説明

コンバイン

【課題】搭乗運転部を有した機体の前方に刈取部を備え、機体に警音器を備えたコンバインにおいて、より最適な警音器を備えたコンバインを提供する。
【解決手段】搭乗運転部12を有した機体の前方に刈取部2を備え、搭乗運転部12の下部を構成するデッキフレームの前面部9bのうち、刈取部2の機体左右方向の幅よりも外側に位置する部分に、警音器10を設けてコンバインを構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭乗運転部を有した機体の前方に刈取部を備え、機体に警音器を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンバインでは、例えば特許文献1の段落番号「0015」及び段落番号「0021」に記載された「昇降機構A」及び「横送り機構C」などのように、刈取部の昇降操作及び横送り操作が可能に構成されている。この刈取装置の、背後に位置する走行機体の前面には、「警音器」が設けられている。また、この種のコンバインは圃場での作業の前後に、移動などのため一般路上を走行することがあるので、農耕作業用小型特殊自動車としての型式認定を取得する必要がある。この型式認定においては、道路運送車両法の規定に基づいて一定の保安基準(昭和26年7月28日運輸省令第67号)が設けられている。保安基準の一項目である「警音器」については、警音器の音の大きさが機体前方の所定の距離を隔てた位置において、所定の大きさ以上であることが必要とされており(同省令43条第3項1号)、先述の警音器は保安基準を満たしたものが設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−275920号公報(段落番号「0015」及び「0021」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の従来のコンバインのように、警音器が刈取部の背後に位置するような構成であると、警音器から発せられた音は前方を遮る刈取部により吸収されてしまうので、保安基準を満たすためには、刈取部による音の吸収分を踏まえて、相当の出力をもって警音器を作動させる必要があった。したがって、容量の大きな警音器が必要となり、構造も大型化するので、設置スペースの点で不都合が生じたり、部品コストの点でも不利であったりした。また、警音器を作動させると、その大きな音により、運転者が必要とする周囲の音を妨害し、状況認識が困難な場合が生じるなど、コンバインの警音器については改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、より最適な警音器を備えたコンバインを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、搭乗運転部を有した機体の前方に刈取部を備え、機体に警音器を備えたコンバインにおいて次のように構成することにある。
搭乗運転部を有した機体の前方に刈取部を備え、搭乗運転部の下部を構成するデッキフレームの前面部のうち、刈取部の機体左右方向の幅よりも外側に位置する部分に、警音器を設けてコンバインを構成してある。
【0007】
(作用)
本発明の第1特徴によると、搭乗運転部を有した機体の前方に刈取部を備え、搭乗運転部の下部を構成するデッキフレームの前面部のうち、刈取部の機体左右方向の幅よりも外側に位置する部分に、警音器を設けてあるので、警音器から出力された音が機体の前方に伝播する際には、伝播の障害となるものが少ない状態となる。したがって、障害物による音の減衰は抑制され、警音器からの音がより効率的に目標範囲に到達することになる。
【0008】
(効果)
本発明の第1特徴によると、警音器からの音がより効率的に目標範囲に到達するので、警音器の容量を必要な範囲内で縮小でき、それに応じて警音器の構造も小型化できる。したがって、警音器の構成の大型化を避けることができ、設置スペースの節約や、部品コストの低減が図られる。また、警音器の音の大きさが比較的小さくて済むので、運転者が必要とする周囲の音が妨害される程度が低減する。
【0009】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴において次のように構成することにある。
警音器の前方に、開口を有するカバーを備えている。
【0010】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
警音器の前方に、開口を有するカバーを備えているので、警音器が発する音の伝播方向が制限され、不要な方向への拡散が防止でき、指向性が向上する。したがって、警音器から発した音のエネルギーのうち、必要な領域に到達するエネルギーの割合が増加することになる。また、路上走行或いは作業走行中に周囲から飛散してくる土埃、泥、藁くずなどが警音器に直接付着するおそれが低減する。
【0011】
(効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前述の本発明の第1特徴の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、警音器が発した音のエネルギーのうち、必要な領域に到達するエネルギーの割合が一層増加することになるので、警音器の容量を必要な範囲内で縮小することができ、それに応じて警音器の構造も更に小型化できる。したがって、警音器の構成の大型化を避けることができ、設置スペースの更なる節約や、部品コストの低減が図られる。また、路上走行或いは作業走行中に周囲から飛散してくる砂埃、泥、藁くずなどが警音器に直接付着するおそれが低減するので、警音器の性能維持や信頼性及びメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体正面図
【図3】警音器及びカバーの取付状態を示す拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、右及び左のクローラ走行装置1で支持された機体の前方に刈取部2が昇降駆動自在に支持されて、機体の後部の左横側部に脱穀装置3、機体の後部の右横側部にグレンタンク4が備えられて、コンバインが構成されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、機体の前部の右横側部にエンジン5が配置され、エンジン5を覆うボンネット6が備えられており、ボンネット6の上部に運転座席7が備えられている。ボンネット6の前方に操縦部8が備えられており、ボンネット6と操縦部8との間の下部にデッキ9が配置されて、ボンネット6と操縦部8との間で運転部12が構成されている。刈取部2は、脱穀装置3に対して、すなわち機体に対して左右に横移動可能に構成されている。
【0015】
図2及び図3に示すように、デッキ9を構成するデッキフレーム9aは機体前方側に前面部9bを有している。この前面部9bの機体外寄り、すなわち右寄りの位置に開口が設けてあり、この開口には警音器10が備えられている。警音器10が取り付けられた開口の位置は、刈取部2が機体右側に横移動した場合でも、前方が遮られないような位置となっている。
【0016】
警音器10は正面視円形の出力面を有しており、その出力面が前面部9bと揃うような前後位置で配置されている。円錐台形のカバー11が、前面部9bより前方向に向いて突出するように、警音器10の出力面に設けられている。
【0017】
以上のような、警音器10及びカバー11の構成及び配置にすることで、警音器10から出力される音の伝播効率が向上するので、警音器として小型なもので構成することができ、また、路上走行或いは作業走行中に周囲から飛散してくる砂埃、泥、藁くずなどが、警音器10に直接付着するおそれを低減させることができた。
【符号の説明】
【0018】
2 刈取部
9a デッキフレーム
9b 前面部
10 警音器
11 カバー
12 搭乗運転部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗運転部を有した機体の前方に刈取部を備え、前記搭乗運転部の下部を構成するデッキフレームの前面部のうち、前記刈取部の機体左右方向の幅よりも外側に位置する部分に、警音器を設けたコンバイン。
【請求項2】
前記警音器の前方に、開口を有するカバーを備えている請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−29208(P2010−29208A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255940(P2009−255940)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【分割の表示】特願2004−13297(P2004−13297)の分割
【原出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】