィルタをコンパクトに設置でき、且つ前記ディーゼルパティキュレートフィルタの温度を適正温度に簡単に維持できる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記ディーゼルエンジンと前記刈取装置との間に前記ディーゼルパティキュレートフィルタを配置したから、前記ディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンの近傍に配置された前記刈取装置の穂先搬送側との間に形成されるスペースを活用して、前記ディーゼルパティキュレートフィルタをコンパクトに設置できる。また、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの放熱によって、前記刈取装置の穂先搬送ガイドを加温できる。前記刈取装置の穂先搬送ガイドに付着し易い湿材等の収穫作業性を向上できる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記ディーゼルエンジンの出力部の上方に前記ディーゼルパティキュレートフィルタを配置したから、前記刈取装置の穂先搬送側や前記脱穀装置の扱口に近接させて前記ディーゼルパティキュレートフィルタを組付けることができる。前記ディーゼルエンジンの出力用のVベルト延長部の上方に形成されるデッドスペースに、前記ディーゼルパティキュレートフィルタをコンパクトに設置できる。前記ディーゼルパティキュレートフィルタの放熱によって、前記刈取装置の穂先搬送側や前記脱穀装置の扱口が加温されるから、湿材等の刈取作業において、前記刈取装置の穂先搬送ガイドや前記脱穀装置の扱口に付着する湿材等を低減できる。前記刈取装置の穂先搬送ガイドや前記脱穀装置の扱口に付着し易い湿材等の収穫作業性を向上できる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、前記ディーゼルエンジンと前記脱穀装置との間で、前記ディーゼルパティキュレートフィルタから上方に向けて排気管を延長させて、NOx触媒が内蔵可能なマフラーを、前記排気管の延長途中に配置したから、前記ディーゼルパティキュレートフィルタや前記マフラーの放熱によって、前記刈取装置の穂先搬送側や前記脱穀装置の扱口を加温でき、湿材等の収穫作業性を向上できる。また、必要に応じて前記マフラーにNOx触媒を内蔵することによって、排気ガスの浄化機能を簡単に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2はコンバインの右側面図、図3はコンバインの平面図、図4はディーゼルエンジンの左側面図、図5はディーゼルエンジンの正面図、図6はディーゼルエンジンの平面図である。図1〜図3を参照しながら、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0016】
図1〜図3に示されるように、本実施形態のコンバインは、左右一対の走行クローラ2(走行部)にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈取る4条刈り用の刈取装置3が配置されている。単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に、走行機体1の前部に刈取装置3が装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留するグレンタンク7とが横並び状に搭載されている。脱穀装置5が走行機体1の前進方向に向かって左側に配置され、グレンタンク7が走行機体1の前進方向に向かって右側に配置されている(図3参照)。グレンタンク7内の穀粒を機体外部に排出する穀粒排出オーガ8が配設されている。
【0017】
走行機体1の右側前部には、運転部10が設けられている。グレンタンク7の前方の運転部10には、オペレータが搭乗するステップ11、運転座席12、操向ハンドル13や各種の操作レバーなどを備えた操作装置を配置している。運転座席12の下方の走行機体1には、動力源としてのディーゼルエンジン20が配置されている。
【0018】
図1及び図2に示されるように、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にディーゼルエンジン20の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持する。
【0019】
図1〜図3に示されるように、刈取装置3の刈取回動支点軸4aに刈取フレーム9を連結している。刈取装置3は、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置47と、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置48と、刈刃装置47によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置49と、圃場の未刈り穀稈を分草する4条分の分草体50とを備える。刈取フレーム9の下方に刈刃装置47が設けられている。刈取フレーム9の前方に穀稈引起装置48が配置されている。穀稈引起装置48とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間に穀稈搬送装置49が配置されている。穀稈引起装置48の下部前方に分草体50が突設されている。ディーゼルエンジン20にて走行クローラ2を駆動して圃場内を移動しながら、刈取装置3を駆動して圃場の未刈り穀稈を連続的に刈取る。
【0020】
図1及び図2に示されるように、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴26と、扱胴26の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別機構としての揺動選別盤27と、揺動選別盤27に選別風を供給する唐箕ファン28と、扱胴26の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴29と、揺動選別盤27の後部の排塵を機外に排出する排塵ファン30とを備えている。
【0021】
図1乃至図3に示す如く、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン34が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン34に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ35にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。
【0022】
揺動選別盤27の下方側には、揺動選別盤27にて選別された穀粒(一番選別物)を取出す一番コンベヤ31と、枝梗付き穀粒等の二番選別物を取出す二番コンベヤ32とが設けられている。本実施形態の両コンベヤ31,32は、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ31、二番コンベヤ32の順で、側面視において走行機体1の上面側に横設されている。
【0023】
図1乃至図3に示す如く、揺動選別盤27は、扱胴26の下方に落下した脱穀物を、揺動選別(比重選別)するように構成している。揺動選別盤27から落下した穀粒(一番選別物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン28からの選別風によって除去され、一番コンベヤ31に落下する。一番コンベヤ31のうち脱穀装置5におけるグレンタンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる一番揚穀筒33が連通接続されている。一番コンベヤ31から取出された穀粒は、一番揚穀筒33内の一番揚穀コンベヤ(図示せず)によってグレンタンク7に搬入され、グレンタンク7に収集される。
【0024】
揺動選別盤27は、揺動選別(比重選別)によって、枝梗付き穀粒等の二番選別物(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)を二番コンベヤ32に落下させるように構成している。二番コンベヤ32によって取出された二番選別物は、二番還元筒36及び二番処理部37を介して揺動選別盤27の上面側に戻されて再選別される。また、扱胴26からの脱粒物中の藁屑及び粉塵等は、唐箕ファン28からの選別風によって、走行機体1の後部から圃場に向けて排出される。
【0025】
図4乃至図6を参照して、ディーゼルエンジン20の吸気構造と排気構造を説明する。ディーゼルエンジン20は、上面にシリンダヘッド60が締結されたシリンダブロック(図示省略)を備えている。シリンダヘッド60には、ターボ過給機61が取付けられている。ターボ過給機61は、タービンホィール(図示省略)を内蔵したタービンケース62と、ブロアホィール(図示省略)を内蔵したコンプレッサケース63とを有する。
【0026】
図5に示す如く、シリンダヘッド60の前側面に排気マニホールド64が配置されている。タービンケース62の排気ガス取入れ側に排気マニホールド64が接続されている。タービンケース62の排気ガス排出側には、排気ガス処理装置としてのディーゼルパティキュレートフィルタ65(以下、DPFという)が設けられている。タービンケース62の排気ガス排出側に前部排気管66を介してDPF65が接続されている。
【0027】
図4に示す如く、DPF65に中間排気管67を介してマフラー68が接続されている。マフラー68にテールパイプ69が接続されている。即ち、ディーゼルエンジン20の各気筒から排気マニホールド64に排出された排気ガスは、DPF65を経由して浄化処理されたのち、マフラー68を経由して、テールパイプ69から外部に放出される。なお、DPF65は排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するためのものである。詳細は図示していないが、DPF65は、耐熱金属材料製のDPFケーシングに内蔵した略筒型のフィルタケースに、例えば白金等の酸化触媒とハニカム構造のフィルタ体とを直列に並べて収容した構造になっている。前記DPFケーシングは、シリンダヘッド60の左側面にボルト等にて着脱可能に締結されている。
【0028】
図5に示す如く、ディーゼルエンジン20の前面に、ターボ過給機61が配置されている。ディーゼルエンジン20の左側面に、DPF65(前記DPFケーシング)が配置されている。DPF65から後方に向けて中間排気管67が延長される。中間排気管67の延長後端側を上向きに開口させてマフラー68の排気ガス取入れ側を連結している。脱穀装置5とグレンタンク7の間で、マフラー68からテールパイプ69の前端側を上向きに延長させる。脱穀装置5の上面よりも高所で、テールパイプ69の後端側を後方に向けて延長させる。グレンタンク7の左側で、グレンタンク7から離れる方向に向けてテールパイプ69の後端側を開口させている。
【0029】
また、マフラー68に代えて、消音機能を有したNOx触媒(図示省略)を配置することも可能である。NOx触媒は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元して無害化し、且つ排気音を減衰するためのものである。NOx触媒としては、尿素水を還元剤とした選択接触還元触媒がある。DPF65とNOx触媒との間に、尿素供給装置(図示省略)から尿素水溶液が噴射される。
【0030】
一方、図4乃至図6に示す如く、コンプレッサケース63の給気取入れ側に給気管70を介してエアクリーナ71の給気排出側が接続されている。プリクリーナ72に給気ダクト73を介してエアクリーナ71の給気取入れ側が接続されている。シリンダヘッド60の後側面に給気マニホールド75が配置されている。コンプレッサケース63の給気排出側に過給管74を介して給気マニホールド75が接続されている。即ち、プリクリーナ72からエアクリーナ71に吸込まれた外気は、エアクリーナ71によって除塵されたのち、ディーゼルエンジン20の各気筒に供給される。
【0031】
図5に示す如く、プリクリーナ72は、走行機体1の高所に配置される。即ち、操縦座席とグレンタンク7の間で、グレンタンク7の上面よりも高い位置にプリクリーナ72が配置されている。また、グレンタンク7の上面よりも低い位置で、プリクリーナ72(グレンタンク7)から離れる方向に向けてテールパイプ69の後端側が開口されている。その結果、テールパイプ69の後端側から排出された排気ガスは、プリクリーナ72に吸込まれにくい。
【0032】
図4乃至図6に示す如く、ディーゼルエンジン20の左側方で、ディーゼルエンジン20の上面よりも低い位置に、DPF65が配置されている。ディーゼルエンジン20の右側方に、ディーゼルエンジン20の水冷用のラジエータ76と、ディーゼルエンジン20の空冷用の冷却ファン77が配置されている。即ち、ディーゼルエンジン20が内設されたエンジンルーム79の右側方に冷却ファン77が配置され、ディーゼルエンジン20を挟んで、冷却ファン77設置場所と反対側にDPF65が配置されている。
【0033】
図4及び図5から明かなように、ディーゼルエンジン20を搭載した走行機体1と、左右の走行クローラ2と、刈取装置3と、脱穀装置5とを備えたコンバインにおいて、ディーゼルエンジン20に付設した冷却ファン77からの冷却風の影響を受けない位置にDPF65が配置されている。冷却ファン77によって機外側の除塵スクリーン78を介して外気をエンジンルーム79内に取入れたときに、冷却ファン77からの冷却風がDPF65に直接当たらない。その結果、冷却ファン77からの冷却風の影響を受けることなく、DPF65の温度を管理できる。例えば、DPF65にて捕集された未燃焼物の燃焼処理用の加熱手段等を不要にできるから、DPF65等を簡単に組付けることができるものでありながら、DPF65の温度管理等の取扱い性を向上できる。
【0034】
また、ディーゼルエンジン20に付設した水冷用のラジエータ76に対して、ディーゼルエンジン20を挟んで、DPF65が配置されているから、DPF65の設置に際して、ラジエータ76を考慮する必要がない。また、ラジエータ76の設置に際して、DPF65を考慮する必要がない。即ち、ディーゼルエンジン20と刈取装置3との間で、ディーゼルエンジン20に近接させて、簡単な支持構造にて、DPF65をコンパクトに設置できる。且つDPF65の温度を適正温度に簡単に維持できる。
【0035】
図1及び図5から明かなように、ディーゼルエンジン20と刈取装置3との間にDPF65が配置されている。刈取装置3における穀稈搬送装置49のうち穂先搬送機構80の穀稈送り終端部や、脱穀装置5の扱口81等に対峙する位置にDPF65が設置されるから、ディーゼルエンジン20と、ディーゼルエンジン20の近傍に配置された刈取装置3の穂先搬送側との間に形成されるスペースを活用して、DPF65をコンパクトに設置できる。また、DPF65の放熱によって、刈取装置3における穂先搬送機構80のうち穂先搬送ガイド82を加温できる。例えば朝露等によって湿った穀稈の袴等が穂先搬送ガイド82に付着するのを防止でき、穂先搬送ガイド82に付着し易い湿材等の収穫作業性を向上できる。
【0036】
図4及び図5に示す如く、ディーゼルエンジン20から左側方に出力軸83を突出させる。出力軸83上にフライホィール84を設けている。フライホィール84に、刈取装置3や脱穀装置5に駆動力を伝達する作業部駆動プーリ85や、走行クローラ2にミッションケース86から駆動力を伝達する走行駆動プーリ87を固着させ、ディーゼルエンジン20の出力部を構成している。ディーゼルエンジン20の出力部としての作業部駆動プーリ85や走行駆動プーリ87の上方にDPF65が配置されている。刈取装置3の穂先搬送機構80や脱穀装置5の扱口81に近接させてDPF65を組付けることができる。ディーゼルエンジン20の出力用のVベルト延長部の上方に形成されるデッドスペースに、DPF65をコンパクトに設置できる。DPF65の放熱によって、穂先搬送機構80や扱口81が加温されるから、湿材等の刈取作業において、穂先搬送ガイド82や扱口81に付着する湿材等を低減できる。穂先搬送ガイド82や扱口81に袴等が付着し易い湿材の収穫作業性を向上できる。
【0037】
図5に示す如く、ディーゼルエンジン20と脱穀装置5との間で、DPF65から上方に向けて排気管67を延長させて、NOx触媒が内蔵可能なマフラー68を、排気管67の延長途中に配置したから、DPF65やマフラー68の放熱によって、刈取装置3の穂先搬送側や脱穀装置5の扱口81を加温でき、湿材等の収穫作業性を向上できる。また、必要に応じてマフラー68にNOx触媒を内蔵することによって、排気ガスの浄化機能を簡単に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態の4条刈り用のコンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの右側面図である。
【図3】コンバインの平面図である。
【図4】ディーゼルエンジンの左側面図である。
【図5】ディーゼルエンジンの正面図である。
【図6】ディーゼルエンジンの平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 走行機体
2 走行クローラ
3 刈取装置
5 脱穀装置
20ディーゼルエンジン
65ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)
67排気管
68マフラー
76ラジエータ
77冷却ファン
85作業部駆動プーリ(出力部)
87走行駆動プーリ(出力部)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンを搭載した走行機体と、左右の走行クローラと、刈取装置と、脱穀装置とを備えたコンバインにおいて、
前記ディーゼルエンジンに付設した冷却ファンからの冷却風の影響を受けない位置にディーゼルパティキュレートフィルタを配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記ディーゼルエンジンに付設した水冷用のラジエータに対して、前記ディーゼルエンジンを挟んで、前記ディーゼルパティキュレートフィルタを配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記ディーゼルエンジンと前記刈取装置との間に前記ディーゼルパティキュレートフィルタを配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記ディーゼルエンジンの出力部の上方に前記ディーゼルパティキュレートフィルタを配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記ディーゼルエンジンと前記脱穀装置との間で、前記ディーゼルパティキュレートフィルタから上方に向けて排気管を延長させて、NOx触媒が内蔵可能なマフラーを、前記排気管の延長途中に配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−22244(P2010−22244A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185786(P2008−185786)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】